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三谷産業株式会社8285

東証スタンダード

卸売業

Today’s Topic

宮城誠氏(以下、宮城):三谷産業株式会社 PR企画室室長(IR担当)の宮城です。三谷産業は、2028年に創業100周年を迎えますが、現在も「ベンチャー企業」と称しています。本日は当社についてご説明します。

IRセミナーのテーマ

宮城:本日のテーマは4つです。会社概要・事業概要、業績、事業拡大に向けた重点施策、そして株主や投資家のみなさまが注目する株主還元についてご説明します。

三谷産業について

宮城:三谷産業のご紹介です。当社は福井県の三谷商事株式会社にルーツがあり、1928年に石川県金沢市での石炭の卸売業開始に伴い創業されました。

現在は金沢市に加え、東京の神保町にも本社を設置し、東証スタンダードおよび名証プレミアに上場しています。取引先企業は5,000社にのぼり、直近の年間売上高は1,175億円です。グループ従業員数は約3,500名で、その3分の2以上がベトナム関連従業員となっています。

代表取締役社長略歴

宮城:代表取締役社長の三谷は41歳で、社長としては比較的若いのではないかと思います。三谷は慶應義塾大学卒業後、すぐに家業の三谷産業を継いだわけではなく、シリコンバレーに渡り、キャピタリストとしてさまざまな企業への投資に携わっていました。

その後、創業家の一員として家業に戻り、主に人事や組織改革に取り組んだ後、2017年から社長に就任しています。彼はもともと放送作家になりたいと考えていたそうで、そのためか非常にクリエイティブな一面を持ち、我々従業員にも日々刺激を与えてくれる存在です。

kenmo氏(以下、kenmo):宮城さんから見て、三谷社長はどのような人物ですか? 

宮城:とてもフランクながらも論理的な方です。そのため、言葉の使い方にも非常に気を配りながら私たちとコミュニケーションを取ってくれます。

しかし、決して堅苦しいわけではありません。電話やチャット、対面でもすぐにやり取りができ、金沢本社内でもよく歩き回っているような、お兄さん的な存在です。

三谷産業について

宮城:こちらの写真は金沢本社の写真です。もともと日本海側初のボウリング場が建っていた場所なのですが、近くには武家屋敷跡などの観光スポットも多くあります。加賀百万石の城下町として古くから栄えている場所に、当社の本社があります。

三谷産業について

宮城:冒頭にも申し上げましたが、三谷産業は石炭の卸売業を行っていました。写真にもトラックから石炭を運んでいるような様子や、石炭の採掘をしている様子が写っています。

この石炭を化学品工場のほか、陶磁器製品を焼くための燃料として納めていた歴史背景があります。ここから当社は、商社として大変革を進めていくことになります。

三谷産業について

宮城:当社は6つの事業を複合的に展開しています。

例えば、先ほど申し上げた石炭から始まったエネルギー関連のほか、化学品関連、樹脂・エレクトロニクス関連、情報システム関連、空調設備工事関連、住宅設備機器関連などの事業を展開しています。

こんなところに「三谷産業」

宮城:当社は、社名や知名度に関して課題があると感じています。しかし、実際にはみなさまの身近なところに当社の存在が見え隠れしていることが、この図からもおわかりいただけると思います。

例えば、当社は学校向けシステムや図書館システムなど、いわゆるITの領域で開発を手掛けています。また、太陽光、蓄電池、ソーラーカーポート、省エネ設備といった分野でも、当社のエネルギー部門の商品や商材が活用されています。

空調設備工事や消防・防災設備では、ビルやマンションの中に設置された配管や、空調機器の卸販売も当社が行っています。自動車部品では、自動車のボンネットを開けた際に見えるプラスチック製品を、ベトナムで製造しています。

みなさまの日常生活の中では、キッチンや洗面化粧台、バスタブなどの住宅設備機器も、当社が製造・販売する製品をご利用いただいていることがあるかと思います。

このように、実はみなさまの生活の中にも、さまざまな分野で三谷産業の事業との接点があります。

kenmo:御社はさまざまなものを扱っていますが、現在マーケット参加者が最も気にしているのは、イラン情勢で石油が入ってこない、ナフサが不足している点だと思います。御社の事業の中でなにか影響が出ている部分はありますか? 

宮城:6つのセグメントのうち、情報システム事業を除く大部分に影響があります。ただし、当社は商社として、状況に合わせて調達資材の調達先を変更することができます。

今回も、実際に中東以外の別のエリア、あるいは日本国内への切り替えを行っていますので、IR担当としてはそれほど大きな影響はないと考えています。この点については2026年度の業績予想でも触れていますが、私自身の感覚としては、数字から見てもさほど影響は出ていないように感じています。

三谷産業の沿革

宮城:三谷産業には、歴史の中で過去に3回のピンチがありました。

1つ目は「売り物が無くなる」です。祖業は石炭の卸売りであるとお話ししましたが、戦争が始まると燃料は自由に販売できない統制物資となり、売り物がなくなってしまいました。その結果、三谷産業は何を売るべきか、非常に困難な状況に直面しました。

しかしそこで、石炭を納めていた化学会社から「うちの化学品を売ってみないか?」と声がかかり、化学品関連事業がスタートしました。

2つ目は「苦境の洋食器メーカーNIKKOの経営を任され米国へ」です。ニッコーは日本硬質陶器として旧加賀藩前田家と地元有力者によって創業された会社で、洋食器を製造し、世界中に販売してきました。

しかし、こちらも戦争の影響で、ニッコーは経営苦境に立たされることとなりました。当社はニッコーと燃料の取引があったため、そこから経営を任されることとなったのです。

経営を任された三谷産業の創業者は、海外でニッコーの食器の営業活動を行っていましたが、その中でアメリカを訪れた際、快適な空調の空間で、巨大なコンピューターを使って仕事をしている現地の様子を目の当たりにしました。

そこで、アメリカからそれらを日本に持ち帰り、商社機能として販売してはどうかと考えました。結果として、アメリカからの輸入は行わず、富士通やダイキン工業の商品を取り扱い、当社がスーパーディーラーとして世の中に広めていく活動を展開していくきっかけとなりました。

3つ目は「『商社は要らない』という雰囲気が生まれる」です。いわゆる物の融通という商社機能だけでは、「メーカーさん同士でやればいいじゃない」「だから商社は要らないよね」という風潮から、経営的なピンチが訪れました。

このピンチを回避するために、当社は物作りに活路を見出しました。例えばベトナムの工場でプラスチックの成形品を製造したり、住宅設備としてオリジナルブランドを立ち上げたりするなど、商社としての存在意義を作り上げることに努めてきた会社でもあると思っています。

三谷産業の沿革

宮城:先ほどからベトナムについて話をしていますが、当社は1994年に他社に先駆けてベトナムに進出し、ベトナム事業を展開しています。

現在では、当社の製造機能を担う重要な拠点となっています。みなさまもご存じのように、ベトナムは7パーセント、8パーセントの経済成長率を維持しており、そのような国に対して、当社は実質的に1国投資を行っているような状況です。

「海外進出」という言葉を使っていますが、実質的にベトナム1国への進出が当社の特徴と言えます。

当社のベトナム事業は2024年に30周年を迎えました。現在、ベトナムには7社の子会社を有し、グループ社員の6割以上がベトナム現地の方で構成される大きな組織となっています。

kenmo:基本的な質問ですが、ベトナムの機能は製造なのか、販売先なのか、どのような機能を持っているのか教えていただけますか? 

宮城:どちらの機能もありますが、感覚的には主に物作りです。

例えば、後ほどご紹介する樹脂・エレクトロニクスのセグメントでは、自動車のプラスチックパーツをベトナムの工場で製造しています。それをベトナム国内の別のパーツメーカーに供給するビジネスが中心となっています。

セグメント別売上高

宮城:セグメント別の売上高です。こちらは今年4月末の本決算発表時に示した、前期の各セグメントの状況です。

1,175億円の売上高のうち、化学品が37.3パーセント、空調が17.2パーセント、情報システムが14.2パーセント、住宅設備が12.1パーセント、樹脂・エレクトロニクスが10.2パーセント、エネルギーが6.4パーセントの比率となっています。例年、この比率に大きな変動はありません。

三谷産業の事業概要 化学品

宮城:各事業セグメントの概要についてご説明します。

まず、化学品です。当社が基礎化学品と呼んでいるものとしては、塩酸、硫酸、苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)などがあり、これらの調達・販売を行っています。いわゆる、旧来からの商社機能による商社ビジネスに該当する部分です。

それらに加えて樹脂材料の販売ほか、富山に保有する子会社の工場では、医薬品原薬(有効成分)の製造・販売も行っています。

2020年、新型コロナウイルス感染症の治療効果が期待できるお薬として、インフルエンザ薬「アビガン」が注目され、当社が一時的に話題となりました。「アビガン」は富士フイルム富山化学が製造している薬で、その有効成分に当社子会社が製造した原薬が使用されています。

この発表の際には、株価や出来高が急上昇し、投資家のみなさまからも多くの照会をいただきました。

機能性材料の受託製造・販売では、例えばコエンザイムを活用した健康食品の製造や、粉わさびの製造などを扱っています。

近年力を入れているのが、環境ビジネスの推進です。具体的には、廃棄物から素材を取り出し、その素材を新しい製品に活用する取り組みや、希少金属の回収と販売にも取り組んでいます。

三谷産業の事業概要 空調設備工事

宮城:次に空調設備工事です。当社では、オフィスビル、マンション、工場、公共施設や老健施設を対象に、空調設備の設計・施工を行っています。

エリアとしては、北陸地域から都市部まで、あらゆる場所のオフィスビルやマンションにおいて空調事業を展開しています。

当社では建築の設計・積算業務を日本ではなくベトナムで行っており、多数のエンジニアを抱えています。そのエンジニア数はベトナム国内で最大規模であり、当社の強みとなっています。

三谷産業の事業概要 情報システム

宮城:続いて情報システムです。当社はSIerとして、企業や行政向けのシステムの開発・提供を行っています。また、社員が出社した際にまず目にするスケジューラーやメーラーといったアプリケーションの開発も手がけています。

さらに、石川県に設置したインターネットデータセンターは、国家国防機密レベルも扱える非常に高いセキュリティ性を備えています。14年連続で最高レベルのセキュリティ認定を取得しています。

三谷産業の事業概要 樹脂・エレクトロニクス

宮城:樹脂・エレクトロニクスです。先ほどお伝えしたとおり、主に自動車で使用されるプラスチック樹脂成形品の製造・販売を行っています。日本の某自動車メーカーでは、約半分の車種に当社のパーツが採用されている状況です。

三谷産業の事業概要 住宅設備機器

宮城:住宅設備機器です。当社は商社として他社メーカーの商品を調達し、販売しています。それだけでなく、オリジナル製品の製造・販売も行っており、ブランド展開をしています。

三谷産業の事業概要 エネルギー

宮城:エネルギーです。祖業に当たる領域で、法人、公共施設、集合住宅、飲食店向けに、石油製品やLPガスなどのエネルギーを調達・供給しています。

また、法人向けソーラーカーポートの販売も行っています。天板だけでなく、下部にも太陽光パネルを取り付けることで反射光も利用して蓄電し、電力に変換する仕組みを持つカーポートです。

大きなショッピングモールや自治体などの駐車場に設置されているほか、日照が少ない北陸地域や東北地方のお客さまにもご利用いただいています。

三谷産業の事業概要

宮城:「いろいろとやりすぎじゃありませんか?」と言われることもあります。実際のところ、当社は商社ですので、本当にやりすぎと言われるほどさまざまな事業を展開しています。

「総合商社」ではなく「複合商社」

当社の特徴はここに集約されています。三谷産業グループは、総合商社ではなく、「複合商社」なのです。

単に商材A、B、Cをそれぞれ単体で販売するのではありません。AとBを掛け合わせてXを作る、あるいはAとCを掛け合わせてYやZを作り、それを販売することを当社は「複合」と呼んでいます。

例えば、当社は化学品を扱い、お客さまのもとに営業活動を行っています。その会話の中で「お客さまには、実は情報システムの課題があるな」「工場に課題があるのでは?」といった話題が挙がることもあります。

そこで「化学品だけでなく、情報システムの担当者も連れてきてITのご提案もしますね」「工場用の空調配管などを提案できる担当者も一緒に連れていきますね」と、付加価値を高めながらビジネスを展開しています。

kenmo:「複合商社」という言葉は、私にとって初めて聞くキーワードです。御社以外に複合商社として活動している企業はあるのでしょうか? 競合となる企業はありますか?

宮城:企業として存在するとは思いますが、私自身は詳しく存じ上げていません。ただし、一般的に「商社」と聞くと、5大商社や7大商社など、大手の商社をイメージされることが多いと思います。

規模が大きい商社では、1つの事業でビジネスが完結してしまうことが多く、事業部間で話を融通し合い、一緒に仕事を進めていくことは、あまり行われていないように思います。あるいはその必要がないのかもしれません。

当社はこの企業規模だからこそ、さまざまな事業セグメントと協力しながら、お客さまの課題解決に全力を尽くすことができます。

kenmo:商社でありながらSIerの機能やメーカー機能を持ち、サブコンや工事的な機能、さらには再生可能エネルギー事業にも取り組まれているのが、非常におもしろいと感じました。

複合商社としての強みや良い点がある一方、当然ながら難しい点もあると思います。そのあたりについて、もう少し詳しく教えてください。

宮城:良い点として挙げられるのは、お客さまのニーズにしっかりと応えられるビジネスを展開できることです。まさに「良いビジネス」だと思います。

化学品だけを売って完結するのではなく、お客さまの成長・発展を願い、さまざまな事業を通じて多角的なアプローチで商材を提案できる点が、当社の強みではないかと思います。

デメリットと感じるような点は、すぐには思い浮かびません。あまり感じたことがありません。

業績について 売上高

宮城:業績です。当社は6期連続で増収となっています。

2025年度の売上高は1,175億3,100万円となり、わずか1年で140億円以上の増収を実現しました。最近はやや強めに売上高の数字が出ていますが、基本的には10パーセントから20パーセントほどの増収を続けてきました。

ただし、今期は減収の予想となっています。これは前期におけるGIGAスクール構想関連の影響です。GIGAスクール構想とは、行政や学校機関、公共施設に対し、パソコンやタブレット、ネットワーク機器などのハードウェアを納品する事業です。

前期には、この構想による特需が発生していました。これは行政が一括で導入するものですので、基本的に次の期に売上は見込めません。この点が売上の減少要因となっています。

一方で、GIGAスクール構想分を除いた売上高の観点では、現在も継続して順調に売上が伸びています。

業績について 営業利益

宮城:営業利益は、新型コロナウイルスの影響を乗り越え、2025年度は33億7,900万円を達成しました。これは当社創業以来、過去最高の利益を記録しました。

2026年度は、約3億円減を見込んでいます。主な要因である中東情勢に加えて、資材価格や人件費の上昇などの影響により、利益がやや落ちている状況です。

kenmo:2026年度の業績見通しでは、特に樹脂・エレクトロニクス部門で営業利益が大きく下がる予想となっています。これはイラン情勢の影響を織り込まれた結果でしょうか? この点は視聴者からの事前質問でも寄せられています。

宮城:一部その影響も含まれています。樹脂や成形品、プラスチックパーツを作るための材料には、細かい粒状の樹脂を使用しています。これは石油製品ですので、調達時のコスト、運搬費用を含む製造コストに不利なかたちで影響を及ぼしていることが、利益減少の背景であると考えています。

成長戦略

宮城:事業拡大に向けた重点施策として、本日は「空調設備工事事業」、当社独自の「技術開発力」の2つのキーワードについてお話しします。

成長戦略 空調設備工事事業

宮城:キーワードの1つ目は「空調設備工事事業」です。当社はマンションやオフィスビルの空調設備、配管を提供し、設計や積算も手掛けています。これは当社が非常に強みとしているビジネスの1つです。

マクロ的に見ると、建設投資の拡大に伴い、資材の調達価格や人件費が上昇している上に、土地不足といったさまざまな課題があると思います。

さらに、ビルやオフィスを建設するための人手も不足している状況です。当社は、このような環境変化を追い風に、独自の提案力と技術力で競争優位を確立しています。

この戦略の1つ目のポイントは、ZEB対応やICT、IoTを活用した空調設備の提案です。ZEBとは「Net Zero Energy Building」の略で、ビルに付加価値を与えるものです。当社は現在この技術に注力しています。

ビルを取り壊して新たに建てることは容易なことではありません。古いビルを活用し、その価値を高めることが、当社のビジネスの中心となっています。

ZEBの達成に向けて、例えばビル内で使用されるICTやIoTに重点を置いた提案を行い、ビルの価値を向上させるために一生懸命取り組んでいます。

2つ目のポイントは、250名超の技術者が在籍するBIM専門組織です。「BIM」は、設計・積算業務においてCADを使用し、それぞれのマップ上のオブジェクトに情報を付加させたような技術です。このBIMを有効に活用できる組織に対して非常に力を入れており、エンジニアも増員しています。

当社は、新しく作るのではなく、リノベーションをキーワードとして掲げています。裏付けが取れたわけではありませんが、日本におけるリノベーション関連のビル・マンションの設計・積算業務の多くに、当社グループが関わっています。

3つ目のポイントは、「総合施工力を活かした大型案件の獲得」です。ビルそのものに価値を付加させるZEB対応の提案にも注力し、さらに設計・積算業務を通じてビルやマンションを建設する裏側の部分にも強みを持っています。

そのため、大手デベロッパーや施主から多くのラブコールをいただいています。立ち位置としても、「我々と一緒に仕事をしませんか?」と声を掛けられるようなポジションに行き着いているのではないかと思います。

この観点では、空調設備工事を含めた建設業全般でのビジネスについて、向こう数年間は安定して展開できると見込んでいます。

kenmo:競争優位性もあるとのことですが、実際に利益貢献はかなり大きい事業なのでしょうか? 

宮城:当社は営利企業ですので、比較的利益率の高いビジネスを優先するだけでなく、ビジネスを進める中で随時提案を行い、1つのビルやマンションごとに利益を高めるアクションを積極的に展開しています。これはラブコールをいただける背景にもなっていると思います。

kenmo:空調設備工事関連事業は独立した事業なのですか? それとも他の事業とのシナジー効果があるのでしょうか?

宮城:当社は「複合力」をキーワードにしていますので、例えば、情報システム担当社員と協力し、ビルやマンション内で使われるAIについて一緒に考えたり、お客さまに提案したりする取り組みを行っています。

成長戦略 技術開発力

宮城:もう1つのキーワードは「技術開発力」です。いわゆる商社不要論に対抗する姿勢として、先ほど「物作り」という言葉を挙げましたが、これはすなわち技術力を意味します。当社はさまざまなセグメントや事業の中で特許を取得しながら、さらに技術力を磨いています。

スライド左上は、化学品セグメントのブラスト処理のバキュームマシンブラスト工法です。日本では各地に球形のガスタンクがいくつも残っていますが、解体されていないまま残っているタンクもあります。

しかし、そのタンク表面に付着している塗料には毒性があるため、単純に解体して廃棄や埋め立てを行うことができないのです。

バキュームマシンブラスト工法は写真に写っている機械を吊り上げてブラスト処理を行い、塗料を除去する技術で、当社はこの技術の特許出願をしています。

このブラスト処理で塗膜剥離を行い、塗膜を飛散させずに回収し、構造物解体の前処理にも活用しています。

上段中央は、えのき茸エキス・だしです。社会背景を見ると、地球全体の気温上昇により魚が獲りにくくなっているだけでなく、カツオの不漁や漁師の高齢化なども進んでいることから、魚を獲ることが難しい状況になっています。

これにより、海鮮由来の調味料を作るのも難しくなり、これが現在の調味料メーカーの課題になっていると考えられます。そのような資源不足なども背景に、新たなうま味成分として「えのきエキス」「えのき濃縮だし」の技術を確立しました。

日本では、長野県を中心にえのき茸が毎年安定して生産されています。適切な加工を施してアミノ酸を取り出し、それを活用することで、旨みのあるエキスや出汁が作り上げられます。さまざまな料理に使用できるほか、調味料メーカーにも有用であると考え、現在多くのメーカーに向けて営業活動を展開しています。

右下は、炭素繊維のリサイクル技術です。日本は新品の炭素繊維の製造が非常に得意ですが、そのリサイクルには不得手な部分があります。

炭素繊維を含んだ廃材や端材の処分は難しく、埋め立てたとしても炭素が土に還ることはなく、残り続けます。社会課題の1つになっています。

当社子会社では、廃材や端材から再生した炭素繊維を新しい製品に活用するアップサイクル・リサイクルの独自技術を確立し、メーカーに提案しています。

三谷産業のAI利活用に関する取り組み

宮城:AI利活用に関する取り組みです。社長の三谷が2023年に「AI元年」を宣言し、「会社の中でもAIを積極的に使っていこう、石川県の中で最もAIに強い会社になろう」と打ち出しました。

以降、AIを活用したビジネス展開の一環として、全社員にディープラーニングの基礎知識を問う「G検定」の資格取得を推奨し、AIプロトタイピングの推進を進めるなど、さまざまな取り組みを展開しています。

株主還元 配当

宮城:株主・投資家のみなさまが注目されている株主還元についてご説明します。配当は、前期は年間13円をお支払いしました。これは25年ぶりの高水準であり、過去最高タイとなっています。

我々は「継続的」と「安定的」をキーワードに配当をお支払いしており、中東情勢への懸念はあるものの、今期の配当予想も期初時点で13円としています。

株主還元 株主優待

宮城:株主優待です。現在では当社の関連会社となっているニッコーの陶磁器製品を、保有株式数に応じてカタログからお選びいただける株主優待制度を導入しています。

株価・出来高の推移

宮城:株価・出来高の推移です。今年に入ってから特に強い上昇傾向を見せており、4月9日には808円の高値が付きました。

現在は株価として勢いがある状況だと思います。この勢いを維持するべく、IR活動や情報発信に注力していきたいと思います。

質疑応答:ベトナムの事業比率とグループ利益への貢献目標について

向井沙耶氏(以下、向井):「ベトナム事業を30年かけて拡大し、現在では7社17拠点、ベトナム関連従業員数は2,300人程度まで成長しています。今後5年から10年ほどでグループ利益に占めるベトナム比率をどの程度まで高めたいと考えていますか?」というご質問です。

宮城:社長ではないので、はっきりと答えにくい部分もありますが、当社がベトナム一国投資を行う背景の1つに、日本型経営をベトナムの方々に伝え、ベトナムの方々自身でベトナム型経営が確立されることを願っていることがあります。

ものづくりの精神や、高度経済成長を経た日本企業のあり方は、参考になる点や強みが多くあるのではないかと思います。

現在のベトナムは、かつての高度経済成長期の日本のような動きをしているように感じます。先行して蓄積された日本のビジネスをベトナムでも浸透させ、ベトナムの将来価値を高めるために協力していきたいと考えています。

現時点ではベトナムにおける当社の事業は日本円換算で約170億円、グループ利益の14パーセントから15パーセント程度を占めています。個人的には、これが5年後には200億円、またはそれ以上に増加していることを願っています。

質疑応答:ベトナム市場に対する方針について

向井:「ベトナム市場を広げていくことに注力していく方針と見てよろしいでしょうか?」というご質問です。

宮城:そのとおりです。当社は約30年前からベトナムに拠点を築いており、その意味で先行者利益を享受していると考えています。この先行者利益は、ビジネスというよりも人にあると感じており、ベトナムの行政、政府、関係者とも非常に良好な関係を築いています。

そのため、ベトナム側からも当社に大きな期待が寄せられており、日本からベトナムでビジネスを展開する上でも、彼らの存在は欠かせないものとなっています。

引き続き、政府や行政との良好な関係を維持しつつ、当社のビジネスを模索し、日越の架け橋としての役割を果たしていきたいと考えています。

質疑応答:住宅設備機器関連事業における高級ブランド戦略の見通しについて

向井:「住宅設備機器関連事業で、高級ブランド戦略を進めていると思いますが、現状では赤字が続いています。いつ頃黒字化を目指しているのか、また海外展開が収益改善の鍵になるのかなど、今後の見通しについてお聞かせください」というご質問です。

宮城:ここ数年、住宅設備機器関連事業は営業利益が赤字となっており、株主のみなさまにはたいへん申し訳なく感じています。

数年前の株主総会では、「2027年、2028年頃には」とお話ししており、私も引き続きそのくらいの年数で実現できると信じています。

現時点で当社がターゲットとしているビジネス層は、高級・中高級ゾーンです。この層のお客さまや企業を積極的に狙っていくためには、オリジナルブランドを中心に、高級品の製造・販売に努める必要があると考えています。

この取り組みには、マーケティングプロモーションや、それを実施する人材の人件費が必要であり、結果として利益面ではこれらが減少要素になっています。

これを解消する方法としては、当社のネームバリューや住宅設備機器関連事業のブランドがさらに有名になり、プロモーションの費用を相対的に削減できることが考えられます。

そして今後、大型デベロッパーのコンペを勝ち抜き、有名なマンションやビルに当社の商品が採用されれば、認知度の拡大にもつながります。そのような姿を目指しながら、実現に向けて取り組むことで、黒字化を達成できると考えています。

質疑応答:今後の成長戦略と注力事業について

kenmo:非常に多岐にわたる事業があり、個人的には非常に興味が湧きました。まず、今後の成長戦略についてうかがえればと思います。

6事業を展開されており、ベトナムもこれからまだ成長が見込まれると思いますが、特に注力していきたい事業や今後の売上構成になにか変化があれば教えてください。

宮城:社長の言葉を借りると、「すべてが重要」ということです。「6セグメントすべて」という表現は、もしかすると株主・投資家のみなさまには「答えになっていないんじゃないか」と捉えられるかもしれません。しかし、ここは胸を張って「6セグメント全部です」と私も申し上げたいと思います。

先ほどご覧いただいた売上高比率は、数年経っても大きな変化はないだろうと考えています。ただし、売上の総量自体はそれぞれが大きくなっていくと予想しており、これが成長戦略に寄与するのではないかと思っています。

例えば、化学品では、従来の商社ビジネスだけでなく、環境ビジネスにも取り組んでおり、これをさらに拡大させたいと考えています。この分野には成長のための機会やビジネスチャンスが大いにあると見ています。

また、空調設備工事では、ビルやマンションに提供する商品やソリューションに付加価値を加えることで、お客さまとのやり取りの中で売上や利益をさらに高める工夫が可能だと考えています。

樹脂・エレクトロニクスでは、これまでプラスチックのパーツについてお話ししてきましたが、車はガソリン車だけではありません。いわゆる未来の車と呼ばれるハイブリッド車や水素で動く車もあり、それらのパーツ供給も徐々に進めています。

また、当社の強みは、メーカーと連携してパーツの設計を考える取り組みができている点にあります。このようなことに着手できる企業は珍しいのではないかと思います。単純に仕様に基づいてパーツを納めるだけでは、売上や利益を大きく伸ばすことは難しいでしょう。

技術力をご評価いただき、パーツメーカーを通じてメーカーに提案し、メーカーとともに作り上げていく、このような雰囲気を作り出せていることは、今後の成長に寄与していくと思います。

質疑応答:コングロマリット・ディスカウントを克服する施策について

kenmo:6事業すべてを伸ばしていくというお話でした。先ほど複合商社の良い点・難しい点について質問しましたが、あらためてうかがいます。

私自身の考えですが、難しい点として、やはり投資家からの評価において、コングロマリット・ディスカウントのようなかたちでわかりにくく、バリュエーションが下がってしまう部分があるのではないかと思っています。

例えばセグメント開示の粒度を上げる、資本配分方針を事業別に示すなど、今後マーケットにおける評価を向上させる施策について、どのようにお考えでしょうか? 

宮城:大きく2つあります。1つ目は、先ほどからお伝えしている「複合力」という部分で、コングロマリット・ディスカウントをプレミアムに転換するような施策を実施できないかということです。つまり、事業セグメント間でそれぞれが持つ知見やビジネスを掛け合わせ、お客さまに展開することでプレミアムに変える取り組みです。

もう1つは、現在、社内で投資のルールや事業の撤退ルールなどを制定し始めている点です。これは、ビジネスをよりシビアに運営していくためのものであり、実施することで厳格な経営管理が可能になります。より筋肉質な企業体に変わっていけると思います。

また、社長をはじめとする経営陣の大きな目標である営業利益率の向上にも寄与し、ディスカウントを跳ね除けられるような企業体を目指していきたいと考えています。

質疑応答:バーチャルヒューマンの導入意図について

kenmo:資料の28ページに、バーチャルヒューマンについて記載があります。AIの専門家かと思ったのですが、「AI社外取締役」と記載されていますよね? この意図はどのようなものなのでしょうか? 話題作りの狙いもあるのでしょうか?

宮城:話題作りの意図もあると思います。社長の三谷が「取締役会も含めた重要な会議の場の中で、いわゆるバーチャルヒューマンからも意見をいただいたほうが経営の活性につながるんじゃなかろうか」と考えた結果の1つです。キリンホールディングスのAI役員導入などの話題もありましたが、領域としてはそれに近い存在と言えます。

見た目が諸子百家を思わせますが、そのような中国思想からも経営の参考になる話を得て、それを経営の糧とし、活用可能な部分を転用していくのが社長の考えにあります。

質疑応答:技術開発の成長戦略について

kenmo:「技術開発の成長は、既存の6分野事業を強化することに重点を置くのですか? それとも新たな事業に手を広げていくのでしょうか?」というご質問です。

宮城:もちろん両方あると思います。ただ、私どもが6セグメントをそれぞれ大切にして伸ばしていくとお伝えしている以上、既存のビジネスにおいても技術開発を行い、現在実施している事業そのものをより効率的・効果的に進めていきます。よりお客さまが喜ぶようなビジネスに仕立てられないかという点にも取り組んでいます。

また、新しいビジネスに関する技術開発にも力を入れています。当然のことながら、これらがすぐに業績に反映されるわけではありません。

しかし、技術開発を進める中で商社としての強みを活かし、例えば、さまざまなベンチャー企業や有名な企業とも連携しながら、この技術を「一緒に何かやっていきませんか?」という風潮として広めていきたいと考えています。

新しい技術やビジネスについては、今後もプレスリリースを行っていきたいとも思っています。

宮城氏からのご挨拶

宮城:繰り返しお伝えしてきた「複合力」というキーワードが、当社の強みだと思っています。当社の企業規模だからこそ、事業セグメント同士で協力し、真剣にお客さまの課題解決に取り組むことができます。このような会社は、上場企業の中でも少ないのではないかと思っています。

一貫して地道に展開していくことで、本当の意味でお客さまのためになるとともに、良いビジネスで収益を上げることができます。これは、社長の三谷の思いでもあります。

今後もこの目標に向かってひたむきに努力していきます。本日はありがとうございました。

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