【QAあり】ispace、Mission 3・4でペイロードサービス契約を拡大 今期以降の計上見込額は549億円へ
CEOメッセージ

袴田武史氏(以下、袴田):みなさま、こんにちは。代表取締役CEOの袴田です。
当社は、10月末に東京日本橋で開催された「NIHONBASHI SPACE WEEK 2025」に参加しました。「NIHONBASHI SPACE WEEK 2025」は10ヶ国以上が参加し、100社以上の団体が集結するアジア最大級の宇宙ビジネスイベントです。
開催地である日本橋は、JAXAや宇宙関連のスタートアップ企業が集まる宇宙ビジネス拠点であり、当社のMission 1およびMission 2も、日本橋のミッションコントロールセンター(管制室)からランダー(月着陸船)とのデータの送受信を行っていました。
今回の「NIHONBASHI SPACE WEEK 2025」では、登壇や展示ブースの出展を通じて、国内外の政府、宇宙機関、アカデミア、民間企業などのみなさまとネットワーキングや対話を深めることができました。
年々、本イベントの盛り上がりが加速していることを実感しています。画面越しではありますが、この盛況ぶりを少しでもお伝えできていれば幸いです。
10年で1兆円規模の支援を行う宇宙戦略基金は、宇宙産業にとって大きな追い風となっており、昨年度は3,000億円、今年度も3,000億円規模の支援が見込まれています。来年度以降も、政府支援を受けた日本の宇宙産業は急速に拡大すると見込んでいます。
足元では、高市新政権が始動しました。高市首相はこれまで、宇宙や経済安全保障の重要性について繰り返し言及しており、当社の事業環境も引き続き強い追い風を受けることが期待されます。
エグゼクティブサマリ

そうした事業環境の追い風も受け、直近ではMission 3およびMission 4における新たなペイロード(荷物)契約を獲得しました。
直近の営業進捗や各ミッションの開発進捗、さらに新たに開発を検討すると発表した「OTV」(Orbital Transfer Vehicle:軌道間輸送機)について、第2四半期のアップデートを取締役CFO兼事業統括エグゼクティブの野﨑よりご説明します。
2026年3月期Q2決算説明資料

野﨑順平氏(以下、野﨑):みなさま、こんにちは。取締役CFO兼事業統括エグゼクティブの野﨑です。本日は、当社第2四半期の決算説明をご覧いただき、誠にありがとうございます。当四半期の事業ハイライトとして、各ミッションの状況をアップデートします。
ミッション2からの改善点

まずは、Mission 2についてです。6月6日の月面着陸失敗の直後、当社は迅速に技術的要因の分析を行い、Mission 2の着陸失敗の原因がレーザーレンジファインダー(LRF)と呼ばれる高度を測定するセンサにあることを特定しました。
このセンサについては、すでに変更を決定しており、過去に月面ミッションで安定的な運用実績を有するセンサに切り替える予定です。また、調達契約もすでに完了しています。さらに、高度測定のバックアップとして、画像航法と呼ばれるセンサを追加で搭載することも確定しています。
また、当社独自の改善策に加え、外部有識者を巻き込んだより広範な強化策である「改善タスクフォース」とJAXAからの技術支援の拡張についても、順調に進捗しています。
「改善タスクフォース」については、前回の第1四半期決算時にお伝えした共同議長の下、外部メンバーも参画し、これまでに計4回の会合を開催しました。
外部メンバーには、JAXAのスペース・エンジニアリングの専門家や誘導制御技術を専門とするNASAの専門家、さらに当社の社外取締役であり元IHIエアロスペース社長である牧野隆氏が含まれる構成となっています。
また、JAXAからの技術支援拡張についても進捗は順調です。これには、JAXAおよび宇宙科学研究所(ISAS)のSLIMプロジェクトに関与したメンバーが参画し、順調に進捗しています。
「改善タスクフォース」での議論内容については、成果に一定の目途がつくことを確認した上で、今期第4四半期を目途に報告会を実施することを目指しています。詳細が確定次第、みなさまにご案内します。
ミッション3の概要

Mission 3についてです。営業面で大きな進捗がありました。新たに、月面でのヘリウム3同位体の商業化を目指す米国のMagna Petra社と、32億円のペイロードサービス契約を締結しました。これにより、Mission 3の契約総額は95億円から127億円に増加しました。
ミッション3の進捗 – 営業

スライド左側の写真にある月面のヘリウム3などを観測する質量分析計を、当社欧州法人が開発する小型月面探査ローバー(月面探査車)で輸送する予定です。
ヘリウム3は、量子コンピュータの冷却技術や核融合反応を利用したエネルギー源として重要な役割を果たすことが期待される画期的な資源ですが、地球上にはごくわずかしか存在していません。
その価値は1グラム当たり2,200万円以上とも言われており、米国エネルギー省が民間事業者により将来的に採掘されるヘリウム3の購入に同意した事例もあります。そのヘリウム3が月面には約100万トンも存在すると推定されています。
同社は、当社との協業を通じてヘリウム3のサンプルリターン機能を含む持続可能なサプライチェーンの確立を目指しており、当社としても世界的な注目を集める月のヘリウム3資源の商業化に向け、本ペイロード輸送を通じて貢献することを目指します。
ミッション3の進捗 – 開発

開発面では、米国宇宙業界を代表する外部有識者が集まり、当社のミッションや技術課題のレビューを行う会議体「スタンディング・レビュー・ボード」を新たに設立しました。Mission 3の成功に向けて、技術クオリティの向上に努めていきます。
ミッション4の概要

Mission 4についてです。こちらも営業面での進捗があり、現時点でMission 4のペイロード契約総額は58億円となっています。
ミッション4の進捗 – 営業

従前より発表していました宇宙戦略基金第1期の支援対象である東京科学大学のペイロードについて、これまでの適時開示等では当社受領金額が今後確定予定であるとお伝えしていました。
このたび、東京科学大学との業務委託契約の締結が完了したことに伴い、プロジェクト全体を通じて当社が受領する金額は最大47億円になる見込みです。
ミッション4の進捗 – 営業

直近のアップデートとして、公募に応札していた台湾国家宇宙センター(TASA)の案件において、当社が採択され、11億円のペイロードサービス契約を締結しました。
Mission 2では、台湾中央大学のペイロードを輸送するなど、これまで台湾の産学官との間で、月ミッションにおける多面的な連携を推進してきました。本件は、それに続く台湾と当社の強固な連携を象徴するものです。
引き続き、さらなる顧客獲得に向け、積極的な営業活動に注力していきます。
ミッション4の進捗 – 開発

開発面では、「Series 3ランダー」の熱構造モデルを使用した熱真空試験が完了し、今後予定されているPDR(Preliminary Design Review:基本設計審査会)に向けて順調に進捗しています。
今後も、来期の構造認定試験モデルの製造など、さらなる事前検証を重ねながら、2027年のフライトモデルの製造、そして2028年初めの打上げに向かう予定です。
熱構造モデルは、つくば市にあるJAXAの施設で組立と試験を行っていますが、今回、お取引先や政府関係者、金融機関、メディアの方々を対象にした見学会も実施しました。約200名の方に熱構造モデルの実物をご覧いただきました。
「Series 3ランダー」は、経済産業省のSBIR制度(Small Business Innovation Research 制度:中小企業技術革新制度)による120億円の補助金をもとに開発を進めています。見学会には経済産業省の方にもお越しいただき、強い政府からのご支援のメッセージをいただきました。
また、11月8日に開催された「JAXA筑波宇宙センター特別公開」イベントでは、2,000人を超える一般来場者に熱構造モデルの一部をご覧いただき、多くの応援の言葉をいただきました。ありがとうございました。
見学会の様子や熱真空試験の詳細については、YouTube動画でもご覧いただけます。当社IRサイトでは11月9日に開示したお知らせをご参照いただけると幸いです。
将来ミッションの進捗 – 獲得蓋然性が相応に高い案件

将来ミッションの進捗についてご説明します。当社は日本において、宇宙戦略基金第2期のテーマの1つである「月極域の高精度着陸技術」における支援上限額200億円の補助対象事業への応札を行っており、この採択発表の確定時期は本年年末から翌年1月となっています。採択が確定した場合、こちらは当社のMission 6として位置付けられる予定です。
さらに、欧州においてはESA(欧州宇宙機関)と共同で小型月面探査ローバーの開発を進め、それを月に輸送する「MAGPIE」と呼ばれるプロジェクトが段階的に進行中です。最終的には同じくMission 6の売上として、総額70億円規模の契約を目指しています。
今後のMission 6の発表にぜひご期待ください。
将来ミッションの進捗 – 軌道間輸送機(OTV)

今般、新たなビジネスラインナップへの参入検討について発表しました。当社はこれまでの2つのミッションにおいて、月周回軌道まで到達する技術をすでに実証しています。具体的には、ハードウェア設計、軌道設計能力、姿勢制御、速度制御などの技術の実証に成功しています。
これらの確立済み技術を活用し、主に地球から月や火星などの周回軌道までの輸送を担う軌道間輸送機、通称「OTV」の開発検討を開始しました。
月の周回軌道には、どのような輸送ニーズがあるのでしょうか。現在、地球周回では約2万基もの衛星が飛び交っている一方で、月には6基の衛星しか存在していません。今後、月周回においては通信や測位、SSA(宇宙状況把握)のニーズに対応するため、少なくとも200基以上の月周回衛星が必要となる可能性があると当社は考えています。
当社は、「OTV」の開発によって、一度に1トン以上のペイロードを月周回軌道まで効率的に輸送するサービスを提供し、当社の成長ドライバーの1つとすることを目指します。
将来ミッションの進捗 – 軌道間輸送機(OTV)

当社は、支援上限額300億円の宇宙戦略基金第2期における「空間自在移動の実現に向けた技術」というテーマに応札しています。また、イタリアのTelespazio社とは、約2から3トンの大型衛星を月周回軌道へ輸送するための基本合意書を締結しました。
将来ミッションの進捗 – 日本

10月22日に、トヨタ自動車社との間で次世代小型ローバーの開発支援契約を締結したことを発表しました。
当社は、欧州法人を中心に長年にわたりマイクロローバー(小型月面探査車)の開発実績を有しており、将来的な月面経済圏の拡大を見据え、次世代小型ローバーとして、さらなる高機能化や大型化を計画しています。
一方で、トヨタ自動車社はみなさまご存じのとおり、JAXAと共同で宇宙飛行士が実際に滞在可能な有人与圧ローバー、通称「ルナクルーザー」の研究開発に取り組んでいます。
今回の契約締結により、当社はトヨタ自動車社から次世代小型ローバーの開発において、最適なシステム設計に向けた品質向上の支援をいただく予定です。また、当社からはMission 3以降で取得予定の月面データをトヨタ自動車社へ提供し、同社のスペースモビリティ開発に貢献していきます。
ミッション計画

スライドは、ここまでご説明しましたランダーや「OTV」を含む、当社の最新ミッション計画です。現在は、赤色で表示している、2つの大型ランダーの初号機を開発する「商業化初期フェーズ」の段階にあります。
今後はMission 5やMission 6の検討開始に伴い、それぞれの大型ランダーの2号機目以降となる量産モデルを使用した、青色の「量産化フェーズ」に向かう予定です。
量産による開発費の低減や、支援上限額200億円の宇宙戦略基金第2期への採択、さらに70億円規模の「MAGPIE」などの大型案件の受注によって、さらなる売上成長を実現し、各ミッションの黒字化を目指していきます。
新たな資金調達 – 調達サマリー

10月6日に発表した増資について、結果をご報告します。本増資での調達金額は総額182億円で確定しました。
今回の調達は、当社として過去最大規模の増資となります。ご出資いただいたすべての株主のみなさまに深く感謝申し上げます。また、27.5パーセントの希薄化率ということでご心配をおかけしましたが、既存株主のみなさまのご理解に深く御礼申し上げます。ありがとうございます。
今回の増資は、当社が2030年に向けて次の5年間の成長の第一歩を確実に踏み出すための重要な布石です。
新たな資金調達 – 資金使途

資金使途としては、182億円のうち47億円を2027年打ち上げ予定のMission 3、94億円を2028年打ち上げ予定のMission 4の必要資金に充て、37億円をその他運転資金に充てる予定です。これにより当社は、Mission 3、Mission 4の開発資金を全額確保しました。
新たな資金調達 – 目的・背景

このタイミングで増資に踏み切った背景についてです。現在当社は、スライド中央に赤色で示した、開発資金の負担が特に重い「商業化初期フェーズ」に位置しています。
今回の増資により、Mission 4までの必要資金を全額確保し、Mission 5やMission 6など、本格的な「量産化フェーズ」に向かう道筋を確実にすることが可能となります。
新たな資金調達 – 目的・背景

もう1つの増収の大きな目的は、当社のバランスシート上の純資産、つまりエクイティの課題の解決です。
資金上の問題だけであれば、金融機関からのローンなども選択肢として考えることができますが、純資産の強化には寄与しません。
2025年9月末時点の第2四半期における純資産額は約11億円です。この金額は、足元の「商業化初期フェーズ」において予想される重い開発資金負担、具体的にはP/L上の赤字を吸収するには十分とはいえません。
このままでは、将来的に債務超過が発生する可能性が懸念されていましたが、今回の増資により182億円が追加され、純資産を厚く確保することができました。
これは、今後のMission 3、Mission 4において、当社が持続的かつ安定的に開発を進めるために非常に重要です。さらに、金融機関、政府、お客さまなどに対する対外的な信用力を高める上でも極めて重要であると考えています。
新たな資金調達 – 今回の調達ストラクチャーを選択した理由

今回の増資のストラクチャーについて、182億円の新規調達の約30パーセントにあたる54億円を、個人投資家を中心とする国内のみなさまから出資いただきました。
当社は、9月末時点で10万人を超える国内個人株主のみなさまに支えていただいています。しかし、2023年のIPO以降、国内個人投資家のみなさまに新たに株式を保有いただく機会をご提供できていませんでした。
国内個人株主のみなさまには、引き続き月の経済圏を構築するというミッションに当社とともに参画いただき、日本の月ビジネスを推進するドライバーとなっていただきたいという思いから、今回個人投資家のみなさまにグローバルな機関投資家よりも多くの株式を割り当てるストラクチャーを採用しました。
182億円相当の新株発行は非常に多額に感じられるかもしれません。しかし、約半分にあたる86億円については記載の方々への第三者割当分であり、いずれも中長期的なストラテジック投資としての性質を有すると考えています。
具体的には、宇宙領域の国産技術・産業の育成を目的とする政府系ファンドの一環として、JICベンチャー・グロース・インベストメンツ社が運営するファンドに参画いただきました。
また、Mission 2でのペイロード輸送にとどまらず、本年5月に将来ミッションでのペイロード輸送に向けた覚書を締結した高砂熱学工業社や、同じく本年5月に同様の覚書を締結した栗田工業社には、中長期的なストラテジック協業を目的として参画いただきました。
さらに、既存株主である日本政策投資銀行社および当社社外取締役の赤浦徹氏からは、継続的なコミットメントを背景に第三者割当へ参画いただきました。
中長期的な戦略的連携を背景としていることから、増資による新規株式が一度に市場の流動株式として増加することを防ぎ、株式の希薄化に最大限配慮したストラクチャーとなっている点も重要であるとご理解いただければ幸いです。
当社KPI(営業面)

当社の営業KPIについてです。現在は、2030年に向けた加速度的な売上成長のターニングポイントにあると考えており、スライドを用いてご説明します。当社の売上成長の進捗をご確認いただく上で重要な点は、売上や補助金収入のP/L認識のタイミングです。
ミッションの打上げ自体が2027年以降であっても、そのミッションに紐づく売上や補助金収入は、打上げの数年前、つまりスライドの青色やオレンジ色の帯の左端にあたる契約締結のタイミングから徐々に計上が始まります。
スライド中央に記載した縦の点線が現在地点です。点線より左側で示したこれまでは、売上の大半をMission 3が占めていました。しかし今後は、点線の右側に示されているように、多くの新大型案件の売上が重層的に積み上がっていく見込みであることをご理解いただけると思います。
今後獲得可能性が高いと考えられる部分を含め、今年度以降の収益ポテンシャルは合計549億円にのぼります。さらに、覚書などを通じて確認されている937億円の潜在的な需要についても、重要な売上パイプラインとして捉え、将来的な契約化を目指していきます。
当社KPI(開発面)

開発KPIの進捗については、これまでご説明したとおりです。Mission 3では今年冬のCDR(Critical Design Review:詳細設計審査会)完了に向けて各試験を進行中です。また、Mission 4では熱構造モデルを用いた熱真空試験を実施しており、今後のPDR完了に向けて着実に進捗しています。
今後、開発進捗に関するアップデートがある際には、適宜お知らせします。
損益計算書

第2四半期期間の財務ハイライトについてご説明します。損益計算書です。Mission 3の開発進捗により、第2四半期累計の売上高は約21億円となり、前年同期比63.4パーセントの増収を達成しました。
今年5月に発表した業績予想対比では35.4パーセントの進捗率であり、下期偏重を見込んでいたため、おおむね計画どおりの進捗となっています。
営業損益は、Mission 3の研究開発費が計上されたことにより、約41億円の営業損失を記録しました。業績予想対比では、主にMission 4の支出遅れの影響で、想定より営業損失は拡大していません。当該支出遅れは、あくまで支出タイミングのズレによるもので、下期に一定のキャッチアップが見込まれており、通期予想への影響は軽微と考えています。また、ミッションスケジュールの遅れに影響を与えるものではありません。
当期純損失については、支払利息などの影響により、約44億円の純損失となりました。昨年度に続き、SBIR補助金収入は年度末に一括計上される予定です。
損益計算書 - 販売管理費の内訳

販売管理費は、Mission 4の開発進捗や事業拡大に伴う人件費の増加などにより、前年同期比で増加しています。
サービス別売上高推移

サービス別四半期ごとの売上高推移についてです。第2四半期の進捗率は約35パーセントとなっています。Mission 3からの売上に加え、第3四半期以降に計上が始まると想定されるMission 4のペイロード売上により、進捗が加速する見込みです。
会計上は営業外収益に計上される予定のSBIR補助金を便宜的に売上高と合算したプロジェクト収益ベースでは、前年比でほぼ倍増することを引き続き目指しています。
貸借対照表

バランスシートです。当社は9月末時点で200億円超の現預金を保有しています。この数値は9月末時点のものであり、10月に実施された182億円の増資金額は反映されていません。この増資は次の四半期に反映される予定ですが、今回の増資により、純資産の増加とMission 4までの資金手当が実現されています。
キャッシュフロー計算書

キャッシュフロー計算書についてです。キャッシュフローについては、10月の資金調達の影響はまだ反映されていません。
しかし、開発の進捗に伴う営業キャッシュフローや投資キャッシュフローのマイナスを、新規借入などによる財務キャッシュフローで補い、現預金は前期末から約69億円増の約200億円と、安定的な残高を維持しています。
以上で、第2四半期決算説明を終了します。
最後に、日本で開発を進めるMission 4の熱構造モデルを用いた熱真空試験の様子をご紹介した後、Q&Aセッションへと進みます。どうぞご覧ください。
質疑応答:高市新政権による影響について
司会者:10月に高市首相の新政権が発足しましたが、当社にとってその影響はポジティブでしょうか、それともネガティブでしょうか?
袴田:ポジティブです。高市首相の就任は、日本国民としても非常に高い期待が寄せられているものと感じています。高市首相は以前、宇宙政策担当大臣を務められており、宇宙分野に関する知識も豊富であると考えています。
また、当社の文脈でお伝えすると、Mission 1の際にちょうど宇宙政策担当大臣を務めていました。
野﨑:Mission 1の際には、高市首相からTwitter上で応援メッセージもいただきました。
袴田:はい、非常に力強いメッセージをいただきました。また、内閣府より宇宙資源法の第1号案件として許可をいただいた際に記者発表もしてくださいまして、当社に対して大きなご支援をいただいていると感じています。
質疑応答:防衛関連銘柄への注目について

司会者:今後、防衛関連銘柄に注目が集まるのではないかと思います。当社との関連性はどのようにお考えでしょうか?
袴田:高市首相が経済安全保障に非常に注力されている中で、宇宙はその中でも非常に重要な分野です。今後、政府としても宇宙に対する取り組みが増えていくと思います。
地球の防衛という分野と比べて、月は多くの方にとってまだ具体的なイメージが湧かないかもしれません。しかし、今後月においてさまざまな活動が進む中で、特に米中が非常に積極的な動きを見せており、地球と月の間での物体の移動が非常に多くなると予想されます。
現在、日本では安全保障上重要な静止衛星などが地球側に多数存在しており、従来は地球側からや軌道間で防衛していくことがメインでした。しかし、実際には地球の裏側にも衛星が存在している可能性もあり、それらの脅威に対してどのように防衛を行うかが、今後ますます重要な課題となると考えられます。
司会者:スライドにも記載されていますが、決算発表の中で「SSA」というワードがありました。それがまさに、今ご説明いただいた内容に該当するものですね。
袴田:おっしゃるとおりです。いきなり攻撃ということはないと思いますので、まずは地球と月の間を航行する宇宙船や物体をしっかり探知し、観測し、モニタリングしていく必要があると思います。
野﨑:このスライドで示すように、防衛の範囲はこれまでは地球の周りだけだったものが、月まで広がっています。
袴田:そのようなコンセプトは、今後絶対に必要になります。その際には、我々の「OTV」なども活用し、月の周りの物体を観測するSSAの能力が、これから重要になります。
このように安全保障上でも重要ですが、民間企業が安全に月や地球と月の間で衛星などを運用するためにも、衛星間の衝突を回避することなどが必要です。このため、非常に重要な能力になってくると考えています。
野﨑:セキュリティカメラのように、適切にモニタリングを行うためのものが必要だということですね。
質疑応答:宇宙戦略基金の状況について
司会者:宇宙戦略基金について、今回の決算発表でも注目されていたと思います。現在、当社が応札している状況についておうかがいできますか?
袴田:宇宙戦略基金には第1期と第2期があり、それぞれ3,000億円ずつ予算配分されています。我々としては、特に第2期の高精度着陸テーマに採択されることが重要であると考えています。
宇宙戦略基金に採択された場合には、それを通じて月面、特に月極域に高精度で着陸する能力を獲得し、事業をさらに拡大していけると考えています。ここは、非常に注目いただきたいポイントです。
また、宇宙戦略基金には高精度着陸以外にもさまざまな案件が含まれています。当社は代表機関として、あるいは他の代表機関の下で共に提案を行うかたちでこれらに関与しています。今後、さらなるニュースが出てくると思います。
質疑応答:東京科学大学のペイロード契約について

司会者:東京科学大学とのペイロード契約のお話がありましたが、これも宇宙戦略基金に関連するのでしょうか?
袴田:おっしゃるとおり、宇宙戦略基金に関連しています。当社のお客さまは、スライドに記載されている東京科学大学になります。これは、NASAやMagna Petra社などの他のお客さまと同様です。
我々は東京科学大学のペイロード、スライドに記載した衛星を輸送します。その衛星は、Series 3ランダーの上部に搭載される予定です。
ただし、実は東京科学大学も、このペイロードなどを開発するために宇宙戦略基金を活用して、その資金を得ています。
したがって、広い意味では宇宙戦略基金に関連するプロジェクトと言えますし、さらに言えば、当社もチームの一員として関わっています。東京科学大学の衛星開発において、プロジェクトマネジメントを担っています。
司会者:輸送だけではないのですね。
袴田:おっしゃるとおりです。輸送だけでなく、さまざまなかたちで我々が関与しています。その総額が先ほど発表した金額(最大47億円)に反映されています。
質疑応答:増資実施の背景について

司会者:10月に新たな増資について発表されました。株主さまとの日々の対話の中で、驚きの声はありましたでしょうか? また、なぜこのタイミングで、この規模の増資を行ったのかについて教えてください。
野﨑:公募増資および並行第三者割当を実施し、182億円を調達しました。当社としても規模の大きな増資だったため、驚かれた方も多いかもしれません。スライドにもありましたが、実施に至った大きな理由は2つあります。
1つ目は、バランスシートのエクイティ、つまり純資産の課題です。今回の四半期決算でもお話ししましたが、第2四半期時点では当社の純資産は11億円しかありませんでした。この状態で赤字が発生すると、純資産が減ってしまいます。
現在、当社は研究開発費に大きな投資を行っており、引き続き大規模な赤字が想定される状況です。そのため、この11億円では不十分で、厚くしていく必要があります。
このバランスシート上のエクイティを厚くし、債務超過などのリスクを回避することがこれまでの決算発表等でもお伝えしてきたとおり、会社として取り組みたいことでした。今回の182億円の調達で、エクイティバッファーをしっかりと積み上げることができたのが、1つ目の大きな理由です。

2つ目は、キャッシュ、つまり資金です。今回の182億円の調達によって、Mission 3とMission 4の開発費を確保することができました。大事なポイントとして、次の2回のミッションを確実に実施できる資金を確保しているということは、一見簡単なように見えますが、実際には他の企業が実現できているわけではありません。
今後のミッションを確実にお約束できるという意味で、非常に意義のある資金調達だったと考えています。
質疑応答:「ターニングポイント」の発言意図について

司会者:決算説明の中でも「今がちょうどターニングポイントだ」というお話がありましたが、その点をもう少し詳しくおうかがいできますか?
野﨑:売上の観点で言うと、最近は新しい売上に関する発表を数多く行っており、非常に興味深いタイミングに差し掛かっていると思います。先ほども触れましたが、これまでと比べて、今後はさまざまなプロジェクトが次々と立ち上がってくると思われます。
これまでは、決算説明の際に、売上はMission 3が牽引していると繰り返しお伝えしていたように、大きな売上案件としてはMission 3程度しかありませんでした。しかし、スライドをご覧いただくと、Mission 4の売上である、先ほど説明した東京科学大学の案件、台湾の案件など、大きな案件が積み重なってきています。
549億円という数字は、一部まだ確定していない部分も含まれますが、今後売上計上される蓋然性が相応に高いと見込んでいる金額です。
現在は、売上案件の積み上がりとP/Lという観点で非常に興味深い転換期にあると思っています。だからこそ今回の増資においても、機関投資家や個人投資家のみなさまに「今がターニングポイントですよ」とお伝えしてきた背景です。
質疑応答:今後の株主還元について
司会者:「182億円という過去最大規模の増資で、個人投資家からの出資も多いとのことでした。政府や大手企業からの支援もありますが、株価は6月上旬の下落からほぼ横ばいで推移しているものと思います。
今後、株主還元という面では、具体的にどのような取り組みを強化するでしょうか? また、株主からはどういった声が届いているのかを教えてください」というご質問です。
野﨑:現在、配当を実施できるキャッシュフロー状況にはありません。また、会社の資金の使い方としても、将来の利益を最大化するために、開発への投資を優先する必要があります。この資金活用によって、無駄を避けつつ、高いリターンを実現できると考えています。
そのため、配当による還元ではなく、株価を高める取り組みにより、株主のみなさまに利益を還元したいと考えています。
特に、Mission 2を境に株価が大きく動いたものの、その後横ばいの状態が続いています。ただ、今後さまざまな開発の進捗や契約内容を発表していく予定です。Mission 3に向けた進展もあり、情報発信を強化することで、株価を徐々に上昇させることに注力すべきだと考えています。
現在、全社一丸となり株価上昇を目標として、引き続き、しっかりと情報を発信していきます。
質疑応答:Mission 2着陸失敗後の営業活動への影響について
司会者:Magna Petra社やTASAとの新しい契約締結がありましたが、Mission 2の着陸失敗後、営業活動への影響があったのか、率直にお二方のご見解をお聞かせください。
野﨑:6月6日の着陸失敗の直後から、袴田さんと私はすぐに海外の主要なお客さまを訪問しました。
袴田:いくつか主要なところを訪ねました。当時、我々自身もどのような反応があるか不安もありました。しかし、現状をしっかりとお伝えしたところ、「今回の失敗はもちろん残念だが、それで終わるものではない」というお話をいただきました。そして、チャレンジを続ける姿勢に高い信頼を示していただき、今後も継続的に議論を進めていこうという強いスタンスを確認できました。
野﨑:技術的な要因分析を迅速に行い、報告会もすぐに実施しました。透明性を高く保つことを心がけた結果、お客さまから感謝の言葉をいただいています。また、細かいデータも提示するなどの対応が評価され、透明性への信頼感も得られました。
さらに、お客さまには、この失敗が意味あるものであり、次につながる改善を進めていくという姿勢を確実に感じていただけたと思います。加えて、実際にお客さまから指摘を受けて気づいた点がありました。私たちを含む民間の月面着陸における成功例はまだ6回しかなく、その中で完全な軟着陸として成功したのは1回のみです。
主なプレーヤーとしては当社を含めて4社ありますが、「絶対的な安定した1社」が存在するという状況ではないと捉えています。市場勃興期の中で、さまざまなパートナーと協力しながら月面開発を進める必要があると考えています。
したがって、当社は非常によいポジションにあり、将来には明るい道が見えていると考えています。これが売上につながっている要因の1つだと思います。
司会者:何度もチャレンジを重ねながら、開発を進めていくことが重要だということですね。
野﨑:先ほども触れたMission 3、Mission 4があるというのは大きな強みです。これに続く「確かに次がある」や「今回学んだことをぶつける先がある」が、非常に意味のあるメッセージとなります。そして、もう1つ重要なのは地政学的な問題です。
司会者:今回もアナウンスがありましたね。
野﨑:台湾のTASAとのペイロード契約が一例ですが、現在の世界は非常に不安定に揺れ動いています。宇宙開発といえば米国が中心でしたが、米国のトランプ政権やNASAも、今は非常に不安定な状況にあります。
そのような中で、ヨーロッパや中東、台湾などの国々が米国と関係を保ちながらも、日本との関係構築を目指して動いているのは、明確に見えてきています。
そのため、このような台湾のTASAのような案件も生まれており、そうした大きな動きと切り離せない営業活動をしているということだと思います。
質疑応答:売上高の増収要因と最終損益の赤字幅の縮小要因について

司会者:「第2四半期の売上高、最終損益の内容についてもう一度教えてください。売上高の増収要因は、ペイロード契約の増加に伴うものでしょうか? そして最終損益の前年同期比と比べた赤字幅の縮小要因について教えてください」というご質問です。
野﨑:P/Lのページをご覧ください。まず、売上についてお話しします。売上が前期より増加している点がありますが、これは単純に開発が進んでいるためです。
ここまではMission 3の影響が中心です。昨年に比べて、今年の第1四半期および第2四半期ではMission 3の開発がさらに進んでいます。そのため、当社は原価回収基準に基づき売上を計上しており、原価を使用するほど売上も増加するという仕組みになっています。
つまり、昨年よりも開発が進捗し、それに伴い売上が増加しています。ちなみに、今後はMission 3だけではなく、先ほどのTASAや東京科学大学のMission 4の売上も増加していきます。そのため、下期にはさらに売上の増加を目指していきたいと考えています。以上が、売上についてです。
一方で、最終損益は昨年よりも縮小しています。こちらは販売管理費についてです。売上の増加に対して販売管理費はあまり増えていません。昨年が約39億円、今年は約45億円で、我々の想定よりも販売管理費を使うケースが少なく、やや遅れている状況です。簡単に言うと、あまり使用していません。
使用が少ない理由についてですが、特に大きな理由があるわけではありません。ただし、これは下期に必ず使うことが見えています。そのため、最終損益の増減に直接影響するというよりは、下期に販売管理費をしっかりと使う予定が立っています。
スライド右側に記載しているとおり、83億円の最終損失が今年度の予想となっていますが、今後さらにコストが増加していくと考えています。
質疑応答:宇宙戦略基金を活用する際の課題について

司会者:「宇宙戦略基金の話があったかと思います。10年間で1兆円規模を政府が掲げていますが、宇宙戦略基金を企業が活用する上で、何が課題と感じているか教えてください」というご質問です。
例えば、資金の取得に時間がかかるなどの点について、袴田さんはいかがでしょうか?
袴田:宇宙戦略基金は政府も産業界を育てていくという点で非常に力の入った基金だと認識しています。これまで私どもが関わっているところでは、先ほどの東京科学大学による水探査のミッションが挙げられます。まずはそちらを進めています。
今後についても、高性能着陸を含めた展開を視野に入れていますが、かなり大型のプログラムになっているのが特徴かと思います。東京科学大学のプロジェクト全体としては支援上限額64億円であり、高性能着陸は支援上限額200億円になります。
このような資金をいただいて次々とミッションを実現できるということは、非常に大きなインセンティブになっていると考えています。
ポイントは、そのような取り組みを活用しながら、我々も今後トップライン、つまり売上を積み上げ、利益をしっかり計上できるかたちを目指すことかと思います。
野﨑:これには非常に重要な点があります。袴田さんがおっしゃったとおり、日本の戦略基金や我々が受けているSBIR補助金は会計上の売上高として計上されません。これには実は日本特有の事情があります。例えば、ヨーロッパのESA(欧州宇宙機関)からの補助金や、米国の場合は補助金というよりも発注ですが、NASAからの支払いはすべて売上高として計上されます。しかしながら、日本の補助金に関しては、営業利益よりも下の項目に分類されるかたちになっています。
そのため、スライドのチャートをご覧いただくと、我々は便宜的にこれらを「売上」と読み替え、「プロジェクト収益」というかたちで表しています。過去のデータを見ると、特に昨年までは表中のオレンジと赤い項目の差はほとんどありませんでした。実際には、営業外収益に含まれるものが少なかったためです。
しかし、今年度のグラフをご覧いただくと、SBIR補助金を受け取る予定が反映されており、実質的には昨年の2倍の規模の「プロジェクト収益」、つまり補助金を含めた収益を得るかたちになると見込んでいます。
こうした状況について、もちろん否定的な意見があるわけではありませんが、例えばこれらを正式な売上として計上できるようにすれば、海外投資家の方々に対しても成長性をより明確に示すことが可能になると考えています。この仕組みが整えば、日本全体としての競争力も強まり、非常に重要なポイントだと思います。
質疑応答:今期や来期に向けた株価の向上施策について

司会者:「今期や来期に向けた株価の向上施策についても、もしありましたら教えてください」という質問です。
野﨑:現時点では2点挙げられると思います。我々のミッションは2027年まで打ち上げられないため、打ち上げなどのニュースは残念ながら現段階ではお伝えできません。
ただし、先ほどストラクチャーサーマルモデル(熱構造モデル)のところでお話ししましたが、これからもランダーの開発モデルをどんどん発表していきます。具体的には、最終期までの間にスライド中央の構造認定試験モデルのようなモデルを新たに作り、世の中に発表していきたいと考えています。
今回も200名以上のさまざまな方々に熱構造モデルをご覧いただきましたが、今後はさらに多くの方々に、実際のランダーや製造現場を直接見ていただきたいと考えています。そのようなかたちで、製造の進捗をなるべくお見せしていきたいと思います。
もう1つは売上です。先ほどの宇宙戦略基金の200億円規模の契約など、大きな売上契約を確定させていくことを示していきたいと考えています。また、その他にもさまざまな契約があり、スライド内のマイルストーンのページをご覧いただければと思います。

2027年までなにもないというわけではありません。このページでは現在2027年に向けてMission 3の話をしていますが、Mission 4の進捗もどんどん出てきます。また、先々のMission 5やMission 6といったものについても、向こう2年間の間に開発や営業進捗などなんらかの発表が行われる予定です。
それら先々のミッションについても「開発を開始しました」や「ランダーのモデルはこのような感じになります」といった進捗や先行的な取り組みをお示ししていきたいと思っています。
そして、スライド上部にあり、今回発表した「OTV」についても、その進捗をお見せしていきたいと考えています。
このように、さまざまな開発の進捗を今後も発表していけるのではないかと思っています。
質問者:追加で質問です。宇宙スタートアップの中にはプロジェクト収益をP/Lに開示していると思いますが、今後、御社は投資家に向けて同様の開示を検討されていますか?
野﨑:他社の事例を参考にしながら、当社でも現在検討を進めています。この件については、監査法人とも協議の上、慎重に進めていきたいと考えています。
質疑応答:トヨタ自動車社からのグローバル開発支援について

司会者:袴田さんにおうかがいします。今回、個人的に非常に大きなニュースだと思ったのは、トヨタ自動車社からのグローバル開発支援に関するお話です。この件について、もう少し背景をご説明いただけますでしょうか?
袴田:トヨタ自動車社はJAXAと共同でルナクルーザーを開発しています。このように契約関係を結べたのは非常に重要なニュースだと思います。
次世代小型ローバーの開発においては、トヨタ自動車社から技術的な知見を得ることが主な目的です。当社はこれまで、非常に小型なローバーであるマイクロローバーをルクセンブルクなどで開発してきました。しかし、今後ランダーが大きくなるに伴い、ローバーも徐々に大型化していくと考えています。
まだ小型ローバーの範疇ではありますが、安定的に大型化したローバーを供給していくには、トヨタ自動車社が培ってきた技術が非常に重要です。こうした技術的な協力を受けつつ、当社としても開発を推進していきたいと思います。また、今回の協力は本当に最初の一歩に過ぎないと考えています。
トヨタ自動車社も今後ルナクルーザーの開発を進めていきますが、それに対し当社が取得する月面走行データを活用していただいたり、当社からもさまざまな支援を行うことが可能だと思っています。ルナクルーザーが完成した後は、共に月面の経済圏をさらに発展させられる関係を築いていければと考えています。
司会者:Mission 3以降の計画について、今後ローバーを運んで、データサービスを拡大することで、我々も貢献できるでしょうか?
野﨑:当社は2010年からローバーの開発を続けており、長年の知見があります。特に小型軽量化において大きな強みを持っています。ただ、最近では月面資源、例えばヘリウム3に関する話題が増えており、それに伴いローバーの大型化が必要とされる状況が出てきました。今後はこれまでの知見に加え、新たな技術が求められてくると考えています。
そのあたり、トヨタ自動車社は幅広いモビリティに関する知見をお持ちであり、非常に多くの優秀なエンジニアの方々がいらっしゃいます。そうした力をお借りできるというのは、日本ならではの環境であり、大変ありがたいと感じています。
袴田:そのようにトヨタ自動車社の力を借りつつ、我々も前進していきたいと思います。今後、私たちがビジョンとして描く月の経済圏を構築するには、トヨタ自動車社だけでなく、多様な企業と連携し、それぞれの技術をうまく活用しながら共同で取り組んでいければと考えています。

野﨑:24ページをご覧ください。今回、高砂熱学工業社と栗田工業社に中長期的なストラテジック協業を見据えた連携として投資をいただいています。これはまさに、多様なプレーヤーの方々とともに月面経済圏を構築していけるということを示しています。
また、注目すべき点として、今回JICベンチャー・グロース・インベストメンツにご参加いただいていることが挙げられます。もともと当社は2017年に旧INCJ(産業革新機構)からご出資いただき、最初の一歩を力強くサポートしていただきました。
今回、この次の成長段階に進むタイミングでご投資をいただけたのは、国家のプロファイルに基づいたバックアップであり、非常に力強く応援いただいていると感じています。しっかりと経済圏を構築していく必要があると強く感じています。
袴田氏からのご挨拶
袴田:本日着用しているグレーのジャケットは、みなさまご存じのとおり「HAKUTO-R」のジャケットです。「HAKUTO-R」プログラムのMission 1およびMission 2を遂行する中で、多くのパートナー企業の方々からご指導をいただきました。また、サポータークラブや一般の方々にも本当に多くのご支援をいただいたことに感謝しています。
Mission 2の終了とともに、「HAKUTO-R」は12月に終了となります。これまでご支援いただいた方々には、心より感謝申し上げます。 これからが私たちにとって重要な時期となります。Mission 1とMission 2で得た知見を活用し、また外部の有識者やJAXAの力を借りながら、Mission 3とMission 4を確実に成功へと導いていきたいと思います。
本日もお伝えしているとおり、これから売上が加速的に伸びていくと考えていますので、しっかりと取り組みを進めていく所存です。ぜひ今後ともご支援くださいますよう、よろしくお願いいたします。本日はありがとうございました。
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