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クリングルファーマ株式会社4884

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医薬品

アジェンダ

安達喜一氏:みなさま、こんにちは。クリングルファーマ株式会社代表取締役社長の安達喜一です。本日は2026年9月期第3四半期の決算について、事業進捗とあわせてご説明します。よろしくお願いします。

こちらが本日のアジェンダです。はじめに、2026年9月期第3四半期のトピックスについてご説明します。続いて、開発パイプラインの進捗状況として、第1パイプライン「脊髄損傷急性期」、第2パイプライン「声帯瘢痕」についてお話しします。

続いて、2026年9月期第3四半期の決算概況についてお話しし、最後に成長戦略についてご説明します。

会社概要

当社は、「難治性疾患治療薬の研究開発を行い、難病に苦しむ患者さまに対して画期的な治療手段を提供し、社会に貢献すること」を企業理念とする大学発の創薬バイオベンチャーです。現在、再生創薬シーズであるHGFの医薬品開発に注力しています。

HGFは日本語で肝細胞増殖因子という名称で、肝細胞の「肝」は肝臓を指します。もともと肝臓の再生に関わるタンパク質として日本で発見された、体内に存在するタンパク質です。

その後の研究により、HGFは肝臓だけでなく、さまざまな組織や臓器で「再生」や「修復」、「保護」を担う非常に重要なタンパク質であることがわかっています。また、HGFは細胞を増殖させるだけでなく、細胞を保護する働き、抗線維化、血管新生など、多岐にわたる生物学的機能を1つのタンパク質が持つという、ユニークな性質も明らかになっています。

さらに、HGFは非常に複雑な構造を持つタンパク質であるという特徴があります。スライドの左側に二次構造のイラストが示されています。

692個のアミノ酸が連なり、19個の分子内架橋を持つ非常に複雑な立体構造となっています。イラストの上部にはクローバーのような構造があり、これがクリングル構造と呼ばれるタンパク質のモチーフであり、当社の社名の由来ともなっています。

当社の強みは、HGFという非常に複雑なタンパク質を、医薬品のグレード、すなわちGMPグレードの組換えタンパク質として製造できる点にあります。

世界中でもHGFタンパク質を医薬品のグレードできちんと製造し、その製品を使って複数の臨床試験を実施し、人におけるデータを蓄積しているのは当社だけという状況です。

このHGFはすでに国際一般名称が決定しており、「Oremepermin Alfa(オレメペルミン アルファ)」という名前が付けられています。

2026年9月期第3四半期のトピックス(後発事象を含む)

こちらのスライドは、2026年9月期第3四半期のトピックスをまとめたものです。この四半期において、新たにさまざまな成果を達成しました。「New」と記載されている箇所が成果を示しています。

まず、国内レイトステージの開発パイプラインの進捗についてです。脊髄損傷急性期における第Ⅲ相の追加試験を、いよいよ開始することが決まりました。これについては、6月に治験計画届書をPMDAに提出し、7月に調査が完了しました。今月から症例の組入れがスタートしています。

2つ目の声帯瘢痕については、丸石製薬さまと国内における独占的販売に関する基本合意に達しました。

一方、成長戦略の実現につながる進捗として、脊髄損傷急性期では今年4月に慢性期脊髄損傷の治療剤に関する特許が日本で成立しました。また、欧州では希少疾病用医薬品指定を取得しました。

今年の4月から5月にかけては、国内外の主要な学会で口頭発表を行いました。6月には慶應義塾大学とタンパク質のバイオマーカーに関する新たな共同研究を開始しました。

また、7月には国際的コンソーシアム「SCI PFDD」に参画し、さらに国際学術誌に第Ⅲ相試験の結果が論文として掲載されました。

一方、私たちのパートナーであるアメリカのクラリス・バイオセラピューティクス社(以下、クラリス社)による眼科疾患における開発も順調に進んでいます。この7月には資金調達や今後の開発計画、経営体制の強化についてクラリス社から発表がありました。

開発パイプラインの概要

当社の開発パイプラインの進捗状況についてご説明します。こちらは、毎回ご紹介している臨床段階にある4つのパイプラインの概要です。

第1パイプラインである脊髄損傷急性期は、いよいよ第Ⅲ相の追加試験が開始されました。症例の組入れが今月から始まっており、治験実施中と記載しています。

第2パイプラインである声帯瘢痕については、第Ⅲ相試験を実施中です。すでに症例の組入れは完了しており、現在は経過観察の期間に入っています。

第3パイプラインのALSについては、第Ⅱ相試験まで終了し、現在バイオマーカーの追加解析を行っています。

最後に、第4パイプラインの急性腎障害については、アメリカで第Ⅰ相試験が終了しており、第Ⅱ相試験のためのパートナーを探索している段階です。

開発パイプライン-脊髄損傷急性期-

第1パイプラインの脊髄損傷急性期についてご説明します。日本では、年間約6,000人が新たに脊髄損傷になる状況です。その原因は転倒や事故などですが、最近では高齢化社会に伴い、高齢者の転倒や転落による脊髄損傷が増加している現状があります。

損傷部位が脳に近いほど広範な麻痺が残り、薬剤や手術による根本的な治療法がなくアンメット・ニーズの高い疾患です。患者さまはもちろん、ご家族や介護される方の負担も非常に大きく、医療経済効果の観点から見ても影響が大きい疾患です。

脊髄損傷急性期にHGFに期待する治療効果

おさらいとして、脊髄損傷の急性期におけるHGFの治療効果をイラストで示しています。

脊髄損傷で最初に起こる損傷は一次損傷と呼ばれます。急性期では、一次損傷から周囲の細胞組織が次第にダメージを受け、損傷範囲が広がる「二次損傷の拡大」という現象が起こります。

最終的に慢性期に至ると、損傷範囲が瘢痕化および空洞化し、神経伝達が上から下へ伝わらなくなることで、運動機能や感覚機能が低下することになります。

一方で、急性期における二次損傷の拡大を抑制できれば、患者さまの予後が改善することがわかっています。しかし、現時点ではこの二次損傷を抑える治療薬が存在しない状況です。

そこで、HGFの多様な作用機序により二次損傷の拡大を抑制することで、患者さまの機能回復を期待するというのがHGFの作用機序です。

HGFには、神経保護、抗炎症作用、血管新生、軸索再生、再髄鞘化、シナプス可塑性の増強といった多面的な働きがあります。これらの作用を組み合わせることで、脊髄損傷急性期における二次損傷の拡大を抑える効果が期待されています。

脊髄損傷急性期 第III相試験 -重症度の改善、第I/II相との比較-

当社はすでに2本の臨床試験を終了しています。第Ⅰ/Ⅱ相試験はプラセボ対照二重盲検比較試験として実施しました。第Ⅲ相試験は単群非盲検試験で、総合せき損センターにある患者さまのヒストリカルデータベースを比較対象として用いています。

こちらのスライドの4本のバーは、重症度の改善状況を色分けして示しています。いずれの試験も、重症度Aである完全麻痺の患者さまのデータです。

スライド左側の2本のバーは、総合せき損センターのデータベースと第Ⅲ相試験のデータを比較したものです。バーのグレー部分は、重症度Aで6ヶ月後も改善が見られなかった患者さまの割合を示しています。薄い青色は、重症度AからB以上に改善した患者さまの割合を示し、重症度Bは感覚が回復した状態です。濃い青色は、重症度AからC以上に改善した患者さまの割合を示し、重症度Cでは運動機能が回復した状態を意味します。

第Ⅲ相試験では、重症度AからC以上、2段階以上の改善はデータベースよりも増加しましたが、統計的な有意差は確認されませんでした。一方、1段階の改善である薄い青色の部分では、データベースの19.8パーセントに対し56パーセントと非常に大きな改善が観察され、統計的な有意差も確認されています。

また、第Ⅲ相試験に先行して行われた第Ⅰ/Ⅱ相試験では、重症度AからC以上への2段階以上の改善が最も大きな改善が確認された部分であり、プラセボの6.2パーセントに対して、実薬では26.7パーセントの改善が見られました。

どちらの試験を通じても、重症度の改善傾向が再現されています。ただし、1段階以上の改善なのか、2段階以上の改善なのかという点については、2つの試験で相違が見られました。この結果は、国際学術誌「Journal of Neurotrauma」に論文として掲載されています。

脊髄損傷急性期 2つの臨床試験の患者背景に関する比較考察

こちらのスライドは、2つの臨床試験の比較考察をまとめたものです。一番大きな違いは、第Ⅲ相試験がコロナ禍で実施されたのに対し、第Ⅰ/Ⅱ相試験はコロナ禍以前に完了している点です。

第Ⅰ/Ⅱ相試験では、組入れた患者さまの多くが高齢者の転倒・転落による、いわゆる中心性頚髄損傷の脊髄損傷の方でした。一方、第Ⅲ相試験では、壮年層の交通事故など高エネルギー外傷を伴う、より重度な症例が多くみられました。

したがって、第Ⅰ/Ⅱ相試験では重症度Cまで、あるいは運動スコアが10点以上改善する症例が多くみられましたが、第Ⅲ相試験では重症度B、あるいは運動スコアが5点以上改善した症例は多かったものの、重症度Cまで改善する患者さまは少なかったです。患者さまの背景が異なったことが、このような差を生じさせたと考えています。

これら2本の試験結果や考察を踏まえ、PMDAとの協議を経た結果、最終的に承認申請に向けて追加の臨床試験を実施し、データをさらに補完する方針となりました。

その結果、今年4月にPMDAとの対面助言が終了し、6月に治験計画届書を提出、7月には調査が完了し、追加試験を開始できる状況となりました。

脊髄損傷急性期 追加治験のコンセプト

こちらのスライドは、追加治験のコンセプトを示しています。基本的に追加治験であり、第Ⅲ相試験と同じデザインとなっていますが、これまでの2本の試験の結果から、重症度Aの完全麻痺の重度な患者さまが非常にヘテロな集団であることがわかりました。

このヘテロな集団の中でも、特に重症ダメージが大きな症例では、HGFを投与しても2段階の改善を期待するのは難しく、効果が見えにくいことが明らかになっています。そのため、重症ダメージの大きな症例をなんらかの基準で選別することを検討しました。

これまでの2本の臨床試験データと、総合せき損センターのデータベースを詳細に精査し、最終的にPMDAとも協議した結果、2つの除外基準を設定しました。

1つ目は「脊髄圧迫率70パーセント以上の患者さま」、2つ目は「脊髄断裂が強く疑われる患者さま」です。これらの除外基準は、重症度Aの中でも特に重度で受傷ダメージが大きい患者さまを対象にしており、受傷直後のMRI画像をもとに治験実施施設の先生方が判断することとしました。

このような受傷ダメージがより大きい症例を選定することで、HGFの効果がより明確に見られる患者さまを絞り込み、高い奏効率が期待できるため、小規模な治験が可能となります。

脊髄損傷急性期 第III相追加試験の概要

こちらのスライドは、最終的な追加試験の概要を示しています。繰り返しとなりますが、基本的にはすでに終了した第Ⅲ相試験とほぼ同じデザインです。ただし、最も大きな違いは、先ほど申し上げた除外基準にあります。スライドで黄色にハイライトした2つの除外基準を新たに設けています。

これにより、目標症例数が10例という非常に小規模な試験デザインが可能となりました。治験実施施設は、北海道せき損センター、村山医療センター、総合せき損センターと、これまで2本の試験を行った脊損専門の国立病院で実施します。

今月から症例登録の組入れが開始されており、保守的に2028年6月を症例登録期間の終了時期として予定しています。主要評価項目は、6ヶ月後の重症度がAからC以上に改善した症例の割合と設定しています。

脊髄損傷急性期 第III相試験の論文掲載

すでに終了している第Ⅲ相試験について、7月に論文が掲載されました。「Journal of Neurotrauma」という非常に権威のある国際的な学術誌に、試験結果が公開されています。

先ほどのスライドで示した、重症度AからC以上への改善や、重症度AからB以上への改善についても記載されています。また、今回新たに事後解析で観察された非常に興味深いデータについても掲載されています。それが、赤枠で囲まれている「MRI画像で見られる異常領域の縮小」に関するものです。

脊髄損傷急性期 第III相試験の論文:MRI画像でみた脊髄内高信号の局在化

こちらのスライドは、MRI画像で見た脊髄内の高信号の局在化について説明しています。スライドには背骨のイラストが描かれていますが、背骨の中に脊髄があります。その外側には、髄液が流れているスペースである脊髄腔があります。

事故などによって脊髄が損傷することで脊髄損傷となりますが、二次損傷が進行すると損傷範囲が広がります。慢性期になると赤色で示した損傷範囲がさらに拡大していきます。これをMRIで見ると、高信号領域として損傷範囲が確認できます。

スライド右側のMRI画像では、中央付近の白い広がりが損傷範囲になります。一部の患者さまでは、MRIにおける高信号領域が非常にコンパクトに局在化する現象が観察されます。スライド右下のMRI画像がこのケースを示していますが、これは損傷範囲が縮小していることを意味しています。

特に注目すべきは、第Ⅰ/Ⅱ相試験のプラセボ群とHGF投与群、そして第Ⅲ相試験のHGF投与群において、MRI画像における脊髄内高信号の局在化が見られる患者さまの割合を比較した結果です。HGF投与群では、非常に高い割合で局在化が起きていることがわかりました。

具体的には、プラセボ群では30パーセント程度ですが、HGFを投与した群では半数以上、第Ⅰ/Ⅱ相試験では3分の2程度の患者で局在化が観察されています。

HGFを投与することで二次損傷をできるだけ抑制し、損傷範囲を小さくするという効果を期待しています。このMRI画像の高信号領域の局在化は、まさに損傷範囲の縮小およびHGFによる二次損傷の抑制を画像が示しているといえます。非常に興味深いデータが、この解析から得られました。

脊髄損傷急性期 国内上市後のサプライチェーン

脊髄損傷急性期における上市後のサプライチェーンについて、振り返りとなりますがご説明します。

当社が製造販売承認を取得し製造販売元となり、丸石製薬さまが総販売元、東邦ホールディングスさまが卸売・流通を担うという一手販売・一手卸の形で、各救急病院へ薬が運ばれるサプライチェーンがすでに確定しています。

この件については後ほど、声帯瘢痕のサプライチェーンについてもお話ししますので、記憶に留めていただけると幸いです。

開発パイプライン-声帯瘢痕-

第2パイプラインである声帯瘢痕についてご説明します。声帯とは、喉の奥にある声を出すための非常にデリケートな組織で、表面が粘膜、内側が筋肉と靭帯からなる層構造を持っています。

この両側の声帯は、1秒間に200回から300回という非常に高速な振動によって声を出します。しかし、この声帯がなんらかの原因で線維化し硬くなると、正常に振動しなくなります。

その結果、初期段階では声がかすれる程度ですが、進行すると声が出なくなる場合もあるという難病が発生します。これが「声帯瘢痕」です。

だいたい国内では1万人ほどの方が声帯瘢痕と診断されていますが、有効な治療薬や治療法が存在せず、アンメット・ニーズの高い線維化疾患です。

線維化疾患に共通の病態をターゲットとするHGFの作用機序

こちらのスライドも振り返りになりますが、HGFの抗線維化作用をイラストで示しています。線維化とは、線維芽細胞が筋線維芽細胞へ分化し、その後増殖してコラーゲンのような細胞外マトリックスという硬い物質を産生することで起こります。

これは、TGF-βという生体内タンパク質が関与していることが知られていますが、HGFはこれに対して抗線維化の作用を持っています。

具体的には、HGFは筋線維芽細胞の増殖を抑制するほか、細胞死を誘導します。また、コラーゲンのような細胞外マトリックスを分解する酵素を多く産生させる一方で、ヒアルロン酸やエラスチンといった柔らかい成分の産生を促進する作用も持っています。

線維化疾患に対するHGFの治療ポテンシャル

HGFは声帯瘢痕だけでなく、多様な線維化疾患に対しても抗線維化の作用があることが論文で発表されています。こちらに示されたとおり、声帯瘢痕、肺線維症、腎硬化症、肝硬変、拡張型心筋症といった声帯以外の線維化疾患に対しても動物モデルで効果が確認されています。

この実験結果から、線維化疾患の共通の病態にHGFが作用することがわかり、HGFが声帯瘢痕以外のさまざまな線維化疾患に応用可能であることが明らかになっています。

声帯瘢痕 第I/II相試験の結果

当社はすでに患者さまを対象とした第Ⅰ/Ⅱ相試験を終了しています。本試験はオープンラベルの用量漸増試験として実施し、3つの用量でHGFタンパク質を声帯両側に局所注射してその効果を観察しました。

安全性についてはまったく問題がなく、有効性についてはスライド右側の3つの指標で改善傾向が認められています。

上から「VHI-10」、これは患者さまの主観的な評価をスコア化したものです。

真ん中の「GRBAS」、これは専門の第三者が患者さまの声を聞き、声の出方を判断する指標です。一番下は、声帯の振動振幅についての物理的な機能評価です。

これら3つの指標はそれぞれ評価の観点が異なりますが、いずれの指標においても改善傾向が認められたことから、非常に有望なデータが得られました。

なお、スライド中央下部の写真が声帯となりますが、この声帯の局所に対し、スライド左側に示されている長い注射針を使用してHGFタンパク質を注射するという投与方法です。

声帯瘢痕 第III相試験(医薬品開発の最終段階)

現在、第Ⅲ相試験の最終段階として、プラセボ比較のダブルブラインド(二重盲検)試験を実施中です。今年1月には患者さまの組入れが終了しており、最終的に65症例を組入れての完了となりました。

現在、経過観察を行っており、最終症例の経過観察終了は来年の1月を予定しています。トップラインデータは来年前半には得られる見込みです。

声帯瘢痕 国内上市後のサプライチェーン

こちらは、声帯瘢痕の上市後のサプライチェーンについて示したものです。脊髄損傷の場合と同様に、当社が製造販売元となり、総販売元を製薬企業、卸売・流通を医薬品卸の会社に担っていただくかたちで、一手販売・一手卸のサプライチェーンを構築する方針です。

脊髄損傷と同様に、丸石製薬さまを総販売元として基本合意に達することができました。最終契約は9月までに締結する予定です。医薬品の卸については、声帯瘢痕に関してまだ未定です。

なお、脊髄損傷用の薬と声帯瘢痕用の薬は、まったく異なる製剤であり、別ブランドで販売する予定です。用量と用法に違いがあります。脊髄損傷用の薬は1バイアルに1mgのHGFが入った凍結乾燥製剤ですが、声帯瘢痕用の薬は投与量が少ないため、1バイアルに100μgのHGFが入った凍結乾燥製剤となります。バイアルのサイズも異なり、それぞれ別のブランド名で販売することになります。

2026年9月期第3四半期 経営成績の概況

続いて、2026年9月期第3四半期の決算概況についてお話しします。まず、経営成績の概況についてです。損益計算書は前年との比較で示しています。

主なポイントとして売上ですが、第3四半期には3億2,300万円を計上しました。この要因は、クラリス社への原薬供給および技術アクセスフィーによるものです。

前期は技術アクセスフィーのみでしたが、第3四半期には原薬供給が加わったことで、その分売上が上方修正されています。この原薬はGMPグレードのものであり、売上原価として7,000万円を計上しました。

一方、研究開発費は前期と比べて約6,000万円増加し、合計で6億2,300万円となっています。この内訳は、脊髄損傷の追加治験準備費用、アメリカでのIND申請準備費用、声帯瘢痕の治験費用が主な要因です。

販売管理費は8億8,700万円、営業損失は6億3,300万円、四半期純損失は6億3,100万円となっています。

2026年9月期第3四半期 財政状態の概況

財政状態の概況です。貸借対照表の概要を前期末と比較して示しています。前期末と比べて、ほぼ同じような数字となっています。

現預金は16億9,500万円です。これは、MSワラントによる資金調達の増加に加え、クラリス社への原薬販売が影響しています。一方で、研究開発費の支出もありましたが、前期末とほぼ同じ水準の現預金で推移しています。

資産合計は19億9,600万円です。一方で負債も前期末とほぼ同じ水準で推移しており、自己資本比率は前期末が61.5パーセントだったのに対し、第3四半期末は60.9パーセントと、ほぼ同水準を維持しています。

新株予約権発行による資金調達 進捗状況

新株予約権発行による資金調達の進捗状況です。約1年前にいわゆるMSワラントの手法で資金調達を開始し、行使が進んでいます。行使の状況ですが、7月末時点で発行済み新株予約権の87.6パーセントが行使完了しており、合計6億4,100万円の資金調達を達成しています。残りは12.4パーセントです。

クリングルファーマの成長戦略

成長戦略についてご説明します。こちらは、毎回提示している成長戦略の矢印です。まずは国内において、脊髄損傷と声帯瘢痕の2つのパイプラインについて、自力で第III相試験を終了し、薬事承認を取得することが最も大きな目標となります。

脊髄損傷については、今月ようやく追加試験がスタートし、費用については先ほどの資金調達でカバーする予定です。一方、アメリカでは現在、IND治験申請の準備を進めており、こちらについては提携パートナーを得て、共同開発のようなかたちで第III相試験を進めたいと考えています。

声帯瘢痕については、来年に第Ⅲ相試験が終了する予定であり、それをもって承認申請に進む計画です。また、市販用製剤の開発は資金調達で対応する予定です。

クリングルファーマの成長戦略:3本の矢

こちらは当社の成長戦略を「3本の矢」で示しています。まず、1の矢として国内で2製品を上市すること、2の矢として海外市場にリーチすること、3の矢として適応を拡大しHGFの価値を最大化することです。

これら「3本の矢」を確実に達成することで、創薬ベンチャーからバイオ製薬企業へと成長する未来を描いています。

成長戦略1:国内で2製品を上市する

まず、1の矢の国内で2製品を上市する計画については、脊髄損傷急性期および声帯瘢痕に関する製品です。

脊髄損傷急性期については、治験第Ⅲ相の追加試験がスタートしており、このデータをもとに承認申請を進める予定です。また、声帯瘢痕については、来年、第Ⅲ相試験の結果が出る見込みであり、これに基づき承認申請に必要な市販用製剤の試験製造にも着手しました。

国内で2製品を着実に上市することにより、東証グロースの上場維持基準をクリアすることを目指しています。

成長戦略2:海外市場にリーチする

2つ目は海外市場へのアクセスです。当社が開発している脊髄損傷急性期、声帯瘢痕、ALSはいずれも希少疾患であるため、日本国内では患者数が限られ、市場規模も制約されます。

一方でHGFは日本人だけでなく、世界中の人々への効果が期待できるため、いち早く世界展開を進めることで、世界規模の大きな市場を獲得したいと考えています。

まずは脊髄損傷急性期について、北米での開発を先行させ、アメリカでの承認を取得することで、グローバルスタンダードとしての地位を確立したいと考えています。

成長戦略3:適応拡大する

3つ目は適応拡大です。HGFが発見されて以来、多くの研究が行われており、HGFを投与することで効果が期待できる疾患について、動物モデルで効果が確認された論文が多数発表されています。その例をスライド右側に挙げています。

当社が現在開発している脊髄損傷、ALS、声帯瘢痕、急性腎障害から、いかに効果的に適応拡大を進めるかが、当社の今後の成長に直結する重要な課題となっています。

各疾患の患者数を示していますが、これを合計すると全世界で20億人という非常に大きなメディカルニーズへの適応ポテンシャルがあることがわかります。

脊髄損傷急性期から慢性期への知財戦略 -慶應義塾大学との共同研究-

とりわけ、私たちが現在適応拡大として考えている2つの柱についてお話しします。1つ目は、脊髄損傷の急性期から慢性期への展開です。これは慶應義塾大学との共同研究の成果でもあります。

当社は現在、急性期に対してHGFタンパク質単剤での承認取得を目指しています。すでに慶應義塾大学で実施した動物モデルの試験では、急性期にHGFを投与し、亜急性期にiPS細胞を移植することで、さらに効果が高まることが確認されています。この研究については特許出願も行っています。

さらに、慢性期にはHGFタンパク質とスキャフォールドを投与し、その後にiPS細胞を移植することで、より高い効果が得られることが明らかになっています。これについては論文が発表され、特許出願も済んでいます。これについては、日本において今年4月に特許が成立しています。

当然ながら、慢性期にすでに脊髄損傷で苦しんでいる方は、日本国内で約10万人から20万人に上ると言われています。急性期に新たに脊髄損傷となる方の数と比べると、遥かに多くの方が苦しんでいる状況です。

慢性期にHGFを使用できるようにすることが、私たちの長期的な目標です。

声帯瘢痕から他の線維化疾患への展開

もう1つの適応拡大として、声帯瘢痕をきっかけとした線維化疾患への展開があります。

先ほど示したように、HGFには線維化疾患に共通する病態を抑制する抗線維化作用があります。そのため、声帯瘢痕だけでなく、その他の線維化疾患への適応が考えられます。

慢性腎不全や心筋梗塞、肝硬変など、これらは非常に大きな市場でありながら、競争が激しい領域です。大手の製薬企業がこぞって医薬品開発を進めている分野でもあります。

一方、私たちが声帯瘢痕から取り組む理由は、ここには競合製品がなく、いわゆるブルーオーシャンであるためです。この声帯瘢痕からスタートし、HGFの抗線維化作用を臨床で確実に証明し、薬事承認を得ることで、さらに他の線維化疾患へと適応を広げていく戦略を立てています。

現在、次のターゲットとして肺線維症に着目し、金沢大学との共同研究を進めています。

クリングルファーマのビジョン

これが最後のスライドになります。当社はビジョン「患者さんに新薬を、人々に笑顔を」というスローガンのもとで事業を進めてきましたが、今後も引き続きこのスローガンを掲げて事業に取り組んでいきます。

まず、HGFを脊髄損傷および声帯瘢痕の治療薬として確実に社会に実装し、その後適応拡大や海外展開を通じて、バイオ製薬企業への成長を目指していきます。

さらに最終的には、日本で開発された優れた医薬品をクリングルファーマというビークルを通じて、日本だけではなく世界中に新しい価値を提供していきます。

そのようなバイオ製薬企業へと成長していきたいと考えています。以上です。今後ともご支援のほど、何卒よろしくお願いします。ご清聴ありがとうございました。

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