2016年度 第2四半期 決算説明会
宮坂学氏:それでは今から、ヤフー株式会社2016年度第2四半期の決算の説明をしたいと思います。
まず第2四半期の連結の業績であります。こちらのほうにハイライトをまとめております。
売上高は2,053億円で、前年同四半期と比べると+48.5パーセント伸びました。営業利益は495億円で、前年同四半期と比べると−51.8パーセントの減益となっております。
この資料、今後も「調整後」という言葉がいくつか出てきますが、昨年アスクルの連結に伴う一時益とか、それから引越しとか一時投資とか、かなりいろいろ入り繰りの激しい数字になっておりますので、「調整後」と頭に書いてある項目は、そういった特殊要因を外した、apple to appleで比較しやすい数字に均したものであります。
営業利益そのもので見ると−51.8パーセントでございますが、調整後の営業利益で見れば、+14.9パーセントということで、2桁増を達成することができました。
EBITDAも、調整前だと−46.1パーセントですが、調整後だと+18.8パーセントであります。
第2四半期 業績ハイライト
第2四半期の業績ハイライト、ポイントを少しご紹介したいと思います。
まず広告関連の売上高でございますが、前年と比べると5.7パーセント伸びて694億円になりました。スマートフォン経由の比率は49.5パーセントと、50パーセントにもう少しだけ届かなかったんですけど、もうほぼ半分までスマートフォンにいくことができました。
内訳でございますが、ディスプレイ広告は、インフィード広告を昨年リリースして非常に伸びてきましたけど、それの一巡効果がありましたが、引き続き堅調に伸ばすことができて、16.7パーセントの成長を達成することができました。
検索連動型広告がかなり復調してきまして、この3四半期連続でマイナス2桁パーセントというかたちで減速が続いていたんですけど、いろんな努力の結果、−3.4パーセントにまで大幅に回復することができました。
eコマースの(国内)流通総額は4,324億円で、前年同四半期と比べると約30パーセント伸びました。スマホの比率は約45パーセントにまでいっております。
月間のアクティブ(ユーザー)ID数、これは今、ヤフーはマルチビッグデータカンパニーになるということを掲げていて、お客さまをデバイスをまたいで理解できるようにするために、IDの利用を進めているんですけれども、それが非常にうまくいっていて、1年前と比べると+15パーセント、IDでYahoo!を使う人が増えております。
さらに月額有料会員のお客さまが1,737万人になりまして、これも前年と比べると8.6パーセント増えているという四半期となりました。
業績ハイライトの3番目です。
先ほど申しましたとおり、広告関係は、検索連動広告の減収率が2桁減が連続したのが1桁前半にまで戻すことができました。ディスプレイも16パーセントの成長です。
eコマースのほうはアスクルの連結もあって増収と。さらにショッピングの取扱高も非常に高い成長率を維持できています。しかも、その流通総額がちゃんと売上の伸びにもつながっているという四半期となりました。
これに連動してクレジットカードのほうも会員・取扱高ともに順調に増えております。
売上高・売上高構成比
まず売上高のほうをグラフにしてみたものがこちらになります。順調に連続で増収を続けております。
売上高の構成比がこちらのチャートになります。
一番下の濃い赤いものがマーケティングソリューション事業でございまして、これがいわゆる広告の事業になります。これが約5パーセント伸びて696億円になりました。
コンシューマの事業は、アスクルの連結などの影響もありまして、約2倍ということで非常に大きな伸びになっております。
(スライド)一番上の「その他」163億円というやつなんですけど、こちらは決済とか、いわゆるクレジットカード事業、Fin-Tech関係の事業をまとめております。こちらのほうも堅調に伸びていて、8パーセントの伸びとなっております。
営業利益・調整後営業利益
営業利益の過去の伸びをグラフにしたものがこちらになります。
15年の第2四半期は、アスクルの連結に伴う一時益が乗っかっているので、かなりでこぼこの激しいグラフになっていますが、これを除いて事業の本業の部分で見た場合のグラフがこのようになります。
順調に伸びていて、去年と比べると約15パーセントほど利益を伸ばすことができました。
EBITDA・調整後EBITDA
こちらがEBITDAの伸びになります。
こちらも調整後のほうだと順調に数字が伸びてきております。
昨年はアスクルのもありましたし、なによりもeコマースが非常に伸び始めていた時期と。それに加えて、ヤフー全体のトラフィックをスマートフォンに変えていったり、スマートフォンのなかでもアプリにしていこうといった、大きなタイミング、節目の時でありましたので、かなり昨年は大規模な販売促進を行いました。
昨年は第2四半期95億円、約100億円使っていたのが、今四半期は65億円ということで、だいたい30パーセントぐらい販売促進を。去年よりはかなり効率化したものをやっております。
その内訳はこちらに記載してあるとおり、ショッピングで約半分、残りでヤフオク、決済、動画サービスということになっております。
これは後ほど、販売促進は約3割絞ってるんですけど、ショッピングは30パーセントの流通の成長で、オークションのほうも堅実に伸びていて、クレジットカードの獲得も非常に伸びていると。
メディアの利用のほうもアプリも中心に順調に伸びていますので、もちろん販売促進は削った部分のネガティブな効果もあるんですけど、全体で見れば非常に効率のよい販売促進で事業を伸ばすようなことが今できているのではないかと思っております。
親会社の所有者に帰属する四半期利益
親会社の所有者に帰属する四半期利益のほうですが、336億円ということです。
こちらも先ほどの去年の特殊一過性の要因を入れると、このようなグラフになりますが、除いて純粋な事業のところだけで見るとこういった順調な右肩上がりになっております。
以上がヤフー全体の今期の業績でありました。
基幹事業と先行投資事業
ヤフージャパンは今、基幹事業と先行投資事業の2つに分けて事業を運営しております。
基幹事業というのは、広告事業とオークションの事業と会員サービス事業でして、すでにビジネスモデルとして利益が出ている事業であります。
先行投資事業というのがショッピングとカードの事業です。こちらのほうはまだ先行投資中ですのでまだ利益は出てないんだけど、しっかり先行投資をして将来に向けて収益化していこうという、先を見据えた事業であります。
まずは基幹事業の状況について、みなさまに少しご紹介したいと思います。
広告関連売上高
基幹事業の1つ目の広告関連の事業でありますが、売上高が増えて、約6パーセントの伸びを達成することができました。
やはりYDN(ヤフーディスプレイアドネットワーク)を中心とした、ディスプレイ、インフィードが非常に引き続き順調に伸びているというのに加えて、検索連動広告の減速幅がかなり改善したというのが大きいです。
その検索連動広告のこの6四半期のYear on Yearの伸びを書いているわけでございますが、この3四半期連続で−10.4パーセント、−12.7パーセント、−10.9パーセントというかたちで大きく減速してたのが、今期はUXを改善したり、プロダクトを改善したり、営業をより積極的に体制も見直して強化していった結果、かなり大幅に改善することができました。
こういったこともありまして、スマートフォン全体の広告売上比率が、今、順調に伸びております。
ヤフージャパンのトラフィックそのものはすでに60パーセント近くがスマートフォンになっているという話を何度かしておりますけど、スマートフォンのトラフィックに合わせて、ちゃんとスマートフォンで広告の収益があがるというところまで、エコシステムが作れてきているのではないかと思います。
オークション関連事業
次にオークション関係の事業であります。こちら、オークションそのものの流通総額は引き続き堅調な推移と思っております。
ただ、一部のオリンピックの要因がむしろショッピング、オークションともにネガティブなほうに振れています。オリンピックの期間中、あんまりお買い物をせずに日本の選手を応援するという動きになっていたようですので。
それもありまして、オークションは堅調に伸びているんですけど、伸び率に関していうと、前よりもちょっと悪くなっています。
ただ、新しい取り組みとしましては、誰もが簡単に出品できるようにするというのを加えたのにくわえて、新たにチケットのサービスをこれから強化していこうと思っております。
ヤフーとエイベックス・ライブ・クリエイティブさんとで、ジョイントベンチャーで「パスレボ」という会社を作りました。
エイベックス・ライブ・クリエイティブは、エイベックス系のアーティストに限らず、それ以外の日本のトップアーティストのコンサートや野外フェスティバルを手がけていらっしゃる、非常に有数の、ナンバーワンのライブを生み出すことのできるチームであります。
彼らと一緒になることによって、オフィシャルなチケットが、インターネットでもっと手軽に手に入るようにするという事業を、ヤフーチケットと新たに始めることになります。
こういったものを通じて、またビジネスを伸ばしていきたいと思っております。
会員サービス事業
基幹事業の3つ目の会員サービス事業でございます。
プレミアム会員はどちらかというとオフラインで、Y!モバイルに申し込むときに一緒に入ってもらうということに加えて、Yahoo!オークションとかYahoo!ショッピングといった、オンラインチャネルの獲得をやっております。
最近はこのオンラインチャネルの獲得がかなりよくなってきていまして、これまではとくにYahoo!オークションからの会員獲得が多かったんですけれども、新たにYahoo!ショッピングでもしっかり会員が獲れるようになってきていて、この2つが大きな会員獲得チャネルになっております。
そういったものに加えて、さらにコンテンツでも獲得できないかなというところで、去年はプレミアムGYAO!というものを始めましたけれども、新たに電子書籍のコミックのサービスを開始したいと思っております。
「Yahoo!ブックストア」というのは、女性利用者が半数以上いる、女性に強い電子書籍のサービス。「eBookJapan」、こちらに44パーセント出資したわけですけれども、こちらは男性に強いサービスと。
この両者の強みを持ち寄って、電子コミック市場でもっと強い立場を作っていこうと。それによって、課金会員を増やしていこうというのが狙いになります。
日本だと、AmazonのKindleさんというのが非常に強いサービスなんですけれども、このYahoo!ブックストアとeBookJapanが一緒になることによって、もちろん勝つにはまだ離れているんですけど、シェア的には背中が見えるくらいの雰囲気にはなってきていますので、ぜひこれから、電子コミック市場を伸ばしていって、トランザクション売上に限らず、課金会員なんかも増やしていきたいと思っております。
ここまでが基幹事業のご説明になります。ここからは、先行投資事業で、ショッピング事業とクレジットカード事業にふれたいと思います。
ショッピング事業
ショッピング事業は引き続き、eコマース革命を継続中でして、誰もがインターネットでモノを売れる世の中にしようというビジョンのもとで事業を続けております。
その結果、いろんな方が出展者として参加されていて、結果的に商品数もどんどん伸びていると。今は、2.3億の商品がヤフー上で売買されております。
これはヤフージャパン調べですけど、日本で一番ではないかなと思っておりまして、Yahoo!ショッピングだけで見ても、日本で一番品数の多い売り場であるというふうになってきました。これはもちろん、オークションを含めない数字です。
この商品数を伸ばすということを、eコマース革命をやるときに言いましたけれども、それにともなって、流通総額も着実に伸びていると。今季は1,000億円を突破して、1,011億円まで伸ばすことができました。
先ほどの販促費の効率化、これはショッピングに限らず全体でやっているわけですけれども、全体で見れば30パーセントほど効率化しているんですが、流通総額についてはかなりの伸びを示しているということで、非常に頑張れた四半期ではないかなと思っております。
売り場の実力というのは、商品数に加えて、コンバージョンレートとか、いろんなもので見られるわけですけれども、着実についてきてるなと言えると思います。
福岡ソフトバンクホークスのクライマックスシリーズ進出決定応援セールというのを、去年も今年もやったわけですけれども、同じようなイベントをやっても、だいたい2倍くらいの数字が出るようになっていますので、着実に売り場そのものの地力が毎年毎年ついてきているんではないかなと。
販売促進費ももちろん重要ですけど、それだけに頼らないような地力が着実についていると思っております。
ショッピング事業取扱高・広告売上高
こういった努力の結果、ショッピング事業の取扱高は、引き続き成長を維持できておりまして、EC革命・eコマースの新戦略を発動する前は、我々だけが−1.6パーセントというマイナス成長だったんですけど、そこから+13.7パーセント、+30.2パーセント、+27.8パーセントという具合に、成長率がどんどん回復して、市場平均よりもかなり上の成長できるようなモールになることができました。
今度はこの、流通総額がちゃんと売上につながるのか、利益につながるのかというのがみなさん気になる点だと思うんですけど、流通総額も伸びましたし、それにともなって広告の売上高もどんどん増えております。
流通総額の伸び以上に広告の売上も伸びていて、去年の2.2倍、広告売上高が伸びることができました。なので、商品数を増やす。流通総額を増やす。広告売上で最後売上にするといった当初のエコシステム・シナリオが今のところ順調に機能していると言えると思います。
今後はどのように伸ばすのかというと、もちろんプレミアム会員を中心として、どんどん流通を伸ばしていきますというのがありますけれども、それに加えて、プレミアム会員以外の会員基盤も使った伸ばし方にもぜひ挑戦してみたいと思っております。
これまでは、ヤフーの中にいらっしゃる、プレミアム会員だったらポイント5倍と。だからほかで買うよりもヤフーで買ったほうが圧倒的にお得ですよというオファーをして、功を奏しているわけですけれども、今度はY!モバイルの会員の人には(ポイント付与率)10パーセントですよという、新しい挑戦をしてみたいと思います。
年末商戦に先駆けて「いい買い物の日」を開催
もう1つ、第3四半期は年末商戦の時期になります。年末商戦は、毎年、毎年これまでもやってきましたけれども、去年から新たに始めたものが、11月11日、中国ではダブルイレブンと言われていますけれども、同じようなことを日本でもやろうということで始めた「いい買い物の日」というキャンペーンを今年もやりたいと思います。
これはもともと始めた時から、ヤフージャパンだけでやるというよりも、日本全体がこの11月11日を中心に、お買い物を楽しむ日にしたいという思いでやっております。
昨年は始めたばかりでしたので、参加社数は5社でございましたが、今年はかなり広がりが出てきて、39社の方が参加されるということで、どんどんこの「いい買い物の日」というのを、ヤフーでももちろん活用したいと思いますし、日本全体が買い物を楽しむような日にしていきたいと思います。
クレジットカード事業
ここからは、先行投資事業の2つ目である、クレジットカード事業についてご紹介したいと思います。
クレジットカードの有効会員数は、これも順調に伸びておりまして、去年と比べて2倍、283万人の会員数になることができました。
もちろんクレジットカードでございますので、会員が増えるだけだとコストにしかならないです。この人たちがちゃんと使ってくれるのかというのが非常に重要になりますけど、この2倍の会員数の増加に加えて、2.8倍の流通総額ということで、カードを持ってもらった人は、Yahoo!ジャパンだったり、ヤフー以外のeコマースの場だったり、オフラインのインターネットではない場所でもヤフーのカードを使うという現象が起きております。
こういったものを通じて、ポイントがたまってECが伸びるということに加えて、今後ぜひ挑戦してみたいと思うのが、このカードから生まれる重要なビッグデータを使って、ECに限らず広告とか、コンテンツの配信といった、レコメンデーションにも使えるような挑戦というのをやっていきたいと思います。
以上が第2四半期の状況と、今後の下期に向けた取り組みについてご紹介させていただきました。
成長に向けた中期的な施策
次にここから、もうちょっと長い目で見た、成長に向けた取り組みについて、少し触れたいと思っております。
日本のインターネット利用者も、かなり100パーセントに近づいてきているというふうにお思っております。そんななかで、ヤフージャパンというのは海外に進出する会社ではなく、国内の事業に集中する会社です。
どうやって国内の事業を伸ばすのかというのが、これまでの20年に加えて、次の20年で重要になってきますが、やはり売上というのは、お客様の数に加えて単価になります。
お客様の数というのは、日本の中である以上、これから急に何倍にもなることはないわけですから、今後はお客さん(1人)あたりの単価、収益を上げていくことをどんどんやっていきたいと思います。
メディアとしての集客力を先行投資事業に活用
今現在、ヤフージャパンには、大きな事業の柱としては、メディア。これはメディアでも、広告の事業。それから月額定額会員、プレミアム会員の事業。そしてショッピング、オークションといったeコマースの事業。そしてクレジットカード、Yahoo!ウォレットといったFin-Tech周りの事業という大きな4つの事業の柱があるわけですよね。
この4つすべてを使ってくださっているユーザーというのは、実はまだものすごく少ないです。やはり一番多いのがこのメディア。Yahoo!の検索だけとか、天気だけとか、ニュースだけを使ってくださってる方が非常に多いです。
これからぜひやりたいのは、メディアだけを使ってる人が一番多いわけですけど、この人たちに、ぜひプレミアム会員とかeコマースとかクレジットカードも合わせて、全部4つ使ってもらえるようなお客さんに育てていきたいと思っております。
今、社内的には1つだけの事業セグメントを使っているお客さまを「ユーザー」と呼んでおります。今Yahoo!で一番多いのはこの「ユーザー」と言われるセグメントのお客さんです。
そして、2つ使ってくれてるお客さんを「カスタマー」と呼ぼうと、仮に今ラベリングをしていて。3つ4つ使ってくれるお客さんのことを「ファン」と呼ぼうと。
ですので、ユーザーをカスタマーにして、最終的にカスタマーをファンに育てていこうということを今、会社のなかでは新たな挑戦としてやっております。
幸いなことに、プレミアム会員になればeコマースを始めて、eコマースを始めるとワイジェイカードとかYahoo!ウォレットを使うと。
このプレミアム会員、eコマース、カードについてはかなりシナジー、クロスで使うお客さまがかなり増えております。
今後、ヤフージャパンの大きな挑戦としては、メディアのサービスからこのプレミアム会員、eコマース、クレジットカードという、この1つの大陸に橋を作ることができるのかということが大きな挑戦なのかなと思っております。
今期から検索結果なんかを使ったりして、徐々に挑戦をやっておりますけど、これは今まで20年間なにもしなかったわけじゃなくて、何度かやりながらもトライ&エラーをやってますので。
すぐに成果が出ないかもしれませんが、長い目で見れば、このメディアサービスだけ使ってるユーザーの方をカスタマーにしファンにしていくというのが、我々にとって非常に重要になると思っております。
国内最大級の利用者数
そのユーザーの動きでございますが、引き続き順調にスマートフォンで使うお客さまの数がどんどん増えております。
Daily UB(デイリーユニークブラウザー)で見ると、スマートフォンの利用者が16.3パーセント増えて、6,000万Daily UBを突破というぐらいまで伸ばすことができました。
とくにいろんなサービスがまんべんなく伸びているんですけど、とくにこれから成長のことを考えるとやはりニュースがものすごい需要になるだろうと思っております。
このYahoo!ニュースというのを今、ずっと力入れてたわけですけれど、最近とくにスマートフォン版のYahoo!ニュースに力を入れてやっております。
こちらはYahoo!ニュースとそれから他社さんの利用時間ですね。
接触そのものだと……結局ところ我々大事にしてるのはニュースをちゃんと読んでるかどうかと。ニュースを読んでそこの広告、読まないかぎり広告のクリックはされませんので、ちゃんとニュースを読むのかどうかというところを、見出しの接触だけに加えて、ニュースをちゃんと読んでるのかという滞在時間のところを非常に重視してるわけですけど、そちらのほうも非常に順調に、2014年4月から比べると毎年毎年伸びているというのが見て取れると思います。
利用者もどんどん増えてますけど、見出しだけ読むんじゃなくて、ちゃんと中身も読んでねと。ちゃんとニュースを理解してね、ということをこれからもやっていきたいと思います。
4月にポコッと突出して伸びているのは災害系です。災害があるとお客さまがものすごい情報ニーズが高まりますので、たくさん見るという傾向がありますので、4月だけ伸びてそのあと下がったというわけではなくって、トレンドとしては右肩上がりで今伸びている状況です。
今後もニュースを中心にどんどんメディアサービス伸ばしていくわけですけど、伸ばし方が、やはりログインのユーザーじゃないと、これからはあんまり意味ないなと思っております。
ログインしてもらわないとスマートフォンとタブレットとパソコンのお客さまが同じ人と認識できませんから、やっぱりログインで使ってくださいということをこれから強烈にどんどん推進したいと思います。
ログイン利用の促進とビッグデータの活用
それをこの数年間ログイン化というのをやっているんですけど、これは順調に推移していまして、1年前と比べると15パーセント、ログインでYahoo!を使うお客さまが増えております。
ログインするお客さまが増えれば、当然ニュースの配信、パーソナライゼーションがより精度高く利きますし、広告の配信もより精度が上がるし、長い目で見れば、ここでメディアで溜まったデータをeコマースのレコメンデーションとかにもつないでいこうという、マルチビッグデータならではの取り組みもできるのではないかという意味で、この「ログイン利用者数」が非常に重要だと思っております。
ちなみに月間のアクティブログインユーザー数ですので、IDだけ持っていて使わない人というのは除外されていて、ちゃんと毎月ログインしてアクセスしているかどうかで見て3,600万人いらっしゃるという数字だとご理解ください。
こうしたかたちで、ニュースを中心としたメディアのトラフィックを伸ばして、アクティブID数もどんどん増やしています。その結果、スマートフォンでの広告売上について切り出したものがこちらになります。
先ほど、約50パーセントの広告売上がスマートフォンになってきましたという話をしましたが、それぞれYDN、ディスプレイ系とそれから検索連動広告の伸びであります。
スマートフォンに限って言えば、検索連動広告は15パーセントの伸びと、そして、YDNに関しては36パーセントの伸びということで、PCからスマートフォンシフトしていこうと。
そしてスマートフォンシフトでニュースを中心に伸ばしていこうと。さらにどうせ見るんだったらログインユーザーにしていこうと。
ログインユーザーになればなるほど単価なんかも上がっていくので、広告も伸びるであろうといった仮説・シナリオがあったわけでけど、そのシナリオ通りに順調にやれているかなと思っているところです。
有料会員数の増加を目指す
もう1つ重要な会員基盤が、IDに加えて、単ある無料のIDではなく、毎月何らかのお金を払ってくださっている月額有料会員を増やしていこうというのが1つ重要な柱になっております。
これらも順調に伸びまして、去年は約1,599万人の月間の有料会員だったんですけど、今期は1,737万人、1,700万人を突破というところで、とくにプレミアム会員については約9パーセント伸ばすことができました。
このプレミアム会員というのは、ヤフーにとっても、先ほどお話をしたファンを増やすという戦略においてもど真ん中にくる非常に重要な会員セグメントで、プレミアム会員ならばeコマースを楽しんでもらって、eコマースをやればフィンテックも参加してもらえる、とかなり見えてきてますので、会員を増やすということはなんだかんだ重要で、今後も伸ばしていきたいど真ん中の事業であります。
そのプレミアム会員が増えたことによって、eコマースやショッピングがどうなっているのかということでございますけれども、プレミアム会員が1年前と比べて約9パーセント増えているんですが、プレミアム会員におけるショッピングの利用率はちゃんと維持できていると。
つまり、新しいヤフーショッピングを使うユーザー様をちゃんと獲得できているということになります。ただやはりこのグレーの「利用なし」と書いてあるところは、まだかなり伸びしろとしてあります。
ここはヤフーショッピングを体験してもらうといった取り組みをやっているんですけれども、ここは引き続きトライ&エラーやりながら、この赤い「利用あり」の面積が増えていくようにやってみたいと思います。
プレミアム会員のヤフーショッピング利用が順調に伸びているというこということで、利用者数だけではなくて取扱高の方も着々とプレミアム会員比率が上がっています。
前年同四半期と比べると、8パーセントポイントほど増えておりまして、今、ヤフーショッピングの約60パーセントの方がプレミアム会員が楽しんでもらえているといったショッピング利用になっています。
インターネットですので、お客様からすると、いろんなサイトでお買い物をする自由があります。
ヤフージャパンで買い物をするシンプルな理由
では、「なぜ数あるサイトの中でヤフージャパンで買い物をするの?」という理由づくりに腐心してきたわけでございますが、1つシンプルに言えるようになったのは、「日本で一番品物のある会社です」と。「ほかに品物がなくても、ヤフーに来れば品物があります」と言えるようになったと。
そしてもう1つは、「プレミアム会員の方は他のサイトよりもお得です」「ほかよりも安く買えます」と。品数が多くて安いとシンプルな理由が作れていますので、これはこれからもどんどん伸ばしていきたい点であります。
ショッピング関連取扱高
ショッピング関連取扱高は、全部で言うと、ショッピング事業とトラベル事業と大きな事業の塊が2つあります。
先ほど、ヤフーショッピングが堅調に伸びているという話をしましたが、トラベルのほうも非常に順調に伸びておりまして、とくに「一休」をM&Aで連携したことによって、1年前と比べて、トラベルの伸びが96.5パーセント伸びております。
ショッピング関連取扱高の中でも、トラベルの比率がかなり目立つくらいの比率になって参りました。
以上が今後の中期的な成長のイメージです。
ヤフーの強みを活かしたマルチサービスを展開
最後に今後の伸ばし方のイメージではございますが、ヤフージャパンの大きな事業で言うと、マーケティングソリューション、広告の事業、そしてコンシューマーの事業、それからその他、これ決済、金融、フィンテック周りの事業であります。
この縦に貫く形で会員の事業というのがあるとイメージしていただければと思うんですけれども、インターネットの広告の事業もまだまだ伸びしろがありますし、eコマースの事業もまだまだ伸びしろがあると。
フィンテックにいたっては、まだ始まったばかりということで、非常に伸びしろのある事業立地で事業ができているということは、我々にとって非常にいい風ではないかと思います。
今後はマーケティングソリューション、コンシューマー、フィンテック全部伸ばしていくつもりですけれども、全部伸ばしていきつつも、とくにコンシューマー、そして決済・金融のところを広告以上の速度で伸ばしていきたいなと。
そして最終的には、このバランスのとれたで事業ポートフォリオにしていくと。そしても1一つ大事なことは、マーケティングだけじゃなく、コンシューマーとか、フィンテックから得られるデータを使って、マーケティングソリューション事業にもう1回反映させていくというような、シェアが強いヤフーにしかできないマルチサービスで、独自のエコシステムを作って事業をしていきたいと思っています。