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介入警戒下でも進む円安、日米金利差が背景に

為替市場で円安が進むと、株式市場では「円安メリット銘柄」に関心が集まりやすくなります。円安は、海外で売上を得る企業にとって追い風になるためです。もう少し補足すると、外貨建ての売上や利益を円に換算した際の金額が増えるため、輸出企業や海外売上比率の高い企業では、業績の上振れ要因になりやすいということです。

では、なぜ今、円安がここまで進行しているのでしょうか。最大の要因は、日米の金利差です。米国では、FRBの追加利上げ観測が残っています。一方、日本銀行も利上げを進めているものの、政策金利はなお米国より低く、円を売ってドルを買う流れが続きやすい構図があります。

もう一つの要因は、市場が「日本の利上げには限界がある」と見ていることです。日銀は2026年6月に政策金利を1%へ引き上げ、1995年以来の高水準としましたが、それでも市場には、物価上昇を抑えるために十分なペースで利上げできるのかという疑念が残っています。景気や政治への配慮から急速な利上げは難しいと見られれば、円を積極的に買う理由は弱まります。

このように、現在の円安は単なる一時的な投機ではなく、日米金利差、米国景気、日本の金融政策への見方、そしてドル資産への資金流入などを背景に複合的に生じています

円安メリットを見る鍵は海外売上比率、コスト構造にも注目

さて、少し脱線してしまいましたが、円安メリットの銘柄を見る際にまず重要になるのは、「海外売上比率」です。海外で稼いだ売上や利益は、円安になるほど円換算額が膨らみやすいためです。

ただし、外貨建て売上の大きさだけでなく、国内生産比率、輸入原材料への依存度、価格転嫁力、為替ヘッジの状況などにも意識が向くと、分析の精度が上がるでしょう。たとえば、外需比率が高くても、原材料・部材・エネルギーなどの外貨建てコストが大きければ、円安による利益押し上げ効果は一部相殺されます。

反対に、円建てコストを多く抱えながら外貨建て売上を獲得している企業は、円安の恩恵を受けやすいといえます。今回は参考までに、テーマ「円安メリット」に属する銘柄の一部を紹介します。他にも銘柄があるため、ぜひ調べてみてください。

海外売上高8割近く、IP資産とグローバル展開に強み

1.任天堂(7974)

「スーパーマリオ」や「ポケットモンスター(ポケモン)」などのIPを有する、言わずと知れたゲーム会社です。2026年3月期実績で8割近くが海外売上高となっています。Nintendo Switch向けに加えて、スマホ向けにも配信された「Pokémon Champions」が6月25日には全世界累計で1,000万ダウンロードを突破するなど、関心を集めています。


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海外売上高7割超、円安追い風に過去最高益を達成

2.ブリヂストン(5108)

タイヤメーカーとして知られています。2025年12月期実績で7割超が海外売上高となっています。進行期の第1四半期は、円安の追い風もあり、過去最高の売上収益・調整後営業利益を達成しています。


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海外売上高8割近く、一貫製造とブランド戦略が強み

3.シチズン時計(7762)

世界でも数少ない、部品から完成品まで自社で一貫製造する時計メーカーです。2026年3月期実績で8割近くが海外売上高となっています。複数ブランドを展開していますが、各ブランドの役割を明確にし、戦略的な展開・拡販を進めています。


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海外売上高3割、欧州開拓でテーマ性が強まる可能性

4.井関農機(6310)

稲作や野菜作などに関する農業機械や景観整備用機械の開発・製造・販売・サービスを主な事業としています。同社に関しては、2025年12月期実績で海外売上高は3割程度です。ただ、欧州中心に足元で開拓が進んでおり、今後、円安メリットのテーマ性がより強まっていく可能性もあるでしょう。


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円安=好材料とは限らない、為替反転リスクにも注意

ひと昔前の株式市場では、円安=ポジティブという単純化した図式で語られることも多くありました。しかし、「良い円安」「悪い円安」といった言葉が浮上してきたように、為替の高安はそれほど単純な話ではありません。

円安が進行すると、輸入原材料やエネルギー価格は円建てで上昇しやすく、国内の製造コストや物流コストを押し上げます。家計にとっても輸入品や燃料価格の上昇は実質購買力の低下につながり、内需企業には逆風となる場合があります。

結局のところ、円安は企業ごとの収益構造の違いを鮮明にする装置ないし材料であり、実態をしっかり見ていく必要があります。

また、足元のように円安が急速に進む局面では、為替介入への警戒も強まります。もちろん、円安を招く金利差や貿易構造などの要因が変わらない中では、一時的な介入だけで円安基調そのものを転換させるのは難しい面があります。

それでも、介入や介入警戒によって為替が短期的に円高方向へ反転する可能性はあります。円安メリットを織り込んで上昇した銘柄ほど、為替反転の際には利益確定売りが出やすくなるため、頭に入れておく必要があります。

(※2026年7月2日執筆)

執筆:RAKAN RICERCA株式会社
国内株式を中心とした投資関連のコンテンツ作成・情報配信、企業分析などを主な事業内容としている。日経CNBCなど各種メディアへの出演、『ダイヤモンドZAi』をはじめとしたマネー誌への寄稿も多数。


※記事内容、企業情報は2026年7月2日時点の情報です。
※当記事内容に関連して投資等に関する決定を行う場合は、ご自身の判断で行うものとし、当該判断について当社は一切の責任を負わないものとします。なお、文中に特定の銘柄の投資を推奨するように読み取れる内容がある可能性がございますが、当社および執筆者が投資を推奨するものではありません。

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