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日東精工株式会社5957

東証プライム

金属製品

目次

荒賀誠氏(以下、荒賀):日東精工株式会社 代表取締役社長兼COOの荒賀です。本日は、会社概要、日東精工の強み、中期経営計画、サステナビリティの取り組みの順にご説明します。

日東精工を知るためのキーワード

荒賀:日東精工を知るためのキーワードとして、「産業を支える多様な製品群」「歴史と革新」「地方創生とグローバル展開」の3つを掲げています。これら3つを説明した後、もう一度振り返りたいと思います。

会社概要

荒賀:会社概要です。社名は日東精工株式会社です。「日東何々」という会社は日本国内に多く存在しますが、当社は特定の系列には属していません。本社は京都府綾部市にあり、京都市内から約1時間の北部に位置しています。日本海に近い地域で、人口3万人余りの町に本社を構えています。

資本金は35億円、連結従業員数は2,000名余り、グループ会社は30社あり、連結売上高は502億円です。

原点は産業振興と雇用創出

荒賀:当社は産業の振興と雇用創出を目的に設立された、非常に珍しい会社です。地元の有志が集まり会社を設立し、88年の歴史を歩んできました。

社是「我らの信条」

荒賀:会社の経営理念として、「我らの信条」を掲げています。「我らはよい自己をつくる」で価値創造のための人的資本を磨きます。そして、「我らはよい仕事をする」でよい製品・サービスを生み出します。さらに、「我らはよい貢献をする」で環境・社会にプラスのインパクトを与えます。これらを理念として取り組みを続けてきました。

事業領域拡大の変遷

荒賀:事業領域の変遷についてです。日東精工の前身である四方製作所は、小さな時計屋の修理業務から始まりました。

そこで培った精密加工技術を活かして事業を拡大し、高度経済成長期にはインフラ整備や大量生産に対応しました。その後、多品種少量生産や省人化への取り組みを経て、近年では電子機器や環境対応といった分野への展開を進めてきました。

当社は、モノづくりの現場のニーズに迅速に対応することを第一に、事業を展開してきました。

くらしを支える日東精工

荒賀:当社はBtoBの企業であり、主要顧客は工場などモノづくりの現場です。そのため、製品が一般の方に知られることはほとんどありません。しかし、スライドの図にあるように、くらしを支えるさまざまな場面で当社の製品が使用されています。

事業構成

荒賀:当社の事業構成において、売上高の7割を占めるのがファスナー事業です。

「ファスナー」といえば、多くの方が「チャック」をイメージされるかもしれませんが、当社では、ねじや締結部品などをファスナー事業と位置付けています。

また、ねじ締め機や自動組立機を扱う産機事業と、計測・検査・分析機器を中心とした制御事業を合計して、売上高の約3割を占めています。メディカル事業は新規事業であり、現在、製品化に向けた取り組みを進めている段階です。

スライド円グラフの内側は営業利益の配分を示しており、産機事業が売上高に比べて営業利益全体に占める割合が高くなっています。

強み1 オリジナル品+オーダーメイドの技術力

荒賀:日東精工の強みについてです。強みの1つ目は、オリジナル製品とオーダーメイドの技術力です。日東精工のねじは、ホームセンターで取り扱っているようなJIS規格(日本産業規格)のねじをほとんど扱っておらず、すべてがお客さまのニーズに応じたオーダーメイド品です。これは、ねじ締め機や計測・検査・分析機器についても同様です。

また、多くの特許技術を有しており、オリジナル製品が多数あります。スライドにもあるように、昨年末時点で275件の特許を有しています。その中に、スライドに記載の「JOISTUD(ジョイスタッド)」という製品があります。このように、モノづくりの現場でお客さまのお困りごとを解決するために製品化し、パテント品を開発していくことが、当社の得意分野です。

強み2 組合せによる工場の課題解決

荒賀:強みの2つ目は、組み合わせによる工場の課題解決です。当社は、3事業の製品群を組み合わせた提案に強みがあります。ねじやねじ締め機だけを作る会社は多くありますが、両方を作る会社は日東精工のみです。

さらに、計測・検査・分析機器も製造していますので、スライドの例にあるようにモノづくり現場での課題解決が可能となります。ハイレベルな締結ニーズに応えるとともに、組立前の検査業務を自動化し、コスト削減もトータルに提案していきます。

強み3 グローバル展開と地産地消

荒賀:強みの3つ目は、グローバル展開と地産地消です。当社は1979年に台湾に拠点を置いて以降、現在10ヶ国19拠点を有しています。ねじ業界では早期に海外進出を果たし、各国で実績を築いてきました。また、そのうち6ヶ国に製造拠点を持ち、地産地消のモノづくりができることが強みです。

近年ではドイツやインドにも拠点を拡大し、グローバル展開をさらに加速させています。

競争力の源泉<ファスナー事業>

荒賀:セグメント別の競争力の源泉についてご説明します。

まず、ファスナー事業の強みについてです。特長の1つ目は、「徹底した一貫生産体制」です。当社では製造設備から金型まで自社で製造することが可能であり、オーダーメイド対応のきめ細かさや品質管理において特に強みを発揮しています。

2つ目は、「世界最小0.6ミリメートルねじの製造技術」です。シャープペンシルの芯の太さが0.5ミリメートルですが、その太さほどの精密ねじを製造することができます。

3つ目は、「世界トップクラスの生産能力」です。海外6ヶ国に生産拠点を持ち、これらを合わせることで月産22億本の生産体制を確立しています。これにより、顧客の急激な生産需要の増加にも迅速に対応することが可能です。

1UP投資部屋Ken氏(以下、Ken):ファスナー事業の顧客層について、業界ごとの状況を教えていただけますか? 

荒賀:現在、売上比率が最も高いのは自動車業界で、直近の売上比率は約4割を占めています。特に、CASE関連のADAS(先進運転支援システム)などが好調に推移しており、売上を伸ばしています。

2番目に多いのが住宅建築業界で、売上比率は約2割を占めています。製品は大きいサイズのボルトナット類が中心で、現在の業界は深刻な人財不足や資材の高騰の影響により、やや低調な状態が続いています。

3番目に多いのは電気・電子部品で、売上比率は13パーセントです。東南アジアを中心とする日系家電向けが主なお客さまです。

現在好調なのは雑貨で、ゲーム機向けの精密ねじが大幅に増加しています。

また、ややウエイトは小さいものの、最近では生成AIの需要増加に伴い、データセンター向けのねじの需要も急激に増加しています。

Ken:ちなみに、この自動車業界でCASE関連が増加しているというのは、自動運転システムによってセンサや接続部分が増えることで、ねじの需要が増えるといったイメージでよいのでしょうか? 

荒賀:そのとおりです。車内部には精密機器や制御機器、センサなどが多く搭載されるため、ECUをはじめとする制御基板の増加により、当社の部品が多く使用されています。

競争力の源泉<産機事業>

荒賀:続いて、産機事業についてです。こちらにも特長を3つ挙げています。

特長の1つ目は、「ねじ締めのトータルサポート」です。「ねじ締め」と言っても、ドライバやロボット、推力の制御、ねじの供給など、さまざまな工程や装置への対応が必要です。当社の強みは、それらすべてを自社開発できる点にあります。

2つ目は、「自動ねじ締め機の国内シェアNo.1」です。海外においても世界シェア2位の実績を誇っています。

3つ目は、「ねじ締め制御へのこだわり」です。

競争力の源泉<制御事業>

荒賀:制御事業です。特長の1つ目は、「環境ニーズに対応可能な製品群」です。当社はPFASやPM2.5の原因物質の分析、マイクロバブルによる部品洗浄など、環境ニーズに対応するさまざまな製品を販売しており、最近では、有機溶剤のリサイクル装置の製品化に向けても取り組んでいます。

2つ目は、「約80ヶ国の海外販売網」です。

3つ目は、「地盤調査のニッチ市場で国内シェア90パーセント」です。戸建て住宅を建てる際に使用される地盤調査機のほとんどが、日東精工の地盤調査機であるという状況です。

成長戦略のロードマップ

荒賀:中期経営計画についてご説明します。

本中期経営計画は今年度からスタートしましたが、10年間の長期経営計画の最終ステージとして位置付けています。

2019年から2022年のファーストステージでは、日東精工アナリテック(旧:三菱ケミカルアナリテック)の子会社化による計測・検査分野の拡充、医療分野への参入、建築分野で強みを持つボルト・ナットメーカーのケーエム精工株式会社の子会社化など、事業領域の拡大を進めました。

2023年から2025年のセカンドステージでは、新たに「環境戦略」「人財戦略」「財務戦略」を指標に加え、また、ドイツにおける販売子会社の設立や、インドの部品メーカーの子会社化など、グローバル展開を推進しました。

今年度から始まるファイナルステージでは、収益性向上をテーマに掲げ、10年間の集大成として、戦略的な投資と改革を通じて成長を加速させていきたいと考えています。

4つの成長戦略

荒賀:成長戦略は、「事業拡大戦略」「環境戦略」「人財戦略」「財務戦略」の4つです。詳細については後ほどご説明します。

2028年の目指す姿

荒賀:2028年の目指す姿として、「営業利益60億円」をテーマに掲げて進めていきたいと考えています。これまでの中期経営計画と異なる点は、すべての取り組みが「営業利益60億円」につながることを意識し、改革を進めるという点です。

Growth#1 事業拡大戦略

荒賀:Growth#1の事業拡大戦略としては、スライドに記載の3つの重点取組を進めていきたいと考えています。

事業構造改革

荒賀:事業構造改革においては、ファスナー事業、産機事業、制御事業、メディカル事業でスライドに記載の内容で進めていき、収益性の向上を図っていこうと考えています。

事業別の成長戦略

荒賀:事業別の成長戦略です。スライドには各事業の大きなテーマを記載しています。これらのテーマに沿って戦略を進めています。

ファスナー CASE<自動車部品の新ニーズに応える製品>

荒賀:ファスナー事業についてです。CASE関連の新たなニーズに応える製品群として、IoT化、電動化、自動化、軽量化をキーワードに、当社が持つ強みを活かして顧客ニーズに対応していきたいと考えています。

自動車に使用されるさまざまな部品のうち、スライドに記載の部品はほとんどが当社の特許製品です。このような製品を採用していただき、成長につなげていきたいと考えています。

Ken:自動車関連ですが、既存のねじが御社の特許製品に置き換わるのでしょうか? そうなった場合、どの程度の単価アップや利益率の貢献が期待できるのでしょうか? 

また、単純に使われる本数が増加していくという理解でよいのでしょうか? 

荒賀:当社の特許件数は、会社全体で275件です。そのうち、ファスナーに関しては102件の特許を有しています。これらの特許製品は、他社では製造できない特許技術を持つものであり、平均的なねじの単価が1円前後であるのに対し、数十倍の単価となる製品も販売しています。

また、1つの製品で2つから3つの機能を有していたり、もともと複数の部品で構成されていたものが1つに統合されたりすることから、部品点数は減少しますが、1本当たりの付加価値は向上するという特徴があります。

自動車全体としては、部品点数が徐々に減少していく傾向にあります。そのような状況の中で、いかに高機能・高品質な製品を提供できるかが、当社の今後の戦略となっています。

産機 海外・非日系企業の拡販戦略

荒賀:産機事業です。シェア拡大を目的として、海外販売を強化していきたいと考えています。自動ねじ締め機のシェアは国内ではNo.1ですが、世界ではNo.2であることが課題です。

また、中国やアメリカへの依存度が高い傾向があります。そのため、今後の戦略としては、シェアの低い地域への海外販売を強化し、特に注力エリアであるインド、欧州、ベトナムへの拡販を進めていきたいと考えています。

Ken:海外戦略として、市場が成長しているインドやベトナムなどに対して、今後さらにアプローチしていくという認識でよろしいでしょうか? 

荒賀:おっしゃるとおりです。産機事業については、省人化、つまりこれまで手作業で行っていた工程を自動化することが目的です。成長している市場では、品質や生産性の向上が求められるため、当社の自動機を使っていただけることに活路があると考えています。

Ken:これまで人力で行っていた作業を、成長が著しいインドやベトナムといった市場の企業がどんどん自動化する流れになるため、その需要を取りにいかれるということですね。

荒賀:はい、その需要を取り込んでいこうと考えています。

制御 環境ビジネス<PFAS対策>

荒賀:制御事業の環境ビジネスについて、2つのテーマをご説明します。

1つ目は、PFAS対策です。PFAS(有機フッ素化合物)は環境や人体への影響が問題視されていますが、代替が難しい用途があります。

日本では規制強化が予定されており、今後、対策の需要は増加傾向にあります。

処理については、除去または分解が求められますが、いずれにおいても課題があります。当社では、スクリーニング分析の一部工程だけでなく、分解工程の事業化も検討しており、対応範囲をさらに広げていきたいと考えています。

昨年開示しましたが、立命館大学との共同研究により、PFASを分解する装置の共同開発にも着手しています。

制御 環境ビジネス<有機溶剤リサイクル>

荒賀:2つ目は、有機溶剤リサイクル事業についてです。

有機溶剤のリサイクル形式のうち、約半分を占める蒸留式というリサイクル方法では、大量の二酸化炭素が排出されます。一方、約3割を占める吸着式は二酸化炭素の排出量を抑えることができますが、作業性や機能性で劣るという課題があります。

当社は、ベンチャー企業のイーセップ株式会社と共同で、より高機能・低コスト・低環境負荷のリサイクル方式として、シリカ分離膜の溶剤リサイクル装置を開発しました。昨年にはデモ機の展示を行い、現在、量産体制に向けた取り組みを進めています。

メディカル 医療用生体内溶解性高純度マグネシウム

荒賀:メディカル事業です。医療用生体内溶解性高純度マグネシウムの開発についてです。本素材は、世界初の新素材であり、高い安全性を誇るとともに、生体内で溶解する特徴を持ち、日米で特許を取得しました。

この素材が実用化されれば、骨折時の抜去手術が不要となり、手術回数が1回で済むため、患者や医療従事者の負担軽減や医療費の削減につながります。

2025年3月に医療機器の品質マネジメントシステム「ISO13485」を取得し、製品化に向けた取り組みを現在進めているところです。

Ken:手術が2回必要なものが、2回目が不要になるということで、患者にとって大きな恩恵が期待され、私自身、広まってほしいと思っています。

こちらに関して、売上への貢献はいつ頃からと考えているのでしょうか? また、ビジネスとしてのポテンシャルはどの程度あるのでしょうか?  

荒賀:この素材を用いたインプラント製品は、人体内で使用されると溶解する性質のため、より安全で安心な製品をお届けできるよう、現在、動物実験や臨床試験を重ねています。また、厚生労働省の認可スケジュールは当社では完全にコントロールすることが難しく、できることが限られているため、上市までには数年を要する見込みです。

ただし、中長期的には業績向上に寄与すると考えており、市場規模の想定として、軽荷重部位向けインプラント市場の20パーセントが当社製品に置き換わる場合、約200億円規模と見込んでいます。

Ken:軽荷重部位というのは、足などではなく腕などを指すのでしょうか?  

荒賀:例えば、肩や腰といった部分ではなく、指や顔面の骨折など、荷重があまりかからない部位を想定しています。

Growth#2 環境戦略

荒賀:Growth#2の環境戦略としては、スライドに記載の3つの重点取組を進めていきたいと考えています。

Growth#2 環境戦略

荒賀:当社では、自社の二酸化炭素排出量や廃棄物の削減に加え、ステークホルダーへのES支援に取り組んでいます。

具体的には、二酸化炭素排出量の削減に向けて、設備の効率化や省エネ、太陽光パネルの活用などを進めています。また、Scope3の排出量算定にも取り組んでいきます。

安全・安心に貢献する新製品の開発や地域貢献にも取り組んでいきたいと考えています。地域社会の活性化は、創業理念を背景とした企業の責任であると同時に、持続的な成長の手段であると捉え、産業振興や雇用促進、地域貢献に取り組んでいます。

Growth#3 人財戦略

荒賀:Growth#3の人財戦略としては、スライドに記載の3つの重点取組を進めていきたいと考えています。

Growth#3 人財戦略

荒賀:人財戦略では、数値目標として労働生産性の成長率とエンゲージメントスコアを掲げています。

「働きがい」「働きやすさ」「人財育成」の3つを柱に、人事制度や働く環境の改革、プロ集団を育成するための教育プログラムの構築に取り組んでいます。

また、人財力の最大化が最終的に社会課題の解決につながるよう、人財戦略と経営戦略の統合を目指していきます。

Growth#4 財務戦略

荒賀:Growth#4の財務戦略としては、スライドに記載の3つの重点取組を進めていきたいと考えています。

企業価値向上に向けた現状の再分析

荒賀:当社のPBRは2025年末時点で1倍を下回る状況にあります。特に、売上規模と利益率が課題であると捉えており、株価が低調に推移しているのも収益面での課題によるものと認識しています。

前中期経営計画に続き、本中期経営計画においても売上規模の拡大と利益率の改善に注力していきます。さらに、キャッシュアロケーション計画の策定と、それに基づく効率的な資産活用および適正な株主還元を推進し、PBRの改善を目指していきます。

スライドの図表では、現在の状況をまとめるとともに、課題と戦略について記載しています。

Growth#4 財務戦略<目標と指標>

荒賀:財務戦略の目標と指標についてです。本中期経営計画では、重点施策としてポートフォリオの再編による効率化と、投資計画のROI評価によるPDCAの実行に取り組み、ROIC8パーセント以上、ROE9パーセント以上を目指します。

また、本中期経営計画期間中は、1株あたり24円を下限とする累進配当を実施し、DOE3パーセント以上にすることを目標とし、キャッシュを成長投資と株主還元に適切に配分していきます。

キャッシュアロケーションポリシー

荒賀:3年間のキャッシュアロケーションの方針については、成長が期待される海外現地法人への投資、M&Aおよび新規事業への投資を強化し、収益性の向上を目指します。主な投資目的として、環境事業拡大、省力化事業拡大、CASE対応事業拡大、生産拡大、効率向上などの取り組みを進める予定です。

株主還元については、先ほどお伝えしたとおりです。

設備投資については、インド、欧州、ベトナムをはじめとする重点地域への投資を行い、研究開発については収益性重視の新製品開発へシフトチェンジします。具体的には、PFASの事業化、メディカル事業の製品化、そしてねじ締めドライバの新製品開発です。

戦略投資については、M&Aおよび新規事業への機動的な投資も進めていきます。

当社は、財務健全性の確保と成長投資の最適なバランスを図っていきます。

株主還元

荒賀:株主還元です。本中期経営計画において、累進配当とDOEを指標としています。当社としては、企業としての持続的成長を加速するための投資と利益還元の最適なバランスを維持しつつ、業績に見合った安定的な利益還元を基本方針としていますので、ご理解いただければと思います。

Ken:株主還元が直近でかなり強化されています。先ほどもPBRのお話がありましたが、こちらの背景について具体的に教えてください。 

荒賀:東京証券取引所からの要請もあり、当社としてもPBR1倍というのは市場からきちんと評価されていないと考えています。その要因の1つとしては、売上規模や利益率が挙げられます。

また、BtoBの企業として、どのような製品を作り、どのような事業を展開しようとしているのか、将来の持続的な事業展開について、このようなIRを通じてきちんと説明し、理解を求めていくことが必要だと考えています。それにあわせて、株主への還元も実施していきたいと考えています。

株主優待制度

荒賀:2025年12月期より株主優待制度を新設しました。本社がある京都府綾部市の特産品を株主優待に盛り込むことで、株主のみなさまに還元し、地域の発展にもつながる取り組みを実施したいと考えています。

2026年12月期からは、500株以上を1年間継続して保有していることが条件で、最低投資額は3月13日の終値で38万500円からとなります。

日東精工の価値創造

荒賀:サステナビリティへの取り組みについてです。

冒頭でお伝えしたとおり、社是「我らの信条」の経営理念は「INPUT(インプット)」「OUTPUT(アウトプット)」「OUTCOME(アウトカム)」です。

日東精工では重要課題(マテリアリティ)として、「お客さまとの共有」「環境共生」「地方創生」「人財育成」の4つを特定し、事業活動を通じて社会課題および環境課題の解決を目指しています。

地方創生の考え方

荒賀:地方創生についての考え方です。当社の設立の背景には、地方の産業振興と雇用創出があり、地方創生活動は会社の核とも言える部分です。

経済産業省からはコネクターハブ企業として、地域産業のハブ機能を担う企業として評価されており、昨年は「日本でいちばん大切にしたい会社大賞」の「地方創生大臣賞」を受賞しました。

また、当社は「グローカル」の考え方を大切にしており、「シンクグローバル、アクトローカル(地球規模で考え、地域で行動する)」という価値観のもと、グローバルな視点を持ちながら、足元からしっかりと行動を起こすことを重視しています。

環境活動

荒賀:環境活動に重点を置いています。先ほどお伝えした中期経営計画の中でも取り組んでいます。また、地域の環境活動も行っており、従業員もボランティアとしてさまざまな地域活動を実践しています。

地方創生・社会貢献活動

荒賀:地方創生・社会貢献活動についてです。綾部市内の2施設でネーミングライツを取得し、運営支援を行っています。

また、「あやべ水源の里トレイルラン」については、2023年の初年度からメインスポンサーとして取り組んでいます。

さらに、「受験生応援ねじプレゼントキャンペーン」については、今年で11年目を迎え、延べ6万人の受験生にねじをプレゼントしています。ねじは緩むと「気が緩む」につながるため、受験生のみなさまに「気を引き締めてがんばっていただきたい」との思いで、ねじをプレゼントしています。

人財育成/ダイバーシティ/健康経営

荒賀:人財育成やダイバーシティなどの取り組みについてです。当社では、独自の人財育成制度を設けています。オリジナルのテキストを社内で作成し、社員が身につけるべき内容を明確にしています。

障がい者雇用に関しては、地元の障がい者の方が働ける環境を整えるために、特例子会社「日東精工SWIMMY」を設立しました。

健康経営や女性活躍推進においても、さまざまな認定を取得しています。特に、昨年度は男性の育児休業取得率が100パーセントとなりました。

まとめ

荒賀:まとめです。当社は、「産業を支える多彩な製品群」を提供しており、締結、組立、検査、分析、医療技術でモノづくりを支える唯一のメーカーです。

また、「歴史と革新」が生み出す技術力として、日東精工は創業から88年の歴史を刻んできました。最先端の医療分野における新素材開発など、世界初の技術で挑戦を続けていきます。

さらに、「地方創生とグローバル展開」を掲げ、人口3万人の町に拠点を置きながら、世界中でビジネス展開している会社です。この3点が日東精工の大きな特徴です。

これからも世界中で認められ、求められる「モノづくりソリューショングループ」を目指します。そのために、今年度から始まる3年間の中期経営計画で収益性の向上を目指します。

また、未来志向の投資戦略と日々の改善を積み重ねることで、さまざまなイノベーションを起こしていきたいと考えています。

連結業績 5ヶ年推移

荒賀:スライドは、連結業績5年間の推移です。昨年は過去最高の売上高を達成しました。営業利益はリーマン・ショック以降の最高益を確保しています。

参考資料として次ページ以降もご覧いただければ幸いです。

以上でご説明を終わります。ありがとうございました。

質疑応答:ねじ市場の現状と今後の成長戦略について

荒井沙織氏(以下、荒井):「主力のファスナー事業について、一般的に、ねじ市場は成熟産業というイメージがあります。御社は精密ねじなどの技術力を強みとされていますが、今後5年から10年で見た時に、このファスナー事業はどの分野や用途で成長していくとお考えでしょうか?」というご質問です。

荒賀:ねじ市場は成熟市場と見られることが多いです。日本にねじが伝わったのは、種子島に鉄砲が伝来した時期からで、多くの製品にねじが使われています。現在の工業製品で、ねじが1本も使われていないものはほとんどないのではないでしょうか。それほど多くの製品にねじが使用されています。

今後について考えると、ねじ以外の部品でモノを組み立てられる技術が生まれるかと言えば、現時点ではねじの優位性を超えるものはないと思います。また、リサイクルが進めば製品を分解する必要が生じますが、その際に工業製品を分解するためにはねじが非常に大きな優位性を持つと考えています。

当社としては、単純な規格品やホームセンター向けのねじは販売していないとお伝えしましたが、高付加価値品や高機能品、そして当社の特許製品を中心にビジネス展開を進めていきたいと考えています。特に、電子化、自動化、高性能化が求められる分野においては成長機会が非常に大きいと見ています。

今後の5年から10年というスパンでは、車載、IT、エレクトロニクスの電子化や自動化、エネルギー関連の分野において、当社の技術力と総合力を活かし、堅調な成長を実現できると考えています。

質疑応答:今後の核となる事業について

荒井:「経営陣として今後10年で会社の成長を最も牽引すると期待されている事業領域はどこでしょうか?」というご質問です。

荒賀:既存事業の高付加価値化への転嫁は当然ですが、海外事業の拡大や、環境領域への戦略的参入もこれから検討していきたいと考えています。

当社がこれまで培ってきた技術力、信頼性、ソリューション提供力を最大化し、海外展開を加速させるとともに、環境ビジネスを新たな収益源として育てていきたいと考えています。

当社はBtoB事業を展開する企業です。お客さまのニーズを確実に捉え、設計段階からお客さまと共に製品を供給する「モノづくりソリューショングループ」として、さらなる進化を目指していきたいと考えています。

質疑応答:PFAS関連製品の顧客層について

Ken:スライド下部に、「スクリーニング分析」と「分解」の記載がありますが、これらの製品を最終的に利用する顧客はどのような企業になりますか?

荒賀:身近なPFAS製品を挙げると、焦げ付きにくいフライパンや防水衣服、産業分野では半導体、電気・電子部品、燃料電池など、あらゆる製品に使用されています。当社のPFAS分析装置は製造ラインに組み込まれるのではなく、前処理工程で使用されるため、環境やエネルギー事業のお客さまに多く採用いただいています。

また、先ほどお伝えした分解装置については、PFASをLEDで分解する装置の開発を立命館大学との共同研究で開始しました。PFASは、熱や化学的攻撃に非常に強いため、「永遠の化学物質」とも呼ばれるほど分解が困難な物質として知られています。

その有害性から世界中で規制が進んでおり、分解技術の確立が急務の課題となっています。当社も早期に開発を進め、社会に貢献できる製品を供給できればと考えています。

Ken:2026年4月から水道における規制が強化されるという話を聞いたことがあります。それに伴い、スクリーニング分析なども4月以降に徐々に売れていくのではないかと思いますが、その点について可能な範囲で教えてください。

荒賀:現在、当社の分析装置を最も多く販売しているのは欧州です。欧州は環境規制が1歩先を進んでいる地域です。日本でも規制が定められれば、それに基づく分析が必要になります。そのため、日本での分析機器の販売には非常に期待を寄せています。

質疑応答:今後の事業構成の変化について

Ken:「事業構成は今後大きく変わっていく構想はありますか?」というご質問です。

荒賀:産機事業を伸ばしていきたいと考えています。ファスナー事業において、ねじやねじ締め機を製造しているメーカーは、当社のみであり、その点が強みです。

この強みを活かし、ねじを知っているからこそねじ締めドライバの開発に活かせる、ねじ締めドライバを作るからこそねじの開発に活かせる、ということで、産機事業を成長させたいと考えています。

質疑応答:今後の本社移転と人財採用について

Ken:「本社を地方に置いている点は御社の特徴の1つだと思います。一方で、人財採用や事業連携の観点では都市部のほうが有利な面もあると思います。本社の所在地については今後も現在の場所にこだわり続ける方針か、それとも柔軟に見直す可能性はあるか、お考えを教えてください」というご質問です。

荒賀:本社においては、企業の創業理念を大切にしながら、引き続き地方から世界へのグローバル展開に挑戦していきたいと考えています。

採用についてですが、都市部より地方のほうが人財が不足する場合もあります。当社では、地域とのさまざまな関わり方を通じて支援を行っています。具体的には、小学校、中学校、高校におけるキャリア教育を実践し、教育のサポートをしています。

このような活動を通じて、小学校、中学校、高校の段階から当社を身近に感じてもらい、地元での認知度を高めています。そして、進学後に地元に戻ってくる人財を育てたいと考えています。

また、地元を大切にするための取り組みとして、奨学金制度を設けています。地元の高校生が大学へ進学する際には奨学金を支給し、さらに、大学進学後に海外留学する際にも奨学金を支給しています。

限られた人財をどのように育成するかについてですが、最近では、高校卒業後に当社に就職した際、希望者には当社が給料を支払いながら進学できる制度を設けています。この制度により、数年間給料を受け取りながら学業に専念していただいています。

また、「綾部工業研修所」という施設は、当社が昭和40年に設立した夜間学校です。電気科コースと機械科コースの2つのコースがあり、当社の従業員以外の方々も午後5時以降に学ぶことができます。

そのような人財育成を通じて、入社後も地域全体の技術力向上を目指しています。このような取り組みでは、当社の従業員が講師となり、指導を行っています。

質疑応答:人財戦略の具体的施策について

Ken:人財戦略について、具体的にどのような施策を行っているか、差し支えない範囲で教えてください。

荒賀:当社はこれまで「働きやすさ」を重視してきましたが、「働きがい」も求められていると認識しています。そのため、インセンティブ制度、早期昇格・早期選抜、エキスパート育成、業績連動評価、女性活躍推進など、さまざまな取り組みを進めています。

従業員の努力やがんばりが組織の成長や企業価値の向上につながるようなインセンティブの仕組みを構築しています。

一般従業員には株式の付与を行い、役職者には業績連動型の株式報酬を導入しています。これにより、「働きがい」を感じてもらい、会社の成長につなげていきたいと考えています。

荒賀氏からのご挨拶

荒賀:日東精工株式会社は京都府綾部市に本社を置き、創業88年の歴史を持つ会社です。今後90年、100年と事業を展開していきたいと考えています。これからの事業展開にぜひご期待いただき、ご注目いただければ幸いです。本日はありがとうございました。

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