2027年4月期第1四半期決算説明
TOブックス、電子・紙書籍、アニメのメディアミックスが伸長 前年比で売上高+32.6%・営業利益+33.4%
財務ハイライト

川添永津子氏(以下、川添):司会進行の川添です。まずは財務ハイライトについてご説明します。
『本好きの下剋上』などのTVアニメ化タイトルによる波及効果や電子書籍の売上増加により、業績は好調に推移しました。売上高は前年同期比プラス32.6パーセント、営業利益は前年同期比プラス33.4パーセントで着地しました。
内訳は、電子書籍が前年同期比プラス15.5パーセント、紙書籍が前年同期比プラス24.2パーセント、その他が前年同期比プラス205.9パーセントとなっています。こちらの詳細についてご説明をお願いします。
本田武市氏(以下、本田):株式会社TOブックス代表取締役の本田です。第1四半期は年の最初の四半期ということで、良いスタートを切れたのではないかと思います。
現状、当社は1つのセグメント内で、電子書籍、紙書籍、その他の3カテゴリに分けて業績をご説明しています。その中で、各カテゴリが2桁から3桁の成長を遂げたことは非常に大きな成果だと考えています。
電子書籍と紙書籍についてはヘッドラインのとおり、予定以上に好調に推移しました。その他はアニメに関連する売上が大きな割合を占めており、こちらは一定の範囲で予定どおりという評価です。
当社はIP企業としての活動を継続しており、この第1四半期の結果が、今後のさらなる成長に向けた重要な足がかりとなったと認識しています。
刊行タイトルの積み上がりを背景に、業績は中長期的な拡大基調で推移

川添:刊行タイトルの積み上がりを背景に、業績は中長期的な拡大基調で推移しています。4月に放送を開始したTVアニメ『本好きの下剋上』も引き続き当期業績に貢献していますが、その点はいかがでしょうか?
本田:しっかりと刊行タイトルが積み上がってきた結果がこの第1四半期に反映されており、前年同期比で着実な伸びを示しています。
当社のコミックスについては、1タイトルにつき年間で2冊発行されるケースが非常に多いという特徴があります。上期と下期で発行されるタイトルが一定程度に固まるため、現状のスキームに順応するかたちで積み上がっていきます。
業績にはそのような状況が反映されますので、第1四半期の業績を前年同期と比較することは非常に重要なポイントになると考えています。
先ほどお伝えしたとおり、当社のコミックスは1タイトルにつき年間2冊発行されています。3冊や4冊への増加を目指す場合は週刊連載のような形式が必要ですので、現状で2冊というペースは非常に良好です。このようなバックボーンを踏まえると、今お話しした視点で見ることが適切だと考えています。
「本好きの下剋上」等のアニメ関連売上が寄与し、「その他」は前年同期比+205.9%と大幅伸長

川添:『本好きの下剋上』などのアニメ関連売上が寄与し、その他は前年同期比プラス205.9パーセントと大幅に伸びています。また、電子書籍や紙書籍も前年同期を上回り、出版とメディアミックスの両方で売上が拡大しました。このあたりについての見解はいかがでしょうか?
本田:スライド右下の売上高構成比では、その他が20パーセントとなっています。この部分については、アニメ制作などアニメ関連事業が第1四半期で順調に伸びた結果です。
しかしながら、金額としてはまだ7億円に満たない状況です。アニメや他のビジネスも含め、こうしたメディアミックスビジネス全体で考えると、依然として非常に小さな数字だと認識しています。ここからどこまで伸ばせるかが重要です。
編集体制の拡充を背景に、主要IP数は増加基調

川添:IP数についてです。編集体制の拡充を背景に、主要IP数は増加傾向にあります。また、主要IPあたりの売上高は、メディアミックス展開により高水準を維持しています。
アニメ関連売上の拡大に伴い製作委員会への出資金の償却費が増加し、売上原価は前年同期比で増加

川添:費用構造についてです。アニメ関連売上の拡大に伴って製作委員会への出資金に対する償却費が増加したため、売上原価は前年同期比で増加しました。一方で、営業利益率は前年同期比で同水準を維持しています。こちらについてはいかがでしょうか?
本田:このヘッドラインの文脈でよく語られるのは、「アニメの売上が伸びて出資金が増加すると、償却費用も増えますが、これは成長投資となるため利益率もしくは利益額が下がります」ということです。
しかし結果としてそのような文脈はなく、しっかりと現在も業績を伸ばしています。それだけ計画的に、アニメもしくはそれ以外のメディアミックスへの投資ができた結果だと思っています。
あらためて原価構造の中でお伝えしておくポイントとして、販売手数料は特に電子書籍の売上に連動する部分です。当社の電子書籍の売上はネット売上ではなくグロス売上で計上しているため、販売手数料は電子書籍の売上が伸びれば一定程度伸びていきます。
なにかしら原価改善努力などが発生するものではなく、あくまで売上に紐づく原価ということでご理解ください。
一方で、原価改善努力が発生するのは売上原価となります。こちらに先ほどお話しした出資金の償却などが含まれるため高く伸びていますが、この伸びに蓋をするような感じで、しっかりと利益率の水準を維持できました。
第1四半期の業績に貢献した主要IP

川添:第1四半期の業績に貢献した主要IPについて見ていきたいと思います。新刊発売やアニメ展開を契機に複数のIPが伸長し、第1四半期の業績に大きく貢献しているとのことですが、この点について詳しくご説明いただけますか?
本田:前期末の4月から『本好きの下剋上』が放送中で、今期9月まで放送が続きます。そして、7月からは『ヒロイン?聖女?いいえ、オールワークスメイドです(誇)!』の放送も開始されており、現状で2タイトルが放送中となっています。
アニメ放送中のタイトルを中心に、電子書籍や紙書籍を含めて売上を着実に伸ばしてきました。また、『本好きの下剋上』に関しては、この後ご説明しますが、ポップアップショップを中心としたグッズの売上も好調に推移しています。
主要IPの売上構成比として、出版以外の部分も非常に業績に貢献するタイミングに入ったと考えています。
「本好きの下剋上」展開に関するこれまでのトピックス

川添:『本好きの下剋上』のTV放送が始まってからしばらく経ちましたが、社長の実感としてはいかがでしょうか? 多くの方に知られてきたとお感じになっていますか?
本田:さまざまな場面で「『本好きの下剋上』のアニメを見ました」というお声を聞きます。スライドにも記載のとおり、8月にはミュージカルも開催されました。観覧されたお客さまからメッセージをいただくこともあり、若い方からご年配の方まで幅広い年代に認知が広がってきたという印象を受けています。
ミュージカル『本好きの下剋上』の東京公演は終了しましたが、9月19日と20日には大阪公演が予定されており、東京公演の配信もご覧いただけます。まだご覧になっていない方や興味のある方は、ぜひご視聴ください。
ポップアップショップは、「TSUTAYA POP UP SHOP」の大阪、京都、東京のIP書店で展開を継続中です。さらに、当社が入居している渋谷サクラステージ3階にある定期開催型POP-UP STORE「TO POP-UP」では、『本好きの下剋上』だけでなく、人気タイトルのグッズ展開を中心としたポップアップコーナーを設けています。
また、当社のIPだけでなく他社のIPに関しても門戸を開いており、昨日まではポルノグラフィティのイベントと連動した展開を「TO POP-UP」にて開催していました。
このように、当社はさまざまな事業を手がける中で、新しいIPの未来や当社が示す未来を少しずつお見せできていると感じています。
2027年4月期通期業績予想

川添:続いて、2027年4月期の通期業績予想についてご説明します。第1四半期は、売上高および各段階利益が予算比で好調に推移しました。
本田:業績予想に関しては、開示からの変更は現段階ではありません。ただし、進捗としては昨年を上回るペースで進められていると考えています。
上方修正の基準については、売上高で10パーセント、営業利益で30パーセントという水準が東証から示されています。当社の場合、営業利益で6億円から7億円程度の上振れが必要となり、この基準を満たさない限り上方修正の判断には至りません。
残りの3四半期でこの基準を達成できるよう、しっかりと取り組んでいきたいと思います。
売上高の押し上げ効果の高かったIPと、今後アニメ化を予定しているIP展開

川添:売上高の押し上げ効果が大きかったIPと、今後アニメ化を予定しているIP展開についてです。
シリーズ累計1,400万部を突破した『本好きの下剋上』に加え、2027年4月期から2028年4月期にかけて、その他タイトルのアニメ化によってさらなる収益向上が期待されます。今後の予定についてお聞かせください。
本田:今後のアニメ化タイトルとして期待しているのは、『欠けた月のメルセデス』と『ゲーム世界転生〈ダン活〉』です。
これらは来年1月から放送予定で準備を進めています。さらに現時点で見えている範囲では、来年度以降も6タイトルのアニメ化が予定されています。
なお、こちらで開示しているアニメ化タイトルは自社IPに基づくものです。他社IPのアニメ化タイトルも一定程度見込まれる部分はありますが、それらは含まれておらず、あくまで自社IPのアニメ化タイトルのご説明であるとご理解ください。
自社IPに関する主な情報解禁

川添:自社IPについては、TVアニメ化や実写映画化など、新たなメディア展開を順次情報解禁していきます。今後の放送・公開に向けて、IPの価値最大化につながる展開を着実に進めていく予定です。
本田:前段でご説明したとおり、前回の決算説明会ではまだ情報解禁していなかった3つのアニメ化タイトルのうち、2つが2027年1月から放送される予定で、その放送予定も解禁しました。
スライド右端の実写映画について、当社は比較的初期の段階から劇場配給を手がけてきました。一時的にその取り組みが止まっていた時期もありましたが、昨年からしっかり再開しています。
『はじまりのさよなら』は当社が劇場配給を手がける作品で、11月20日から全国の劇場で公開されます。また、大変うれしいことに、劇場配給作品として来月に開催予定のアジア最大の映画祭「釜山国際映画祭」の招待作品に選ばれました。
日本からは『はじまりのさよなら』を含む10タイトルが選出されており、そのほとんどが著名な作品である中、当社の作品が選ばれたことは非常に光栄です。この作品が評価されているのは、すばらしいことだと考えています。
「釜山国際映画祭」は少し変わった映画祭です。「カンヌ国際映画祭」ではコンペティション部門と新人賞部門でエントリーが分かれており、コンペティション部門がパルムドール、新人賞部門がカメラドールと呼ばれます。かつて河瀬直美さんなどがカメラドールを受賞しています。
一方、「釜山国際映画祭」ではそのような仕分けがないため、招待作品の中でこの『はじまりのさよなら』が1位になるチャンスがあります。すばらしい結果が得られることを期待しています。
アニメ化のIPは皆様もご存じだと思いますので、せっかくの機会ということで、アニメ化以外のIPについてしっかりとお話ししました。
今後の自社IP展開カレンダー

川添:今後の自社IP展開カレンダーについてです。複数のIPにおいて、適切なメディアミックス展開を予定しています。
本田:来年1月から『欠けた月のメルセデス』と『ゲーム世界転生〈ダン活〉』のアニメ放送がスタートすることをお伝えしましたが、2月には『死にたがりの完全犯罪と部屋に降る七時前の雨』の舞台化が予定されています。こちらも一定規模以上で展開する作品となります。
さらに、『乙女ゲームのヒロインで最強サバイバル』『恋した人は、妹の代わりに死んでくれと言った。』『最弱テイマーはゴミ拾いの旅を始めました。』の第2期と、引き続き作品が展開されていきますのでご期待ください。
株主還元・配当性向

川添:株主還元および配当性向について見ていきます。前期では上場後初の配当を実施しました。この点についてご説明をお願いします。
鳥海裕喜氏(以下、鳥海):取締役コーポレート本部長の鳥海です。前回の第4四半期決算発表時に配当方針を発表しました。この四半期も再掲していますが、前回からの変更はありません。配当金は1株あたり76円、配当性向は20.6パーセントを見込んでいます。
今後も成長投資とのバランスを見ながら、中長期的に配当性向を上げていく意向です。
株主優待制度を導入

川添:さらに今回、株主優待制度の導入を発表されました。こちらについてもお話しいただけますか?
鳥海:たくさんのお声をいただいていた中で、第1四半期の業績および年度の着地見込みを踏まえ、新たな株主還元施策として株主優待制度を導入しました。
当社をより身近に感じていただける施策として、人気タイトル『本好きの下剋上』の株主優待限定描き下ろしオリジナルデザインQUOカードを贈呈することを決定しました。株式の保有数に応じて、3,000円分から最大2万5,000円分まで配布します。
引き続き、配当および株主優待の両面から株主の皆様への還元を拡充していく方針です。
川添:QUOカードは椎名優先生による描き下ろしオリジナルデザインということです。ぜひご期待ください。
成長戦略

川添:成長戦略についてです。こちらについては後ほど資料をご覧ください。
質疑応答:前期の好調が継続するかどうかについて

川添:「2026年4月期は売上・利益ともに大きく伸長しましたが、2027年4月期第1四半期の進捗を踏まえて、前期の好調は一過性ではなく継続的な成長トレンドと見てよいのでしょうか?」というご質問です。
本田:当初から、当社はしっかりと資金を投入しながら成長していくことをお伝えしています。このようなご質問をいただくということは、私たちのご説明に不十分な部分があったかもしれないと感じています。
当社が成長していくことについては以前からお伝えしており、それを現状でも具体的なかたちで示すことが重要だと考えています。成長トレンドというよりは、これまでお伝えしてきたとおり「ずっと成長する」という概念でご理解いただければと思います。
質疑応答:電子書籍の伸長要因について

川添:「電子書籍販売は御社の成長を支える重要な領域だと思います。第1四半期において電子書籍の伸びは既存人気作品によるものが大きいのか、それとも、新作・準新作の立ち上がりも寄与しているのか教えてください」というご質問です。
本田:『本好きの下剋上』のほか、アニメ化タイトルも業績に寄与しています。また、主要IP数が順調に積み上がり、編集人員数も増加しています。そのため、両方の要素がしっかりと結果に結びついていると考えています。
質疑応答:アニメ化による原作小説・コミックスの販売押し上げ効果について

川添:「アニメ化によって、原作小説・コミックスの販売押し上げ効果は第1四半期時点でどの程度見えているのでしょうか?」というご質問です。
本田:『本好きの下剋上』や『ヒロイン?聖女?いいえ、オールワークスメイドです(誇)!』といったアニメ化タイトルが、出版されたコミックスや小説の売上高を押し上げています。また、『本好きの下剋上』はグッズなどの相乗効果が数字にも表れていると考えています。
質疑応答:アニメ化作品の売上貢献タイミングについて

川添:「アニメ化された作品について、放送期間中と放送後で売上貢献効果の出方に違いはありますか?」というご質問です。
本田:こちらのスライドは、紙書籍、アニメ、電子書籍の3つのカテゴリが、主にどのタイミングで売上や利益に最も貢献するかをまとめたものです。紙書籍は放送前からしっかりと展開し、放送期間中はアニメ収益が中心となります。そして、放送後も電子書籍が着実に伸びていきます。
このように、効果は限定的ではなく、放送後も収益がしっかりと続いていくという点が大きいです。
質疑応答:特定IPの依存度と売上構成について

川添:「今期の成長について、特定の大型IPへの依存度と、複数作品による分散の状況を教えてください」というご質問です。
本田:こちらは前回決算から変わっていない部分ですが、当社は特定のIPに依存せず、幅広いIPが順調に成長することで業績を伸ばしている状況があります。そのため、売上の大きな部分を構成する特定IPの比率は、年度を経るごとに低下しています。
一方で、上位タイトルの数字が伸びていないわけではなく、特に『本好きの下剋上』などの上位タイトルも順調に成長しています。このように、上位タイトルの成長に加えてそれ以外のタイトルも伸びており、これらが連動して業績をしっかりと牽引しています。
質疑応答:製作委員会への投資判断基準について

川添:「今後アニメ化作品の数を増やしていく中で、製作委員会への投資を判断する際に最も重要視している基準は何ですか?」というご質問です。
本田:かねてよりお伝えしているとおり、当社は一貫して、なんでもかんでもアニメ化することをミッションとしている会社ではありません。
IPを生み出して育てる流れの中で、アニメ化が当社のIPをさらに大きくするのに適していると判断したものを、TVアニメとしてしっかりとプロデュースする方針です。その過程で製作委員会を設立するのが、当社のプロデュースパターンです。
また、スライドにあるとおり、ライセンスというかたちで従来の出版社と同様に「アニメ化したい」というオファーをいただき、アニメ化を進めることもあります。その都度、さまざまな要因を整理しながら、IP価値を最大化するための最適解を追求しています。
ご質問に対する十分な回答にはならないかもしれませんが、特定のパターンは存在しません。ただし、当社のプロデューサーや制作陣がこれまでの経験とノウハウを活かし、しっかりと見つけ出しています。この経験とノウハウこそが当社の強みです。
質疑応答:IPOで調達した資金の使途について
川添:「IPOで調達した資金の使途を教えてください」というご質問です。
本田:従来の目論見書どおり、製作委員会への出資や投資に関わる部分にしっかりと充当し、それ以外の部分ではM&Aなど成長投資カテゴリの中で活用していきたいと考えています。この方針は従来どおり変わっていませんので、その方針のもと現在取り組んでいます。
質疑応答:編集人員の拡充および育成とKPIについて

川添:「主要IP数を増やす上で編集人員の拡充が重要ということですが、今後は人数そのものに加えて編集者1人あたりの作品関与数を高めていく方針も示されています。
未経験者の早期戦力化も含め、編集者1人あたりのIP創出力は今後どの程度改善できると考えているのでしょうか? また、それを社内ではどのようなKPIで管理されていますか?」というご質問です。
本田:当社では現在、未経験者を採用し早期戦力化する仕組みを導入しており、これが効果を発揮しています。現状には満足することなく、編集人員のよりよい育成方法や社内でのコミュニケーションの進化については日々模索を続け、必要なアップデートを実施しています。
鳥海:KPIに関しては回答を差し控えますので、ご了承ください。
質疑応答:IP数増加と価値維持の取り組みについて

川添:「主要IP数が2026年4月期の91IPまで増える一方、主要IPあたりの売上高も高水準を維持しています。IP数を増やすと、平均的なIP価値が薄まる可能性もあると思いますが、御社では主要IP数の拡大とIPあたり売上高の維持・向上をどのように両立させていくのでしょうか?」というご質問です。
本田:IPをどのように捉えるかが、本質問の趣旨に関わる部分だと思います。
IP一つひとつには独自の顔があります。同じような特徴を持つIPばかりであれば、ご質問のとおり平均的なIP価値は薄まります。しかし、IP一つひとつの特徴を捉え、それに応じた展開を作ることができれば、価値は高まっていくと考えています。
そのため、IP数の増加と編集者の増加が連動することが重要です。IPごとに適切な展開を行い、それを支えるだけの人員、つまりケアができる体制が必要となります。したがって、価値が薄まるかどうかについては、IPが同じような顔に見えるかどうかにも関係します。
さらに、大量のIPに対する管理リソースが不足する、いわゆる「羊1万匹に対して羊飼いが1人」のような状況にならないように、バランスをしっかりと取ることが非常に重要です。この点は当社でも強く関心を持ち、しっかりとグリップして対応を進めています。その結果が、現状の業績に反映されてきたと考えています。
質疑応答:業績予想に対する第1四半期の上振れ要因について

川添:「売上高、各段階利益ともに予想を上回ったとのことですが、通期計画は据え置かれています。今後もアニメ化タイトルが複数予定されている中で、第1四半期の上振れは一時的なものなのか、それとも通期でも上振れする可能性があるのか、現時点における会社計画の上振れ・下振れ要因を教えてください」というご質問です。
本田:上振れ要因としては、電子書籍の売上が好調に推移したことと、紙書籍が前年同期比で着実に成長したことが挙げられます。また、その他売上の大きな部分を占めるアニメ関連の売上も、予定どおりに進捗できました。
この3つを合算した結果、第1四半期は予算をしっかりと上回ることができたと考えています。
質疑応答:IP収益の成長見通しとアニメ製作委員会での役割について

川添:「2028年4月期にはアニメ放送予定が6IPと、2027年4月期の4IPから増える計画です。一方で、アニメ化による業績効果は作品ごとにかなり異なると思います。
アニメ本数の増加以上に製作委員会での立ち位置や権利保有範囲が収益性を左右するのではないかと思いますが、2028年4月期に向けて、その点はどのように変わっていくのでしょうか?」というご質問です。
本田:先ほど「売上構成におけるその他の売上比率は、まだ20パーセント程度である」とお話ししましたが、アニメの製作委員会における当社のポジションを上げていくことで、アニメの売上も自然と増加することになります。
第2四半期以降に関しては、8月に『本好きの下剋上』のミュージカルのほか、先ほどご紹介した『はじまりのさよなら』の配給もあります。
アニメに限らず、IPを活用した収益、つまり出版以外の収益については、今後のアニメ本数の増加と連動して拡大する見込みです。これにより、当社の業績も牽引されると考えています。その結果、製作委員会における当社の役割もさらに重要になると見ています。
質疑応答:自社IPと他社IPの位置づけについて
川添:「今回のご説明で、他社IPに対して、御社の届ける機能を活用する戦略をかなり明確にされた印象があります。現在は音響や配給など比較的限定的な関与ですが、将来的には幹事としての展開も想定されています。
他社IP事業を中長期的に自社IPに並ぶ収益源に育てる考えなのか、それとも自社の制作・流通機能の稼働率を高める補完的な事業と考えているのか、位置づけを教えてください」というご質問です。
本田:自社IPに力を入れていくことは揺るぎない前提として位置づけていますので、これをしっかりと伸ばしていきます。ただし、当社は市場に期待されている成長の規模が非常に大きいと考えています。
その部分では、他社IPやサードパーティのIPを活用することが重要です。そちらにどの程度のウエイトを割り振るかについては、それだけの価値のあるIPが当社とタッグを組めるかどうかにかかっています。相乗効果を狙える状況が整えば、取り組んでいく方針です。
なお、当社も「自社IP」と「他社IP」とご説明しているため、自社IPよりも他社IPのほうが1つの記号として捉えられやすいのかもしれませんが、他社IPやサードパーティのIPも、それぞれ個性を持っています。その個性と私たちの能力をどこまで合致させていけるかが鍵となります。
「自社IPを優先し、他社IPを優先しない」と分けるのではなく、当社はどのIPであっても分け隔てなくしっかりと向き合うことを大前提としています。
質疑応答:今後のアニメ化タイトルについて

川添:「IPポートフォリオの作品名を伏せている理由を教えてください。『本好きの下剋上』の次の核となる作品を知りたいです」というご質問です。
本田:今後のアニメ化タイトルは伏せているということではなく、情報解禁に関する取り決めやさまざまなルールが存在します。そのため、私たちの一存で情報を勝手に出すわけにはいきません。現時点では開示できる情報はないため、この点をご理解いただければと思います。
ルールを守った上で、適切なタイミングで情報を開示していく予定です。
また、『本好きの下剋上』の次の核となるIPについては、他にもアニメ化されたタイトルがあります。特に昨年放送されたTVアニメ『水属性の魔法使い』は、国内配信サイトで1位を獲得した実績があり、これらの作品がしっかりと成長しています。
なお、100万部単位を超えるものに関しては、当社のホームページにおいて累計部数を開示しています。それをご覧いただければ、『本好きの下剋上』の次に続くタイトルが皆様にはおわかりいただけるかと思います。
ぜひ当社のホームページをご覧いただき、『本好きの下剋上』に次ぐ部数のタイトルがどれかをご確認の上、気になるタイトルをお読みいただければと思います。
質疑応答:M&A戦略と北米市場での展開について

川添:「ほぼ無借金経営であり、まだ株主還元の姿勢が弱いように思います。M&Aといった大規模投資の可能性はあるのでしょうか?」というご質問です。
本田:M&Aは相手やご縁があってのものですので、私たちだけの判断でどうにかなるものではないと考えていますが、しっかりとチャレンジしていきたいという思いは持っています。
成長戦略の中で重要なポイントとしては、海外展開を挙げています。昨年の秋にTAMA STUDIOの株式を取得しましたが、北米などの展開に関してはこれからという状況です。
このような大きな市場でしっかりと足がかりを築いていく中で、それが進んでいるかどうかにかかわらず、M&Aはグローバル展開の重要なポイントになると考えています。そのため、しっかりと取り組んでいきたいと思います。
特に北米という観点では、現在は円安の影響もあります。IPOで得た資金についても触れましたが、100万ドルが1億5,000万円から1億6,000万円、数百万ドルでも10億円という規模になります。
市場から調達した金額は10数億円ほどになりますが、北米マーケットを見据えた時、さらに大きな資金で戦う必要があるという実感を抱いています。そのため、どこまで当社が対応できるかという課題はありますが、しっかりと取り組んでいく所存です。
海外のアニメファンの方々も、非常に熱狂的で盛り上がっています。そのため、さまざまなチャンスがあると感じていますが、それらのチャンスを活かすためには非常に大きな資金が必要だと強く感じています。
質疑応答:電子コミック市場の現状と競争戦略について

川添:「電子漫画ストアの業況が芳しくないように見えますが、ストアの市況をどのように理解されていますか? また、それが貴社の戦略・施策に何かしらの影響を及ぼしているのかをご教示ください」というご質問です。
本田:こちらのスライドに、当社を取り巻くマーケット、特に電子コミック市場の推移をまとめています。
数字のとおり、この市場は一時期高い成長を遂げていましたが、昨今では以前のブルーオーシャンがレッドオーシャンへと変化している現状があります。ただし、第1四半期の結果は市況と反比例するような良い結果となっています。
市場環境が厳しい時ほど競争に勝つことが重要です。これはエンタメビジネス以外でも同様であり、当社はその中で勝つための戦略をしっかりと持っていますが、詳細については企業秘密となりますのでご理解ください。
市場が厳しい時に勝てるかどうかは、各企業の真価が問われる部分だと思います。
質疑応答:株主優待制度導入の目的と継続方針について

川添:「株主優待を新規導入しましたが、優待関連のコストの販管費インパクトと継続方針はいかがでしょうか?」というご質問です。
鳥海:おおよその販管費の影響については、現在の株主数から試算して決定しています。具体的な金額については控えますが、優待制度は一時的なものではありません。
本日のリリースの目的にも記載していますが、中長期的に当社の株を保有し、応援していただきたいという観点から株主優待制度を導入しています。そのため、継続的な制度とご理解いただければと思います。
これを1つのきっかけとして、当社に興味を持ち、応援してくださる株主の皆様が増えれば幸いです。
本田:一定程度、株主数に関して把握できる状況はありますので、皆様が当社を分析していただければ、見えてくる数字もあるかと思います。
質疑応答:IP創出に向けた取り組みと注力領域について
川添:「KADOKAWAを中心に発生した『なろう系』の市場悪化という現象について、目下ではどのような状況を認識されていますか? また、次なるトレンドジャンルとして注視、あるいはすでに強化されている領域を教えてください」というご質問です。
本田:「なろう系」の市場が悪化したかどうかについては、当社が評価する部分ではありません。当社はあくまで自社でIPを創出・育成することに注力しています。以前よりご説明しているとおり、市場のトレンドに影響されない業績基盤を構築していく方針です。
また、当社はインターネット発のIPだけでなく、さまざまな入口からIPを生み出していきたいと考えています。具体的には、出版物においてオリジナル作品、いわゆる書き下ろしにも注力しています。
加えて、さまざまな展開にあわせたノベライズやコミカライズなどにも注力しています。例えば、先ほどの『はじまりのさよなら』のように、オリジナルで出版を経由しないかたちでスタートし、映画化やキャラクター展開が行われるIPにも積極的に取り組んでいます。
重要なのは、入口の数を増やしてさまざまなIPをTOブックスというIP創出企業と組み合わせ、その価値を最大化することです。出版から生まれるIPも着実に育てていきますが、出版由来のIPだけではないことを示し、その範囲を広げることで、現状のビジネスを指数関数的に拡大することを目指しています。
そのような意味で、ご質問への回答としては、「なろう系」以外で注力している領域に関して「なろう系」以外のすべてに注力しています。
質疑応答:沖縄支社の役割と雇用創出について

川添:「東京本社とは別に沖縄支社がありますが、これは何を狙っているのでしょうか? なぜ沖縄なのでしょうか?」というご質問です。
本田:沖縄支社では主にバックヤード業務を担っており、出版物のDTPや電子化などを中心とするスタッフが働いています。スライドにあるように、当社の編集者は未経験者が大半を占めており、沖縄でも未経験者が多い状況です。
未経験者同士でチームを作り、沖縄のスタッフは東京のいわゆる「クリエイターと向き合う編集者」とチームを組み、「クリエイターと向き合う編集者を支える編集者」というかたちになるかと思いますが、サポート編集者を育てる場として沖縄は非常に重要な拠点だと考えています。
特に、沖縄は若い人材が豊富で優秀です。日本で最も出生率が高い地域であり、その結果として若い人の数が多く、地域全体に熱気があります。
私たちは、若者に向けてIPを作成することを目指しており、熱気のある環境で仕事をしたいという思いから沖縄支社を立ち上げました。立ち上げからすでに10年以上が経過していますが、その熱気をしっかりと会社の業績につなげたいと考えています。
川添:沖縄の雇用創出など、そのような側面もあるのでしょうか?
本田:現在の沖縄県の人口は約150万人ほどです。一方で、沖縄支社の従業員数は数十名規模であるため、現時点では沖縄で雇用創出と言えるほどの規模には達していません。
もちろん、沖縄支社が1,000名規模になれば、沖縄での雇用創出に貢献できる状態になると思います。しかし、現在はまだ100名にも届かず、1,000名の規模にはなかなか遠い状況です。それでも、これからも努力を続けていきたいと思います。
質疑応答:海外事業のKPIとグローバル展開の見通しについて

川添:「北米では年間100タイトル以上のリリースを目指されていますが、海外事業の成否を見る上で、タイトル数以外にどのようなKPIを重視していますか? また、海外事業が利益面でも本格的に貢献する時期をどのように見ていますか?」というご質問です。
本田:海外事業のKPIについては現時点では開示できるものがありませんが、開示できる規模になり次第、しっかりとお知らせします。
目標としているのは、海外事業の一定規模の拡大です。『本好きの下剋上』もそうですが、当社のIP作品がTVアニメ化され、北米を中心にさまざまな地域で放送されています。放送によって売上も発生しています。
このように、業績にしっかりとインパクトを与える状況を目指しています。そのため、出版のみならず、アニメや映画といった事業の成長が業績に貢献する割合が高まれば、1つのセグメントとして開示できる可能性があると考えています。
また、東南アジアの市場は、TAMA STUDIOに関する取り組みでもお話ししたように、確実に成長しています。今後はタイトルごとの展開に加え、エリアごとでのグローバルな規模の拡大が進めば、皆様にわかりやすいかたちでお伝えしたいと考えています。
現時点ではまだそのレベルには至っていませんので、引き続き努力を重ねていきます。5年10年といった長期的な目標ではなく、2年から3年でそのような状況を実現することを理想とし、それを目指して取り組んでいきます。
本田氏からのご挨拶
本田:以前からお伝えしていますが、当社はこれからもしっかりと成長し、現状でも一定のインパクトを持っているものの、さらに社会に影響を与えられる規模へ成長していきたいと思っています。引き続きご支援のほどよろしくお願いします。
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