統合報告書解説動画
日産東京販売HD、AI・DX活用で自動車販売・整備の「現場力」を強化 グループ全体のシステム基盤を再設計し、新たな事業機会の創出へ
自己紹介

長谷川直哉氏:みなさま、こんにちは。法政大学の長谷川直哉です。本日は、日産東京販売ホールディングスが9月末に発行した「統合報告書2026」について、そのポイントをご紹介します。
統合報告書は、単に会社の情報を開示するための冊子ではありません。日産東京販売ホールディングスがどのような考え方で事業を行い、社会の変化やさまざまな課題に向き合いながら、将来に向けてどのような価値を生み出そうとしているのかを示すものです。
そうした会社の現在と未来を、財務・非財務の両面からステークホルダーのみなさまにお伝えする、大切なコミュニケーションツールだと考えています。そして、統合報告書を通じて当社の取り組みを一方的にお伝えするだけでなく、みなさまからいただいたご意見やご期待を今後の経営に活かしていくことも重要です。
今回の「統合報告書2026」には、企業理念を起点に、当社がこれからどのように持続的な成長と企業価値の向上を実現しようとしているのか、その考え方と具体的な取り組みがまとめられています。この動画では、そのような視点から、特にみなさまにご覧いただきたいポイントを私なりにご紹介したいと思います。
はじめに、簡単に自己紹介をします。私は法政大学人間環境学部の教授を務めており、主にサステナビリティ経営、ESG投資、コーポレートガバナンスを専門に研究しています。また、日産東京販売ホールディングスでは、社外取締役に加え、サステナビリティ委員会の委員長も務めています。
社外取締役という立場から、経営を客観的に見ることや、企業の持続的な成長と社会への貢献をどのように両立させていくか、という視点を大切にしています。このような視点を交えながら、本日は「統合報告書2026」を読み解いていきたいと考えています。
統合報告書発行のねらい

まず、統合報告書を発行するねらいについてですが、大きく3つ挙げられます。1つ目は、当社が持続的な成長に向けてどのような取り組みを進めているのか、また、事業環境の変化やさまざまな課題にどのように向き合っているのかを、ステークホルダーのみなさまにご理解いただくことです。
2つ目は、報告書を一方的な情報発信で終わらせるのではなく、みなさまからいただいたご意見やご期待を、今後の経営に反映していくことです。
そして3つ目は、当社の企業理念を起点として、企業価値の向上をどのように目指しているかをご理解いただくことです。
統合報告書は、会社の現在地を示すだけでなく、ステークホルダーのみなさまとの対話につなげていくための重要なツールだと考えています。
当社の概要

統合報告書の内容に入る前に、当社グループの概要をご紹介します。日産東京販売ホールディングスは1942年に設立され、80年以上の歴史を持つ会社です。現在は東証スタンダード市場に上場しており、グループ全体で約3,000名の従業員が働いています。
事業の中心は、自動車ディーラーをはじめとする自動車関連事業です。持株会社である日産東京販売ホールディングスのもと、連結・非連結を合わせて8社のグループ会社で構成されています。
長い歴史の中で培ってきた顧客基盤や地域とのつながり、そして現場の力を活かしながら、モビリティを軸とした事業を展開していることが、当社グループの特徴です。
モビリティ事業を中心としたグループ

スライドは、当社グループの事業構成を示したものです。中核となるのは、主に日産ブランドの新車・中古車販売、整備、自動車保険などを手掛ける「日産東京販売」です。
さらに、「エヌティオートサービス」による納車整備や車検・板金、「車検館」によるマルチブランドの車検・整備、「エヌティ陸送」による車両輸送や登録代行、「日産ピーズフィールドクラフト」によるキャンピングカー販売、「葵交通」のタクシー事業など、多様なモビリティ事業を展開しています。
大切なのは、これらを単独の事業として捉えるのではなく、それぞれの強みをつなぎ、グループ内のシナジーを高めていくことです。
当社グループが目指す総合モビリティ企業としての方向性は、自動車販売にとどまらず、お客さまの多様なモビリティニーズに応えていく姿勢に表れています。
菊池 毅彦 代表取締役社長メッセージ

続いて、統合報告書の中で特に重要なコンテンツである、社長メッセージをご紹介します。今回の菊池社長のメッセージで私が注目したのは、当社グループが長年培ってきた強みである「顧客基盤」と「現場力」を明確に打ち出している点です。
モビリティを取り巻く環境が大きく変化する中、菊池社長が重視しているのが、時代に合わせて仕事のやり方そのものを進化させることです。
そのために、多様な人財が能力を発揮できる環境を整え、DX戦略を推進し、AIなどのデジタル技術を活用することで、当社の強みである「現場力」をさらに高めていくという事業戦略を掲げています。
そして何より、こうした変革を担うのは一人ひとりの社員です。社員が自ら考え、チャレンジし、行動することが重要です。
その積み重ねが会社全体の変革につながり、持続的な成長を生み出していきます。私はそこに、今回の社長メッセージで菊池社長が伝えたい強い思いが表れていると感じています。
価値創造プロセス

その考え方を1枚の図で表したものが、「価値創造プロセス」です。当社グループは、企業理念を共通の指針として事業活動を進めています。そして、モビリティを取り巻く変化を捉えながら、自社の強みや経営資源を活かし、持続的な企業価値向上につなげていく全体像を示しているのが、このスライドの図です。
ここで重要なのは、企業価値を高めるための事業戦略と、成長を支えるマテリアリティ、つまり重要課題を別々に考えないことです。
例えば、人的資本への投資やサステナビリティへの取り組みは、それ自体が目的ではなく、長期的に競争力や収益力を支える基盤となります。
「稼ぐ力」とそれを支える「基盤」を1つのストーリーとしてつなぎ、企業価値向上の道筋をわかりやすく示していくことが、統合報告書において求められる重要なポイントだと考えています。
統合報告書2026のポイント

ここからは、「統合報告書2026」の中で特に注目していただきたい3つのポイントをご紹介します。1つ目は、「グループ会社の取り組み」です。今回は、新車・中古車販売、整備、車両輸送など、各事業の視点からグループ会社の取り組みについてご紹介しています。
2つ目は、「DX推進の考え方」です。当社の強みである「現場力」を、AIをはじめとする最新のデジタル技術を活用してどのように向上させるのか、その方向性を示しています。
そして3つ目は、「人的資本の充実」です。5人の女性店長による座談会を通じて、多様な人財が活躍できる職場づくりや、多様な視点が店舗の価値をどのように高めていくのかを紹介しています。
これらは一見別々のテーマのように見えますが、いずれも当社グループの強みをさらに高め、将来の成長へとつなげていく取り組みです。
グループ会社の取り組み ~各事業の視点で事業会社の取り組みを紹介

まず、「グループ会社の取り組み」です。今回の報告書では、グループを構成する会社を単に会社別に紹介するのではなく、「新車・中古車販売」「整備」「その他モビリティ」といった事業の視点から紹介しています。
例えば、「日産東京販売」がお客さまとの接点を担い、「エヌティオートサービス」が納車整備や車検を支え、「エヌティ陸送」が車両輸送や登録代行を担います。それぞれの機能がつながることで、お客さまに提供できる価値の幅が広がります。
私は、グループ経営で重要なのは、会社の数そのものではなく、各会社が持つ専門性をどのように組み合わせて価値を生み出すかだと考えています。
今回の誌面では、各事業がグループ全体の価値創造の中でどのような役割を担っているのかが、これまで以上にイメージしやすくなっています。総合モビリティ企業としての当社グループを理解する上で、ぜひご覧いただきたいページです。
DX推進の考え方 ~強みとする「現場力」を最新のデジタル技術で増幅

2つ目は、「DX推進の考え方」です。今回の統合報告書では、チーフデジタル&インフォメーションオフィサーのメッセージとして、「当社の最大の強みである『現場力』を、AIと最新のデジタル技術で増幅させ、最大化する」という考え方が示されています。
ここでポイントとなるのは、デジタル技術の導入そのものが目的ではないという点です。あくまでも、当社がこれまで培ってきた「現場力」をさらに高めるための手段としてDXを位置づけています。また、DXを2つの時間軸で捉えている点にも注目していただきたいと思います。
短期的には、日々の課題を現場で素早く解決し、事業環境の変化に柔軟に対応できる機動力を高めていくことを目指しています。一方、中長期の視点では、グループ全体のシステム基盤をAI時代に適したかたちへと再設計していくことを目指しています。この双方を進めることで、業務の効率化だけでなく、変化に強い企業体質をつくり、新しい事業機会の創出にもつなげていきます。
DXを企業価値向上のための経営テーマとして捉えていることが、このスライドからご理解いただけると思います。
人的資本の充実 ~多様な視点が高める店舗の価値

3つ目は、「人的資本の充実」です。今回は5人の女性店長による座談会を掲載し、「多様な視点が高める店舗の価値」をテーマに、それぞれの経験やマネジメントに対する考え方を紹介しています。
人的資本というと、採用人数や研修制度、女性管理職比率といった数字に目が向きがちです。しかし、本当に重要なのは、多様な人財が実際の職場で力を発揮し、その多様性が組織の成果や価値につながっているかどうかという点です。
店舗は、お客さまと直接向き合う当社グループの最前線です。そこで異なる経験や視点を持つ人財がマネジメントを担うことは、働きやすい職場づくりだけでなく、お客さまへのサービスや店舗運営にも新たな気づきをもたらします。
5人の女性店長の言葉を通じて、人的資本の充実が単なる制度の整備にとどまらず、現場の力を底上げし、企業価値を高める取り組みであることを感じていただける内容になっています。
財務・資本戦略

続いて、財務・資本戦略についてお話しします。今回の統合報告書では、「当社グループならではの強みと収益構造をわかりやすくお伝えしながら、明確な根拠を伴った成長ストーリーを提示していく」という方針が打ち出されています。
統合報告書において財務情報はもちろん重要ですが、数字を並べるだけでは、将来の企業価値がどのように高まっていくのかは十分に伝わりません。大切なのは、当社がどのような強みを持ち、その強みをどの事業で活かし、どのような投資を行い、それが将来どのような収益につながるのかを、一連のストーリーとして説明することです。
先ほどご紹介したグループ各社の連携、DXによる「現場力」の底上げ、人的資本の充実といった取り組みも、最終的には持続的な成長や企業価値の向上につなげていく必要があります。財務と非財務を結びつけ、成長の根拠をより具体的に示していくことは、今後の情報開示においても非常に重要だと考えています。
社外取締役メッセージ

そして今回は、私自身も統合報告書にメッセージを寄稿しました。社外取締役に求められる役割の1つは、社内とは異なる視点から経営を見つめ、企業価値の持続的な向上に向けて必要な問いを投げかけていくことだと考えています。
当社には、長年培ってきた顧客基盤や「現場力」という大きな強みがあります。一方で、モビリティの変化、デジタル技術の進展、人財の多様化など、経営を取り巻く環境は大きく変化しています。
だからこそ、これまでの強みを将来の成長にどう結びつけるのか、また、サステナビリティや人的資本といった取り組みをどのように「稼ぐ力」へつなげていくのかという視点が重要になります。
私は社外取締役として、社内のみなさまと率直な意見交換を重ねながら、当社グループが持つ可能性を企業価値の向上につなげていけるよう、引き続き役割を果たしていきたいと考えています。詳しい考え方については、ぜひ統合報告書をお読みください。
統合報告書をステークホルダーのみなさまとの大切なコミュニケーションツールに

統合報告書に関する解説は以上です。最後になりますが、この統合報告書が日産東京販売ホールディングスに対する理解の一助となり、みなさまとの対話につながるきっかけになれば幸いです。
ぜひ、当社の「統合報告書2026」のサイトにアクセスし、実際の報告書をご覧いただければと思います。今後とも当社グループを引き続きご愛顧賜りますようお願い申し上げます。
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