2017年 3月期 中間決算説明会

大野弘道氏(以下、大野):大野です。本日はありがとうございます。ポイントを要領よくお話ししたいと思います。

こちらは損益計算書の概要です。

ご存知のように円独歩高で、為替、前期がドル122円でしたが、我々は下期見通し102円で見ています。

他通貨においても同じです。円にトランスレートされた公表値、それと実態が分析できるトランスレーション前の現地通貨ベースの2つに分けてご説明をしたいと思います。

まず、表でご覧のとおり、円ベースでいくと、売上高、営業利益の増減の数字、減収減益、大きな額になっています。

(スライド)下のコメントの3つ目「外部要因影響」。売上高465億円、営業利益57億円。こちらが換算為替、トランスレーションの影響です。

トランスレーションの内訳として、売上高のところに記載していますが、とくに海外食品の為替換算。営業利益も為替の影響が非常に大きいということです。

増減率は円ベースで見ると11パーセント、そして営業利益で17パーセントの減収減益ですが、為替換算を除くと、一番右側の数字、売上高が−3パーセント、営業利益が−5パーセントという小幅な減収減益になります。

売上高です。除く為替換算のところの増減ですが、②のところです。動物栄養は、販売単価下落等により135億円。そして医薬事業の子会社から持分法になった影響で160億円と。これが為替換算抜きの減収の影響です。

また、営業利益ですが、動物栄養事業、為替に加えて販売単価下落影響があり、約60億円のマイナスということです。

こちらが営業利益以下です。

営業外収支については、持分法の投資利益、こちらが対前期18億円増加しています。主としてEAファーマ社です。

また、特別損益ですが、この上期はとくに大きなものはありませんでした。

一方で、こちら記載しているように、前期はAGF社の段階取得に係る差益180億円が特別に一過性で計上されていますので、その関係で税引前利益、約177億円マイナスということです。そういう特殊要因が去年あったとご認識いただければと思います。

貸借対照表・キャッシュフロー計算書概要

こちらはキャッシュフロー・貸借対照表との概要です。

まずBSですけれども、見てわかるとおり、これは総じて円高の影響です。大きく、全体が縮んでいるということです。

キャッシュフローについては、今期は特段大きく申し上げることはありませんが、前期のところで、投資活動でAGF社の株式取得がありましたので、そういった関係で今年はフリーキャッシュフローが去年より上回っているということです。

セグメント別業績概要

こちらはセグメント別業績概要です。

こちらも円ベースの公表値と、みなさまのご理解のために、トランスレーション前の現地通貨ベースでの統一比較を併記いたしました。

4つの主要セグメントで申し上げます。まず、ポイント1つ目、売上高ですが、公表値についてはすべて減収ですが、その1つ右の現地通貨ベースをご覧いただきますと、海外食品、ヘルスケアは増収。

日本商品も15億円のマイナスですが、持分譲渡しました連結子会社ギャバン社の売上がなくなったことを勘案しますと、前年並み、若干前年プラスなんですけれども、売上となっています。

ちなみに、「その他」事業のマイナスは、味の素製薬の売上が持分法になって、ここから除外された影響です。

ポイント2つ目、営業利益です。対前年をご覧いただきますと、公表値、日本円ベースでは、大きなセグメント4つ、2勝2敗ということになっています。

一方で、現地通貨ベースご覧いただきますと、動物栄養事業が含まれているライフサポート以外の3セグメントは増益になります。現地通貨では増益ということになります。

一番下の「全社計」の前年対比、右から3つの目の欄、80億円を分解しますと、まず円にトランスレートした為替の換算の影響が−57億円、残りの影響が現地通貨ベースで−23億円です。

飼料用、動物栄養の影響が約60億円のマイナスがありますので、他事業の持分でこちらを−23億円のところに留めたというご理解をいただければと思います。

最後に、地域別に展開した表がございますが、大きく言いまして、為替の影響が各地で出てるということをご理解いただければと思います。

以上、簡単ではございますが、私からの説明を終わらせていただきます。ありがとうありました。

2017年3月期業績予想と今後の展望

西井孝明氏:みなさん、おはようございます。改めまして、本日はご多忙なところお集まりいただきまして、ありがとうございます。

私から本年度の業績見通しについて、お話をさせていただきたいと思います。

まず、期首の業績予想に対して中間期の状況は、先ほど大野から申し上げたとおりです。売上高、営業利益、それぞれ標準進捗に対して1ヶ月程度のビハインドをする状況になっています。

先ほどの説明にありましたように、主たる要因である円高の影響と、それから飼料用アミノ酸の状況、飼料アミノ酸については底は打ったわけですけれど、依然リジン、スレオニンの市況の低迷の影響が、残った期についても当面続くという見通しをしておりまして、これにより、記載のとおり、売上高および営業利益以下の各段階の利益を下方修正をさせていただきたいと考えております。

売上高は1兆950億円、営業利益は815億円、経常利益が837億円、親会社帰属当期純利益は445億円と、減収減益の通期見通しになっています。

大変課題の残る状況で、アナリストのみなさまには大変ご心配かけておりますことを心よりお詫びを申し上げたいと思います。

対期首予想営業利益の増減要因

それでは、詳細の中身について、次のページからご案内をしたいと思います。まず営業利益の期首予想に対する増減の要因について、ウォーターフォールでご説明申し上げます。

期首予想の営業利益に対して、事業由来の要素では8億円程度のマイナスとなっています。

内容については、動物栄養の市況低迷に伴う販売価格の低下による影響、先ほど大野から上期60億円と申し上げましたけれども、このなかにはもちろん為替も入っているわけですが、これらの事業のマイナスの部分を、日本食品と医食アミノ酸の事業の伸長に加えて、発酵原燃料や国内原料安で、おおむね打ち返す中身になっています。

しかしながら、今期の主要国通貨に対する円為替の見通しを(スライド)右上の表に示していますけれど、対ドルのみならず、バーツやブラジルレアルが期首予想を超えた円高の基調ということになり、換算為替が55億円のマイナスになっています。

加えて、そのウォーターフォールの隣に、貿易為替の悪化の影響32億円と記載しておりますけれども、これは主要通貨の為替のところだけでは説明ができません。

ここには記載はありませんけれど、日本の味の素から海外に輸出している、例えば化成品や甘味料といったものがドル建てでございますので、マイナス要素と。

それから、ヨーロッパのリジン、これはイギリスに輸出していますけれど、これはポンド安ということで、これがマイナスインパクトを受けています。

それからナイジェリアの調味料、フィリピンの調味料、これは主に味の素ですが、これはそれぞれの国でドル建てで輸入をするということでして、これが現地通貨安ということで、マイナスになっています。

一方、冷凍食品については、日本にはタイから円建てで輸出されていたり、ドル建てで輸入をしていたりということですが、これはポジティブな方向になります。これを相殺すると、だいたい32億円ぐらい貿易で持っていかれるということです。

昨年と状況が変わりましたのは、ご承知のように、去年フランスの会社をたたみまして、事業構造強化ということで、ヨーロッパ向けの甘味料については日本から輸出をするかたちにしており、全体としてはいい方向でもっていっていますけれど、円高のなかで、結果として今期はマイナスになりそうだということです。

合計すると87億円の為替マイナス、これを全体としては打ち返すことができずに、815億円の営業利益にとどまるという見通しを立てています。

対前年実績営業利益の増減要因

こちらは通期の修正営業利益の予想を前年との差異で示したものです。

事業由来では、動物栄養は営業損益が±0ということを見込まざるえない状況でして、前年に比べて55億円マイナスとなっています。

さらに、今の製薬事業の、これは持分会社の移行による減益の幅が30億円ほどございます。これを、食品とそれから先ほどのほかのアミノサイエンスの事業、これに低資源利用発酵や原燃料安を含んだもので打ち返して、このグラフの事業由来の部分については、49億円の増益になるということです。

ただし、先ほど申し上げた円高による換算為替で110億円と。それから先ほど申し上げた項目が、項目ごとのマイナス幅プラス幅は違うわけですが、プラスサイド、マイナスサイドは前年に対しても同じようにマイナスになりまして、貿易為替が−32億円と。

これを見て、合計で140億円のマイナス影響が為替であるということです。これも(営業利益見通し)815億円の内訳になります。

2017年3月期 上期、下期見込み:対前年実績営業利益の増減要因

こちらは、今申し上げた前年の差異のところを上・下別で記載をしております。

下期のみご説明いたしますと、下期については、動物栄養の事業は、昨年の第3クオーター、第4クオーターから厳しい状況になってきていますので、動物栄養については、リジンの価格が前年同期の比較で、トンあたり20セントほど高い1.35ドルぐらいで推移すると見ております。これによって黒字転換をいたします。

それに加えて、先ほどの日本食品の増益が引き続き寄与をすると。もともと日本食品は下期のほうが強いということで、それから海外食品も、この事業由来等の利益は増やす見通しで、70億円ほどの増益ということになります。

換算為替のマイナス影響は上期と同様で50億円強あるだろうということと、それから貿易為替の影響については30億円強になるという見込みでして、下期も残念ながら、全体で10億円強の減益を見込まざるをえないという状況です。

ただし、昨日のアメリカの大統領選挙の結果をふまえた、短期的な為替の影響については、このあとも引き続き注視をしていく必要があると考えております。

セグメント別修正予想概要

こちらはセグメント別の業績予想の概要です。

お手元に、2016年度のセグメント別の修正業績予想の資料を置かせていただいていますので、ぜひご確認いただきたいと思いますが、このスライドには、本年度の為替の換算為替が前年度と同じであったと仮定した場合の増減のみを記載させていただいています。

そしてまた「その他」のセグメントのところに、前年度の味の素製薬の連結数字を反映させていただいています。この換算為替の要因を除けば、わずかですけれども、80億円の増収、16億円の増益となっています。

経常利益、純利益修正予想

こちらは営業利益より下の各段階の利益の見通しです。

2016年度の期首の発表の見通しをさせていただいた折には、算定中で反映できていなかった、EAファーマの持分法投資利益を営業外収支に反映をさせていただきました。

また今期、政策保有株式の売却に取り組んでまして、これの売却益を新たに特別益に計上させていただいています。

一方で、足元の事業を勘案して、可能性のある特別損失について、「その他」の項目に反映させていただいています。

法人税率は、ほぼ期首見通しどおりの31パーセント程度ということで、読んでいるところです。

目指す営業利益の構成

こちらは中計(中期経営計画)に対する進捗です。

ご承知のように、今年は現在の中計の最終年度にあたるということで、中計に掲げた目標に対する進捗をそれぞれお話したいと思います。

営業利益の構成ということで、我々はこの中計においてはオレンジ色で示させていただいた、いわゆるスペシャリティ事業の比率を高めていくという構造改革に取り組んできています。

今期の営業利益の額の見通しは、先ほどご説明した要因により、去年よりも93億円減益の815億円に留まるわけですが、中長期課題の1つであった国内製薬事業を持分法会社として、そのこともあって集中度を高めた食品・アミノサイエンス事業のスペシャリティ事業と、これはのれんの償却後で815億円ということになります。

これは、中計に立てたスペシャリティ目標784億円に対して31億円上回る進捗となる見通しです。

一方で、課題はコモディティバルクの部分です。動物栄養事業におけるコモディティ市況の低迷については、我々の読みと異なっておりまして、しかもスペシャリティ事業が計画に対して遅れているということも加わった結果、バルク比率については8パーセント程度となって目標を下回っておりまして、現時点でさらなる対策が必要な状況です。

グローバル・カンパニーに向けたロードマップ

営業利益以外の主要な経営指標の現状の課題について述べさせていただきます。

2016年度の中計との比較におきましては、営業利益率が7.4パーセント、EPSが86.94円、そしてROEが7.4パーセントと、いずれも未達で課題となっています。

この表側のオレンジ色の部分に、のれん償却を除く数値を参考値として示させていただいていますが、例えばOP率は8.0、ROEは8.2パーセントということです。

これをご覧いただきましても、1つ目の対策としてAGF、味の素ウィンザーなどの成長投資を行った事業のシナジー効果をさらに加速する、そしてこの収益構造を強くしていく、収益貢献を大きくしていくということが必須の課題です。

2つ目は、先に触れた、動物栄養の構造改革をさらに強化するということが必要だと。

3つ目については、これも期首見通しの発表の際にも申し上げましたけれども、持分法投資利益の少数株主利益の課題がありまして、これについての取組みが必要だと認識しております。

これらについては、目下策定中の次期中計で具体的対策で解決をしてまいりたいと考えております。

GROW 成長モメンタムの加速化

ここからは現中計の基本戦略に沿ってトピックスをご報告をしたいと思います。まずはGROWのエリアからです。

海外食品のコア事業展開国“Five Stars”について、2016年度上半期、スライドの下の表に示しているとおり、ブラジル、インドネシア、ベトナムで本年度も2桁の成長となっています。

2015年度の成長率との比較を述べさせていただきくと、ブラジルが大幅増。ただし、これはセグメントの組替えが入っています。今年から甘味料が新たに海外食品カテゴリーのブラジルのなかに入ってますので、これを外すとブラジルの食品の実際の伸びは113パーセント。ただ、2桁です。

インドネシアとベトナムの数字は昨年同等の伸び方をしています。フィリピンの伸びが前年よりも若干低下して、タイが現地通貨ベースで前年比99パーセントと苦戦をしている状況です。

ただし、右側の表にあるとおり、5ヶ国とも、うま味調味料、風味調味料については安定的な成長を果たせているということもあり、タイ、インドネシア、ベトナムに総額100億円をかけて、2017年に完工する生産供給体制の強化に取り組んでいるところです。

海外最大拠点タイの状況

タイの状況について詳しくご報告します。

今期の現地通貨ベースでの販売は、99パーセントで推移しております。タイ国内の販売については、「味の素」「Rosdee(ロッディー)」等の調味料が3パーセント伸長しております。

一方で、ネスレやローカルメーカーとの激しい競争が続いているコーヒー飲料等が前年割れで、全体ではタイ国内の販売は前年比100パーセントに留まっているというところです。

タイからはミャンマーなどの周辺国への輸出を行ってますけれど、ここはミャンマー通貨とタイバーツとの間で現地通貨の為替安ということ、それから競争激化ということもあり、ここが前年比87パーセントと苦戦をしている状況です。

タイ国内については、外食需要の喚起や、新しい製品の発売、そしてマーケティング活動の強化によって巻き返しを図っていきたいと考えております。

ミャンマーについては、今年2月に「ミャンマー味の素食品社」を設立して、「味の素」の包装工場の建設に今着手しております。

来年の秋に完工する予定で、これに合わせて販売体制の構築ということで、成長軌道をもう一度取り戻していくということでやってまいりたいと考えております。

味の素ウィンザー社の取り組み

次は、味の素ウィンザーです。

味の素グループとの連携により、これは味の素冷凍食品との連携ですけれど、主力の「TAIPEI」ブランドの製品力の強化、それから味の素冷凍食品社の技術指導による生産技術の改善。そして、全体のKAIZEN活動にも取り組んでいます。

それに加えて、いわゆる低収益アイテムの整理ということで、だいたい設立の時のアイテム数から17パーセントぐらい低収益アイテムを整理しました。こういった収益構造の改革に取り組んでいます。

これに加えて、調理冷凍麺の市場投入や冷凍米飯など増産などの成長戦略、これは計画どおり実行しつつあります。

FITの部分とGROWの部分を合わせて今取り組んでおりますが、現時点ではウィンザーは現地通貨ベースで4パーセント程度の増収を果たせていると見込んでおります。

国内冷凍食品市場環境および今後の見通し

日本の国内の冷凍食品の状況です。

家庭用市場については、食卓市場の拡大をFFAがリードするかたちで、家庭の「ギョーザ」「ザ★チャーハン」等のコア商品群を伸ばしております。

そしてまた、この分野については、12月に強い製品の「ザ★シュウマイ」を発売して、さらに拡大を狙っているところです。

そして、業務用市場も惣菜を中心に拡大して、外食や給食市場も堅調に推移しているというところです。ここについてもデザート、餃子、そして鶏肉加工品を中心に堅調な販売を続けているところです。

トータルでは、売上前年比が106パーセントということで、日本食品を牽引してくれている状況にあります。

味の素ゼネラルフーヅ

次は、AGFです。

今期の販売は、前年比102パーセントということで、とくにスティックコーヒーなどのパーソナル製品群が牽引をして堅調に推移をしております。

また、国内外のグループシナジー発揮にも取り組んできていただいています。

最大のトピックスは、この「Blendy」「MAXIM」等の全商標を10月の末にJDE社から259億円で取得することができました。

これは買収以降粘り強く交渉を続けてきた結果ですけれど、円高というチャンスも掴んで成立したということになります。

今後安心して、この強いブランドにさらに投資を行って事業強化を実現してまいりたいと考えております。

健康基盤食品事業の状況

次は、アミノ酸ベースのアプリメントの状況について、いわゆるサプリメントで健康をサポートする事業ということで、「アミノバイタル」の事業、それから「グリナ」ほかの健康基盤食品の状況です。

この「アミノバイタル」につきましては、リオオリンピックの効果もあり、そして「グリナ」や「アミノエール」等の機能性表示食品については、ユニークでエビデンスのあるところをきちっとお伝えするなかで、順調に売上を拡大しつつあります。

そしてまた2017年の春に、疲労感の軽減機能を持つ「毎朝ヒスチジン」という新しい商品を発売する予定です。次回の説明会にはぜひご試飲を賜りたいと思います。

東京2020に向けて、スポーツと栄養で日本の健康課題の解決をする取組みを毎年しっかりと行っていき、この成長を持続したいと考えております。

トピックス1.長谷川香料(株)との業務提携進捗

次はトピックス2点ご紹介を申し上げたいと思います。

まず1点目、昨年の8月に長谷川香料との間で、発酵ナチュラルフレーバー開発をテーマに業務提携をいたしました。

ラボベースではありますけれど、現時点までに、発酵ナチュラルバニリンを作り出すことに成功いたしました。これは当初の開発計画よりも相当前倒しができているという成果です。

今後、この両者の取組みは、共同開発のレベルを工業化段階へ進めてまいりたいと考えております。

このフレーバーの市場は2020年に向けて年率で5〜6パーセント伸長して、2020年には1.6兆円の市場になると言われておりますけれども、この20パーセントを占めるのがいわゆるバニラフレーバーです。

主な用途はチョコレートやアイスクリーム、お菓子ということですけれども、我々の推定では、現在98パーセントが合成法で製造されていると考えており、現在、欧米の大手の菓子メーカーや飲料メーカーは、この合成法の香料からナチュラルフレーバーへの切り替え表明を行っており、近い将来、我々にとっての大きなビジネスになろうかと考えております。

トピックス2.アフリカ事業基盤強化

次にトピックスの2点目です。

昨日東証に開示しましたとおり、イギリス領のヴァージン諸島に本社をおき、広くアフリカに食品事業を展開しているプロマシードル・ホールディングス社の株式33.33パーセントを取得いたしました。約558億円です。

これだいたい、マルチプルにすると、EBITDAの15倍程度ということで、標準的なアフリカの事業の買収事例を若干下回るレベルということだと思います。

この会社は、ナイジェリア、アルジェリア、ガーナ、コンゴ民主共和国、アンゴラの5ヶ国を主要国として、アフリカ地域36ヶ国に食品の事業を展開している1979年設立のメーカーです。

2015年度の売上高は673ミリオンUSドル相当です。近年の成長については、数量ベースで9パーセント。これは2012年から2016年度の足元までの状況です。金額は為替で多少振れております。6パーセント成長です。

主な製品は、粉ミルク「COWBELL」「Loya」というブランドの商品、そして粉末飲料「amila」「Drink・O・Pop」というブランドの商品、そして風味調味料については「ONGA」などのブランドを有しております。粉ミルクについては、展開国においてはネスレを押さえてトップブランドの強みをもっている会社です。

今後は我々のビジネスをプロマシードル社との強固な大変強い販売基盤と、私どもの幅広い製品展開力と開発生産技術力を組み合わせることで、先ほどの成長を加速させていきたいと考えております。

我々としては、このジョイントベンチャーで、アフリカ市場におけるリーディングプレイヤーになることを目指してまいります。

これにより、私どもの今のアフリカ事業の中核のナイジェリアのWASCO社については、現地のプロマシードルの現地法人と統合に向けて検討を開始したいと考えております。

動物栄養事業のスペシャリティ化

ここからはFITの構造改革のテーマで、動物栄養の状況についてご報告申し上げます。

かねてよりご報告しているとおり、動物栄養のスペシャリティ化の戦略は2本の柱で立っています。

1つは、この「AjiPro−L」が代表する、畜産のような、乳牛のような新しい需要の開拓によるスペシャリティ事業を柱にしていくということ。

もう1つは、リジン、スレオニン等のコモディティ化した事業を徹底的にコストダウンをして、販売量を適正にコントロールして、収益のボラティリティを下げていくことということです。

まず、 AjiPro−Lの状況ですけれど、主力の北米市場で長期的に続いている、ミルクの価格の低迷と、アメリカでは既存の蛋白原料として豚の血粉が使われてますけど、これが安値で継続的に販売されているということもあり、販売重量は前年を上回っていますが、年間6,500トンの目標に対しては大きくビハインドをしている状況です。6,500トンを月次で割ると540トンですけど、これに対してはかなりビハインドしています。

ただし、明るいニュースとしては、この8月からリジンの有効率を25パーセントアップしました。我々のなかでは「第3世代品」と呼んでいる商品を市場投入いたしました。

これにより、足元10月の販売は大きく拡大をすることができて、540トンまではいってませんけれど、かなりこれに近い数量の販売が確保できているという状況にあります。

また、ほかの市場への展開ということで、ヨーロッパは豚の血粉の使用をしない市場でして、ここの欧州市場向けの製品登録の目処が立ってきております。

今年度は難しいんですが、今、手続きをしており、2017年度には販売できるのではないかという明るい見通しも出てきておりまして、これにしっかりと取り組んでまいりたいと思います。

2つ目のコモディティ戦略については、課題が残っております。我々は低資源利用発酵を中心として、昨年対比10億円のコストダウンに取り組んでおります。

これは計画どおり進んでおりますけれど、やはり中国勢の見方、とくに中国市場での需給バランスの緩みから、海外にオーバーフローしてきているという状況について、これは我々の当初の認識よりもさらに長続きするというか、なかなかしぶといということがございまして、ここに対する対策という観点では、このコモディティ対策をもう1段強化する必要があるということです。

財務戦略

続きまして、財務戦略についてお話を申し上げたいと思います。

まず一昨日の中間決算の発表に際して、2017年3月期の中間配当については予定通り1株15円とさせていただく旨を発表させていただきました。

年度の配当予想についても30円ということで変更はいたしませんので、これに伴う予想の配当性向は33.7パーセントとなります。

改めて、2014−2016中期経営計画で掲げた財務戦略の基本方針は変更していないことを確認させていただきますけれども、営業キャッシュフローを成長投資に優先的に投下して、3年間の間に株主様への総還元については、50パーセントを目処とする株主還元に取り組むことを基本方針としておりますけれども。

この比較で申し上げますと、中計期間中の累計の還元係数は71パーセントになるということをご報告申し上げます。

次期2017-2019年度中期経営計画策定

最後のパートですけれど、次期中期経営計画について進捗をご報告したいと思います。

ここに示すような次期の中期経営計画については、財務・非財務の目標をそれぞれできるかぎり数値化をするなかで、これらの関連性を紐づけていきながら、これらを両方とも改善していく、価値を高めていく、いわゆるASVサイクルを計画のなかに具体的化をしていこうということで、取り組んでまいります。このような概念図でやらせていただきたいと思います。

今日みなさんにご報告したい点が2点、来年の2月17日にお時間いただきまして、また発表させていただきたいと考えておりますということと、財務目標については、このあと大野からご説明しますように、IFRSベースで策定をさせていただきますという内容だけ確認をさせていただきたいと思います。

私からは以上です。ご清聴ありがとうありました。

国際財務報告基準(IFRS)導入について

大野:それでは、再び私からIFRS導入についてご説明申し上げます。

1点目はスケジュール。2点目は損益のイメージを作ってみました。

まず1ページ目です。適用目的については、こちらに記載してある2つの観点です。

みなさまのコミュニケーション、これをよくしたいということ。それから、多くのグローバル企業、すでにIFRS採用しておりますので、それとの比較をやはりきっちりしていきたいと、こういうことです。

2点目はスケジュールです。中期計画をベースに2017−2019からIFRSに乗り換えるということで、現在の2014-2016については日本基準で収支させていきたいと思っています。

厳密に言いますと、IFRSの適用は2016年度、今決算期の末よりということになるのですが、みなさまとの会話は決算発表および株主総会、日本基準で開示させていただきまして、最後の有価証券報告書で調整表を作りながら、IFRSと日本基準両方を示していくという格好で考えております。

IFRS移行の主な影響

2枚目が、とくにPLご関心事だと思いますので、現在の修正予測値が概算ですが、どんなかたちなるかということです。3点申し上げます。

まず1点目、売上高1兆950億円、これは変わりません。すでに日本基準のなかでIFRSの売上計上基準できますので変化がございません。

そして2点目、営業利益815億円。この右2つに事業利益という欄を設けました。927億円。

事業利益については、従前の営業利益に持分法による損益、これも我々重要な指標でして、事業上、これを足したものを事業利益としまして、これをセグメントで展開して、みなさまと会話していきたいと。

というのは、ご存知のように特別損益や営業外のものが今度営業利益に計上されて、非常にノイズが激しくなりますので、これは事業利益の1個下、「その他の営業損益」にくくりまして、主なものをみなさまに開示していきたいと思っています。

それから3点目です。PL112億円、営業利益に対して、事業利益が増えました。この内訳がこの黄色のところに記載してます。

1点目が表示組替。これは持分法です。ちょっと表中の23億円と違うますが、これは持分法もIFRSベースになりますので所要の調整を加えている差です。

あとは②で認識されている、のれんの非償却化、大きなものが1つ。

それから退職給付費用、推移計算上の差異の償却がなくなります。すべて一時で包括利益にいきますので、これがプラスサイドという。

「その他」細かいものはございますが、のれんと退職費用の扱い、それから持分法という格好で利益が変わっていくると。約100億円強です。

そして最後、営業利益、セグメントどうなるかというと、ここに記載してますとおり、売上高の影響はございません。

セグメント利益、IFRSベースの927億円。差異、各ベースですね、日本食品、海外食品、ライフサポート、ヘルスケア、各々、のれんの非償却化および退職給付費用の測定差異等で変化しているということです。以上です。