NCS&A、中間期は増収増益で営業利益は過去最高を更新 事業投資と株主還元を推進し企業価値向上へ
事業環境(情報サービス産業)

小林裕明氏:NCS&A執行役員常務経営戦略室長の小林です。2026年3月期中間期決算概要についてご説明します。
まずは、情報サービス産業の事業環境です。雇用や所得環境が改善する中、企業の投資にも回復が見られ、IT投資は引き続き堅調に推移しています。
また、デジタル活用が求められる制度変更への対応や労働者不足を背景に、中堅・中小企業でも業務効率化に向けたIT活用の重要性が高まっています。
経済産業省が警鐘を鳴らす「2025年の崖」を背景に、古い基幹業務システムを刷新する動きが活性化しています。
NCS&Aは

当社の紹介です。1961年に大阪市で創業しました。従業員数は、グループ全体で1,249名です。職種の比率は技術職、事務職、営業職が8対1対1、地区別勤務者の比率は大阪、名古屋、東京で5対1対4です。
お客さまは約1,700社、パートナー企業は約200社、従業員の有給取得日数は年平均17.2日となっています。従業員の残業時間は月平均10.5時間となり、10年前と比較すると約60パーセント減少しています。
営業利益率は13.2パーセント、ROEは15.9パーセントです。
NCS&A 2026年3月期 中間期ハイライト

2026年3月期中間期のハイライトです。
営業利益は過去最高を更新し、営業利益率は13.2パーセントでした。また、9月25日には業績の上方修正および配当の増額を公表しました。その内容としては、中間配当を25円、期末配当を30円と、2025年3月期から15円の増額です。
2025年8月19日には総額約20億円規模の自己株買いを発表しました。さらに、自己株取得終了後に300万株の消却を予定しています。
また、2025年6月より給与水準の引き上げを実施しており、2年連続で平均5パーセントの給与水準引き上げを行っています。
2026年3月期 中間期 経営成績

経営成績です。売上高は主力ソリューションの好調を背景に108億4,700万円、営業利益は利益率の改善等により14億3,200万円、経常利益は受取配当金などを含め14億7,700万円、中間純利益は9億9,100万円という結果となりました。
売上高(売上分類別)の状況

売上分類別の状況を示しています。スライド左側の円グラフは2022年3月期中間期、右側は2026年3月期中間期のものです。
当社では売上を4つに分類し、施策の進捗を管理しています。自社製品によるソリューションは、文字どおり自社で開発した製品をお客さまに提供するものです。
また、システムインテグレーションは、開発、導入から24時間365日の保守サポートまで提供するものです。機器・パッケージは単独の製品販売を指し、受託開発は大手メーカーから委託されて行う開発等を示しています。
当社は、自社製品によるソリューションの強化を継続して進めています。2026年3月期中間期では約34億円と、売上全体に占める割合を31パーセントまで伸ばすことができています。
営業利益の変動要因(前年同期比)

営業利益の変動要因です。スライド左側に記載している前期中間期の営業利益額は、8億9,100万円でした。これに対し、売上増による利益増が3億3,200万円、売上総利益率の改善によるものが3億4,800万円となりました。
一方、給与水準引き上げによる人件費の増加などで1億4,000万円の減少となった結果、2026年3月期中間期の営業利益は14億3,200万円となりました。
受注・売上・受注残の状況

受注・売上・受注残の状況です。スライド左側から、2026年3月期までの3期分の状況を示しています。
濃い青色が受注高、薄い青色が売上高を示し、その上の実線が受注残です。さらにその上の破線は、継続契約の売上予定を含めたみなし受注残となっています。
2026年3月期中間期の受注は、107億5,300万円ありました。期末の受注残高は、前期末からほぼ横ばいの52億7,100万円となっています。
資産・負債・純資産の状況

資産・負債・純資産の状況です。資産の合計は199億4,200万円で、前期から13億7,700万円減少しました。これは、自己株買いなどによる現金の減少が主な要因です。
負債合計は62億800万円で、前期から8億8,500万円減少しました。これは、流動負債の減少によるものです。
純資産の合計は137億3,300万円で、前期から4億9,200万円減少しました。これは、自己株式の取得が主な要因です。この結果、自己資本比率は68.9パーセントとなっています。
NCS&A 2026年3月期トピックス

辻󠄀隆博氏(以下、辻󠄀):NCS&A代表取締役社長の辻󠄀です。本日は、決算説明会にお時間をいただき、誠にありがとうございます。私からは、重点施策についてご説明します。
2026年3月期のトピックスとして3点挙げています。1点目は、当社の可視化ソリューションである「ReverseNeo」という製品についてです。生成AIを活用し、プログラムのソースコードから処理の概要とフローを生成する機能をリリースしました。
2点目は、同じくソースコードから、本来は基本設計工程で作成されるドキュメント類を生成するサービスです。こちらは、近々リリース予定です。
3点目は、2025年10月に物価高対策特別手当として、全社員に8万円を支給しました。
「2025年の崖」を背景にDXが続く

経済産業省が警鐘を鳴らした「2025年の崖」を背景に、多くの企業がDXを進めています。
ご存じのとおり、DXとは、デジタル技術を活用し、人々の生活をより良いものにするために変革を行うことを指します。
レガシーシステムと呼ばれる古いコンピューターシステムを使い続けると、その維持に多額の費用がかかってしまいます。とはいえ、現在は全産業分野の61パーセントの企業で依然として古いコンピューターシステムが存在しているため、DXを進めたくても進められない状況です。
主力ソリューションの推進<REVERSE PLANET>

DXを進める上で、当社の主力製品である「REVERSE PLANET」という可視化ツールをご提案しています。こちらは、レガシーシステムと呼ばれる膨大なコンピューターシステムを可視化するツールであり、現行システムの保守にもご活用いただいています。
具体的には、プログラムを修正するシステムエンジニア(SE)は、まず修正箇所の特定にあたり、修正箇所が1ヶ所だけなのか、複数にまたがるのかを特定する必要があります。修正箇所の特定にはベテラン技術者の経験と知識が必要です。
さらに、ドキュメント類が揃っていれば特定するのは容易かもしれませんが、そのようなケースは非常に稀であり、ほとんどの企業でドキュメントが最新のプログラムと合致していない、またはドキュメント自体がないというのが現状です。
規模が大きくなるほど時間がかかり、修正漏れも発生します。ニュースで取り上げられるシステム障害の多くは、このプログラムの修正漏れが原因であると推測されます。そのようなシステムの維持と保守を担う技術者の方々の悩みを解決するのが、この可視化ツールとなっています。
主力ソリューションの推進<AirsNeo>

当社はDXの構築方法として、「マイグレーション」という手法を提案しています。マイグレーションとは、移動、移住、移転などを意味する言葉で、現在利用しているシステムを新しい環境に移行する手法です。
システム再構築というと、これまでかけてきたものと同じくらいの時間・お金・手間、そして気を使います。
しかし、現在のシステムが安定稼働しているのであれば、まずはロジックを変えず、新しい環境に移行するマイグレーションをおすすめしています。マイグレーション後に修正や改修を行う、というご提案です。
マイグレーションの手順は、スライドの図のとおりです。まずはシステムの棚卸を現行調査として行い、その後にマイグレーションの実現性を探る移行性分析を行います。そして、実際に作成した移行ツールを用いて変換し、新しい環境に実装するという手順です。
マイグレーションサービスにおけるセンター化

当社はこれまでに、多くの大小さまざまなマイグレーションを成功させてきました。その結果、多数の企業から引き合いをいただいています。
経済産業省が「2025年の崖」を発表し、DXが注目されるようになってからは、特に大規模なシステムを抱えるお客さまからのご依頼が増えています。
そのようなお客さまの要望に応えるため、それぞれのマイグレーションの工程における共通領域部分をセンター化し、同時進行を可能にしています。
生成AI活用 ~ReverseNeo ドキュメント生成サービス

冒頭のトピックスで触れましたが、当社では生成AIに取り組んでいます。可視化ソリューションである「ReverseNeo」に生成AIを活用し、2つの製品を挙げています。
1点目は、「ReverseNeo」にプログラムコードからプログラムの処理概要と処理フローを生成する機能をリリースしました。
処理概要とフローはプログラムの仕様書と呼ばれるもので、どのような処理をしているプログラムなのかがすぐにわかるようになっています。
2点目は、同様にプログラムコードから基本設計工程で本来作られるべきドキュメント類を生成するサービスです。これにより、システム全体像が見えるようになります。
さらに、別の活用方法として、これら2つの機能は現行システムを説明する資料の作成にも役立ちます。システムを再構築する際、ベンダーに情報提供依頼や提案依頼を作成するツールとしても活用できます。
生成AI活用 ~ReverseNeo ドキュメント生成サービス

生成AIを取り込んだ製品について補足します。
通常のシステム開発の手順は、スライドの図のように左側の要件定義から始まり、基本設計、詳細設計という工程を経て、右側のプログラムの製造、いわゆる開発工程へと進みます。
この開発工程で技術者が作るものが、先ほどお伝えしたプログラムコードなどです。例えば、COBOLやJava、C++といったプログラミング言語を用いて書かれたものがプログラムコードとなります。
各工程で本来作成されるべきドキュメントが存在してはいるものの、一部欠けている場合や、最新版に更新されていない場合はよくありますが、プログラムコードだけは必ず存在しているはずです。
このプログラムコードを活用し、リバースエンジニアリングの手法で、各工程のドキュメントを作成するという製品となっています。
中期経営計画(2024-2026)の要綱

現中期経営計画の要綱です。数値目標として、売上高を230億円、営業利益を28億円と掲げています。
また、女性管理職比率については、2024年4月1日時点では5.7パーセントでしたが、2025年4月1日時点で9.5パーセントとなりました。2026年度に20パーセントとする目標を掲げています。
実際に、当社の社員構成は男女比がおおよそ7対3であるため、将来的には女性管理職比率を3割、すなわち30パーセントにしたいと考えています。
男性の育休取得率については、2024年度に100パーセントを達成しました。この状態を維持していきたいと考えています。
また、2024年度において、有給休暇の平均取得日数は17.2日、月間残業時間は平均10.5時間となっています。
中期経営計画 ~基本方針を支える戦略投資

現中期経営計画の基本方針です。大きく4つの方針があります。
1点目は、既存事業の強化です。既存事業をさらに発展させ、新たな成長の可能性を生み出そうと考えています。
2点目は将来に向けた成長で、新たな成長基盤を獲得することを目指しています。2020年度下期から始動した「社内スタートアップ制度」で社内からの創出を目指すと同時に、社内だけにとどまらず会社の外部へ広げ、信頼できる相手と互いにリスクをとった協業ビジネスを発展させています。
3点目は、人への投資です。その背景にはダイバーシティ&インクルージョン(D&I)があり、当社ではD&Iに取り組む中で、エクイティ(公平性)を確保しつつ、ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DE&I)の推進を進めています。
4点目は、当社を応援してくださる株主のみなさまへ利益を還元することです。当社が成長し、社会に貢献することで、株主のみなさまにも還元したいと考えています。
新たな事業への投資と株主還元を、今後も進めていきます。
企業価値向上に向けた成長投資の強化

事業への投資のうち、マイグレーション関連の取り組みに関する具体例としては、マイグレーション後の運用保守、いわゆるBPOと呼ばれる事業化のことです。
これまでは、私どもがマイグレーションを行った後、運用保守はそのお客さまの情報システム部門に引き渡すことでビジネスを完結させていました。しかし、多くのお客さまから「その後の運用保守もお願いしたい」という要望が数多く寄せられています。
ほとんどドキュメントがない状態となっているため、生成AIを活用し、設計工程で本来作るべきドキュメント類を生成するという機能を準備しています。これらを活用し、マイグレーション後の運用保守を担っていく計画です。
さらにプログラムの具体的な修正方法については、生成AIを用いてプログラム仕様書を作成できるため、こうしたツールを使って運用保守を進めていく方針です。
また、2025年8月20日に自己株買いを実施し、53万株を取得しました。今後1年間で、合計140万株の自己株買いを行う予定です。
人材への積極投資

スライドには、人材への投資を通じて中長期的な価値向上を目指す構図が示されています。人材への投資により当社の財務価値が向上し、成果として社会価値を創出して、それを当社の価値の源泉に還流することを表現しています。
社会貢献活動およびサステナビリティ

社会貢献活動とサステナビリティの取り組みについてです。男性の育休取得率は100パーセントであり、2025年度上期も100パーセントを達成できました。
また、新卒採用については、2025年4月に64名を採用しました。中途採用、いわゆるキャリア採用については、2024年度は10名を採用しました。
2020年度下期から始めた社内スタートアップ制度では、採用累計件数が145件を達成しました。実際に商品化したものや、数多くの導入実績がある製品も含まれています。
また、コンプライアンスの遵守を進めるために、パワーハラスメント研修およびジェンダーハラスメント研修を実施しました。毎年11月1日を「コンプライアンスの日」と制定し、2025年度は11月4日に全社研修を実施しました。
さらに、環境保全活動も社会貢献活動とともに継続しています。
健康経営優良法人2025に認定(2年連続)

2024年度から引き続き、「健康経営優良法人2025」に認定されています。社員の健康を個人の問題とするのではなく、会社の成長に欠かせない要素として捉えています。
社員一人ひとりが心身ともに健康であり、個々の力を最大限発揮できるよう、働く環境の改善に取り組んできました。今後も改善を進め、引き続き健康経営に取り組んでいきます。
中期経営計画の変遷と目標

過去2つの中期経営計画と、現在の中期経営計画を表しています。
スライド左側の2017年度から各年度の売上と営業利益を棒グラフで示し、営業利益率を折れ線グラフで表しています。
2018年度から確実に利益創出ができるようになり、その後2020年度でコロナ禍の影響を受けたものの、それ以降は右肩上がりで利益を伸ばしています。
2018年度から2020年度、そして2021年度から2023年度にかけて、中期経営計画で掲げてきた個々の施策は異なりますが、いずれも収益性の安定を最重要視してきました。
そのためにも主力ソリューションを強化し、自主ビジネスを拡大しています。併せて働き方改革を進め、社員の処遇を改善してきた結果、通期の営業利益率は12パーセントを超える予想です。さらに、先ほど述べたとおり、2025年度上期の営業利益率は13.2パーセントとなりました。
ROEは10パーセント以上を目標に、今後はさらなる企業価値の向上を図り、まずは社員を大切にしつつ、事業への投資と株主還元を推進していきたいと考えています。
2026年3月期 通期 業績予想

通期の業績予想です。2025年9月25日に上方修正を行い、売上高は213億円、営業利益は26億円、営業利益率は12.2パーセントを目指したいと考えています。
2026年3月期 配当予想

配当予想についてです。
配当性向の目標は、45パーセント以上と公表しています。2025年度の配当予想は55円です。また、2025年度から中間配当を実施し、中間配当は25円、期末配当は30円です。
ご説明は以上です。ありがとうございました。
質疑応答:今後の業績修正の可能性について
質問者:業績修正をされたことについて質問です。第2四半期の営業利益が14億3,200万円であることを考えると、通期の着地
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