2017年3月期第3四半期決算 総括

小池邦彦氏:みなさま、お忙しいところご参加いただきましてありがとうございます。さっそく第3四半期の決算についてご説明申し上げたいと思います。

2ページ目です。第3四半期の決算の総括でございます。

記載ございますとおり、「年間計画を上方修正」ということで、第2四半期にも修正させていただいたんですが、第3四半期の結果をふまえて、2回目になるんですが、上方修正をさせていただきました。

主として鮭鱒の市況の回復、S.A.ですとか、ニッスイ個別の水産なんかもそうなんですが、かなり水産で業績が好転したということ。

食品につきましても、円高による調達コストの削減とか、すり身をはじめとする原材料のコストが削減できたということもありまして、水産・食品とも大変順調に推移いたしました。

売上については、一時ちょっと円高に動いたということもあります。若干減収ではございますが、利益面では好調ということで、前期の173億円の営業利益に対して13億円上積みができました。8パーセントの上積みができて187億円の営業利益ということで、この第3四半期を終わりました。

それと、みなさまご承知のとおり、海外については12月決算でございますので、速報ベースではありますが、実績がある程度見えてると、そういう状況も勘案しますと、年間についてもそれなりの数字は見込めるということで、今回の上方修正ということにさせていただきました。

通期業績見通し(連結)

次、3ページです。今申し上げたとおり「水産・食品とも順調に推移をしております」「第4四半期もそこそこいけそうだ」ということで、11月4日の修正に続きまして、年間でももう一度上方修正をさせていただいたということでございます。

11月4日の数字は売上が6,050億円、営業利益195億円、経常200億円の、当期利益120億円でございましたが、今回はこれを、売上6,280億円、営業利益215億円、経常235億円、当期利益140億円ということで、その右に増減が書いてございます。このような数字で修正をさせていただきました。

この数字が実現できたあかつきには、経常については過去最高の利益ということになります。

それから、当期純利益もここ何年か順調に推移しておりましたが、当期純利益については3期連続での過去最高益の更新と。これが見込める状況になりました。

セグメント別概況

それをセグメント別に、売上それから利益、前期との比較をしたものが、4ページにございます。

売上は、為替の影響もありまして、178億円の減収ということでありました。水産・食品について減収幅がけっこう大きく出たんですが、利益面では13億円プラスということで、売上とは異なりまして、水産・食品で利益の上積みができております。ファインが若干苦戦をいたしました。これがセグメントの状況でございます。

主な営業利益増減要因

この増減をウォーターフォールで示したものが5ページになります。

173億円という前期の営業利益に対して、今年は北米が苦戦しました。水産、ユニシーが苦戦をしたということ。

それから、食品についてはゴートンズですね、これもこれまでずっとご説明差し上げてますが、北米がちょっと苦戦しましたと。

それから、ファインが昨年と比べると若干利益を落としましたが、ご覧のとおり、S.A.が非常に大きく回復したということ。

それから国内、とくにニッスイ個別を中心に、水産、食品が前年を大きく上回る利益を上げたということで、187億という営業利益になりました。

セグメントマトリックス 売上高(前年同期比)

6ページが、売上高のセグメントです。横軸が地域セグメント、縦軸が事業セグメント、上段が今期、下段が前期ということで、差し引きが括弧の中にあります。

水産、食品で減収ですが、地域別に見ますと、北米とヨーロッパで減収になっております。

為替の影響、欄外に記載がございますが、この第3四半期というのは、海外は9月末でございますので、一時かなり円高に動きましたので、この影響で売上が減収、この要素がけっこう大きくなりました。

セグメントマトリックス 営業利益(前年同期比)

同じく営業利益について、7ページです。

13億利益の上積みができました。水産、食品で上積みができましたが、地域別に見ると、日本それから南米で、対前年に比べると利益の上積みができましたが、北米で苦戦しましたというのが、このマトリックスでご覧いただけるかと思います。

連結損益計算書(前年同期比)

今申し上げたものを、PLスタイルで前期と比較したものが8ページになります。

営業利益187億、営業利益率は約4パーセントということで、目標3パーセントなんていう時代がありましたけども、この第3四半期ではなんとか4パーセント。

まだまだ世の中の一般的な営業利益率からすると低いとは思いますが、4パーセントというのは、私どもにとってはまあまあなのかなと思います。

経常が207億。それから損益ですね。これも一時、かなり事業の撤退等で特損なんていうことがけっこうありましたけども、そういった手当の類はもうほとんどございません。

特損益も非常にスケール的にも小さな推移をしたというのが、このPLでご覧いただけると思います。

右に、販管費、営業外、それから特損益の内訳を記載しております。ご覧のとおり、特損益についても、金額的には非常に小さくなっているのがご覧いただけるかと思います。

連結貸借対照表(前期末比)

9ページがバランスシートです。

総資産4,550億ということになりました。前期末から比べると、若干増えてございますが、前年同期からみますと、約200億くらい、総資産、スリム化できております。引き続き在庫の削減に努めております。

欄外にコメントしてありますが、今期、公募増資をやらせていただいたのが第2四半期です。

そこで139億の調達をさせていただいたということで、これが自己資本の厚みを増すということにつながっております。自己資本比率への影響も約3パーセント強ございました。

一方で、一時円高に動いたということもありまして、(2016年)3月と比べると為替換算調整勘定が66億減少しております。

こちらのほうが自己資本比率を下げる要素ではありますが、結果的に、この12月第3四半期末では、自己資本比率が24.9パーセントということで、中期目標の25パーセントにほぼかするレベルになってございます。

連結キャッシュフロー(前年同期比)

10ページがキャッシュフローです。

営業キャッシュフローは前期とほとんど変わりません。利益、そして焼却も、ほぼ前年並みということであります。

166億の営業活動によるキャッシュフローを生み出しまして、投資活動によるキャッシュフロー152億ですね。これをほぼ営業活動でまかなえたと。

設備投資につきましては、前年よりも約60億強増やしてございます。ハインツケミカル工場の建設でありますとか、グループで運搬船の建造とか、こういった設備投資、中計の計画に沿って、前年よりも増えておりますが、これを営業活動で賄えたということであります。

財務活動のキャッシュフローについては、借入れ金の返済を進めましたのと、増資による129億円のキャッシュインということもありましたので、プラスということでこの第3四半期は終わってございます。

連結借入金・純金利負担

11ページ。以上の結果、借入金につきましては、このグラフにお示ししているとおり、第3四半期末の借入残高は2,181億円になりました。

こちらのほうも中計の目標、2017年度で2,300億円を切るということで目標を立てておりましたが、もう前期でこれを達成しておりまして、引き続き借入金の削減は順調に進んでいるというのをご覧いただけると思います。

純金利負担につきましても、借入金が減っているということ、それから昨今の借入レートの低減等もありますので、それと利益がそこそこ出ておりますので、純金利負担、営業利益が、金利負担に対しての比率についても非常に低減化された状況で推移しているというのが11ページでございます。

水産事業

12ページは、水産事業です。

ご覧のとおり、前期に対して18億円という大きな増益でございました。四半期ごとにご覧いただいても、第2四半期、第3四半期、順調に対前年と比べても利益の上積みはできているのがご覧いただけると思います。

その一番大きな要素が、何度も出てきます鮭鱒の価格のアップということです。右のところにグラフをつけてございます。このグラフのなかで、赤い折れ線グラフ、これがチリのトラウト、私どもの主力商品です。

これの価格の推移をご覧いただければ、今期4月以降といいますか、S.A.の場合は1月からなんですが、ボトムからずっと右肩上がりにきているというのがご覧いただけると思います。

これだけ価格が急激に上げってくれば、年度後半に収支が好転するというのはご理解いただけると思います。

ちなみに、2012年度、非常にボトムから、2013年度にかけて、右肩上がりできましたが、その後14年15年、やっぱりピークにいけばどこかで下がるという、こういった市況品の性みたいなものがあります。

そういうことで、今現在は非常に高いところで右肩上がりできているのでうまい具合に引っ張ってますけれども、これがどこで止まるか、ないしはまた下がるか、このへんの見極めが非常に重要になるかなと思っております。

水産事業 売上高・営業利益(前年同期比)

13ページが、水産事業のもう少しブレイクダウンした資料でございます。

漁業のところでずいぶん利益を伸ばしてますが、これは国内の巻き網をやっている漁業会社、こちらのほうが漁獲が非常に順調でした。

それから養殖、この青の濃い色、これがS.A.です。ご覧のとおり、前年たいへん大きな赤字だったものが、今期は水面上に浮かんでます。これがこの水産事業全体を引っ張った主たる要因でございます。

このチリ、S.A.の損益の状況、矢印で右下に引っ張ってますが、これがいわゆる時価会計ですね。在池魚評価の益。それから実現した営業利益、これをグラフでお示ししたものであります。黄色が実現損益。青い色が評価損益ということで。

前年は約3億円の評価損でございました。実現損としましては14億円。これがこの今期の第3四半期終わった段階で、実現損益はほぼとんとん。評価損益が3億円のプラスということであります。

そういうことで、前期と比べると9ヶ月で20億円損益にブレがありました。そのうち6億円が評価損益であります。

それから、その右に加工・商事。黄色のところがずいぶん利益が下がっているのがご覧いただけると思います。これがユニシーです。ユニシーは助子が採れなかったということ、それからフィレ、それからすりみのマーケットが非常に低迷しているということで、今期は苦戦をしております。

水産事業 ニッスイ個別(前年同期比)

14ページが、水産のニッスイ個別だけピックアップした資料でございます。

売上は若干前年と比べるとダウンしておるんですが、利益については、第1四半期、第2四半期、第3四半期とも前年を上回る利益ということがご覧いただけると思います。

市況品を扱う事業ではありますが、在庫のコントロールは非常にうまくいっていると考えていただいてよろしいかと思います。

食品事業

15ページが、食品事業です。

食品事業も前年と比べますと利益の上積みができております。こちらのほうは、第1四半期が前年に対して利益を落としていますが、これが何度もご説明しているゴートンズですね。

ゴートンズの第1四半期、厳冬シーズン、これで失敗したというのが、ここで出ておりますが、第2四半期、第3四半期ともゴートンズも通常のペースに戻ってきました。

食品事業 売上高・営業利益(前年同期比)

それから、ニッスイ個別も含めて、グループを含めて非常に順調にきて、第1四半期の取りこぼしをカバーしたというのが食品全体であります。それをブレイクダウンしたのが16ページです。

16ページ。加工のところでご覧いただいていますが、ブルーの濃い色ですね、まだ9ヶ月経った段階で若干ですが、水面下にいるのがゴートンズです。ゴートンズがやっぱり第1四半期の失敗をまだ引きずっているというところであります。

一方で、K&P、シテ・マリン、それから日本の他の食品会社は非常に順調でございまして、利益はそこそこ出ておると。

好調だったのがチルド、それからニッスイ個別ですね。チルドはコンビニさん向けに惣菜を製造販売してる事業でございますが、コンビニさんもたいへん順調に伸びているという背景もありまして、非常に順調に利益を伸ばすことができました。

食品事業 ニッスイ個別(前年同期比)

ニッスイ個別については、その次の17ページに資料がございます。

ご覧のとおり、とくに第3四半期、前年を非常に大きく超える売上を計上することができました。利益につきましても、各四半期ごと、ご覧いただいているとおり、大きく利益が伸びております。

いくつか要因がございます。2年ほど前までずいぶん円安にいきまして、調達コストが上がったと。これに対して、お客さまに値上げをのんでいただいたという効果、これがまだ引き続き続いているということ。

一方で、為替がいっとき円高に動きましたので、海外から調達するコストが、円高によるメリットがあったということ。

それから、すりみの価格のグラフがありますが、すりみは私どもの主要原料の1つでありまして、こちらのほうが非常に下がってきたというようなこと。

それから、売りが伸びている関係で、私どもの工場の生産数量が伸びて、生産コストもそれに伴って低減いたしたと。食品については、非常に今期はうまく回ったのかなと考えております。

ファインケミカル事業

18ページがファインケミカルですね。

ファインケミカルは、私どものファインケミカル事業、それからグループの日水製薬、この2つが主たる事業でございます。

若干私どものファインケミカルも、例の薬価の改定、それからジェネリックの浸透といいますか、これで数量がなかなか伸びないというか、前年と比べると減少したという影響がございます。ちょっと苦戦をしております。

それから製薬さんも今、いろいろ事業構造の変革に取り組んでおる最中ですが、若干前年を下回る業績になっているというのが、ここに書いてございます。

物流事業

19ページが、ロジスティクスですね。

グループで冷蔵庫、それからトラック等を使いながら、運送事業をやっております。こちらのほうは、大阪舞洲というところに物流センターをこの4月からスタートさせておりますので、売上は伸びております。

ただ、償却コスト、それから新物流センターの立ち上げ費用、こういったものがありまして、第1四半期はけっこう利益面では苦戦したんですが、第2・第3四半期、非常に冷蔵庫も順調に回っておりまして、この第3四半期はほぼ前年並みの利益になっております。

以上が第3四半期の実績でございます。

2017年3月期 修正計画 セグメント別概況(対11/4修正計画比)

20ページは、今回の上方修正のセグメント別の明細をここに記載してございます。

売上、これは円安に多少また戻ってきたということで、私ども売上は期末のレート一発でやっておるもんですから、為替の動きによって非常に大きくブレてしまうといったきらいがあるのですが、第2四半期で見たよりも円安に動いているということで、売上については230億円ほどまた上振れしそうだなということ。

それから、営業利益については20億円アップさせて今回発表しました。水産・食品で大きく利益の上乗せができそうだという計画でございます。

もう残すところ2ヶ月、それから先ほども申し上げましたが、海外についてはほぼ実績でございますので、なんとかこの修正、上積みしたものは実現できるかなと踏んでおります。

食品事業・ファインケミカル事業の融合

21ページです。

これはある意味参考ではありますけれども。ファインケミカルについては、医薬品の原料がなかなか伸びないなかで、この機能性表示食品ですね。

まだまだこれが利益に大きく貢献するというところまではいってませんけれども、こういったものをこれから伸ばしながら、ファインの利益の取組みをしていきたいということ。

22ページは、参考までに食品の春夏の新商品を出してます。

これも利益に貢献するのはまだまだ先ではありますが、参考までにということでお示ししてございます。

以上、私のほうからのご説明でございました。