個人投資家向けオンライン会社説明会
パシフィックネット、過去最高益を更新 PCを起点にサーバー等の高付加価値領域へ
会社概要

上田雄太氏(以下、上田):みなさま、はじめまして。株式会社パシフィックネット代表取締役社長の上田雄太です。本日はご参加いただき、誠にありがとうございます。
本日は初めての方もいらっしゃるかと思いますので、まず当社がどのような会社であるのか、どのように収益を上げているのか、そしてどのように今後成長していくのかについて、順を追って丁寧にご説明します。どうぞよろしくお願いします。
当社の概要についてご説明します。当社は1988年に創業し、今期で39期目を迎えています。事業は、ITサブスクリプション事業、ITAD事業、コミュニケーション・デバイス事業の3つのセグメントで構成されています。
直近の売上高は104億5,700万円で、従業員数は283人です。拠点は、北は札幌から南は福岡までの全国7拠点にわたり、法人向けのITサービスを提供しています。
当社の事業領域

当社の事業領域についてご説明します。当社のお客さまは、企業の情報システム部門です。私たちのミッションは、企業のパソコン運用管理業務を支援し、情報システム部門の負荷を軽減して時間を創出することにあります。
企業のパソコンは、購入して終わりではありません。スライドのサイクル図には、パソコンの運用管理の工程が1番から6番まで示されています。パソコンは調達後に個人ごとの設定を行い、3年から4年にわたり運用・保守を行います。その後、入替を行い、データ消去を実施した上で適正処理を行います。
運用管理にはさまざまな工程があり、それらを当社がワンストップで導入から運用、処分まで一括支援することが、当社の最大の特徴です。
沿革・事業構造の変化

沿革と事業構造の変化についてご説明します。当社は創業当初「パシフィックレンタル」という社名で、パソコンの短期レンタル事業からスタートしました。
その後、「Windows 95」の発売など、パソコンが市場に浸透していく過程において、パソコンのリユース・リサイクル事業も開始しました。全盛期には、秋葉原を中心に12店舗の個人向け中古パソコンショップを開設し、成長を遂げました。
大きな転換点は2016年から2017年にかけてです。全国にあった店舗を一斉に閉鎖し、BtoB向けに経営資源をすべて集中させました。そのタイミングで、現在のIT機器サブスクリプションやITサービスを行う会社へと転換しました。
「Windows 95」「Windows XP」「Windows 7」など、これまでに何度かWindows OSの更新という大きな事業機会がありましたが、これが会社を大きく前進させる要因となりました。
お客様(情報システム部門)が抱える課題

当社のお客さまが抱える課題についてです。当社のお客さまには、中堅企業と大企業というボリューム層があります。中堅企業は従業員100名以上2,000名以下の企業を指し、大企業は2,000名以上のいわゆるエンタープライズ企業を指します。
これらの企業には、人手不足という共通の課題があります。シンクタンクの発表によれば、企業のIT人材不足は非常に深刻であり、2030年には79万人が不足するとされています。
当然、IT人材の1人である情報システム部門でも、少人数で多くの業務を担うマルチタスクが日常化しています。そのため、業界では「1人情シス」という表現も普通に使用されています。
また、パソコンの管理や運用の負担も年々増加しています。特に大企業では、大量のパソコンを取り扱うことによるデータ消去やセキュリティ対応といった独自の課題が生じています。
このIT人材の不足と業務負荷の増大を背景に、現在は企業のパソコン運用管理を外部に委託するアウトソーシングのニーズが拡大しています。当社の事業は、これらの課題を解決するものです。
事業構成

当社の3つの事業についてご紹介します。まず、ITサブスクリプション事業では、パソコンの中長期レンタルやIT部門向けのITサービスを提供しています。主な顧客は、中堅企業を中心とする法人企業です。収益の特性として、月額の使用料とITサービスの収入を継続的に積み上げるストック型の収益モデルとなっています。こちらの事業の位置づけは、安定成長を支える中核事業であるとともに、売上成長の基盤です。
ITAD事業は、企業から出てくる使用済みIT機器の回収、データ消去、中古市場での再販を請け負っています。この事業の主な顧客は、ITサブスクリプション事業とは異なり、大企業が中心となっています。収益の特性としては、パソコン回収時のサービス収入と、再販利益を得る、いわゆるフロー型の収益となっています。特徴としては、高い収益性と資源循環を担う事業です。
最後に、コミュニケーション・デバイス事業です。こちらは「イヤホンガイド」という無線機の販売やレンタルを手掛けています。ニッチな市場ではありますが、業界トップのシェアを持ち、小規模ながらも高収益を確保する事業となっています。
当社では、ITサブスクリプション事業とITAD事業が主力事業です。
主力2事業の収益モデル

主力2事業の収益モデルについてご紹介します。
まず、ITサブスクリプション事業については、契約が開始されるタイミングでパソコンを調達します。この利用料は3年から4年という長期間にわたり、月額で集金します。また、契約期間中にITサービスを付帯することで、クロスセルが可能となっています。収益の特徴としては、長期契約により売上を積み上げやすい、ストック型の収益となっている点です。
契約が終了したパソコンについては、そのまま廃棄することなく、ITAD事業が引き継ぎます。ITAD事業では、パソコンを回収した後、データ消去や付随する役務を行い、作業収入を得ます。そして、その次にグレーディングや査定を適切に実施し、最適な販路で再販を行います。
まとめると、ITサブスクリプション事業で利用されたパソコンは、契約終了後に付加価値を付けた状態でITAD事業によって再販・再利用されます。1台のパソコンから複数の収益機会を生み出すこと、これがこの2つの事業の最大の特徴です。
収益構造の転換

この2つの事業の成長を通じて、収益構造がこの9年間で大きく転換しました。具体的には、2017年5月期の売上は46億4,300万円でしたが、2026年5月期には104億5,700万円まで大きく伸長しました。
ストック収益も2017年5月期は20パーセントしかなかったものの、現在は68パーセントまで伸びています。このように、9年間で収益構造が大きく逆転し、会社はストック収益という安定成長モデルへと大きく移行しました。
競争優位性

当社の強みについてご説明します。当社の1つ目の強みは、全国7拠点に営業と物流機能を持ち、札幌から福岡まで全国で均一のサービスを提供できることです。
特に、当社の従業員の約45パーセントがエンジニアリングに精通した技術者であり、これは当社と同様にパソコンのサブスクリプションを提供する同業他社との差別化の大きな要素となっています。大規模案件から小規模案件、テクニカルな案件まで、これらの技術者がすべて対応しています。
2つ目の強みは、創業38年を経て1万5,000社との取引実績がある点です。大手金融機関や大企業をはじめ、非常に長期間にわたりお付き合いをいただいています。
3つ目の強みは、品質です。当社の主力事業であるデータ消去においては、国際基準に準拠したデータ消去技術とISMSに準じた管理体制を整え、安心してご利用いただけるサービスを全国で提供しています。
2026年5月期 連結業績

直近の連結業績です。売上高は104億5,700万円で、前期比29.1パーセントの増加となりました。
営業利益は13億9,100万円で、前期比65.2パーセントの伸びとなりました。売上高・営業利益ともに過去最高を記録しています。特に、売上高は7期連続で増収、営業利益は4期連続で増益を達成しました。
2026年5月期には、「Windows」OSの更新という大きな事業機会があり、ストック収益が着実に積み上がりました。また、ITAD事業のフロー収益拡大も大きく進展しました。これらの成果により、安定成長を支える収益基盤がさらに拡大しています。
2026年5月期 事業別業績

事業別の業績についてご説明します。まず、ITサブスクリプション事業の売上高は、前期比22.4パーセント増の71億6,100万円となりました。これは更新需要の増加によるストック収益の大幅な積み上げが要因です。
ITAD事業の売上高は前期比59.8パーセント増、セグメント利益は前期比83.6パーセント増と大きく伸びています。このITAD事業が大きな利益成長を牽引しました。
コミュニケーション・デバイス事業のセグメント利益は1億1,100万円で、前期比70.5パーセントの増加となりました。こちらはインバウンドをはじめとする旅行需要の回復を背景に、高収益事業として貢献しました。
サブスク資産の状況と稼働率

サブスクリプション資産の状況と稼働率です。ITサブスクリプション事業では、サブスクリプション資産の資産残高と稼働率をKPIとしています。
サブスクリプション資産の推移を見ると、2026年5月期には192億7,800万円となり、2020年5月期と比較して4.1倍と大きく伸びています。また、その資産が適切に稼働しているかを併せて管理しており、直近2期の稼働率は80パーセントを維持しています。
今後も受注や事業見通しに基づき、機動的にサブスクリプション資産を取得し、稼働率の管理を進めていきます。
営業利益率・ROEの推移

営業利益率とROEの推移です。営業利益率は前期比2.9ポイント増加の13.3パーセント、ROEは前期比7.0ポイント増加の23.5パーセントとなりました。
今後も利益成長と資本効率の両立を図り、企業価値のさらなる向上を目指します。
2020年のWindows EOS更新時との比較

今から約6年前に、「Windows 7」のサポート終了に伴う大きな更新需要がありました。こちらのスライドは、それと今回の「Windows 10」との比較を示しています。
2020年のパソコン出荷台数は1,097万台でしたが、今回は921万台となり、市場自体が前回比で16パーセント縮小しました。
当社の売上高は、ITサブスクリプション事業が前回比3.3倍、ITAD事業が前回比1.6倍となり、セグメント利益はサブスクリプション事業が前回比2.6倍、ITAD事業も前回比2.6倍と、収益力が大幅に向上しました。
特筆すべきは、1人あたりの生産性です。2020年と比較して、売上高は1.9倍、営業利益は2.7倍となり、生産性の向上を実現しました。これにはサブスクリプション事業の拡大とITAD事業の販売単価の向上、そして収益力の向上が寄与したことが、今回の大きな評価ポイントであると考えています。
2027年5月期 連結業績予想

2027年5月期の連結業績予想です。更新需要の一巡後も増収増益を計画しています。
売上高は前期比6.1パーセント増の111億円、営業利益は前期比4.2パーセント増の14億5,000万円、経常利益は前期比0.6パーセント増の13億円を見込んでいます。
営業利益と経常利益の差分については、昨今の金利上昇を見込んでいます。
2027年5月期 連結業績予想の前提

今回の連結業績予想を立てる上での前提条件についてご説明します。
各事業セグメントの見通しについて、ITサブスクリプション事業とITAD事業は堅調に推移し、コミュニケーション・デバイス事業は好調に推移すると考えています。
まず、ITサブスクリプション事業については、昨今のパソコン価格の高騰により、購入からサブスクリプションという新しい手段への移行需要が拡大していくと想定しています。一方でリスクとしては、パソコン価格の高騰や納期遅延による調達リスクが挙げられます。
ITAD事業についても、同様に新品パソコン価格の上昇により、中古パソコン価格が高騰している状況です。そこが1つの事業機会であると考えています。リスクとしては、今回のWindows OSの更新需要の反動により、パソコンの入荷台数が減少することが挙げられます。
全社の前提として、今期も引き続き戦略的な投資を続ける予定です。総合的には、外部環境を注視するという前提でいます。
今後の方向性

今後の当社の成長戦略です。当社の今後の方向性は2つあります。
1つ目は、既存顧客へのクロスセルや新規開拓を目的としたマーケティング活動を通じて、顧客接点や顧客基盤をさらに拡大していくことです。
2つ目は、これまではパソコンを中心とした情シス支援を行ってきましたが、パソコンを入り口として、ITサービスをはじめとした、より付加価値の高いサービスを拡充することで、お客さまへの提供価値を向上させていくことです。
この提供価値と顧客基盤を掛け合わせることで、より付加価値の高いITサービス企業への進化を目指しています。そして、2027年5月期からはITAD事業をサーバー分野に拡大し、新たな領域へ挑戦します。
中長期の成長戦略

この成長方向性における、具体的な戦略についてご説明します。
1つ目は、処理能力の拡大です。今年6月、神奈川県相模原市にテクニカルセンターを開設しました。この施設は、総面積がこれまでの施設の約2倍となる2,000坪を有し、月間10万台の入荷対応能力を誇る過去最大のロジスティクスセンターです。
これにより、全国各地からの多様な案件に対応可能な体制を構築しました。また、今後進めていくサーバーなどの取り扱いにも対応できるよう、今後この機能をさらに強化していく予定です。
2つ目は、提供価値の拡大です。現在主力としているパソコンを中心としたソリューションから、より広範なITサービスやBPOの拡充へと展開していきます。具体的には、ネットワークやセキュリティ、さらに情シスBPOなど、パソコンの課題にとどまらず、IT部門全体の課題を解決するサービスを強化していきます。
3つ目は、新規領域への展開です。今年7月にニュースリリースを発表したとおり、昨今の旺盛なAI需要の高まりを受け、全国各地にデータセンターが新設されています。これまで企業の投資対象はパソコンが中心でしたが、今後はAIやサーバーへの投資が確実に進むと見込まれます。
今後、全国に広がるAIのデータセンターは、いずれ撤去や新しいものへの切り替え、そしてデータ消去といったニーズが必ず生まれると考えています。当社はITAD事業において、データ消去や再販のノウハウを有しています。今後必ず顕在化する、この高付加価値な中古市場に向けて、今から実績を積んでいく方針です。
株主還元方針

株主還元方針です。今期は普通配当57円に加え、創業40年目を記念した記念配当8円を実施し、年間配当は65円を予想しています。配当方針として、配当性向30パーセント以上およびDOE5パーセント以上を目標としています。
累進配当は約束していませんが、配当の累進性を意識しており、10期連続の増配を目指していきたいと考えています。今後も継続的な還元を実施していきます。
本日お伝えしたいこと

当社は、パソコンの導入から運用・処分までをワンストップで支援するユニークな事業を展開しており、これにより企業のIT部門における人手不足や業務負荷の軽減に貢献したいと考えています。
また、当社は今から10年前に業態転換を行い、ITサブスクリプション事業を軸とした安定性の高い収益基盤を構築しました。今後もITサブスクリプション事業とITAD事業を中心に、継続的な成長を実現していきます。
その結果、収益力と生産性が向上し、事業体質は大きく進化しました。前回の「Windows」のEOS時の業績を超える収益力を実現し、業績は過去最高となりました。
最後に、今後目指す方向として、パソコンを起点にITサービスやBPO、より付加価値の高い領域への進出を計画しています。引き続き、中長期的な企業価値の向上を目指していきます。
質疑応答:ITサブスクリプション事業の拡大と顧客増加の要因について
kenmo:今から約10年前に開始された構造改革を経て、現在ではストック収益が大きく伸びています。これは、ITサブスクリプションのニーズはもともと存在していたものの、提供する会社がいなかったということなのでしょうか? それとも御社の「かゆいところに手
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