2026年12月期第2四半期決算説明(第139回個人投資家向けIRセミナー・第3部)
ガイアックス、ショートドラマ「マジ明日」「これすぎ」が各10億回再生を突破 月次黒字化、タイアップや新メディア展開へ
会社概要

上田祐司氏(以下、上田):株式会社ガイアックス代表執行役社長の上田です。
当社は、「人と人をつなげる」というミッションを掲げ、特にインターネットを通じて、これまでのリアルな場とは異なる、幅広い方々とつながるビジネスに取り組んでいます。
具体的にはソーシャルメディア、シェアリングエコノミー、DAO(分散型自律組織)といった分野に重点を置いており、本日はその詳細についてご説明します。
目次

上田:本日は前半で会社紹介を行い、最後に中期経営方針の状況についてご説明します。
GAIAX MISSION

上田:会社紹介では、ミッション、フィロソフィー、特徴や強みなどからお話しします。
ミッションに関しては、先ほどお伝えしたとおりです。今の世の中では、ソーシャルメディアやシェアリングエコノミーなど、新しいサービスが次々と登場しています。我々はこのような産業に携わる企業として、新しいサービスを積極的に生み出していかなければなりません。
映画業界などではよく「映画スタジオ」と言われますが、当社も会社内で非常に勢いのあるメンバーを育成し、次々とスタートアップ自体を作っていく「スタートアップスタジオ」として経営を行っています。
GAIAX MISSION

上田:みなさまも日常の中でさまざまな方々とつながり、多様なコミュニケーションを取っていらっしゃると思います。
その中で、相手に感情移入をすることで「他人から知り合いに」「知り合いから身内に」といった状況が生まれ、赤の他人であっても自分自身のことのように感じられることと思います。その結果、世の中全体が自然と助け合う社会になるのではないでしょうか。当社はそのような未来を信じて、事業を展開しています。
当社事業概要

上田:当社事業の分類です。大きく2つのセグメントに分けています。
1つはソーシャルメディアサービス事業です。当社はソーシャルメディアの運営を歴史あるかたちで進めていることから、多くの企業からご相談をいただいています。
基本的にはBtoBで、「TikTok」などのさまざまなソーシャルメディアに関するコンサルティングや運用代行サービスを提供しています。これは企業にサービスを提供し、安定的に売上を積み上げていくビジネスです。
一方、インキュベーション事業は、新しい事業や会社を次々に立ち上げ、それを上場させていく事業群です。
事業ジャンルとしては、ソーシャルメディアやシェアリングエコノミーの分野が多いのですが、当社が自ら新規事業として取り組むケースや、外部に出資するケースもあります。
また、後ほど詳細をご説明しますが、例えばスタートアップを生み出したい自治体に対してコンサルティングや起業支援代行を行う事業も含まれます。
SUMMARY

上田:当社が注力している2つの領域です。
1つは「SNSを軸としたマーケティング支援」、もう1つは「起業支援」です。起業支援については、先ほどお伝えしたように多くの自治体が「日本の未来のために、たくさんの起業家を日本から輩出したい」と考えており、その領域に対する支援を行っています。
この2つのビジネスが現在非常に伸びており、当社としても注力しています。
SUMMARY

上田:1つ目の「SNSを軸としたマーケティング支援」についてご説明します。
ソーシャルメディアの運用・マーケティング支援

上田:ソーシャルメディアの運用・マーケティング支援に関しては、当社は1999年からいち早くソーシャルメディアを自社で運営していました。
2000年初頭からは、企業に対して「実はソーシャルメディアというものがアメリカで出てきていますよ」とお話ししながら事業を開始しています。これまでに累計で1,500社以上の企業にサービスを提供してきました。
その後、35万人のクリエイターネットワークを持ち、企画クリエイティブを手掛けるCREAVEを買収して100パーセント子会社化しています。同社が扱う分野も組み合わせながら、企業にさまざまなサービスを提供している状況です。
複数のSNSを横断し、統合的に企画・運用

上田:企業の目的は、SNSそのものを運用することではありません。「新規のお客さんを確保したい」「既存のお客さんに、より当社ブランドを愛してほしい」ということが狙いです。
一方、さまざまなSNSを活用する中で、時代に応じて消費者が使用するSNSも3年、5年単位で変化していく現状があります。新しいSNSが次々と登場する中で、普通の企業がSNSごとに「どのような工夫をすればよいのか」と追いかけ続けることは非常に困難です。
我々はこのような状況において、複数のSNSを横断し、統合的に企画・運用できる点を強みとしています。
豊富な実績、支援の幅広さが評価されるSNSマーケティング支援

上田:SNS支援を行う会社は世の中に数多くありますが、当社は大企業やテレビCMを行うような企業を主要なクライアントとしています。一方で、街のレストランや小売店といった規模の事業者には、なかなか手が回らない状況です。
支援スタイルとしては、オーダーメイド型を採用しており、クライアント企業の状況に応じて深く関与し、目的に照らし合わせたコンサルティングや運用代行を提供しています。
また、クリエイティブが重要な業界であるため、当社の社員だけで十分なクリエイティブを生み出すことは難しい部分があります。このため、CREAVEのクリエイターネットワークを活用しながらビジネスを展開しています。
kenmo氏(以下、kenmo):SNSマーケティングやインフルエンサーマーケティングの会社が非常に多い中で、なぜ大手企業は御社を選ぶのでしょうか? その理由について、もう少し具体的にお聞かせいただけますか?
上田:SNSにはコントロールが難しいという特徴があります。例えば、企業が投稿したものが炎上してしまう場合や、消費者の方からなんらかのコメントやクレームなどが寄せられ、それに対応する過程でまた失敗してしまう場合などもあります。
kenmo:最近は思いがけないかたちで炎上するケースもありますよね。
上田:そのとおりです。これが通常のメディアとは大きく異なる点です。通常メディアでは完全にコントロールが可能ですが、SNSはコントロールが難しく、みなさまが日常生活の中でSNSに最も時間を費やす理由もそこにあると思います。
だからこそ、企業側はそのようなSNSに対するノウハウや安心感を求めるケースが多いのです。
当社では「SNSに対して投下した資本で、このくらいのリターンが出ますよ」と第一に強調することはほとんどありません。いかにその企業のサービスやブランドを正しく消費者に普及させていくか、リスクを最小限に抑えながら安全に取り組んでいくのかをお話しすることが多いです。
もしかすると広告代理店が競合だと思われるかもしれませんが、実際には広告代理店からもSNS分野に関して「ちょっとこれはガイアックスさんに任せていいですか?」と依頼を受けることが多く、協業パートナーとしての役割を果たすことが多くなっています。
kenmo:なるほど。費用対効果よりも、むしろ安心感や炎上のリスクを抑えるといったことが重視されているのですね。
SNSマーケティングを最前線でご覧になっていて、最近のトレンドや、あるいは「少し変化してきたな」と感じる点はありますか?
上田:ここ最近のことというよりは、過去10年から20年の継続的なトレンドですが、文字よりも一目でわかる写真、そして最近では特に動画が重視されています。また、パソコンの横画面から、縦画面へシフトしていることも特徴です。
また、同じ動画であってもどんどん短くなってきています。現在では3分の動画は「わっ、長い!」というのが時代のトレンドとなっており、実際には15秒や20秒でぱっと伝わる内容が求められていると感じています。
kenmo:そこで、ショートドラマ事業という次のスライドに進むわけですね?
上田:そのとおりです。
オリジナルのショートドラマ『マジ明日』が総再生回数 10億回を突破

上田:私自身は「ドラマといえば50分でしょ」という世代なので、若干信じられない部分もあるのですが、スマホ世代の現在の若い方々には、起承転結が1分程度に収められたドラマでなければ見ていただけないのが現状です。
しかし、1分程度の動画を上手に作るノウハウについては、既存プレイヤーにはあまりイメージがつきません。
当社はSNS発の会社ですので、短い時間でストーリーを作り、本当においしい部分だけでコンテンツを構成することに非常に慣れています。この強みを活かしながら、オリジナルのショートドラマを制作しています。
その中でも『本気出すのは明日から。“マジ明日”』は、開始から10ヶ月で総再生回数が10億回を突破し、非常に多くの方々に視聴いただいています。
テレビ東京とCREAVE、開始6ヶ月で総再生回数10億回・フォロワー45万人を突破

上田:約半年前からはテレビ東京と提携し、『これじゃ在り来たりすぎる。“これすぎ”』という新たな別チャンネルをスタートさせました。
こちらはわずか6ヶ月で再生回数が10億回を突破し、『本気出すのは明日から。“マジ明日”』以上の結果を得ています。私たちのノウハウが蓄積されてきたこともあり、さらなる成長スピードで普及が進んでいます。
kenmo:『マジ明日』『これすぎ』で、再生回数が合計20億回に達するということですね? 「すごい」と語彙力がなくなった感想しか言えなくなります。
向井沙耶氏:本当にすごいですね。
kenmo:10億回、20億回という再生回数をどのように収益につなげていくのかがポイントかと思います。グッズ展開や映画など、そのような次の横展開についてお聞きしてもよろしいでしょうか?
上田:当社は『マジ明日』『これすぎ』という2つのチャンネルを展開していますが、IPを作り出せるメディア、稼げるメディア、よりファンに深く浸透していくメディアなど、メディアごとにそれぞれ特徴があると考えています。
ショートドラマは、新しいIPを作っていく上で非常に最適なメディアだと思っていますが、直接収益を稼ぐためのメディアではないと考えています。
しかし、これほどの短期間で10億回の再生数を突破し、ショートドラマ単体でも月次では黒字化してきています。多くの企業からもタイアップのご相談をいただいており、「本や雑誌にしましょう」や「長編の動画に持っていきましょう」といった企画が進行しています。
当社としては、オリジナルグッズの製作や新しいメディアへの挑戦を積極的に進めていきたいと考えています。
また、フォロワー数についてもまだ増加の余地があり、フォロワーが増えれば増えるほどタイアップ企画も増加していくのではないかと考えています。
kenmo:一言で表現するのは難しいかもしれませんが、ヒットの秘訣、いわゆる「何がそこまでバズるのか?」というポイントをお聞かせいただけますか?
上田:当たり前といえば当たり前なのですが、当社のショートドラマチームは、非常に今時のメンバーが現場を取り仕切って進めています。
このビジネスを切り盛りしているのは、当社の執行役、一般的な企業でいう取締役に就任した28歳の女性です。現場に近い位置で「自分自身がいったい何を見るのか?」という視点を持ちながら、執行役として予算や意思決定の権限を持ち、それを活かして進行している点が強みの基盤になっていると言えます。
その上で彼女がどのような工夫をしているのかというと、やはり「いかに再生回数が伸びるのか?」「その後、これでビジネスができるのか?」というバランスを非常に注視しています。
みなさまもご覧になったことがあるかもしれませんが、ショートドラマの中には男女関係のドロドロした内容のものや、「海外から来たのかな?」と感じるようなものもあります。
正直なところ、それらは収益化が難しいのが現状です。そのような要素を排除した上で、非常にクリーンなカテゴリの中で、どのようにすれば一番伸びるのかを模索しています。
スライドには学生の写真がありますが、視聴者に近い立場で共感を得られるか、1分の動画をいかに毎日出せるのかという要素が非常に重要です。なぜならば、2時間映画のヒット作品を1本出して、5年間IP収益を得るという構造ではないためです。
このようなバランスをうまく取りながらヒット作品を生み出しています。
人材紹介会社向けコンサルティング事業(株式会社Matka)

上田:人材紹介会社向けコンサルティング事業を展開する株式会社Matkaをご紹介します。こちらは当社が買収した事業です。
当社の一番の強みは、SNS、口コミ、リファラルなどにあります。この強みをどの分野で最も活かせるのかを考えた結果、人材紹介がまさにその強みを活かせる領域であると判断しました。そのため、以前から事業自体には取り組んでいましたが、Matkaの買収後に事業をさらに強化しています。
人材紹介会社向けコンサルティング事業(株式会社Matka)

上田:スライドに「SNSマーケティングのノウハウをHR支援業界でも活用する」と記載していますが、転職において、現在はやはり人の紹介が重視されています。
もちろん、よくテレビCMで流れているようなマーケティング媒体に登録する方もいると思いますが、それよりも増えてきており、効率が良いとされるのがリファラル、つまり口コミです。
人づての紹介で「ちょっとこの仕事しない?」と採用につなげていく方法はとても効率がよく、会社としてもミスマッチが発生しづらいことから非常に注目されています。そのような部分のコンサルティングに注力し、現在事業を拡大しています。
kenmo:スライドにも「順調に拡大中!」とありますね。相当伸びているのですか?
上田:人材紹介会社そのものが非常に多く、競争が激化しており、「どうすればその熾烈なマーケットの中で、当社は人材紹介会社として生き残れるのか?」と多くの方が悩んでいるのが現状です。
kenmo:人材紹介会社同士の競争が激化しているイメージですか?
上田:どの業界も厳しい状況にありますが、社数が多い一方で、マーケットはどんどん縮小しているというのが今の人材紹介会社の状況だと思います。
そのような状況の中で、当社が1つの強みとして展開しているリファラル採用には、各社も注目しています。しかし、人材紹介会社は優秀な社員が退職や転職することでノウハウが社内に蓄積しづらいという課題を抱えています。
そこで当社が第三者として安定的にノウハウを提供できることは非常に喜ばれており、それが事業拡大につながっています。
kenmo:多くの企業が採用で苦戦する中、人材紹介会社同士の競争が激化している点が非常に興味深いですね。
ソーシャルメディアサービス事業 連結売上高の推移

上田:ソーシャルメディアサービス事業における連結売上高の推移です。2026年1月から6月の上半期では、売上高が12億3,100万円となっています。SNSが生活にますます普及する中で、全体的に受注が堅調に推移しています。
ソーシャルメディアサービス事業 連結営業損益の推移

上田:こちらは連結営業損益の推移です。増収により利益は伸びていますが、前年は最もショートドラマへの投資を行っていた年であり、今年も投資を継続しているため、4年前の利益水準には到達していません。先行投資を行っている影響で、利益水準は4年前と比較すると低下している状況です。
kenmo:昨期に比べると、足元の利益の進捗が良いようにも見えるのですが、下期の投資計画についてはどのようにお考えでしょうか?
上田:前年は立ち上げの初期段階だったこともあり、「投資だけがあって、売上がない」という状況でした。しかし、今年は「売上もあるけれども、投資もしている」という状況になっています。投資額に関しては「もしかすると前年よりも増えているかもしれない」程度ですので、非常に成長している状況です。
ただし、当社でもショートドラマ事業に関しては順調に進んでいると認識しており、どれほどアクセルを踏むかにかかっていると考えています。
SUMMARY

上田:続いて、当社が注力している2つ目の領域である、起業支援、スタートアップスタジオ事業についてご説明します。
GAIAX BUSINESS MODEL

上田:当社は事業会社として企業にサービスを提供し、売上を得るインカムゲインのビジネスを展開してきました。
一方で、新規事業を立ち上げるだけでなく、その新規事業をカーブアウトして上場させたり、一般的なベンチャー企業に投資を行ったりする、投資会社としての側面もあります。
この場合、日頃の売上や利益は当然ながらすべてが当社に入ってくるわけではありませんが、一方で株式を売却した際にキャピタルゲインが得られる仕組みとなっています。
このように、当社は2つのビジネスモデルを持っています。
事業輩出

上田:当社では、新規で入社された方が転職することはほとんどありません。会社を辞めて退職される際には、「当然、起業だよね」という風潮があり、起業家として独立される方が非常に多い会社です。
事業輩出

上田:当社では現在、卒業生が創業した上場企業5社に投資しています。当社インターン卒業生による創業、当社被投資先を含めると8社が上場しています。
GAIAX BUSINESS MODEL

上田:世の中の口コミサイトにおいても、「ガイアックスは事業を立ち上げるのに向いているよね」と評価をいただいています。
カーブアウト機能を活用した事業の成長加速

上田:1つの特徴がカーブアウトです。当社が事業部で取り組んでいるものについて、場合によっては外部資本を受け入れてカーブアウトするスキームを採用しています。過去にはこのスキームによって上場を果たした会社もあります。
インキュベーション事業 投資先パイプライン

上田:こちらは投資先やカーブアウトした会社の一部です。投資先は非常に多くありますが、主にソーシャルメディアやシェアリングエコノミーといった、当社が得意とする領域を中心に投資を行っています。
kenmo:数多くの企業が掲載されていて、インキュベーション事業やパイプラインがある様子がうかがえます。今後3年ほどで、IPOやM&Aといった流動化を見込める企業はどの程度あるのでしょうか?
上田:当社の投資タイミングは、主に創業時やサービスイン前のタイミングがほとんどです。サービスが出来上がり、売上が立ってから投資をするケースは非常に稀です。
そのような意味では、多くの会社に出資をしていますが、レイターフェーズに到達している会社はそれほど多くありません。具体的には、数年以内に流動化を見込める企業は数社程度と考えています。
kenmo:ありがとうございます。そして、やはり気になるのがグロース市場改革です。「2030年までに時価総額100億円」がグロース市場のボーダーとなる中で、足元でもIPO以外の選択肢を取る企業が非常に増えているように感じます。この点についての現場感などをお聞かせいただけますか?
上田:まさにその影響は大きいと感じています。当社は創業時点での出資を主としていますので、シリーズB、C、Dと呼ばれる上場1年前から3年前に投資を行う会社とは異なり、当社の判断自体にはさほど影響を及ぼしていません。
当社は株主や経営陣と一体となり、どのように時価総額を伸ばしていくかを議論する立場にあります。おっしゃるとおり、時価総額100億円が1つのボーダーラインとなっていますので、創業直後、事業の早期から「これは大きくなっても数十億円だから、やってもしょうがないんじゃない?」といった目線を意識しながら取り組んでいます。
もう1点として、合従連衡の流れがあります。「実際にやってみたけれど、このままいけば20億円、30億円止まりだ。それならば2、3社合体して大きくしていきましょう」という機運が、当社だけでなく業界全体で高まっていますので、当社もそのような場面では積極的に合流していきます。
我々自身も、その合流のキーパーソンになろうとしており、直近ではシェアリングエコノミー業界で合併のような取り組みを行っています。そのような動きを進めていく立場になったと感じていますし、投資家として非常にうれしいことだと思っています。
これまでの操業を通じて、投資先が上場しても、数十億程度の規模感で留まってしまってはおもしろみに欠けると感じているのです。
「駄目もとでいい」と言ってしまうと語弊があるかもしれませんが、やはり100億円、1,000億円を目指す挑戦を続けるべきだと思います。タイミーが1,000億円規模にまで成長しましたが、そのような規模感を目指してほしいと思いますし、当社もそのサポートも積極的に行っていきたいと考えています。
kenmo:そのような企業を輩出できる会社でもあるということですね?
上田:おっしゃるとおりです。
注目されている投資先

上田:当社の投資先の中で注目いただいているのは、当社からカーブアウトしたTRUSTDOCKは、スマートフォンと免許証で本人確認を行うといった、eKYCサービス「TRUSTDOCK」を提供している会社です。
その他にも、当社の卒業生が創業した「ADDress」や、シェアリングエコノミーのカテゴリに属し、当社が出資・社外取締役の派遣を行っている「unito」があります。
「unito」は賃貸住宅の家賃負担を軽減するサービスで、外泊時にその間の住居を民泊として提供することで、家賃を下げるような仕組みを提供しています。
kenmo:ここに挙げられている企業について、現在の持分比率や、IPOまで保有し続ける方針なのか、途中で一部売却する可能性もあるのかなど、出口戦略を含めてお聞かせいただけますか?
上田:未上場企業における当社の持分比率や投資金額は、NDA契約により非開示となっていますので、その内容はお伝えできません。ただし、当社の投資ポリシーについては説明できると思いますので、少しお話しします。
当社としてはIPOを目指しているものの、高値でエグジットできるタイミングがあれば、必ずしもIPOにこだわらず、状況に応じて売却も検討するというポリシーです。
確かに、上場まで進めばより高い価格でのエグジットが期待できますが、我々の経験上、あと1年から2年で上場可能だと判断しても、結果的に達成できないケースもあります。そして、当社の強みはそこではないのです。
当社の強みは、設立初年度や2年目といった早い段階で資金を投入して数年間保有し、1.5倍から2倍程度の価値がついたタイミングで現金化した資金を別の投資先に再投資することで、より高いパフォーマンスを目指せると考えています。そのような方針に基づいて判断を行っています。
kenmo:よくわかりました。キャッシュを寝かせておくよりも、次の投資先へという方針を採用されているのですね。
上田:まさにそのとおりです。
TRUSTDOCK 本人確認をスムーズに実現

上田:各社の最近のニュースです。どの会社も非常に順調に事業を展開していると考えています。
こちらは先ほども少しご紹介した株式会社TRUSTDOCKです。
デジタルIDとオンライン本人確認eKYCを展開する株式会社TRUSTDOCK

上田:「TRUSTDOCK」アプリは累計300万ダウンロードを突破しています。
多拠点生活を叶える住まいのサブスク「ADDress」

上田:こちらは住まいのサブスク「ADDress」です。
多拠点生活プラットフォームを提供する株式会社アドレス

上田:こちらは株式会社アドレスにおける資本提携のお知らせです。
unito 会員数9万人突破

上田:「unito」の会員数は9万人を突破しています。
スタートアップスタジオの知見を起業家輩出支援として自治体へ提供

上田:続いて、スタートアップスタジオの知見を自治体に提供する事業についてご説明します。この事業では、自治体や教育機関に対して起業家輩出支援サービスを提供しています。
これは当社が創業時にイメージしていた事業ではありません。しかし、ソーシャルメディアやシェアリングエコノミーといったインターネットの最先端事業を進める中では、新たな事業を次々と立ち上げる必要がありました。
そのように会社全体で事業創出に意識を集中させた結果、多くのノウハウが蓄積され、実際に当社の社員が上場企業を次々と生み出していくことになったのです。
そこで自治体の方々から「22歳の社員を雇い、数年後には上場を果たすような状況を、どのように実現しているのですか?」という相談をいただくようになり、「これでお役に立てるのならば」と考え、起業家輩出支援を行うようになりました。
起業支援(スタートアップスタジオ)

上田:東京都をはじめとする自治体や企業から受託しているケースや、全国の教育機関や自治体から「起業ゼミ」として授業を受託しているケースもあります。この教育機関にはごく普通の中学校・高校なども含まれています。
起業家候補育成に関する取り組み

上田:当社はどのレイヤーにおいても起業家を輩出するノウハウをかなり蓄積していますので、その点でお役に立てるのではないかと考えています。
kenmo:自治体案件は年度末に集中する傾向があるのでしょうか?
上田:まさにそのとおりで、基本的にはその傾向が強いです。
kenmo:引き合いも増えてきているのでしょうか?
上田:本当に毎年多くの引き合いをいただいています。特に、以前ご契約いただいた自治体から「ガイアックスさんよかったよね」とリピートで契約をいただくことが多くなっています。
STARTUP SEMINAR

上田:「起業ゼミ」は、小学校、中学校、高校、大学生向けの教育プログラムです。数多くの地域で実施していますので、みなさまのお近くでも実施されているのではないかと思います。
分散型自律組織(DAO)の立ち上げ支援・ツール提供

上田:インキュベーション事業セグメントのビジネスについてご説明します。
DAOとは分散型自律組織のことです。DAOは少し説明が難しい部分があるものの、代表例としてはビットコイン自体がそのDAOに該当します。DAOは政府の管轄下にあるわけではなく、自律的に組織が動く形態を指します。
この分野についても当社はSNSを通じてファンコミュニティを運営してきた知見を活かし、取り組んでいます。
インキュベーション事業(web3/DAO)

上田:昨今では、自治体が地域を盛り上げるために地域全体が協力し合うだけでなく、さらに地域外の人々も巻き込みながらどのように盛り上げていくかという観点でDAOを有効活用するケースが増えています。
インキュベーション事業

上田:以上のような内容が、インキュベーション事業として構成されています。
インキュベーション事業 連結売上高の推移

上田:インキュベーション事業における連結売上高の推移です。2026年上半期は5億4,600万円となっています。
前年の第2四半期には株式売却があった一方で、今年は営業投資有価証券の売却がほとんどなく、前年同期比では下がっている状況です。
インキュベーション事業 連結営業損益の推移

上田:連結営業損益についても同様です。第2四半期に営業投資有価証券の売却がなかったことに加え、人件費の増加などが営業利益を押し下げているのが現状です。
目次

上田:ここからは中期経営方針とその状況についてご説明します。
中期経営方針(2023年-2027年度)

上田:中期経営方針は2023年度から2027年度までとして発表しており、今年はその4年目にあたります。ソーシャルメディアサービス事業では、BtoBビジネスを毎年着実に積み上げ、一定の営業利益を確保する方針です。
インキュベーション事業に関しては、この中期経営方針を発表する前は投資規模がかなり大きかったものの、現在は取り組みに慣れ、投資規律の徹底による安定成長、黒字、継続的な配当を方針としています。
2023-2027年度 中期経営方針 業績目標

上田:業績目標です。4年目となる今年は連結売上33億円、営業利益2億5,000万円を目標としています。最終年度には連結売上40億円、営業利益6億円を目指して進めています。
中期経営方針の進捗状況

上田:進捗状況です。2025年12月期は株式売却もあったため上振れしていました。現在は2026年度で、今まさに取り組んでいるところです。
kenmo:2027年度の営業利益目標が6億円、2026年度の目標が2億5,000万円ということは、最終年度に向けて大幅な増益が必要です。残りの3億5,000万円は、どの事業からどの程度見込んでいるのでしょうか?
上田:大きく2本柱があります。先ほどご説明した、注力している2つの事業、ソーシャルメディア事業と自治体から起業へのサポートを受託する起業家輩出支援事業がメインとなっています。
ソーシャルメディア事業は順調に事業を拡大しており、利益額も増加しています。問題となるのはショートドラマへの投資の判断です。現在、2027年度の利益目標を見据えて投資していますが、マーケットの動向次第で、どこまで投資を進め、どのタイミングで回収に移行するかの判断が重要だと考えています。
株式の売却については、中期経営方針を立てたタイミングで、毎年ある程度売却を進めることを想定しています。ただ実際には、株価が売却に適しているタイミングもあれば、そうでないタイミングもあるため、調整しながら売却を進めていますが、一定の売却分は見込んでいます。
kenmo:ショートドラマへの投資に関するお話もありましたが、例えば将来的に、10億円、20億円という営業利益を見込める場合、2027年の営業利益目標を一時的に下げてでも、将来の利益成長を優先するお考えはあるのでしょうか?
上田:新しい産業であるため、常にさまざまなパターンを社内で議論しています。計画を変更する場合は、そのタイミングで開示します。
2026年12月期 業績見通し

上田:2026年12月期の業績見通しです。売上高33億円、営業利益2億5,000万円を目標に進めています。
株主還元方針

上田:株主還元方針については、期末配当を5円とする予定です。
株主還元方針

上田:2026年6月22日開催の取締役会において、自己株式の取得を決議し、実行しているところです。以上が株主還元方針です。
質疑応答:新規事業の黒字化期間と投資回収基準について
kenmo:「先行投資が重なる一方で、株主は事業数を増やすことよりも最終的に企業価値や利益をどれだけ生み出すかを重視しています。現在取り組んでいる新規事業の黒字化までの期間や、投資の回収基準について、具体的な基準が設定されているのか教えてください」というご質問です。
上田:当社には多くのサービスブランドやサービスロゴがありますが、私たちは闇雲に事業を増やすつもりはありません。ソーシャルメディアやシェアリングエコノミーの分野で「人と人をつなげる」という強みを軸にしており、その市場は今後も伸び続けていくと考えています。
ただし、サービスレベルでさらに細分化すると、さまざまなソーシャルメディアに対応せざるを得ない状況が続いており、その結果としてブランドだけは増えているのが現実です。そのような状況の中で、多様なサービスが展開されています。
当社はベンチャー業界に属する企業として、いかに省コストで市場に対して売れるかを模索し、売れる見込みのあるものには積極的に投資を行うことを常に意識しています。
現在、株主のみなさまへのご説明に値する新規事業としては、大きなものとしてショートドラマが挙げられます。次に検討しているのは人材支援事業です。それ以外の事業については、現時点ではさまざまな投資を行っていますが、小規模な予算内で進めている認識です。
ショートドラマについても、初めは課金系のサイトにショートドラマをアップし、エンドユーザーに100円や200円で購入していただくビジネスや、その海外販売などにも取り組んでいました。
そのような試行錯誤の中で、自分たちのSNSで無料公開しながら、チャンネルの再生回数をどんどん増やし、広告収入で収益を得るモデルが最も効果的であることがわかり、結果的にそこに活動が集約されています。
このマーケットにどの程度投資するかについては、今後の市場成長を見極める必要があります。
視聴者がショートドラマを視聴する時間が増加していくのか、テレビや「Netflix」の視聴時間を減らしてショートドラマに流れるのか、さらには、当社がテレビや「Netflix」に流れるようなクオリティのコンテンツをローコストで制作できるかどうかを見極めながら投資を進め、必要に応じてどこかの段階で投資額を見直していく方針です。
質疑応答:今後3年間の収益性改善目標について
kenmo:「既存事業ではソーシャルメディア関連サービスが重要な位置を占めていますが、一方で、人件費など固定費が大きいビジネスでは、売上の成長がそのまま利益成長につながらない可能性があると思います。売上の拡大だけでなく、1人当たり売上高や営業利益率をどのように改善していくのか、今後3年間で目指す収益性の水準や目標についてお聞かせください」というご質問です。
上田:収益性に関して一言でお伝えすると、既存ビジネスにおける収益性はそれほど悪化していないと考えています。
主に新規投資が経費の増加を招いていますが、その比率自体は一定水準を維持しており、既存事業に限定して見ると売上に応じて利益も同じ割合で増加しています。
「1人当たり利益」という観点では、当社も日々そのことばかり考えていると言っていいほどに重視しています。特に重要なのは、やはりAIです。AIがいかに当社ビジネスにダメージを与えるのか、またAIがいかに当社の利益率を向上させるのか、この2つを常に注視している状況です。
幸いなことに、当社のお客さまは、良くも悪くも「そこまで効率化しなくていいですよ」といったスタイルの方々が多いと感じています。
例えば、街のレストランや小売店などに向けたサービスでは、AIオリエンテッドな「コストゼロでやってください」といったものが出てくる可能性もあります。
しかし、当社のお客さまに関して言えば、AIを活用すること自体には問題はないものの、それ以上に、クライアントの意思決定プロセスや過去の社内文化、大切にしているブランドの価値観を踏まえ、当社のコンサルタントが対面で打ち合わせをしながら、それらの要素をどのように進めていくかが重要な土台となっています。
もちろん、私たちの後工程においては、ケースバイケースではありますが、1人当たりの利益率を引き上げるためにAIを有効活用できるのではないかと考えています。
質疑応答:DAO関連事業の収益性と投資方針について
kenmo:「DAOやweb3が御社の特徴的な領域です。しかしながら、社会的な注目度と事業としての収益性が必ずしも一致するわけではありません。
特にDAOの関連事業において、ユーザー数やプロジェクト数だけでなく、粗利や継続課金といった事業として成長を判断するためのなんらかのKPIを設けていますか? また、利益貢献を実現できない場合、投資配分の見直しや撤退といった可能性もあるのでしょうか?」というご質問です。
上田:当社のDAO関連ビジネスについては、正直なところ、売上も損益レベルも他の事業に比べてまだ小規模であり、連結決算に大きなインパクトを与える状況ではありません。
当社としては大規模な投資を行うつもりはなく、DAO業界内では比較的投資をしているほうではあるものの、当社全体の中でも小規模な投資規模となっています。
当社が現在注目しているのは、地方の活性化に関してDAOが注目されている点です。現在、政府では国土交通省が多拠点居住や二拠点居住を大きく打ち出していますし、総務省からはふるさと住民登録制度が提案されています。
DAOにより地域全体で資金を出し合い、地域内にビジネスを創出する考え方は、まさにこれらの取り組みに合致していると思います。
各省庁や日本全国の自治体での普及は進んでいませんが、この分野で当社はかなりのポジションを確立しています。これは検索エンジンでDAOを調べていただければおわかりいただけると思います。今後もこの分野でシェアを広げていきたいと考えています。
これらは純粋なBtoCビジネスではなく、会員数を集めるような話でもありません。スタートアップスタジオを自治体に販売するような形態のビジネスですので、今後も投資額が大きく膨れ上がることはないと考えています。
上田氏からのご挨拶
上田:私どもガイアックスは、人と人をつなげるサービスが次々と世の中に登場している中で、非常によい事業分野を選んでいると考えています。
そのような中で、現在はショートドラマやスタートアップスタジオ、先ほど申し上げたDAOなどの分野で、一番手のポジションをしっかりと維持し、その産業を大きくすることで、ガイアックス自体の成長につなげていきたいと考えています。
みなさまからのご支援に心より感謝申し上げます。引き続き尽力していきますので、どうぞよろしくお願いします。
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