【QAあり】アイビス、3Q累計でアプリ課金売上が広告売上を初めて逆転 サブスク中心に収益構造転換
ibisPaint

神谷栄治氏(以下、神谷):株式会社アイビス代表取締役社長の神谷です。それでは、株式会社アイビスの2025年12月期第3四半期決算説明を行います。
弊社の主力商品である「ibisPaint」は、日本企業初のアプリとして、欧米のアクティブユーザー数で5年連続1位を記録し、全世界カテゴリでも5年連続でトップ3にランクインしています。
栄枯盛衰が激しい世界のアプリ市場の中で当社がMade in Japanを牽引

スライドの図がその推移を示しています。欧米で1位、全世界で日本企業として3位を維持しています。
本資料のサマリ

本資料のサマリです。第3四半期において、サブスクリプション売上がアプリ広告売上を上回り、課金収入へのシフトが鮮明となりました。
第3四半期連結決算までの売上および各種利益の進捗率は4分の3弱で、計画範囲内で推移する見込みです。モバイルセグメントでは、サブスクリプション売上が前年同期比(YoY)で71パーセント増加し、四半期で初めてアプリ広告売上を上回りました。一方、広告売上はYoYで20.1パーセント減少しています。
eCPM(広告売上単価)は依然として底這い傾向が続いています。ソリューションセグメントについては、組織改編の効果により採用数が回復し、定着率も改善しました。売上は前期並みの水準へ復調しています。
連結計画に対する進捗ですが、モバイルセグメントとソリューションセグメントの両方で増収増益を予想しています。広告売上は計画比で減少する見込みですが、好調なサブスクリプション売上の上振れにより、計画達成が見込まれます。
通期では課金売上が広告売上を上回る見込みであり、来期には単独で広告売上を超過する予定です。また、ゼロイチスタートの連結子会社化については、先日発表しました。みなし取得日は12月31日となり、今期末時点での貸借対照表への取り込みを予定しています。
2025年の成長可能性に関する事項については、今年2月に作成した計画から大きな変更はありません。成長の主軸はサブスクリプションであり、2年後には課金売上が広告売上を上回る見通しですが、サブスクが順調なため実際にはもっと早まる見込みです。サブスクリプション予備軍200万人(想定売上60億円)に対する課金推進を強化するほか、高機能戦略を継続し、プロ市場向けとしてMac版を8月28日にリリースしました。
ソリューションセグメントは安定成長を継続しており、AI歌声合成セグメントについては中長期の成長土台を構築中です。AI歌声合成セグメントは現在、まだインキュベーション段階にあり、育成を進めている最中です。
FY2025/12 3Q連結決算ハイライト

2025年12月期第3四半期連結決算についてです。売上高およびサブスクリプション売上が過去最高を更新し、営業利益は単体で前年同期比増となりました。
売上高について、スライドの左側が単体、右側が連結での比較を示しています。単体では、前年同期の売上高が34億9,000万円、当期が36億3,000万円で、YoY4.2パーセント増となりました。2025年12月期第3四半期の単体売上高は35億6,000万円で、YoY2.2パーセント増となっています。
営業利益については、前年同期が8億5,000万円、当期第3四半期が8億4,000万円で、YoY0.7パーセント減となりました。当期第3四半期はテクノスピーチによるM&Aの影響により連結ではマイナスですが、単体ではプラスです。営業利益率は前年が24.4パーセント、当期が23.3パーセントで、YoY1.2ポイント減少しています。こちらも営業利益と同様に、連結ではマイナス、単体ではプラスとなっています。
「ibisPaint」シリーズのサブスクリプション売上は前年同期の4億7,000万円から当期は8億3,000万円となり、YoY76.4パーセント増と、非常に好調に急成長を遂げています。
FY2025/12 3Q連結決算業績推移

スライド左側が売上の推移です。先ほど説明したように、36億3,000万円です。スライド右側の利益については、経常利益が8億6,000万円から8億5,000万円へと微減しています。純利益は5億8,000万円から5億6,000万円へと微減となっています。
テクノスピーチののれんに関しては、次のページでご説明します。
セグメント別 FY2025/12 3Q連結決算業績推移

続きまして、セグメント別のグラフです。売上高の推移はスライド左側に示されています。モバイルセグメントはYoY3.9パーセント増、ソリューションセグメントはYoY0.1パーセント減、AI歌声合成セグメントは7,200万円です。
セグメント利益についてです。モバイルセグメントはYoY6.0パーセント増、ソリューションセグメントはYoY13.8パーセント増となっています。AI歌声合成セグメントは第3四半期のセグメント利益がマイナス6,000万円で、そのうち3,000万円はのれん償却額です。
モバイルセグメント FY2025/12 3Q連結決算業績推移

続きまして、モバイルセグメント内の内訳についてです。スライド左側は売上の内訳を示しています。アプリ広告売上はYoY20.1パーセント減、サブスクリプション売上はYoY71.0パーセント増となり、アプリ広告売上が計画に比べて下振れしています。
こちらは前回と同様ですが、アドネットワークやSSPのアルゴリズム変更、広告市況の悪化など、さまざまな要因が考えられるものの、現在のところ回復には至っていません。感覚としては、ここが底ではないかという認識です。一方、サブスクは計画以上に伸びている状況です。
次に、モバイルセグメントの利益についてです。こちらはおおむね横ばいです。売上総利益率は緩やかに右肩下がりとなっていますが、これは開発人員を増やしていることが要因です。当社は製品力が収益の重要な源泉であり、それを支えるために人員を増やしている結果、比率が上がっています。
ソリューションセグメント FY2025/12 3Q連結決算業績推移

続きまして、ソリューションセグメントの内訳についてです。IT技術者派遣はYoY0.3パーセント減となり、受託開発はYoY8.1パーセント増となりました。全体としては、第4四半期で一時的に下がっていたものの、回復してきています。
ソリューションの利益についてですが、直近3四半期連続で水平な状態が続いていました。このグラフの見方として、2023年12月期第1四半期分と2024年12月期第1四半期までの5四半期分ほどの部分では、主に採用を中心とした投資を進め、アクセルを踏んでいる状態でした。それに伴い、売上の伸び率も良好でした。
しかし、加速しすぎた結果として体制が一部崩れる場面があり、退職者が発生したことなどから右肩下がりとなりました。そのため、アクセルを緩める対応を取った部分が、2024年12月期第2四半期から第4四半期までの3四半期分ほどになります。現在は、2025年第1四半期から第3四半期にかけて、バランスを取り戻している状況です。
FY2025/12 3Q 主要な費用項目

継続的な成長を維持するために、広告投資や人材開発に注力しています。2年前に広告費を半減させても成長を維持できるとお伝えしましたが、その予定どおり、現在も広告費を抑えた状況を維持しています。
スライドの右側のグラフで、開発人材投資の推移を示しています。開発時の人件費や採用費が含まれていますが、モバイルセグメントでは安定して右肩上がりの成長を維持しており、ソリューションセグメントも回復傾向が続いています。
FY2025/12 3Q 営業利益増減分析

利益の増加要因についてです。単体で示しているので増加となっています。売上高増加や広告宣伝費の減少が上昇要因となっています。一方で、人件費や販売手数料、その他費用の増加が減少要因となっています。
FY2025/12 3Q 事業KPI

続きまして、KPIについてです。DAU(日次アクティブユーザー)はYoY5.9パーセント減となっています。オレンジの棒グラフの波形を見ると、2025年4月から10月にかけて谷があることがわかるかと思います。
次に、サブスクリプション契約数ですが、YoY77.9パーセント増と好調を維持しており、前回よりもさらに成長が加速しています。
ソリューションセグメントのITエンジニア数は、YoY0.8パーセント増となり、これまで右肩下がりだった状況が回復に向かっています。
FY2025/12 3Q 設備投資額等及びドル円為替レート推移

設備投資額推移、減価償却費推移、研究開発費推移、ドル円為替レートに特筆すべき点はありません。
FY2025/12 3Q 連結業績予想に対する進捗度

売上高進捗率は72.4パーセント、営業利益進捗率は72.1パーセント、経常利益進捗率は72.2パーセント、純利益進捗率は69.1パーセントです。いずれも若干不足していますが、想定の範囲内で推移しています。
3Qトピックス

トピックスとして、8月28日に「ibisPaint」のMac版をリリースしました。これまでMacユーザーの方々はiPhoneやiPadで利用していましたが、移行先としてMac版がないことでユーザーが流出してしまう状況がありました。今回のリリースにより、そのような流出を防ぐとともに、プロの方にも今後ご利用いただきたいと考えています。
もう1つのトピックスは、「ibisPaint」シリーズが累計5億ダウンロードを達成したことです。
FY2025/12連結計画 ハイライト

続きまして、2025年12月期の連結計画についてご説明します。こちらは今年2月に発表した内容がベースとなっています。初めて参加される方もいらっしゃるかと思いますので、要点を簡潔にご説明します。
計画では、売上高が50億2,000万円でYoY8.6パーセント増、営業利益が11億7,000万円でYoY1.8パーセント増、営業利益率が23.4パーセントでYoY6.3パーセント減を見込んでいます。また、サブスクリプション売上は11億1,000万円でYoY62.2パーセント増となっています。
FY2025/12連結計画 全社業績推移

スライドのグラフの説明は割愛します。
FY2025/12連結計画 セグメント別業績推移

セグメント別の業績推移です。モバイルセグメントはYoY7.1パーセント増、ソリューションセグメントはYoY4.7パーセント増となりました。
次にセグメント利益についてですが、モバイルセグメントはYoY7.8パーセント増、ソリューションセグメントはYoY3.6パーセント増となっています。
FY2025/12連結計画 セグメント区分別売上高

セグメント区分別売上高です。アプリ広告売上は計画時ではYoY11.8パーセント減、サブスク売上はYoY62.2パーセント増です。これが現在はアプリ広告売上がYoY20パーセント減、サブスク売上がYoY71パーセント増というかたちになっています。
ソリューションについては、IT技術者派遣がYoY2.4パーセント減、受託開発がYoY24.7パーセント増です。
FY2025/12連結計画 セグメント別費用内訳

コストの計画についてです。モバイルセグメントは開発人員の増加によりコストが増加する一方で、広告費がやや減少しています。ソリューションセグメントでは開発人員のコストがやや増加しています。
FY2025/12連結計画 事業KPIの推移

DAUは水平飛行となります。サブスクリプション契約数はYoY47.4パーセント増を計画していましたが、現在はYoY71パーセント増となっています。
また、ITエンジニア数の計画は一時的に右肩下がりでしたが、V字回復に成功し、今年は昨年を超えるペースとなっています。
FY2025/12連結計画 株主還元

株主還元についてですが、10月1日に発表したとおり、1対5の株式分割を実施しました。予定していた配当金は1株当たり50円を分割し、1株当たり10円としています。YoYでは25パーセント増となっています。
スライド左側のグラフも順調に伸びています。今後も、利益成長に応じた株主還元を検討していきます。
MISSION・VISION・VALUE -1

こちらは成長可能性に関する事項で、2月に発表した内容をおおむね踏まえたものです。少しだけ数字が変わっています。
ミッションとして「モバイル無双で世界中に"ワォ!"を創り続ける」を掲げており、モバイルに強いという点と、世界中に驚きを与えたいという思いを表しています。
また、ビジョンとして「Boost Japanese Tech to the World」を掲げ、日本のIT技術を世界に届けたいという思いで経営を行っています。
MISSION・VISION・VALUE -2

バリューとしては3つ掲げています。「高い技術のエキスパート集団」は、私がエンジニア出身であることもあり、これを掲げています。
「スピーディな意思決定と実行」には、いつまでもベンチャーらしさを持ち続けたいという思いが込められています。
「継続的なチャレンジ」は、たくさんチャレンジをすることで、半歩先、一歩先を進めることができるという考えを表しています。
会社概要

会社概要についてご説明します。当社は2000年5月に設立され、現在で設立から25年が経過しています。本社所在地は、東京都中央区八丁堀です。
従業員数は352名で、そのうち296名がエンジニアであり、約8割がエンジニアという構成です。このため、エンジニアを中心とした会社と言えます。
また、関連会社として100パーセント子会社のテクノスピーチがあり、AI歌声合成事業を展開しています。
主な沿革と代表略歴

代表者である私の略歴です。1973年、名古屋生まれの52歳です。名古屋工業大学出身で、子どもの頃からプログラムを組んでいました。
事業概要

事業は、モバイル事業、ソリューション事業、AI歌声合成事業の3つがあります。
売上高推移

こちらは創業時からの売上推移です。直近4年間で「ibisPaint」が急速に売れたことで上場に至りました。「ibisPaint」は2011年、今から14年前にリリースしています。
モバイルペイントアプリ「ibisPaint」とは【モバイル事業】

「ibisPaint」はどのようなアプリかという点ですが、基本無料でありながら高機能です。また、サブスクリプション型の有料会員に誘導する仕組みを採用しています。
多くのユーザーがスマートフォンで指を使って操作していますが、パソコン向けのアプリ並みの高機能が評価されています。さらに、後にWindows版やMac版もリリースされました。
ibisPaintのAI戦略【モバイル事業部】

AIについてですが、AI超解像度機能、AI背景透過機能、AI学習妨害機能、AI水彩フィルターなど、かなり以前から開発を続けてきました。また、現在もAIを活用した機能を開発中です。
ibisPaintの特徴【モバイル事業】

特徴として、基本無料であり、海外ユーザーが非常に多いことが挙げられます。「ibispaint.com」という投稿サイトがあります。また、Z世代や最近ではα(アルファ)世代、中でも、特に中学1年生でスマートフォンを購入したばかりの方々に多く、少しでも絵に興味のある方々が、当社のアプリを選んでくださっています。
また、「絵を描きたいんだけど何のツールがいいかな」というようなことを学校でつぶやいたりすると、「『ibisPaint』がおすすめだよ」と多くの方に言っていただいている状況です。
ibisPaintの評価【モバイル事業】

App Storeの評価も高く、YouTubeの登録者数も、こうした製品のマーケティング用チャンネルとしては日本トップクラスだと思います。また、「内閣府 クールジャパン・プラットフォームアワード2023 優秀賞」を受賞しました。
売上構成【モバイル事業】

ビジネスモデルについては、サブスクリプション、売切型、アプリ広告売上の3つがあります。先ほどお話ししたとおり、当第3四半期においては、サブスクリプションと売切型の合計が50パーセントを超えました。
来期には、サブスクリプション単体で半分を超える見込みです。売切型を含めるとさらに超過し、残りが広告収入となると予想しています。
収益モデル【モバイル事業】

フリーミアムモデルから課金モデルへとシフト中です。月間アクティブユーザー(MAU)は3,806万人に達しており、日本でトップクラスのユーザー数です。
そのうち、売切型アプリを購入いただいた件数は109万件です。また、サブスクリプションの現在の契約数は35.1万人となっています。このデータから、MAUの1パーセント弱がサブスクリプションを利用していることがわかります。
ibisPaint各種データ推移【モバイル事業】

スライドの左側はシリーズ累計ダウンロード数のグラフです。今年9月末に5億ダウンロードに達しました。
右側のグラフをご覧ください。緑色で塗りつぶされた部分がMAUの推移を示したグラフです。2019年頃に急増し、その勢いで上場に至りましたが、それ以降は飽和状態となりながらも、比較的直線的に増加が続いていることがわかります。
濃い緑色の折れ線グラフはサブスクリプション契約数の推移を示していますが、こちらは時間の経過とともに上昇角度が増してきています。途中で大きく2回角度が変わっており、その要因は1つ目が機能の追加、2つ目がマーケティング手法の改良です。この取り組みはその後も継続しており、少しずつではありますが上昇角度がさらに増しています。このかたちで、この先も伸ばしていきたいと考えています。
Z世代からの高い支持【モバイル事業】

ユーザー属性についてですが、若年層が多く、女性が7割を占めています。モバイルペイントアプリの直接競合アプリとの比較では、アクティブユーザーでシェア86.5パーセントを獲得している状況です。
現在の中高生が大学生や社会人になり購買力が高まることで、さらに売上高が上がると考えています。
グローバル展開① 【モバイル事業】

海外展開についてです。ダウンロード数の海外比率は93.3パーセント、売上高のうち73.9パーセントが海外売上高となっています。
具体的には、ブラジル、アメリカ、EU、ロシア、インドネシア、日本、タイ、中国、インド、フィリピンなど、世界中で利用されています。
売上構成と特長【ソリューション事業】

ソリューション事業部の内訳は受託開発とIT技術者派遣というビジネスですが、最近は受託開発の比率を上げることに注力しています。
テクノスピーチ会社概要【AI歌声合成事業】

AI歌声合成事業では、テクノスピーチを完全子会社化しました。代表のうちの1人は名古屋工業大学の教授で、合成音声の分野において世界的に権威のある方です。
売上構成と特長【AI歌声合成事業】

事業の内訳としては「VoiSona」が主力商品であり、一部は受託開発となっています。具体的には、音声合成エンジンを法人に提供し、ゲームやカラオケなどのエンジンとして供給しています。
VoiSonaについて【AI歌声合成事業】

「VoiSona」というアプリはこういったかたちでアニメの絵がついていて、「バーチャル・シンガー」と記載していますが、音符や歌詞を打ち込むと、人間らしく歌ってくれる仕組みになっており、作曲家の方々にご利用いただいています。
成長戦略概要(中長期の売上拡大イメージ)

成長戦略についてお話しします。スライドのグラフでは、緑色の部分がソリューション事業であり、安定成長を示しています。
肌色の部分は「ibisPaint」の広告売上を表しており、多少下がっているものの、今後は少なくとも横ばい、あるいは水平飛行に入ると見込んでいます。
濃いオレンジ色の部分はサブスクリプション関連の売上で、こちらに注力していく方針です。
紫色で示されているのはAI歌声合成事業およびM&Aで、新しいチャレンジとして位置付けています。トータルのCAGRは10パーセント以上を目指しています。
成長の展望①【モバイル事業/収益基盤の拡大】

成長戦略の1つとして収益基盤の拡大を掲げ、サブスク移行を進めています。現在、広告を視聴してサービスを利用しているユーザー1人当たりの月間売上単価の平均は20.7円です。一方、月額サブスク売上単価の平均は306.9円となります。両者の単価差は14.8倍になります。そのため、多くのユーザーにサブスクへの移行をお願いしたいと考えています。
濃いオレンジ色の線で示したサブスク課金率が、0.1パーセントから0.9パーセントに増えてきています。アクティブユーザー3,806万人のうち35.1万人にサブスク契約していただいており、1パーセント弱に当たります。
契約率が非常に良い勢いで増加しており、現在の35.1万人を200万人にまで増やし、課金率を5.3パーセントにすることを目標としています。これにより、サブスクリプションでの売上が60億円になると見込んでいます。
成長の展望②【モバイル事業/収益基盤の拡大】

プロマーケットへの本格的な進出ということで、Windows版とMac版をリリースしています。緑色の棒グラフが売切型の売上、オレンジ色の棒グラフがサブスクリプションの売上を表しています。
当初は売切型のみの展開でしたが、サブスクリプションの導入により、売上が右肩上がりに推移しています。一方で、売切型のみだった頃は、売上がほぼ水平に推移していました。
また、初期段階では「ibisPaint」モバイル版のユーザーが一気に流入したことで急激な伸びを見せたものの、その後はやや勢いが落ち着き、今後は一定のペースで進んでいくものと見込んでいます。
成長の展望③【モバイル事業/収益基盤の拡大】

「VoiSona」のアプリ、「ibisPaint」のアプリ、そして投稿サイトがシナジーを生むよう、アプリの改良が必要ですが、相互に利用できるようにする計画です。例えばミュージックビデオであれば、AI歌声合成事業で音楽が作成可能ですし、それを「ibisPaint」のアニメーション機能と組み合わせてみたり、このあたりを強化していきたいと考えています。
成長の展望④【ソリューション事業/売上高の拡大】

続いて、ソリューション事業についてです。こちらでもM&Aを進めており、直近ではゼロイチスタートのM&Aを発表しています。
成長の展望⑤【AI歌声合成事業/成長ブースト】

「VoiSona」ですが、まだ小さいアプリとはいえ、「ibisPaint」のノウハウを活用して、世界中に展開していきたいと考えています。
資料としては以上ですが、全体として、第3四半期の累計売上高がYoY4.2パーセント増にとどまっており、目覚ましい伸びとは言えず、なかなか厳しい状況です。
今期中に達成するのは難しいかもしれませんが、本来は2桁成長を実現しなければならないと常々考えています。来期に向けて、そのための準備を進めていきたいと思っています。
また、今期は広告売上の単価が低迷しており、これが全体の成長鈍化の要因となっています。広告については、年単位で良い年と悪い年があり、この波を避けるのは難しいと考えています。DAUが基盤となりますが、DAU自体は大きな流れで見ると水平飛行といった状況であり、基盤自体は維持できていると思います。そのため、「ibisPaint」事業の基盤は堅調であると見ています。
今までどおりの方法でサブスクを推進すれば、年々サブスクのインパクトがかなり増しているため、成長を維持できるのではないかと思います。サブスク売上がYoY76.4パーセント増というのは急成長であり、このペースをできるだけ維持し、来期以降も伸ばしていきたいと考えています。サブスクの成長に伴い、セグメント利益も増加していくと見込んでいます。
私からは以上です。ご清聴ありがとうございました。
質疑応答:「Affinity」の無料化が売上高や利用者に与える影響について
司会者:「今年の10月から『Affinity』が無料化されましたが、売上高や利用者への影響についてどのように見積もられていますか?」というご質問です。
神谷:「Affinity」自体が非常に高機能で、無料で、広告がないという点は非常に脅威に感じています。直接的な売上高や利益への影響を推定するのは現状では難しいですが、しっかりと注視していかなければならないと考えています。
一方で、過去には例えば「pixiv」も何千万人というアクティブユーザーを抱え、高機能なペイントアプリを無料で提供し、広告もないという形でリリースした際、同様に大きな衝撃を受けて慌てたことがあります。
また、「Adobe」も「Adobe Fresco」というアプリを無料かつ広告なしで提供したことがあり、その時も焦りましたが、結果的には大きな影響はありませんでした。
そのため、十分に状況を注視しつつ戦略を考えていきますが、直近では新たに参入してきた事業者に急にスイッチすることはなかなか難しいのではないかと考えています。今後も注視していきたいと思います。
質疑応答:広告売上の復活の見通しについて
司会者:「広告売上の低迷が継続していますが、昨年レベルまでの復活の見通しはありますか?」というご質問です。
神谷:現状は底だと考えています。そのため、この先は現状よりもプラスになるのではないかと思っています。ただ、昨年レベルに戻るのか、またいつ戻るのかについては、なかなか見通しがつかない状況です。いつになるかはまったくわからないという状況です。
質疑応答:米国版「ibisPaint」の値上げによる次回決算への影響について
司会者:「10月10日に米国版の『ibisPaint』を値上げしましたが、次回の決算ではどのような影響があると見ていますか?」というご質問です。
神谷:米国で売切型の値上げを行いましたが、業績自体には大きな影響はないと考えています。売切型は、値段が上がった分出荷台数が減少したり、逆に値下げをすると出荷台数が増加することがありますが、結局掛け算をすると全体の収益に変化がない場合も多くあります。そのようなことを踏まえても、今回の値上げは大きな影響を与えないと見ています。
質疑応答:「ibisPaint」のサブスク契約ユーザーの内訳について
司会者:「『ibisPaint』のサブスク売上が好調ですが、新規でサブスク契約するユーザーについて、無料版を利用していたユーザーがサブスク版に切り替える場合と、無料版を利用していない新規ユーザーがいきなりサブスク契約する場合の2パターンがあるとすると、比率はどのようになっているでしょうか?」というご質問です。
神谷:比率が提示できるほど詳細な計測はできていませんが、ざっくりとした分析では後者の無料版を利用していない新規ユーザーがいきなりサブスク契約するケースが多いと思われます。
一方、無料版を利用してからサブスクへ切り替える人は比較的少ないです。その理由として一つ挙げられるのは、中高生のようにそもそも金銭的な支払いができない状況があることです。親にクレジットカード情報を入力してもらう必要があったり、なかなか購入してもらえないユーザーもいます。
また、サブスクに対する抵抗感がある方や、無料版を長期間利用したいと考える方もいらっしゃいます。そのため、長期間利用後に切り替えるケースも見受けられますが、そうした利用者は少ない傾向にあります。
質疑応答:「ibisPaint」におけるプラットフォーム別ユーザー割合と成長率について
司会者:「『ibisPaint』の各プラットフォーム、iOS、Android、Windows、macOSにおけるユーザー数の割合と、過去1年間の成長率を教えてください」というご質問です。
神谷:この4つのプラットフォーム別の詳細は開示していません。モバイルはiOSとAndroid、PCはWindowsとMacの2つに分けてご説明します。
モバイル対PCで言うと、サブスクリプション契約数は87.6パーセントがモバイル、12.4パーセントがPCです。成長率は1年前との比較で、モバイルが1.7倍、PCが2.6倍となり、PCのほうが成長率が高い状況です。
質疑応答:ランサムウェア感染時の「ibisPaint」利用への影響とリスクについて
司会者:「最近話題のランサムウェアに感染した場合、しばらくの間、ユーザーは『ibisPaint』を利用できなくなるのでしょうか? 感染した場合のリスクについて教えてください」というご質問です。
神谷:ランサムウェア感染については、アサヒグループホールディングスや、我々の業種ではドワンゴ、KADOKAWAといったIT企業でも事例があります。ドワンゴに関しては、今年の春頃に起きたランサムウェア感染により、「ニコニコ動画」が数ヶ月間停止し、開発をし直した部分もあったという発表を確認しています。
その際のレポートを詳細に読みましたが、犯罪行為であるためか、仕組みについての詳細な記述はありませんでした。被害規模についても、通常では考えにくい内容が含まれているように思います。一方で、名古屋の港湾システムが停止した際は3日ほどで回復した事例もあり、停止しても短期間で復旧することがあるため、犯罪の中身が非常にわかりづらく感じられます。
「ibisPaint」のサーバー自体がマルウェアによってファイルが暗号化されるというケースは非常に考えにくいと考えています。ただし、もしそのような事態が発生した場合は当然サーバーを停止するため、ユーザーが使用できなくなる期間が生じる可能性があります。
「ibisPaint」のサーバー群については、バックアップを何重にも確保しているため、通常は再起動にそれほど時間がかかるものではないと考えられます。なぜドワンゴが一部を作り直し、その作成に時間を要したのかは私にはわかりません。
また、「ibisPaint」のサーバーが感染した場合でも、使用できなくなる機能は非常に限定的です。サーバーを利用した機能は非常に少なく、販売や課金については「App Store」や「Google Play」、「Microsoft Store」、macOSの「App Store」を通じて行われ、それほど売上高に影響することはありません。素材機能やAI機能で通信が必要ではありますが、全体の98パーセントほどの機能は端末で動作しており、サーバーは使用しないので、影響は少ないと考えています。
質疑応答:ゼロイチスタート買収後の経営陣について
司会者:「先日、ゼロイチスタートを買収しましたが、ゼロイチスタートの経営陣はそのまま残ってもらえるのでしょうか?」というご質問です。
神谷:おっしゃるとおり、経営陣にはそのまま残っていただいています。彼らは非常にやる気に満ちており、私どもも楽しみにしています。
質疑応答:サブスク売上の成長要因と今後の見通しについて

質問者:今期、サブスクリプション売上が想定以上に伸びているということですが、スライド61ページでご説明のあったプロマーケットへの本格的進出やMac版のリリースの影響が大きかったのでしょうか? また、この想定以上の成長を、来期以降もプロマーケットへの進出や別のリリースなどで継続できる見通しについてお聞かせください。
神谷:Mac版自体はそこまで大きなインパクトはありません。Windows対macOSのOSシェア率もおそらく15パーセント程度と高くないことや、これまでのWindows版の売上比率も「ibisPaint」の売上全体の中ではそれほど高くないことが要因です。さらにその中でのMac版ということで、インパクトは小さいとご理解いただければと思います。
質問者:ご説明の中でPC版の伸び率が高いというお話があったと思いますが、この点については、新しくリリースしたMac版が主ではないという理解でよろしいでしょうか?
神谷:おっしゃるとおりです。主にWindows版によるものです。
質問者:Windows版やプロ向けのもの、PCで利用する層というのは、中高生というよりも、プロの方々の層だと想像しますが、この部分は施策がうまくいっているという認識でよいでしょうか?
神谷:おっしゃるとおりです。Windows版やMac版については、購入する層の購買力があることが見えています。
なお、サブスク契約数成長率に関しては、モバイル版が1.7倍、PC版が2.6倍と高くなっています。この理由の1つとして、PC版は基盤となる金額が大きくないため、伸び率が高くなりやすい面もあると考えます。例えば、2023年4月から2024年2月あたりの平均と2025年2月から2025年10月あたりの平均を比較すると、2.6倍になるといった具合です。
来期以降のサブスクリプション成長率についてですが、分析されている方はご存知のように、年々少しずつ低下しています。例えば、過去には2倍以上の成長を記録した年もありましたが、今年は1.7倍となりました。これは前期比、前年比で見ると、分母が毎年大きくなるため、これまで以上に成長を加速させるのが難しくなっている状況です。
また、さまざまな施策を最適化していますが、それらも限界に近づいていることも原因かもしれません。そのような中でも高い成長率を維持しているとは思いますが、常に170パーセントの成長を続けられるわけではないと考えています。

質問者:MAUがそれほど大きく伸びていない状況が続いている中で、ダウンロード数自体は順調に伸びているのかという点が気になっています。また、御社の場合、海外での成長に投資家として期待する部分があり、今年実施している施策が効果を発揮している中で、日本と海外におけるサブスクリプションの成長についておうかがいしたいです。
これは開示されていない部分であり、どれだけご説明いただけるかはわかりませんが、海外においてもサブスクリプションの成長にしっかりとした確度があるのか、また日本と海外で打つ施策が異なるのかについて教えてください。
神谷:ダウンロード数ですが、これについてはスマートフォンの買い替え時のダウンロードもカウントされるため、指標としては減速が緩やかになりやすい傾向があります。そのため、実際のビジネスの状況を見るには、MAUやDAUを重視する方が適切であると考えています。
海外マーケティングについてですが、サブスクリプション向けのマーケティングや自社広告誘導においては、国内と海外で大きな変化を加えているわけではありません。堀部さん、直近のサブスクリプションのシェアについて、海外や日本での増加状況など、なにか補足すべき点はありますか。
堀部拓人氏(以下、堀部):株式会社アイビス経営企画室長の堀部がお答えします。国内と海外で特に顕著な差はありません。海外も順調に伸びていますので、大きな差異はないとご理解いただければと思います。
質問者:機能の追加などを進める中で、サブスクに加入する方が増えるという施策について、期初からご説明いただいており、その施策が的中しているという認識です。そのような認識で理解しました。打つ施策が日本の絵を描く人に受ければ、海外の絵を描く人にも受け、これを継続していくということでよろしいですね?
神谷:おっしゃるとおりです。
質問者:株主としては、その点に注目しておけばよいという認識でよろしいでしょうか?
神谷:おっしゃるとおりです。
堀部:国ごとにフォーカスしたサブスク施策を特別に行っているわけではありません。全方位的に対応しているという形でご理解いただければと思います。
質問者:投資家としては、来期以降も現在の成長が続くのかどうかがどうしても気になります。その中で、日本市場を制覇したあかつきには御社の成長が止まるということになると困りますので、そのあたりについて可能な範囲で開示していただけると、理解が深まるかと思います。
質疑応答:ゼロイチスタート社とのM&Aの経緯とシナジー効果について
司会者:「ゼロイチスタートをM&Aをした経緯と、どの程度のシナジー効果があるのか、話せる範囲でお聞かせいただけますか?」というご質問です。
神谷:ゼロイチスタートは、ノーコードやローコード、AIなどを活用した基盤製品を有しており、それをお客さま向けに営業し、カスタマイズや開発を行っています。開発効率が高い点が評価され、急成長している企業です。
シナジー効果については、具体的な数字はまだお示しできませんが、その営業力の強さが当社のソリューションセグメントとの間にシナジーがあると感じています。ソリューション事業は大手企業との取引があり、またゼロイチスタートは営業力が非常に高いという点が挙げられます。
さらに、ゼロイチスタートは開発効率が良いため、ビジネスの利益率や粗利率が高い水準にあります。したがって、両者のシナジーによって、ソリューションセグメントのさらなる拡大を実現できるのではないかと思います。
質疑応答:株式分割による効果と手応えについて
司会者:「株式分割の目的について、決算短信では『投資単位当たりの金額を引き下げ、個人投資家のみなさまを含むより多くの投資家にとって投資しやすい環境を整えることで、当社株式の流動性向上および投資家層の拡大を図ることを目的とする』と説明されていました。株主名簿ができる前なのでまだ確定できないかと思われますが、この説明会の参加者の増加など、手応えを感じていることはありますか?」というご質問です。
堀部:顕著な効果や手応えというものは、まだ感じられていない状況です。また、今回の説明会の参加者数についても、直近3回程度は同じような水準にとどまっている状況です。また、株価の出来高から判断しても、顕著な効果や手応えというものはまだ感じられていないと解釈しています。
いずれにしても、サブスクリプション事業のプレゼンスは今後増していくと考えており、現在は富士山で言えば2合目あたりの段階にあると捉えています。今の段階で株式分割の施策を行うことは幅広い株主層を拡大する意味で有効であり、現時点では土台作りという意味で功を奏しているのではないかと判断しています。
神谷氏からのご挨拶
神谷:決算説明資料をご覧いただいていないライトな個人投資家の方には、なかなか伝わりづらい部分もあるかと思いますが、本質的には、サブスクリプションがこれから成長していくことが一番のポイントです。ここは非常に確実性が高いと思っていますので、その点が1人でも多くのみなさまに伝わればと考えています。
それから、M&Aについてですが、今年私は初めて経験しました。テクノスピーチとゼロイチスタートという企業をM&Aしたことで、さまざまな学びがあり、とてもおもしろいと感じています。「VoiSona」と「ibisPaint」がシナジーを生み出せるような開発やマーケティングも準備中です。テクノスピーチは現状は赤字ですが、数年後には黒字化できると考えています。
また、ボーカロイドの文化や日本のアニメ文化が世界中に広がっていると感じています。「鬼滅の刃」も大ヒットしていますが、アメリカではオタクのような存在として認識されていた人たちが徐々に一般化してきており、抵抗感が薄れてきていると感じています。
「VoiSona」は、海外マーケティングがまだまったく進められていない状況ですが、それでもかなりの割合で海外の方が利用してくださっています。現状、その層の多くはおそらくオタクの方々だと思いますが、今後はさらに広がっていくのではないかと考えています。
ゼロイチスタートについても、ソリューションセグメントとのシナジーが期待されます。営業力があることや、ノーコードツールとAIでの開発体制を確立しており、コンサルティングの見識もある急成長企業であり、今後が非常に楽しみです。こちらはテクノスピーチとは異なり、当初から黒字の会社となっています。
最後に毎回お話していますが、ソフトウェアの海外輸出を目指して以前から努力を重ねており、IT貿易赤字を少しでも減らしたいと考えています。売上高と利益の両面で結果を出す所存ですので、株主および投資家のみなさまにおかれましては、3年、5年といった長期的な視点でご支援いただけると幸いです。ありがとうございました。
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