2027年2月期第1四半期決算説明
サーバーワークス、1Qは売上・利益ともに前期を上回り順調 Anthropicと契約締結し生成AIへの積極的な投資を推進
エグゼクティブサマリー

大石良氏(以下、大石):みなさま、こんにちは。サーバーワークス代表取締役社長の大石です。それでは、2027年2月期第1四半期の決算についてご説明します。
サマリーですが、業績は売上高・利益ともに前期を上回り、順調に進捗しています。円安の影響もありますが、特に子会社であるG-genにおいてパートナー向けファンドの獲得が実現し、営業利益が大幅に増加している状況です。
生成AIの登場により、再びハイパースケーラーのアカウント獲得を最優先事項とし、トップラインの成長を追い求めるフェーズに戻したという側面があります。一方で、前期に発生した不採算案件は収束に向かっており、円安やファンドといった一過性の影響を除いても、計画どおりの利益水準で推移しています。
生成AIの分野においては、大きな進展が2つありました。1つはAnthropicさまとの正式なリセラー契約の締結です。さらに、AWSが各分野でトップの技量を持つエンジニアを認定する「トップエンジニア」という制度がありますが、こちらでAI分野において国内No.1となるという発表がありました。
「Claude Enterprise」の全社導入によって、当社は生成AIへの積極的な投資を進めています。ただ単に投資するだけではなくROT(Return on Token)を考慮して生成AIを活用することで、リターンを最大化するためのメトリクスと計画を持っています。
中期経営計画のアップデートとして、4つのイニシアチブについてお話しします。まず1つ目はクラウドです。これは当社の基盤となる重要な取り組みであり、次期SCAに関してはAWSとの提携に向けた活動を進めています。
こうした流れの中で、国内初となる「AWS Partner Led AMS」(AMS:AWS Managed Services)を、AWSが提供するマネージドサービスとして当社が国内で唯一提供できる会社に認定されています。
セキュリティ分野でも進展があり、先ほど申し上げたトップエンジニアの認定者数で国内No.1を達成しました。海外展開においても進捗があり、AWSのタイリージョン開設に伴い、タイ現地法人Serverworks Thailandを設立しました。
株主還元については、先期の配当が25円であったところ、今期は30円への増配を予定しています。
業績ハイライト

業績のハイライトです。円安の影響もありましたが、特に大きかったのは、前期に発生した不採算案件が無事に収束に向かっており、各社ともトップラインが大幅に伸びているという点です。
特に近年、生成AIのマーケットが非常に盛り上がりを見せている中で、サーバーワークスおよびG-genは利益率の改善より、今後も生成AI需要が見込まれる大口アカウントの獲得を最優先事項に転換しています。
このような活動の結果、サーバーワークス単体の売上高は90億5,500万円で、前年同期比22.4パーセントの成長となりました。一方、G-genの売上高は28億8,500万円で、前年同期比58.4パーセントの成長を記録しました。
営業利益については、サーバーワークスが2億2,000万円となっており、前年同期比マイナスは計画どおりです。G-genの営業利益は1億7,400万円で、こちらは前年がマイナスであったため、比率ではなく絶対額で表示しています。
主要科目の前年同期比較

こちらが主要科目の前年同期比の比較です。売上高は119億3,300万円で、前年同期比29.4パーセント成長しました。これは、リセールのアカウント獲得が順調に進んだことに加え、円安の効果が一部影響しているためです。円安の効果については、こちらに記載されていますのでご参考にしてください。
営業利益は3億9,800万円で、前年同期比99.6パーセント、経常利益も前年同期比92パーセントと高い成長を達成しました。
前年は赤字案件や大きな解約といったマイナス要因があり、非常に厳しい状況でしたが、そうした中でもしっかりと利益成長を実現できていることがわかるかと思います。
【再掲】2027年2月期 通期連結業績予想

こちらは、2027年2月期のガイダンスの再掲です。今期は中期経営計画の2年目にあたり、AWSとの戦略的協業契約を軸に、AIとセキュリティ、海外展開を加え、力強く成長していく方向性を示しています。
一方で、中期経営計画方針では利益率の上昇を図る方針を掲げていましたが、その後、生成AI市場の発展をしっかり捉えようということで、現時点ではこの分野に注力し、リセールのアカウントシェアを獲得する方向へ転換しました。
このような方向転換がありましたが、これを踏まえ、2027年2月期には売上高471億8,400万円、営業利益13億1,000万円を目指して活動する方針を示しています。
主要トピックス サーバーワークス、G-genのトピックス

ここからは、第1四半期のトピックスについてお話しします。まずは、クラウド関連のトピックスです。サーバーワークスは、国内初の「AWS Partner Led AMS」の提供事業者として認定を受けています。
これは、これまで当社が単独では提供が難しかった大手金融機関や大型の中央省庁、国をまたぐラージエンタープライズのシステムなどの領域において、AWSと連携し保守運用サービスを提供する可能性を広げるものです。この取り組みには私自身も非常に期待を寄せています。
G-genでは「Google Cloud Partner of the Year Award」を受賞しました。特にトレーニング部門において、私どものプレゼンスを発揮している状況です。
主要トピックス 生成AI関連

生成AIの分野でもニュースがあります。先ほどもお伝えしたとおり、AWSのトップエンジニア認定において、生成AI分野で国内No.1を獲得しました。
これは当社が明確に狙っていた成果であり、非常にうれしく思っています。また、このような取り組みが、サーバーワークスが生成AI分野でも高いパワーを持つ企業としてのプレゼンス向上に寄与すると期待しています。
2つ目に、生成AI分野およびサーバーレス環境に強みを持つRagateさまに出資し、資本提携を行いました。生成AIが盛り上がる中で、AIプロフェッショナルの確保が非常に大きな課題となっています。
今後も、このような資本提携を通じてプロフェッショナルをグループに迎え入れる取り組みを進め、生成AIのプロフェッショナルを確実に確保していきたいと考えています。
主要トピックス 海外展開関連

3つ目は海外展開です。先ほどお伝えしたとおり、Serverworks Thailand社を設立しました。AWSがタイでもリージョンを立ち上げたことで、非常に大きな盛り上がりを見せています。
「AWS Summit」というイベントが東京でも先日開催されましたが、バンコクでも開催され、多くの方が来場しました。これはIIJ(インターネットイニシアティブ)さまとの協業で実現したもので、しっかりと数字に貢献してくれることを期待しています。
主要トピックス セキュリティ関連

最後に、セキュリティ関連のトピックスです。AWSのトップエンジニア認定において、セキュリティ分野で国内No.1の認定者数を獲得しました。これは明確に狙っていた成果であり、目論見どおり達成できた結果です。
今後、多くのお客さまが生成AIを活用するためには、クラウド上にデータを集約する必要があると理解しています。その際、もしクラウド環境でセキュリティ事故が発生すれば、分散されていたデータがクラウドに集まることで、集約度が高まった分、事故の影響がより大きくなるリスクが想定されます。
こうしたリスクを軽減するために、クラウド環境やクラウドに接続しているエンドポイントなどを含め、セキュリティをしっかりとカバーする取り組みに、今後も力を入れていきたいと考えています。
このような流れを受けまして、スライドの右側に記載されている「Wiz」というGoogleに買収されたセキュリティ製品ですが、こちらは非常に現在海外でも人気のある製品です。この製品の提供および導入支援を通じて、クラウドからオンプレミスまでしっかりと守れる環境を整えていきたいと考えています。
売上高の推移 –連結・各社-

第1四半期の業績について、主要なKPIをご説明します。
売上高の推移についてです。スライド下部の黄色いバーがサーバーワークス、上部がG-genです。スライドに記載のとおり、前年の第1四半期に大きな解約や赤字案件があり、この部分だけ若干のマイナスとなりましたが、その後しっかりとリカバリーできていることがおわかりいただけるかと思います。
製品・サービス区分別 -各社売上構成-

製品・サービス区分別の売上高についてです。クラウドインテグレーションにおいて、前期は赤字案件の影響などでサーバーワークスとG-genともに苦しい状況でしたが、第1四半期でしっかりと回復し、どちらも過去最高の売上高を記録しました。
リセールについては、昨年の第1四半期の解約の影響が非常に大きかったものの、確実にリカバリーできている状況です。
クラウドインテグレーション -各指標の推移-

クラウドインテグレーションの案件単価と取引社数の推移についてです。この第1四半期は、一部に高単価の案件があったため単価が伸びていますが、基本的には単価が大幅に上がるものではありません。
今後は単価を平均的に引き上げ、プロジェクト数を増やすことで、広範囲での成長を続けていきたいと考えています。
リセール -AWSアカウント数・ARPUの推移-

リセール事業も順調です。アカウント数も増加しています。ARPU(単価)については、決算説明会で「毎回あまり上がりすぎないようにしています」と説明しましたが、現在少し上がっています。ただし、これを適切にコントロールすることで、お客さまが過度にAWSを高額と感じないような取り組みを今後も継続していきたいと考えています。
AWS利用料の推移(米ドルベース)

ドルベースのAWS利用料の推移です。スライドに記載のとおり、順調に伸びています。ただし、解約の影響で成長が一時的に鈍化しましたが、第1四半期では再び成長率が改善していることがわかります。
為替レートの推移

ご参考までに、為替レートの影響についてです。ご承知のとおり、為替レートは非常に読みにくい状況が続いていますが、今後も為替レートに左右されず、しっかり利益を出せる基盤を構築していきたいと考えています。
営業利益額 / 営業利益率の推移

こちらは、四半期ごとの営業利益額および営業利益率の推移です。前年の第1四半期、第2四半期は解約の影響や赤字プロジェクトの影響でマイナスが発生しましたが、その後、しっかりと回復していることが確認できるかと思います。
営業利益の前年同期比増減要因分析

営業利益の前年同期比の比較です。分析が必要な方は、スライドをご参照ください。
LTV(顧客生涯価値)

スライドのグラフはLTVのチャートです。前期に非常に大きな解約があった影響により、やや地層の形がいびつになっています。それでもスライドに記載のとおり、当社と古くから契約してくださっているお客さまが、当社への支払いを少しずつ増やしてくださったおかげで、成長をしっかりと維持できていることがわかります。
2027年2月期 第1四半期に関する想定Q&A

ここからは想定Q&Aとして、みなさまからいただくだろうご質問について、あらかじめ準備した回答をご説明します。
まず1つ目は、業績のハイライトとして、G-genのファンドや円安の影響額についてのご質問を想定しています。残念ながら、G-genのファンドについては、GoogleさまとのNDAがあるため詳細をお伝えすることはできませんが、影響としては売上総利益以下の利益に影響している状況です。
円安の影響については、資料に為替感応度が記載されていますので、そちらをご参考にしてください。
次に、不採算案件の状況に関するご質問を想定しています。サーバーワークスについては、第1四半期中にすべて完了しており、同じ案件によるマイナス影響は今後発生しない状況です。
一方、G-genの不採算案件については、2026年秋頃の完了を予定しています。プロジェクト自体はまだ完了していませんが、どちらの案件も前期に引き当てを行っていますので、今期への影響はほとんどないと理解しています。
今後の対策についてですが、システムの導入を進めており、プロジェクトの状況をリアルタイムでメンバーやプロジェクトマネージャーが管理監督できる仕組みを構築しています。
資料には記載されていませんが、現在の情勢を踏まえ、生成AIを活用することで、お客さまにご提案する資料や見積もりに潜むリスクをチェックする仕組みを構築しました。生成AIを適切に活用し、これらのリスクを最小化する取り組みはすでに導入済みです。
リセールのARPUが増加傾向にある要因については、既存のお客さまのクラウド利用が促進された側面が大きいと考えています。
みなさまもご存じのとおり、昨今ではコンピューターの購入が非常に難しい状況が続いています。メモリやストレージなどの価格が高騰しているため、オンプレミスのシステム更新や更改が難しくなっているというお話もうかがっています。
このような環境の中で、クラウドのコスト面での優位性が際立ち、多くのお客さまがクラウドへのシステム移行を進めていると理解しています。
一方で、利用料が上がりすぎると、お客さまがクラウドは高いという印象を持たれる可能性があります。こうした印象は誤りとは言いませんが、このようなマイナスの感情を持たれることは、中長期的には私たちのビジネスにとってもプラスになりません。
そのため、お客さまのコストをコントロールするお手伝いをしながら、長期的に安心してAWSをご利用いただけるような取り組みを継続して行っていきたいと考えています。
グループ人員数推移と採用進捗

最後に、いくつかの補足資料をお示ししたいと思います。こちらは、グループの人員数の推移と採用の進捗状況です。スライドに記載のとおり、製造、いわゆるエンジニアの採用も順調に進んでおり、残り36名というところまできています。
進捗率に換算すると、すでに47.8パーセントに達しており、採用が引き続き順調に進んでいることがご確認いただけると思います。
新卒採用では32名を迎えることができました。有望な新入社員がしっかりと加わり、今後の成長に大きく貢献してくれるものと期待しています。
生成AI活用による採用戦略の変化

こちらのスライドは本日みなさまに最もお伝えしたい内容の1つです。生成AIの活用によって採用戦略に変化が生じているという点です。当社のビジネスは、どうしてもエンジニアのヘッドカウントに依存する部分があるため、このような採用計画をこれまで立ててきました。
生成AIの登場により、これまではスライドの表の黒い線のような採用計画でなければ成長を実現できなかったところが、別のかたちの採用計画でも成長を実現できる可能性が出てきたと考えています。一方で生成AIの利用も必要となってきており、黄色で示された「トークン」の部分がその利用を指しています。
赤い線は、生成AIを活用した場合の総コストを示しており、黒い線との差分、つまり私が塗りつぶした部分が、生成AIの活用によって創出された利益であると考えています。
この指標を我々は「ROT」と呼んでいます。(ROTは、AIを利用しない場合の総コストとAIを活用した場合の総コストの差分をトークン利用料で割った、当社独自の指標です。)ROTが0以上を絶対条件とし、理想としては1以上を目指したいと考えています。今後、生成AIをうまく活用することで、確実に利益を実現していきたいと考えています。
株主還元方針

中期経営計画に記載されている株主還元方針について更新します。連結配当性向を20パーセントから30パーセントを目安とし、初回配当額は25円でしたが、今期は30円の増配を予定しています。
安定配当と財務の健全性の両立は非常に重要であるため、営業キャッシュフローに対する配当総額の割合を10パーセントから30パーセントの範囲内に収めるよう、バランスを図っていきたいと考えています。
前期は自己株式の取得も行いました。今期についてはまだ具体的な計画はありませんが、総還元性向25パーセントから50パーセントを目安とし、株主のみなさまにもしっかり報いていきたいと考えています。私からの説明は以上です。ご清聴ありがとうございました。
質疑応答:生成AIとサービスへの影響について
司会者:「御社は現在、生成AIの導入支援や独自のAWS運用最適化ツールの展開に注力されています。これらは従来の決済代行と比べて、極めて高い利益率が期待できるセグメントだと認識しています。今後数年の中で、これら自社プロダクト、AI関連の売上・粗利益がグループ全体に占める割合を、具体的にどの程度まで引き上げる計画、あるいは社内目標をお持ちでしょうか? また、現在の第1四半期時点での手応えはいかがでしょうか?」というご質問です。
大石:ご指摘のとおり、生成AIは従来以上に付加価値を生み出す可能性があると私たちも期待しています。一方で、現時点において、生成AIにおいてどの程度当社のサービスのアップサイドを取れるかについては、まだ未知数の部分もあるというのが私たちの理解です。
大きく2つの側面があり、1つは既存のオペレーションを効率化するという使い方。もう1つは生成AIそのものを販売する、あるいはその周辺サービスを提供するといった側面であると認識しています。
前者については、先ほど決算説明資料の30ページでご説明したROTという考え方に基づき、エンジニアの採用や総人件費を削減することで利益を生み出せる可能性があると考えており、一定の計画と見通しも立っています。
一方、外販に関しては、AIのインテグレーターを標榜する企業が存在し、競合も激化することが予想されます。そのような状況の中で、当社がどの程度まで利益率を実現できるかについては、依然として未知数であるというのが現実です。
また、先ほどAWSのリセールのアカウントをしっかり押さえていくという話をしたと思いますが、生成AIの分野で特に注目されているAnthropicさまのサービスが、現在AWSのアカウントとセットで販売可能となっています。
これを当社は非常に有望視しており、従来のAWSのリセールに加え、Anthropicさまのサービスも販売していきます。そこに当社の導入支援サービスや保守サービスを組み合わせて販売していきます。
さらに、Anthropicさまの「Claude」を使用してお客さまが何かを実現しようとする際には、データを集約する動きが生じます。その集約されたデータのセキュリティをしっかり守ることで、複合的な売上が発生するポイントが出てくると考えています。
このような取り組みを積み重ねることで、最終的に生成AI関連の活動が当社の利益に貢献すると見込んでいます。
目標の公表については、現時点では生成AI関連でこれほどの数字が実現可能だとは申し上げられませんが、ご質問を受けながら今後積極的に検討していきたいと考えています。
質疑応答:不採算案件の進捗と営業利益率の見通しについて
司会者:「前期に発生した一過性の不採算プロジェクトについて、その対策や膿出しは今回の第1四半期時点で完全に完了したと見てよろしいのでしょうか? また、今期の通期業績予想の営業利益13.1億円に対して第1四半期の進捗は社内計画と比較して上振れているのか、それとも想定どおりなのか、手応えを教えてください」というご質問です。
大石:不採算案件についてですが、先ほどの想定Q&Aでもお伝えしたとおり、いったん峠は越えたとご理解いただいて問題ありません。峠を越えたというのは、前期に損失の引当をほぼ終えている状況を指しています。
先ほどもご説明したとおり、サーバーワークスはほぼ終了しており、G-genについては一部が今年の秋までのスケジュールを見据えています。まだ最後までしっかりクロージングする必要はありますが、会計への影響という点では一巡したと考えていただいて差し支えないと思います。
進捗の手応えについてですが、四半期ごとの計画は開示していませんので、具体的な数字をもとに社内計画に対して進んでいるかどうかを断定的にお伝えすることは控えます。ただ、スライドに記載のとおり悪くない数字が出ていますので、私個人としては一定の手応えを感じています。
一方で、ご留意いただきたい点もございます。営業利益率の進捗が30パーセント近くとお伝えしましたが、当社にはコストのかかるイベントが第2四半期や第4四半期に集中することがあり、どうしても利益に一定のでこぼこが生じることをご理解いただければと思います。
また、Googleのファンド等や円安の影響などによる多少の変動要因がありますが、当社としては決して油断することなく、年間を通じて利益を実現できるよう、しっかりとオペレーションを進めていきたいと考えています。
質疑応答:AWSビジネスにおける為替の影響について
司会者:「AWSビジネスは為替の動向やAmazon側の手数料体系の変更に影響を受けやすい構造ですが、今期の計画においてこれらの外部要因をどのようにリスク・織り込みとして計算されていますか? 想定の円安基調がプラスに働くサプライズの余地はあるのでしょうか?」というご質問です。
大石:AWSの手数料の影響ですが、もしそのようなことが発生すれば、当然すぐに開示することになると思います。
そもそも、AWSとのマージン設定等の基本的なストラクチャーは、おそらく2011年に始まったもので、2011年から15年連続で続いているものであり、当社としてもAWSのオペレーションにおける長期的な安定性とビジネス推進に強いコミットメントがあると理解しています。
現時点でなにか変化があったり、大きなアップダウンがあったりするという認識はなく、今後もこの状況が継続することを期待しています。
さらに、報道等で一部の方はご存知かもしれませんが、AWSにおいてレイオフが行われ、日本法人を含む営業スタッフ等が削減される事例がありました。その結果、当社のようなパートナーへの依存がさらに強まる傾向にあります。
現在、AWSが単独で行おうとしていた部分が難しくなり、当社のような古参かつ実力のあるパートナーに頼りたいとの声を、以前よりも多く聞くようになってきています。その意味において、当社にとっては追い風が吹いていると考えています。
為替についてですが、通期のガイダンスでは円/ドルを150円と想定して設定しています。したがって、これを上回る円安が続けば、その分売上や利益にポジティブな影響が出ることになります。
一方で、これまでにも再三お伝えしているように、円安が長期化して高止まりした場合には、お客さまが「AWSは高い」「クラウドが高い」といった判断をする可能性があります。その場合、当社としてはお客さまのためにコスト削減に努めることもあります。
したがって、こうした相殺部分も考慮すると、円安による非常に大きなサプライズが起こるというよりも、むしろ当社はお客さまの利益を第一に考えつつ対応していくかたちになると考えています。
コストを適切にコントロールすることで、影響を一定程度相殺することができます。そのため、大きなアップサイドやポジティブサプライズがあるというよりは、当社はお客さまとともに順調に成長していく企業であるとご認識いただければ幸いです。
質疑応答:経営戦略とM&A戦略について
司会者:「御社は手元資金も豊富で、資本効率を意識した経営、初の配当開始などに舵を切られていますが、今後、会社の規模を非連続的に拡大させるためのM&A戦略、特に高利益率なITベンチャーやAI開発企業の買収などについて、大石社長の最新のスタンスをお聞かせください」というご質問です。
大石:ROEやROICを意識した経営、そしてM&A戦略についてのご質問と理解しました。
M&Aについては、引き続き成長戦略における重要な選択肢の1つとして位置付けています。ただし、生成AIの登場により、1つ変化した点があります。それは、同業他社とのロールアップがあまり意味を持たなくなっているのではないかと考えています。
先ほどのご説明にもありましたとおり、これまでIT業界、特にSI業界ではエンジニアの人数が売上や利益に直接的に影響する側面があったため、ロールアップ戦略で成長を図るという方法が戦略オプションとして採用されてきました。しかし、この領域では生成AIの進化により、エンジニアでなくても対応可能な業務が増えています。
そのような状況の中、当社としても同業他社を買収するというよりは、生成AIに強みを持つ企業、具体的には上流のコンサルティングから業務を取り込む、あるいは当社がこれまでリーチできなかった生成AI関連の領域にアプローチすることを模索しています。
高度な開発スキルを持つ企業にサーバーワークスグループに加わってもらうほうが、より有益であると考えています。
その第1弾として、今回、Ragateさまという生成AIの開発能力に非常に優れた会社にグループへ加わってもらうことで、当社のケイパビリティをさらに高めていきたいと考えています。
その他のプランについては現時点でお伝えできることはありませんが、こうした方針のもと進めていきます。M&Aについては、今後も積極的に進めていきたいと考えています。
質疑応答:G-genの状況および今後の成長戦略について
司会者:「G-genの状況はどうでしょうか? 今後の成長戦略や黒字化のめどについて教えてください」というご質問です。
大石:ファンドによる利益額などを具体的に申し上げることができず、大変申し訳ございません。ただし、これらを除いた実力ベースで見ても順調に推移しており、手応えを感じています。
また、赤字案件の収束も進んでおり、「Google Cloud」のマーケットもおかげさまで非常に伸びていると理解しています。
成長戦略として、Googleが提供する生成AI「Gemini」の引き合いが非常に強まっていることが挙げられます。さらに、第2に「Gmail」や「Googleカレンダー」を利用するために「Google Workspace」を導入するといったソリューションが官公庁などの裾野に広がりつつある状況です。
これらを積極的に横展開していくことで「Google Cloud」と「Google Workspace」といった分野も非常に好調に伸びています。このような取り組みを成長の基盤として位置づけていきたいと考えています。
こうした取り組みを計画どおりに進めることで、通期での黒字化も視野に入れています。ただし、個別の計画を開示していない関係上、断定は控えますが、非常にポジティブな状況だと認識しています。
質疑応答:NTTデータとの資本関係解消による影響について
司会者:「NTTデータさまとの資本関係解消でネガティブな影響は出ていないでしょうか?」というご質問です。
大石:結論を申し上げると、ネガティブな影響は出ていません。そもそもネガティブな影響があるような状況であれば、解消という判断にお互い至らないと思います。そのため、資本関係解消の判断があったということは、そのような影響がないことを示しているとお察しいただければと思います。
とはいえ、先方は非常に大きなこの業界の雄であり、資本関係の有無にかかわらず必要な連携は是々非々で進めていきます。当社にとって有益な部分については、今後も提携を継続していきたいと考えています。
質疑応答:サーバーワークスの販管比率の見通しについて
司会者:「円安やファンドの一過性の影響を除いても計画どおりとのことですが、サーバーワークスの営業利益と業績予想の営業利益を比較すると、利益面でビハインドに見える販管費率は第1四半期とそれ以降の四半期で変わってくるイメージなのでしょうか?」というご質問です。
大石:おっしゃるとおりサーバーワークス単体で見ると、営業利益は前年同期比で減益となっています。これは、販管費が第1四半期に偏っているというよりも、前年度の第1四半期にサーバーワークス側で一過性のファンドの売上が計上されていたことから、粗利が高かったためです。
また、営業戦略の転換により、利益率を高める方針からシェア拡大を目指す方針へと、この1年で急速に変化させました。この2点が大きな要因だと考えています。
したがって、第1四半期に販管費が偏り、第2四半期以降に販管費率が下がるという類のものではなく、今後も基本的にシェア拡大を目指すオペレーションを継続していきたいと考えています。
四半期ごとの計画については開示していないため、四半期ごとに見通しと実際をどのようにトラッキングしているかという点については、差し控えます。ただし、進捗状況は計画線上にありますので、引き続きこのオペレーションを続けることで、より高い成長を維持できるのではないかと期待しています。
質疑応答:自己株式の処分や活用方針について
司会者:「自己株式について、償却の予定やM&A等の活用、処分方針はどのようにお考えでしょうか?」というご質問です。
大石:取得した自己株式については、本日時点で具体的な処分や活用方針について確定しているものはありません。現時点ではそのようにご理解いただければと思います。
一方、償却や将来のM&A、資本提携の対価として活用することや、株式報酬制度に使用することも選択肢として考えられます。そのような事象が発生した場合は、速やかに開示します。
また、自己株式の取得自体を株主還元の一環と考えており、総還元性向の目安の中で昨年は機動的に実施してきました。取得した株式の扱いについては、資本効率や株主価値を意識した経営方針との整合性を図りながら、今後も適宜判断していきたいと考えています。
質疑応答:配当方針と株主還元について
司会者:「のれん償却による最終赤字を乗り越え今期は大増益を見込む中で、株主への還元、配当性向の目安や、さらなる自社株買いをどのように強化していく方針でしょうか?」というご質問です。
大石:基本的には先ほどの資料の説明を踏まえたもので、3点ございます。1つ目は配当性向についてです。連結配当性向を20パーセントから30パーセントとし、これを目安に安定的かつ継続的に配当を実施することは、株主のみなさまにとって利益にかなうものと理解しています。
2つ目に、配当と財務の健全性の両立についてです。財務の健全性は非常に重要であると認識しており、株主資本配当率の下限を1.0パーセントと設定し、営業キャッシュフローに対する配当総額の割合が一定となるようバランスをとりながら配当を継続していきたいと考えています。
最後に、先ほども少し触れましたが、自己株の取得を含む総還元性向についてです。先期には約11億円規模の自己株の取得を実施し、これにより総還元性向が非常に高まりましたが、今期も総還元性向の目安を25パーセントから50パーセントとする方針です。
配当性向の算定については、一過性の資産売却益など、現預金の増加を伴わない損益を除いた純利益を基準としています。そのため、成長投資や財務健全性、株主還元のバランスを保ちながら、今後も還元自体を強化していく方向で考えていますので、ご理解いただければと思います。
質疑応答:不採算案件を防止するための取り組みについて
司会者:「不採算案件をなくすためにどのような具体的な手を打っているのでしょうか?」というご質問です。
大石:不採算案件の防止については、主に3段階に分けて考えています。その3段階は精神論ではなく、具体的に役立つ仕組みが必要だと理解しています。3段階とは、入口部分、進行中部分、出口部分であり、これらの段階をしっかりとカバーしていくことです。
入口部分とは、プロジェクトが始まる前にお客さまに提示する見積もりのエラーを防ぐプロセスのことです。これに加え、PMOを設置した上で、生成AIを活用して過去の案件などを学習させ、リスクが発生し得るポイントを指摘するツールを自社で開発しています。このツールにより、見積もり時点でエラーが発生しない仕組みを構築しています。
次に進行中の段階では、実際のプロジェクト中になにか問題が起きた場合、迅速に対応策を講じることを目指しています。生成AIの活用により、プロジェクトマネージャーが進行中のエラーを早期に把握し、早急に対応する体制を整えています。
最後に出口部分です。ここでは、人員を中心にお客さまとの合意事項が履行されているかどうかをしっかりとレビューする体制を構築し、エラーを未然に防ぐ取り組みを進めています。これらの仕組みは、すでに実施に移されています。
サーバーワークスでは、不採算案件の仕組みは非常にうまく稼働しており、この点について問題はないと考えています。また、G-genでもこのような仕組みを一部稼働させており、さらにG-genの場合は、過去に買収した会社の案件であることも影響しています。
したがって、今後は案件の受注高に一定の上限を設けることで、大きなエラーが発生しないように対応していきます。具体的には、身の丈に合った案件をしっかり受注することを通じて、全体として赤字プロジェクトを撲滅し、エラーをなくしていく取り組みを進めていく考えです。こうした対策は、すでに実施しています。
一方で、クラウド需要の高まりに伴い、最近では難易度の高い大規模な案件が増加しています。これにより、1件あたりのプロジェクト単価が上昇し、さらに複雑性が増すことも想定されます。
生成AIなどの仕組みについては、やはり「作って終わり」ではないという点が重要です。しっかりと運用に魂を込めることが非常に重要だと理解しています。そのため、私の管轄の範囲内で全社を挙げて取り組み、赤字プロジェクトの撲滅を徹底して進めています。
これにより、予期せぬ決算上のサプライズを絶対に起こさないよう努めていきたいと考えています。
大石氏からのご挨拶
みなさま、本日は決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。現在、クラウドの波は引き続き非常に強く、生成AIの登場により、各所でチップやストレージがハイパースケーラーに取られてしまって、オンプレミスのシステム更新が足元で進んでいない状況が始まっています。
生成AI自体の売上についても、当社としてこれからしっかりと構築していきたいと考えていますが、この影響により、クラウド市場にも再成長の波が来ていると捉えています。株主および投資家のみなさまにも、このような視点で当社を中長期的にご支持いただければ幸いです。
本日は誠にありがとうございました。
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