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日本ラッド株式会社4736

東証スタンダード

情報・通信業

目次

大塚隆之氏:日本ラッド代表取締役の大塚隆之です。第55期の中間期決算説明資料に対する補足説明を行います。今回は決算説明を中心に、中期経営計画の進捗状況にも触れていきます。

01-会社概要

当期は先期半ばに逝去した創業者を偲びつつ、オフィスの引っ越しも完了し、期初より完全に新しい環境でスタートしています。

後ほどご説明しますが、名古屋のソフトウェア開発会社を7月に仲間に加え、8期ぶりとなる連結決算体制に復帰し、グループとしてさらなる拡大の道筋が開けてきました。引っ越し後の環境は良好で、士気も上がっています。

02-事業内容

中期経営計画でお示ししたとおり、当社の培ってきたハードウェア・ソフトウェアの両面を統合的にソリューション提供できる能力をプロダクト・プラットフォーム化して、日本の製造業向けDXの第一人者となるべく、事業構造転換を図っています。

独立系SIerとして構築してきた高いエンジニア育成能力と、信頼を誇るエンタープライズソリューション事業での安定的な企業力とエンジニアリソースを、IoTインテグレーション事業での自社開発・ソリューション提案に転嫁していく流れは順調に進んでいます。

IoTセグメントにおける、病院向け患者様ナビゲーションシステム事業や、統合映像ソリューション事業、また、エンベデッド事業のセキュリティ領域などにおける、当社のメーカーとしての存在感も出てきました。

中期経営計画におけるIoTセグメントの売上構成をまず45パーセントに近づけていく指針ですが、現在の比率は41.7パーセントとなり、手ごたえを感じられる数字となっています。

03-決算概要 決算サマリー(中間期)

前期での予想を上回る要因となった、大口エンタープライズ顧客でのソフトウェア開発案件はピークアウトし、安定的な稼働状態へと戻りつつあります。IoTインテグレーション事業への要員シフトも進めながら、同事業においては順調に新規引き合いと、高い顧客満足度の証左である大型化、継続・拡大案件が増加しており、大小さまざまな製造業からの売上が積み上がってきています。

人件費・外注費増は、特にエンタープライズソリューション事業においての利益を圧迫する要因であり、引き続き、経営課題の1つとして単価向上・AI活用といった開発構造のシフトを推進しています。

エンベデッド事業での利益底支えを維持しつつ、前期は利益貢献要素であったメディカル事業については今期は一巡感あり、プロダクト開発に注力しています。結果として、中間期としては当期予想数字のほぼ半分の進捗となっています。

03-決算概要 損益計算書(P/L)

エンタープライズソリューション事業のピークアウト影響をカバーするかたちで、IoTインテグレーション事業での売上が進捗しています。

また、従来当社決算の特徴であった前半期の赤字トレンドは、引き続きボトムヘビー(年度末に近づくにつれ売上利益が伸長していく)傾向はあるものの、各四半期ベースでの黒字トレンドは安定化してきています。

03-決算概要 売上高・営業利益の四半期推移

エンタープライズソリューション事業からは、DX事業への人的シフトが進んでいます。これは中期経営計画における最大のポイントである、DXソリューションプロバイダーへの構造転換が進行していることを示しています。エンタープライズソリューション事業の売上減、IoTインテグレーション事業での売上増にて、全体として前年同期比で売上増となっています。

当社は例年、いわゆるボトムヘビー型で、上期については赤字にて推移していましたが、前々期の第1四半期から四半期での黒字が定着してきました。

03-決算概要 エンタープライズソリューション事業

エンタープライズソリューション事業においては、高度かつ良質なエンジニアを、お客さまとの案件を通じて育成していく方針を維持しています。

コロナウイルス感染拡大の収束後、大口需要がいったんピークアウトしたことを踏まえ、中期経営計画での予定どおりプロダクトカンパニーとしてのリソースシフトを行いつつ、ソフトウェア開発案件においてもAI活用やリスキリング等も行いながら新しいシステム開発請けの体制を構築しようとしています。

03-決算概要 IoTインテグレーション事業

IoTインテグレーション事業においては、製造業向けDX事業における新規案件の順調な流入と既存案件の継続、案件の大型化が進みました。

中期経営計画においても、主眼に置いていた新コアシステム「Dereva」の開発・市場投入と、部門統合した「kintone」を軸とするローコードビジネスソリューション開発部門の吸収によるソリューション提案力の増大が、お悩みの多い製造業の現場で高い評判を呼びつつあります。

その他事業については、メディカル事業の大口一巡化、エンベデッド事業でのセキュリティソリューション開発が順調な展開を見せている他、映像ソリューション事業においては新規事業展開を開始しており、セグメント利益は若干の影響を受けています。

03-決算概要 キャッシュフロー

単体でのキャッシュフローサマリーはご覧のとおりです。営業活動キャッシュフローにおいては、売上債権の減少による収入などがあり、健全に推移しています。

投資キャッシュフローは、連結体制への復帰となった子会社取得により、無風であった前年同期との比較では悪化していますが、前期の引っ越しに関わる支出も終了し、引き続き、予定どおり投資に重点を置く方針です。

03-決算概要 貸借対照表(B/S)

単体での貸借対照表サマリーはご覧のとおりです。流動資産については主に子会社取得関連で減少となっていますが、純資産は増加しています。

03-決算概要 業績予想

中期経営計画の2期目にあたる55期の業績予想です。当初において想定のとおり、人からプロダクトへの構造改革のピボット期として、売上・利益をやや抑え込んだかたちでのスプリングボード期間としています。

利益については、人件費のさらなる高騰傾向、映像事業の統合ソリューション化を目指した新規ユニット立ち上げの先行投資などハードウェアソリューションのコア人材の獲得費用、名古屋地域でのグループ拡大コストなども織り込み、当初の計画より20パーセント程度下回る期初予想としており、現状は想定どおりの進捗となっています。

製造業向けDXについては新プロダクト投入等、今期はもう一段階上の伸長が期待でき、並行してのソリューション・プロダクト・プラットフォーム機能の拡充に人的・物的リソースを投入する方向です。

04−中期経営計画の進捗

中期経営計画における中間的な進捗状況です。定量面では引き続き、3つの重点戦略を掲げています。

1つ目の「人材ローテーション、売上を一部コンバートしてでもの先行投資的シフト」は進行中です。

2つ目の「製造業向けDX提案におけるノウハウの『他にはない』プラットフォーム化」においては、「Dereva」プラットフォームを前倒しで市場投入済みです。

3つ目の「コア技術獲得・開発においてのリソース投資、M&A含めたグループ化への案件進行」においても進行中で、連結体制に移行しています。

いずれも先期から今期にかけて定量的にはクリアしましたが、特に売上・利益に関して、先期は前倒し・先食いでの達成要素が大きく、中期経営計画第2期となる今期は予定どおり各種投資・開発を進めるスプリングボード期として推移しています。

製造業向けDX化事業における開発・成長が要であり、今期の予想を含めたCAGRは20パーセントを越えてくる予想となっていますが、投入したプラットフォームやオリジナル製品の開発・向上を中核に据え、安定的かつ将来性の高い成長フェーズを維持できるかを最重要課題としています。

人材面において、人からプロダクトへの転換方針は社内外に定着してきました。特に、エンタープライズSI領域で蓄積された、優秀なプロジェクトマネージメントとコーディングパワーを開発投入した場合の効果が大きいことは実証・実感されつつあります。ベースレイヤーであり部門横断型でもあるAIプロダクトの開発や、プラットフォーム開発へのリスキリングと併せて、引き続き、この路線を強化・推進していく方針です。

04−中期経営計画の進捗 Derevaを中核としたラッドエコシステム構築

中期経営計画の柱の1つである、当社独自プラットフォームとなる、今年1月に発表され、順次市場投入されている「Dereva」の位置づけと意味をあらためて解説します。

製造現場に蓄積されたノウハウとニーズを凝縮して開発された、DataOps自動化プラットフォーム「Dereva」は、データハンドリングのハブとしてさまざまな外部パートナーさまとのエコシステム構築を前提として設計されました。市場投入以降、さまざまな反響、ご要望、期待が寄せられており、独自のエッジプロダクト群も好評です。

また、今まで独立した事業として独自のノウハウを蓄積してきた、当社のIoTセグメントに属するハードウェア事業群においても、その期待値は「データハンドリングの向け先」として、まずは映像ソリューション事業での展開を検討しています。

「ハードウェア開発においてこそエコシステムはより効果を発揮する」という信念のもと、引き続き全社シナジーを発揮するべく開発していきます。

05−配当

当社では、株式配当を株主還元における最も重要な指標の1つとして、引き続き認識しています。エッジテクノロジーカンパニーとして期待される新規事業へのベースとなる研究・開発への投資バランスも重視しつつ、最適な配当性向となるよう努力していく所存で、前期の配当を維持することにより55期の配当性向は約32パーセントとなる見込みです。

06−トピックス 株式会社One’sHouseの全株式を取得して連結子会社化

自動車産業、製造業を中心とした当社の重要クライアントが多く存立する中部・名古屋地域において、当社の名古屋オフィスと連携して、地元対応力と開発力を担える会社・経営者を探してきました。結果、18年以上請負を中心として堅実な展開を行っているOne’s House社との巡り合いがあり、7月から連結子会社としてグループに加わっていただきました。

犬飼社長を始めとする体制は維持しつつ、中部地域におけるさらなる展開のコアとしての役割を期待しています。

06−トピックス 「インテリジェントメディアソリューション推進室」 を新規立上げ

従来、映像ソリューション事業としては大型ディスプレイ商流として官公庁向けの安定したシェアと信頼を獲得してきましたが、調達ソースの限定化、拡大の限界を感じていました。

このたび、それを補完するインプットサイド(ハイテクカメラ・CODEC、伝送、レコーディング等)のプロフェッショナル部隊を引き入れることができ、映像取得から暗号化を含めたハイテク・ローレーテンシー伝送を経たディスプレイまでをカバーオールで提供できる体制となりました。これにより、真の意味でのトータルソリューション提案が可能になるものと考えています。

本立ち上げに関しては先行投資としての部分もあり、来期以降の本格展開を予定しています。

06−トピックス 米Indicio社の次世代型個人認証ソリューション「Proven Auth」の本格展開を開始

昨今、金融・証券口座への不正アクセスや情報漏えい、なりすまし被害が深刻化しています。これらに有効な対策として、ユーザー個人のスマホをベースにした「パスワードレス」で高いユーザビリティとセキュリティを両立した、米国Indicio(インディシオ)社の本ソリューションは、「より早く、より安全に、より簡単に」をモットーに、さまざまな業界において導入いただけるものと期待されています。

当社はIndicio社の国内正規代理店および技術パートナーとして、同製品の提供を開始しました。

06−トピックス CYBOZU AWARD2025 「エリア賞(首都圏)」を受賞

当社は2016年より、サイボウズ社が提供する「kintone」のオフィシャルパートナーです。2021年には、システムインテグレーターとして蓄積してきた基幹業務システム構築ノウハウを投入した独自テンプレート「kinterp」をリリースし、さまざまな業種の企業への導入実績を積み重ねてきました。

このたび、サイボウズ社が発表した「CYBOZU AWARD2025(サイボウズアワード2025)」において「エリア賞(首都圏)」を受賞し、6月19日に授賞式が行われました、スライドの写真はその模様です。

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