I-ne、優待拡充・増配で総利回り9.3%に スキンケア他カテゴリーが前年比+434.9%で成長牽引
エグゼクティブサマリー

大西洋平氏:株式会社I-ne代表取締役社長の大西です。これより、2025年12月期第3四半期の決算説明資料に基づき、決算情報についてご説明します。
エグゼクティブサマリーです。今期の業績について、第3四半期の連結売上高は前年同期比9.8パーセント増の343億6,000万円、連結EBITDAは前年同期比7.9パーセント増の35億円、連結営業利益は前年同期比25.4パーセント減の22億円となりました。
ただし営業利益は、昨年実施した大型M&A2件の償却費を除いた場合、前年同期比5.1パーセント増の増益となります。
今期の見通しについてです。今年2月に発表した通期計画達成に向けては、売上高および営業利益の面でリスクが生じているものの、最終利益は計画どおりを見込んでいます。
また、当社株式への投資魅力を高めることを目的として、株主優待の大幅拡充と期末配当の増配を決定しました。優待内容は保有株数に応じたデジタルギフトの進呈であり、昨日の終値を基にした優待利回りは8.1パーセント、配当を含めた総利回りは9.3パーセントとなります。
最後に、今後の方針についてご説明します。売上高1,000億円の達成に向けて、スキンケア他カテゴリーが計画を上回るスピードで大幅に成長しており、事業ポートフォリオの変革は順調に進んでいます。
一方、ヘアケア系および美容家電カテゴリーについては、主に過去の組織改編による課題が影響し、成長スピードが低下しています。現在、再成長に向けた施策を進めている段階です。詳細については、この後ご説明します。
連結売上高、連結EBITDA、連結営業利益

連結業績のハイライトについてご報告します。
2025年第3四半期の連結売上高、EBITDA、営業利益についてです。連結売上高は343億6,000万円で、前年同期比9.8パーセントの増収となりました。連結EBITDAは35億円で、前年同期比7.9パーセント増加しています。
一方で連結営業利益は22億円、前年同期比25.4パーセントの減益となりました。ただし、2024年に実施した2件のM&Aによる償却費の影響を除く営業利益は31億円となり、特殊要因を除けば前年同期比5.1パーセントの増益となっています。
各カテゴリーの詳細な状況については、次のスライドでご説明します。
カテゴリー別売上高

カテゴリー別売上高についてご説明します。ヘアケア系カテゴリーは前年同期比マイナス5.8パーセント、美容家電カテゴリーは前年同期比マイナス13.4パーセントとなりましたが、スキンケア他カテゴリーは前年同期比プラス434.9パーセントと、非常に高い成長率を達成しました。
2024年10月にM&Aを行ったトゥヴェール社の連結影響に加え、トゥヴェール社を除いたその他のブランドも前年同期比プラス124.5パーセントと大幅に伸長し、複数のブランドが全体の売上高伸長を牽引しました。
オンライン売上高は、カテゴリー全体で前年同期比プラス53.6パーセントと大幅な成長となりました。オンライン売上比率は約44パーセントとなり、オンライン・オフライン双方で安定した販売チャネルの構築を実現できています。
コスト構造

コスト構造についてです。スライドに掲載しているグラフの下部から、抜粋してご説明します。
まずは売上原価です。粗利率の高いスキンケア他カテゴリーの成長や、OEMパートナーとの原価削減を目指した継続的な取り組みを実施しました。
さらに、2024年度に取得した「Artemis」社を通じた商流への変更による中間マージンの削減などにより、売上原価率は前年同期比4.2ポイント減少し、大幅な改善を達成しました。これにより、3期連続で前年同期比での改善を実現しています。
続いて、広告費・販促費および販売手数料についてです。戦略的な広告投資やオンライン売上比率の向上により、前年同期比で合計3.1ポイント上昇しました。
人件費については、昨年実施した昇給や新領域での人材強化の結果、前年同期比0.7ポイント増加しました。ただし、人件費率は2025年度をピークとし、来期以降は適正化を図りながら段階的に削減される見込みです。
また、減価償却費については、前期第4四半期に実施したM&Aに伴うのれん及び無形固定資産償却費の計上により、減価償却費率が前年同期比で2.9ポイント上昇しました。
ヘアケア系カテゴリーの進捗

ここからは、各カテゴリーの進捗についてご報告します。ヘアケア系カテゴリー全体では、第3四半期単体で前年同期比プラス2.9パーセントと、回復傾向にあります。
第2四半期単体では、中国市場からの撤退や今年4月に実施した「YOLU」リニューアルにおける市場での認知形成の遅れなどの影響で一時的に減収しました。しかし、第3四半期以降は意思決定プロセスの見直しを反映した新商品の展開等が奏功し、通期では成長軌道に乗る見込みです。
さらに、オンライン売上高では全主力ブランドでの増収を記録しており、ヘアケア系全体では前年同期比プラス19.5パーセントと、引き続き伸長しています。
「BOTANIST」は、第3四半期単体で前年同期比プラス4.8パーセントと堅調に推移しており、9月に発売した新ライン「BOTANIST SANTAL」は計画を上回る好スタートを切りました。
「YOLU」は、今年4月に発売したリニューアル品の市場認知形成の遅れなどにより、第2四半期では一時的に減収しました。しかし、第3四半期には各種施策の実行やスキンケアラインの発売等により、前四半期比プラス71.4パーセントと大幅に回復しています。
スキンケア他カテゴリーの進捗

スキンケア他カテゴリーの進捗についてです。スキンケア他カテゴリーの第3四半期累計売上高は、前年同期比プラス434.9パーセントと、著しい成長を実現しました。
M&Aによりグループに加わった「TOUT VERT」の貢献に加え、他の複数のブランドも好調に推移し、「TOUT VERT」を除いたブランドの前年同期比もプラス124.5パーセントと大幅な成長を見せました。
「WrinkFade」は、前年同期比30.7パーセントの成長を継続しています。今期第2四半期に発売を開始した機能性お茶ブランド「Teaflex」は、前四半期比プラス320.7パーセントと、発売直後から大幅な伸長となりました。
また、柔軟剤「ReWEAR」は前四半期比プラス17.2パーセントと、右肩上がりで成長を継続しています。
ヘアケア系・美容家電に次いで、スキンケアは第3の柱に成長しつつあり、柔軟剤や健康食品といった第4の柱になり得るカテゴリーも生まれています。これにより、事業ポートフォリオの構築は順調に進行しています。
トゥヴェール社の実績については、次のスライドで説明します。
PMIの進捗

昨年10月に実施したM&A2件のPMI進捗についてです。トゥヴェール社、Artemis社の両社ともに、順調に進捗しています。
トゥヴェール社では物流関連の高度化に取り組み、配送の品質向上や物流費の削減等に努めました。販売面ではバラエティショップへの配荷も徐々に進んでおり、来期のさらなる成長に向けて準備を進めています。
Artemis社では、外部工場とのコミュニケーションを強化し、商品開発のスピード向上や品質向上に取り組んでいます。両案件ともにシナジー施策に取り組み、さらなる事業成長につなげていきます。
サステナビリティの取り組み

続いて、サステナビリティの取り組みについて、一部抜粋してご紹介します。
1つ目は、環境省が実施する「製品・サービスのカーボンフットプリントに係るモデル事業(業界団体・企業群支援)」に参加しました。日本化粧品工業会および当社を含む企業7社とともに、化粧品業界の共通ルールの策定に取り組み、持続可能な社会の構築と信頼される製品開発を推進します。
2つ目は、植物とともに生きる環境の浸透を目指して活動する「BOTANIST財団」の取り組みについてです。
都市の植物多様保全に取り組む「大阪市立長居植物園」と、里山保全や森林関係人口の拡大を進める「山村塾」への新規助成を決定しました。引き続き、財団の理念に共感する仲間と協働しながら、インパクトを創出していきます。
当社は今後も、サステナビリティ活動を継続して推進していきます。
最新見通し

続いて、今期の見通しと株主優待の大幅拡充についてです。
2025年通期の見通しについては、スキンケア他カテゴリーが計画を大幅に上回る進捗を示している一方、ヘアケアや美容家電では課題が発生しており、売上高において下振れリスクを認識しています。
また、トップラインの下振れや今後の成長を見据えた戦略投資により、営業利益およびEBITDAも下振れリスクが懸念されます。
ただし、10月22日に発表した子会社Endeavourの吸収合併による税金費用の軽減や、賃上げ促進税制の活用により、最終利益については当初計画どおりの数字に着地する見込みです。
株主還元の拡充(株主優待の大幅拡充と増配)

株主還元についてです。今回、当社株式への投資魅力を引き上げることを目的として、株主優待の大幅拡充および期末配当の増配を決定しました。
株主優待は12月末を権利日として、100株から499株を保有する株主さまには1万円分のデジタルギフトを、500株以上を保有する株主さまには2万円分のデジタルギフトを進呈します。
デジタルギフトは、当社のオンラインサイト「and Habit」のポイントをはじめ、Amazonや楽天などさまざまなオンラインサイトのギフトカードと交換可能で、株主のみなさまにとって魅力的な優待となっていると考えています。
配当については、当初予定していた1株当たり13.5円から15円への増配となります。なお、昨日の終値時点での利回りは、100株を保有する株主さまの場合、優待利回りが8.1パーセント、配当利回りが1.2パーセント、総利回りが9.3パーセントと、高水準の設定となっています。
事業ポートフォリオ変革の進捗と課題改善に向けての対応

売上高1,000億円に向けた進捗と方向性に関してご報告します。
事業ポートフォリオ変革の進捗状況についてです。スライド左側の図にあるように、スキンケア他カテゴリーは計画を上回るスピードで大幅に成長しており、ポートフォリオ変革に向けた新たな事業の柱の構築が順調に進んでいます。
2023年の実績では、売上高構成比が約5パーセントだったこの分野は、2025年に約20パーセントまで拡大する見通しです。また、通期売上高の着地見込みは計画から約15億円の大幅な上振れとなっています。
このカテゴリーは新規注力事業と位置づけており、順調な進捗の背景には、トゥヴェール社の買収やその後の順調なPMI、私の直下組織である新規事業開発室、先月吸収合併を発表した子会社Endeavourが複数のヒットブランドを生み出していることが挙げられます。
一方、既存主力事業であるヘアケア系、美容家電は当初の想定よりも減速しており、再成長に向けた社内改革を推進しています。詳細については、次のページでご説明します。
ヘアケア系カテゴリーの課題と対応

まず、ヘアケア系カテゴリーについてです。
国内ヘアケア市場は、中価格帯商品やプレミアム化の加速によって継続的な成長を見せており、その中で「BOTANIST」と「YOLU」の2大ブランドはトップシェアを堅調に維持できています。
しかし、消費者嗜好の多様化や新興ブランドの増加、機能重視トレンドの高まりに対しては十分に対応できておらず、新規ヒットブランドの不在、コアブランドの成長のための投資不足、そして機能トレンドへの対応の遅れといった課題が生じてしまっています。
これらの課題を踏まえ、IPTOSのアップデートを実施し、アートとサイエンスのバランスを再強化する意思決定プロセスの見直しを行っています。
また、コアブランドへの投資を強化するとともに、自社R&D組織「JBIST」を活用した新商品の開発を進めています。
美容家電カテゴリーの課題と対応

続いて、美容家電カテゴリーです。
国内美容家電市場では、中高価格帯市場の伸長が顕著であり、当社の「SALONIA」ブランドも中価格帯製品を拡充し、それらが現在の収益に貢献しています。
加えて、円安の急速な進行に対しては、粗利率の高い中高価格帯製品を強化するほか、Artemis社の買収や為替予約の活用など、収益構造改善に向けた迅速な対応を実施しました。その結果、想定どおりの効果が確認できています。
一方、これらの市場変化を受け、中高価格帯の新製品への投資を集中させた結果、ブランド全体のエクイティが低下し、定番品シェアが想定以上に悪化するという課題が生じています。
ヘアケアと同様に、IPTOSのアップデートにあわせて意思決定プロセスの見直しを進めるとともに、定番品への適切な投資強化やブランドエクイティ向上のための戦略的な投資を実施していきます。
開発・投資意思決定プロセスの見直し(IPTOS再強化)

最後に、課題の根幹にある開発および投資意思決定プロセスの見直しについて、あらためてご説明します。
2024年に大規模な組織改編を実施しましたが、これにより主力既存事業において独自ブランドマネジメントシステム「IPTOS」が十分に機能しないという課題が発生しました。
これは、次世代リーダー育成のために導入した事業部制が意図せず意思決定プロセスを複雑化させた結果です。
この影響で、アートとサイエンスのバランス型であった意思決定がサイエンス偏重となり、消費者心理を迅速に捉えて商品化するという当社の強みが一時的に弱まりました。その結果、ヘアケア新ブランドの不発や「YOLU」のリニューアル時の課題が今年度の上期に発生しました。
しかしながら、これらの課題を真摯に受け止め、2025年上期中に速やかに意思決定プロセスを一部見直した結果、下期に発売した「BOTANIST SANTAL」および「YOLU」の4バリアント目における初速は好調に推移しています。
さらに、2025年下期には、組織のスリム化とEndeavour社との吸収合併を実施し、本来のI-neらしいスピード感のある組織への再構築を進めています。これらの組織改革を踏まえた新体制からの新製品は、2026年下期以降に登場する予定です。
社長である私自身が現場に入り、指揮を執りながらIPTOSの本来の強みを取り戻し、消費者ニーズへの対応力をさらに磨き上げつつ、既存ブランド・新ブランドから自信作を続々とお届けします。どうぞご期待ください。
Innovation Never Ends/次期中計:2026年2月発表予定

ヘアケア系、美容家電は組織課題により一時的に停滞しましたが、説明のとおり速やかに組織改革を実施し、回復の兆しが見えてきています。また、新たなカテゴリーの柱を作るための挑戦が順調に進み、第3の柱としてスキンケアが育ちつつあり、第4の柱として他カテゴリーでのヒットの可能性も複数現れています。
I-neは、ヘアケアカンパニーではなくビューティカンパニーです。主力であるヘアケア事業や美容家電事業を再成長させながら、スキンケアなどの新カテゴリーにおいてもヒット商品を生み出し、売上高1,000億円を達成し、国内を代表するビューティメガベンチャーを目指します。
詳細については、来年2月の通期決算時に新中期経営計画を発表し、I-neが売上高1,000億円をどのように達成するのか具体的に示します。
「Innovation Never Ends」として、I-neは今後もベンチャー精神を大切に、革新を重ね、世界に新たな価値を創造し続けます。私たちの挑戦にご期待ください。本日はご清聴ありがとうございました。
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