三井不動産株式会社【速報版】
【速報版】三井不動産株式会社 2026年3月期決算説明
※当記事は速報版です。スライド情報は割愛している他、数値などに誤りが含まれる可能性がございます。正確な情報は決算短信・決算説明資料などの正式な開示資料、または追って公開予定の確定版記事にてご確認ください。
2026年3月期決算説明
本日は、大変お忙しい中、「2026年3月期決算説明会」にご出席を賜り、誠にありがとうございます。それでは、私から「決算等の概要」について、ご説明させていただきます。
2026年3月期決算業績 ハイライト
まずは、2025年度の業績ハイライトについてご説明いたします。
当期は、ご覧の通り、営業収益、各利益のすべてにおいて、前期比「増収」「増益」かつ「過去最⾼を更新」するとともに、通期予想を上回る結果となりました。
過去最⾼の更新は、営業収益で14期連続、事業利益で2期連続、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益で、4期連続となりました。
2026年3月期決算業績 連結PL概要
続いて、セグメント別の事業利益についてです。
2025年度は、全てのセグメントの事業利益が、いずれも前期比増益。また、全てのセグメントで、過去最⾼益を更新いたしました。
2026年3月期決算 連結PL概要/セグメント別(賃貸)
各セグメントの詳細について、ご説明させていただきます。
はじめに「賃貸」セグメントは、事業利益1,770億円、前期比5億円の増益となりました。
国内外オフィスにおける賃料増加や国内商業施設の売上伸⻑等により、営業利益ベースで前期⽐50億円の増益となった一方で、前期から当期にかけて竣⼯した、⽶国サンベルトの賃貸住宅における減価償却費など費⽤の増加により持分法投資損益が前期比マイナス45億円となり、事業利益トータルでプラス5億円の小幅の増益となりました。
なお、当期末における当社の⾸都圏オフィス空室率は、1.6%と低位な水準が継続しています。
2026年3月期決算 連結PL概要/セグメント別(分譲)
続いて、「分譲」セグメントは事業利益1,931億円、前期比261億円の増益となりました。
このうち「国内住宅分譲」は、「三田ガーデンヒルズ」や「パークシティ⾼田馬場」等の引き渡しの進捗により、前期比155億円の増益となりました。また、記載はございませんが、国内住宅分譲全体の営業利益率は、25.5%となりました。
「投資家向け・海外住宅分譲等」については、⻑期経営方針「& INNOVATION 2030」で掲げた「聖域なき売却」の方針に基づき、固定資産である「大手町建物名古屋駅前ビル」や「(旧)日比谷U-1ビル」の売却など、固定資産と販売⽤不動産をトータルで捉えた資産回転の加速により、前期比105億円の増益となりました。
2026年3月期決算 連結PL概要/セグメント別(マネジメント)
続いて、「マネジメント」セグメントは、事業利益808億円、前期比92億円の増益となりました。
このうち、「プロパティマネジメント」は、カーシェア事業における収益の増加や商業施設の売上拡大によるマネジメントフィー増加等の影響により、前期比58億円の増益となりました。
また、「仲介・アセットマネジメント等」は、プロジェクトマネジメントフィーの増加等により、前期比33億円の増益となりました。
2026年3月期決算 連結PL概要/セグメント別(施設営業)
最後に、「施設営業」セグメントにつきましては、事業利益463億円、前期比77億円の増益となりました。主な要因は、ホテル・リゾートのADR・稼働率の上昇や、東京ドームにおける使⽤料の増額改定等によるものです。
2026年3月期決算 連結BS概要
続いてBSについてです。2025年度末の総資産は、前期末から2,436億円増加し、10.1兆円となりました。
そして、負債について、2025年度末の有利⼦負債残⾼は、前期末から2,164億円増加し、4.6兆円となりました。
純資産は、前期末から1,141億円増加し、3.3兆円となりました。
2026年3月期決算 賃貸等不動産の評価益
続いて期末ですので、「賃貸等不動産の評価益」つまり「含み益」についてご説明させていただきます。
2025年度末の時価は、7兆7,146億円となり、前期末から2,218億円の増加となりました。簿価との差額つまり「含み益」は、3兆9,851億円、前期末から2,995億円の増加となっております。
増加の要因ですが、主に、「東京ミッドタウン日本橋」という名称に決定しました「日本橋一丁目中地区」のほか、「トレッサ横浜」など複数の物件について新たに時価評価を開始したことや、国内の既存オフィス・既存商業施設の賃料収⼊が増加した影響等によるものです。
2026年3月期決算 1株あたりNAV
続いて、2025年度末の1株当たりNAVについてご説明いたします。
一般的に認知されている「NAV」は、さきほどご説明した、左側の総資産円グラフのうちの、水色部分の「賃貸等不動産」の含み益「だけ」を、税引後ベースで自己資本に加えたものとなっています。この含み益をもとに1株あたりNAVを計算したところ、右側の水色の棒グラフのとおり、2,210円となります。
一方で、当社には、「固定資産」のうち、賃貸等不動産として取り扱われていない「ホテルや自社の事務所として使⽤している部分」や、「販売⽤不動産」があり、ここにも多額の含み益があります。この度、赤枠で囲った「一部の有形固定資産」および「稼働中の投資家向けの販売⽤不動産」について、簡易にではありますが、時価を算定したところ1.3兆円の含み益となりました。
これも加えた修正後の1株当たりNAVは、右側の図のとおり、約2,550円となりました。
2027年3月期(次期) 業績見通し
続いて、2026年度の業績⾒通しについてです。
事業利益は、2025年度から48億円増益の4,500億円、純利益は、63億円増益の2,850億円を⾒込んでいます。
この業績⾒通しにおいては、国内外のオフィス賃料の増加や、国内外の商業施設の売上増加等に伴う賃貸利益の伸⻑、固定資産・販売⽤不動産をトータルで捉えた資産⼊れ替えの加速による分譲利益の伸⻑等を織り込み、営業収益、各利益は、いずれも過去最⾼を更新する⾒込みです。
グループ⾧期経営方針「& INNOVATION 2030」の進捗
ここからは、グループ⻑期経営⽅針「& INNOVATION 2030」の進捗についてご説明いたします。
成⻑性指標であるEPS成⻑率は、2023年度の予想純利益2,200億円ベースでのEPS78.5円を基準として、そこから2026年度末までの3年間のCAGRで「年8%以上」の目標を掲げておりますが、2025年度の実績は101.0円と、CAGRで年13.4%の成⻑となりました。
2026年度の純利益目標2,850億円を前提としたEPSは、約105円を⾒込んでおり、2026年度末までの3年間のCAGRで年10.3%の成⻑となり、3年間のCAGRで「年8%以上」の目標を大きく上回る⾒通しです。
また、効率性指標であるROEは、2025年度は8.7%となり、2026年度目標である8.5%以上を1年前倒しで達成いたしました。PLにつきましても、事業利益・純利益ともに、2026年度の定量目標を1年前倒しで達成しております。また、セグメント別の事業利益につきましても、すべてのセグメントで2026年度目標を達成する⾒通しとなりました。
BSのうち有利⼦負債については、2025年度は4.6兆円で落着し、2026年度予想は、国内外の投資進捗に加え、「& INNOVATION 2030」策定時の想定よりも、円安が継続していることを踏まえ、4.8兆円を⾒込んでおります。
D/Eレシオについては、2025年度は1.41倍で落着し、2026年度も同等の1.4倍台を⾒込み、目標の1.2〜1.5倍程度の範囲内で推移しております。
投資有価証券のうち、政策保有株式については、2025年度までの2年間の累計で約40%の縮減を実現しました。2026年度も縮減を継続し、累計50%「以上」の縮減に取り組んでまいります。
「& INNOVATION 2030」の進捗(キャッシュアロケーション)
続いてキャッシュアロケーションの進捗について、ご説明いたします。
左側に「& INNOVATION 2030」でお⽰しした3か年累計の想定を記載しています。2024年度・2025年度の2か年累計実績は、右側表のとおりとなりました。
内訳をご覧いただくと、まずはキャッシュインのうち「資産回収」については、資産回転を加速する方針により⻑期経営方針策定以前の2023年度までの過去3年間に比べて、1.4倍に相当する計2兆円を回収する計画に対し、販売⽤不動産に加え、固定資産や投資有価証券の売却も含めた回収が進み、約6割とおおむね予定通りの進捗となりました。
「基礎営業キャッシュフロー」は、各セグメントの営業利益・事業利益が伸⻑するなどし、2年間で、当初3年間で想定した1兆円程度まで進捗しています。
これに対しキャッシュアウトは、優良な投資案件の獲得を含め順調に進捗し、「成⻑投資と戦略的資⾦の合計」で約1兆9,000億円と約8割まで進捗しました。
「株主還元」については、配当や自己株式取得の合計が約3,000億円となり、約8割の進捗となりました。
以上によりまして、キャッシュイン・キャッシュアウトともに約2.2兆円と計画に対し、おおよそ2/3の進捗となりました。
株主還元ハイライト(当期・次期)
最後に、株主還元についてご説明いたします。
2025年度は、1株あたりの年間配当⾦につきまして、純利益が業績予想よりも上振れたことを踏まえ、「& INNOVATION 2030」における配当性向毎期35%程度という還元⽅針に基づき、前回2025年11月7日公表の年34円の予想から1円増配の年35円とすることを決定いたしました。これにより、前期の年31円の配当⾦から、4円の増配となりました。
これをもちまして、2025年11月7日に決定済みの自己株式の取得570億円とあわせて、2025年度の総還元性向は、54.9%となりました。
なお、2025年度還元分の自己株式取得570億円は、3月9日までですべて取得を終了しており、今月29日に消却いたします。
また、2026年度の1株あたり年間配当⾦につきましては、純利益2,850億円に対する配当性向35%を目安とし、2025年度から2円増配の年37円を予定しています。
加えて、機動的な資本政策の一環として、今般、期初時点での400億円の自己株式の取得について決定しています。期中での追加取得についても検討してまいります。
以上をもちまして、私からのご説明を終了いたします。ご清聴ありがとうございました。
統合報告書2025
本日はお忙しい中、お集り頂きまして誠にありがとうございます。三井不動産社⻑の植⽥です。
昨年のこの説明会では、2024年度の日経統合報告書アワードで「優秀賞」を頂いたことをご報告させて頂きました。その際、来年度は、より⼤きい盾を頂けるよう努⼒したい旨を申し上げさせて頂きました。
そして、2025年度は、皆さまからのご指導・ご鞭撻のお陰をもちまして、「準グランプリ」を受賞させて頂き、前回よりもほんの一回り大きい盾を頂くことができました。
盾はほんの少し大きくなっただけですが、意義としては数段に高いご評価を頂けたものと考えています。本年はコーポレートガバナンスコードの改定も予定されております。このような受賞も励みに、更に時代の求める企業となるべく、IRの対話を通じて皆様のご意⾒に真摯に⽿を傾けながら、不断の努⼒を積み重ねてまいります。
株価認識
一方で、株価についてはご心配をおかけしておりますが、皆様からの評価という面においては、不本意な思いであり、遺憾に感じています。
当社には、将来の成⻑の基礎となる「3つの⼒」、つまり、「事業機会の獲得能⼒」、「⾼付加価値な物件をつくる⼒」、⾼付加価値な物件に⾒合った「⾼いリーシング⼒」があります。
このような当社の優れた稼ぐ⼒について、まだまだ十分にご評価いただける説明ができていないのではと「⻭がゆく」感じております。
先ほど、CFOの藤岡からご説明させて頂きましたとおり、賃貸等不動産だけでなく、投資家向け分譲⽤の資産等も加えた「実質的な1株当たりNAV」は右側の図のとおり約2,550円です。
その他、当社には、開発中の資産や個⼈向け住宅分譲資産、マネジメント事業の付加価値など数字には反映させ切れていない価値もあります。このような状況を踏まえると、足元の株価⽔準は相当に割安な⽔準と認識しています。
2026年度の株主還元
このような株価の状況も踏まえ、「機動的」に⾃社株買いを⾏う観点から、2円の増配に加え、初めて期初の段階で⾃社株買い400億円を決定させて頂きました。
もちろん期中にも、株価の状況や、2030年度前後のROE・EPS成⻑率の目標達成に向けての進捗状況、キャッシュの状況等を踏まえて、更なる「機動的な」⾃社株買いについても検討してまいります。
これまでも申し上げている通り、当社の企業価値向上・株主価値向上は私の「最大の使命」です。機動的かつ適時適切に果断な対応を執ってまいります。
成⻑戦略の進捗
さて、先ほどCFOの藤岡から今期も事業利益・純利益ともに「過去最高益」を計上予定と申し上げました。もともと「& INNOVATION 2030」の策定時に想定していた2026年度の純利益目標2,700億円から150億円も上積みした純利益の⽔準を目指してまいります。
今期の業績予想は、一つに、中東情勢の影響等、昨今の不透明な状況も考慮し、ある程度バッファを持たせた計画としていること、また、2025年度の決算が想定外に良かったこと、更に、将来の利益成⻑の「種」となる物件竣⼯に伴う「成⻑痛」があることにより、利益成⻑の伸びが控え目に⾒えてしまっているかもしれませんが、「& INNOVATION 2030」で掲げたデカップリング戦略などの成⻑戦略が着実に奏功し始めていると考えています。
本日は、その状況についてご説明させて頂きます。
賃貸セグメント 2026年度事業利益の見通し
賃貸セグメントは、1,770億円から1,800億円と30億円の増益を⾒込んでいます。
増益幅が⼩幅に⾒えるのは、将来の利益のために必要な「成⻑痛」が大きいことが理由です。今年度は、「東京ミッドタウン日本橋」という名称に決定しました「日本橋一丁目中地区」などの竣⼯に伴う費⽤があります。これは日本橋における最⼤規模の物件の竣⼯となります。
また、⼤型商業施設4物件のリニューアルに伴う賃貸利益剥落や、⽶国サンベルトの賃貸住宅の竣⼯・開業に伴う費⽤などもあり、一過性の費用による減益要素として合計約100億円を⾒込んでいるからです。
一方で、当社物件の付加価値を正当に評価していただいた結果としての増額賃料改定やスポーツ・エンターテインメントの集客⼒を活かした商業施設売上の増加などにより、「稼ぐ⼒」は着実に高まっています。
今年度は、オフィスの増賃、新規開業した6つの国内の商業施設の利益貢献・既存施設の売上・賃料の増加、海外のオフィスや商業施設の稼働・売上向上などにより、約130億円の増益効果を⾒込んでいます。
オフィス賃料の状況①
最近、私は「21世紀は八重洲の時代。八重洲は21世紀を待っていた。」と申し上げています。少し前まで日本のオフィスのトップと⾔えば丸の内であり、賃料も丸の内がトップでした。
しかし、最近では、「⾏きたくなる街にある、⾏きたくなるオフィス」への⼈気が高まっており、オフィス賃料が、丸の内一強の富士山型から、ピークが複数ある八ヶ岳連峰型へと変わってきていると感じておりました。
そして、実際、昨年後半には、三幸エステート様が公表している募集賃料ベースにおいても、⻘い折れ線グラフのとおり、「八重洲・日本橋・京橋」エリアが初めて東京エリアのトップに踊り出ました。
更に、当社が再開発を進めてきた結果、街としての魅⼒の高まりが評価されたことなどにより、⽔色の折れ線グラフの日本橋本町・室町エリアも4万円程度の⽔準まで上昇してきています。
一方で、調査では基準階200坪以上のビルが⼤規模ビルと定義されています。特にこの会場の周辺の「日本橋本町・室町」エリアを歩いて頂ければ分かるように、調査対象の「200坪程度のビル」と当社ビルは⼤きく異なります。
このため、各エリアの当社ビルは、平均募集賃料を大きく上回る⽔準でリーシングできているということも併せてお伝えさせて頂きます。
オフィス賃料の状況②
このように、東京のオフィス賃料マーケットは、2010年代には丸の内一強の富士山型でした。
しかし、足元では八重洲・日本橋・京橋を最⾼峰として、ピークが複数ある八ヶ岳連峰型に変化したということがお分かりいただけると思います。
「八重洲二丁目中地区」営業状況(2029年竣工予定)
街としての魅⼒に加え、当社には、2018年の「東京ミッドタウン日比谷」から2022年の「東京ミッドタウン八重洲」まで8つの⼤型オフィスをリーシングしてきた実績があります。
更に、様々なハード・ソフトサービスの企画⼒・提供⼒もあります。場とコミュニティの⼒で、日本橋をライフサイエンスの「聖地」とする取組みを進めていますが、これにより、テナント企業が日本橋はじめ当社オフィスに入居しなければならない必然性も生み出しています。宇宙・半導体についても同様の取組を進めています。
更に、私も日夜、また平日・休日を問わず、テナント企業のトップマネジメントとのリレーションづくりに精を出しており、リーシングに少なからぬ貢献ができていると自負しています。
このような当社の付加価値を創る⼒を総動員して、「八重洲二丁目中地区プロジェクト」のリーシングを進めています。その結果、「複数」の月坪10万円⽔準のテナントを獲得できており、引き続き高い賃料⽔準でのリーシングを推進してまいります。
既存オフィスの増賃方針
テナントとの⻑期リレーションを重視し、ハード・ソフトを含めた快適なワークプレイスを提供することで、テナントの経済活動に貢献していくことが、ひいては日本経済の発展にもつながると考えています。
加えて、当社物件のハード・ソフトサービスの付加価値をきちんとご理解いただき対価としての増額賃料改定を進めています。
昨年度は、10%以上増賃改定を⾏うことができたテナント数が、2024年度の3倍に増えておりますし、20%〜30%超の増賃を⾏うことができた実績もございます。
2026年度はこのような実績も踏まえ、その取り組みを更に加速し、特に希少性の高い都心物件を中心に数十パーセントの増賃を前提として、全国平均で2桁の増賃改定を実現していきます。
新規・既存オフィス賃料のCPI連動条項
更に、当社が業界のトップランナーとして導入を進めているCPI連動条項についても、新規テナントについては、引き続き、ほぼ全件で導入頂けています。
また、既存テナントは昨年12⽉から協議を進めていますが、契約更改時に増額賃料改定に加えて、CPI連動条項を導入頂けています。
空室率が1%台まで低下してきているなか、また、将来の供給量も限定的になってくるなかで、今後、オフィスの優勝劣敗は「空室率」ではなく、「賃料」という形で現れてくると考えています。
当社のオフィスの価値を賃料と⾔う形で理解して下さるテナント様へのリーシングを進めるとともに、「増額賃料改定」を実現してまいります。
併せて、当社がマーケットをけん引するという強い意志を持ち、インフレ時代に対応した契約形態への転換も進めていくことで、「稼ぐ⼒」を着実に高めてまいります。
商業施設の状況①
続いて商業施設ですが、来館者数の増加および一⼈当たり売上の増加によって、施設全体の売上を伸ばすことで、当社賃貸利益の増加を目指しています。
まず来館者数については、スポーツ・エンターテインメントとのシナジーを活かすことで、着実に増加しています。特に「LaLa arena TOKYO-BAY」にいらっしゃるお客様は、「ららぽーとTOKYO-BAY」に寄ってくださるようになっています。
アリーナでのイベント実施日に「ららぽーとTOKYO-BAY」の来場者数が、前年同日⽐140%となった実績も確認しています。
商業施設の状況②
また、一⼈当たりの売上についても増加しています。
これは、三井ショッピングパーク会員の世帯年収が、日本の平均世帯年収を大きく上回ることに起因していると考えています。なかでも特に来館頻度が⾼く、買い上げ⾦額の多い上位会員様の年収は、 全会員の平均よりも更に⾼い状況です。
そして、このような、お買い上げ⾦額の多い上位会員の数は増加傾向にあります。⾼い購買意欲を保っている層にご来館頂き、お買い物をしていただけていることが、一⼈当たりの買い上げ額を増加させていると考えています。
商業施設の状況③
このように来館者数の増加と一⼈当たり売上の増加によって2025年度は施設売上が前年度と⽐べて4.5%増加しました。実際2025年度は、ららぽーとの8割以上で過去最⾼の売上を記録しました。
施設売上の増加により、コロナ禍には10%中盤だった変動賃料比率も、2025年度には24%まで向上してきています。
このように、強い顧客基盤を背景として、来館したくなる施設づくりやフックとなるイベントの開催によって、引き続き施設売上を増加させていきます。並⾏して、賃料や共益費の増額交渉も進めてまいります。
これらにより、商業施設における賃貸収益も伸ばしてまいります。
賃貸セグメント まとめ
足元では、オフィスばかりが注目されていますが、先ほどお⽰しした当社の今年度の増益効果をご覧頂くと、商業施設事業の増益効果が相当に大きいことがお分かりいただけると思います。
オフィスの増益効果は徐々に効いてくるものでありますが、商業施設の売上増加に伴う増益効果は即効性があります。多様なアセットを抱える当社の強みがまさに発揮されていると考えており、オフィス・商業の「2⾺⼒」での増益を推進してまいります。
施設営業セグメント 2026年度事業利益の見通し
施設営業も、賃貸セグメントと同様、2026年度は、「HOTEL THE MITSUI HAKONE」や「三井ガーデンホテル」のプレミアシリーズである「大阪市北区堂島浜二丁目計画」の開業という「成⻑痛」が⽣じてまいります。
一方で、当社ホテルの付加価値を訴求し、更にADRを上昇させることで、利益⽔準は維持してまいります。
施設営業セグメント ホテル・リゾート事業戦略
更に、2027年度には「東京ミッドタウン日本橋」において、「ウォルドーフ・アストリア東京日本橋」の開業が控えています。
また、都心部に加えて、インバウンドに⼈気の高い地方の観光都市である⾦沢や、⾶騨高山でも新たな事業機会を獲得できています。
引き続き、付加価値の高い物件への厳選投資を進めることで「利益の質」にこだわった利益成⻑を志向してまいります。
分譲セグメント(国内住宅分譲) 2026年度事業利益の見通し
国内住宅分譲については、今年度の⾒込みは650億円です。「パークタワー勝どきミッド/サウス」「三⽥ガーデンヒルズ」といった都心・⼤規模・⾼額物件の引き渡しが集中していた2024・2025年度に比べると減益しているように⾒えます。
しかしながら、500億円未満の利益⽔準だった2023年度以前から⽐べると、一段階、利益率・利益⽔準を伸ばすことができています。
国内住宅分譲事業の状況
今後も、2027年度には「THE TOYOMI TOWER」、「パークタワー⼤阪堂島浜」、「パークタワー渋谷笹塚」、2028年度には、「セントラルガーデン⽉島ザタワー」のほか、直近販売を開始した「パークコート御茶ノ⽔ザタワー」、2029年度には、「パークコート麻布十番東京ザタワー」などの目玉物件の引渡しを控えています。なお、「パークコート麻布十番ザタワー」については、今夏募集開始予定ですが、計画を上回るペースでの来場者数の獲得ができているなど、すでに多くの関心をいただいています。
国内住宅分譲についても、付加価値を正当に評価していただけるようお客様に訴求していくことで、安定・継続して高⽔準の利益を計上してまいります。
分譲セグメント(投資家向け分譲等) 2026年度事業利益の見通し
投資家向け分譲については、今期1,450億円を計上予定です。今期も、昨年度同様に、賃貸利益への影響を可能な限り抑えられるようスマートな売却を進めてまいります。
今期は、例年に比べて計上額が⼤きくなりますが、このうち契約済みの案件が既に5割以上となっています。また、残り半分についても、豊富な稼働中物件を有する当社にとっては、過去のトラックレコードを踏まえると、十分に達成可能な⽔準とご理解いただけると思います。
そして、賃料上昇局⾯を追い風に、また、当社の付加価値の高い物件⼒を背景に、売買交渉において高値を追求して交渉を進めてまいります。
海外事業
海外事業は、従来の規模拡⼤を志向した成⻑から転換し、安定収益と選別的な資産回転を組み合わせた成⻑モデルへと深化するフェーズにあります。その「深化」の過程として、2026年度は海外事業利益として約600億円の計上を予定しています。
賃貸利益については、⽶国サンベルトの賃貸住宅の竣⼯に伴う費⽤の増加、つまり「成⻑痛」が継続して発⽣する⾒込みです。
一方で、⽶国の旗艦3オフィスを岩盤とする安定収益基盤がありますし、アジアの商業施設の売上増加などにより、利益規模は維持できる⾒込みです。
また、足元では中東情勢に伴う⾦融環境などの不確実性はあるものの、売却のタイミングを柔軟に⾒定めながら資産入替を進めていき、2026年度は分譲利益についても⿊字転換、利益計上してまいります。
そして、2027年度においては、こうした取り組みの進捗状況や、中東情勢の不確実性が低下し、⾦融環境・海外の不動産売買マーケットが安定に向かうことが前提ということではありますが、賃貸の安定収益の拡大と回転加速の両輪により、1,000億円規模の海外事業利益を達成したいと考えています。
このような取り組みを経て、海外事業においても、資産規模に応じた利益計上を目指し、取り組んでまいります。
2026年度 事業利益見通し
以上の通り、「稼ぐ⼒」は向上しつつも、2026年度は様々な「成⻑痛」や前年度からの反動減があります。
特に、「成⻑痛」は、竣⼯から安定稼働まで一定の期間を要する不動産事業には付き物です。成⻑のためには避けては通れない「成⻑痛」の期間を経ながらも、中⻑期的な目線で増益基調を描いてまいります。
例年ガイダンスから上振れて落着しており、上振れ癖のようになっておりますが、今期についても、期中の取組による業績の上方修正は目指してまいりますし、期中の⾃社株買いの検討も含め、ROEの上積みも可能な限り目指してまいります。
第2の道 スポーツ・エンターテインメント分野
以上、当社の成⻑戦略の「第1の道」を中心に説明しましたが、「第2・3の道」も進捗しています。
スポーツ・エンターテインメント分野については、スポーツ・エンタメの聖地であり、他の追随を許さない東京ドームのブッキング⼒を活かし、首都圏での東京ドーム・築地・秩父宮・「LaLa arena TOKYO-BAY」という5万、2万、1万⼈の全クラスに対応可能な施設ラインアップを揃えてまいります。
また、先日、リリースがありましたが、クボタさんのなんばの旧本社跡地活⽤プロジェクトにおいて、優先交渉権者に選定頂きました。正式には当社の機関決定を経たのちに、ご説明させて頂きたいと考えておりますが、名古屋だけでなく関⻄圏においても、核となる地域でのネットワーク整備が進捗しています。
多施設・全国展開によって、得られる情報量は⾶躍的に増加し、ツアー提案などの企画提案⼒も向上することで、日本のエンタメ分野の国際競争⼒強化にも資する⾒込みです。
「インダストリアルアセット」
また、今後更に⼒を入れていくアセットが「インダストリアルアセット」です。⾼市政権の「成⻑戦略」重点投資対象17分野のうち、ご覧の6分野が「国家戦略技術」に指定され、国が集中的に⽀援することとなりました。
当社は「産業デベロッパー」として、既に、これらのうち「バイオ・ヘルスケア」「宇宙」「半導体」分野へ貢献すべく、それぞれご覧のようなコミュニティを作り、取り組んでいます。
こういったコミュニティも活⽤しながら、①データセンターや、サイエンスパーク②ラボ&オフィスや三井不動産インダストリアルパークといった、新たなアセットクラスに取り組んでいます。
そして、早速、既に種まきの成果が現れています。
「インダストリアルアセット」 ①半導体・通信分野 データセンター(国内)
まず、データセンターについては、国内では、相模原データセンター計画が今年度竣⼯予定です。 2014年に参入して以来、本件は4物件目の竣⼯となりますが、これまでの3物件と同様、早期に売却することにより、付加価値を顕在化させてまいります。
また、既に公表済みのプロジェクトに加え更に新たなデータセンターの事業機会を獲得しています。2035年までに累計投資額6,000億円を目指し、鋭意事業機会の獲得を進めてまいります。
「インダストリアルアセット」 ①半導体・通信分野 データセンター(海外)
更に、海外においても、インドのムンバイ・チェンナイ等の主要都市において、4物件のデータセンター事業への参画が決定しました。
インドは、一⼈あたりデータセンターストックが他国に比して少ない状況にあり、今後、⼈⼝増加やインターネットの普及率向上が⾒込まれるため、大きな需要が期待できると考えています。
今回インドで事業を⾏うパートナーは全世界的に事業展開し、アジア有数の運⽤資産額・開発実績を持つ不動産開発・運⽤会社であるシンガポールの「キャピタランド」です。
キャピタランドから、データセンター事業を継続的に検討していこうというご提案を頂いているので、本件をきっかけに更に海外におけるデータセンター事業も拡⼤させてまいります。
「インダストリアルアセット」 ①半導体・通信分野 くまもとサイエンスパーク
また、先日、TSMCの半導体⼯場が集積するエリアの近隣において、「くまもとサイエンスパーク」の実現に向けた熊本県の連携パートナーに当社が選定されました。
これは、第一に、熊本空港の運営に携わらせて頂いていること、第二に、これにより得られた地元⾏政・企業との深いリレーションがあること、第三に、台湾における事業展開による台湾の産官学との強いリレーションがあることという当社ならではの強みを存分に活かせたことにより、獲得できた事業機会であると考えています。
今後、当社の宅地造成のノウハウを活かした「イノベーション創発エリア」の整備・分譲や、半導体関連企業のコミュニティである「RISE-A」などのネットワークを活かしたR&D施設の開発・運営などを担ってまいりますが、既に、国内外の企業から非常に強い引き合いを頂いております。
日本の産業競争⼒の強化・地方創⽣・当社の利益拡大という「三方良し」を実現してまいります。
「インダストリアルアセット」 ②バイオ・ヘルスケア分野 ラボ&オフィス(国内)
「バイオ・ヘルスケア」については、私がビルディング本部⻑時代である2016年にライフサイエンス領域のコミュニティ「Link-J」を⽴ち上げました。
そして、コミュニティからの「場の整備」というニーズを頂き、賃貸型ウェットラボ&オフィスである「リンクラボ」という形で事業化してまいりました。そして、今では国内では7拠点まで成⻑しています。
最近は、スタートアップの製薬企業だけでなく大手製薬企業もテナントとなっています。リンクラボ柏の葉2は、一棟丸ごと、⽶国セラレス社の再生医療等のアジア初の開発・製造拠点としてご活⽤いただくことが決まっています。
製薬業界にとどまらず、半導体・食品・エネルギー等の非製薬企業までテナントのすそ野が広がってきています。
その結果、各物件リーシングは順調に進捗しており、第1号物件のリーシングを⾏っていた約5年前と比べると賃料は1.5倍程度の⽔準にまで成⻑しています。
また直近、江東区でも新規事業機会を獲得しており、順調に事業規模を拡大させています。将来的には、本事業についても物件売却の機会を探るなどし、利益規模を拡大させてまいります。
「インダストリアルアセット」 ②バイオ・ヘルスケア分野 ラボ&オフィス(海外)
また、海外におけるライフサイエンス・ラボも、サンディエゴの「Torrey Heights」において、ファイザー製薬社の入居が進み、4⽉から稼働率が100%となりました。
更にボストンの「Innovation Square PhaseⅢ」もバーテックス社の一棟借りで、今年末に竣⼯予定です。
先日来ご説明させて頂いている、ロンドンの⼤英図書館隣接地におけるラボ&オフィス事業も鋭意、プロジェクトを推進中です。これらも将来的に売却することにより、付加価値を顕在化させてまいります。
「インダストリアルアセット」 まとめ
これらの取組は、第一に、世界各地であらゆるアセットにわたって、多くの開発を⾏ってきた不動産開発ノウハウ、第二に、国内における3,000社以上のオフィステナントをはじめとしたテナント企業や国・地方⾃治体、更には大学等との産官学にわたる幅広いネットワーク、第三に、1,000以上の会員を持つLink-Jなどのコミュニティ、第四に、海外事業を50年にわたり⾏い、培ってきた海外デベロッパーとのリレーションこのような無形のアセットがあってこそのものであると考えています。
そして、これらを掛け合わせることができる総合⼒を持っている当社だけが強みを発揮できる領域であると確信しています。
「令和の殖産興業」とも⾔うべき政府の取組みを追い風に当社としても、この領域における投資機会を最大限に獲得してまいります。
「日本の産業競争⼒への貢献」と「当社グループの持続的成⻑」の両輪で実現すべく更に注⼒して取り組んでまいります。
建築費・金利等コスト上昇への対応
これまでご説明してまいりました通り、インフレを追い風に、デカップリングによる賃料やADR・販売価格の上昇に取り組んでおり、成果がはっきりと出ています。
また、これまでのノウハウを総動員して、開発に当たり第三者資⾦を迎え入れ、フィー収入を得るスキーム、まさに当社が先駆者として築いてきた「投資家共⽣モデル」をこれまで以上に積極的に活用してまいります。
このような取組により、コストの上昇を上回る、良質なリターンが⾒込めるからこそ、新規事業への投資を拡大させています。株価の状況によっては、自社株買いが効率的な投資であることは認識しています。
自社株買いも組み合わせつつも、⻑期的には、効率的・効果的な新規投資を⾏っていくことが、「成⻑」「効率」「還元」を三位一体で進めるうえで必要不可⽋だと考えています。そして、その機会を多く有している当社こそ、圧倒的に優位に⽴てると考えています。
2030年度前後の目標に向けて
以上、申し上げてきた通り、着実に、デカップリング戦略による付加価値訴求の効果は出て来ています。また、アリーナやインダストリアルアセットなど新規事業による「稼ぐ⼒」が顕在化してきています。これらは「& INNOVATION 2030」の策定時以上の成果を期待できる状況になっていると考えています。
一方で、建築費は策定当時以上のスピードで⾼くなりました。また、国内の⾦利上昇は想定よりも早く、海外における利下げは想定よりも進んでいない状況にあります。為替も想定以上に円安の状況が続いています。
ある側面においては「& INNOVATION 2030」の策定時よりも厳しい状況も生じています。更に、イランにおける紛争がどのくらい続くのか、どのような影響が生じるかは現時点では⾒通せません。
このような「& INNOVATION 2030」策定時からの変化も踏まえた、2030年度前後の目標であるEPS成⻑率8%以上、ROE10%以上を達成するための「分⼦:利益成⻑」「分⺟:⾃⼰資本のコントロールの取組方針」「キャッシュアロケーション」について、改めて精査しているところです。
当社を応援してくださっている⻑期投資家の皆様にご納得いただける形で、しかるべき時期に公表させて頂きたいと考えていますので、今しばらくお待ち頂きますようお願いします。
最後に
いずれにせよ、2030年度前後のEPS成⻑率8%以上、ROE10%以上の目標は当然に達成してまいりますし、引き続き、業界のリーダーにふさわしい経営のかじ取りを⾏ってまいります。
新着ログ
「不動産業」のログ





