ヒップ、稼働人員増加・技術料金上昇で売上高前年比+4.9% 創立30周年記念配当を含む増配予定、累進的配当を目指す
2026年3月期第2四半期(中間期)決算のポイント

田中伸明氏:みなさま、こんにちは。代表取締役社長の田中です。本日はご視聴いただき、誠にありがとうございます。2026年3月期第2四半期の決算についてご説明します。
はじめに、業績概要についてです。第2四半期の外部環境については、米国関税の影響により一部のお客さまに慎重な姿勢が見られましたが、製品開発においては積極的な姿勢を維持されていました。それにより、当社への技術者ニーズは引き続き堅調に推移しました。
業績の概況とトピックスは4点あります。
1つ目は、稼働人員の増加および技術料金の上昇により、売上高が増収となったことです。
2つ目は、利益面において、社員の処遇改善や30周年事業に伴う広告宣伝費、福利厚生費の増加により減益となったことです。
3つ目は、期初予想比で売上高・利益面ともに想定を上回ったことです。
最後に4つ目として、本年9月に当社は創立30周年を迎え、リブランディングを実施しました。詳細については、後ほどご説明します。
2026年3月期第2四半期(中間期)決算概要

続いて、決算の概要です。売上高は30億7,800万円で、前年同期比4.9パーセント増、営業利益は2億6,000万円で前年同期比4パーセント減、経常利益は2億6,300万円で前年同期比2.3パーセント減、中間純利益は1億8,100万円で前年同期比2.1パーセント減となりました。前年同期比では増収減益となっています。
売上高の増加要因は、稼働人員の増加と技術料金の上昇です。利益面の減少要因は、社員の処遇改善を含めた人への投資の継続による売上原価の増加や、30周年事業に伴う広告宣伝費や福利厚生費などの販管費の増加です。
前年同期比で売上原価は5.4パーセント増加し、販管費は8パーセント増加しました。期初の予想に対しては、売上高・利益の両面で上回る結果となりました。売上高は技術料金の上昇が要因であり、利益面については、売上高の増加や経費の効率的な活用・見直しにより、当初予算を上回ることができました。
技術者数

当社事業に関わる指標についてご説明します。技術者数は第2四半期末で794名となり、前年同期から15名、1.9パーセント増加しました。
第2四半期までの採用数は、4月新卒入社で38名、中途入社が9名の計47名となりました。当社では新卒の採用を年2回実施しており、10月にはさらに2名が新たに入社しています。
中途採用については、もう少し採用できることを見込んで、育成枠として積極的に採用を進めていましたが、想定よりも求職者の動きが鈍く、計画には達しませんでした。
下期においても採用の手法や媒体の工夫を引き続き進め、また、9月にはホームページのリニューアルを行いましたので、こうした積極的なアピールを通じて、新たな求職者の採用に努めたいと考えています。
稼働率(2024年4月~2025年9月)

稼働率は第2四半期累計で92パーセントとなり、前年同期比では1.5ポイント低下しました。これは一部のお客さまにおいて、先行き不透明感から慎重な姿勢が若干見られたことによるものです。
そのような状況の中でも、当社では技術者の成長に重点を置いた稼働に取り組んでいます。技術者とのヒアリングを通じて、本人の適性を考慮し、キャリア形成やステップアップなど、個々の成長を意識した多様な視点からの稼働を進めています。このような取り組みは技術者の価値向上につながると考えています。引き続き稼働率を維持しながら、これらの取り組みを継続していきます。
技術料金

技術料金は、第2四半期に4,373円となり、前年同期比で150円、3.6パーセント増加しました。2022年との比較では約10パーセント上昇しています。当社では、適正な技術料金の確保を推進しており、サービスの質および技術者のスキル向上を図りながら、契約更新や業務内容が変わるタイミングでお客さまと交渉を行っています。
最近、日本全体で賃上げに向けた動きが見られます。当社としても、技術者の価値向上を目指し、お客さまにご理解をいただきながら、引き続き技術料金の交渉を実施していきます。
稼働時間

1日当たりの平均稼働時間は第2四半期で8.59時間となり、前年同期比で0.05時間減少しました。稼働時間は顧客の開発スケジュールや働き方によって変動するため、当社では統制が難しいものですが、売上高を構成する重要な指標です。
直近の稼働時間は8.5時間から8.7時間の範囲で推移しており、今後も大きな変化は見込んでいません。
売上高 上位10社 比率

売上高の上位10社の比率です。今期は25.2パーセントで、前年同期から0.6ポイント減少しました。当社では、特定の顧客に偏ることなく、幅広い取引を目指しています。この方針には、2つのメリットがあります。
1つ目は経営の安定です。特定の顧客や業種に偏ると、業績や開発スケジュールへの影響が大きくなりますが、幅広い顧客や業種との取引は、経営の安定につながると考えています。
2つ目は、実践における技術者のスキル向上です。技術者が顧客のプロジェクトに参画し、実績を積むことで本質的なスキルを身につけ、仕事の幅を広げることができます。選択肢を少しでも広げるために、さまざまな業種や顧客との取引を重要視し、取引先を増やすことを目指してきました。
10年前は上位10社比率が34パーセント程度でしたが、さまざまなお客さまに提案を続けた結果、現在は25パーセント程度となっています。
事業分野別売上高

事業分野別の売上高です。輸送用機器以外のすべての事業分野で増加しました。輸送用機器では、防衛関連が堅調である一方で、自動車関連においては、一部のお客さまに慎重な姿勢が見られる状況です。ただし、将来を見据えた投資は継続されているため、当社としてもしっかりと提案を進めていきたいと考えています。
情報処理・ソフトウエア分野では、各種製品のシステム化に伴い近年伸び続けており、特に車載システムや通信関連の案件が引き続き増加しています。
2026年3月期 通期業績予想

続いて、2026年3月期通期の業績予想についてご説明します。通期の業績予想は期初に開示した数字から変更はありません。売上高は前期比4.9パーセント増の62億6,100万円、営業利益は前期比0.7パーセント増の5億6,800万円、経常利益は前期比0.8パーセント増の5億6,900万円、当期純利益は前期比6.9パーセント減の3億8,500万円としています。
重要資源である人への投資を継続しつつ、米国関税の影響による不透明さがある中でも、業績予想の達成を目指していきます。
業績予想の前提条件

通期業績予想の前提条件となる指標です。こちらも期初予想からの変更はなく、稼働率は徐々に上昇すると見込んでいます。先ほどご説明したとおり、引き続き技術者の成長に重点を置いた稼働に取り組んでいきます。
稼働時間はおおむね例年並みです。また、採用については、中途採用を50名、2026年新卒採用を60名計画しています。環境の変化に対応しながら、技術者にとって魅力的な環境をしっかり整え、採用計画を達成したいと考えています。
創立30周年、その先へ向けた取り組み

続いて、今期の取り組みについてご説明します。当社は今年9月に創立30周年を迎えることができました。これもひとえに、株主のみなさまやお客さま、そして社員といった当社に関わるすべての方々のおかげであり、深く感謝申し上げます。
「技術者のための会社をつくりたい」という創業者の思いから30年が経ち、会社を新たなステージへ進めていくために、昨年から「技術者と顧客に選ばれる強い会社」、そして「技術者のキャリア形成を支援する会社」へ向けて技術者価値の向上に取り組んでいます。
将来予測が困難な時代でも、生涯にわたり活躍できる人材の育成を目指します。
持続的成長へ向けた取り組み

当社の持続的成長に必要なことは、技術者価値の向上だと考えています。スライド左側の図は、当社の価値向上イメージを示しています。
当社は技術者のための会社として、技術者価値を中心に据え、それを起点として高めていくことが、顧客価値、企業価値、社会的価値の向上につながると考えています。そのため、最重要施策として技術者価値の向上に取り組んでいます。
スライド右側の図は、技術者価値の向上に向けた具体的な取り組みです。主に4つの施策を展開しています。1つ目は、成長投資として引き続き人材に投資していくことです。繰り返しお伝えしているとおり、社員の処遇改善もその1つです。また、教育にも十分に投資し、技術者がさらに成長できるプラットフォームをしっかりと構築していきます。
2つ目は、技術者を目指す応募者の方々に、こうした取り組みをしっかりと伝えることで、採用の強化を進めることです。応募者との接点を増やし、当社の思いを届けるツールを活用しながら、新たな仲間作りに力を入れていきます。
3つ目は営業強化です。当社は全国に拠点を持ち、そこで技術者やお客さまのフォローを行っています。その中でお客さまにより満足していただき、新しいキャリアを作るためにも、新しい開発や受注をしっかりと獲得していくことが必要です。これらの活動を通じて、技術者が成長できる土台作りに努めていきます。
4つ目の施策として、利益率の向上を目指します。時代の変化に伴い、業務の手法も新しく進化していきます。社内の管理システムや既存のルール、制度などを見直し、現状に即した仕組みへの柔軟なアップデートを進めていきます。
創立30周年を機にリブランディングを実施①

創立30周年を機に、次の未来を見据えてリブランディングを実施しました。今回のリブランディングでは、ブランドメッセージ、ミッション、ビジョン、バリューを策定し、コーポレートロゴとコーポレートサイトを一新しました。
新たなブランドメッセージは「ともに、新たな時代を設計する。」です。私たちのミッションは「ハイブリッドな技術者の『ホーム』であり続ける。」と定めました。技術の進歩は目覚ましく、日々、新たな製品が生み出されています。これらは人々の夢を実現し、暮らしや社会を豊かにしてきました。その中心にいるのは技術者です。
お客さまや社会に広く貢献できる技術者には、人としての魅力や、時代に即したスキルなど、複合的な力が求められます。その技術者の価値の成長を後押しし、心のよりどころとなることこそが、技術者のための会社として設立された当社の使命であると考えています。
私たちのビジョンは、「社員一人ひとりが、イノベーションの起点になる。」です。お客さまや社会に対してポジティブな影響を与える存在になることです。
このイノベーションの定義は、前提条件が変わることだと思います。これまでのやり方や業界のルール、過去の事例に対して疑問を持ち、別の切り口を模索し、それを社内やお客さまの中、さらには社会全体で発揮し続けられる人材を育てていきたいと考えています。
そして、「プロフェッショナル」「リスペクト」「コミュニケーション」「アップデート」の4つを当社のバリュー、大切な価値観や行動指針として掲げ、ミッションとビジョンの実現を目指していきます。
創立30周年を機にリブランディングを実施②

コーポレートロゴとコーポレートサイトを一新しました。コーポレートロゴは、創立以来の変更となります。
スライド左側のシンボルマークには、「成長性」と「つながり」が表現されています。六角形はハニカム構造の基となる形で、その広がりや拡張性から成長を表現しています。また、立方体にも見える形は多面的な価値を表現しています。
この六角形を構成する2つの要素は、私たちが大切にしてきた「つながり」を表しています。ロゴの中には、白抜きでヒップの「H」をかたどっています。
コーポレートサイトについては、これまでの当社の思いを伝えられるよう「つながり」を意識したデザインにリニューアルしました。また、社員への理念の浸透と成長への意識を高めるための社内イベントも実施しており、新生ヒップとして持続的成長に向けて全社一丸となって歩みを進めていきます。
社会貢献へ向けた取り組み

また、社会貢献に向けた取り組みも行っています。今回が初めての取り組みとなりますが、独立行政法人日本学生支援機構が発行する「ソーシャルボンド」への投資を決定しました。
その理由として、当社事業において人材は最重要資産であり、現在、人材育成を含めた人への投資を重点項目として力を入れていることが挙げられます。そのような中、学ぶ意欲を持った学生たちの力になりたいと考え、今回の投資を決定しました。
この投資がより多くの学生に夢を追い求める機会を広げ、次代を担うプロフェッショナルな人材として活躍する未来へとつながることを期待しています。
自己株式の取得

最後に、株主還元についてご説明します。当社は、11月5日に開催した取締役会で自己株式の取得を決定しました。その理由は、経営環境の変化に対応した機動的な資本政策に備えるためです。2026年3月31日までに8万株、1億3,000万円を上限に買い付けを行う予定です。
配当金について

当期の配当予想についてです。当社は、配当性向50パーセントを目安とし、事業成長に応じて累進的な配当を目指す基本方針を掲げています。
当期の配当は、当社が創立30周年を迎えたことと、支えていただいた株主のみなさまへの感謝の意を込めて、1株当たり普通配当55円に記念配当15円を加えた70円を予定しています。前期から16円の増配となり、配当性向は70パーセントを超える予定です。
当社はこれまでも安定的な配当を実現してきましたが、長期に保有する株主の方々に報いるためにも、株主のみなさまへの還元に力を入れ、今後も事業の拡大を図りながら累進的配当を目指していきます。
以上、2026年3月期第2四半期の決算についてご説明しました。ご視聴いただきありがとうございました。
新着ログ
「サービス業」のログ




