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株式会社シーボン4926

東証スタンダード

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目次

崎山一弘氏(以下、崎山):株式会社シーボン代表取締役社長執行役員の崎山です。本日はお忙しい中、当社2026年3月期第2四半期決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。

本日は、管理本部の松本から第2四半期の決算についてご報告します。その後に、私から第2四半期までの振り返りと下期に向けたトピックスについてご説明します。商品開発本部の堀住からは、当社のR&D戦略についてご報告します。どうぞよろしくお願いします。

2026年3月期 第2四半期 連結決算のポイント

松本裕右氏:執行役員管理本部責任者の松本です。2026年3月期第2四半期の決算報告をします。

まず、連結決算についてです。売上高は、主に直営店舗における新規顧客および既存顧客への売上が好調に推移したことにより、前年同期比6.9パーセント増の46億1,000万円となりました。

利益面では、売上高の増加に伴い売上原価や賞与などの人件費が増加しましたが、売上高の増加が販管費の上昇分を上回り、営業利益は1億2,500万円、経常利益は1億4,400万円、当期純利益は1億1,500万円と、いずれも増益での着地となりました。

2026年3月期第2四半期 連結PL

連結PLの内訳です。売上高については、直営店舗が牽引し、前年同期比6.9パーセント増となっています。一方で、売上原価も前年同期比で6.9パーセント増と、売上高の伸び率と同水準になっています。

販売管理費については、生産性向上や効率性への注力により、前年同期比で2.7パーセント増にとどまっています。

特筆すべき点として、営業外収益には投資有価証券の売却益1,078万円を計上しています。

また、法人税等調整額については、利益の増加に伴い将来の課税所得の見積額が増加しました。その結果、繰延税金資産の回収可能性が高まり、前年9月末に対し約2,900万円減少しました。当第1四半期末からは約2,000万円減少しています。

営業利益差異分析(前期比)

営業利益における、前期との差異分析です。売上高の増加に伴い、売上原価や賞与などの人件費が増加しました。一方で、広告宣伝費やその他の費用は前期と同水準であったため、営業利益は前年を大きく上回る着地となりました。

広告宣伝費については、引き続き効率性を重視しながら売上高の増加を目指します。下期には、2026年1月24日の創立60周年に向けたブランディング活動を通じて認知度の拡大を図っていきます。

貸借対照表

貸借対照表です。特筆すべき大きな変動はないものの、売上高と利益の増加に伴い流動資産が増加しました。特に現金および預金が増加したほか、売上高の増加に比例して受取手形および売掛金も増加しています。

自己資本比率は前期末の66.9パーセントに対し、2025年9月末時点では66.6パーセントと、ほぼ横ばいの推移となっています。

販売チャネル別 売上高

販売チャネル別の売上高について、ご説明します。主要チャネルである直営店舗の売上高は43億600万円、通信販売は1億3,600万円、国内代理店は9,000万円、海外代理店は1,000万円、子会社を含むその他は6,600万円の実績です。

主力事業である直営店舗の売上高は、新規顧客の来店数増加に加え、新規顧客および既存顧客の購入単価が向上したことにより、増収となりました。

子会社のジャフマックにおいては、発酵飲料の新製品の投入や販促活動の強化により、売上高が回復基調にあります。また、9月にはジャフマックの本社を新宿区市ヶ谷から港区六本木のシーボンビル内に移転し、グループ間のシナジー効果のさらなる向上を図っています。

月次売上高の推移 - 直営店舗(役務収益を含む)

直営店舗の月別売上高推移です。購入単価の増加により、おおむね各月で前年を超える実績となりました。10月以降も各月で前年実績を超えられるよう、引き続き取り組んでいきます。

続いて、2026年3月期第2四半期のトピックスについて、崎山よりご説明します。

2024.3期 - 2026.3期 中期経営計画

崎山:第2四半期までの取り組みと下期に向けたトピックスをご説明します。

まず、中期経営計画の3期目として、「製品価値向上」「サロン価値向上」「新しい価値の創造」の3つの重点課題の完遂に向け、各戦略を実行しています。

2025.3期 4~9月 主な取り組み

3つの重点課題を遂行するにあたり、上期は「新規顧客との接点拡大」「社員のスキルアップとお客さま満足向上」「首都圏店舗を中心とした戦略的改装」に重点的に取り組みました。

新規顧客との接点拡大

新規顧客との接点の拡大についてです。新規顧客の入口として、トライアルプランのメニューを追加しました。従来のトライアルプランが120分という時間設定であり、その長さに躊躇するお客さまもいるという現場の集客時の声を反映し、短縮した新たなメニューとなります。

その結果、なかなか時間が取れないビジネスパーソンの予約が増加しました。同時に、SNSをはじめWeb上での広告宣伝活動を強化した結果、Webを経由したトライアルプランの集客が増加傾向にあります。

ブランディングによるイベント集客では、イベントブースの刷新を実施し、同時にイベント参加スタッフの制服をリニューアルしました。スタッフのモチベーションが大いに向上し、集客数の増加につながっています。

また、企業の福利厚生の一環として行っている美容セミナーの開催頻度が徐々に高まっており、それに伴い新たなお客さまとの接点も拡大しています。

新規顧客との接点拡大

このように新規顧客との接点拡大の取り組みを強化した結果、新規来店者数は前年対比110.9パーセント、新規売上高は前年対比120.6パーセントと増加しました。

すべての集客チャネルで取り組みを強化したことで、前年を上回る結果を達成しました。

社員のスキルアップとお客様満足向上

社員のスキルアップとお客さま満足向上の取り組みについてです。各店舗の店長を対象とした責任者講習をはじめ、新人講習やカウンセラー向けの講習など、職能別の講習を細かく強化しました。

座学や技能講習だけではなく、日々の現場における接客の中で、お客さまと生まれた成功例や感動的なエピソード、さらには失敗例なども含め、参加者全員でそれらの内容を共有することで、スタッフのパフォーマンス向上につながっています。

また、eラーニングの活用も進めています。こちらは時間や場所に柔軟性があり、個別の繰り返し学習が可能となり、スタッフのスキルアップに貢献しています。

下期に向けてはロイヤルカスタマー向けの工場見学やイベントなど、顧客満足向上策としての開催を予定しています。

スライド下段に記載した「Beauty Award 2025」について、当社は約30年前から「美肌コンテスト」を実施しています。このコンテストは、もともと各店舗のスタッフが、お客さまとの間で施術を行い、化粧品を使用していただいたことの成果発表の場としてスタートしました。

この取り組みは社員のモチベーション向上や製品への自信にもつながるため、回を重ねるごとに規模を拡大し、現在ではお客さまを招くなど、内容を変革しつつあります。今回は創業60周年記念として、メディアも招待します。

「Beauty Award」のような催しは、いわば当社のビジネスモデルの根幹ですので、この内容をより広く周知していく必要があると考えています。今年も下期に向けて開催予定です。

社員のスキルアップとお客様満足向上

このような、スキルアップ講習会やお客さま満足向上への取り組みの結果、第2四半期累計で継続数は前年対比99.6パーセント、継続売上高は前年対比105.4パーセントとなりました。

一方で、スタッフ不足は依然として続いており、継続数の推移は横ばいとなっています。しかし、先ほどお伝えしたスタッフ教育の取り組みの成果として、継続単価は上昇傾向にあり、売上高は前年を上回る結果となりました。

社員のスキルアップとお客様満足向上

お客さまの中でロイヤル会員数を増やしていく取り組みについて、現時点のロイヤル会員数は1万1,730人です。期末までに1万2,000人にする目標を立てて進行中です。

首都圏を中心にした戦略的改装を実施

首都圏を中心にした戦略的改装についてです。ブランディングプロジェクトのスタート時から、店舗改装を順次行っています。

2025年の上期には、大型店1店舗、中型店3店舗、小型店2店舗の改装を実施しました。現在までの累計では、大型店7店舗、中型店11店舗、小型店6店舗です。

改装後1年間の売上を前年と比較すると、大型店は109パーセント、中型店は107パーセント、小型店は102パーセントとなっています。このように、店舗の改装がお客さまの掘り起こしや、新たなお客さまの集客につながり、成果として表れています。

この結果を踏まえ、下期も計画どおり進めています。すでに10月に横浜店、11月に自由が丘店の改装を実施しました。いずれも大型店舗です。

創業60周年に向けて

当社は来年1月に創業60周年を迎えるにあたり、2023年からブランディングプロジェクトを進めています。

現在、第3フェーズに入っており、インナーブランディングの強化や、60周年に向けた市場での認知拡大戦略のプロモーションを準備しているところです。

創業60周年に向けて

創業60周年の「テーマ」「ロゴ」「キーカラー」を策定しました。また、リードコピーを「美しさを共に奏でる」と定めています。これは、お客さまとともに美しさを創造していくという、当社の存在意義を込めたものです。

これまでの歴史に感謝すると同時に、これからもお客さまとともに歩んでいくという未来へのお約束を表現しています。

創業60周年に向けて

創業60周年に向けて、記念デザインを取り入れた製品を順次発売していく予定です。10月に発売した製品は、すでにお客さまから非常に高い支持をいただいて完売しました。

創業60周年に向けて

創業60周年に向けたプロモーション活動は、4つの柱を軸としています。イベントプロモーション、SNSプロモーション、先ほどお伝えした「Beauty Award 2025」、コンセプトショップの4つを軸に、プロモーション活動を展開していきます。

プロモーション活動は、サロンへの集客だけでなくECへの誘導等を目標とし、新たな顧客との接点のさらなる拡大を目指す考えです。

創業60周年に向けて

従来当社で行っているイベントとして、大型会場での体験型ポップアップイベントを展開しています。

また、先ほど述べた「Beauty Award」と合わせ、雑誌媒体との連携企画を実施します。各年代のターゲット層に合わせた雑誌を選定し、情報発信を強化していきます。

さらに、これまで当社が実施してこなかったサンプリング企画も、雑誌媒体との連携企画においては行っていきます。このような新たな切り口で、新規顧客との接点拡大に取り組みます。

サステナビリティ

サステナビリティについてです。当社の生産工場および研究開発センターを置く栃木県へ、企業版ふるさと納税を活用し、絵画を寄贈しました。

また、社員の家族を招いたファミリーデーでは、スタッフのお子さまを対象としたワークショップを開催しました。

さらに、昨年に引き続きシングルマザー支援を目的として「コスメバンク プロジェクト」のボードメンバーに参画し、化粧品の寄贈などの活動を行っています。今後もこのような活動を続けていきます。

計数目標|中期計画

計数の目標についてです。当初の計画どおり、売上高は91億2,300万円、営業利益は2億100万円、営業利益率は2.7パーセントで進めます。

株主還元|配当

株主還元についてです。安定的な配当を実施するという当社の基本方針に基づき、2026年3月期は中間配当10円を実施しました。期末配当についても、当初の計画どおり10円を予定しています。

R&D Purpose

堀住輝男氏:執行役員製品開発本部の堀住です。当社の製品開発におけるR&D戦略についてご説明します。当社は「肌と心を科学して、安心と安らぎを提供する」をR&Dパーパスに掲げています。

「肌機能だけでなく、心と身体の関係性を紐解くことで『お手入れを科学』しています。素肌の健やかさと美しさ、そして人生に輝きと豊かさを提供するため、創造的な研究開発と革新的なソリューションの実現を目指します」という方針を掲げています。

R&D Purpose

「心理的なストレスは老化を促進させる」という報告がありますが、これはそのとおりであると、我々はこの事実を信じています。「老化を加速させないためにどうすべきなのか」を考えながらR&Dの活動を行っています。

当社が考える美の実現に向けたアプローチとして、ストレスを緩和させるお手入れや商品を提供しています。「肌と心に働きかけるフェイシャルトリートメント」「肌と心に着目した皮膚科学研究から生まれた化粧品」といった、サービスと化粧品の2つが、当社の大きな特長です。

顧客と共に創造する商品開発

顧客と共に創造する商品開発についてです。当社は多くのお客さまに対し、お手入れを提供することで肌がきれいになっていく様子を目の当たりにしています。

ただ化粧品を製造・販売するだけでなく、サービスまで提供していることが、当社の大きな特長です。化粧品とサービスがセットになっている点が他社との差別化ポイントとなっています。

お手入れは、お客さまの肌に直接触れることで、肌だけでなく心にも働きかけます。これは、これまでの研究開発で明らかになってきた事実であり、後ほど詳しく触れたいと思います。

スライドに記載したように、3つのアプローチをR&Dで行っています。1つ目は「肌と心、健康、東洋医学的アプローチ」です。当社のサービスは、鍼灸理論を基にした独自のトリートメントを提供し、東洋医学的なアプローチを行っています。

2つ目は「肌と心に着目した皮膚科学的研究」に注力しています。3つ目は「実感できる製剤化技術」として、実際に有効性を実感できる製剤作りを行っています。

共奏美容

ブランディングプロジェクトの中で「お客さまとともに奏でていく美しさ」ということで、「共奏美容」という表現をしています。

まず、ホームケアとサロンケアにおいて、自宅での化粧品使用とサロンでのサービスを受けてもらうことを、「ホームケア&サロンケアの共奏」としています。

次に、「お客さまとフェイシャリストの共奏」として、フェイシャリストとお客さまのコミュニケーションによりストレスが緩和されることがわかっています。

最後に「肌・心・身体の共奏」と掲げ、美しさと健康が相関していることを示しています。

肌は「第3の脳」と言われ、「第2の脳」は腸、そして脳とは心とされます。心と肌、身体の関係を考慮し、私たちは肌、心、身体をセットで捉え、美しさを提供するというR&D戦略を掲げています。

1. 肌と心、健康、東洋医学的アプローチ

ここからは、当社の研究の成果についてお話しします。スライドは「肌と心、健康、東洋医学的アプローチ」についてです。当社の東洋式フェイシャルケアは、心身への影響や効果を研究した成果に基づいています。

少し古いデータではありますが、当社のフェイシャルトリートメントを実施することで、血中のオキシトシンの値が増加することが確認されています。オキシトシンは幸せホルモンと呼ばれ、人間が赤ちゃんを慈しむ時に分泌されるホルモンで、肌に非常に好影響を与えることがわかっています。

もう1つは脳血流についてです。フェイシャルトリートメントによって、左の前頭前野の血流が上昇することがわかりました。これは心理的にポジティブになる作用であると考えられています。

幸せホルモンであるオキシトシンが分泌され、ポジティブな気持ちになれることにより、当社のサービスであるフェイシャリストによるトリートメントは、肌を美しくする効果があるという結果が、我々の研究で明らかになっています。

2. 肌と心に着目した皮膚科学的研究

「肌と心に着目した皮膚科学的研究」というテーマで、当社の化粧品についてお話しします。ストレスが肌荒れの原因となることは以前から知られていましたが、これを皮膚科学的に解明した事例はありませんでした。

私たちはストレスホルモンであるアドレナリンの作用により、NGF(神経成長因子)の産生が亢進することを明らかにしました。この物質はアトピー性皮膚炎やかゆみの原因となり、保湿因子に悪影響を与えて肌荒れを引き起こします。

そこで、私たちは独自の原料開発を進め、ストレスからくる肌荒れを抑制する成分の開発に成功しました。この成分はおそらく世界初の成果であり、我々独自の主力原料として今後も配合していきます。

2. 肌と心に着目した皮膚科学的研究

最近の話題として、心理的な状況とヒアルロン酸に関する研究についてお話しします。ヒアルロン酸について調査したところ、ストレスを受けるとヒアルロン酸が減少し、逆に「幸せホルモン」が増加するとヒアルロン酸も増加することがわかってきました。この研究成果は、今年の日本香粧品学会学術大会などで発表しました。

このように当社では、ストレスが原因となる肌荒れや老化に関することや、美肌に関する成分の増減を突き止める研究を進めています。

3. 実感できる製剤化技術

「実感できる製剤化技術」についてです。当社の主力製品であるクレンジング&マッサージクリーム「トリートメントマセ」という製品があります。これまで、保湿効果が高い、クレンジング効果が優れている、あるいは毛穴の角栓がよく取れるといった、剤型的な特長はわかっていました。

「なぜそのような効果があるのか」を解明していく中でわかったこととして、実はクレンジングオイルでマッサージをしている間にラメラ構造に変化する現象を突き止めました。

ラメラ構造が持続されることで、マッサージ性に優れ、滑りがよくなることが確認されています。また、スライド右下に示しているように、マッサージをしている間に非常に肌に良いことが起こるという点もわかってきました。

一般的なクレンジングでは、マッサージやクレンジングの途中でラメラ構造に変化する製剤は、極めて珍しい特性と考えています。そのため、他社との比較については研究を重ねている段階ではありますが、この製剤が非常に優れた剤型であることがわかってきました。

顧客共創型製品開発

当社がどのように製品を作っているのか、顧客共創型製品開発についてお話しします。

サロンでは独自の肌解析システム「EPISCAN(エピスキャン)」を導入しています。これは2次元の画像診断装置であり、これまでにのべ65万件以上のデータを蓄積しています。さらに、ご来店時のアンケートやデプスインタビューによって、お客さまの声を年間18万件収集しています。

このような肌データやお客さまの声を分析し、それを次の製品開発や提供製品の種類の選定に活かし、お客さまに最適な製品をご提案しています。今後もさらにデータを蓄積し、お客さまの肌に合わせた製品提案を進めていきたいと考えています。

精神皮膚科学を極めるR&D戦略

精神皮膚科学を極めるR&D戦略についてです。当社が最も注目しているポイントは、ストレスが原因となる肌トラブルです。ストレスを解消すれば肌がきれいになることがわかっています。そのため、サービスではフェイシャリストがお客さまと直接接し、製品ではストレスによる原因物質を抑えるための原料や製剤の開発を行っています。

肌と心、健康、東洋医学的アプローチを取り入れ、皮膚科学的研究を推進し、今後も効果が実感できる製剤を提供していきます。

また、販売員と顧客とのつながりについては、ストレスの緩和に加え、豊富な顧客データを活用したデータに基づくカウンセリングを通じ、確かな肌実感をお届けする取り組みを行います。

接客の現場力とそれを支えるエビデンスを求めるR&D戦略により、確かな効果を実現し、長期間にわたり継続してご愛用いただける製品とサービスの提供を進めていきます。

最後に、お客さまの肌に最後まで責任を持つこと、それは心と肌に寄り添い、結果を出すことだと思っています。接客の現場に加え、データ分析とストレス研究を通じて、より高いレベルを目指していきます。

当社は、ストレス社会に生きる女性の肌を最高にきれいにすることを目標に掲げ、今後もR&Dを継続していきたいと考えています。

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