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株式会社Sun Asterisk4053

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目次

小林泰平氏(以下、小林):みなさま、はじめまして。株式会社Sun Asterisk代表取締役執行役員CEOの小林です。本日はご参加いただき、ありがとうございます。当社に少しでも興味を持っていただけるよう、誠心誠意お話ししますので、よろしくお願いします。

本日は会社概要、AI時代の実績、業績および今後の取り組み、株主還元、質疑応答についてお話しします。

MAKE AWESOME THINGS THAT MATTER

小林:当社の紹介をします。我々のビジョンは「誰もが価値創造に夢中になれる世界」の実現であり、ミッションは「事業を通じた社会のポジティブなアップデート」です。

会社概要

小林:2013年に設立し、現在は連結従業員数2,060名で運営しています。ベトナムやフィリピンにも拠点があり、グローバルなチームで事業を展開しています。

2025年12月期の売上高は148億3,000万円、営業利益は10億5,000万円、売上高CAGRは32.9パーセントと、順調に成長を続けています。

Digital Creative Studio

小林:当社が展開している事業は、デジタル・クリエイティブスタジオ事業です。スタートアップからエンタープライズまで、新規事業の開発や既存事業のアップデートを、受託モデルで支援しています。また、人材の紹介や派遣なども行っています。

当社の役割は、企業が新しいことを始める際に、あらゆる面から支援することです。いわゆる「なんでも屋」のように幅広く対応していますが、プロダクトを作って納品して終わるのではなく、新規事業を生み出すための手段としてプロダクト開発を行っています。

企業に寄り添い、当社のチームが伴走型で支援する点が特徴だと考えています。

3つのサービスラインで構成する売上ポートフォリオ

小林:デジタル・クリエイティブスタジオ事業の主力サービスラインは、現在3つあります。1つ目は、クリエイティブ&エンジニアリングです。売上比率の76パーセントを占める売上の柱で、顧客に寄り添いながら事業づくりを支援する伴走型のサービスラインとなっています。

2つ目は、タレントプラットフォームです。当社がプロダクト開発などで得た知見をもとに育成した人材に加え、企業が求める技術責任者レベルのコア人材の紹介、さらに常駐型エンジニアリング、いわゆるSES型のサービスを提供し、人材面から顧客を支援するサービスラインとなっています。売上比率は約14パーセントです。

3つ目は、インキュベーションです。当社内で自社パブリッシュの新規事業や、自社でのIP・コンテンツ開発を行っています。現在、インキュベーションには十分な収益を上げているサービスラインが3つあり、主にエンターテインメント領域で、売上比率は約10パーセントです。

インキュベーションでは、このほかにも多くの新規事業に取り組んでいるほか、3つのサービスラインで活用できるツールの開発なども進めています。研究開発を行いながら、すでに収益を上げている事業もいくつか生まれており、今後の成長ポテンシャルにつながると考えています。

構想から事業成長まで伴走する独自モデル

小林:構想から事業成長まで伴走する独自モデルについてです。コンサルティングファームや大手SIer、デザインスタジオなども想定される中、当社はすべてを一気通貫で行っています。

例えば、戦略や構想の企画段階から、デザイナーの思考やテクノロジーの視点を組み込んでいます。そのため、業界で見られるような、戦略だけが立派で、テクノロジー的に実現できない「絵に描いた餅」のような事業を作ることがありません。

ユーザーにとって使いやすい構想になっているかを、ビジネス、テクノロジー、クリエイティブの3つの視点で考えて事業を構築している点が、顧客から高く評価されています。

また、ベトナムなどに大規模な開発拠点を持っているため、最終的なシステムの開発から運用まで対応可能です。さらに、大規模開発でエンジニアが50人から100人規模で必要となる案件にも対応できる点も、非常に高く評価されています。

当社の競争優位性

小林:当社の競争優位性として、一気通貫の支援力、AI駆動の開発力、そしてグローバルな開発基盤が挙げられます。AI駆動の開発力については、後ほど詳しくご説明します。

グローバルな開発基盤については、特に現地トップレベルの大学との産学連携を進め、国際的に優秀な人材を社員として迎え入れられている点が、非常に大きな強みだと考えています。

さらに、創業から約14年にわたり事業を継続し、これまでに1,300件のプロジェクトを手がけてきました。670社・1,300プロジェクトという豊富な実績と、業界内での信頼も当社の大きな強みです。

Creative & Engineering

小林:クリエイティブ&エンジニアリングでは現在、新規事業やプロダクト開発といった、これまで当社が強みとしてきた領域に加え、顧客に伴走しながら、いわゆるレガシーシステムの刷新や、まだ進展していない業務DXといった事業基盤の変革についても、多くのご相談をいただくようになってきています。

この領域は、もともと大手SIerなどが中心となって取り組んできた分野であり、我々のようなベンチャー企業が関わる余地はあまりありませんでした。しかし、それでも相談が増加している背景には、やはりAIの存在が大きいのではないかと考えています。

我々はAI分野において、ベトナムのR&Dチームや日本側のCTO経験者たちで構成された精鋭テクノロジーチームによる研究開発やツール開発を継続的に行ってきました。その結果、これらを活用した基幹システム刷新へのニーズも、最近増加しています。この点については、後ほど事例を交えてご説明します。

ベトナムスタジオからのメッセージ

小林:実は当社はベトナムで創業しました。私自身も創業時にベトナムへ移住し、6年から7年の間、テクノロジーチームの立ち上げに奔走しました。

ベトナムには、ハノイ・ダナン・ホーチミンにそれぞれ拠点があります。特にハノイは創業の地で、現在最も大きな拠点です。その雰囲気をご覧いただければと思います。まずはベトナムチームが用意した動画をご覧ください。それでは、再生をお願いします。

(動画始まる)

こんにちは、Sun Asteriskです。我々はお客さまの挑戦に寄り添い、ともに価値を創り出すパートナーでありたいと考えています。この思いを支えるのが、3つのコアバリューです。

1つ目は「Aim High」です。我々は常に高い目標に挑戦し、学び続けることを大切にしています。これまでに医療、小売、製造、金融・保険など、さまざまな分野の大規模プロジェクトを支援してきました。難しい技術課題や厳しいスケジュールにもチームで挑戦し、UXの改善、サービス品質の向上、大規模なユーザー獲得に貢献してきました。

我々は単に要望に応えるだけではなく、もっと良くできることはないかを常に考え、より高い価値を目指しています。

2つ目は「Be Agile」です。テクノロジーやビジネス環境は日々大きく変化しています。そのため、我々は変化を前向きに受け入れ、迅速に行動することを大切にしています。Sun Asteriskでは創業当初から最新技術を積極的に取り入れてきました。現在はAIを開発プロセス全体に活用し、開発のスピードと品質の向上に取り組んでいます。

我々にとって「Be Agile」とは、単に変化に対応することではありません。新しい技術をいち早く活用し、お客さまにより大きな価値を届け続けることです。

3つ目は「わっしょい」です。「わっしょい」は日本のお祭りで使われる掛け声であり、Sun Asteriskではこの言葉を一致団結の象徴として大切にしています。毎日、デイリーミーティングの最後に全員で「わっしょい」と声を掛け合うことで、チームの気持ちを1つにしています。

また、我々はお客さま、パートナー、Sun Asteriskのメンバーといった立場を超えて、ワンチームであることの重要性を重視しています。難しい課題に直面した際も、お互いに信頼し、支え合いながら、ともに乗り越えていきます。

Sun Asteriskでは、「Aim High」「Be Agile」「わっしょい」をすべてのプロジェクトの基盤としています。高い目標に挑戦し、変化を恐れずチームでやり遂げます。その積み重ねが我々の強みであり、長期的な価値につながると考えています。これからもみなさまと一緒に、新しい価値を創り続けていけることを楽しみにしています。

(動画終わる)

小林:ベトナム拠点は、現在このような状況です。

kenmo氏(以下、kenmo):「わっしょい」というコアバリューが、非常におもしろいと思いました。

ここで1つ質問します。よくいただく質問、あるいはよくあるコメントかと思いますが、生成AIの台頭により、オフショア開発がAIに置き換えられるのではないかという懸念が、マーケットでよく聞かれます。そのような状況で、御社の立ち位置やベトナムの優秀な人材の立ち位置、またAIとの共創について教えてください。

小林:オフショア開発やベトナムに開発拠点があるという話になると、プログラミングやコードを書くような作業を切り出して依頼するイメージを持たれることが多いと思います。しかし、当社の場合はまったく異なります。メンバーは全員が国内のトップ大学を卒業しており、国費留学を経験したメンバーもいます。

また、有名なコードコンテストやプログラミングコンテスト、ハッカソン、アイデアソンなどのイベントでの受賞経験があり、さらに国際数学オリンピックでメダルを獲得するなど、非常に高い能力を持つ人材が所属しています。

そもそもコーディング作業のような業務は、AIが登場する前のノーコード・ローコードの時代から、高い水準で自動化を進めてきました。そのため、当社が手掛ける業務は非常に高度な領域に位置しています。AIに置き換えられるどころか、むしろメンバー自身がAIを活用し、さらなる成長を目指しています。

当社の人材は非常に重要なチームを形成しており、今後もニーズが途切れることはないと確信しています。

先ほどAI駆動開発についてお話ししましたが、それを支える各種ツールやプラットフォーム、自社独自のプラットフォームなども、メンバーが自ら提案し、発信し、構築しています。したがって、Sun Asterisk全体の事業を支える極めて重要なチームだと考えています。

国家基準に認定されたSun* Vietnamの企業カルチャー

小林:Sun Asterisk Vietnamについてです。先ほど「わっしょい」というコアバリューに触れました。創業当初、私はベトナムのことを十分に理解していたわけでもなく、英語も得意ではなかったため、文化交流の面で最初は少し苦労しました。ただ、私が祭り好きで「わっしょい」とよく掛け声をかけていたところ、今ではそれがコアバリューとして浸透し、みなにとって非常に大切な言葉となりました。

動画にもありましたが、朝にプロジェクトを開始する際は、いわゆるデイリーミーティングを行い、最後に「今日も1日頑張るぞ。わっしょい」と掛け声をかけ合ってスタートしています。

創業当初のクライアントはスタートアップやベンチャー企業が多く、例えばユーザベース社も重要なお客さまでした。そのような企業の方々が「ベトナム現地を見たい」とオフィスにお越しになると、ミーティングの様子や熱量の高さ、全員が事業そのものに向き合う姿勢が際立っていました。さらに、「わっしょい、わっしょい」と声を掛け合いながら取り組む姿も相まって、多くのファンを獲得できました。

その結果、クライアントの方々が新たなクライアントをご紹介くださるなど、輪は徐々に広がっていきました。このように、ベトナムを中心とした創業時からの企業カルチャーそのものが、我々の大きな強みだと考えています。

また今年、驚くべきことに、ベトナム国内の「ビジネス文化標準認定」という非常に栄誉ある認定で、最高位の認定を受けました。私自身も詳細を把握しきれていなかったのですが、 この表彰では当時の副首相も参加したフォーラムで企業文化の重要性が語られ、Sun Asteriskがその象徴的な企業として表彰されました。

その際、政府との政策対話や企業文化の推進において先導的なリーダーシップを果たす企業として期待が寄せられ、国営放送などでもニュースとして取り上げられました。その結果、現地でのプレゼンスが非常に高まっています。

このようなチームがバックボーンにあることは、日本側のチームにとっても非常に心強く、さらに自信を持って「あれもできます」「これもできます」と言える原動力になっています。

単に人員の多さや開発力の強さだけでなく、ベトナム拠点そのものが我々の大きな強みになっています。

Creative & Engineeringの支援事例

小林:このようなチームで、これまでに1,300件以上の支援を行ってきました。スタートアップからエンタープライズまで、みなさまがご存じの企業に加え、場合によってはお手元のスマートフォンで利用しているサービスも含まれています。

業界に特化せず、幅広く支援を続けており、日本航空、JT(日本たばこ産業)、大和証券のような大企業から、上場して次の成長を担うタイミーのようなスタートアップ・ベンチャーまで、多岐にわたります。

加えて、業務DXや基幹システムの案件も増えており、比較的堅実で構造的なプロジェクトにも取り組んでいます。

Creative & Engineeringの支援事例

小林:このあたりの実績は、幅広く公開しています。ただし、公開できるものは一部に限られます。ホームページなどで随時更新を続けていますので、ご興味のある方はぜひご覧ください。

Talent Platformとは:採用・人材戦略へ変換するハブ

小林:2つ目のサービスラインであるタレントプラットフォームについてです。当社は事業づくりを全面的に支援することを主軸としていますが、クライアントのみなさまからは、事業開発に限らず、人材が不足している、あるいは自社でより多くのエンジニアやテック人材を確保したいといったニーズも寄せられています。そのため当社では、海外の大学などと産学連携を進め、現地で学生を育成したり、日本で働きたい方々に日本語教育を行ったりしています。

このように、我々は人材育成にも取り組み、日本で働きたい方々を支援しています。国内には、Sun terrasという子会社もあり、常駐型のエンジニアリングサービスの提供に加えて、内製化の支援にも取り組んでいます。

kenmo:これは、ベトナムの人材を日本の企業に送り込むようなイメージでしょうか?

小林:送り込むというより、ベトナムの人材、あるいはそういった方々を採用したい企業に向けてコンサルティングを行うなど、人材採用を支援しています。

また、日本国内にはヘッドハンターが多数在籍しており、国内のテクノロジー人材の転職支援も行っています。

競争優位の源泉となる人材エコシステム:人材供給力により、品質とスケールを両立

小林:大学との教育連携についてです。当初はベトナムの1大学から始まったプロジェクトですが、現在は世界4ヶ国・12大学へと広がっています。いずれも現地トップ大学の情報工学部、いわゆるIT学部の学生を対象に、我々が4年間で約1,000時間のカリキュラムを提供しています。社員が講師として無償で大学に派遣され、授業を行っています。

このように育成された人材を当社では積極的に採用し、採用後の活躍を支援するためにコンサルティングなども行っています。

これまでに当社のこのコースを卒業した1,200名以上が日本企業へ就職しています。「日本企業」と記載されていますが、「日本に」などの表現も可能です。現在、受講生は同時進行で約2,800名おり、これまでに累計6,000名以上の学生にこのプロジェクトを届けてきました。

このような取り組みは、人材の発掘・育成・供給を担う大きなエコシステムになっていると考えています。

xseedsから羽ばたく、世界水準のIT人材

小林:そのような学生たちは非常に高く評価されており、「競争が激しすぎて日本ではなかなか採用できなかった」「採用枠に制約がなければ全員採用したいと思える」といった声も寄せられています。結果として、日本企業がトップレベルで優秀な方々を採用できている状況です。

我々の日本オフィスにも、このコースを卒業した学生が数十名所属しています。

Incubationの概要

小林:最後のインキュベーションについては、現在、エンターテインメント領域で3つのサービスラインが収益化しています。「ALLLY」「GLOBAL GEAR」「Trys」の3つです。

Incubation

小林:「ALLLY」は、プロのアーティストとファンをつなぐコミュニティプラットフォーム事業です。

いわゆるファンクラブを、よりデジタルで豊かにしていく取り組みを行っています。プラットフォーム型のサービスは数多くありますが、当社では共通のエンジンを基盤に、アーティストごとにホワイトレーベルでカスタマイズするかたちを採用しています。

ビジネスモデルの提案も含めてともに作り上げ、すべてレベニューシェアのかたちで実施しています。現在ご覧のようなアーティストを手掛けており、すでに多くのファンを抱えファンクラブを保有しているアーティストもいれば、これから世界に羽ばたこうとする大きな野望と可能性を持つアーティストを、初期段階からアプリで支える取り組みも行っています。

Incubation

小林:GLOBAL GEAR社は、ファミリー向けやカジュアルなゲームを中心に、グローバルに展開している会社です。これまでにリリースしたアプリは180本以上で、累計アプリダウンロード数は1億2,500万回に達しています。

大半が広告収益モデルで構成されており、過去のゲームも長期間にわたり多くのユーザーに遊ばれることで、収益が継続的に積み上がる、比較的安定した事業構造を持っています。

収益性の高い構造で事業に取り組めている会社です。各タイトルの開発費も現時点ではそれほど大きくなく、利益率の高い事業だと考えています。

Incubation

小林:Trys社についてご紹介します。この会社は現在、約80名のイラストレーター、クリエイターが所属している集団です。

主にゲームやエンターテインメント領域で、イラストやその他コンテンツの制作を受託するビジネスを展開しています。その高い画力やイラスト力、そしてIP(知的財産)への深い理解を活かし、自社でのIP創出にもチャレンジしています。

直近で公開できる事例としては、Webトゥーンというスマートフォンの縦読み漫画などに挑戦しており、各種プラットフォームでランキング1位を獲得した作品も生まれています。このような取り組みを通じて、先ほど触れた「ALLLY」やGLOBAL GEAR社も含め、マルチメディア展開を積極的に進めていきたいと考えています。

エンターテインメント領域に限定して事業を展開しているわけではありませんが、現在はこの領域で収益化が進んでいる状況です。今後もこの領域で、さまざまな事業を企画していきたいと考えています。

AI・DX 投資拡大を追い風に成長

小林:ご質問が非常に増えた、最近注目を集めている領域についてお話しします。具体的には、AI時代におけるSun Asteriskの実績と、今後どのような価値を提供できるかについてです。

この点は当社が特別に主張するというよりも、一般的にも言われていることですが、日本のDX市場はもともと、DXやモダナイゼーションによる既存事業の変革が中心でした。一方で、当社は、デジタルの力で新しい事業や価値を創出することに強みを持つスタジオです。

そのため現在は、スライドの図でいう2番の「新しい価値創出」のためにデジタルを活用する領域が主戦場であり、この市場で成長してきたことが当社の現在の立ち位置です。

最近はAIやクラウドがさらに注目されており、AIによってこの流れはさらに加速しています。大型のERPもクラウドベースでなければAI機能を活用できない状況にあり、その結果、クラウド化がいっそう進んでいます。この領域は今後さらに大きく成長していくと考えており、実際、すでに成長が進んでいると感じています。

この成長を支えるデジタル基盤に、AIなどを積極的に実装していくことが強く求められており、当社でもこの領域への対応を進めています。

AI 時代の潮流とSun*の事業機会

小林:現状の認識として、AIの導入はますます拡大しているものの、企業価値の向上や新たな価値創出といった領域には、まだ十分に踏み込めていないと考えています。活用は非常に限定的だと思います。

そのため現状では、どちらかといえば部分最適や効率化といった領域での活用が中心です。我々としても、この領域はすでに成長している、非常に大きなメインストリームの市場であるため、積極的に取り組んでいきます。

しかし今後は、AIと人の創造性・実行力といった要素を適切に組み合わせ、新しい価値を生み出す方向に、AI導入をどこまで進められるかが中長期的なメインテーマだと考えています。

実装事例

小林:そのような中で、最近我々が実装し開示している事例としては、例えば新規事業のアイデア出しや構想フェーズでAIを活用し、価値検証のスピードを高める取り組みがあります。また、AIそのものを活用したサービスのPoC(概念実証)なども含まれます。

我々が提供するAI駆動開発のメソッドを活用し、すでに多くの事業を展開している企業の開発フローの生産性を向上させる事例が増えています。具体的には、AI駆動開発を企業の開発プロセスに導入・統合する取り組みが多く見られます。

AI活用、新規事業開発支援事例:双日テックイノベーション株式会社

小林:詳細は割愛しますが、アイデアの創出や高速検証には積極的にAIを導入していきます。また、当社が保有する新規事業創出のためのさまざまなフレームワークも活用し、AIにすべてを任せるのではなく、両軸で進めていく方針です。

AI活用、新規事業開発支援事例:株式会社KDDIテクノロジー

小林:AIを実際に活用した事業として、AIそのものが価値を持つコミュニケーションアプリのPoCなども進めています。

AI駆動開発支援事例:株式会社ベネッセコーポレーション

小林:この分野は最近、問い合わせが非常に多く、需要が高まっています。スペック主導型の開発は、以前から開発者の間で理想とされてきた手法ですが、人の手で実現するのは難しいとされています。

しかし、これをAIと組み合わせることで実現可能になります。例えば、我々が「MoMorph(モモーフ)」と呼んでいる取り組みでは、デザイナーが作成したデザインから仕様書やテストケースなどを自動生成し、それらをコード生成ツールに組み込むことで、コードまで自動で生成できる仕組みになっています。

このプロセスで、いわゆるプロトタイプや基盤のようなものまで完結させ、開発の生産性を大幅に向上させることを目指しています。

また、「MoMorph」は我々が自社で開発したプラットフォームです。このプラットフォームを活用し、例えばベネッセコーポレーション社の事例では、同社が「Claude Code」などのさまざまなAIツールを使って自社の開発効率化を進めていましたが、当初は30パーセント台の壁を越えられませんでした。

エンジニアの業務では、コードを書く作業そのものは実はそれほど比率が高くありません。「80パーセント自動化」と呼ぶ領域だけを効率化しても、生産性は大きく向上しませんでした。そこで、開発プロセス全体にAIを導入し、「50パーセント生産性を上げる」という目標の達成を支援した結果、3ヶ月で生産性を39パーセントまで向上させることができました。

「MoMorph」を含め、社内では多くのAIツールを開発しています。これらを活用し、生産性を50パーセント向上させることを目標としています。

kenmo:このサービスは非常におもしろいと感じています。現在ベネッセコーポレーション社と一緒に取り組んでいるとのことですが、将来的に、ライセンスビジネスやSaaSとして他社へ提供する予定はありますか?

小林:そのような構想は十分にあります。また、実際に現在も検討や推進を進めています。ただ、このツールはあくまで開発支援の道具です。ツール自体をうまく使いこなせる企業であれば、ツールだけをご利用いただければよいのですが、活用してどのように展開するかという点は、まだプロフェッショナル人材による支援が必要な領域です。したがって現時点では、我々がこのツールを活用し、伴走しながら支援を提供するかたちが主力になると考えています。

kenmo:AIツールと人をセットで提供するという点には、私も非常に共感しています。もう1つお聞きしたいのですが、他社の事例を見ると、PoC止まりで本導入に至らず、売上を生む段階まで進めていない企業が多い印象です。御社では、そのような中で、実際に本導入に至った案件や、来期以降に本導入が見込まれる案件は増えてきているのでしょうか?

小林:既存事業の中にこのようなAIを組み込み、実際のサービスや業務で利用される、PoCではない案件も増えてきています。今後もさらに増えていくと考えています。

Augmented Creation Studio AIを装備する

小林:AIによって仕事が奪われるのではないかと、不安に思っている方も多いかと思います。しかし、いわゆる作業レベルの仕事が、AIに限らず機械化によって効率化されていくことは、これまでの歴史を見ても同じです。

しかしながら、AIを活用する人材や、AIのアウトプットや成果を正確に評価できる人材、AIを業務に取り入れることを主導する人材は、依然として必要です。

したがって、我々はAIを装備し、人間1人では成し得ないことを実現する方向を目指しています。例えるならば、スーパーヒーローの『アイアンマン』のように、AIを最大限活用して人間が1人で発揮できるパフォーマンスを超え、実行力を高めつつ、人間の創造力と融合してさらなる価値を創出していく、そのような進化をテーマに掲げています。

現在は、みなさまの業務効率化に向けた導入支援が主な市場であり、そこが我々の戦いの場になると考えています。

海外の「FDE」のような分野も含め、それらを着実に実行し、顧客企業の事業成長に貢献していきます。そして、削減できた予算や積み上げた体力を活用して、新しいことへの挑戦を促進します。

AIを活用することで、より手軽に、コストを抑えつつ、成功確率を高めながら新規事業を推進できる時代が到来しています。我々は、そのような取り組みを支援することで、顧客とともにさらなる成長を実現したいと考えています。

2026年度第1四半期実績

小林:業績についてです。2026年度第1四半期の実績はご覧のとおりで、各利益の進捗率も非常に良好です。昨年は特定のプロジェクトで不採算案件があり、営業利益率などが低下し、苦戦を強いられましたが、その影響は昨年で終了しました。今期は回復期に入り、通常の状態に戻した上で、さらなる成長を目指すフェーズです。その初動としては、非常に良いスタートを切れたと考えています。

kenmo:今期は非常に良いというより、巡航速度だと捉えています。現状の営業利益率は14.1パーセントですが、将来的に生成AIを活用して生産性を向上させることで、営業利益率をさらに引き上げることは可能でしょうか?

小林:当社は上場以来、営業利益率20パーセントを1つのベンチマークとして目指してきましたが、達成には苦戦してきました。一方で、インキュベーションを含むさまざまな投資を行いながら、より利益率の高い事業の創出を進めています。

ご指摘のとおり、AIの活用で生産効率を高めることで、例えば顧客への提供単価を引き上げて付加価値を創出し、単価上昇を通じて利益率を高めることは十分可能だと考えています。そのため、将来に向けた投資を続けながら、利益率のさらなる改善を図っていきたいと思います。手応えも感じています。

売上高の推移(四半期)

小林:売上高の推移です。ご覧のとおり、順調に伸びています。

重要KPIの推移(四半期)

小林:重要KPIの推移です。我々は伴走型の支援を行っており、プロジェクト単位やプロダクト単位で契約するのではなく、顧客に長く寄り添いながら支援を進めています。そのため、顧客の継続率や平均顧客売上が伸びるほど単価も上昇していきます。このような指標を重要なKPIとして追いかけています。

今回、エンタープライズのARPU(1顧客あたりの売上)が急激に上がっています。非常に大きな事業を任せていただける企業が現れたことや、「このフェーズで人員を積極的に配置したい」という状況もあり、まだボラティリティがある面もあります。ただ、全体としては平均単価を着実に向上させられる状況にあります。

エンタープライズを中心に、まだ単価を上げていける余地があると考えています。従来どおりスタートアップ、ベンチャー、中小企業など幅広く支援を進めつつ、今後はエンタープライズが単価向上を牽引していくと期待しています。

足元と将来の取り組み

小林:昨年1年間の大きなテーマとして、案件の獲得、営業組織の強化、稼働率の向上に取り組んできました。その効果が現れ、今期は良い利益率を達成することができました。利益率の改善に向けた動きが成果として現れていると感じています。

今後については、現在も多くの取り組みを進めている中で、このAIを活用した提供価値の向上や事業領域の拡張を目指していきます。加えて、M&Aなども含めて現在の盤石な財務体制を活用し、成長機会を積極的に獲得していきたいと考えています。

株主還元の概要・総合利回り

小林:株主還元についてです。当社は2026年12月期に初めてとなる期末配当を実施する予定で、すでに発表しています。また、2024年度には株主優待制度を導入しました。この2つを合わせた利回りは最大9.13パーセントとなり、比較的高い水準で還元できていると考えています。

配当を実施できるまで事業が順調に進んでいることを踏まえ、将来の成長投資や安定した財務基盤の確保などのバランスを取りつつ、株主のみなさまにしっかりと還元していきたいと考えています。

配当方針変更の背景および株主還元の方針

小林:初配当を出せることは非常にうれしく、上場企業として、ようやくこのようなお話ができる状態になったことを大変喜ばしく思っています。今後もこのような取り組みを進めていきたいと考えています。私からの説明は以上です。

質疑応答:ベネッセコーポレーション社でのAI活用事例とその展開について

飯村美樹氏(以下、飯村):「『AI駆動開発で生産性50パーセント向上を目指す』とありますが、これが今後の業績に与えるインパクトをどのように見ていますか?」というご質問です。

小林:これは、顧客であるベネッセコーポレーション社での事例です。同社ではAIを活用し、生産性を50パーセント向上させた実績があります。そのような成果を基に、ソリューションをパッケージ化し、他社・他業界へも積極的に展開していきたいと考えています。

この領域のニーズは非常に高い一方で、対応できるプレイヤーはまだ多くありません。そのため、スピードを上げて市場のシェアを拡大し、「AI駆動開発といったらSun Asterisk」という第1想起のイメージを築くことが、当社の成長および業績に非常に大きなインパクトをもたらすと考えています。

質疑応答:提供価値の高度化と営業戦略の強化について

飯村:「顧客単価が高いエンタープライズ顧客の獲得・深耕に向けた営業組織の再編以外の戦略を知りたいです」というご質問です。

小林:1つ目は、メインの戦略に関するもので、提供価値を高度化することで付加価値を上げ、単価を向上させていくという内容です。

我々はこれまで、単なるアプリ開発支援にとどまらず、事業企画やユーザー体験の設計といった領域にも対応してきました。加えて近年は、AI活用やモダナイゼーションなど、さまざまな領域を一体で支援することで差別化を図り、同業他社と比べてより単価の高い提案を行ってきました。

顧客の重要なテーマに対して、どのくらい付加価値を提供し、深く関与できるかが重要なポイントです。そのため、今後も継続して取り組むべきだと考えています。

また、各種ツールについては、「MoMorph」以外にも非常に多くのプロダクトがあります。これらを個別に、例えばSaaSやライセンスとして販売するなど、さまざまなパターンが考えられます。

現在、当社では総合パッケージのようなかたちで、コンサルティングを含めて提供しています。今後はこれらをさらに汎用化し、より広い市場を狙う、いわゆる「面」を取りにいく戦略も有効ではないかと考えています。

2つ目は、実績や事例の横展開です。我々がエンタープライズ企業とさまざまなやり取りを進める中で、信頼性や再現性が強く求められます。

3年から4年前は開拓に苦労していましたが、実績が積み上がるにつれて、日本を代表するような企業に採用されるケースも増えてきました。この積み上げた実績をしっかり開示し、ブランド力を高めていくことが非常に重要だと考えており、ここにも注力していきたいと思います。

最後に、アカウントの深耕についてです。我々のメンバーには現場が好きな社員が多く、エンタープライズセールスやアカウントマネジメントの経験が豊富な方も、1プレイヤーとして事業づくりの現場に直接入り込んで活動していました。そのため、従来はあまり「営業らしい営業活動」は行っていませんでした。

そのため、昨年から一昨年にかけて、エンタープライズを戦略的に推進するために専属のアカウントマネージャーを配置し、顧客に応じたアカウント深耕ができる体制を整えてきました。これはIRでも一貫してお伝えしてきたことです。

この施策が今期の業績にも大きく影響していると感じています。この機能をさらに強化することが、冒頭に述べた営業組織再編の効果を一層引き出す鍵であり、今後も強化を進めていきます。

質疑応答:国内とベトナムにおける採用戦略について

kenmo:エンタープライズ案件を獲得できているとのことですが、私もさまざまな会社にうかがう中で、採用戦略について感じることがあります。生成AIによる生産性向上を背景に、新卒採用を抑えつつ中途採用を重視する企業が増えていますが、御社の採用戦略についてお聞かせください。国内とベトナムで状況が異なると思いますので、それぞれ教えてください。

小林:ベトナムでは、現地での影響力はかなり大きいです。日本ではそこまで知名度の高い会社ではないと思いますが、ベトナムではITに関わる方なら誰もが知っている会社です。

正直なところ、ベトナムでは新卒・中途ともに採用にあまり困っていません。そのため、デマンドに応じて調整していけばよいと考えています。現状は稼働率にまだ余裕があるため、稼働率が上がり、ひっ迫してきた段階で、さらに採用を進める方針です。

日本については、多くの方がおっしゃるとおり、人材不足が深刻です。中途採用も積極的に行っていますが、エージェントの紹介フィーが上昇する一方で、人材そのものが枯渇している状況です。

もちろん中途採用においては、企業のブランディングや信頼性を高め、「この会社は良い会社だな」と選んでいただけるよう、露出を増やしながら取り組んでいく予定です。一方で、人材を育てることが必要不可欠だと考えています。これこそが、企業が社会の中で果たすべき重要な役割だと認識しています。

若い方々や新卒の方々が働く場を失うような社会は、非常に悲しいものです。企業の責任として新卒の方々をしっかり受け入れ、自社の教育システムを活用しながら育成に取り組んでいきたいと考えています。

ただし、当社が持つ資源にも限りがあるため、その中でバランスを取りながら、新卒採用を継続していきます。当社の規模としては比較的多く採用しているほうだと思いますが、これを続けていきたいと考えています。

また、AI時代においても人が中心であることは間違いありません。人を育て、人の可能性を引き出すことは、当社のビジョンで掲げる「誰もが価値創造に夢中になれる世界」において、非常に重要な要素です。この取り組みも引き続き進めていきます。

質疑応答:M&Aに関する方針と展望について

kenmo:「M&Aに関して、具体的にどのような会社を考えていますか?」というご質問です。

小林:昨年は資本業務提携やマイノリティ出資を含む3件のM&Aを実行しました。これも現在の主要な成長ドライバーの1つと捉えており、常にさまざまな案件を検討しています。

重要なのは、我々の現在の顧客基盤やケイパビリティ、強みを活かして、その会社を成長させられるかどうかです。

エンターテインメント領域であれば、さらなるIP展開のために新しいドメインを構築したい場合など、その強みを持つ企業であれば事業の拡大につながると考えています。そのため、売上を単純に足し算するのではなく、しっかりとシナジーが見込める企業を中心に、常に検討を進めています。

質疑応答:AI活用による粗利率改善と人中心の社会構築について

飯村:「AI活用による生産性の改善は、案件単価の向上、原価率の改善、開発スピードの向上のうち、どこに最も効果が出るのでしょうか?」というご質問です。

小林:興味深い話ですが、AIを活用することでエンジニアの単価を一時的に上げることは可能でした。ただし、AIはトークンを使うことでコストが増加するため、「AIを使って3人月分くらい働けます。だから単価を上げます」というのは非常に安易な考えです。単純に単価を上げられるものではないと認識しています。

一時的に単価を上げることはできるかもしれませんが、それは本質的ではありません。AIツールなどを組み合わせ、例えば最近注目されているPalantir社のように、ツールやプラットフォームと人によるコンサルティングの価値を組み合わせて、高い利益率・粗利率を実現している例もあります。このようにAIとの融合により、粗利率の改善は可能だと考えています。

このアプローチは、課題解決型や業務モダナイゼーションといった領域で特に効果的です。顧客の予算を過度に消費せずに課題解決を進めることで、「これだけ予算が浮いたのだから、新しいことをやりましょう」と言える関係を築けます。我々の真の強みはこの点にあり、そこを明確に打ち出していくことが重要です。

新しい領域の事業を開拓するには攻めの予算が必要ですが、良い成果が出て事業が成長すれば、そのための単価引き上げが受け入れられる力学が働くと思います。そのように、複合的なアプローチで単価を改善していく必要があると考えています。

飯村:より人が重要になるという印象があります。現在、御社が取り組んでいるベトナムでの育成やさまざまなサービスの提供が、今後ますます効果を発揮しそうですね。

小林:そのとおりだと思います。AI中心の社会が特別おもしろいわけではありません。やはり人が中心であり、そこにAIをうまく共存させていく必要があります。私自身、AIはあくまでツールであり、人類の技術進化という叡智の結晶がAIというかたちで広まっているのは、非常にすばらしいことだと感じています。

最大限のリスペクトを持ちつつ、人を中心にした豊かな社会をどのように作り上げていくかがテーマです。AIと上手に付き合いながら活用し、人々が豊かになる事業を多く生み出せる社会を目指していきたいと考えています。

小林氏からのご挨拶

小林:本日は、みなさまの貴重なお時間を割いていただき、ありがとうございます。今回の説明会でもお伝えしたとおり、我々はAIにしっかり対応しながら、「AIといったらSun Asteriskだよね」と言われるほど、先端の技術を最も早く取り入れる会社としてのポジションを確立していきたいと考えています。

また我々は、人のために、人の社会を豊かにするためにAIを積極的に活用する立場にあると考えています。これからも人を中心とした組織として、AIをうまく活用しながら成長を続けていきたいと思っています。

今期の業績は非常に良いスタートを切ることができ、手応えを感じています。ここからますます成長できると信じていますので、引き続きご支援のほどよろしくお願いします。

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