2026年3月期決算説明
アイコム、公共インフラ・防衛通信市場参入 「MC-PTT/MCX」と「MA-DNX」を軸に中計2030で売上高最大430億円へ
2026年3月期 決算ハイライト

中岡洋詞氏:本日はお忙しい中、アイコム株式会社の決算説明会にご出席いただき、誠にありがとうございます。代表取締役社長の中岡です。
2026年3月期の決算発表および今後の見通しについてご説明します。また、2026年5月22日に公表しました「中期経営計画2030」の概要についても併せてご説明します。
スライドには、決算ハイライトを掲載しています。詳細は後のスライドでご説明しますが、売上高および営業利益は前期実績を下回りました。
試験研究費については、引き続き売上高の10パーセント以上を確保するよう努めており、2026年3月期の実績は11パーセント強となりました。前年同期比で6.3パーセント増加しています。
ロボットによる自動生産については、全体の生産量の減少に伴い、ロボット生産台数および生産比率がともに減少しました。KPIに設定している目標値である30パーセントは、年度によっては達成する年もありますが、今後はロボット生産比率が安定的に推移するよう、引き続き努めていきます。
2026年3月期 業績概況

2026年3月期の連結会計年度において、日本市場では、堅調な需要と案件獲得の影響により前年同期比で増収となりました。
一方、海外市場では、米国の関税政策や政府閉鎖の影響で先行きの不透明感が広がったこと、ウクライナ紛争の長期化、中東情勢の逼迫による地政学リスクの高まりなどにより、公共機関や個人の需要が減退し、前年同期と比べグループ全体で減収となりました。
営業利益についても減収の影響に加え、人件費や試験研究費の増加により、前年同期を下回る実績となりました。
なお、収益力が高く、重要なKPIと位置づけているストックビジネスの売上高は前年同期を上回り、売上高に占める割合も10.1パーセントと、目標数値を超える実績となりました。
品目別売上高増減

品目別の売上高状況についてです。陸上業務用無線通信機器は、国内ではハイブリッド機の需要拡大や公官庁案件の獲得、ストックビジネスの成長により前期比で増収となりました。
一方、海外では米政府の関税政策の影響による先行き不透明感から買い控えが続き、全体では前期比7億4,700万円の減収となりました。
アマチュア用無線通信機器は、新製品の効果があったものの、物価高騰に伴う節約志向の高まりや新製品発売前の買い控えにより低調に推移し、前期比12億1,600万円の減収となりました。
海上用無線通信機器については、海外では物価高騰に伴う船舶需要の落ち込みが影響した一方で、海上保安庁やコーストガード案件の獲得、レギュレーション改定に伴う機器置き換えの特需があり、前期比3億5,800万円の増収となりました。
付属機器その他については、航空用無線通信機器の売上が好調に推移したことに加え、国内で公官庁向けや教育機関向けの案件を獲得したことで、その他商品の販売も伸長し、前期比10億9,500万円の増収となりました。
品目別売上高構成

2026年3月期の連結会計期間における各カテゴリの販売比率についてです。
海上用無線通信機器および航空用無線通信機器は前期比プラス1ポイント、付属機器その他は消防を含む政府系案件や教育機関向け案件の獲得により売上が伸び、前期比プラス3ポイント、それぞれ構成比を伸ばしました。
一方で、陸上業務用無線通信機器は国内では売上を伸ばしたものの、海外、特に米国の落ち込みにより苦戦を強いられ、前期比マイナス1ポイント、さらに国内外で需要減少の影響を受けたアマチュア用無線通信機器は前期比マイナス3ポイント、それぞれ構成比が減少しました。
地域別売上高増減

地域別売上高についてご説明します。日本市場では、陸上業務用無線通信機器の分野において、引き続きIP無線の売上やストックビジネスが貢献しました。さらに、消防、政府系案件や教育機関向け案件を獲得した需要増により、前期比10億2,900万円の増収となりました。
海外市場では、米州において、陸上業務用無線通信機器の売上が低調でした。その要因として、米政府の予算凍結および業務停止、関税政策による購買意欲の減少、余剰製品在庫の調整が前期から継続して影響しており、前期比8億3,600万円の減収となりました。
欧州地域では、域内の主要国における経済活動の低迷がみられましたが、域外での売上増加や各種プロモーションなど、積極的な営業活動により売上を積み上げ、前期比3億3,300万円の増収となりました。
アジア・オセアニア地域では、主要国であるオーストラリアにおいてCB機が堅調に推移したことに加えて、積極的なプロモーションの実施により付属機器その他の売上も安定して推移し、売上を伸ばしました。
しかし、アジア主要地域での消費低迷により厳しい市場環境が続いたことから、前年売上に貢献した戦略機種の需要が落ち込み、地域全体では前期比10億3,500万円の減収となりました。
地域別売上高構成

地域別売上高構成についてです。スライドに記載されている2026年3月期の増減比率は、前項でご説明した売上の地域別の実績です。各地域の主な増減要因については、前のスライドでご説明したとおりです。
貸借対照表及びキャッシュフローの状況

当期の財務状況の概要をご説明します。はじめに資産、負債および純資産の状況について、前連結会計年度の数字との比較でご説明します。
総資産は前連結会計年度比80億8,500万円増加し、819億7,400万円となりました。負債合計は前連結会計年度比23億5,500万円増加し、88億8,400万円となりました。純資産合計は前連結会計年度比57億3,000万円増加し、730億9,000万円となりました。
次に、キャッシュフローの概況をご説明します。営業活動によるキャッシュフローは前連結会計年度比1億8,500万円の増加、投資活動によるキャッシュフローは前連結会計年度比8億9,800万円の減少、財務活動によるキャッシュフローは前連結会計年度比2億100万円の増加となりました。詳細は本年5月15日公表の2026年3月期決算短信をご参照ください。
セグメント別売上高 - 所在地別 -

セグメント別のまとめです。
2026年3月期までに実施した投資の概要

スライドには、「中期経営計画2026」で計画した3年間の投資計画に対する累積実績を表示しています。
設計環境や労働環境の再調整の一環および老朽化した施設への対応策として、大阪営業所およびJRから購入した本社隣接地に新社屋の建設を進めています。また、M&Aを引き続き推進しており、人的資本への注力も行っています。
事業構想大学院大学のプロジェクトについては、第1期が終了し、現在は第2期の社員が引き続き参画しています。この取り組みにより、社内起業を通じた新規ビジネスの創出を目指しています。
さらに、研究開発には売上高の10パーセント以上を投資することを基本方針とし、積極的に推進しています。
2027年3月期 業績予想

ここからは今後の見通しについてご説明します。2027年3月期は、2026年5月15日に発表した2026年3月期決算短信のとおり、連結売上高375億円、営業利益38億円、営業利益率10.1パーセントを計画しています。
投資については、すでに取り組んでいる設備投資に加え、各製品カテゴリの新製品および新技術の開発に関連する投資を継続する予定です。
2027年3月期 業績予想

現状の中東情勢が業績に与える影響については、物流面で一部影響が見られるものの、軽微にとどまっています。
一方、原材料の一部で価格高騰が生じるなど、先行きは不透明な状況にあります。また、通商摩擦や地政学リスクなど、不確実性を伴う要因も複数存在します。
ただし、現時点での製品需要の見通しは、海外市場が緩やかな回復基調にあり、国内市場も引き続き底堅く推移すると見込んでいます。
為替変動の継続が予想されますが、為替の影響にかかわらず、今後も利益創出のための体制強化を目指していきます。
2027年3月期 配当予想

株主還元方針については、現在の「1株当たり年間配当額60円」または「連結配当性向40パーセント」のいずれか高いほうを下限とする基本方針を維持します。2027年3月期の配当予想は通期で87円です。
はじめに

ここからは、2026年5月22日に発表した「中期経営計画2030」について、ご説明します。
2027年3月期が初年度となります。スライドでは「中期経営計画2030」策定にあたっての骨子を簡単にご説明しています。
アイコム ~100年企業への成長~

今回の「中期経営計画2030」は当社にとって3つ目の中期経営計画です。スライドでは、初回の「中期経営計画2023」および前期に終了した「中期経営計画2026」で掲げていた主な目標と実績、そして今後目指す姿を示しています。
この後の4つのスライドの内容は、本日の説明会前半の内容と重複する部分もありますが、ご了承ください。
中期経営計画2026の実績

過去5期の連結売上高の実績です。ここで強調したいのは「現在の経営陣になってから、当社の62年の歴史において最高水準となる370億円台を維持している」ということです。
中期経営計画2026の実績

「中期経営計画2026」の実績レビューです。営業利益率は目標の10パーセントには達していないものの、過去3年間で平均9パーセントを維持しています。また、ストックビジネスの成長は目標を上回り、収益の柱となっています。
中期経営計画2026の実績

「中期経営計画2026」の数値目標と結果についてはすでに報告済みのため、スライドでは事業を支える要因を示しています。
中期経営計画2026の実績

「中期経営計画2026」の投資実績についてです。コロナ禍の影響で6年前に計画した投資が実施できていなかったため、「中期経営計画2026」で挽回することを目標としていました。
当初の総合投資計画は105億円でしたが、結果として実績は177億円となりました。
中期経営計画2030のテーマ

ここからは「中期経営計画2030」の概要をご説明します。
今回の中期経営計画は4年としており、取締役の任期2期分と、2030年という節目の年を考慮したものです。4年という期間は、計画の内容を着実に実行できる期間であると考えています。
売上高は370億円台に達しましたが、「中期経営計画2026」で計画した売上目標には届いていません。
その要因を分析し、ビジネスモデルの再検討を含めて、次の4年間にわたってスライドの4つの重点項目をテーマに掲げ、当社の新たな転換期とするべく積極的に計画を進めていきます。
新しい転換期

「新しい転換期」における4つの重点項目のテーマは以下のとおりです。
1つ目は、公共インフラへの参入です。IP無線ビジネスで培ったノウハウを活用し、次世代公安市場で主流となる「Mission Critical PTT(MC-PTT)」および「Mission Critical Services(MCX)」市場へ参入し、2028年後半からの収益化を目指します。
2つ目は、事業提携の加速です。市場変化への迅速な対応を図るため、協業やシナジー効果のあるパートナーと連携し、事業展開を推進していきます。
3つ目は、M&Aの推進です。引き続きオーガニック成長に努める一方、社業拡大の1つの策としてM&Aを積極的に継続推進していきます。
4つ目のテーマは防衛通信市場への参入です。近年の地政学リスクの高まりを背景に、各国の防衛予算増加に伴うビジネスチャンスが広がっています。
当社は国内外の防衛ビジネスにおいて長い歴史と実績を有しており、次世代の防衛用衛星通信システムネットワーク「Managed Access DNX(MA-DNX)」に対応した端末を2027年度中に市場投入することを目指しています。
新しい転換期

こちらのスライドでは、前のスライドでご説明した「MA-DNX」および「MC-PTT/MCX」に関する概要を示しています。
中期経営計画2030の目標

各年度の売上高目標はご覧のとおりです。「中期経営計画2026」の初年度は想定以上の実績となり、目標を上方修正しましたが、最終年度の結果としては、その目標に達することはできませんでした。
2030年3月期の目標は幅を持たせて415億円から430億円としています。既存製品群での売上増はもちろんのこと、後半の売上増の鍵の1つは、先ほどご説明した「MC-PTT/MCX」および「MA-DNX」です。
中期経営計画2030の目標

営業利益およびストックビジネスについてご説明します。どちらも売上高の10パーセントを目標としており、同一の目標数値となっています。
特にストックビジネスは、年間目標比率を達成するために、これまでの実績よりも15パーセント以上の成長が必要であり、高い目標となっています。
アイコムが今後取り組む技術/商品市場別テーマ

スライドでは、各製品カテゴリで今後取り組む技術の計画事例とあわせて、2030年3月期の売上高目標430億円達成時の売上構成見込みを示しています。
アマチュア向け無線通信機器は成熟市場ではあるものの、継続的な技術研究が必要であり、当社の祖業市場が持つブランド認知の力が、当社全体の市場認知度向上に寄与すると考えています。
陸上業務用無線通信機器は、当社の売上の半分を占めていますが、現在の当社のマーケットシェアが5パーセント程度であることから、最大の注力市場の1つと位置づけています。
海上用無線通信機器においてもブランド認知度が高いものの、市場規模から見て伸ばしていける余地は大きいと考えており、この分野での参入市場を広げ、1.5倍の成長を目指します。
ネットワーク機器は、大手では対応しきれない顧客の細かい要望に応えることを主眼に、いわばニッチ市場をターゲットとしています。この方針を維持し、ユニークなソリューション提供を通じて、この分野の倍増を目指します。
「その他」の90億円には、付属機器やその他オプション品のほか、航空無線通信機器も含まれています。これらの向上を図るとともに、ボディーカメラ、バイタルセンサー、レンタル、保守サービス事業の強化により成長を目指しています。
投資計画

投資計画については、過去3期と比較して、より積極的な計画となっています。
設備投資では、前期より着手している「大阪キャンパスプロジェクト」の新社屋建設に関わる投資費用が大部分を占めています。研究開発費は、4年間の売上高の10パーセント以上の水準を予定しています。
また、引き続き、新規事業の実現に向けた人材の確保・育成に努め、社内起業を通じて新たなビジネスおよび収益源の確保を目指します。
経営基盤の強化策

中期的な計画である「大阪キャンパスプロジェクト」構想の概要です。現在、散在している建屋や部署を集約し、環境の改善を図ることが最大の目的です。
また、新しい人材を獲得する際に、アイコムの魅力を向上させることにもつながると考えています。
株主還元方針

株主還元方針についてです。「1株当たり年間配当額50円あるいは連結配当性向40パーセントのいずれか高い方を下限とする」としていましたが、2025年11月11日に「1株当たり年間配当額60円あるいは連結配当性向40パーセントのいずれか高い方を下限とする」に変更しました。
状況により適切な変更を検討する方針ではありますが、現在、この基本方針を変更する予定はありません。
現状分析①

ここからは、東京証券取引所の要請に基づいた、資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について、当社の現状認識と今後の取り組みをご説明します。
当期末におけるROEは3.8パーセントにとどまり、目標の5.0パーセントを達成できませんでした。PBRも目標の1.0倍を下回る0.61倍となりました。
「中期経営計画2030」では、引き続きROE5パーセント以上、PBR1.0倍以上を目指して努力していきます。
現状分析②

ROEおよびPBRが目標未達となった要因の1つとして、高い自己資本比率が挙げられます。当社ではこれまで、スライドに記載の事業環境や経営課題を踏まえ、安定した財務基盤の構築に努めてきました。
一方で、このような背景を踏まえつつ、「中期経営計画2030」においては資本効率の向上を重要課題と位置づけ、キャッシュアロケーションの見直しを行います。
企業価値向上のための取り組み

「中期経営計画2030」では、ご説明した重点施策に基づき、積極的に設備投資および研究開発投資を推進していきます。加えて、スライドの右下に記載の配当方針に基づき、株主還元を実施していきます。
これらの原資については、期中に創出するキャッシュフローに加え、内部留保を活用することを見込んでいます。これにより、資本効率の改善を図るとともに、中期経営計画を着実に実施し、売上高の拡大および収益性の向上を実現し、ROEおよびPBRの向上を目指します。
PBRの改善に向けては、当社の事業内容や成長戦略に対する理解を促進することも重要であると認識しています。各種メディアやIR活動を通じ、積極的な情報発信を行うことで、当社の認知度向上に努めます。
これらの取り組みにより、ROE 5.0パーセント以上、PBR 1.0倍以上の目標達成を目指します。
長期ビジョン

ここからは連結売上高500億円に向けた取り組みについてご説明します。
長期ビジョンとして、これまでどおり連結売上高500億円を目標としています。スライドの左側のグラフは、売上高500億円を達成する場合の売上構成のイメージです。
言うまでもなく、売上および会社の根幹はコアビジネスです。しかし、今後の成長や次のステップアップの鍵として、新規ビジネスとM&Aによる成長も重要であると認識しています。また、「新しい転換期」には、先ほど申し上げたようにビジネスモデルの再考が含まれます。
外部環境と課題認識

新中期経営計画の策定にあたり、当社の持続的成長を支える重要課題(マテリアリティ)を再定義しました。
将来に向けた成長ストーリーと他社動向の分析を基に課題候補を抽出し、ステークホルダー視点と当社視点の双方から検討を行い、取り組むべき重要課題を特定し、実現に向けて進めていきます。
ESGへの取り組み

最後に、2024年3月期より取り組んでいるESG関連についての進捗報告をまとめたスライドを表示しています。なお、当社ホームページのサステナビリティページにも詳細を掲載していますので、ぜひご覧ください。
これをもちまして、本日の説明会を終了します。ご清聴いただき、誠にありがとうございました。
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