アミューズ、「感動だけが、人の心を撃ち抜ける」 47年間の実績を継承しつつ、世界に挑戦する中長期の成長戦略を加速
プロフィール

鈴木啓太氏(以下、鈴木):株式会社アミューズ経営企画部長の鈴木です。本日は、当社の概要や特徴、直近の業績、中期経営計画等についてご説明します。少しでもみなさまに当社への理解を深めていただければと思います。どうぞよろしくお願いします。
はじめに会社概要です。当社は1978年に設立され、今年で創立47年、3年後には創立50周年を迎える企業です。本社は山梨県富士河口湖町、東京オフィスは表参道に構えています。
社員数はグループ全体で約800名、244組のアーティストが所属しています。連結子会社は海外拠点を含めて18社あり、連結での売上規模と総資産はいずれも650億円から700億円という規模のプライム上場企業です。
感動だけが、人の心を撃ち抜ける

鈴木:当社は、「感動だけが、人の心を撃ち抜ける」を企業理念とし、人の一生に残るような感動体験の提供を生業としている企業です。
当社のB/Sにはオフィスや一部の施設が固定資産として計上されていますが、比較的ボリュームは少なめです。我々の事業活動における重要な資産はB/Sに反映されないものが多いことが特徴です。この点については後ほどあらためてご説明します。
所属アーティスト〈ミュージシャン〉

鈴木:当社所属のアーティストについて一部ご紹介します。まずはミュージシャンです。サザンオールスターズや福山雅治を筆頭に、多数のミュージシャンが所属しています。
所属アーティスト〈俳優〉

鈴木:俳優陣についても、スライドに掲載しているのはごく一部のアーティストです。長くキャリアを重ねているアーティストから若手まで、さまざまな年代の俳優たちが所属しています。
所属アーティスト〈スペシャリスト〉

鈴木:近年では、声優、アスリート、アナウンサー、ダンスグループなど、スペシャリスト分野のアーティストも増えています。
沿革

鈴木:沿革です。設立した1978年にサザンオールスターズがデビューし、ミュージシャンを中心とした芸能プロダクションとしてスタートしました。5年目には俳優や文化人といったアーティストのマネージメントへと事業を広げ、さらに映画や番組制作、海外ミュージカルの招聘など、事業領域を徐々に拡大してきました。
2000年代に入る頃は、音楽の聴かれ方がパッケージから配信へ変わる潮目の時期でした。これからの音楽市場は複製ができないライブ体験が中心になると考え、コンサートや舞台の興行に一層注力するようになりました。これが現在の当社の特徴や強みにつながっています。
2001年にNASDAQ JAPAN、2006年には東証一部へ上場し、2008年以降は連結子会社を設立しながら、バリューチェーンの内製化と海外展開を強化してきました。コロナ禍ではイベント開催の規制等により大きな影響を受けましたが、その後は売上水準を戻し、3年後の創立50周年に向けてさらなる成長を目指しています。
アミューズグループ -グループ会社

鈴木:アミューズグループの企業一覧です。親会社であるアミューズは、社内カンパニー制のもと、マネージメントカンパニーを9つ設けています。そのほか、グループ全体にかかるマーケティング本部やコーポレート本部を設置しています。
海外拠点としては、カリフォルニア、ソウル、台北、上海を中心に構成しています。今年からはタイのバンコクにも海外拠点を設置しました。国内のグループ会社に関しては、先ほどお伝えしたバリューチェーンの内製化を中心に事業を展開しています。
アミューズグループ -事業内容①

鈴木:スライドは、グループ全体の機能を図で示したものです。アーティストやコンテンツ/IPをグループ内で360度展開しています。
アミューズグループ -事業内容②

鈴木:当社のセグメントは3つに分かれます。コンサートや舞台のイベント制作、ファンクラブ運営、グッズ制作を主とする「イベント関連事業」、音楽・映像の権利や印税を扱う「音楽・映像事業」、映画、番組、CM出演などを主とする「出演・CM事業」で構成されています。
事業セグメント

鈴木:スライドの図は、売上規模を横軸、利益率を縦軸として各セグメントをプロットしたものです。
イベント関連事業については、売上規模が大きい一方で、利益率は他のセグメントと比べて相対的に低い傾向にあります。コンサートには会場費や制作費などの原価が大きく影響しますが、1回のツアーあたりの動員数は、10万人から大規模なものでは60万人に達するため、利益率は低くても、売上としては非常に大きなボリュームを出せる構造となっています。
また、コンサートを開催することでアーティストを応援してくださるファンの方がさらに増加し、コンサートグッズの購入を通じてトータルの収益が積み上がる仕組みとなっています。
音楽・映像事業については、音楽では楽曲の印税やレーベル事業、映像では映画配給や番組制作、ライブ・ビューイング事業が中心となっています。イベント関連事業ほどの売上規模はないものの利益率は高く、楽曲をリリースするとイベント動員数が増加し、逆にイベント開催によって楽曲が売れるなど、イベント関連事業との関連性が強いセグメントとなっています。
出演・CM事業に関しては、映画や番組、フェス、CMなどへの出演が主な内容です。売上規模は3つのセグメントの中でそれほど大きくはありませんが、利益率は非常に高い事業となっています。当社グループの業績においても、毎年安定的に利益を計上しているセグメントです。
事業セグメント -営業収入構成比

鈴木:2025年3月期の営業収入のセグメント別構成比率です。イベント関連が約6割、音楽・映像が約3割、出演・CMが約1割という構成比になっています。後ほど、当期の足元の業績についてもセグメント別にご説明します。
特徴1.アーティスト

鈴木:当社の4つの特徴をご説明します。1つ目は、所属アーティストの組数と多彩性です。これだけ多くのアーティストが所属する企業は国内でも有数であると思います。ミュージシャン、俳優、モデル、声優、アスリート、文化人、スペシャリストといったすべてのジャンルにおいて、一過性ではない実績を出している点が当社の特徴であると考えています。
特徴1.アーティスト -構成比

鈴木:当社のアーティストをジャンル別に構成したグラフです。ミュージシャンが3割弱、俳優・タレントが約4割、その他のジャンルが約3割と、バランスよく構成されていることがわかると思います。
下のグラフは、所属年数の構成比を示しています。アーティストの長期的な活動を第一に考えるマネージメントが当社の特徴の1つです。所属歴が10年を超えるアーティストが30パーセント超、21年から30年、30年超のアーティストも約50名在籍しています。アーティストと長期的な信頼関係を築きながら、第一線での息の長い活動を実現している点が特徴です。
Ken氏(以下、Ken):アーティストと長期的な信頼関係を構築する上で重要なポイントがあれば教えてください。
鈴木:事業活動を行う上で、企業側としては業績を最優先に考えなければならない場合が多いと思います。しかし、当社のマネージメントの考え方は、あくまでアーティストの人生にとっての最適な判断を視点としています。これが当社の特徴の1つだと考えています。
この考え方を実現できている理由として、先ほどご説明した244組に及ぶ多様なアーティストのポートフォリオが挙げられます。仮にあるアーティストが1年間活動を抑える場合でも、他の所属アーティストで会社全体の業績をカバーできるのが当社の強みだと思っています。
目先の損得のためにアーティストに無理をさせることや、ファンのみなさまを消耗させるような活動は、我々としては絶対に避けねばならないと考えています。むしろ、アーティストが中長期的にどのように成長していけるかを念頭に置いたマネージメントを行うことが、結果的に長期的な信頼関係を築くことにつながっているのではないかと思います。
Ken:長期的に関係性を良好に保ち続けることで、最終的には「ずっといてくれた」と思えるような関係になるということですね。
鈴木:おっしゃるとおりです。
特徴2.360°プロデュース -機能

鈴木:2つ目の特徴は、360度のプロデュース体制です。スライドの図のとおり、中心にアーティストやコンテンツ/IPを据え、マネージャーが全体を統制しています。この中心を取り巻く各ファンクションをグループ内で完結できることが、当社の2つ目の特徴です。
こちらの体制による効果は大きく2つあります。1つ目は、外部委託で発生するマージンをグループ内に取り込むことができる経済性のメリットです。もう1つは、グループ内にファンクションがあることで、当社のマネージメント方針や個別アーティストの活動方針を各スタッフが理解した上で、アーティストを持続的に成長させる目的を共有できることです。
このように、マネージメント、アーティスト、各ファンクションが一体であることが当社の強みであり、これをきちんと最適化することが重要だと考えています。
特徴2.360°プロデュース -多様なスタッフ

鈴木:先ほどアーティストのジャンルの多様性についてご説明しましたが、さまざまなアーティストを360度でプロデュースする体制が、結果として多様な経験を持つマネージャーやスタッフを育み、それがさらにアーティストの多様な活動を可能にする好循環を生み出しています。これも当社の強みとして挙げられるかと思います。
特徴3.ライブイズム

鈴木:3つ目の特徴はライブイズム(=ライブ至上主義)です。当期の年間イベント動員数は約170万人を見込んでいます。アーティストの活動内容によって年度ごとに若干の変動はありますが、コンスタントに150万人から200万人を、所属アーティストのコンサートや当社が主催する舞台公演などで動員しています。
昨今では、所属アーティストのコンサートだけでなく、所属されていない外部アーティストのライブ制作も受託しており、国内外で当社がライブ制作を請け負うビジネスも開始しています。
当社は創業当初より、海外のすばらしい文化を国内に広めるべく積極的に動いています。スライドにも記載していますが、1988年にはオフブロードウェイ・ミュージカル「MAMA, I WANT TO SING」を国内に初めて招聘し、大きな話題を生みました。その後も数々の大型海外作品を日本に招聘しています。
また、ライブを軸としたアーティストの世界展開にも力を入れています。特に、所属アーティストのBABYMETALに関しては、ロンドンのO2アリーナで日本人グループ初となるワンマンライブを実施し、チケットはソールドアウトとなる成功を収めました。他のアーティストについても、積極的に海外でのライブ活動を展開しています。
約4半世紀にわたり「ライブイズム」という言葉を掲げてきましたが、今後の国内外のライブ市場や動向を踏まえても、この知見は当社の大きな武器であり、財産であると考えています。
特徴3.ライブイズム -ライブ・ビューイング事業

鈴木:ライブに関連するトピックとして挙げたいのが、ライブ・ビューイングのビジネスです。ライブ・ビューイングとは、アーティストのコンサートを映画館へ中継し、高品質な映像と音響で他のお客さまと一緒にコンサートを楽しむ体験を提供するビジネスです。大型のコンサートでは、ライブ・ビューイングだけで全国で10万人以上を動員できるポテンシャルを持っています。
当社グループでも、この分野における実績が拡大しています。
今後はライブ・ビューイング事業を日本国内だけでなくアジアへも広げていく計画です。今年4月にはシンガポールに海外法人LIVE VIEWING ENTERTAINMENTを設立し、アジアでのライブ・ビューイング事業の拡大を目指しています。
特徴4.47年間の実績

鈴木:4つ目の特徴として、47年間にわたる企業活動の中で積み重ねてきた実績そのものが、当社の強みであると考えています。
特にファンクラブに関しては、創業初期から外部へ委託せず、必ず自社で運営するこだわりを持ち続けてきました。ファンの方々は、会社にとってもアーティストにとっても、何より大切な存在です。サービスの提供や問い合わせへの対応も、社員が行うというこだわりを持って、これまで取り組んできました。
その結果が、長期的に応援していただける関係性や、強固なファンクラブ会員基盤を築くことにつながっていると自負しています。国内外のパートナー企業のみなさまとも、長期的で家族的な関係性を築くことを重要視してきました。
権利保有楽曲については、当社では47年間で1万7,000曲超となっています。このカタログはB/Sには記載されませんが、非常に重要な資産です。年を重ねるごとに保有楽曲数は積み上がり、毎年安定的なストック収入として右肩上がりに成長している分野です。
先ほども述べたように、海外の作品を日本に招聘し、日本のアーティストや作品を海外に展開するという双方向の取り組みを創業当初から積極的に進めてきた事実が、現在も海外のビジネスパートナーとの取引で大きな信用力につながっていると日々感じています。
Ken:すでに50年近い実績がありますが、競合の事務所と比較して、強みや差別化のポイントがあれば教えてください。
鈴木:まず、創業当初からファンクラブを運営してきたことが当社の大きな強みだと思っています。47年間のファンクラブ運営で蓄積されたノウハウだけでなく、膨大なデータも当社の資産となっています。
現在も当社は「A!-ID」という当社サービス横断の共通IDを運営しており、アーティストの展開や事業を推進する上で、いかにお客さまの嗜好などをデータとして持っているか、その量と質が今後のAI時代のマーケティングにおいて非常に重要であると考えています。この点が他社に対する強みだと自負しています。
加えて、アーティストがすべてのジャンルで一定の実績を持ち、多様なジャンルを展開していることで、スタッフはさまざまなジャンルに対応できるよう成長し、アーティストの活動の選択肢を広げることにもつながっています。
具体的には、例えばミュージシャンが役者として活動すること、またその逆もあるように、それが1社内ですべてできる環境は、アーティストにとって活動のしやすさやワンストップ感の提供になると考えています。
Ken:最近はそのような例が特に増えていますね。多様化が進んでいると感じます。
鈴木:もちろん、1つの分野に専念してキャリアを積み上げているすばらしいアーティストの方々も多く、当社としても深くリスペクトしています。一方で、アミューズには他のジャンルにも挑戦できる環境が整っています。このような環境がアーティストに刺激を与え、創作活動をより発展させるきっかけになると信じています。
2026年3月期中間期業績ハイライト

鈴木:ここからは、足元の業績についてお話しします。2026年3月期中間決算概要です。営業収入は約402億円、営業利益は49億5,500万円、経常利益は49億9,100万円、親会社株主に帰属する中間純利益は32億5,800万円です。前期比プラスが並び、当期中間決算は極めて好調な結果となりました。
2026年3月期中間期業績ハイライト -トピックス

鈴木:主なトピックとして、サザンオールスターズ、星野源、福山雅治、Perfumeによる大型ツアーやドーム公演、ブロードウェイミュージカル『キンキーブーツ』などの大規模公演を当期に実施しました。
イベント関連事業でも特に利益率の高いファンクラブ・商品収入が前期比で約1.5倍となり、業績を大きく牽引しました。音楽・映像事業での新譜・旧譜の印税収入や、連結子会社である極東電視台の番組制作収入が好調で、営業利益以降も大幅な増益で着地しています。
イベント関連事業

鈴木:セグメント別の概況について簡単にご説明します。イベント関連事業に関しては、先ほどお伝えした大型ツアーや舞台公演の開催に伴い、コンサートグッズの売上を中心に増収増益の結果となりました。
増収幅以上に増益幅が非常に大きくなっていますが、要因として、前期は相対的に利益率の低い外部アーティストのライブ制作受託事業が好調だった一方で、当期は利益率の高いグッズやファンクラブによる収入が非常に好調であり、それが増益幅を大きくしたと考えています。
Ken:先ほど、ライブについて、売上は大きいものの利益率は低くなるとお話がありましたが、外部アーティストの場合は、その傾向がより顕著になるということですか?
鈴木:我々としては、所属アーティスト以外のアーティストのライブ制作事業も重要な事業として位置づけていますが、所属アーティストと比較すると、どうしても相対的に利益率が低くなってしまう部分があります。
一方で、所属アーティストのコンサートのみに偏ると、年々の業績変動が非常に大きくなる可能性があります。そのため、外部アーティストの事業にも継続的に取り組むことで業績のボラティリティを抑え、波を小さく、緩やかなものにすることが重要だと考えています。
Ken:確かに、アーティストの活動状況によって、昨年は多くのライブを開催したが今年は減少するというケースもあると思います。外部アーティストの事業にもしっかり取り組むことで、そのボラティリティを抑えることができるというわけですね。
鈴木:おっしゃるとおりです。
イベント関連事業 -動員数の推移

鈴木:こちらのスライドは、2019年度からの当社主催イベントの動員数推移です。上期と下期で色を分けています。ご覧のとおり、当期は濃いオレンジ色が上期を表し、特に上期に偏った動員計画となっています。
年度ごとに上期が多い年もあれば、下期が多い年もありますが、これはアーティストの活動によって変動します。アーティストには制作期間とツアー期間が必ずあるため、我々としては比較的健全な波と考えています。
アーティストのポートフォリオや事業のポートフォリオを拡充し、この波の幅をできる限り緩やかにしていくことも重要だと考えています。引き続き、中長期的な成長戦略の中で解消していきたいと思います。
音楽・映像事業

鈴木:続いて、音楽・映像事業です。こちらは減収増益となっています。前期まで連結子会社であったレーベル事業を手がけるA-Sketchが連結除外となった影響もあり、営業収入は減少しました。
一方で、サザンオールスターズや星野源の新譜アルバムに引っ張られるかたちで旧譜も大きく伸び、印税収入が増加しました。また、極東電視台が番組制作を行う中で、レギュラー番組や特番、大型の「Netflix」作品などの案件を獲得したことが、セグメントの増益につながっています。
音楽・映像事業 -増減益要因

鈴木:前期からの増益要因を示したウォーターフォールチャートです。利益率が比較的高い印税収入と、番組制作の好調により、減益要因が相殺され増益に転じたことがわかると思います。
今後も、堅調に推移しているカタログによるストック収入を安定的に保ちながら、コンテンツの質と量をさらに広げていきたいと考えています。
出演・CM事業

鈴木:出演・CM事業についてです。このセグメントでは特にCM収入が貢献し、増収増益という結果になっています。
出演・CM事業 -CM契約を有するアーティストの組数

鈴木:スライドのグラフは、CM契約を有するアーティストの組数を示しています。当期は、福山雅治、大泉洋、吉高由里子などのアーティストが大型契約を獲得しました。一方で、CM契約を獲得したアーティストの組数は減少しています。
CM契約を獲得できる若手アーティストをさらに増やしていくことが、3年後、5年後の業績を押し上げる大事な要素になると考えています。下期および翌期以降の課題として、継続的に取り組んでいきたいと考えています。
業績予想修正

鈴木:当期の連結業績予想です。期初に発表した業績予想から、第1四半期のイベント関連事業の好調、第2四半期の音楽・映像事業の好調を受け、それぞれ上方修正を発表しました。最新の業績予想では、営業収入が650億円、営業利益および経常利益が43億円、当期純利益が28億円の計画となっています。
業績予想

鈴木:セグメントごとの業績予想です。すべてのセグメントにおいて、前期に比べて増益で着地する見込みとなっています。大型イベントと動員数が上期に非常に偏ったことから、下期だけを見ると全体の損益はマイナスとなる計画です。
ただし、これは構造的な不振ではなく、あくまでアーティスト活動のサイクルによるものであると認識しています。上期にしっかり稼働した分、下期は来期以降のための種まきの期間と捉えています。
投資家のみなさまには、年度によって上期・下期のバランスが変動する当社の事業特性をご理解いただき、ぜひ通期の数字で評価していただきたいと考えています。
配当予想

鈴木:株主還元についてです。当社の業績は年度によって比較的変動性が高いため、現時点では配当性向ではなく、DOE2パーセントを目途とした安定配当を方針としています。当期の配当予想については、中間配当20円、期末配当20円、年間で40円の普通配当を予定しています。
株主優待

鈴木:当期より株主優待を一部変更し、当社の株式をより多く保有いただき、当社を応援していただける株主さま向けに株主優待を拡充しました。
100株以上300株未満を保有の株主さまには、定期優待として複数の優待品の中からいずれか1つを選んでいただき、進呈しています。さらに当期から、300株以上を保有の株主さまには、先ほどの優待品に加え、当社の各種サービスでご利用いただける「A!-POINT」5,000ポイントを進呈するとともに、不定期で特別優待を実施しています。当期の特別優待としては、当社や当社アーティストが出演・制作に携わる舞台へのご招待や、ライブ・ビューイングをご覧いただけるムビチケ前売券の進呈をご希望の方へ行っています。
市場動向 -エンターテインメント&メディア業界市場

鈴木:当社の中期経営計画について簡単にご説明します。前提となる市場動向については、スライドのとおり、世界のエンターテインメント&メディア業界の収益は右肩上がりになる見込みです。
市場動向 -ライブエンターテイメント市場

鈴木:中でも、ライブエンターテインメント市場の年平均成長率は5.9パーセントで、2030年にはスライドに示した水準まで世界的に成長する見込みです。
市場動向 -定額制動画配信市場

鈴木:動画配信についても、OTTサービスの発展・拡充を背景に、引き続き堅調に成長する見込みです。これが前提となる市場の動向です。
中期経営計画の概要 -3つの重点施策

鈴木:そのような状況の中で、当社はスライドに示した3つの柱を注力分野とし、さらなる企業価値の向上を目指すべく、2023年に中期経営計画を発表しました。
「あらゆる才能とともに、世界に挑戦するプロデュースハウスへ」を理念に、世界を見据えた「アーティスト」の発掘・プロデュース強化、世界と日本を繋ぐ「オリジナルコンテンツ」の創造、世界に展開できる「最先端サービス・ソリューション」の開発を通じて、過去最高売上の達成と利益率の向上を目指していきたいと考えています。
中期経営計画の概要 -KGI

鈴木:具体的な数字として、営業収入650億円、営業利益50億円を指標としています。スライドのグラフに示しているとおり、営業収入は前期が680億円、当期予想も650億円と、計画を前倒しで達成しています。
一方で、営業利益に関しては、当期の着地予想が43億円で、残りの2年間でこの利益水準をどのように引き上げるかが課題だと考えています。
営業収入に関しては、前期はライブ制作の受託事業が非常に好調だったとお伝えしました。当期についても、例年には稀な大規模ツアーが集中した結果となっているため、この目標水準を毎年安定的に達成できるような事業基盤の構築が、本質的な課題であると認識しています。
Ken:今のお話を受けて、売上の質を向上させて営業利益50億円を達成するというのが2年後のイメージでしょうか?
鈴木:もちろん売上の質を改善することは非常に重要ですが、中期経営計画を策定した当初とは異なる好ましい変化として、番組制作やライブ制作の外部受託事業が非常に好調です。その結果、売上は大きく伸びているものの、相対的に利益率の低いビジネスであるために50億円の営業利益水準にはまだ届いていないのが現状です。
ただし、代わりにライブ制作の外部受託事業を抑制していくことは考えていません。現時点ですでに売上目標を達成していますが、さらに高い水準を目指しつつ、営業利益50億円という利益水準を安定的に出せる基盤をどのように構築するかが課題だと考えています。
Ken:売上と利益だけを見れば、売上は計画どおりでも利益が50億円に届いていないという印象を受けますが、外部受託事業などが想定以上に伸びていることで、利益もある程度ついてきているという認識でよろしいでしょうか?
鈴木:そのとおりです。目標までのギャップについては、他のビジネスでいかに埋めていくかがポイントになると思います。この後ご説明するコンテンツ/IPビジネスやファンソリューションビジネス、所属アーティストの新しいヒット作等を通じて目標達成を目指していきたいと考えています。
中期経営計画の概要 -キャピタルアロケーション

鈴木:当社が計画しているキャピタルアロケーションについてです。最優先するのはスライド最上段の事業投資です。アーティスト、映像作品、テクノロジー、サービス、システムなどへの投資に加え、グループ機能を強化するためのM&A投資も計画しています。
設備投資には50億円を予定しています。これはアーティストや社員のクリエイティブ環境を整えるための投資です。東京オフィスの表参道への移転や、オフィス内にレッスンスタジオを設けるなど一定の投資は行っていますが、当社の最も重要な資産はアーティスト、社員、人であると考えています。そのため、費用対効果をしっかりと検証しながら、効果的な設備投資を行っていきたいと考えています。
株主還元については、現状の方針であるDOE2パーセントを基準に、5年間のキャピタルアロケーションを算出しています。営業キャッシュフローの状況、経営環境、事業環境、運転資金などを総合的に考慮し、自社株買いを含め機動的に検討していきたいと考えています。
Ken:足元では株価がある程度回復してきていると思いますが、依然としてPBRが1倍を割っている状態です。この点について社内ではどのように捉え、どのような議論や提示が行われているのでしょうか?
鈴木:PBR1倍割れについては、投資家のみなさまから成長に対する期待が十分得られていないと考え、真摯に受け止めています。当社の資本コストは約8パーセントであり、まずはROEを8パーセントの水準まで引き上げることを1つの目標としています。
自社株買いについては、スライドに記載のとおり、財務的なアプローチを機動的に検討しています。ただし、利益成長によるROE水準の向上が本質であると考えています。本日ご説明した成長戦略を着実に加速させるとともに、どのように実現するか日々社内で議論を重ねています。
Ken:直近では、このような説明会などを通じてIR活動に変化が感じられる部分があります。そのあたりの背景について教えてください。
鈴木:当社所属のアーティストは、みなさまのおかげで非常に活躍しています。アーティスト単位での認知度は社会的に高い一方で、当社グループの事業内容や今後の展開については、IR活動が十分とは言えない部分もあり、まだ認知されていないと常日頃感じています。
当社は中期経営計画を発表し、創立50周年に向けて取り組む中で、これまでの事業を継承しながらも、新たな道をどのように作り上げていくのかについて、みなさまにお伝えする場をぜひ設けたいと考えました。初めての機会で少し緊張していますが、今回はチャレンジの意味でお時間をいただいています。
世界を見据えた「アーティスト」の発掘・プロデュース強化

鈴木:中期経営計画の進捗についてご説明します。まず、所属アーティストの海外公演に関しては、BABYMETALを中心に、各アーティストが積極的に海外でのコンサートを展開しています。海外事業の営業収入は前期に比べて37パーセント成長し、全体の営業収入の約1割を構成しています。
また、当社のアーティストのポートフォリオをさらに拡充すべく、近年取り組んでいるのがスライド右側に記載しているインバウンドマネージメントです。これは海外の事務所と提携し、海外アーティストの日本国内での活動を当社がマネージメントとして請け負うモデルです。
すでに韓国のIVEやCRAVITYの国内マネージメントを受託していましたが、新たにBIGBANGのメンバーの1人であるD-LITEのマネージメントも開始しました。当期においては、これら海外アーティストによるアリーナクラスのライブで約16万人を動員しています。
日本の音楽マーケットについては、海外のアーティストにとって非常に魅力的な市場と捉えられています。当社はライブ制作からファンクラブ運営、グッズ制作までワンストップで提供できることから、非常に競争優位性のある分野だと考えています。今後は韓国アーティストに限らず、さまざまなアジアのアーティストを中心に事業を拡大したいと考えています。
世界と日本を繋ぐ「オリジナルコンテンツ」の創造

鈴木:オリジナルコンテンツに関しては、昨年設立した子会社アミューズクリエイティブスタジオを中心に、魅力ある映画作品、アニメ作品、コンテンツ/IPの開発を行っています。
スライド左側では、当社所属アーティストの吉沢亮が主演を務める映画『国宝』を紹介しています。『国宝』は歴代邦画実写首位の大ヒットを記録しています。右側のIP開発に関しては、来年1月からアミューズクリエイティブスタジオ初のアニメ作品『火喰鳥』が放映されます。さらに、bilibiliとの共同企画・プロデュースによる『エレキシード』の2026年のアニメ化と全世界配信が決定しています。
コミックを中心にIP開発を進めていますが、計画どおり順調に進み、着実にかたちになり始めています。今後も引き続きオリジナルIPを作り、アニメや映像で世界中に届けることに注力していきたいと考えています。
世界に展開できる「最先端サービス・ソリューション」の開発

鈴木:最後に、最先端サービス・ソリューションについてです。連結子会社Kultureが展開しているサービス「KLEW」のローンチから1年を迎えます。簡単にどのようなサービスかご説明します。
お客さまがライブを見るために購入したチケットをAI認証することで、該当公演に参加するファンの方々だけでコミュニケーションを取れるプラットフォームを提供しています。出演アーティストからメッセージを送ることもできます。
ライブは本番がクライマックスであることは間違いありませんが、ライブを迎えるまでの時間、当日のことを考えてわくわくしたり、ファン同士で「楽しみだね」とコミュニケーションを取ったり、ライブ終了後に「いいライブだったね」と気持ちを共有することで、ライブ本番の体験価値がより高まると考えています。
アーティストに向けても、参加しているファンから直接メッセージを送れる「スーパーチャット」が可能なサービスとなっています。
このAI認証技術については特許を取得しています。今後はアーティストのコンサートだけでなく、ミュージカル、スポーツ、映画などにも転用できるサービスとして、さまざまな場面でお使いいただけるように拡大を図りたいと思います。
あらゆる才能とともに、世界に挑戦するプロデュースハウスへ。

鈴木:以上で説明を終わります。今後も企業価値の向上のため、当社グループは邁進していきます。当社の理念やビジネス内容に共感いただける方は、ぜひご支援をお願いします。ありがとうございました。
質疑応答:事業ポートフォリオとアーティスト育成について
荒井沙織氏(以下、荒井):「所属タレントの人気変動による収益のぶれを抑えるとのことですが、人気変動だけに限らず、先ほどお話いただいたように、アーティストのサイクルによる変動ももちろんあるかと思います。その点に関して、事業ポートフォリオやアーティストの育成戦略をどのように強化していますか?」というご質問です。
鈴木:事業ポートフォリオの部分については、所属アーティストに加えて外部アーティストとのパートナーシップの部分が重要です。外部アーティストは、所属アーティストの稼働の変動によるぶれを抑えるための重要な要素だと考えています。
併せて、ヒットを継続的に生み出すためには、新しいアーティストの育成・発掘が非常に重要です。現在当社では新人開発に力を入れており、当期上期だけでも3つのオーディションを開催しています。
荒井:多いですよね。
鈴木:当社は昨年からカンパニー制を導入し、社内に9つのマネージメントカンパニーを設けています。それぞれ分野や特色のあるユニークな9つのカンパニーです。
荒井:例としていくつか教えていただけますか?
鈴木:例えば、音楽を中心にマネージメントを行っているカンパニーもあれば、音楽と役者が混在しているカンパニーもあります。それぞれのカンパニーでは、レコード会社のレーベルのように独自の色やキャラクターを持ち、カンパニーが求めるアーティスト像から逆算したオーディション企画を、各カンパニーが自主的に開催する動きが広がっています。
そこで発掘して契約した新人アーティストも数多くいます。今後の活躍に期待するとともに、着実にヒットを生み出していきたいと思っています。
荒井:オーディションで迎え入れた人材は、どのくらい育成して羽ばたかせるものなのでしょうか?
鈴木:契約してから3年後の方もいれば、契約後半年で表舞台に立っている方もいますので、表に出るタイミングはケースバイケースかと思います。
質疑応答:新たな収益ポイントの展望について
荒井:「現在、大きな収益の柱になっている、ライブ、配信、グッズ以外の新たな収益ポイントの開発は検討されていますか?」というご質問です。
鈴木:ライブ・ビューイング事業は非常に大きなポイントだと考えています。現時点でも業績の中での存在感はかなり高まっています。これが日本国内にとどまらずアジアにまで拡大すると、規模は5倍、10倍にも膨れ上がる可能性がありますので、ぜひご期待いただきたいポイントです。
また、先ほどご説明した「KLEW」については、現在は外部のアーティストを中心に37組を取り扱っていますが、一定の認知が広まれば、音楽に限らずさまざまな分野で利用できるサービスだと思っています。これが成長してくれば、事業全体のポートフォリオが複数の柱にまたがって形成されると考えています。
荒井:「KLEW」はとても楽しそうだと感じましたが、これはファン同士でコミュニティを作っていくようなイメージなのでしょうか?
鈴木:ファンクラブ単位ではなく、「この日に同じ公演を見ていた」というコミュニティです。
荒井:公演後にカフェなどで繰り広げられているような、「よかったね」という会話が、このコミュニティ内で展開されるイメージですね?
鈴木:そのとおりです。同じ公演を観た仲間によるコミュニティです。
質疑応答:顧客単価を高める施策について
Ken:「『Amuse+』など顧客1人当たりの単価を高めるために、物販やEC、デジタルコンテンツとどのように連携させていくのでしょうか?」というご質問です。
鈴木:おっしゃるとおり、現在当社が提供するサービスは、デジタルファンサービス「Amuse+」やEコマース「A!SMART」、各アーティストの個別ファンクラブなど多岐にわたっています。
一方で、良くも悪くもそれぞれのサービスが独立して運営されているため、お客さまにとっては、利用するサービスごとに別のサイトへアクセスしなければならない状況が生じています。お客さまのUI/UXを意識したサービス展開は、今後の継続的な課題だと認識しています。
質疑応答:海外売上の収益比率について
Ken:「海外売上について、前年同期比でプラス37パーセント成長されています。中期経営計画において、海外事業が全体の収益に占める比率をどの水準まで高めたいと考えていますか?」というご質問です。
ボラティリティも多少あるため難しいと思いますが、目安のようなものがあれば教えてください。
鈴木:計画を策定した当初は全体の10パーセントと考えていました。したがって、当期は上期だけを見ると約9パーセントと目標に非常に近い水準になっていると思います。やはりこれはBABYMETALの全世界ツアーや、大型公演が海外で行われた結果だと思っています。
当社の事業の特性上、単年だけ目標を達成できたらそれで良いというわけではなく、毎年安定的かつ継続的に目標を達成できる状態をいかに作るかがポイントだと思います。
Ken:IVEの国内マネージメントについてお話があったと思いますが、国内の売上として計上されるのですか?
鈴木:あくまで国内の興行であるため、海外売上には計上していません。
質疑応答:下期の投資計画について
Ken:下期について、大きな投資の予定などはあるのでしょうか? 例えば御社の場合、投資自体あまり多くないかもしれませんが、費用がかかるような特殊要因があればお聞きしたいと思います。
荒井:それに関連して、「今後5年間の投資計画にM&Aとありますが、例えばテック開発力、アニメ制作など、どの機能に注力していこうと考えていらっしゃいますか?」という事前質問もいただいています。これは大きな投資と言えるのではないかと思いますが、いかがでしょうか?
鈴木:現時点で具体的にご説明できる案件は特にありません。これまでのM&Aの実績としては、システム開発会社の未来ボックスや、先ほどご説明した映像制作の極東電視台との株式譲渡を通じて、同じグループ会社に加わっていただきました。これが過去2年間ほどの流れです。
そのほか、スタートアップ企業への投資も行っています。当社事業とのシナジー創出を前提に、アニメ、AI、テクノロジー関連企業に対するスタートアップ投資として、マイノリティ出資ではありますが、積極的に行っています。
今後も、グループ全体の機能を高めることに資する企業と出会える機会があれば、出資額の規模にかかわらず積極的に取り組んでいきたいと考えています。当期中に予定している投資について言えば、P/Lに直結するような大きな投資は、現時点では考えづらいかもしれません。
お知らせ

鈴木:2026年2月に個人投資家向けの説明会をアミューズ東京オフィスで行います。取締役副会長の柏木と私が登壇する予定で、現場スタッフからの声もお届けできる場にしたいと考えています。
ぜひ、対面でも対話できればと思っていますので、本日の説明で少しでも興味を持っていただけた方は、スライドのQRコードからお申し込みください。本日はお時間をいただき、ありがとうございました。
当日に寄せられたその他の質問と回答
当日に寄せられた質問について、時間の関係で取り上げることができなかったものを、後日登壇者に回答いただきましたのでご紹介します。
<質問1>
質問:2019年度よりDOE2パーセントを目処とされていますが、今後引き上げの検討を行う予定はありますか?
回答:配当方針を含む株主還元につきましては、キャピタルアロケーションの見直しの中で検討していきます。
<質問2>
質問:下半期は赤字予想となっていますが、保守的すぎるのではないかと思います。収益よりも費用が多い特殊要因があるのでしょうか?
回答:特殊要因は想定していません。当期は大規模公演の開催が上期に集中したため、下期は固定費を賄う水準の営業収入に達せず、損益はマイナスとなる計画です。
<質問3>
質問:株主総会は本店所在地で行うケースが多いかと思いますが、東京で行っている理由をお聞かせ下さい。
回答:2025年「第47期定時株主総会」においては、株主のみなさまの利便性を考慮し、交通アクセスや会場の選択肢が多い東京での開催としました。なお、開催地については、今後も状況を踏まえ検討していきます。
<質問4>
質問:人件費や機材輸送費などのコストが高騰していると聞きますが、利益率を維持・向上させるための具体的な対策はどのように進めていますか?
回答:事業運営と管理機能の双方においてコストコントロールを進めるとともに、イベント関連事業におけるチケット価格の見直しや、ライブ・ビューイング、配信、映像商品化などを通じた一公演あたりの収益機会の多様化に取り組んでいます。
<質問5>
質問:生成AIの活用について、所属アーティストやクリエイターの価値をどう守り、どう拡張していく方針ですか? 社内ルールや知財戦略の考え方を教えてください。
回答:テクノロジーが進化しても、モノづくりの中心にあるのは人であり、AIは人の創造性を拡張する有効なツールであると当社は考えています。当社ではアニメ生成AIサービスのスタートアップへの投資も行っていますが、創作の主体はあくまでも常にアーティストやクリエイターであるという考えのもと、制作効率の向上や新たな表現機会の創出につなげていきます。
<質問6>
質問:資料では「上期に大型公演が集中し、下期は一時的に損益がマイナスとなる見込み」との記載がありましたが、中期的には年間を通じた収益の安定化をどのように実現していく考えでしょうか?
回答:事業特性上、四半期ごとの業績変動を完全に解消することは難しいものの、成長戦略にもとづくアーティストおよび事業ポートフォリオの拡充を通じて、収益の安定化を図っていきたいと考えています。
<質問7>
質問:中期経営計画の現時点での進捗状況と、今後さらに利益率を向上させるための具体的な施策について教えてください。特に、グループ内でのIP企画・制作体制の強化がどの程度利益率改善に寄与する見込みかをお聞かせください。
回答:中期経営計画の進捗につきましてはセミナーでお示ししたとおり、営業収入は前倒しで計画を達成している一方、営業利益については依然としてギャップがある状況です。これは、中計策定時の想定以上に相対的に利益率の低い事業が好調に推移していることによるものであり、成長の過程における構造的な要因と捉えています。今後は、成長戦略の推進を通じて、利益率の向上とともに利益額の拡大を図っていきます。
また、IP開発事業につきましては、個別の数値目標を開示してはいませんが、二次展開やアーティストとのシナジー創出を通じて収益性の向上に寄与するものと考えています。
<質問8>
質問:東京証券取引所が要請しているPBR1倍割れへの対策として、現状の株価水準をどう評価されていますか? また、株価を上げるために自社株買いや配当性向の引き上げなど、より積極的な資本政策を行う考えはありますか?
回答:現状の株価水準については、当社の中長期的な成長可能性が市場から十分に評価されていない状況にあると認識しており、真摯に受け止めています。PBR1倍割れへの対応としては、まずは成長戦略の着実な推進による利益成長を最優先に取り組んでいきます。
加えて、自社株買いや配当などの株主還元を含むキャピタルアロケーションの在り方についても、現在社内で検討を進めており、今後、中期経営計画のバージョンアップの中で方向性をお示ししていく考えです。
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