logmi Finance
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株式会社ティアフォー593A

東証グロース

情報・通信業

本日のスピーカー(決算説明会)

加藤真平氏(以下、加藤):みなさま、こんにちは。株式会社ティアフォー代表取締役CEO加藤です。ご多用の中、当社の第3四半期決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。本日は、私と取締役CFOの阪口でご説明します。

Contents

今回は上場後初めての四半期決算説明会となります。そのため、第3四半期の決算に加えて、自動運転市場が現在どのような段階にあり、その中でティアフォーがどのように事業を成長させ、黒字化につなげていくのかについても、あらためてご説明します。

本日の説明を通じて、当社の中長期的な成長に対する考え方についてご理解いただければと考えています。

エグゼクティブ・サマリー

本日お伝えしたいポイントは3つです。

1つ目は、日本の自動運転市場が実証段階から本格的な社会実装に移行する局面に入っているという点です。政府は2030年度までに自動運転サービス車両1万台を目標として掲げており、これにより当社に大きな事業機会が生まれつつあります。

2つ目は、ティアフォーの事業成長を最もわかりやすく示す指標が車両運用台数であるという点です。2025年9月期末の114台から、2030年9月期には累計1,800台超を目指しています。この台数の増加に伴い、ワンタイム収益とリカーリング収益を拡大していきます。

3つ目は、その成長が足元の業績にも表れ始めている点です。第3四半期累計では、売上高と売上総利益が前年同期比で30パーセント以上成長する一方、研究開発費は前年同期とほぼ同水準にコントロールしています。なお、通期業績予想も据え置いています。

今後も車両運用台数を増やし売上総利益を成長させる一方で、研究開発費を規律ある水準でコントロールすることにより、オペレーティングレバレッジを効かせ、早期の黒字化を目指します。

自動運転は実証から社会実装のフェーズへ

自動運転市場の現状と、ティアフォーがその市場をどのように事業機会として捉えているかについてご説明します。現在、世界ではロボットタクシーだけでなく、物流、鉱山、工場といったさまざまな領域で自動運転の商用化が進展しています。

日本における自動運転も、実証実験の段階から社会実装の段階へと移行しつつあります。投資家のみなさまから多くいただくご質問である法制度についても、自動運転レベル4に必要な法整備がすでに完了しています。

さらに政府は、2030年度までに自動運転サービス用車両を1万台社会実装すること、そして2030年代には、日本企業による自動運転車の世界販売台数シェアで約25パーセントを達成するという目標を掲げています。

現在の日本市場における課題は、「自動運転は可能か?」という段階から、「社会実装の規模をどのように拡大するか」という段階に移行していると考えています。

自動運転の社会実装を支えるプラットフォームを提供

ティアフォーがどのような会社なのかを、あらためてご説明します。当社は、自動運転車そのものを大量生産する会社ではありません。自動車メーカーをはじめとするパートナー企業自らが、自動運転システムを開発し、量産し、運用できるようにするプラットフォームを提供する会社です。

その基盤となるのが「Autoware」です。「Autoware」はオープンソースソフトウェアとして誰でも利用可能です。ただし、量産や商用レベルの自動運転を実現するためには、車両への適合や安全性の確保、運用データの活用など、多くの技術とノウハウが必要です。

このオープンソースと商用化の間を埋めることが、ティアフォーのプラットフォームが提供する価値です。

顧客ニーズに応じた3つのビジネスモデル

ティアフォーは、このプラットフォームを基盤に、3つのビジネスモデルを展開しています。

OEMだけでなく、さまざまな事業者やメーカー企業が自動運転技術に期待を寄せていますが、それぞれのお客さまが持つニーズが異なるため、当社では3つのビジネスモデルでサービスを提供しています。

まず、モビリティサービスでは、自治体や交通事業者向けに、ティアフォーが少量生産を行っている自動運転レベル4の完成車を提供しています。

次に、デベロップメントサービスでは、OEMが自動運転技術を内製化できるよう、自動運転システムの共同開発やソフトウェアライセンスの提供を行っています。

最後に、ソリューションサービスでは、その他のさまざまな事業者やメーカー企業に対し、自動運転システムを開発するためのツールや開発環境を提供しています。

これら3つは独立した事業ではありません。共通の「Autoware」とティアフォーのプラットフォームを基盤とし、技術や顧客基盤を共有しながら、自動運転の社会実装を拡大する1つのプラットフォーム事業を構成しています。

開発から量産・運用へ、車両台数に応じて収益機会が拡大

当社が収益をどのように生み出すのかをご説明します。まず、自動車メーカーなどとの自動運転システムの共同開発段階では、開発に伴う収益が発生します。

その後、量産が開始されると、開発したシステムが社会実装へ移行します。この段階では、車両に搭載するソフトウェアやハードウェアなどから、車両ごとのワンタイム収益が発生します。

さらに、車両の運用が始まると、利用されるソフトウェアやハードウェアの運用保守、Webサービスを通じた運用支援などにより、リカーリング収益が継続的に発生します。

このように、開発から量産、運用へと進むにつれて、当社の収益機会は拡大していく構造となっています。

初期開発から量産・運用まで、複数の収益機会を獲得

この収益モデルをご理解いただく上で最も重要なのは、車両運用台数です。

開発段階では、プロジェクト数や開発規模に応じて収益が増加します。次に、量産に移行すると、車両が増えるたびにワンタイム収益が発生します。さらに、累計の車両運用台数が増加するほど、ソフトウェアやハードウェアの運用保守、Webサービスを通じた運用支援などによるリカーリング収益が積み上がっていきます。

つまり、当社の事業が開発フェーズから量産・運用フェーズへ移行するほど、収益構造も変化します。そのため、今後ティアフォーの事業成長を評価する際は、売上高だけでなく「車両運用台数」にもぜひ注目していただきたいと思います。

車両運用台数(累計)を114台から2030 年9月期1,800 台超へ

2025年9月期の車両運用台数は累計114台でした。2030年9月期には、少なくとも累計1,800台まで拡大することを目指しています。

重要なのは、この1,800台が単純に市場規模から逆算した数字ではないという点です。すでに受注、あるいは条件付きで受注し、開発が進行している複数のプロジェクトについて、それぞれが想定している量産目標を積み上げた数字です。

現時点ではバス・シャトル、および特殊用途車両が中心となっています。そのため、現在進行中のプロジェクトを確実に量産へ移行させることが、当社にとって最も重要な経営課題の1つです。

オープンソースを活用し、研究開発を効率化

もう1つ、当社の事業モデルをご理解いただく上で重要なのが、研究開発に対する考え方です。

自動運転は非常に大きな研究開発投資を必要とする分野です。一方、当社は「Autoware」をオープンソースソフトウェアとして公開し、世界中の企業、大学、研究機関、エンジニアと共同で開発を進めています。

実際に「Autoware」の開発者の約7割はティアフォー以外のエンジニアです。つまり、世界中の企業や大学、開発者による技術革新を、オープンソースのエコシステムを通じて取り込みながら、当社自身の研究開発資源を量産化や商用化につながる領域へ重点的に配分することができます。

これが、当社が研究開発の競争力と資本効率を両立できると考える理由です。

売上・売上総利益の成長と研究開発の効率化により黒字化へ

ここまでの内容を「黒字化」という観点で整理します。当社の考えはシンプルです。

車両運用台数を増加させることで、売上高と売上総利益を伸ばします。一方で、研究開発費は規律ある水準でコントロールします。これによってオペレーティングレバレッジを効かせます。

実際、今期第3四半期累計では、売上高と売上総利益が前年同期比で30パーセント以上成長する一方、研究開発費はほぼ横ばいとなっています。

現時点の事業前提では、累計車両運用台数が約800台に到達することが、経常利益黒字化達成の目安の1つになると考えています。もちろん、実際の損益は車種や収益の構成、研究開発投資などの要因によって変動します。

投資家のみなさまには800台という数字を、黒字化に向けた1つのマイルストーンとして捉えていただければと思います。

市場フェーズに応じて事業・技術投資を選択

当社は、すべての自動運転市場で同じ戦略を取るわけではありません。車両タイプによって市場の成熟度や競争環境が大きく異なるためです。

まず、バス・シャトルおよび特殊用途車両では、当社がすでに強いポジションを持っています。ここでは、その先行優位性を活用し、シェアを拡大するとともに、黒字化を支える収益基盤を構築する「先行逃げ切り型」のアプローチを採用しています。

一方、トラック、タクシー、乗用車などの車両タイプは、世界中の企業が巨額の研究開発投資を行っています。ここでは、同様の投資競争をせず、技術の成熟やオープンソース化を見極めながら、「Autoware」や既存事業で蓄積した技術を活用して参入する「後方追い上げ型」のアプローチをとっています。これは技術的に後れを取る戦略ではなく、投資タイミングを選ぶことで資本効率を高める戦略です。

累計1,800 台超の先にも大きな市場拡大余地

累計1,800台超という数字は、当社が狙える市場の上限ではありません。現在進行中の案件を中心に積み上げた目標にすぎません。

その先には、まず国内のバス・シャトル、また特殊用途車両のさらなる市場拡大が想定されます。そして、中長期的にはトラック、タクシー、乗用車、さらには海外市場への展開も視野に入れています。

まずは、1,800台超を確実に実現し、その先にあるより大きな市場へと展開することが、当社の中長期的な成長戦略です。

主要企業との協業を通じ、量産・大規模実装を加速

ここまで当社の事業戦略についてご説明しました。重要なのは、この戦略が構想にとどまらず、すでに複数の具体的なプロジェクトとして進行しているという点です。

第3四半期 決算ハイライト

ここからは、今期第3四半期までにどこまで進んだのか、具体的な案件と業績の両面からご説明します。まず阪口より第3四半期の業績について説明します。

阪口聡志氏(以下、阪口):取締役CFOの阪口です。2026年9月期第3四半期の決算ハイライトについてご説明します。

第3四半期累計の売上高は51億7,800万円、売上総利益は20億300万円で、いずれも前年同期比で30パーセント以上増加しました。モビリティサービス、デベロップメントサービス、ソリューションサービスで、スライドのような進捗が見られます。

また、研究開発費は前年同期とほぼ横ばいの59億8,900万円となりました。自動運転の量産化と社会実装に向けて必要な開発を進める一方で、規律を持ちながら研究開発費の執行を行っています。

これらに補助金収入などの営業外収入と営業外費用が加わり、経常損失は40億8,700万円となりました。第3四半期までは計画どおりに進捗したことに加え、第4四半期に計上を予定している案件の受注状況や進捗状況を精査した結果、通期業績予想は据え置きとしています。

業績ハイライト(連結・累計)

業績のハイライトです。売上高と売上総利益は前年同期比で30パーセント以上増加しました。3つの各サービスすべてが成長しています。また、経常損失率は改善傾向にあります。

売上高や売上総利益が増加する一方、規律ある研究開発費の執行により、経常損失率も改善しています。

損益計算書(連結・累計)

連結損益計算書です。売上高と売上総利益は先ほどご説明したとおりです。

研究開発費は販売費および一般管理費の大部分を占めています。営業外収益の主な構成要素は補助金収入であり、研究開発費の執行に合わせて、それぞれの補助事業で定められた補助率を掛け合わせた金額が補助金収入として計上されています。

営業外費用については、関連会社の持分法投資損失が一過性要因により増加したことが主要因として、前年同期比で増加しました。結果、スライドのとおりの経常損失や当期純損失となっています。

続いて、各サービスの進捗や研究開発の進捗について、加藤よりご説明します。

モビリティサービス | 地域数の広がり/重点地域での高いシェア

加藤:モビリティサービスの展開状況です。前期末時点では全国50地域で自動運転サービスを展開していました。第3四半期末時点では44地域となっています。今後も着実に拡大していく見込みです。

また、今期は単純に実証地域数を増やすのではなく、1地域当たりの導入台数を増やし、実証から本格導入へ移行することに軸足を移しています。

今後は、地域数の増加だけでなく、1つの地域で複数台の車両を継続的に運用する事例を増やすことで、車両運用台数全体を拡大していきます。

モビリティサービス | 車両運用台数拡大に向けたKDDIとの協業

その代表的な取り組みがKDDIとの協業です。当社はKDDIとともに、自動運転の社会実装を全国規模で推進するための取り組みを進めています。

両社の強みを組み合わせることで、自治体や交通事業者への導入を推進し、2030年までに累計1,000台規模の自動運転サービスの商用導入を目指します。

この協業は、当社にとって実証地域数を増やす段階から、1地域当たりの車両台数を増やす段階へ移行するための重要な取り組みと位置づけています。

デベロップメントサービス | 主な事例(ヤマハ発/eve autonomy )

先ほど示した、累計1,800台超の車両運用台数につながる量産プロジェクトについて、主な事例をご紹介します。

当社は、自社だけですべての車両を開発・製造するのではなく、OEMやさまざまなパートナー企業と連携し、自動運転の量産化や商用化を進めています。すでに複数のプロジェクトが実証から量産化、商用化の段階へ進み始めています。

ヤマハ発動機との取り組みをご紹介します。当社はヤマハ発動機と合弁会社を設立し、工場や物流施設などの閉鎖空間における自動搬送サービスを展開しています。すでに90台規模まで導入が進んでおり、当社の自動運転技術が実際の商用サービスとして利用されている代表的な事例です。

このような特殊用途車両の領域は、当社が先行逃げ切り型で市場を開拓している分野であり、今後も着実に車両運用台数を拡大していきます。

デベロップメントサービス | 主な事例(コマツ)

コマツとの取り組みについてです。建設・土木・鉱山といった業界でも自動運転技術への需要が高まっています。これらの領域では、一般公道とは異なる環境に合わせて、自動運転システムを最適化する必要があります。

「Autoware」を基盤とする当社のプラットフォームは、車種や用途に依存しない設計であるため、このような特殊用途車両にも展開可能です。

デベロップメントサービス | 主な事例(トヨタ)

バス・シャトルの分野では、自動車メーカーと協力し、量産化に向けた取り組みを進めています。具体的には、トヨタの次世代EV「e-Palette」や、次のスライドで示すいすゞの大型EVバス「エルガEV」など、複数の車種に自動運転システムを展開しています。

デベロップメントサービス | 主な事例(いすゞ)

重要なのは、1つの車種に依存するのではなく、複数のOEMと複数の車種で量産化と社会実装を同時に進めている点です。

このようなプロジェクトを順次量産化へ移行させることが、今後の車両運用台数の拡大につながります。

デベロップメントサービス | 主な事例(スズキ)

スズキとの取り組みも進めています。当社の基本的な考え方は、ティアフォー自身が完成車メーカーとなるのではなく、OEMが持つ車両開発や量産能力と、当社が持つ自動運転技術を組み合わせることにあります。

これにより、ティアフォー単独で大規模な設備投資を行わずして、自動運転車両の量産を実現できます。

後方追い上げ型 “Fast-Follower”におけるマーケット浸透の考え方

この点は、当社の資本効率を考える上でも重要です。自動車の量産には、設備だけでなく、品質保証、サプライチェーン、販売網、アフターサービスなど、非常に大きな投資とノウハウが必要です。当社は、こうした機能をすべて自社で保有するのではなく、OEMやメガサプライヤーが持つ量産能力を活用します。

その上で当社は、自動運転ソフトウェアやプラットフォームといった自社が最も競争力を発揮できる領域に経営資源を集中させています。これが、当社が資本効率を保ちながら車両運用台数を拡大していくための、基本的な考え方です。

ソリューションサービス | 主な事例(Astemo)~自家用車向け自動運転への拡大~

後方追い上げ型のアプローチにおいても、具体的な取り組みが進んでいます。

例えば、当社はAstemoと自動運転技術の量産化に向けた協業を進めています。当社が持つ「Autoware」を中心としたソフトウェア技術と、メガサプライヤーが持つ量産技術や自動車メーカーとの関係を組み合わせることで、より大きな自動車市場への展開を目指しています。

ソリューションサービス | 主な事例 JST事業に参画し、自動運転レベル4向けAI半導体を研究開発

将来の自動運転システムを支える半導体の研究開発も進めています。当社の目標は、自社で半導体を独占的に販売することではありません。設計情報などをオープンソースとして公開することで、多様な半導体メーカーが自動運転レベル4向けの半導体を製品化できる環境を構築することを目指しています。

これにより、自動車メーカーが特定の半導体技術に依存することなく、自動運転システムを実装できるようにすることが狙いです。

当社はこれまで「Autoware」によってソフトウェア市場をオープンソース化してきました。今後は同様の考え方をハードウェア領域にも広げ、「Autoware」の普及と当社の事業機会の拡大につなげていきます。

なお、半導体の研究開発までを自社で進めると、研究開発費の負担が増えるのではと疑問に思う方もいるでしょう。しかし、このプロジェクトは国の機関であるJSTからの委託研究として実施しており、会計上、収益は売上高、費用は売上原価に計上されます。

そのため、当社の損益負担を大きく増やすものではなく、外部資金を活用しながら将来の市場を開拓する取り組みとなっています。

販売管理費および営業外収益の内訳(連結・累計)

研究開発の状況についてご説明します。当社の販管費の中で大きな割合を占めているのが研究開発費です。第3四半期累計では研究開発費は前年同期と概ね同じ水準となっています。

一方、営業外収益の大部分を占めるのが補助金収入です。補助金収入は、研究開発費の執行に応じて各事業で定められた補助率を掛け合わせた金額が計上されます。当社では、このように外部資金も活用しながら、将来の競争力に必要な研究開発を進めています。

研究開発進捗 | AIベース自動運転

現在の主な研究開発についてご紹介します。まずは、AIベースの自動運転技術についてです。

生成AIをはじめ、AI技術は非常に速いスピードで進化しており、自動運転におけるAI活用の領域も急速に広がっています。一方で、当社では、すべての自動運転を1つの巨大なAIモデルで実現することが合理的だとは考えていません。

例えば、工場内搬送のような比較的シンプルな環境においては、必要以上に重いAIを利用すると、計算資源やハードウェアのコストが高くなってしまう可能性があります。重要なのは、ユースケースごとに最も合理的な技術を選択し、商用化へつなげることです。

「Autoware」では、すでに複数のAIベースの自動運転方式が利用可能です。当社では、ユースケースやOEMパートナーのニーズに応じて、複数のAIモデルを組み合わせています。

特に、VLA(Vision-Language-Action)と呼ばれる大規模なAIモデルを活用した自動運転では、NVIDIAの「Alpamayo」とティアフォーの「Autoware」を組み合わせたシステムを構築しています。

当社は、すべての技術を自社開発するのではなく、NVIDIAをはじめとする海外企業やトップ大学を含む世界の最先端技術を「Autoware」に取り込み、商用化につなげています。これが当社の研究開発の基本的なアプローチです。

研究開発進捗 | AIベース自動運転による都内の一般公道での実証実験の様子

AI開発の進捗を実際の走行動画でご覧いただきます。こちらは、東京都内の公道で当社の自動運転バスにAIベースの自動運転ソフトウェアを実装して走行した際のデータです。AIが周囲の歩行者や車両をリアルタイムに認識し、その動きを踏まえ、進むべき走行ルートを予測しています。

画面上の青いラインは、AIが予想した走行ルートを示しています。また、路上駐車している車両を認識し、周囲の交通状況を確認しながら車線変更している様子もご覧いただけます。

このような公道での走行を繰り返すことにより技術の成熟度を高め、将来的にはさまざまな地域で展開可能な自動運転AIモデルを構築していきます。

最終的には、安全性だけでなく、可用性と拡張性を両立した自動運転レベル4の実現を目指しています。

研究開発進捗 | 大規模導入に向けた取組「リファレンスサイト」の概要

量産化および社会実装に向けたもう1つの重要な取り組みが「リファレンスサイト」です。自動運転は、1台の車両を走らせることと、複数車種や複数台を継続的に運行することでは、必要となる技術や運用ノウハウが大きく異なります。

東京・臨海地域(お台場)を「リファレンスサイト」と位置づけ、トヨタ「e-Palette」、いすゞ「エルガEV」、さらに当社のモビリティサービスで提供している小型バスなど、複数車種・複数台の自動運転車両を定常的に走行させています。

こちらは単なる研究のための実験場ではありません。複数車種・複数台を定常運行させることで、量産・社会実装に必要な技術と運用ノウハウを蓄積し、それを他の地域へ展開するためのモデルを構築する場所です。

このような取り組みを通じて、大規模な自動運転サービスの実現につなげていきます。

ここからは、財務状況と通期業績予想について、阪口よりご説明します。

貸借対照表(連結・累計)

阪口:財務状況についてご説明します。まず、貸借対照表です。資産合計は固定資産の減少に伴い、15.6パーセント減少しました。

こちらは6月末時点の数字であり、IPOに伴う公募増資は含まれていません。そのため、第4四半期時点では流動資産の現預金が増加する見通しです。

また、純資産合計は、第3四半期までの当期純損失を計上したことにより減少しました。こちらもIPOにおける公募増資は含まれておらず、第4四半期内に約174億円増加する見込みです。

2026 年9月期 通期業績予想(従前より据え置き)

通期業績予想についてです。第3四半期までの進捗が順調であることや、第4四半期に計上予定の案件の受注状況および進捗状況を踏まえ、今期の業績予想は売上高84億8,400万円、経常損失65億9,300万円で据え置きとしています。

四半期ごとの売上高推移の過去トレンド

業績予想を据え置きとした背景を補足します。当社の売上高には季節性があり、例年、年間売上高の約80パーセントが第2四半期と第4四半期に集中する傾向があります。今年も同様の推移を予定しています。

第2四半期では、自治体や自動車OEMの年度末となる3月末に納品される案件の売上高が多く計上されます。

第4四半期では、4月以降に開始される自治体の予算執行や、自動車OEMとの案件進捗が顕在化するタイミングとなり、売上高が偏る傾向にあります。今期も前期までの傾向どおりに推移しています。

第4四半期の売上高業績予想の詳細内訳

さらに詳しくご説明します。第3四半期累計の売上高実績は51億7,800万円です。こちらに、すでに受注済みでプロジェクトが開始している案件の進行に伴い、計上予定の19億8,400万円が加わります。

さらに、すでに納品済みまたは納品予定の自動運転バスの計上予定が9億6,000万円あります。その他の受注見込みを加えると、通期業績予想は84億8,400万円となる見込みです。

第4四半期の営業外収益業績予想の詳細内訳

営業外収益の業績予想の詳細についても説明します。今期の業績予想には、すでに採択済みの補助事業のみを補助金収入として織り込んでいます。

したがって、研究開発費の執行に応じて補助金収入が計上されるものであり、通期予想の営業外収益予想も達成可能と見ています。

以上の内容から、通期業績予想については据え置きと判断しています。

加藤:ここからは、事前にみなさまからいただいたご質問にお答えします。今回は大変多くのご質問をいただきました。みなさまに当社へ高い関心をお寄せいただいていることに、あらためてお礼申し上げます。多くのご質問をいただきましたので、いただいたご質問を再整理して回答させていただきます。

質疑応答:株価が公募価格を下回っていることへの見解について

「上場後の株価推移をどのように捉えていますか?」というご質問です。

公募価格1,085円に対して、現在の株価がそれを下回って推移していることについて、経営陣として真摯に受け止めています。

一方で、私たち経営陣がやるべきことは明確だと考えています。まず、事業計画を確実に実行して結果を出すこと、また、その進捗をできる限りわかりやすく、透明性を持って投資家のみなさまにお伝えすることです。

個別のプロジェクトについては、パートナー企業との関係で開示できないものもありますが、可能な限り積極的に情報発信していきたいと考えています。事業の成長とIR活動の両方を通じて、中長期的に企業価値を高めていきます。

質疑応答:黒字化達成に向けたスケジュールと重要要素について

加藤:「黒字化の目安として累計の車両運用台数800台と示されていましたが、これに向けた具体的なスケジュール、前提条件、ボトルネックを教えてください」というご質問です。

阪口:黒字化に向けて最も重要なのは、現在開発しているプロジェクトを実際の量産や社会実装へ移行させることです。

本日もご紹介したとおり、現在複数のOEMとの開発プロジェクトが進行中です。これらが順次量産に入ることで、車両運用台数が増加し、売上高と売上総利益が拡大していきます。

プロジェクトごとに量産開始の時期は異なるため、具体的な時期については公表できる段階で速やかにお伝えします。

また、約800台という黒字化の目安については、一定の補助金収入が継続することも前提の1つとなっています。補助金に関しては、すでに複数年にわたって採択されている補助事業もあります。

したがって、投資家のみなさまには、特に現在進行中の開発プロジェクトがどの程度量産に近づいているかに注目していただきたいと思います。

質疑応答:自動運転車両の地域導入と社会実装の進捗について

加藤:「いつ自動運転車に乗れるようになりますか?」というご質問です。

すでに乗車いただける地域はいくつかあります。全国各地で実証や社会実装が進んでおり、一部では、実際のバス路線や、工場や倉庫のオペレーションにも自動運転車が導入されています。

例えば、石川県小松市では、小松駅と小松空港を結ぶ路線で自動運転バスが運行されています。1日11便で運行されており、実際に地域の交通手段として活用されています。

一方で、どの地域でも、みなさまが日常生活の中で当たり前のように自動運転車を見かけたり、乗ったりできるようになるのは、もう少し先だと思います。

政府は、2030年度までに1万台の自動運転サービス車両を社会実装するという目標を掲げていますので、その頃には全国のさまざまな地域で自動運転が身近な交通手段になる世界を目指しています。ティアフォーとしても、その実現をできるだけ早めたいと考えています。

また、東京・臨海地域(お台場)で、大規模な社会実装の先行事例として「リファレンスサイト」を立ち上げる取り組みも行っています。全国各地で実施している実証実験では、さまざまな方にご乗車いただく機会があります。そのため、みなさまの身近な地域でも自動運転を体験できる機会が増えていくと考えています。

質疑応答:ティアフォーの戦略とロボットタクシー市場への展開について

「米中で自動運転の実装が先行していますが、ティアフォーは世界での競争に勝てるのでしょうか?」というご質問です。

米国や中国で特にロボットタクシーの社会実装が先行しているのは事実です。しかし、ティアフォーは彼らとまったく同じ戦略で取り組むつもりはありません。

私たちの最大の特徴は、オープンソースを活用していることです。テクノロジーの歴史を見ると、コンピューターシステムでは「Linux」、スマートフォンの「Android」のように、オープンソースのプラットフォームが後から大きな市場を獲得した例があります。同じことを、自動運転の分野で実現したいと考えています。

短期的には、海外企業が集中しているロボットタクシーにおいて、真正面から投資競争をするのではなく、バス・シャトルや特殊用途車両など、社会的なニーズが強く、当社が先行している市場で量産を進め、まず収益基盤を構築します。

その上で、中長期的には「Autoware」を活用し、ロボットタクシーや乗用車の領域にも展開していきます。短期の収益化と中長期の大きな市場への展開を両立することが、ティアフォーの戦略です。

質疑応答:自動運転向けAIチップ設計のオープンソース化について

「半導体についての取組やプレスリリースの内容について詳しく知りたいです」というご質問です。

半導体についてですが、ティアフォー自身が半導体メーカーを目指しているわけではありません。私たちが取り組んでいるのは、自動運転向けのAIチップ設計をオープンにすることです。

現在、自動運転システムは特定のAIモデルや半導体技術に依存しがちな状況です。そこで、「Autoware」に対応したAIチップを自ら設計し、その設計をオープンソース化することで、さまざまな半導体メーカーが自動運転向けの半導体を製品化できる環境を構築します。

これにより、自動車メーカーは特定の半導体に依存することなく、自社の車両や用途に適した半導体を選択できるようになります。そして、「Autoware」に対応する半導体が増加するほど、「Autoware」のエコシステムが拡大していきます。

その結果、自動運転の社会実装が加速し、ティアフォーにとっても事業機会が格段に広がります。この点が今回の研究開発の狙いです。

質疑応答:「Autoware」の普及規模と拡大の見通しについて

「『Autoware』は現時点でどのくらい普及しているのでしょうか?」というご質問です。

「Autoware」は、すでに世界最大級と言える、自動運転向けのオープンソースソフトウェアに成長しています。ソフトウェア開発者からの人気度を示す各種指標も、継続的に伸びています。

しかし、それ以上に重要なのは、「Autoware」を中心に、企業、大学、研究機関の間でエコシステムが形成されつつあることです。

「Autoware」を管理している「The Autoware Foundation(AWF)」には、100を超える企業や団体が加盟しています。その中には、ArmやAWSなどのグローバル企業に加え、さまざまなテック企業、国内外の大学、研究機関が参加しています。

また、活用分野は公共交通だけにとどまりません。バス、タクシーに加えて、トラック、乗用車、工場、物流、建設、鉱山、農業、さらにはレースなど、非常に幅広い領域で利用されています。

ティアフォーだけで「Autoware」を広げているのではなく、世界中の企業や開発者、研究者が協力し、このエコシステムを広げていることが、「Autoware」の強みだと考えています。

質疑応答:自動運転事業における安全対策とリスク対応について

「事故防止・安全への取組について教えてください」というご質問です。

自動運転事業において、安全は最優先事項と考えています。当社では、車両を公道で走行させる前に、ハードウェアおよびソフトウェアの検査、ゲートレビュー、走行ルートごとのリスクアセスメント、社内審査など、複数段階の安全確認を実施しています。

これらのプロセスを通じて事故リスクを可能な限り低減しており、現在、公道における人身事故はゼロ件です。

一方で、自動運転の特性上、事故のリスクを完全にゼロにすることは難しいと考えています。そこで、万一事案が発生した場合でも、速やかに報告、調査、是正を行えるよう、社内のプロセスを整備しています。

また、公道を走行する当社グループ所有の車両には、自動運転特有のリスクにも対応可能な保険を付保しています。

事故を防ぐ仕組みと、万一事故が発生した際に適切に対応する仕組みの双方を整備することが重要だと考えています。詳細については、「新規上場申請のための有価証券報告書」の「事業等のリスク」に記載していますので、ご参照ください。

質疑応答:石川県小松市で発生した自動運転バスの事故について

「小松市で発生した事故についての見解を教えてください」というご質問です。

2026年8月18日に、石川県小松市において営業運行中の当社製自動運転バスが、小松駅前ロータリーで縁石に接触する事故が発生しました。本件により関係者のみなさま、地域のみなさま、そして株主や投資家のみなさまにご心配をおかけしたことをお詫び申し上げます。

まず、本事故において人的被害は確認されていません。事故発生後、速やかに警察へ届け出を行い、現在は運行を一時停止しています。また、車両のログデータなどを確認しながら原因の調査を進めています。原因および再発防止策については、調査完了後、適切に公表する予定です。

現時点では、当社の事業計画への影響は軽微と見込んでいますが、今後、開示すべき事項が生じた場合には、速やかにお知らせします。あらためて、ご心配をおかけしていることをお詫び申し上げます。

質疑応答:事業計画を実現するための資金状況について

「オーバーアロットメントによる第三者割当増資を中止したことが、今後の資金調達に及ぼす影響を教えてください」というご質問です。

阪口:事業計画を実現するために必要なコア資金については、IPO時の公募増資で調達した174億円で、すでに確保しています。

この資金を含めた7月末時点のネットキャッシュは約230億円です。直近1年間の経常損失をベースに単純換算すると、概ね5年程度の資金余力がある水準となっています。

したがって、今回オーバーアロットメントに伴う第三者割当増資を実施しなかったことによる事業計画への影響は軽微と考えています。

現時点で追加の資金調達について具体的に検討している事項はありません。まずは、現在保有している資金を事業成長と黒字化の実現に向けて、規律を持って活用していきます。

加藤氏からのご挨拶

加藤:本日の決算説明会では、非常に多くのご質問を頂戴しました。本日の説明会では詳細にお答えできなかった点もあるかと思います。当社のIRやWebサイトに記載されている問い合わせ先のメールアドレスにご連絡いただければ幸いです。当社IR担当より回答します。

今後も株主および投資家のみなさまに当社の方向性と進捗をご理解いただけるよう、わかりやすい情報開示に努めていきます。引き続きご支援のほど、なにとぞよろしくお願い申し上げます。本日は誠にありがとうございました。

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