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ニチモウ株式会社8091

東証プライム

卸売業

目次

青木信也氏(以下、青木):本日はご多用中のところ、ご視聴いただき誠にありがとうございます。私は、ニチモウ株式会社代表取締役社長の青木信也です。よろしくお願いします。

本日の説明会は、ご覧の目次に沿ってご説明します。

創立1919年、100年を超える水産業のビジネスサポーター

それではまず、当社「ニチモウ」についてご紹介します。

ご覧のスライドは会社概要ですが、1919年創立と、100年を超える漁業・水産業を事業基盤とした水産専門商社です。

事業領域の紹介 みなさまの身近な生活シーンで当社の商材が使われています

次のスライドから、当社をよりわかりやすく、身近に感じていただけるよう、お伝えしていきたいと思います。

まず、ニチモウの事業領域ですが、みなさまの身近な生活シーンで、気づかぬうちに当社の製品を目にしたり、食されたりする機会が実は非常に多くあります。

例えば、食品事業では、回転寿司で大人気のサーモンなどの寿司ネタをはじめ、お弁当の具材や料亭の一品など、幅広い水産物を取り扱っています。

次に、海洋事業では、漁業用の網である漁網はもちろん、陸上用ネットとして野球場やゴルフ練習場、遊具など、さまざまな施設に提供しています。

機械事業の一例としては、今や食卓に欠かせないギョウザや春巻きなどの中華総菜の製造ラインを納入し、資材事業では、住宅用フィルムから食品トレーなど幅広い商材を提供しています。

少し、ニチモウを身近に感じていただけましたでしょうか? それでは、当社がどのようにして、このような幅広い事業を展開する会社になったかをご紹介します。

ビジネスモデル:水産業をサプライチェーンでサポートするプラットフォーマー

スライドの左側は事業の多角化の変遷ですが、1910年に山口県下関市で創業時から、当社の祖業は漁網の製造・販売を行う海洋事業です。1961年に食品加工工場へ水産加工機械を、漁船に対して資材を納入したことを契機として、現在の機械事業、資材事業が立ち上がりました。1967年には冷凍すり身の販売から食品事業が派生し、現在の主要4事業が形成されました。また、成長戦略の柱である養殖については、1980年から取り組みを開始しました。

そして、これら主要4事業にバイオ・物流を加えた6事業が関わり、「水産業をサプライチェーンでサポートするプラットフォーマー」としての、唯一無二のビジネスモデルとなっています。

各事業がニーズに合わせて進化・領域拡大:販売からサプライチェーンに展開

次に、主要4事業の発展の変遷ですが、100年以上の長い歴史の中で、その時々の時代のニーズに柔軟に対応することで事業領域を変化、拡大してきた結果、現在の各事業へと発展してきました。

海洋事業では、いわゆる獲る漁業から育てる漁業への転換が進む中で、養殖に関連した機資材の提供から稚魚・エサ、そして成魚の販売までサービスの幅を広げてきています。

冷凍すり身の販売からスタートした食品事業では、海外からの原料買付のみならず、自ら加工機能を有することで、高付加価値のある水産製品を供給しています。

機械事業では、さまざまな工場に対して納入した実績を活かして、生産効率の高いライン設計の提案や新工場の建設まで一括して請け負うなど、総合エンジニアリングサービスを展開しています。

最後に、輸送用の耐水段ボールからスタートした資材事業では、食品包装資材のほか、住宅向けの建装材フィルムなど、取り扱いの幅を広げることで食卓シーンを支えています。

独自のプラットフォームを活用したビジネス例 ~養殖~

ここで、当社が掲げる「水産業のプラットフォーマー」としての役割が具体的にどのようなものであるか、ニチモウグループが注力する養殖をモデルにご説明します。

昨今、養殖事業は大きな注目を集めていますが、新規参入のハードルは決して低くありません。何をすべきか、何が必要でどこから調達すべきかなど、何から手を付けてよいかわからないといった悩みを持たれる漁業関係者からまずお声がけをいただくのがニチモウです。

ニチモウは養殖事業に携わって40年以上の経験から得た技術とノウハウをもとに、全国の漁業関係者から「とりあえずニチモウに聞いてみよう、ニチモウなら何とかしてくれるだろう」と寄せられる悩みにお応えしています。

スライドに沿ってご説明しますと、まず、ご依頼をいただいたら、すぐに担当者が現場に足を運び、お困りの点をうかがい、事業の確立段階から、その後の製造・販売までお手伝いします。具体的には、事前調査・計画立案から資材調達・試験操業、生育・出荷管理、そして製品の生産・販売まで、ニチモウグループの一貫した体制でトータルコーディネートします。

あくまでニチモウはエンジニアリング会社であるため、主体はお客さまであることも、競合他社と異なるポイントです。また、このような事業を通じて、漁業関係者の雇用の創出など、地域産業の活性化に貢献するサポーターとしての役割も担っています。

これが、水産・養殖に関わる他の企業と異なる、当社独自の強みであるプラットフォーマーとしての機能です。

主要4事業の成長戦略

ここまで、ニチモウの事業領域と現在に至る変遷などをご紹介しましたが、ここからは主要4事業の今後目指していく方向性と成長戦略についてご説明します。

今後の全体の方向性として、ポイントは大きく2点あります。1つ目は、従来からの強みである「水産業のプラットフォーマー」としての機能にますます磨きをかけていくこと、そして2つ目は、「水産業からより発展した新たな領域」に進出していくことです。

ご覧のスライドのとおり、主要4事業において中長期計画の中での成長ビジョンを描いていますが、中でも、特に当社の利益拡大に貢献する成長ドライバーとして位置づけているのが、海洋と機械の両事業です。

海洋事業は、100年以上の歴史で培った豊富なノウハウを活かして、水産業のプラットフォーマーとしての強みをさらに強化していきます。

機械事業は、昨今の人手不足から、水産加工のみならず、あらゆる食品製造において省人省力化の機械のニーズが高まっていることに加え、この流れが海外でも大きくなってきていることから、従来の水産の枠にとどまらず、新たな領域にも積極的に進出していく方針です。

それでは、各事業の具体的な戦略についてご説明します。

[食品] 事業:北米・北方海域を中心とした水産物の調達・加工・販売

まず、食品事業ですが、戦略のカギは、アメリカや北方海域を中心とした長年の原料買付実績に基づくノウハウをベースとしながら、安心安全で高品質・高付加価値のある水産加工品を提供していくことです。

中でも注力していく商材は、カニやホタテといった高級水産物に加え、サバや赤魚といった需要の高い大衆魚に付加価値をつけて販売することです。

[食品] 事業課題:加工能力と販売力増強による水産物サプライチェーンの強化

高品質な水産原料の調達体制を構築しているのが当社の強みですが、一方で、川中にあたる加工能力や開発の強化、川下における販売先の開拓には、まだまだ改善の余地があると感じています。

現在の中期経営計画では、高付加価値につながる加工能力の強化と、調達した水産原料の出口戦略として販売先の開拓にも注力し、利益率の向上と取り扱い数量の拡大に取り組んでいます。

[食品] 加工能力と販売力の強化 → 海外へも展開

こちらのスライドでは、加工能力と販売力の強化の具体的な方針についてご説明します。当社グループは北海道に加工拠点を有していますが、この地は前浜で漁獲された水産物や海外から輸入される水産物の水揚げ基地として、高鮮度で高品質な水産加工品を生産する上でも、北海道ブランドとして高付加価値品として販売する上でも、大変適した立地環境となります。

具体的には、北海道の前浜で漁獲されたスケソウダラや、カニ、ホタテといった高単価な水産物の加工を手掛けており、その製品は三大都市圏を中心に販売しています。また近年、特に紋別の製造拠点へ設備投資を積極的に行い、優位性のある食品加工会社のM&Aも柔軟に検討していく方針です。

これらを通じて加工能力を強化し、当社としての北海道ブランドを確立していくことで、国内のみならず海外展開も視野に入れて、販売力の強化につなげていく方針です。

[食品] 商品戦略・利益成長戦略:海外拠点を活用した海外事業拡大

次の事業戦略として、海外展開についてご説明します。先ほどお伝えしたとおり、基本的には北海道ブランドを掲げたNB品などの海外輸出を強化していく方針ですが、足元では、三国間貿易による中国向けに、赤魚やホッケなど北方凍魚の販売が大きく伸長してきています。

世界中で水産物需要が高まり、原料の取り合いが起こっている中で、当社は、アメリカのアラスカ沖で漁獲された水産物の買付に有利な子会社をシアトルに有しており、大きな強みとなっています。この強みを活かして、近年、アラスカ産の北方凍魚の中国向け輸出が伸長しており、今後は他国への販売にも取り組んでいきます。

[食品] 商品戦略・利益成長戦略:NB投入を通じた高付加価値加工品の提供

これら事業戦略を推し進める中での、具体的な商品戦略の代表例として、「さば丸シリーズ」をご紹介します。

当社スタッフがノルウェー現地で直接検品し、選び抜かれたサバ原料のみを加工した塩サバになります。骨取りに加え、塩水ミストと呼ばれる特殊な味付け製法により、サバの旨味を最大限引き出した製品となっています。

その他にも、骨切加工により小骨を気にせず召し上がっていただける塩ニシンや、パウチ化によりご家庭で扱いやすいツナフレークなどをNB品として販売し、今後も新商品を続々と投入していく予定です。

[海洋] 事業:養殖や漁網を起点とした漁業エンジニアリング・ビジネス

続いて、海洋事業の成長戦略ですが、大きく2軸となっています。まず1つ目が、短中期のスパンで利益成長を目指す養殖に関する取り組みです。そして2つ目が、バイオ漁網をはじめとした環境配慮資材の提供やコンサルティングの展開です。

[海洋] 世界で養殖事業の成長性への期待は高い

まず、成長戦略の柱である養殖についてですが、国内では水産業全体の生産量は年々落ち込んでいますが、世界的に見ると、生産量は大きく増加基調にあります。

中でも養殖魚は、牛・豚・鶏と比べて温室効果ガスの排出量が少なく、環境に優しいたんぱく源として有望であり、直近30年で生産量は約4倍と、当社にとって追い風となっています。

現時点の事業環境

また、養殖業には、従来からある海面での養殖に加え、近年では陸上での養殖が非常に大きな注目を集めています。陸上養殖は海面養殖に比べて、環境負荷が小さいことや、海水温上昇などの環境変化の影響も受けにくく、また、季節を問わずに出荷が可能であることから、持続可能で安定したたんぱく供給源として注目されています。

また、大手総合商社をはじめ新規参入も相次いでおり、現・高市政権下においても、日本の成長戦略のフードテックの分野にて取り上げられる等、当社にとっても非常に大きなビジネスチャンスとなっています。

[海洋] 事業戦略①:養殖(海面+陸上)エンジニアリング・サービスの拡大

この環境下において当社は、長年養殖事業に従事してきた専門的なノウハウを活かして、海面・陸上の養殖の双方において、エンジニアリングサービスを展開しています。

当社の立ち位置は、自らが生産者として事業を行うのではなく、養殖の専門家として、顧客が取り組む養殖の事業化を支援する立場から、業界全体に貢献していくことを基本方針としています。

種苗やエサの供給から、生け簀などの資材提供、生産魚の販売まで、養殖ビジネス全体にかかるエンジニアリングサービスを提供できることが大きな強みです。

[海洋] 養殖事業:エンジニアリングビジネス→グループ連携で全国展開(1980年~)

実際、日本全国各地において、数多くの養殖生産をご支援しており、海面・陸上の双方の養殖の代表的な事例は、ご覧のスライドに記載のとおりです。

特に右側にある、九州電力さまなどと共同で2021年より取り組んでいる陸上養殖事業です。これまで生産工程などにおいて課題はいろいろありましたが、現在では安定してサーモンの生産に成功していることに加え、この経験を通じて培った陸上養殖に関するデータや知見が、今後新たな展開を進めていくキーポイントであり、次のスライドで詳しくご説明します。

陸上養殖における課題と解決方法

先ほどからお伝えしているとおり、今後の成長が大いに期待される陸上養殖ですが、技術としてはまだ開発段階にあるため、採算は取れておらず、陸上養殖に取り組む国内企業の多くが苦戦している状況です。

主な課題は、初期投資やランニングコストの大きさと、運用面での高い難易度が挙げられますが、この解決策として現在、「ニチモウ式モジュールRAS」と銘打った陸上養殖システムの開発を進めています。

初期投資が大きくなってしまうのは、国内企業の多くが海外製のシステムを輸入して使用している状況にあるためであり、これを当社独自の国産システムに切り替えることで、大幅なコストダウンが期待できることに加え、きめ細かいアフターサービスが可能となります。

また、膨大なランニングコストや運用ハードルの高さについては、九州での陸上養殖事業で蓄積してきた省エネ技術やプラントの運用技術、専門性のある協力会社と連携したメンテナンス体制の構築などを通じ、大きく改善していけるものと考えています。

RAS(循環型養殖システム)内製化本格スタート

こちらは、「ニチモウ式モジュールRAS」の開発状況です。当社もフィッシュファームみらいの運営においては、他の多くの国内企業と同様に海外製のプラントを利用しています。そこで得た技術や知見をもとに、試験プラントを岩手県久慈市漁協内に建設し、現在試験運転を開始しました。

このシステムの開発にあたっては、当社の海洋事業を主体に、食品加工機械で数多くの納入実績がある機械事業が連携して開発にあたっており、当社オリジナルのシステムです。

これが完成すれば、システム設計から運用やメンテナンス、稚魚やエサの供給まで一手に手掛ける国内初の事業者となります。今後、試験プラントでテスト運用を重ね、最終的には、陸上養殖事業へ参入する国内外の企業に対してもシステム設備として拡販し、サステナブルで高品質な養殖魚の生産から販売までをサポートしていくことを目標としています。

[海洋] 事業戦略② バイオ漁網をベースとした環境資材・水産業コンサルティング

続いて、海洋事業の戦略の2つ目である、環境資材の取り扱いと水産コンサルの提供についてご説明します。

長年の歴史で培ったノウハウや技術が海洋事業の一番の強みですが、この漁網の製造・開発に関するノウハウを、より環境負荷が小さく、持続可能性の高い次世代型の漁具・漁網の開発につなげていくことが、戦略の柱となります。

開発の一例として、バイオ・生分解性の漁網は、植物由来の素材で製造時のCO2排出量を約60パーセント削減できることや、海藻養殖において種付けや生育に優位性があることなどがわかってきています。

また、廃棄漁網をリサイクルする取り組みも行っており、養殖生け簀用として納入実績もあります。

そして、コンサルティングの展開も、もう1つの戦略です。政府が掲げる「海業(うみぎょう)」のように、海を活用した地域産業の活性化が注目されており、当社のノウハウがお役に立てる機会は多くあるものと考えています。

[海洋] 漁網の用途拡大

次に、将来の漁網の可能性についてですが、昨今、漁網が役立てられるシーンは、漁業以外の分野でも大きく拡大してきています。

ご覧のスライドのとおり、港湾土木資材や陸上ネットに加え、バイオマスロープを用いた藻場造成の支援など、ブルーカーボンの創出を促進し、脱炭素社会の実現につながる取り組みも増えてきています。

[海洋] バイオ生分解性資材の活用

こちらの活用事例は、宮城県亘理町における海苔養殖を通じたブルーカーボンクレジットの創出支援と、昨今クマなどによる人や農業への被害が増えている中で、撤去作業と環境負荷低減の両立が可能である生分解性の防獣ネットの開発です。

[機械] 事業:国内食品加工業者の要望に応じた食品加工機械・システムを提供

続いて、機械事業の戦略についてご説明します。もともとは水産加工機械の取り扱いからスタートしましたが、現在では中華総菜関連を中心に、食品加工全般にサービスの幅を広げています。

ここ近年、国内企業の底堅い景況感を背景に設備投資需要の高まりを確実に捉えるとともに、国産機械の海外輸出が円安メリットも享受するなど、当社の利益成長を支える存在となっています。

機械事業の強みは、顧客への丁寧なヒアリングにより、数多くある機械メーカーの中から最適な機械を選定し提案する、総合エンジニアリングサービスにあります。

今後の事業戦略は、この強みにより一層磨きをかけていくことと、北米を中心とした海外展開や新規の顧客開拓を加速させること、既存顧客とのパイプをより強固にし、新しいニーズや機会を積極的に発掘していくことがポイントです。

[機械] 特徴・強み:食品加工業者の機械導入をシステム構築として支援

こちらは、機械事業の特徴と強みです。1点目は、豊富な納入実績により、ニッチな分野の食品加工に対しても非常に幅広く提案できる点です。また、人手不足が叫ばれる中、省人省力化に対応する機械も数多く納入実績があり、このニーズは今後ますます拡大していくものと考えています。

2点目は、顧客の事情に合わせて機械設備を柔軟にカスタマイズできる点です。顧客が抱えるさまざまな事情に応じて改善してきた経験が、中小の水産加工メーカーにとどまらず、大手の冷食や外食産業の顧客とのビジネスへと拡大してきています。

3点目は、中華総菜用機械に精通している点です。一部の中華総菜の成型機販売において、国内トップシェアを誇るなど、外食チェーン向けに多数の納入実績があります。今後海外へ進出していく上で、中華系外食チェーンの海外進出や、同じく得意分野の豆腐や麺類など、日本食の世界的ニーズの高まりは、当社にとって大きな追い風であり、機を逃さず対応していきます。

[機械] 業界トップレベルの中華総菜加工機械

先にもお伝えした中華総菜用の機械では、優れた技術を持つ機械メーカーと代理店契約を結んでおり、他にない優位性のある機械を取り扱うことが可能となっています。

また近年は、排水処理システムにおいて高い技術を持つ企業との連携により、食品工場の排水処理案件を多数請け負うなど、機械提案だけにとどまらず、幅広い顧客の要望に応えています。

また、大きな案件では、製造ラインにとどまらず、新しい工場の設計段階から顧客の検討の場に加わり、数多くの食品工場建設に携わった経験を活かして、製造における最適な動線設計やスペースに合わせたラインをパッケージで提案しています。

実績と経験に基づき顧客課題を解決できる対応力が、新規で設備投資を検討する際に、まず当社へお声がけいただける所以となっています。

[資材] 事業:協力メーカーと提携して、フィルム資材・食品包装資材などを提供

最後に、資材事業の戦略です。もともと水産物運搬用の耐水性段ボールの提供からスタートしましたが、現在は取り扱い製品の幅を大きく広げ、食品包装資材のほか、大手印刷メーカーなどと連携した建装材フィルムなど、まさに「食」から「住」の分野まで、幅広くサービスを提供しています。

今後の拡大のポイントは、フィルムやシートをキーワードとして新しい市場を開拓していくことと、海外需要を取り込んでいくことの2点です。

現時点での有望な製品は、モビリティ向けフィルム製品と、特殊耐熱用のフィルム「SPACECOOL」などが挙げられます。

特に耐熱用フィルムは、年々、温暖化が深刻化している中で、社会課題の解決に寄与できる可能性があると考えており、可能性を追求し、用途を拡大していくことが大きなポイントです。

経営理念に加えて現中期経営計画でパーパス体系を新たに策定

ここからは、これら事業戦略を踏まえた現中期経営計画の概要についてご説明します。

前期よりスタートした現在の中期経営計画においては、新しくパーパス体系を策定しました。

具体的には、不変である当社の経営理念を前提に、10年後の未来において実現したい世の中や、在りたい姿をパーパスとして、「浜から食卓までを網羅し繋ぎ、挑戦の歩みを未来へ」と設定し、そこから逆算して詳細な計画・戦略へと落とし込んでいます。

事業ポートフォリオ再構築に向けた考え方

中長期ビジョンの達成に向けて、現在、ポートフォリオマネジメントに注力しています。こちらは、主要4事業にバイオ・物流を含めた6事業について、成長性と収益性の観点で区分したものです。

食品・資材の両事業が区分される収益安定化の領域は、収益貢献度が高い成熟事業で、引き続き安定化させていく方針です。海洋・機械が区分される収益性向上の領域は、今後の成長性が高く、さらに収益性を向上していくポテンシャルが大きい領域で、積極的な投資の検討対象として、成長速度の加速化に取り組んでいます。

バイオ・物流の両事業は体質強化領域となり、コストの見直しを進めながら、他事業とのシナジー効果の創出、収益性の向上に努めています。

そして、全事業の中でも特に注力するのは成長領域である「養殖」「環境系資材」「機械事業を主軸とする海外展開」で、中長期目標の達成において非常に大きなカギを握っています。

体質強化領域のコスト削減・見極めを行いながら、食品・資材事業で成長投資に向けたキャッシュを安定的に創出し、「養殖」「環境資材」「海外展開」をはじめとした海洋・機械の両事業へ積極的に投資していく方針で、取り組みを進めています。

中長期KPI(中期経営計画+長期ビジョン)

次に、中長期におけるKPIはご覧のとおり、現中計最終年度の2028年3月期までに営業利益を40億円台へと引き上げ、10年後の営業利益77億円に向けたさらなる足場固めとする計画です。

中長期 営業利益構成変化イメージ

こちらは、事業ポートフォリオの再構築をイメージ化したものです。長期ビジョンでは、利益構成を食品・海洋・機械のバランスの取れたかたちへと変革を進めていきます。

2026年3月期決算:増収も売上総利益は伸び悩む

続いて、決算の状況と直近の見通しについてご説明します。

まず、前期にあたる2026年3月期の業績ですが、国際情勢がより不安定な状況で推移した中、売上高は1,397億7,900万円と過去最高を更新したものの、営業利益は27億5,800万円と、前期比で増収減益の結果となりました。

売上面においては、食品事業のインバウンド需要や中国向け北方凍魚の販売が拡大したほか、海洋事業で養殖関連が順調に推移しました。一方、利益面については、主力のすり身部門の市況低迷に加え、本年2月に子会社ミール工場で発生した火災の影響により生産停止を余儀なくされたこと、また、グループ会社におけるコスト上昇による利益圧迫で、減益の結果となりました。

2026年3月期決算(事業別)

事業別の業績動向はご覧のとおりですが、相場上昇により価格転嫁に苦戦して減益となる事業が多かった中、海洋事業は養殖関連資材の需要が堅調に推移し、増収増益となりました。

機械事業は、顧客サイドの機械納入のタイミングによる影響もあり減収減益となりましたが、受注状況は、人手不足や設備投資意欲を背景に堅調に推移しており、利益貢献に寄与する事業に成長しています。

2027年3月期見通し:売上高1,450億円(+3.7%)、営業利益32億円(+16.0%)

続いて、今期の業績見通しですが、売上高1,450億円、営業利益32億円、経常利益36億円、最終の当期純利益は26億円としました。

主要4事業は引き続き拡大傾向で、食品事業はインバウンド需要の取り込み、海洋事業は養殖関連需要が引き続き拡大し、機械事業も円安効果による海外案件の拡大などにより、増収を見込んでいます。

一方、利益面においては、増収効果により価格転嫁などエネルギーや原料コスト上昇分をカバーして、前期比で増益を見込んでいますが、先にご説明のとおり、物価上昇にともなう諸経費や、被災したミール工場の再建費用は業績予想に織り込んで固めに組み立てました。まずは早期に工場再開できるように注力します。

2027年3月期見通し(事業別の営業利益)

こちらは、主要4事業の営業利益を、前期実績と今期見通しで対比したグラフです。

主要4事業ともに増益を見込んでおり、特に増益幅の大きい食品事業の要因は、インバウンド需要を取り込む施策として、高級商材のタラバガニの取り扱いを大きく増やすことや、NB品の「さば丸シリーズ」を代表例とした高利益の期待できる製品の新規拡販を推し進めていきます。

また、海洋事業では需要が堅調な養殖関連資材の販売拡大に加え、野球やゴルフの防球用として用途のある陸上ネット案件の受注増、機械事業では大手中華総菜向け大型案件の確実な納入や円安メリットによる海外案件の受注増を見込み、資材事業では環境配慮商材の「SPACECOOL」をはじめとした高機能性資材の拡販で、それぞれ利益を積み増していきます。

2027年3月期1Q決算:増収減益。進捗状況は期初予想通り。

次に、足元の2027年3月期第1四半期の決算についてですが、食品・海洋・資材を中心に販売が堅調に推移し、増収となりました。

一方、利益面においては減益となりましたが、要因は前期末に子会社のミール工場で発生した火災の後処理の影響と、機械事業の一部案件の期ズレによるものです。どちらも当初から計画に織り込み済みで、進捗としては期初の想定どおりに推移している状況です。

株主還元:期初見通し変更なし。2027年3月期は100円を予定(中間50円+期末50円)

続いて、株主還元と株価動向についてご説明します。

まず、株主還元策ですが、前期にあたる2026年3月期の年間配当金は100円で、配当性向は38.4パーセントとなりました。2027年3月期の配当予想についても、同額の年間100円の計画です。

業績が停滞気味で、積極的な株主還元に移らないもどかしさを感じていますが、コミットした目標値は確実に実行するよう努めていきます。

株価の動向:2026年7月31日現在までの変遷

続いて、こちらは第1四半期末までの株価動向の変遷です。2021年12月に東証プライム市場を選択してから株価を意識した経営に取り組んでいますが、7月31日現在での株価は2,390円、時価総額は約215億円、PBRは0.57倍と、まだまだ道半ばの状況にあります。

「資本コストや株価を意識した企業価値向上への取り組み」について

PBR1倍以上へ向けた取り組みとして、現中計においては、資本コストや株価をより一層意識した企業価値向上の取り組みを強化しており、ご覧のとおり、ROEとPERの改善施策について対応を進めています。

特に、現中計期間までに事業別ROICを導入して収益性管理の強化や事業ポートフォリオの再構築を行い、前中計よりも一段引き上げた株主還元策などを実行するなど、早期でのPBR1倍達成に向けて引き続き努めていきます。

まとめ

それでは最後に、本日のまとめとして重要なポイントをご説明します。

本日お伝えしたかったことは、1つ目に、100年以上の歴史の中で築き上げてきた技術やノウハウと、多角的な事業展開で、水産業や漁業を幅広くサポートするプラットフォーマーであることです。

また、2つ目に過去の歴史で幾度とない転換期を乗り越えてきたチャレンジスピリッツを礎に、養殖、環境商材、機械事業を中心とした海外展開に積極的に挑戦していきます。

3つ目に、10年後の長期目標の実現に向けた足場固めとして、2028年3月期の営業利益43億円、ROE10パーセント以上を設定し、主要4事業のポートフォリオを再構築していきます。

そして最後に、期待成長率を高めながら株主還元も積極的に行い、長期目標では、配当性向40パーセント以上、DOE4パーセント以上を早期に実現していくことです。

IRに関するお問い合わせ

個人投資家のみなさまから、当社に対する期待が年を重ねるごとに大きくなっていることを実感しています。業績はもとより、今後の成長ステージをより一層引き上げ、さらなる企業価値の向上に努めていく所存です。

また、本件に関するお問い合わせは、巻末のIR担当までご連絡いただければと存じます。

以上でご説明を終了します。本説明会で当社の取り組みをご理解いただき、少しでも魅力を感じていただけましたら幸いです。

ご清聴いただき、誠にありがとうございました。

質疑応答:株主優待について

司会者:株主優待の実施可否について、教えてください。

青木:株主優待の実施可否についてですが、Yahoo!ファイナンスの掲示板などでも書き込まれているように、当社製品をお届けすることはPRにつながるなどの賛成意見もあれば、株主平等の原理に反すると反対意見もあるなど、さまざまな意見を頂戴しています。

また、優待にかかる資材・物流費高騰の影響により、配当性向の中長期目標値の早期実現により、配当金で報いることなどを含めて慎重に検討しています。

現段階で結論は出ていませんが、今後も株主さまの声にしっかり耳を傾け、最適な株主還元策を講じていきます。

質疑応答:水産業の成長性について

司会者:水産業は、なぜパラダイムシフトが起きて変化が大きく、成長が期待できる業界なのでしょうか?

青木:水産業は、天然資源を中心とした「獲る漁業」から、養殖を中心とした「育てる漁業」へと大きく変化していることが、パラダイムシフトの1つだと考えています。

世界的な人口増加や健康志向の高まりにより水産物需要は拡大する一方、天然資源には限りがあり、安定的な供給を実現するためには養殖の重要性がますます高まっています。また、養殖技術の進歩により、生産効率や品質の向上、環境負荷の低減なども進んでいます。

当社グループにおいても、これまで培ってきた水産物の調達・販売に加え、海面・陸上での養殖事業にも取り組んでおり、このような事業環境・業界の変化をビジネスチャンスと捉えています。今後も事業領域を広げながら、持続的な成長を目指していきます。

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