logmi Finance
logmi Finance
井関農機株式会社6310

東証プライム

機械

【基本情報】株価:1,764円(2026年5月22日終値)/配当利回り:2.55%

国内の注目銘柄を紹介する連載「ログミーFinanceの#銘柄発掘」。ビジネスモデルやファンダメンタルズの分析を通じて、中長期で保有できる優良銘柄の見極め方が身につく実践的シリーズです。今回は、井関農機を取り上げます。

国内農機市場3番手、欧州向けで売上拡大

井関農機(6310)は、トラクタ、田植機、コンバイン、乗用草刈機などを開発、製造、販売する農業機械メーカーです。国内農機市場ではクボタ、ヤンマーに次ぐ3番手で、国内販売会社などを通じて農家や農業法人に製品・サービスを提供しています。

海外では欧州向け乗用草刈機や北米向けOEM(相手先ブランド供給)などを展開し、2025年12月期の海外売上高は563億円でした。うち385億円、68パーセントを占める欧州では、景観整備向けの乗用草刈機などが主力です。2025年12月期の欧州売上高は前年並みでしたが、2026年12月期第1四半期の欧州売上高は第1四半期として過去最高となりました。国内農機市場が縮小するなか、欧州事業は海外成長を支える柱として重要性が増しています。

売上高1,857億円、国内メンテナンス収入比率19.5%が強み

2025年12月期の売上高は1,857億円です。売上構成は、整地機(トラクタ、乗用草刈機など)が643億円で35パーセント、部品・修理収入が319億円で17パーセント、その他が313億円で17パーセント、作業機が288億円で16パーセント、収穫調製機(コンバインなど)が201億円で10パーセント、栽培機(田植機など)が91億円で5パーセントでした。

国内メンテナンス収入比率は19.5パーセントで、販売後も部品供給や修理で顧客接点が続く点に強みがあります。

スマート農業が成長ドライバー、大型機や先端機の需要拡大に期待

同社の成長ドライバーとして注目したいのが、スマート農業(ロボットやデータで農作業を省力化する仕組み)です。同社はロボットトラクタ、自動操舵、営農管理システム、スマート追肥システムなどを展開しています。

2024年の国内農業経営体数は88万3,000経営体で前年比5.0パーセント減と、農機の需要家は減少していますが、人手不足や農業の大規模化を背景に、スマート農業の普及が大型機や先端機の需要を押し上げる可能性があります。高性能機の比率が高まれば、単価や採算の改善に加え、導入後の点検・修理需要にもつながると見られます。

米価上昇で農家の購買意欲が改善、稲作向け国内販売に追い風

国内農機需要を動かす要素としては、米価にも注目です。2021年以降は米価下落と生産資材費の高騰で農家の購買意欲が弱まりましたが、2024年6月以降は米価上昇を背景に購買意欲が高まっています。

稲作農家の採算が改善すれば、農機更新や作業機購入に動きやすくなるため、稲作向けに強い同社の国内販売には追い風となります。

「プロジェクトZ」で営業利益75億円以上、営業利益率5%以上を目指す

同社の中期的な成長を見る上で重要なのは、生産拠点再編、開発機種の絞り込み、販売会社統合などを進める中期改革「プロジェクトZ」の進捗です。

2023年12月期の営業利益22億円、営業利益率1.3パーセントに対し、2026年12月期計画は営業利益60億円、2027年目標は75億円以上、営業利益率5パーセント以上です。2023年12月期の営業利益22億円から2027年目標の75億円以上まで引き上げるには、4年間で年平均約36パーセントの増益ペースが必要であり、低採算体質からの転換を前提にした目標と言えます。

製品構成や価格改定、生産効率向上、販売体制の見直しなどで、効率的に利益を残せる体質に変われるかが焦点です。

年間配当45円予想、2027年にDOE2%以上を掲げる

株主還元では、2026年12月期の年間配当は45円を予想しています。2026年5月22日終値1,764円を前提にした配当利回りは2.55パーセントです。

2027年目標としてDOE(株主資本配当率:株主資本に対する配当の割合)2パーセント以上を掲げており、安定配当を意識した還元方針と言えます。

第1四半期は売上高・営業利益・経常利益が過去最高

2026年5月15日には第1四半期決算を発表し、売上高514億円、営業利益26億円で通期予想を据え置きました。

売上高、営業利益、経常利益は第1四半期として過去最高となり、営業利益率も5.1パーセントまで改善しています。今後は国内需要の改善とプロジェクトZの効果が、通期の営業利益60億円計画にどこまでつながるかが注目です。

さらに詳しく知りたい方へ――社長による生配信セミナーのご案内

事業内容や成長戦略に触れ、「もっと詳しく知りたい」「経営トップの考えを直接聞きたい」と感じた方へ。井関農機株式会社 代表取締役会長執行役員・冨安司郎氏が自ら最新の業績や今後の成長戦略、投資家が注目すべきポイントをライブ配信で丁寧に解説します。

視聴者からの質問もその場で受け付けており、経営者の肉声を通じて、リアルタイムで疑問も解消できる貴重なセミナーです。

参加はZoomによるオンライン配信で、どなたでも無料でご予約いただけます。

「成長領域をさらに深掘りしたい」「配当方針や現場のリアルを知りたい」と考えている方は、ぜひこの機会にご参加ください。

▼詳細・視聴予約はこちら【IRセミナー特設ページ】
2026年6月13日(土)20:00開催。井関農機株式会社オンラインIRセミナー ※当日は投資家向けに注目テーマの解説や質疑応答などを予定しています。

井関農機株式会社(6310)をフォローして、最新情報やアーカイブ公開通知を受け取る

執筆者プロフィール

執筆:西田哲郎
ライター・コンテンツディレクター。投資歴15年。大きな損失を出したことをきっかけにイナゴを卒業、ビジネスモデルとファンダメンタルズ重視の手法に切り替える。業界紙やスタートアップを経てフリーで投資情報メディアやM&A情報サイトの立ち上げに関わり、現在は主に週刊誌で投資や経済関連の記事を執筆。


※記事内容、企業情報は2026年5月22日時点の情報です。
※当記事内容に関連して投資等に関する決定を行う場合は、ご自身の判断で行うものとし、当該判断について当社は一切の責任を負わないものとします。なお、文中に特定の銘柄の投資を推奨するように読み取れる内容がある可能性がございますが、当社および執筆者が投資を推奨するものではありません。

facebookxhatenaBookmark