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分配金利回りの高さだけで選ばない、J-REIT投資の3つの視点

不動産投資を少額から始められるJ-REIT(上場不動産投資信託)は、2025年に入り堅調に推移し、投資家の注目が高まっています。その最大の魅力は、何といっても分配金利回りの高さです。オフィスや商業施設、物流施設などから得られる賃料収入を原資に、利益の多くを分配に回しやすい仕組みのため、株式よりもインカムを意識して投資しやすく、投資初心者にもおすすめの商品といえます。

ただし、J-REITは不動産の稼ぐ力(用途・立地・賃料水準)と、借入を使った運用(財務の強さ)が分配の安定性を左右します。見た目の利回りに引っ張られず、株とは違う観点で"分配の源泉"を点検することが、J-REIT投資成功の近道になります。

この記事では、まずJ-REITの仕組みを「内部成長」「外部成長」「金利耐性」という3つの軸で整理したうえで、代表的な4銘柄からその利益の源泉をご紹介します。

J-REITの成長を支える「内部成長」と「外部成長」

J-REITは、投資家から集めた資金と借入金で不動産を取得し、賃料収入や売却益を原資に分配金を支払う仕組みで、不動産から生まれるキャッシュフローを「分配金」という形で受け取りやすい点が特徴です。その結果として分配金利回りが高く見えやすい面があります。

分配金押し上げにつながるJ-REITの成長手段には、内部成長と外部成長の2つがあります。内部成長とは「いま持っている物件で、より多く稼ぐ」ことです。稼働率を上げる、賃料改定を進める、リニューアルで競争力を高めるといった取り組みがこれに当たります。

ここで重要なのが、内部成長の伸びしろは一律ではなく、どの不動産(用途・立地)を持っているかで大きく変わる点です。都心オフィスのように需給が引き締まっている局面では賃料改定が追い風になりやすい一方、物流施設のように物件供給が増えている領域では、稼働率や賃料の維持が焦点になりやすいと言えます(いずれも2025年12月時点の市場動向)。つまり、内部成長を見る際は「稼働率」だけでなく、その背景にある用途・立地の需給をセットで捉える必要があります。

一方、外部成長は「物件を買って規模を広げる」動きです。物件の取得を進めれば賃料の土台は厚くなりますが、取得資金のために増資を使う場合、投資口数が増えれば1口当たり利益が薄まる可能性があり、借入コストが上がれば利払いが増えます。したがって外部成長は、「資産が増えたか」ではなく、最終的にDPU(1口当たり分配金)が増える設計になっているかで評価するのが基本です。取得価格の妥当性、入居状況、賃料水準、調達コスト、増資条件といった"設計図"が分配の増減を決めます。

金利上昇に耐えられる財務体質かどうか

そして、避けて通れないのが金利です。J-REITは借入を活用して運用するため、金利上昇は利払い増を通じて分配金の重しになり得ます。また、投資口価格(株価に相当)も低下しやすくなります。ここでは「金利が上がるか」よりも、各投資法人の借入条件が金利上昇に耐えられるかを見極めることが大切です。固定金利比率が高いか、借入の残存年数が分散しているか、LTV(借入比率)に余裕があるか、といった財務面のクッションが効いてきます。

このように、J-REITは「利回りの高さ」が入口になりやすい一方で、判断軸は株式と少し異なります。具体的には、どの不動産(用途・立地)で内部成長が見込めるのか、外部成長はDPUを増やせる設計か、借入条件は金利上昇に耐えられるか、この3点を押さえるだけで、利回りの数字がなぜその水準なのかまで読み解けるようになります

予想分配金利回り4%超、注目の4銘柄

ここからは4銘柄をご紹介します。なお分配金利回りは、各投資法人が公表する予想分配金(直近2期合計)を、2026年1月9日終値で割った概算です。

1.平和不動産リート投資法人(8966)都心オフィス×レジデンスで分配安定

都心のオフィスと住宅を対象に投資する複合型REITです。東京都心5区は空室率の低下と賃料上昇が続いています。こうした環境下では、オフィス賃料の改善が進む可能性があります。一方で、レジデンスはオフィスに比べて景気局面による変動が相対的に小さい傾向があり、ポートフォリオの下支えになると期待できます。予想分配金利回り4.95パーセント。

▶︎平和不動産リート(8966)についてより詳しい最新記事はこちら

2.三菱地所物流リート投資法人(3481)賃料改定プラス7.0%、物流特化型

物流施設特化で、まずは「稼働率と賃料水準を維持できるか」が内部成長の核心です。賃料改定は平均賃料改定変動率でプラス7.0パーセント(第19期)と、既存物件からの上積みが狙える局面です。一方で物流施設は供給が増えると空室が出やすいので、外部成長(取得)は数を増やすよりDPUが増える条件か否かで見るのが大切です。固定金利比率86.7パーセントでも、借換時の調達コスト上昇は注意点。予想分配金利回り4.18パーセント。

▶︎三菱地所物流リート(3481)についてより詳しい最新記事はこちら

3.日本都市ファンド投資法人(8953)商業施設軸の総合型、稼働率高く賃料改定に期待

商業施設を軸に用途分散した総合型REITです。物件稼働率が高い局面であり、テナント入替えや更新・新規の賃料改定がDPUの押し上げに効きやすい状況です。また、総合型REITは投資できる物件用途が広範なため、ポートフォリオを機動的に入替えやすいのも強みです。LTV37.8パーセント、固定金利比率93.0パーセントで金利耐性は比較的高め。予想分配金利回り4.76パーセント。

▶︎日本都市ファンド(8953)についてより詳しい最新記事はこちら

4.産業ファンド投資法人(3249)稼働率99.7%、産業インフラで安定分配

物流・工場・研究開発など「産業インフラ」に投資し、賃料のぶれを抑えやすい物件で安定分配を狙うタイプです。稼働率は99.7パーセントで、賃料改定を丁寧に積み上げる運用がDPUの土台になります。外部成長は、物件保有企業への提案型ソーシングが特徴で、高稼働率と長期契約に貢献しています。LTV50.8パーセントとレバレッジは高めですが、固定金利比率93.9パーセントで金利上昇へのクッションを確保しています。予想分配金利回り5.29パーセント。

▶︎産業ファンド(3249)についてより詳しい最新記事はこちら

3つの視点で分配金の源泉を読み解く

J-REITは「分配金利回りの高さ」だけで選ぶと、金利や物件需給の変化に振り回されるおそれがあります。どの不動産(用途・立地)で内部成長が見込めるのか、外部成長はDPUを増やせる設計か、借入条件は金利上昇に耐えられるか。こうした視点で読み解くと、分配金がなぜその水準なのかが見え、銘柄選びに役立つはずです

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J-REIT4社が登壇する1月24日(土)開催セミナーのタイムテーブル

・11:00~11:05
 オープニング
・11:05~11:55
 ①大気社(1979)
・12:00~12:50
 ②ロゴスHD(205A)
・12:55〜13:45
 ③ナック(9788)
・13:55〜14:15
 ④Ken氏基調講演
・14:55〜15:45
 ⑤J-REIT3社✕ Ken氏によるパネルディスカッション
  平和不動産リート(8966)
  三菱地所物流リート(3481)
  日本都市ファンド(8953)産業ファンド(3249)

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執筆者プロフィール

執筆:西田哲郎
ライター・コンテンツディレクター。投資歴15年。大きな損失を出したことをきっかけにイナゴを卒業、ビジネスモデルとファンダメンタルズ重視の手法に切り替える。業界紙やスタートアップを経てフリーで投資情報メディアやM&A情報サイトの立ち上げに関わり、現在は主に週刊誌で投資や経済関連の記事を執筆。


※記事内容、企業情報は2026年1月8日時点の情報です。
※当記事内容に関連して投資等に関する決定を行う場合は、ご自身の判断で行うものとし、当該判断について当社は一切の責任を負わないものとします。なお、文中に特定の銘柄の投資を推奨するように読み取れる内容がある可能性がございますが、当社および執筆者が投資を推奨するものではありません。

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