【N高グループ投資部】投資部員とファンドマネージャー 藤野英人氏のQ&A【前編】
「勝つためのルールは無限にある」レオス創業者・藤野英人氏が語る投資スタイルと資産形成
2026年3月、レオス・キャピタルワークス創業者の藤野英人氏による特別講義が開催されました。N高グループの生徒から寄せられた質問をもとに、企業価値向上策の見極め方、短期売買の着眼点、株式投資で資産を築く可能性、自分だけの勝ちパターンの見つけ方まで幅広く解説。勝てる投資家は何が違うのか、投資スタイルと資産形成の考え方を語りました。3回に分けてお伝えします。
【中編はこちら】
AI時代、投資家はどう生き残るのか?レオス・藤野英人氏が語る勝ち筋とキャリアの変化
※後編は後日公開予定です

【N高グループ投資部】投資部員とファンドマネージャー藤野英人氏のQ&A
司会者:本日はお忙しい中、ご参加いただきありがとうございます。本日の講師は藤野英人さんです。
藤野さんは、レオス・キャピタルワークス株式会社の創業者であり、代表取締役社長として長年にわたり投資業界の第一線で活躍されています。また、初心者向けの投資教育やセミナー活動にも積極的に取り組まれており、資産運用の普及に大きく貢献されています。
この貴重な機会を通じて、みなさまにとって多くの学びを得られる時間になればと思っています。
藤野英人氏(以下、藤野):みなさま、こんにちは。藤野です。お招きいただき、うれしく思っています。たくさんのご質問をいただいていますので、できる限りお答えしていきます。また、足元ではマーケットが非常に大きく動いていますので、その背景などについてもお話ししたいと思います。
司会者:藤野さん、ありがとうございます。それでは、講義に入りたいと思います。事前に投資部員から質問を募集していますので、その質問に藤野さんからご回答いただくかたちで進めていきます。
PBR改善策の本質をどう捉えるか?
質問者:特に2024年以降、PBR1倍割れからの脱却を意識して、自己資本の圧縮を伴う高配当を打ち出す企業が相次ぎました。ただ、このような施策はいったん来年度で終了する企業も増えるのではないかと見ています。となると、反動が2028年度以降に表面化する企業も出てきそうです。
このような、見栄えを良くするための還元策の功罪についてご意見をうかがいたいです。また、そのような企業が次に進むべきステップや、市場から求められる姿はどのようなものだとお考えでしょうか?
藤野:見栄えを良くするための還元策を出す会社もあれば、出さない会社もあります。還元策を打ち出す会社には、少なくともマーケットと何らかのかたちで対話しようとする意思があります。一方で、そのようなことをまったく考えない会社も数多くあります。
「本質的には何も変わっておらず、見栄えを整えているだけだ」という見方はあると思いますが、何もしないよりはましです。「デートの時に、髪の毛はボサボサで歯も磨かないで向かうってどうなの?」みたいな話で、やれるだけのことをやるのは大事ですよね。ここでは少なくとも、マーケットに向き合おうとする姿勢を示している点には意味があります。
今年2月に東京証券取引所の社長を退任された岩永守幸さんがよく話していたのですが、今の日本の上場企業は大きく3つのタイプに分かれます。1つは、本質的な改善を進めようとしている会社群です。もう1つは、何があっても何もしない、マーケットに対して非常に後ろ向きな会社群です。そして、その中間に、周囲の空気や雰囲気によって動く会社群があります。
重要なのは、この中間にいる会社群にどう影響を与えるかという点です。1つ目の会社は、何もしなくても動きます。反対に、何を言っても動かない会社を説得するのは簡単ではありません。したがって、東証としては、周囲の空気や雰囲気によって動く会社に対してどのように影響を与えていくかが重要になります。
その意味では、ここで批判されている会社は、その中間に位置するのかもしれません。今後どうなるかはわかりませんが、この流れ自体はある程度続くのではないかと見ています。
また、PBR1倍割れを脱却したからそれで十分かというと、決してそうではありません。米国などを見ると、PBRが2.5倍から3倍程度の企業も少なくありません。1倍を上回っただけで満足してよい話ではなく、その先に向けて、どのように企業に改善を促していくのかが重要だと考えています。
短期間で利益を出すには?
質問者:短期間で利益を出そうとする場合、何を意識しますか?
藤野:いわゆるモメンタムを意識することです。要するに、株価がどのような材料でどのように動いているのかを見るということです。その要因はさまざまで、業績である場合もあれば、株式に関するイベントである場合もあります。
株式投資で大きな資産を築けるのか?
質問者:株式投資だけで億を稼ぐことは実現可能ですか?
藤野:普通のことだと思います。例えば、「株仙人」として有名な片山晃さんという方がいます。彼は一時期、私の会社で1年ほどファンドマネージャーを務めていました。
もともとは山形県にいて、高校時代はほとんど引きこもりのような生活を送り、高校卒業後に東京の専門学校へしばらく通ったものの合わず、地元に戻りました。その後は3年ほど自宅でゲームをして過ごしていたそうで、「ゲーム廃人」のごとく没頭していた時期があったようです。
ところがある時、テレビドラマで株で儲ける話を見て、その中の「株式市場は世界で一番大きなゲームセンターだ」という言葉を聞き、「それなら、自分はゲームが好きだから、これで稼ごう」と考えたそうです。
そこで、1ヶ月、2ヶ月ほどアルバイトをして貯めた60万円ほどを元手に株式投資を始め、6年半ほどで資産を10億円まで増やしました。そこまで増やしたわけですから、才能があったのだと思いますし、同時に相当な努力もあったのだと思います。
その後、彼は私の会社に来ました。10億円を稼げば、よほど贅沢をしなければ普通は一生、生活していけます。それなのに生きるモチベーションを失ってしまったということだったので、「それならうちに来て、プロとして運用の現場で自分の才能を使ってみたらどうか」と話をしました。
すると実際に来てくれて、機関投資家として働いて1年ほど経った頃に、「やはり辞めます。もう一度、新しく挑戦したい」と言うので、「ああ、良いんじゃない」と送り出しました。投資に対する意欲が戻ったということなのだと思いました。
それから10年以上が経ち、資産は200億円まで増えたそうです。10億円が200億円になったわけです。もともとの元手から見れば、非常に大きく資産を増やしたことになります。このような事例もありますから、やろうと思えば実現は可能だと思います。
もっとも、手法は人それぞれです。彼は並外れた努力をしていました。朝7時から夜11時まで、ひたすらマーケットを見続ける生活を6年半続けたのです。決して、簡単に儲けたという話ではありません。
彼が何をしていたのかというと、会社の決算資料を徹底的に読んでいました。日本の上場企業が出すニュースリリースや適時開示を、すべて読んでいたのです。すごくありませんか? 上場している当時約3,600社の、毎日のすべてのニュースを読んだのです。
「真似できる自信がないです」というコメントが来ています。そうですよね、彼はそれだけの努力を積み重ねていたということです。当初の60万円から200億円という資産を築くことができた背景には、そのようなすさまじい努力があったのだと思います。
「16万円から資産1億円を目指すことはできますか?」という質問も来ていますが、今の話を前提とすると可能ですよね。無理な話ではないと思います。
下落局面で問われる投資家の軸
質問者:成長株や中型株は値動きが大きく、私も損失を経験しました。藤野さんは、短期的な下落と、企業の成長ストーリーが崩れたことによる下落をどのように見極めてきましたか? ファンドマネージャーとして資金を預かる中で、判断に迷ったときに立ち返る自分なりの軸はありますか?
藤野:非常に立派な質問で、まるでプロの投資家のような視点だと思います。こうした質問が高校生の段階でできるのであれば、まったく心配はいらないのではないか、むしろ答える必要がないくらい大丈夫なのではないか、という気さえします。
正直なところ、あまり人に聞いても仕方がない部分もあるので、ご自身でつかんでいけばよいのではないでしょうか。この質問を高校生のときにできている時点で、投資家としてかなり高い域にいると思います。
もし「自分は勝ってばかりだ」などと言う人がいたら、むしろ疑ってしまいますが、このようなことを言える人には、儲けるための資格や素質があると思います。とても頼もしいと感じます。
勝ちパターンはどう作るのか?
質問者:銘柄探しの方法を教えてください。
藤野:銘柄の探し方には、さまざまな勝ちパターンがありますが、重要なのは、自分自身の勝ちパターンを見つけることだと思います。
長期投資が良くて短期投資がだめということはまったくありませんし、どのセクターが良いかということだけで決まるものでもありません。勝つためのルールは無限にあるということです。私が「この方法なら勝てる」とお伝えしたとしても、あまり役には立たないのではないかと思います。やはり、自分で編み出していくしかないのではないでしょうか。
もちろん、人に聞くのもよいと思いますが、いろいろ試していく中で、自分にとっての勝ち方は何かを見極めることが大切です。
というのも、人にはそれぞれタイプがあるからです。我慢強い人もいれば、そうでない人もいますし、集中力のある人もいれば、そうでない人もいます。人それぞれに個性があり、そうした個性に合った勝ち方を見つけることが、非常に重要だと思います。
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AI時代、投資家はどう生き残るのか?レオス・藤野英人氏が語る勝ち筋とキャリアの変化
※後編は後日公開予定です


