logmi Finance
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投資の引き出しを広げたい投資家必見。今回は、株式会社hands代表取締役社長の塩谷航平氏が、株の玄人が読んでも参考になるおすすめの投資本3冊+αを紹介します。普段と違う手法に触れて、自分の投資スタイルをアップデートしたい人におすすめです。(※2025年10月28日公開のYouTube動画「PERAGARU株つらひチャンネル」に基づく内容です)

【おすすめ投資本3選】株玄人が読んでも参考になる本を大公開!

ーー今日は儲かる投資本を教えてほしいです。

塩谷航平氏(以下、塩谷):儲かる投資本ですか。また浅はかなテーマですね(笑)。

ーー浅はかなテーマと言われるかなと思ったのですが、これはあくまで視聴者が喜ぶかなと思ってのことです。視聴者目線を代弁しているだけです。

塩谷:なるほど。では、やりましょう。

ーーお願いします。実際におすすめの本があるのですか?

塩谷:おすすめの本はありますね。3冊、4冊ご紹介します。

イベントに基づいたトレード手法を学ぶ『イベントドリブントレード入門』

書籍データ
『イベントドリブントレード入門 価格変動の要因分析から導く出口戦略』
著者・・・羽根英樹
出版社・・・パンローリング株式会社
発売日・・・2019/2/17

塩谷:まず1冊目が、パンローリング社から出ている『イベントドリブントレード入門』です。

ーーザ・投資本ですよね。

塩谷:ザ・投資本ですね。まず、出版社の話からしていいですか?

ーーいや、出版社の話は……。

塩谷:やります! パンローリング社というのは、たくさん投資本を作ってくれている会社なんですよ。けっこう老舗の出版社で、個人投資家のテスタさんを初期から発見しているなど、フックアップ感がかなりあります。実践的な本や、勝っている個人投資家のやり方を詳細にインタビューした本なども出るので、パンローリング社の本は当たりが多いですね。

ーー「投資本を出しました」という人はよく見ますが、パンローリング社だと期待値が高いのですか?

塩谷:より期待値が高いですね。手に取ろうかなと思います。

僕が運営している「PERAGARU(ペラガル)」というサービスは、日本株の業績を分析するというコンセプトで日々仕事をしています。でも、この『イベントドリブントレード入門』という本は「業績など関係なくイベントでトレードしよう」というのがメインなのです。

ーートランプショックのような時に「トレードしようぜ」という感じですか?

塩谷:極論で言えばそうですね。これは日本株に限ったイベントなので、若干ミクロに寄る話ですが、例えば「この企業が公募増資を発表した時にどのようなアクションをするべきか」などが書かれています。日経225は毎年入れ替わりがあるのですが、その時にどのようなトレードをすると儲かりやすいかなど、わりと統計的に分析しています。

ーー明日から儲かりそうですね。

塩谷:「このようなアイデアがあるんだ」という感じですね。

ーー職業柄「儲かる」とは言いたくないということですか?

塩谷:やはり「儲かる」は「浅はかワード」だと思います(笑)。

この本は本当に概念がおもしろいですね。例えば、どの銘柄が日経225に採用されるのかという話は毎年出ます。「この銘柄が日経平均から外れそうだ」「この銘柄が逆に入りそうだ」と定期的に新聞などで観測記事が出ます。「日経225に採用されるかもしれない」という銘柄群が3つほど出るわけです。

そうすると「日経225に採用されるかもしれない」という期待値で株価が上がったりするのです。日経225に採用されるといろいろなファンドが買いに来ることができます。しかし、この本では採用が期待される銘柄を買うのではなく、空売りをすると儲かりやすかったというようなことなどが紹介されています。とても実務的ですよね。

けっこう統計的にまとまったデータと共に、そのような記載がある印象です。わりと簡単なのですが、いろいろなデータに基づいており、「過去にこのような結果でトレードしたら、このようなパフォーマンスでした」というようなことが書いてあります。

すでに本に書いてあるということは、おそらくそのトレードの優位性はなくなっているのですが、「このような考え方があるんだ」というトレードのメタ認知ができます。いろいろなアイデアがまた出るかもしれないと感じ、すごい勢いで読んでしまいましたね。

ーーとてもおもしろそうです。

塩谷:本当におもしろいです。このYouTubeチャンネルの視聴者はファンダメンタル分析をしている人が多いかもしれないので、逆に頭の体操というか、「このようなアイデアもあるんだ」という感じで読むと非常におもしろいですね。

ーーいくらファンダメンタルがどうだと言っても、イベントのほうが株価は短期的に動いてしまいますよね。

塩谷:公募増資や日経225の採用可否は定期的に起こるイベントのため、取引機会も多いです。それが複利で回っていくと、この本の著者もけっこうなパフォーマンスになっていますね。

ーー著者は個人トレーダーの羽根英樹さんという方です。このハック感がいいですね。

塩谷:そうなんですよ。読んでいて自分も爽快な気持ちになれます。

他の投資家と差別化できる『オルタナティブデータ入門』

書籍データ
『オルタナティブデータ入門―実践事例と法務のポイント』
一般社団法人オルタナティブデータ推進協議会 編
出版社・・・株式会社中央経済社
発売日・・・2024/12/27

塩谷:2冊目は『オルタナティブデータ入門』という本です。

ーー「PERAGARU」が出している本ではないですか?

塩谷:そのような宣伝じみたことをやるわけないじゃないですか(笑)。

ーーやるわけないですね(笑)。どこが出しているのですか?

塩谷:一般社団法人オルタナティブデータ推進協議会です。通称JADAA(ジャダ)と呼ばれるところですね。

ーーそのような協会があるのですね。

塩谷:弊社も加盟しています。実はこの中に私が書いた文章もあります。

ーー宣伝ですね(笑)。そのようなことを抜きにしても、おすすめなのですね。

塩谷:おすすめです。オルタナティブデータは、あまり馴染みのない言葉ではないですか?

ーー「PERAGARU」で初めて聞いた言葉ですね。

塩谷:そうですよね。現在でも機関投資家はこのオルタナティブデータを使って株式投資をしています。ただ、使い方は限られた人しか知らないというか、あまり馴染みがなく解説本も少ないのです。それを体系的に解説してくれたのがこの本です。

中身は複数著者になっており、いろいろなオルタナティブデータを使っている当社のような会社の人たちが、それぞれ「うちの会社はこのように使っています」「このように優位な使い方がありました」と、それぞれの章で解説してくれています。

オルタナティブデータは馴染みがないので、「このようなデータの使い方があるんだ」と参考になります。「PERAGARU」の有料会員でオルタナティブデータを使っている人たちから「使い方がわからない」という質問が来るのですが、この本をけっこうおすすめしています。

ーー本の帯には口コミや気象情報などと書いてありますが、そのような内容を指すわけですよね。それを自分の投資に落とし込めたら、けっこう他と差別化できる気がすると思いました。

塩谷:そうですね、できると思います。まだ個人の投資家でオルタナティブデータを使っている方はあまりいない印象がありますね。「PERAGARU」のプレミアムプランでオルタナティブデータを契約できるのですが、契約者数を見ると、まだそこまで使っている人はいないという印象です。

ーー例えば、歴史に残るマイナス2,000万円という「田端さんのメルカリ空売り事件」がありました。あれはオルタナティブデータを活用すれば防げたのでしょうか?

塩谷:「PERAGARU」のデータを見ていれば、あのようなロットで空売りしなかったかもしれないですよ。テレビCMデータの動向がわかっていたので、「メルカリの利益はこれくらいになりそうだ」などもざっくりとわかっていたはずです。

ーー前回の動画でお話ししていた「広告宣伝費でその月の利益はコントロールできる」ということでしょうか。

塩谷:そうです。まさに、それが事前にわかるということです。「PERAGARU」のオルタナティブデータの「CMデータ」と呼ばれるジャンルです。まさにそのような解説をこの本の中でしています。

ーーおもしろそうです。それも儲かりそうですね。

塩谷:ちょっと浅はかですね(笑)。このような協議会で、いろいろな会社が知力を総集して書いた本は唯一この1冊だけですね。

ーー他の人が注目していない指標ということが、いいと思います。投資はいかにアルファを作るかというゲームじゃないですか。その観点ですごく注目してもいいと思います。

塩谷:そうですね。これもおすすめです。

伝説のファンドマネージャーの思考に触れる『わが投資術』

書籍データ
『わが投資術 市場は誰に微笑むか』
著者・・・清原達郎
出版社・・・講談社
発売日・・・2024/3/1

塩谷:続いて3冊目は講談社の『わが投資術』ですね。清原達郎先生の本です。

ーーこの本は見たことがあります。

塩谷:こちらはおそらく視聴者の方もみなさん読んでいますよね。僕はこの本をもう3回ぐらい読んだのですが、旅行先には絶対持って行きますね。

ーー自然に囲まれながら読んでいるのですか?

塩谷:そうですね。自然に囲まれながら金融市場を考えています。

ーー何をしているんですか(笑)。

塩谷:あまり説明は必要ないと思うのですが、伝説のファンドマネージャーの清原先生が自分の過去の手法を余すことなく書いているというような本です。

ーーちなみに、僕はまだ読めていません。

塩谷:読んでないのですか。それは金融系YouTube制作会社としてはまずいですね。

ーーアクティビスト個人投資家の田端さんにもおすすめいただいたのですが、まだ読めていません。

塩谷:確かに田端さんもおすすめしていましたよね。

ーーでも、買いはしました。

塩谷:積読系ですね。積むだけでもご利益がありそうな本です。

ーーその中でも良かったところなどをご紹介いただきたいです。

塩谷:ちょっとエッセイのような感じはあるのですが、その中でもやはり実践的で今でも使える内容があります。前の動画で話したネットキャッシュはEV(企業価値)を計算する時に重要という話がありましたよね。有価証券とか現金以外の資産は、一般的なEVの式だとネットキャッシュの計算に入らないのです。

ーーそれは違和感がありました。

塩谷:違和感がありますよね。ネットキャッシュは現金から借金を引いたものですが、清原先生は現金には有価証券なども入れたほうがいいという考えです。有価証券は換金すれば現金になります。有価証券をネットキャッシュの概念に入れる時に、評価額から0.5や0.6など、ある程度一定の掛け目をかけたら、それを現金として足してしまおうということです。「清原ネットキャッシュ」のような概念ですね。

ーー「清原ネットキャッシュ」ですか。

塩谷:僕が勝手にそう呼んでいるのですが、実はこの本の中に書かれている「清原ネットキャッシュ」から着想を得て、「PERAGARUネットキャッシュ」を作っています。

ーーそんな必殺技ができたのですか。

塩谷:「PERAGARU」の詳細ページで、銘柄別にネットキャッシュがあります。ネットキャッシュについて、清原先生の概念をもとに、「契約負債や前受金は現金の中に入っているが、本当は引いた方が良いのでは?」といった考え方を加えています。

ーー「前受金などはこの年数分先にもらっている」といったことを計算に入れるということですよね?

塩谷:おっしゃるとおりです。会計の知識が豊富ですね。前受金などは先に現金として入っていますよね。SaaSなどの銘柄は12ヶ月分の料金を先に受け取っており、現金をとても多く持っているように見えるためネットキャッシュ銘柄が多いです。ここから勘定項目に仕訳されている契約負債や前受金を引いたものが、「PERAGARU」がオリジナルで作っている「PERAGARUネットキャッシュ」です。

ーー確かにそのようなものがあると、よりピュアに見られるということですよね。

塩谷:そうなんですよ。よりピュアに、この会社のネットキャッシュがいくらか、EV/EBITDAで見るといくらかといったことがわかります。なるべくピュアにしたいという思いがあって、これを最初にやり始めたのが清原大先生だと思います。

この本はすべての章がおもしろいのですが、僕は特にその部分を食い入るように読んでしまいましたし、このようなネットキャッシュの計算をしたいと思ってオリジナルの「PERAGARUネットキャッシュ」を作りました。

ーー目から鱗だったわけですね。

塩谷:おっしゃるとおり、目から鱗本でした。

【おまけ】ファンドの成功物語『キャピタル 驚異の資産運用会社』

書籍データ
『キャピタル 驚異の資産運用会社』
著者・・・チャールズ・エリス 著、鹿毛雄二 訳
出版社・・・日本経済新聞出版
発売日・・・2015/8/5

塩谷:最後の4冊目はおまけのような感じですが、日本経済新聞出版の『キャピタル 驚異の資産運用会社』という本です。キャピタル・グループというファンド会社があり、今も大量保有報告書とかでたびたび名前が出ます。日本の中小型株にけっこう投資している、稀有な海外系のファンドですね。

ーーキャピタルというのはVC(Venture Capital)のCですよね。

塩谷:おっしゃるとおりです。これがファンド名の由来になってます。かっこよくないですか? この本はキャピタル・グループが設立されてから成功するまでの道のりを小説的にまとめていて、ストーリーがすごくいいんですよ。

この本は株式投資のナレッジがあるとか、読んだら儲かるというものではないのですが、伝説的なファンド会社がどのような経緯で生まれているのかとか、そのようなものを感じられるので、今からファンド会社を始めたいというような人が読むと、かなりテンションが上がると思います。

ーーそんな人はいませんよね(笑)。

塩谷:いないですか!?

ーー投資の実話をまとめた本ということですね。

塩谷:おっしゃるとおりです。ファンド会社の成り立ちなので、どのようにしてお金を集めていったのか、その間でどのような失敗があったのかなど、当時のメンバーへの綿密な取材をもとに小説が書かれていて、とてもおもしろいです。

ーーそれは儲からなさそうですね(笑)。

塩谷:これは儲からないです(笑)。でも、おもしろいです。

まとめ:知らない知識を吸収し、自分の投資手法を広げよう

ーーありがとうございます。とりあえずこれらの本を買っておけば、明日から少しでも儲かることに近づくのではないかとすごく感じられました。

塩谷:いいですね。本は自分が知らない知識を吸収する媒体なので、ふだん自分がやらない手法をまとめた本とか、他の人のトレードの体験記とか、そのようなものがいいと思います。今回紹介した本以外にも、書店に行ったりKindleで本を選んだりする時は、「自分がやっていない手法をまとめた本」というスクリーニングで見ると、いい本に出会えると思います。

ーー今回は「儲かる投資本」というテーマで、3冊の儲かる本と、1冊の儲からない本をご紹介いただきました。次に聞きたいテーマはもう決まっていて、「儲かる投資家の特徴」です。塩谷さんの周りには儲かっている投資家がたくさんいると思うので、僕らが知っている人も知らない人も幅広く「その人たちがなぜ儲かっているのか」を知ることができたら、僕も儲かるのではないかと思います。

塩谷:また浅はかな考え方ですね(笑)。

ーー儲かりたいです。

塩谷:確かに、そのような人の考え方をトレースしたり知ったりするのはいいかもしれないですね。特徴として1つ挙げられるのは「自分をまったく信じていない」などです。

次回は、成功している投資家の考え方や特徴といったテーマでお話ししますので、ぜひよろしくお願いします。

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