logmi Finance
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多くの投資家が関心を寄せる半導体市場の今後について、不安を抱えている方も少なくないのではないでしょうか? 今回は株式会社hands代表取締役社長の塩谷航平氏が、半導体業界の未来と注目すべきポイントについて解説しました。(※2026年7月21日公開のYouTubeチャンネル「PERAGARU株つらひチャンネル」に基づく内容です)

半導体は今後どうなってしまうのか…?不安な人のために解説します。

ーー今日のテーマは半導体の未来についてです。半導体の未来が気になりすぎて、夜も眠れません。以前の動画で私が「半導体ETFを買っている」という話をしましたが、私だけではなく、多くの人が何かしら半導体関連の銘柄を買っていると思うのです。

塩谷航平氏(以下、塩谷):そうですよね。個別株をやっている人は、買っていないとついていけない状況です。

ーー買っていない人はいないのではないかと思うので、全員が見るべき動画にしたいと思っています。

塩谷:では、半導体の未来を語っていきましょうか。

半導体市場の全体像

塩谷:私のわかる範囲だと半導体にはたくさんの種類があるのですが、中山さんは混同されていると思うので、ざっくりとご説明します。基本的に今の半導体活況相場は、AI需要に引っ張られているというのはご理解いただけますよね。

AI需要という文脈で関連する半導体は、主にメモリ半導体とロジック半導体です。この2つがメインで注目されるところだと思います。

ーーメモリ半導体とロジック半導体があるのですか? わからない人のためにご説明をお願いします。

塩谷:メモリ半導体は、キオクシアなどがよく名前の挙がる分野で、NANDやDRAMといった、いわゆるメモリを作っているメーカーが関連する種類の半導体です。

ーーキオクシアはわかりますが、フジクラも同じですか?

塩谷:違います。

ーー東京エレクトロンは同じですか?

塩谷:違います。

ーーアドバンテストはどうですか?

塩谷:それも違います。

ーーこれらはすべて同じ半導体メーカーではないのですか?

塩谷:メモリ半導体メーカーとして今の会社名が出てくるのは、理解が追いついていないかもしれません。

ーー半導体にそんなに種類があるとは知りませんでした。

塩谷:東京エレクトロンやアドバンテストは、半導体を作るための装置を販売している会社です。フジクラは光配線や光ケーブルを販売している会社なので、ぜんぜん違います。

ーーでも、すべてAIに関係している仲間ですよね。

塩谷:そうですね。フジクラは光勢と言えます。半導体勢の中に半導体製造装置勢とメーカー勢がいて、メモリ半導体メーカー勢に関しては、日本では主なプレイヤーがキオクシアしかいないので、キオクシアの名前がよく出ます。一方で、半導体製造装置勢は強い企業が日本にたくさんあるので、アドバンテストや東京エレクトロンなど、いろいろな名前が出てきます。

ーーメモリ半導体メーカーはキオクシア以外にもあるのですか?

塩谷:グローバルで有名なところだと、日本にはないですね。

ーーだからキオクシア一強になっているのですね。

塩谷:一強というより、一番注目されているという感じです。昔はエルピーダというDRAMを作っていたメモリ半導体メーカーもありましたが、潰れてしまいました。もしエルピーダとキオクシアが残っていたら、グローバルで活躍していた世界線もあったかもしれません。しかし、今のメモリ半導体メーカーは基本的にキオクシアという認識でいいと思います。

ーーそれで言うと、NVIDIAは何になるのですか?

塩谷:NVIDIAはロジック半導体です。

ーー「半導体」という理解ではあったのですが、それは合っていたということですね。なんとなく全貌が見えてきました。

塩谷:これまではメモリ半導体とロジック半導体が基本的に市場を牽引してきたという感じです。

今後注目すべきは「パワー半導体」と「先端パッケージ」

ーーお話しいただいた銘柄のほとんどが、すでに株価が上がりきっていると思います。ここから持ち続けるのか、売るのか、買い増すのか、みなさまが迷っているはずです。半導体は、この後どうなってしまうのでしょうか?

塩谷:それは誰にもわかりません。私が知っている範囲で言うと、AI相場で注目されてきたのはメモリ半導体とロジック半導体がメインでしたが、それ以外にも半導体はあります。今、私が一番注目しているのはパワー半導体です。

ーーパワー半導体とは何ですか?

塩谷:パワー半導体は、電圧をいい感じに安定させたりするもので、メモリ半導体やロジック半導体よりももう少し幅広く、EV(電気自動車)やPCなど、いろいろな民生品に使われやすい半導体です。

ーーAIには関係ないのですか?

塩谷:今までは関係ありませんでした。しかし、これからデータセンターにも使わなければいけないということで、去年くらいから注目され始めています。

ーーおもしろいですね。代表的な企業はどこですか?

塩谷:日本には何社かプレイヤーがいて、一番有名なのはロームです。パワー半導体はEVを作るのに必要だと言われて一時期盛り上がったのですが、中国メーカーがキャッチアップしてしまったため、ロームのEV文脈でのストーリーは少し薄れました。むしろEV周りは中国メーカーとの価格競争になり、今では事業の足を引っ張っています。

もう1つ、直接半導体というわけではないのですが、最近のトレンドとして先端パッケージというものがあります。半導体は性能を良くするために、どんどん小さくしていく「微細化」という流れがありましたが、最近は「小さくしすぎても逆に効率が悪いのでは?」という考えが出てきました。

そこで、性能が低い半導体を集積してパッケージにすることで、より高機能・高出力な仕様を実現しようという後工程が注目されています。

このパワー半導体と、後工程の文脈である先端パッケージが、今新しく注目されている領域になります。

ーーその先端パッケージの代表格はどこになるのですか?

塩谷:TSMCですね。

ーー登場人物が揃いましたね。

塩谷:主な半導体のプレイヤーというか、今ざっくりと注目されているのが、メモリ半導体、ロジック半導体、先端パッケージ、パワー半導体の4つです。メモリ半導体とロジック半導体は注目されてから一番長いので、投資の論点も固まってきています。

例えばキオクシアで言うと、ASP(Average Selling Price=平均販売単価)がどこまで伸びるかを予想するゲームのようになっています。株価もすでにかなり評価されている状態です。先端パッケージも論点が出尽くしており、どれくらい歩留まりの良いパッケージを作れるかが論点になっています。

そのような中で、キオクシアのASPに関しては、市場予想がすでにかなり強い数字を織り込んでいる可能性があり、株価の方向感は見えにくくなっています。先端パッケージについても、最近はNVIDIAの「Vera Rubin」の歩留まりが想定よりかなり悪いのではないかというニュースが出て、供給への懸念から株価が上下しています。

未来の構想は大きいですが、株価的には見通しが立てにくいと思っています。

市場の懸念材料はハイパースケーラーの投資動向

ーー投資家が気になっているのは、「今は盛り上がっているけど、これは続くのか?」「止まるとしたら、なぜか? いつ止まるのか?」といった未来への関心だと思います。

塩谷:半導体市場の未来を考えることは、結局はハイパースケーラーの投資がどこまで続くのかを考えることとイコールだと思っています。Google、Meta、Amazon、オラクルなど、アメリカの主要企業の投資計画がいろいろと出ていますが、メモリ半導体やロジック半導体、先端パッケージはすべて単価が上がっています。

高性能になれば高単価になり、需給が引き締まれば単価が上がるという市場構造があるため、高くなった単価分はすべてハイパースケーラーが負担してくれています。これは、無限に続くものではないということです。

ーーハイパースケーラーが無理をしているだけですものね。

塩谷:そのとおりです。一時期「彼らは本業で強烈なキャッシュフローがあるから大丈夫だ」と言われていましたが、直近ではGoogleを筆頭にエクイティファイナンス(新株発行による資金調達)を行っています。

これは、足元のキャッシュフローだけでは足りなくなりそうだというサインです。社債と本業のキャッシュフローだけでは足りず、市場から調達するという選択肢を取っているため、無尽蔵に投資が続くわけではないと市場も徐々に認識し始めています。

さらに問題なのが、がんばって投資をすることで、各生成AIのAnthropicやOpenAIなどが契約していますが、それを中国の生成AI企業がすごい勢いでキャッチアップしてきている点です。DeepSeekなどの性能が上がってきている中で、「こんなにハイエンドなAIデータセンターがどこまで必要なのか?」という論点も出てきています。もちろん数は増え続けるでしょうが、その成長確度については、少し疑問が持たれ始めているところだと思います。

そうなると、基本的にAIはどんどん浸透していきますが、「最初に思っていたほど急激な増加率で半導体が必要だったのか?」という変化率の部分に疑問符がつき、未来が少し曇って見えてしまっているのではないでしょうか。

ーー当然、ハイパースケーラーからすれば、安ければ安いほうがいいですものね。

塩谷:そうなのです。DeepSeekも今すごいですよね。生成AIごとの出力クオリティと、同じ出力を出すための単価を比較したグラフがあるのですが、現在はAnthropicとOpenAIが出力単価も性能も一番高い状態です。しかし、DeepSeekもそれにほぼ近い出力結果を、Anthropicの5分の1ほどの単価で出せています。

ーーDeepSeekは安いのですか?

塩谷:非常に安いです。DeepSeek以外の中国メーカーもすべて安いですね。OpenAIやAnthropicの出力精度を模倣し、安い演算能力で似たような出力を出せるようになっていると言われています。

そう考えると、未来が明るいのは確かですが、「どのくらい明るいの?」と考えると、みなさまが当初期待していたほどではない可能性もあります。だからこそ、「今のバリュエーションは本当に適正なのか?」という話は常に出てくるでしょう。

ーーチキンレースでしかないということですね。

未だ評価されきっていないパワー半導体の可能性

塩谷:そうなった時に私が注目しているのは、やはりパワー半導体です。AIブームが出てくる前から注目していますが、足元の状況で言うと、EVの部分で若干業績が悪化し、その分のディスカウントが入っていると思います。

しかし、実はデータセンターには非常に高精度な先端品のパワー半導体が必要で、メモリ半導体メーカーなどを見るよりもパワー半導体メーカーを見たほうが、おもしろい銘柄があるのではないかと思っています。私はロームなどを少し見ています。

ーーパワー半導体は、最近データセンターに必要になったのですか?

塩谷:データセンターが建設されるごとに必要になってきます。普通の電力とは違う高出力な電力を扱わなければならない中で、高精度なパワー半導体が求められているということです。

ーーこれまでもデータセンターを作る上でパワー半導体が必要だったのなら、なぜパワー半導体だけ評価されていなかったのでしょうか?

塩谷:去年くらいから注目されてはいるのですが、データセンター関連で最初に注目されたのがロジック半導体・GPU、次にメモリ半導体、そして先端パッケージとパワー半導体という順番で認知が広まったと感じています。認知はされたものの、テーマ化をするのが少し遅れているというイメージでしょうか。

ーー「半導体の中でまだバリュエーションが高くないのはどこか?」という視点で、その早期の利益をロームが得られそうだということでしょうか?

塩谷:株価はだいぶ反応していますが、キオクシアなどに比べればまだ5合目くらいという感じです。意識されている度合いで言うと、データセンター関連ではまだ電源周りがちゃんと注目されていない気がします。

ーー電源周りとは具体的にどこでしょうか?

塩谷:ここにパワー半導体も少し入ってきます。ジーエス・ユアサコーポレーションやローム、TDKなどもけっこう上がっており、今はそちらのほうがいいのではないかと個人的には思っています。

半導体市場の未来と投資戦略

塩谷:半導体の未来は、誰にもわかりません。ただ、当初みんなが思っていたほどハイパースケーラーの投資は続かないかもしれないという認識が、市場に出てきている気がします。

ーーそんなことが答えられたら、億万長者どころじゃないですね。

塩谷:最強ですね。知っている人がいたらDMで教えてほしいです。私だけに留めておくのでお願いします(笑)。

ーーいやいや、いないでしょう(笑)。いないという前提で、塩谷さんならどう考えているのかを聞きたかったので、ロームという具体的なアウトプットが出たのはすごくよかったです。

塩谷:結局、ハイパースケーラーの投資が止まれば、ロームであれ何であれ、すべて終わるのですが。

ーーハイパースケーラーの投資が止まれば、彼らの営利は伸びますか?

塩谷:コストが大幅に削られるため、伸びそうですね。しかし、今のデータセンター投資の償却負担は、これから20年くらいは続いてしまいます。

イーロン・マスクはこのハイパースケーラー投資合戦から抜けましたが、そのあたりも大局観があるのでしょうね。

ーー「Grok」はどうやって運営しているのですか?

塩谷:他のハイパースケーラーのリソースを使って運営しています。モデルの精度をどこまで自社単体でブラッシュアップするかという点でも、「Grok」は他社と連携しながら行っているはずです。

ハイパースケーラーの中でも戦略が分かれ始めています。Microsoftも投資計画を若干縮小していますし、逆にGoogleは自社でオリジナルのTPUというチップを作り、NVIDIAに頼らない姿勢を見せています。

ーー日本の通信業界と似ていますね。MVNOでいいという会社もあれば、楽天のように基地局を建てる会社もあります。mineoはKDDIの回線網を利用していますね。

塩谷:そうですね。うまくいった時に果実を得るのは、自社ですべてを用意している会社だと思いますが、そこを取りにいくリスクはかなり大きいです。投資が止まれば、すべてがひっくり返る可能性もあります。

ーーとんでもないショックが起きそうですね。

塩谷:万が一、ハイパースケーラーの投資がすべて取りやめになると、一気に見方が変わります。逆に、このまま投資が続いても問題があると思うのです。

ーー何の問題があるのですか?

塩谷:AIデータセンターに使う先端半導体の価格が上がり続けている影響で、スマートフォンなどの民生品に使う汎用半導体の価格もまた、非常に上がり始めています。「iPhone」の価格がかなり上昇するというニュースがありましたが、あのように民生品の値段は上がり続けると思います。

そうなると、消費者は絶対についていけなくなり、買い替えサイクルが長期化します。すると、Appleのようなモジュールデバイスメーカーは儲からなくなり、業績が悪化します。それが部品会社にも波及し、AIが進めば進むほどグローバルで深刻な不景気が来るのではないかと思っています。

今、「チップフレーション」と言われたりしますが、チップ価格の上昇によって、いろいろな不均衡が生じる可能性があるのです。懸念事項も多いので、本当にわからないですね。

ーーAIが優先されすぎて、その影響が他の全領域に波及しているのですね。

塩谷:今の供給量が一定のままだと価格が上がり続けて困りますし、かといって供給量を上げる設備投資をすれば、今度は単価が下がってキオクシアのようなメモリ半導体メーカーの株価にはマイナスです。いろいろな選択肢を考えると、株価が下がりそうだなと思うこともあります。一方で今年はあまり供給量が上がらないので、逆にいいかもしれないとも思いますし……、わかりません(笑)。

中山さんも早めにPCやスマホなど、いろいろなデバイスを買っておいたほうがいいですよ。来年あたりは、少なくとも今よりは酷くなると思います。

ーー本当ですか? 来年はそんなに変わりますか?

塩谷:今年ももう酷いじゃないですか。「iPhone」の新モデル「iPhone 17」は、種類によっては20万円を超えていますよ。20万円は酷くないですか? 昔はPCが買えましたよね。「MacBook Air」も以前は10万円ほどでしたが、今は普通のスペックでも20万円、25万円、30万円となってしまうかもしれません。

ーー中古でしか買っていませんでした。

塩谷:中古価格も当然上がります。電子機器のリユースはいいなと思い、ゲオホールディングスなどの銘柄をずっと見ていますが、中古価格も非常に上がっています。

本当に考えても結論が出ないですよね。今ゲオホールディングスを買っても資金は入ってこないでしょうから、半導体関連を買ったほうがいいです。「でも半導体関連は……」という感じで、投資家のみなさまは悩んでいると思います。

今の日経はソフトバンクとキオクシアが上がるだけで大きく跳ね上がります。日経がショートするということはソフトバンク、キオクシア、アドバンテストがショートすることと一緒であるため、怖くてできないです。「仕事をがんばる」という結論ですね。

ーーもう、商売をがんばるしかないですね。

塩谷:「PERAGARU(ペラガル)」をがんばるしかないです。わからないなりにも、常に半導体やデータセンター関連のニュースをキャッチアップしつつ、情報発信を続けています。

「PERAGARU」のレポートでは、先ほどお話ししたロームや電源周りのジーエス・ユアサコーポレーションなどのレポートも見ることができますので、ぜひチェックしてみてください。

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