信用取引の留意点

みなさん、こんにちは。東京証券取引所マーケット営業部です。今回は、第3部ということで、信用取引の留意点についてご説明をさせていただきます。

第2部では、信用取引のメリットについてご紹介をさせていただきましたが、ここでは、現金取引にはない、信用取引固有の留意点についてご説明をいたします。

まず、信用取引全体の留意点は、4つに分類することができます。

まず1つ目は、手元資金以上の損失です。レバレッジをかけた取引では、手元資金以上の損失が発生する場合があります。

そして2つ目は、コストです。金利や逆日歩といった、信用取引固有のコストがございます。

そして3つ目は、追証です。補償金額が一定の水準を下回りますと、補償金の追加差し入れ等が必要となります。

そして最後に4つ目、取引の規制です。通常30パーセントの保証金率の引き上げ等、信用取引規制の規制が行われる場合がございます。

とくに、信用取引の「売り」では、最大損失が無限大となる可能性もございますので、十分にご注意ください。

信用取引特有のコスト

また、信用取引には、現金取引にはない固有のコストが発生いたしますので、こちらのページでは、固有のコストについてご説明をさせていただきます。

まず、代表的なコストといたしましては、3つございます。

1つ目は、金利。こちらは、信用の「買い」に伴う融資に対するコストでございます。

続いて、貸株料。こちらは、信用の「売り」に伴う貸株に対するコストでございます。

そして、品貸料。こちらは、信用の「売り」に伴う貸株に対する追加のコストでございまして、逆日歩とも呼ばれております。

その他、口座の管理や権利処理のために必要な手数料等もございますので、ご注意ください。

また、下の図では、金利と品貸料の計算方法をご紹介させていただきます。

まずは左側の休業日をまたがない通常のケースでございます。こちらのケースでは、受け渡し決済は、取引の3日後に行われますので、3日の月曜日に新規買いを行いまして、翌日4日の火曜日に弁済売りをした場合、6日に株式を受け取りまして、7日に受け渡しとなります。

買建てのときの金利は、株式を保有している2日分かかることになりまして、売建てのときの品貸料は1日分かかるということになります。

次に右側、こちらは休業日をまたぐケースでございます。4日の火曜日に新規買いを行いまして、翌日5日の水曜日に弁済売りをした場合、6日株式を受け取りまして、10日に受け渡しとなります。

金利は、株式を保有している4日分、品貸料は3日分かかります。土日でも金利と品貸料はかかりますので、ご注意をしてください。

委託保証金の追加差入れ(追証)

続いてのページにつきましては、委託保証金の追加差入れ、いわゆる、追証についてご説明をさせていただきます。信用新規の取引の際には、30パーセントの委託保証金が必要となることにつきましては、これまでの回でもご紹介をさせていただいた通りでございます。

信用取引の未決済残高を建玉と言いますが、この建玉の20パーセント以上の保証金を維持する必要がございまして、こちらの保証金が差し入れられない場合には、建玉を強制決済させられる可能性もございますので、ご注意ください。

なお、こちらの追証につきましては、証券会社によって水準が異なりますので、こちらもご注意ください。

では、こちらの図をご説明させていただきます。

図は、100万円の建玉に対して、保証金が10万円となっている例を示しています。こちらの場合、100万円の建玉の20パーセントは20万円になりますので、この建玉を維持するためには、追加で10万円の保証金を差し入れる必要がございます。この追加で差し入れる保証金を追証というふうに呼んでおります。

追証の解消方法

続いて、こちらの追証の解消方法ですが、追証の解消方法は2つございます。

1つは、不足している保証金を追加で差し入れる方法でございます。図の例の場合、100万円の建玉を維持するためには、20万円が必要となりますので、10万円の保証金が足りていないというふうな状況です。この不足する保証金10万円を追加で差し入れることで、追証を解消することが可能でございます。

もう1つは、建玉の一部を決済して、建玉を減らすという方法がございます。図の例の場合、10万円の保証金で維持できる建玉は50万円分となります。100万円から50万円を引いた、50万円分を弁済することで、追証を解消することが可能でございます。

信用取引のモニタリング

続いてのページでは、私ども東京証券取引所が行っている信用取引のモニタリングについてご説明をさせていただきます。

私ども東京証券取引所では、信用取引の過度な利用を未然に防止するため、必要な情報提供や規制措置の実施を行っております。信用取引の過度な利用を未然に防止するために、信用取引の利用が一定程度である銘柄の残高・信用取引の利用率について公表をさせていただいております。

また、信用取引の利用が過度と認められる場合に、さまざまな規制の措置を実施しております。主な規制の措置として、委託保証金率の引上げや、代用有価証券の利用制限などがあげられます。

また、規制以外でも、東京証券取引所では、投資家のみなさまの投資判断に資するため、さまざまな情報を公表させていただいております。

まず私ども東京証券取引所で公表しているものといたしましては、信用取引残高、それから銘柄別信用取引週末残高、そして個別銘柄信用取引残高というものがございます。

また、日本証券金融様が公表されている情報といたしまして、品貸料、こちら逆日歩というふうにも言われているものがございますが、こういったものがございます。

以上で、第3部のご説明は終わりとなります。みなさま、ご静聴いただきまして、ありがとうございました。