2026年10月期第2四半期決算説明(個人投資家・機関投資家合同IRセミナー)
アシロ、高単価商品に依存しない収益基盤の構築へ 通常商品・リーガルアライアンス・HRが伸長し、売上収益は拡大
26年10月期2Q マネジメントメッセージ

中山博登氏(以下、中山):株式会社アシロ代表取締役社長の中山です。本日は2026年10月期第2四半期の決算説明会をご覧いただき、誠にありがとうございます。
本日は、説明資料だけではお伝えできない点について、私から追加でご説明します。基本的に資料に記載している内容については説明を省略しますので、本日もQ&Aが中心になるかと思います。よろしくお願いします。
まず、マネジメントメッセージです。スライドに記載のとおり、第2四半期だけでなく、上期において「ベンナビ」内での高単価商品の利益創出に苦戦しました。一方で、他事業は粛々と計画どおり進捗し、特段大きな問題もなく、しっかりと成長させられたと考えています。
また、リーガルプロテクト事業での提携をリリースしました。リーガルプロテクト事業では新しいプロダクトをローンチし、ここから積極的に販売を進めたいと考えています。この準備が整ったという点で、しっかりと基盤を固めた第2四半期であったと感じています。
株主還元については、配当性向を引き上げる方針は以前からアナウンスしているとおりです。自己株式を消却することが基本路線ですが、一部の投資家の方から自己株式の取得状況についてご質問をいただくことがありました。
自社株買いについては、法令や社内規程等の関係で購入できない時期があります。意図的に買う・買わないというわけではなく、粛々と買い進めていますが、買えない時期があることについてご理解いただけましたら幸いです。
今後の見通しと成長戦略 ― アシロの事業再定義と循環システム

中山:第1四半期にもご説明しましたが、成長戦略についてあらためてお話しします。当社は事業をリーガルプロテクト事業、リーガルメディア事業、リーガルアライアンス事業、HR事業に切り分けて進めています。
具体的には、リーガルプロテクト事業で個人・法人問わず将来的に法律相談をする可能性のある潜在ユーザーを囲い込み、シームレスにリーガルメディア事業を通じて法律相談を行えるようにしています。
弁護士のポータルサイトを利用するユーザーは、法律相談だけでなく、さまざまな悩みを同時に抱えている方が非常に多いと認識しています。
そのため、法律相談だけで終わるのではなく、例えば「転職したい」「不動産を売却したい」といったニーズにも一気通貫で対応できるよう、リーガルアライアンス事業を展開しています。これにより、ユーザー1人当たりの価値を最大限に引き上げています。
そして、リーガルメディア事業のクライアントである法律事務所の成長を止めないために、人員不足が起こらないよう、弁護士を中心としたHR事業を展開しています。
今後の重点ポイントについては、スライドに記載のとおりです。リーガルプロテクト事業の提携については、すでにリリース済みです。後ほど事業部ごとにご説明しますが、HR事業については、決定率などのKPIがある程度定量化されてきています。
「これくらいの登録があればこれくらいの面談がある」「これくらいの面談があればこれくらい紹介できる」「これくらい紹介できればこれくらい決定していく」といったかたちで、数字がある程度固まりつつあります。
そのため、仕組みとして定量的に事業運営が可能となってきています。このような仕組み化が進んでいる点は非常に良いと考えており、安定化を図りつつ、さらなる成長を目指していくフェーズに入っています。
26年10月期2Q(会計期間)YoY売上収益 事業別推移

中山:売上収益についてです。マネジメントメッセージでお伝えしたとおり、高単価商品については利益創出に限らずかなり苦戦しました。一方で、高単価商品は1事務所1取引における取引額が非常に大きいため、会社全体のボラティリティが大きくなります。
もちろん、安定して継続的に取引できれば理想的ではありますが、ポートフォリオにおいて高単価商品の割合が下がった一方で、全体として増収できている点は、悪いことではないと考えています。収益を伸ばしつつ、ボラティリティが下がったという結果を示した資料となります。
26年10月期2Q(会計期間)YoY営業損益 事業別増減要因

中山:営業損益についてです。スライドのグラフに前年比を示しています。青字部分は、苦戦している高単価商品の予算調整の部分を示しています。一方、赤字部分は大幅な改善が進んでおり、数字としては一部去年より悪化しているところもありますが、ポジティブに捉えているところです。
リーガルメディア事業に関しては、高単価商品に依存せず、これまでに構築してきた商品が着実に売れている状況です。
リーガルアライアンス事業は、上期においてオーガニックや広告運用の利益率を十分にコントロールできず、利益を出すのに苦戦した場面もありましたが、6月時点でオーガニックや広告効率の改善が進んでいます。そのため、下期は利益率向上に期待できる状況です。
HR事業は、着実に仕組み化が進んでいます。リーガルプロテクト事業は提携が順調に進展しており、提携関係をさらに強化して、事業部としての黒字化を目指していきたいと考えています。全社の部分は成長投資であるため、ネガティブには捉えていません。
26年10月期2Q(累計期間)の高単価商品の影響を除いた基調成長

中山:高単価商品の影響を除くと、全体として売上収益は前年比21.7パーセント成長しています。特に収益面では、リーガルメディア事業やリーガルアライアンス事業の既存商品がしっかりと伸びています。
リーガルメディア事業においては、高単価商品への依存を引き下げ、収益におけるポートフォリオ内の高単価商品の比率を抑えることでボラティリティを低減させています。安定的な成長をさらに強化しています。
また、リーガルメディア事業は集客面で新しい施策をリリースする予定です。これはネット関連ではなく、これまで当社が取り組んでこなかった新しい施策で、2026年6月末から7月初めには正式リリースできる見通しです。この新しい集客方法にもぜひご期待いただければと思います。
今回は特に、リーガルメディア事業の戦略について重点的にご説明したいと考えています。
リーガルプロテクト事業 ― アライアンスによる成長加速

中山:リーガルプロテクト事業についてです。すでにリリースしていますが、イオン保険サービスから始まり、GMOグローバルサイン・ホールディングスとの提携を発表しました。これからも継続的に提携を発表していけると考えています。
スライドに記載の「LegalBase(リーガルベース)」は、法務支援サービス(リーガルテックサービス)として独自性があると感じています。プロダクト自体もユニークですが、プライシングにおいて非常に競争力があり、中小企業や個人事業主にも導入しやすい安価なプロダクトとして提供しています。
そのため、toB、つまり事業会社向けにチャネルを持ち、これまで何かを販売してきた企業であれば、基本的にどのような企業とも提携が可能だと考えています。
提携関係については、イオン保険サービスとGMOグローバルサイン・ホールディングスにとどまらず、日本全国の隅々まで広げていきます。1件も無駄にすることなく、全国の中小企業や個人事業主に導入していただけるよう展開していくことが重要だと考えています。
そのスタートとして良い企業と提携できていると思いますし、今後もさまざまな企業との提携を進めていく予定です。最も重要なことは、提携拡大とともに、リーガルプロテクト事業単体で早期の黒字化を実現することだと考えています。
リーガルアライアンス事業 ― 隣接領域の市場機会

中山:リーガルアライアンス事業についてです。利益率低下の懸念についてご質問いただくこともありますが、法律問題を抱えるユーザーが同時に抱えている課題については、スライドに示しているとおり、我々が想定できる範囲だけでも多くあります。非常に大きな市場を周辺に持つ事業であると考えています。
大きな分野から攻めることが良策であると判断し、現在は人材領域を中心に進めています。ここから隣接領域へ積極的に進出することが重要だと考えており、転職領域を引き続き成長させつつ、周辺領域にも着実に参入していきます。
転職領域においては、すべてを自社で行うことは最善ではないと判断し、基本的にはネットベースでの送客を行っています。一方で、特定領域については、自社でソリューションを保有することが最適なパターンもあります。
まずはネット上だけの送客で完了させますが、十分に送客できるのであれば、独自のソリューションを持つことでさらなる収益機会を追求でき、かつ自社でソリューションを提供できる部分であれば、高い利益率を獲得できると考えています。
現在、リーガルメディア事業とリリースを出したばかりのリーガルプロテクト事業の2つの取り組みに特にご期待いただいていますが、リーガルアライアンス事業についても、周辺領域にも非常に大きな市場があり、多くの可能性があると考えています。
オーガニックな事業創出に加え、M&Aも視野に入れつつ、ネット上での送客だけでなく、自社でソリューションを持つことで競争優位性の確立および利益率向上が期待できる領域については、積極的に展開していきます。このように大きな市場がありますので、さらにご期待いただければと思います。
既存事業×新規事業による収益基盤の最大化

中山:既存事業については、リーガルメディア事業の「ベンナビ」は高単価商品を除けば着実に伸びており、リーガルアライアンス事業も好調です。また、リーガルプロテクト事業も提携関係をさらに拡充することで、十分に早期の黒字化を目指せると考えています。
リーガルアライアンス事業に関しては、現在の事業領域だけでなく、周辺の広範な領域にも展開し、ネット上での送客にとどまらず、独自のソリューションを提供することで、当社がさらなる成長を遂げる余地があると考えています。
現在は「ベンナビ」とプラスアルファの展開しか行えていませんが、「ベンナビ」はまだまだ伸びる余地がありますし、当社はその他にもさらに多くのポテンシャルを有している会社だと思っています。2030年度の目標である営業利益40億円の達成に向け、来期の営業利益20億円は、その通過点と位置づけて目指してまいります。
業績水準別 市場評価感応度(参考)

中山:「株価に対する意識が弱いのではないか」とご指摘いただくこともありますが、決してそうではありません。当社は株主還元を非常に積極的に行っており、株価の面でも株主のみなさまの期待に応えていきたいと考えています。
仮に、当社が成長の蓋然性をより明確に示し、さらに営業利益が来期20億円を達成できた場合、蓋然性と成長率を踏まえれば、PERなどの市場評価が変化する可能性があると考えています。
その際には、時価総額についても、濃い青枠で示したレンジが一つの参考になると考えています。もっとも、スライドの感応度表は一定の前提に基づく参考であり、将来の株価・時価総額を示唆または保証するものではありません。当社としては成長の確度を高め、適切に評価していただけるよう努めてまいります。
株主還元の強化 ― 当期利益ベースの総還元性向 約98%

中山:当社がどれだけ株主還元に積極的であるかについてご説明します。「ベンチャー企業であれば成長投資にもっとお金を使うべきじゃないか」というご意見をいただくこともありますが、当社はキャッシュを多く手元に置き、それを活用してレバレッジをかけながら事業を行うような業態ではありません。
どちらかというと、既存のアセットやマーケティングノウハウを活用することで、継続的に成長を実現できる会社です。そのため、比較的キャッシュが社内に滞留しやすい傾向があると考えています。
したがって、株主還元を積極的に行うことが、使わない資金に対する有効な選択肢と考えています。もちろん株主のみなさまへの利益の最大化という観点では、成長と還元の両立が重要です。成長をあきらめたから株主還元を行うのではなく、成長を継続しながら十分な還元が可能だという判断の下、積極的に取り組んでいます。
今期は自社株買いを実施したため、総還元性向は非常に高い水準となっています。今後も配当性向40パーセント以上を目途に、成長と株主還元を両立させていきたいと考えています。
株価とバリュエーション 他社比較(参考)

中山:当社は来期に営業利益20億円を目指しており、まだまだ成長できる会社であるという期待や、リーガルプロテクト事業の黒字化への積極的な取り組みも見られます。また、現時点(発表時点の株価ベース)で配当利回りは4パーセント台半ば程度です(スライドは2026年5月22日終値ベースで約4.0パーセント)。一方で、PERなどの株価指標は他社比較でも低い水準にあると認識しています。
利益成長や売上成長に対する蓋然性やアナウンスの方法が、まだ十分ではないと考えています。株主のみなさまに「しっかり成長していくし、高配当なんだな」と安心していただけるよう、十分にご説明することで、より評価していただけるのではないかと思っています。
事業だけに専念して、株価を軽視するつもりはまったくありません。適正な評価を得られるように、引き続き株価も意識して対応していきたいと考えています。
以上が、私からの追加の説明です。残りの部分はスライドに記載しているとおりですが、記載内容について不明な点や曖昧な点があれば、IRにお問い合わせいただければと思います。
質疑応答:上期における改善点と課題について

荒井沙織氏(以下、荒井):「2026年第1四半期の決算説明で、営業損益の事業別増減要因は理解しました。第1四半期からの改善点と残っている課題をあらためて教えてください。また、通期計画達成に向けての課題もお聞かせください」というご質問です。
中山:第1四半期からの改善点について比較表を用意していないため、前年との比較をご覧ください。上期の課題および改善点は、リーガルプロテクト事業にあると考えています。
リーガルプロテクト事業では、保険以外にもSaaSや新商品の開発を行い、非常に良い事業会社と提携できた点で、第1四半期と比較して大きく改善できたと考えています。これが最も大きな改善点だと思います。
リーガルアライアンス事業に関しても、苦戦していたオーガニックや広告運用の面で改善が見られました。
ただし、やはり大きな課題としてもリーガルプロテクト事業が挙げられると思います。
リーガルプロテクト事業の提携関係は進んでいるものの、依然として赤字である点が大きな課題です。アシロという会社は、どの事業部も黒字化を志向する会社ですが、現時点ではリーガルプロテクト事業だけが黒字化を果たせていない状況です。
黒字化が達成されない限り課題は解消されないため、早期の黒字化を目標に取り組んでいきます。このように、最も改善が進んだ領域でありながら、同時に最も課題が残っている領域であると認識しています。
また、リーガルアライアンス事業に関しては、オーガニックや広告運用など、既存の課題の改善は十分進展しています。ただし、大きな市場が残っているにもかかわらず、すべての領域に進出しきれていない点は課題です。一つひとつ着実に取り組みながら、さまざまな領域へ展開していくことが必要であり、これが大きな成長余地であるとも考えています。
質疑応答:提携の手応えおよび業績貢献について
荒井:「イオン保険サービスとGMOグローバルサイン・ホールディングスとの提携により、年度後半の売上高、利益への貢献について期待が高まっています。手応えをお聞かせください」というご質問です。
中山:リーガルプロテクト事業において、SaaS事業をリリースしました。基本的に深い谷を作らないJカーブモデルで計画しています。この事業は始まったばかりで、手を緩めて獲得を弱めれば早期に利益が出やすいですが、上方修正だけを目指すと、せっかくの成長機会を失う可能性もあります。そのため、バランスを取ることが重要だと思います。
今期の収益を重視するのか、来期以降のさらなる成長を目指すのかによって、少し戦略が変わるかもしれません。深い谷を作らないJカーブモデルですが、バランスを取りながら、短期的な目線にとらわれすぎないように取り組んでいきます。
どちらにしても、会社全体として成長していることは間違いありませんので、ご期待いただければ幸いです。
荒井:緩めのカーブだとしても、我々にもその成長が見えてくるのでしょうか?
中山:リーガルプロテクトに関しては、獲得件数が明確に見えてきます。獲得件数が伸びれば、当然ながら収益も増加していきます。また、ストック性が高い商品になると考えており、積み上げれば積み上げるほど、最終的には「ベンナビ」以上に解約率が低い岩盤ストックに成長する可能性が高いと見ています。
件数が増えれば増えるほど、LTVを含め、期待収益がどれほど見込めるかが見えてくるのではないかと考えています。
荒井:非常に楽しみですね。
質疑応答:ガイダンスの出し方について
荒井:「ガイダンスの出し方の方針を変えることはないのでしょうか? 保守的なガイダンスでは、『この会社は成長ストーリーを描けない』とグロース市場の投資家が思いかねないのではないでしょうか? 堅い数字を出して、後から上方修正すればよいという考え方には強い違和感があります」というご質問です。
中山:率直に反省点だと思っています。計画値や予算をあまりに保守的に出す傾向が強すぎたと感じています。
これは上場後、まずは投資いただいたみなさまに安心して信頼していただくことを重視してきた結果ですが、一方で信用と安心に重きを置きすぎたために、成長への期待がないがしろにされてしまったと感じられた部分があったのではないかと思います。
そのあたりのバランスをしっかり取り、上方修正ありきではなく、「ここまでいったら確かにすごいよね」と期待でき、かつ当社としても達成可能と思える数字をしっかりとリリースしていくことが重要だと考えています。
今後はそのような予算の出し方を意識していきたいと考えており、現状としては反省しているところです。
質疑応答:高単価商品の影響と今後の成長見通しについて
荒井:「短期的な視点での物言いはしたくないのですが、第1四半期、第2四半期は前期の好調があるとはいえ、グロース市場における売上高の1桁成長は危惧を抱かざるを得ない水準だと思います。AIや保険を除き、現在のビジネスモデルは人員を投下しても成長できないフェーズに来ていないでしょうか? ポジティブサプライズを期待しています」というご質問です。

中山:まったくそのようなことはないのですが、やはり伝え方の問題もあると思います。今期が非常に悪く見えているのは、前期が良すぎたためです。前期は高単価商品の売上が非常に好調でしたが、今期は高単価商品に苦戦し、その反動が生じています。
ただし、高単価商品を除けば、2024年度、2025年度、2026年度としっかり20パーセント以上の成長を続けています。2025年度に高単価商品の売上が上がりすぎた影響で、2026年度があまり伸びていないように見えているだけです。
それ以外の商品については着実に20パーセント以上成長しており、引き続き十分に伸ばせる余地があると考えています。加えて、リーガルプロテクト事業についても着実に成長させられると考えていますので、引き続きご期待いただければと思います。
また、先ほどお伝えしたとおり、成長戦略から逸脱せず、集中と選択を進めていく一方で、周辺領域で成長余地がある分野については積極的に挑戦していく方針です。これ以外にも十分に伸びる可能性があると考えていますので、どうぞご期待ください。
質疑応答:「LegalBase」「bonobo」の販路と販売状況について
荒井:「事業戦略について、『LegalBase』および『bonobo(ボノボ)』の販路や販売状況についてお教えください。実績など、具体的な数字の開示が可能であればお願いします」というご質問です。
中山:「LegalBase」と「bonobo」では、販売方法が大きく異なります。「bonobo」は、当社が保険を直接販売します。「LegalBase」は、主に代理店が他の商材と一緒に「こちらも一緒にどうですか?」と事業会社に提案し、代理店を通じて販売します。
販売件数に関しては、競争上および開示の兼ね合いから現時点ではお伝えできませんが、今期中には四半期単位ではなく、もう少し短期的なタームでお示しできるように検討しています。
質疑応答:「LegalBase」と保険の違いについて
荒井:「『LegalBase』について、イオン保険サービスやGMOグローバルサイン・ホールディングスが販売するシステム機能として、弁護士費用をカバーする少額短期保険のスキームが内包されていると理解してよいのでしょうか?
システムの機能として保険を普及させるのであれば、法的な壁を越えて保険事業収益を拡大できる手法だと思います。新システムに少額短期保険スキームが内包されているかどうかを教えてください」というご質問です。
中山:ご質問が難解なため、私の回答が的を射ているか不確かな部分もありますが、今回イオン保険サービスやGMOグローバルサイン・ホールディングスが扱うのは、あくまで「LegalBase」であり、保険を取り扱うわけではありません。
保険と「LegalBase」では、プロダクトとして提供される機能はかなり類似していますが、唯一保障が付随しているか否かという点で大きく異なります。
「LegalBase」に加入されたお客さまの中で、法律相談の結果、訴訟を行うことになった場合や弁護士を活用することになった場合には、「LegalBase」に加え、保険にも加入しておいたほうがよいと考えるユーザーも出てくると思われます。
したがって、「LegalBase」を広範囲に展開した結果、追加で「bonobo」に加入するお客さまも少なからずいらっしゃると考えています。イオン保険サービスやGMOグローバルサイン・ホールディングスが保険を取り扱うわけではありませんが、お客さまとしては、追加で保険の利用を検討される方も出てくるのではないかと考えています。
荒井:追加で保険に加入する場合、「bonobo」は提携先を介しての契約となるのでしょうか?
中山:スキームによります。代理店経由の場合もあれば、直販に切り替わる場合もあります。ケースバイケースです。
質疑応答:保険の収益低下の可能性について
荒井:「リーガル保険は法的に訴えられる危険がある法人ほど、申し込みが多くなる可能性はないのでしょうか? そうすると収益がきつくなりませんか?」というご質問です。
中山:当社は弁護士の方々が利益を上げることでニーズが高まる事業を手掛けており、弁護士の方々が利益を上げて困ることはありません。保険が使われても、結果として弁護士の方々が利益を得ることになり、弁護士の方々が利益を上げている限り、当社も利益が出ます。加えて、引受審査や商品設計、少額短期保険としての保険金額の上限設定により、特定のリスクに偏らないよう管理しています。どのような状況になっても、当社が大きな困難に陥ることはないと考えています。
質疑応答:「ベンナビ」の単価見直しについて
荒井:「第1四半期の決算短信に、『リーガルメディアにおいては、1顧客当たりの収益を高めるために契約条件の見直しおよび解約率の引き下げに取り組んでいる』という記載がありました。『ベンナビ』の単価改定を進めているという認識でよいのでしょうか?」というご質問です。
中山:ご認識のとおり、「ベンナビ」の単価を見直しました。特に都心部ではなく、人口がやや少ない地域では非常に安くパック販売を行っていました。そのパック販売を終了し、1個ずつ既存の商品に近いかたちに切り替えることで、全体の単価を上げる施策を行っています。
物価などが日に日に高騰している中、当社のサービスもやや上昇傾向にあります。都心部についてはあまり変更していませんが、安価で販売しすぎていた地域の是正を進めている状況です。
質疑応答:2030年度の営業利益40億円の目標について

荒井:「中山社長の熱意とコミット力を信じ、IPO時から継続保有しています。御社は2027年度と2030年度の業績に力強いコミットをしている認識です。中山社長がご覧になっている目線を株主にも可能な範囲で共有していただけますか?
御社の理念である『アシロに関わる人を誰よりも深く幸せにすることでよりよい社会の実現に貢献する。』のとおり、株主は御社に関わってよかったと思えるのでしょうか?」というご質問です。
中山:そのように思っていただけるように、私だけでなく、従業員が一丸となって日々全力で取り組んでいますので、ご期待いただければと思います。現在掲げている2030年に営業利益40億円を達成するという目線に変更はありません。その目標に向かって、しっかりと取り組んでいきたいと思います。
また、プラスアルファとして、新たな事業などに積極的に挑戦し、新たな収益を生み出すことにも取り組んでいきたいと考えています。40億円に関しては、現在のリーガルアライアンス事業、リーガルプロテクト事業、リーガルメディア事業、HR事業にコミットすることで、掲げた目標を達成できるのではないかと見ています。
質疑応答:Asset Value Investors Limitedとの関係性の変化について
荒井:「Asset Value Investors Limitedと、この3ヶ月の間で関係性に変化はありましたか? 株主提案を受けた場合の対応についても教えてください」というご質問です。
中山:特段大きな変化はありませんが、1株主さまとしてさまざまな対話を行っており、すべての機関投資家のみなさまと同様に対応しています。仮に企業価値向上に関する提案等があり、開示すべき事項が生じた場合には、通常どおり規則にのっとって適切に対応する流れになると考えています。
質疑応答:Asset Value Investors Limitedとの対話の手応えとトップとしての覚悟について
荒井:「Asset Value Investors Limitedとの対話においては、上場維持の前提を強く希望します。御社の強みは中山社長の経営手腕とマーケティングの専門性にあります。
Asset Value Investors Limitedにとっても中山社長の経営継続と上場維持こそが企業価値向上の最短ルートであり、Win-Winの関係になりうると確信しています。上場維持を前提とした対話の手応えと、トップとしての覚悟をあらためてお聞かせください」というご質問です。
中山:特にこれといったことがあるわけではありませんので、上場企業として、引き続きAsset Value Investors Limitedを含めた投資家のみなさまと対話を続けていくことになると思います。これほどまでに絶賛していただくと、なんだか申し訳ない気持ちです。
荒井:「中山社長ありきだ」という内容でしたね。
中山:ありがたいです。いずれにしても、私がコミットしなければならないのは、先ほどご説明したとおり、まずは企業価値を根源的にしっかりと引き上げることに集中すべきだということです。
企業価値を上げた上で、プラスアルファとして株主還元を最大化させつつ、株価という点でも株主のみなさまに還元していくことが、私の使命だと思っています。それ以外のことに右往左往するよりも、そこにしっかり集中することが重要だと考えています。
私の覚悟としては、みなさまの期待に応えられるように、根源的な企業価値を引き上げ、株主還元を最大化するとともに、株価でもしっかりと評価していただけるよう、できる限りの努力を尽くすべきだと思っています。
質疑応答:出来高を増やす取り組みについて
荒井:「日々の出来高があまりにも少なくて困っています。下に一方通行になりがちのように感じます。もう少し出来高にボリュームが出る対策はないのでしょうか?」というご質問です。
中山:出来高は、さまざまな要因によってできていると考えています。会社として株式数を増やし、流動性を高めることで活性化を図る方法も考えられますが、希薄化により株主のみなさまに損が生じる可能性もあります。そのため、資本をいじって流動性を上げる方法は、必ずしも最良ではないと考えています。
それよりも、当社としては事業をさらに成長させることで、「アシロはすごく注目できるし、ものすごく成長できそうじゃない?」という意味で多くの投資家に注目していただき、結果として出来高が増えることが最も健全な方法だと考えています。事業を伸ばすことで出来高を増やせるように努力していきます。
荒井:配当性向の高さなどでも注目していただけるように取り組んでいくということですね。
中山:そのとおりです。
質疑応答:AI活用について
荒井:「今後、AIに注力するという大方針があるかと思います。ハーベストまでとは言いませんが、ディープテックを目指すのでしょうか? 今期ガイダンスに歩調を合わせて株価も厳しい様相を呈しており、気持ちが重たいため明るい話題をもらえるとうれしいです」というご質問です。
中山:大きな方向性として、データや社内的な処理についてはAIをフル活用して進めていくべきだと考えています。一方で、アナログな商売が依然として多く存在する領域もあると考えています。そうした領域では、残存者利益が十分に得られるのではないかと思います。
当社としては、単にAIを活用し、それだけで収益を上げていく会社になるより、AIをフル活用しつつ、アナログ領域でも確実に収益を出すことが戦略として適切だと考えています。
質疑応答:提携における売上高に直結する手応えについて
荒井:「Asset Value Investors Limitedの買い増し、積極的な自社株買いが一服し、少々厳しい評価となっている状態かと思います。需給面に頼るだけでなく、本業の再加速が本当に重要だと思います。業務提携など次なる施策を進めていることは認識していますが、売上高に直結するような手応えは感じていますか?」というご質問です。
中山:リーガルプロテクト事業に関しては、販売していただける企業との提携ですので、この提携がしっかりと増えていけば売上に直結します。また、リーガルプロテクト事業が黒字化できれば、全事業が黒字化して収益と利益が最大化されると考えています。直近で発表した提携は、リーガルプロテクト事業の拡販および将来の収益貢献につながるものと考えています。
質疑応答:高配当の理由について

荒井:「グロース銘柄にもかかわらず、高配当で驚きました。その理由について教えてください」というご質問です。
中山:高配当に驚いたということで、ありがとうございます。これは以前もお伝えしたかもしれませんが、上場企業の発行体として、日本ではもともと製造業のように設備投資が必要な企業が多く、株主還元に資金を回すよりも、成長のためにしっかり設備投資を行い、工場や生産ラインを増やして売上を上げるというのが一般的でした。
設備投資を優先することが求められること自体は、基本的に正しいと思います。一方で、インターネット企業については、データセンターやサーバーセンターを作らなければ事業が回らない場合は設備投資を行う必要がありますが、大規模な設備投資を伴わない事業が圧倒的に多いです。
そうした場合、キャッシュを使うことを前提に事業を進めると、資金の消費に意識が向きすぎて、事業運営がうまくいかなくなることもあると考えています。
そのため、キャッシュを使うのではなく、知恵で事業を構築していくほうが成長につながるのではないかと判断できる状況では、手元に大量の現金を残すことの価値はそれほど高くないと考えられます。
過去の企業も、インターネット企業であれば、株主還元をさらに行えたのではないかと思います。しかし、製造業のスタンスに引っぱられた結果、株主還元を積極的に行わず、大量の現金を抱えるインターネット系の上場企業が増えたのではないかと思います。
インターネット企業で上場しており、一定の利益をしっかり確保していれば、例えば大型のM&Aを実施したい場合でも、ある程度のファイナンスを活用すれば対応可能です。そのため、現金を過剰に保持することの価値はそれほど高いとは思いません。
「あの会社は現金を持っていたから、あれを行えたんだな」というケースは、ほとんどないと思います。そのため、積極的に株主還元を進めていったほうが、すべての関係者のためになるのではないかと考えています。
質疑応答:今期計画に対する進捗の遅れについて

荒井:「今期計画に対して進捗が遅れているようですが、理由をお聞かせください」というご質問です。
中山:率直に申し上げると、マネジメントメッセージに記載したとおり、高単価商品の苦戦により、我々の想定よりやや出遅れた部分があったと考えています。
ただし、高単価商品を除いた商品で下期にしっかりと収益の上積みを狙い、さらにこれまで収益を上げられていなかったリーガルプロテクト事業を収益化させることで、通期では予算どおりの着地を目指したいと考えています。
質疑応答:GMOグローバルサイン・ホールディングスとの提携内容と効果について
荒井:「GMOグローバルサイン・ホールディングスの株主です。提携について、具体的な内容と効果について教えてください」というご質問です。
先ほどのご説明と一部重なるかもしれませんが、GMOグローバルサイン・ホールディングスに限定してお話しいただければと思います。
中山:例えば「GMOサイン」では、契約書に押印してやり取りができることが、最も主要な機能だと思います。契約書が送られてきた際、通常の事業会社ではリーガルチェックを行うことが一般的です。
その企業が「GMOサイン」内で「LegalBase」もセットで導入している場合、送付された契約書の内容についてAIによるチェックを支援する機能も内包されていることになります。したがって、我々の商品も加えることで契約書の送付から確認業務の支援まで一気通貫で実現し、エンドユーザーの利便性を向上するという使われ方が想定されます。
このように、「GMOサイン」を活用している企業において、契約書の簡単なチェックや担当者ベースでのチェックをAIが支援するという使われ方が広がっていくのではないかと期待しています。
質疑応答:M&Aの検討領域と案件規模について

荒井:「『オーガニック成長を基本としつつ、M&Aも視野に入れる』とのお話でしたが、どの領域で検討していますか? リーガルの周辺領域なのか、派生サービス領域なのか、イメージをお聞かせください。また、資金余力として案件あたりの規模はどの程度をお考えでしょうか?」というご質問です。
中山:ご質問の中で「派生サービス領域」とありましたが、基本路線としてはおっしゃるとおり、アライアンス領域が取り組みやすいと考えています。例えば、当社が送客のみを行い、この領域でかなりの数の送客が可能となった場合、ソリューションの提供が可能な企業を買収すれば、利益率や売上が大きく変化します。
引き続き送客は可能ですので、集客実績を作りながら、ソリューションの提供が可能な企業を買収することが有益だという判断は非常にしやすいと思います。そのため、蓋然性の観点からもアライアンス領域が最も重要であると考えています。
規模に関しては、ある程度規模のある企業のソリューションを利用するほうが競争優位性を確保できる場合は規模を優先します。一方で、ソリューションの競争優位性が規模に依存しない場合には、それほど大きくない企業でも問題ないと考えています。
ただし、アライアンス領域や「ベンナビ」とまったく関係がなく、さらに作られて間もない事業は、あまり視野に入れていません。
質疑応答:アシロTシャツのデザインへの思いについて
荒井:「今日着ているアシロTシャツの意味を教えてください」というご質問です。
これまでは「アシロ」という文字が書かれた服が多かったと思いますが、今回のTシャツにはどのような思いが込められているのでしょうか?
中山:「Don’t fear failure」、つまり「恐れるな」ということで、デザイナーがメッセージ性を持たせて作ってくれました。デザイナーの思いが込められていますが、私もこの言葉が非常に好きです。
私は昭和の人間で、プロレスラーの高山選手が好きです。「NO FEAR」というか、「恐れるな」と似たような言葉を社内で使っているため、それを汲み取ってこのデザインを作ってくれたのかもしれません。
荒井:社長の心情の中にこのワードやマインドがあるのではないかということで、反映したということですね。
中山:個人的に、よく1人で「NO FEAR」や「恐れるな」という言葉を自問自答しています。アシロTシャツだと気づいていただき、ありがとうございます。「えらい派手なTシャツをおっさんが着ているな」と思われたかもしれませんが、こちらはアシロTシャツです。
荒井:社長が着ているのであれば、アシロのグッズだろうと考えたのかもしれないですね。「ASIRO with you」とも書かれています。
中山:細かい文字の部分に「ASIRO」と入っているTシャツです。
荒井:素敵です。どんどんアシロTシャツも進化しており、驚きました。
中山氏からのご挨拶
中山:足元では高単価商品の不調により、成長が鈍化したように見える部分があり、みなさまには非常にご心配をおかけし、申し訳なく思っています。ただし、資料のとおり、高単価商品を除けば、全体としては順調に成長しています。
加えて、リーガルプロテクト事業での新しい取り組みや黒字化、リーガルアライアンス事業での周辺領域への進出、さらには既存事業にはない周辺領域での事業開発なども進めています。
高単価商品の不調を超えるような成長が見えず、既存事業の成長が止まったかのように思われ、みなさまにご心配をおかけする状況となり、申し訳なく思います。しかし、会社としては既存事業もまだまだ成長すると思っており、新たに始めた事業もしっかりと伸ばしていけると考えています。
さらに、配当利回りは発表時点で約4.5パーセントです。これだけの配当と安定的に成長している事業があり、新規事業や新たな挑戦も進めていますので、引き続きご期待いただけますと幸いです。
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