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谷口方啓氏(以下、谷口):みなさま、こんにちは。代表取締役社長の谷口です。このたびは、TOA株式会社の決算説明会をご視聴いただき、誠にありがとうございます。

本日は、まず、2026年3月期の連結業績についてご説明します。続いて、2027年3月期の業績予想について、最後に新中期経営基本計画についてご説明します。

なお、本日の内容は、2026年5月7日の決算発表に基づく情報です。スライドに記載している内容に沿って進めます。

エグゼクティブサマリー

2026年3月期は増収増益となり、売上高および全段階利益で過去最高を更新しました。2027年3月期でも成長を継続していきます。

また、2026年3月期までの5年間で推進してきた前中期経営基本計画は、最終年度における業績目標をすべて達成しました。

当社は9年間の長期経営戦略「NEXT100 TOA」のもと、新たに中期経営基本計画を策定し、2027年3月期からその最初のステージとなる3年間が始まります。

なお、これに先立ち、配当方針を見直しており、今後も高水準で継続的な株主還元を追求していきます。

2026年3月期 決算の概要

ここからは、2026年3月期の決算と2027年3月期の業績予想についてご説明します。

まず、2026年3月期決算です。売上高は553億8,600万円で、前期比9.4パーセント増となりました。営業利益は46億5,600万円で前期比29.7パーセント増、経常利益は52億3,600万円で前期比33.5パーセント増、最終利益は33億1,300万円となり、連結売上高および営業利益以下の各段階利益で過去最高を更新しています。

営業利益については、販管費が増加したものの、増収により利益が押し上げられたことに加え、原価率の改善が増益の主因です。

ROICは、2026年3月期に6.4パーセントへと向上しました。その最大の要因は、営業利益が約30パーセント増加したことです。また、有利子負債を圧縮し、資本構成の適正化を図ったことも、効率性の向上に寄与しています。

セグメント別売上高の増減

各セグメントにおける売上高の前年同期比増減は、スライドに記載のとおりです。

日本では官公庁や商業施設、オフィスビル向けの納入が進み、増加しました。アジア・パシフィックでは、インドネシアの首都移転に伴う新庁舎向け会議システムやマレーシアの空港向け案件など、官公庁や公共インフラが好調でした。

欧州・中東・アフリカでは、中東の建築需要を取り込んだことや、南アフリカでの大型案件獲得が寄与し、大幅な増収となりました。アメリカではチェーン店舗向けのBGM設備、カナダでは教育施設向けのワイヤレスマイクシステムが拡大しました。中国・東アジアでは、工場や病院向けの納入が進み、増加しました。

セグメント別営業利益の増減

各セグメントにおける営業利益の前年同期比増減は、スライドに記載のとおりです。

日本では増収に加え、価格改定の効果により原価率が改善し、増加しました。アジア・パシフィックでは収益性の改善により増加しました。欧州・中東・アフリカでは売上高の増加により増加しました。アメリカでは販管費が増加したものの、売上高の増加によって全体として増加しました。中国・東アジアでは販売量の回復とコスト削減により増加しました。

研究開発費・設備投資・減価償却費の推移(連結)

研究開発費・設備投資・減価償却費の推移についてご説明します。研究開発費は33億8,000万円、設備投資は11億1,200万円、減価償却費は18億7,200万円です。

研究開発費については、IPコミュニケーションシステム「CX-1000シリーズ」やネットワークカメラシステム「TRIFORAシリーズ」などの新製品開発に、経営資源を優先的に配分しています。

設備投資については、海外販社移転に伴う経費が増加した一方で、生産事業場の設備投資実施時期を見直したことにより、全体では減少しました。

減価償却費においては、設備投資自体は減少しましたが、過去数年間に実施した投資案件が順次稼働したことで費用化が進んでいます。

2026年3月期決算の対予想比較(売上高・利益等)

2025年5月2日予想と実績の比較において、売上高や各段階の利益がすべて予想を上回る結果となりました。これは、国内の自治体向け庁舎の新設および改修に伴う、放送システムの納入が売上高の増加に寄与したためです。

また、販管費は労務費の増加などにより前年を上回りましたが、営業部門を中心とした効率的な経費活用により、当初計画よりも削減することができたため、利益が増加しました。さらに為替差益によって、経常利益および最終利益が押し上げられる結果となりました。

2027年3月期業績予想の概要

続きまして、2027年3月期の業績予想についてご説明します。売上高は565億円、営業利益は47億円、経常利益は51億円、最終利益は34億円を予想しています。

配当金および配当方針については、長期経営戦略および中期経営基本計画のパートでご説明します。

2027年3月期業績予想の補足

売上高については、国内では設備投資需要が底堅く、前期並みに推移すると見込んでいます。海外では、市況が好調なアジア・パシフィックセグメントが引き続き伸長し、その他の海外セグメントも堅調に推移すると見込んでいます。

利益については、高付加価値ソリューション提供の拡大、商品ラインアップの最適化による原価率低減、デジタル化による生産性向上などを推進します。

設備投資は前期比で約2倍を計画しており、製造・品質基盤の強化およびITインフラの整備に重点的に配分します。併せて、研究開発費も前期並みの水準を維持し、技術の製品化に向けた取り組みを継続します。

なお、2027年3月期のROICは、成長に向けた先行投資の影響により一時的な低下を見込んでいますが、中長期的にはこれらの投資を着実に収益化し、向上を図ります。

前中期経営基本計画(2022年3月期‐2026年3月期)

続きまして、今期よりスタートする長期経営戦略および今期から2029年3月期を対象とする中期経営基本計画についてご説明します。まずは、2026年3月期を最終年度とする前中期経営基本計画を振り返ります。

前中期経営基本計画では、2022年3月期から2023年3月期のフェーズ1で収益力と競争力の向上、成長基盤の構築に取り組みました。

続く2024年3月期から2026年3月期のフェーズ2では、地域ビジネスの拡大、グローバル連携、収益基盤の強化によって成長を加速させました。

前中期経営基本計画の主な成果

前中期経営基本計画の主な成果として、業績面では掲げた業績目標をすべて達成し、連結売上高、連結営業利益を含む各段階利益で過去最高を記録しました。業績の成長および配当方針の変更などにより、PBRは1倍を超えて推移しました。

また、社会課題解決に貢献するソリューションの提供とノウハウの蓄積に加え、多様な共創経験とパートナーシップを構築し、必要な情報を「音」によって報せる技術と信頼を確立しました。

長期経営戦略「NEXT100 TOA」

長期経営戦略「NEXT100 TOA」についてご説明します。

当社を取り巻く環境変化は一層早く複雑化し、ステークホルダーのみなさまからのご期待も多様化・高度化しています。

当社は、人々が笑顔になれる社会を作り続けるため、創業100周年を迎える2034年度を節目に、さらにその先、次の100年を生き抜く会社を目指すための長期経営戦略「NEXT100 TOA」を策定しました。

「NEXT100 TOA Initiatives」は、次の100年を生き抜く会社を目指す上で、当社グループ一体となって進める7つの取り組みです。

これらの取り組みを進める原動力として、「人」と「技術」への投資をより一層強化し、2034年度に連結売上高1,000億円超を目指します。

中期経営基本計画の位置づけ

こうした背景のもと策定した中期経営基本計画についてご説明します。2034年度までの9年間の変革を3つのステージに区分し、それぞれを3年間の中期経営基本計画として展開しています。

現中期経営基本計画は、最初のステージ「再定義」として位置づけており、将来の飛躍的成長に向けた積極的な投資を通じて事業基盤を築く3年間とし、事業構造の変革に重点を置き、その道筋を定めるものです。

基本方針および重点施策

中期経営基本計画の基本方針に沿い、重点施策として「報せるソリューションの革新」「海外成長の加速」「顧客支援ソリューションの進化」「新規事業開発」を定めています。

これらを推進するための投資対象として「事業成長を支えるヒト・モノ・情報基盤の強化」を掲げています。

報せるソリューションの革新

それぞれの重点施策についてご説明します。はじめに「報せるソリューションの革新」についてです。

この取り組みでは、すべての人が適切に情報を受け取れる社会を実現するために、公共空間における新たな情報伝達の仕組みを構築します。

これは、従来の強みである「音」による情報伝達を起点に、隣接する領域へと事業を拡張するものです。平常時から緊急時まで、必要な情報を最適な手段で届け、情報を受け取った人が気づき、行動するまで見届ける「報せるプラットフォーム」を構築・実装します。

そして、適切な行動を促すためのプランニングや、混乱時でも的確に運用するためのコンサルティングまで、ビジネスを拡張します。

【補足】報せるソリューションによる事業拡大の道筋

近年の都市化や人口集中により、地域や施設の多機能化、大規模化、および人流の集中が進んでいます。潜在的な混乱や被災リスクが高まる一方で、行政や事業者のオペレーションは複雑化しています。スマートフォンなどの個人デバイスでカバーしきれない領域は今後も残り、当社が強みとする公共の情報伝達における事業機会が拡大していると捉えています。

こうした背景を受け、当社は公共空間における情報伝達インフラの高度化と拡張を進めます。

まず、平常時から緊急時までフェーズフリーで活用できる仕組みを構築し、場面や目的に応じた最適な情報を、施設間やエリア全体を横断して伝達できるソリューションを開発します。

そして、この取り組みの社会実装にあたっては、事前プランニングや運用コンサルティングまでを含めたトータルでの提案を行います。

海外成長の加速

「海外成長の加速」についてご説明します。進出済みの各地域で競争力を強化すると同時に、有望地域への新規展開を進めることで、2034年度までに海外売上を、国内を大きく上回る規模へ成長させることを目指します。

海外3セグメントにおける主な取り組みについては、後ほど具体的にご説明します。

【補足】エンジニアリング力強化による収益の拡大・継続

海外成長を加速させる上で重要なテーマは、エンジニアリング力を強化することで収益を拡大し、それを持続させることです。

各地域・国においてエンジニアリング力を強化し、ネットワーク商品や他社システムを活用した高度なソリューションを、ユーザーライフサイクルに沿った最適な設計や運用・保守サービスとともに提案します。これにより、価値提供の範囲を拡大し、さらに収益拡大にもつなげます。

顧客支援ソリューションの進化

日本地域における「顧客支援ソリューションの進化」についてご説明します。自動化・省人化のニーズや公共施設の統廃合・改修に伴う更新需要を捉え、音声・映像・通信を統合した、より高度な顧客支援ソリューションを展開し、現場の安全性や運用効率の向上を図ります。

特に学校、交通インフラ、工場を重点市場として位置づけ、お客さまの課題へより踏み込んで対応できるソリューションを提案するとともに、保守・運用支援のサービスプラットフォームを充実させ、安定した収益基盤を構築していきます。

新規事業開発

「新規事業開発」についてご説明します。当社は、既存事業とは異なる領域で、将来の中核事業となる可能性を持つ事業の創出を目指します。

事業成長を支えるヒト・モノ・情報基盤の強化 商品

「事業成長を支えるヒト・モノ・情報基盤の強化」について、商品・人材・デジタルトランスフォーメーション(DX)を軸にご説明します。

まず商品面では、ネットワーク対応商品や環境負荷を低減した商品の割合を高めるとともに、内部共通化や生産自動化により、競争力と収益性を強化します。

事業成長を支えるヒト・モノ・情報基盤の強化 人材

人材面では、従業員一人ひとりの成長を支援し、その強みをチームの成果へとつなげるためのマネジメント力を強化していきます。挑戦が継続的に生まれる環境を育み、事業変革を推進する原動力とします。

事業成長を支えるヒト・モノ・情報基盤の強化 DX

DXの面では、デジタルを起点に業務を再設計し、生産性を飛躍的に向上させます。全社員が生成AIを活用できる体制を整備するとともに、社内知識の統合と再利用を推進し、戦略的な意思決定や業務スピードを向上させます。

また、創出した時間を挑戦的な取り組みに充てることで、全社的な変革を加速させます。

地域セグメント別戦略 日本

セグメント別の戦略についてご説明します。はじめに日本セグメントについてです。

近年、労働人口の減少に伴う自動化や省人化の進展、インフラ更新や施設再編の必要性の高まり、防災・減災分野への投資拡大は、当社にとって事業機会の創出につながるものと捉えています。

一方で、人口減少やストック活用志向の高まりにより新築需要の減少が見込まれる中、資材価格の上昇などを背景に顧客の投資判断が厳格化し、競争環境は一層厳しさを増しています。

当社は国内での顧客基盤を活かし、統合ソリューションを展開しながら、重点市場での価値提供を拡大し、さらなる売上の創出を目指します。さらに、保守・運用支援を通じたストック収益を拡大することで、安定的な収益基盤を構築します。

本中期経営計画の最終年度である2029年3月期の売上高は、2026年3月期から約1パーセントの増加を見込んでいます。

地域セグメント別戦略 欧州・中東・アフリカ

欧州・中東・アフリカです。欧州では緩やかな成長が続く中、インフラ投資の拡大やセキュリティ要求の高度化が進んでいます。ただし、地政学リスクや価格競争の激化により、事業環境は一層不透明な状況です。

中東では大型プロジェクトや国際イベントを背景に投資が継続していますが、軍事的緊張の高まりやエネルギー情勢の変動を注視する必要があります。

アフリカでは、高い経済成長を背景にインフラ需要が拡大し、新たな事業機会が創出されています。この環境を踏まえ、交通インフラを重点市場として高付加価値ソリューションを展開するほか、新拠点の設立や販売網の再構築により、需要の取り込みと競争力の強化を図ります。

2029年3月期の売上高は、2026年3月期から約16パーセントの増加を見込んでいます。

地域セグメント別戦略 アジア・パシフィック

アジア・パシフィックです。ASEANおよび南アジアでは、高い経済成長と都市化の進展を背景に、インフラ投資や保守・更新需要が拡大しており、防災関連投資も強化されています。一方で、通商環境の不確実性や競争の激化が続いています。

東アジアにおいても、成長投資の継続や公共交通・商業インフラの保守・更新需要の高まりが期待される一方で、地政学的リスクや事業環境の厳しさが続いています。

こうした環境を踏まえ、他社との連携によるソリューション強化や各国政府との協力を通じた需要創出に加え、エンジニアリング力の強化によって、付加価値の向上とストック収益の拡大を図ります。また、既存案件データを活用した更新需要の取り込みや、新規チャネルの開拓および拠点展開を通じて、シェアの拡大を推進していきます。

2029年3月期の売上高は、2026年3月期から約31パーセントの増加を見込んでいます。

地域セグメント別戦略 アメリカ

アメリカセグメントです。北米では、AI関連や製造業への投資拡大を背景にインフラ需要が高度化する一方で、通商政策の影響による不確実性が高まり、各市場で顧客要件の複雑化が進んでいます。

中南米では堅調な成長と投資拡大が続いているものの、競争環境の激化や制度変化への対応が求められています。

こうした環境を踏まえ、重点市場に特化したマーケティングとパートナーシップ強化によりブランドの確立を進めるとともに、ネットワークを軸とした提案力の強化でシェア拡大を図ります。加えて、営業・エンジニアリング体制の強化や新規流通の開拓を進めることで提供価値を拡大し、中南米を含む成長市場での事業基盤拡充を推進していきます。

2029年3月期の売上高は、2026年3月期から約15パーセントの増加を見込んでいます。

中期経営基本計画 業績目標

以上の重点施策および戦略を通じ、本中期経営計画の業績目標はスライドに記載のとおりです。連結売上高600億円、連結営業利益51億円、ROIC6.6パーセントを目指します。

財務方針

財務方針については、事業から創出するキャッシュなどを原資として、成長投資として約120億円を技術・商品開発および人的資本強化に投資します。

また、人と技術への投資とは別に、海外の新拠点設立についても、投資採算基準を踏まえながら戦略的に進めます。基盤投資としては約55億円を見込み、生産自動化設備の導入や本社の大規模改修を実施します。

成長投資と基盤投資

各投資の内訳はスライドに記載のとおりです。長期経営戦略の中心である「人と技術を育てる」という方針に基づき、中長期的成長に向けた投資は不可欠なものとして確実に実行します。

配当方針

配当方針についてご説明します。当社は、財務の健全性を踏まえつつ、高水準で継続的な株主還元を追求する方針を一層明確にするため、当中期経営基本計画の開始に先駆けて、2026年3月期から配当方針を変更しました。

新たな指標として連結株主資本配当率(DOE)を導入し、安定的で見通しの立つ株主還元と資本効率を重視した企業価値の向上を実現します。

さらに、DOE5パーセント以上を基準に、年間85円の安定配当を維持することを基本とし、業績を加味した連結配当性向85パーセントのいずれか高いほうを目安に配当金の額を決定することとします。

2026年3月期の期末配当については、2026年3月18日に公表した期末配当予想を増配修正し、安定配当45円に連結配当性向85パーセントを加味した業績連動配当5円を加えた、合計50円を予定しています。

これにより、中間配当の40円と合わせて、年間では90円の配当を予定しています。引き続き、中長期的な企業価値の最大化に向けた取り組みを継続していきます。

経営方針

最後に、当社のサステナビリティ方針についてです。当社は「Smiles for the Public 人々が笑顔になれる社会をつくる」をあらためて企業目的として位置づけ、経営方針を再定義しました。

サステナビリティ方針

再定義した経営方針のもと、長期経営戦略「NEXT100 TOA」に基づく取り組みを着実に進め、持続可能な社会の実現に貢献していきます。

【補足】マテリアリティ

社会とTOAグループ双方への影響を踏まえて策定した長期経営戦略を、マテリアリティとして再構築します。ESGの観点からも、取り組みを推進し進化させていきます。

質疑応答:2027年3月期の利益予想において経常利益が減少となる理由について

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