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日本ラッド株式会社4736

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目次

大塚隆之氏:日本ラッド代表取締役の大塚隆之です。第55期の本決算説明資料に対する補足を行います。今回は通常の決算説明を中心に、中期経営計画の進捗状況や、AIに対する当社スタンスに触れます。

01-会社概要

当期は大きな環境的変化(地政学的・AIの飛躍的発展)がありました。当社も中期計画に沿った経営を展開しつつ、劇的な環境変化に対応するべく大きな変化を生む必要があると考え、来期以降に向けてさらなるリソース投資を行った1年となりました。

中でも「現場力」がAI時代の生存戦略の要と考え、昨年7月にグループジョインした愛知県名古屋市のOne's House社を皮切りに、地方での「現場力」とプロダクトシナジーを持つ会社を中心に、グループ拡大、エコシステムパートナー展開を図ります。

02-事業内容

当期に関しては中期経営計画に沿って先期に引き続き、プロダクト・プラットフォーム提供力をコアにした事業構造への転換を図っています。独立系SIerとして構築してきた高いエンジニア育成能力とエンジニアリソースを、製造業向けDX事業での自社開発・ソリューション提案に投入していく流れは、AI駆動開発対応と両輪での展開となってきています。

IoTセグメントにおけるAI時代に必須の映像情報取得力の拡大を企図した映像ソリューション事業の統合的な拡大や、エンベデッド事業における新機軸の創出など、当社のメーカーとしての存在感もますます独自性が出てきました。

その中で、中期経営計画におけるIoTセグメントの売り上げ構成を45パーセントに近づけていく方針は、比率としては先期より少し後退したものの、来期以降のさらなる成長のベースとして期待できるものとなっています。

03-2026年3月期 決算概要 決算サマリー(連結数字)

エンタープライズソリューション事業においては、前期想定以上の売上・利益膨張となった主要因である大口顧客でのソフトウェア開発案件は一巡し、AI駆動開発へのフェーズへと移行しつつあります。

IoTインテグレーション事業においては、順調に新規引き合いと、高い顧客満足度の証左である大型化、継続・拡大案件が継続しており、先期に市場投入したコアプラットフォームの「Dereva」エッジプロダクト群も好評です。

人件費・外注費増に加え地政学的リスクからの全コストの増大は、特にエンタープライズ事業における利益を圧迫する要因であり、大きな経営課題の1つですが、ここにきてのAIの飛躍的な性能向上は、単なる単価向上施策のみでは克服できないフェーズに入ってきたと考え、従前より進めていたAI駆動開発検証を一気に本格化しました。

その結果、利益は当期、来期と圧迫されるかたちとなりますが、引き続きエンベデッド事業にて利益を底支えしつつ、この先の飛躍に必要な投資を行っていきます。

03-2026年3月期 決算概要 損益計算書(P/L)

同じく前期比較としては、前期の特例的膨張があったため、特に利益としては前期比見劣りはするものの、当社決算の特徴であった前半期の赤字トレンドにおいて、当期は特に各四半期間の売上のばらつきの平準化、特にボトムヘビー傾向の解消とともに黒字トレンドへと安定的に推移しつつあります。

03-2026年3月期 決算概要 売上高・営業利益の四半期推移

前ページのスライドを視覚化したものです。当期においては中期経営計画上でも事業構造変更、収益性改善のためのスプリングボード期として収益性の一時的な後退を予定していましたが、それに加えての外部環境のさらなる変動は、想定を上回る規模と影響期間となっています。

その状況においても各四半期間での売り上げ傾向の平準化とかさ上げ、四半期での黒字化トレンドは見えてきていると考えています。

03-2026年3月期 決算概要 セグメント別状況

当期については、プロダクト収益性をベースにした事業構造転換は進展しつつ、エンタープライズソリューション事業において前期の膨張した数字の平準化影響がグループ化とBI事業の進展等で比較的抑えられた点と、IoTインテグレーション事業において映像ビジネスとメディカル事業での大口の一巡期となり減収となった点から、相対的な売上比率はIoTインテグレーション事業が少し後退したかたちとなりました。

03-2026年3月期 決算概要 エンタープライズソリューション事業

エンタープライズソリューション事業においては、高度かつ良質なエンジニアをお客さまとの案件を通じ丁寧に育成していく前提です。一方で、コーディングAI、AIエージェントを利用したプログラム作成手法の革命は「従前と同じアプローチだけでは通用しなくなるだろう」という危機感を起こすのに十分なインパクトがありました。

当社としては、検証研究を進めていたAI駆動開発を主流化するにはこのタイミングしかないと考えており、長年にわたり顧客と培ってきた豊富な業務知識(現場力)と柔軟なアプローチを生存・成長戦略の中心に据えていきます。

03-2026年3月期 決算概要 IoTインテグレーション事業

IoTインテグレーション事業においては、製造業向けDX事業における新規と継続案件の拡大・大型化が軌道に乗っています。中期経営計画の主眼の1つであるコアプラットフォーム「Dereva」の開発・市場投入と、エンタープライズソリューション事業よりリソースシフトしたBS事業での「kintone」ベースのローコード開発部門のERPノウハウは、100社あれば100以上のお悩みのある製造業のOT-IT化現場で高い評判をいただいています。

AIの台頭も「現場力」そのもののプロダクト化である本事業においては、開発手法の多様化、ソリューションへの組み込みとすべてポジティブな要因であり、コア技術の取り込みやエコパートナーの拡大への強力なドライブとなっています。

一方で上記BS事業の展開において、開発バランスの需給が一時的に崩れたことから対応コストが発生し収益性を圧迫しており、こちらは重点改善ポイントとして立て直しプロジェクトを起動し、早期の最適化を図っていきます。

その他事業においては、メディカル事業・映像ソリューション事業の大口一巡化による先期比での減収、エンベデッド事業でのセキュリティソリューション開発が引き続き順調に展開しています。また、映像ソリューション事業においては、AI時代にマッチしたサービス展開に対応する大幅な人員増と新規事業展開を開始し、こちらもセグメント利益を圧迫しています。

03-2026年3月期 決算概要 キャッシュフロー(C/F)

キャッシュフローサマリーはスライドのとおりです。営業活動においては健全に推移し、投資キャッシュフローはグループ化に関連するM&Aコストを計上しました。

03-2026年3月期 決算概要 貸借対照表(B/S)

貸借対照表サマリーはスライドのとおりです。

04-中期経営計画の進捗

中期経営計画の2期目の振り返りを行います。定量面では3つの重点戦略「人材ローテーション、AI開発に対応できる先行投資」「製造業向けDX提案におけるノウハウの『他にはない』プラットフォーム化、『Dereva』エコシステムの拡大」「成長戦略に沿った現場力企業・コア技術獲得」のすべてにおいて、当期も2期連続で定量的にクリアしたと考えています。

当期については、当初予定どおりのスプリングボード期としての各種投資を進めつつ、来期にまたがってAI駆動開発と映像ソリューションの統合化対応等を追加して重点的に進めます。

プロダクト化の中核となる製造業向けDX化事業については、CAGR20パーセント超を維持する成長基盤を固め、安定的かつ将来性の高い成長を維持できるかというフェーズに入ってきています。

04-中期経営計画の進捗

前ページのスライドの補足です。売り上げにおいては目標をクリアしつつ、当期に開始された映像ソリューション事業の総合化とAI駆動開発体制構築等の先行コストは来期も継続して発生する前提にて、計画比で1億円程度の減益を想定しています。

従来型の労働集約型システム開発モデルは、コスト上昇と生成AIの発達により構造的な転換点を迎えています。当社は、エンタープライズSIを単なる受託開発領域ではなく、顧客業務知識・現場対応力を蓄積し、AI駆動開発とDXプロダクト化へ転換するための基盤と位置づけています。AI駆動開発は、既存SIの収益性改善に向けた生存戦略であると同時に、労働集約型からアセット型収益への転換を加速する成長戦略です。

04-中期経営計画の進捗

当期の状況を踏まえて、改めて当社中期経営計画のコアコンセプトの補足説明をします。エンタープライズセグメントにおける高度エンジニア人材の育成とノウハウ蓄積、IoTセグメントにおける製造業向けDX化事業でのプロダクト開発・成長を両輪として、人からプロダクトへ、の事業構造転換が要諦となっています。ここにAI開発「革命」が最早技術的に無視できない不可避の要素として確固たる存在となってきました。

生成AIの出現以降、当社では特にエンタープライズSI領域で蓄積された優秀なプロジェクトマネージメントとコーディングパワーをAI駆動開発に投入した場合の検証を行ってきましたが、この数ヶ月での技術革新はこれを前提とした開発体制への移行が最も効率的であり、かつ生存戦略として不可避であると判断するに足るものでした。

当社としてはAIエージェント開発に最も必要なものは、顧客業務知識やHW技術とAIが組み合わされた場合に極大化する「現場力」であると考えており、この現場力を補完的な軸として「新生」Rebornをキーワードに展開していくこととなります。

ベースであり部門横断型でもある人材リソースのローテーションと併せ、AIエージェント開発やプラットフォーム開発に必要な「リ」スキリングと併せて、本路線を強力に推進していく所存です。

05-今後の取り組み(AI駆動開発に対する当社コアスタンス)

中期経営計画の補足としての前スライドを補足するかたちで、当社の今後の取り組みとしてのAI駆動開発に対するスタンスを解説します。

生成AIの登場以降、当社ではさまざまなプロジェクトチームを組成してコーディング利用・プロダクト化への実証を行ってきました。PoC以降の案件の経験も相当数あります。

本格的なAI駆動型の開発体制への移行にはまだ技術的な制約があると判断し、ある程度限定的な起用を行ってきましたが、「アンソロピックショック」とも言われる急速な進展のスピード感を捉えるかたちで、一気にAI駆動開発へシフトすることは、今後不可避かつ不可欠な要素としてベースに据えていく必要があると判断しています。

その中で当社としては、エンタープライズ領域においては、同一顧客において5年、10年、それ以上にわたりシステム開発に携わり積み重ねてきた業務知識をベースに、AI駆動・エージェント開発を進められる点が差別化要素であると考えています。

IoTセグメントにおいては、AI置換え困難なハードウェア技術と組み合わせてプロダクト展開することで、長年をかけて蓄積してきたすべてが生きてくるチャンスであり、AI駆動開発案件の構成比やリソース投資に全力を集中すべきステージであると考えており、「その先の次フェーズ」のために2027年3月期の予算にも反映しています。

05-今後の取り組み(2027年3月期決算予想)

中期経営計画の最終期、3期目にあたる2027年3月期の業績予想は、当初中期経営計画においては「人からプロダクト」への構造改革の収穫期として、特に利益について営業利益率7パーセントを達成するべく計画しており、構造改革はおおむね順調に進行しています。

しかし、先ほどの説明のとおり、外部環境の変動は当初予定を大きく上回る規模であり、今対応しなければ将来的な成長性に大きな差が出るという危機感のもと、当期のスプリングボード期間を来期にも適用、リソース投資を引き続き積極的に行うこととしました。

結果、利益は一部抑制しつつも、2030年3月期への次の3年間の礎を築くべき時期として予算を立てています。

なお現状の地政学的リスクは、収益貢献に大きなインパクトを持つエンベデッドソリューション事業における自動車業界全体の不透明感に大きく影響することから、相応に保守的な予想としています。

06-配当

当社では、引き続き株式配当を株主還元におけるもっとも重要な指標の1つとして認識しています。エッジテクノロジーカンパニーとして期待される新規事業へのベースとなる研究・開発への投資バランスも重視しつつ、最適な配当性向となるよう努力し、55期の配当性向については約32パーセントとなる見込みです。

なお、当社は財務安全性を維持しつつ、AI駆動開発による収益性改善、M&Aによる不足機能・顧客基盤の獲得、株主還元の継続を通じて、ROE・ROICを意識した資本効率の向上にも取り組んでいきます。

07-トピックス

自動車産業、製造業を中心とした当社の重要クライアントが多く存立する中部・名古屋地域において、当社名古屋オフィスと連携して地元対応力と開発力を担える会社・経営者を探していたところ、18年以上請負を中心として堅実な展開を行っているOne’s House社との巡り合いがあり、2025年7月から連結子会社としてグループに加わりました。犬飼社長をはじめ、体制は維持しつつ、中部地域におけるさらなる展開のコアとしての役割を期待しています。

07-トピックス

従来映像ソリューション事業としては大型ディスプレイ商流として官公庁向けの安定したシェアと信頼を獲得してきましたが、調達ソースの限定化、拡大の限界を感じていました。

この度、それを補完するインプットサイド(ハイテクカメラ・CODEC、伝送、レコーディング等)のプロフェッショナル部隊を仲間に加えることができ、映像取得から暗号化含めたハイテク・ローレイテンシー伝送を経たディスプレイまでをカバーオールで提供できる体制となりました。AI時代の最重要データ領域である映像情報を、真の意味でカバーするトータルソリューション提案が可能になるものと考えています。

本立ち上げに関しては先行投資としての部分もあり、来期以降も投資要素は継続しつつ、大幅な増員も含め本格展開を予定しています。

07-トピックス

BI事業においては、他エンタープライズ領域よりも収益率の高いビジネスが構築でき始めており、領域の強化として日本初上陸となるActerysのパートナーとしての販売を開始しました。Microsoft Power BIは今後も普及が進むと考えており、エクセルベースでの「リアルタイム書き込み」での付加価値は高いと予想しています。

07-トピックス

エンタープライズ領域からIoT領域に部門ごとシフトしたビジネスソリューション事業で培った「kintone」ノウハウ、現場力としてのERP知識を加えることでプロダクト開発力が向上してきていますが、コアプラットフォームの「Dereva」、「Konekti EX」等とも容易にリンクできる手軽かつ本格的なCMMSソリューションとして開発、投入を開始しています。

以上で補足説明を終了します。ご清聴ありがとうございました。

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