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静岡ガス株式会社9543

東証プライム

電気・ガス業

決算のポイント

松本尚武氏:静岡ガス株式会社 代表取締役 社長執行役員の松本です。2025年中間決算についてご説明します。

第2四半期決算の概要です。スライドには決算のポイントをまとめていますが、一言で言うと、前年比で減収減益となりました。

都市ガスの販売量は、前年比で900万立方メートル減少し、7億9,800万立方メートルとなりました。小口のお客さまについては、昨年後半から続いた低気温の影響を受け、業務用および家庭用のお客さまの販売量が増加しました。大口のお客さまについては、新たにガスの使用を開始したお客さまや、既存のお客さまの生産量増加に伴う販売量の増加がありました。卸売については、卸売先との契約の減量更改や、卸先およびお客さまの需要変動により、大きく減少しました。

売上高は前年比で17億円減少し、1,036億円となりました。

スライドタイムラグ補正後の経常利益は、前年比で37億円減少し、83億円となりました。これにスライドタイムラグによる増益効果5億円を加え、会計上の連結経常利益は前年比31億円減少の93億円となりました。

経常利益の分析(対2024年2Q)

連結経常利益の対前年差異の分析です。

スライドタイムラグ補正後の経常利益は、前年比で37億円減少しました。

都市ガスの販売量が増加したことで対前年プラス3億円となりました。

関係会社その他に関しては、LPGを含むガスや電力の販売量が増加したことで対前年プラス2億円となりました。

電力部門では対前年マイナス12億円となっています。これは、昨年創設された需給調整市場での取引が、昨年は市場の新設直後で非常に大きな増益効果をもたらしましたが、本年においては市場が落ち着いてきたため、昨年ほどの利益は発生しなかったことで、対前年マイナス12億円となりました。

為替差損益については、愛知県田原市にあるバイオマス発電所における為替の評価損益が主な要因で、対前年マイナス29億円となっています。この田原バイオマス発電所では、原料調達のための長期為替予約を行っていますが、それが昨年は大きく円安方向に動いたため、大きな評価益を計上しました。しかし、今年は円高方向に動いたため、大きな評価損を計上しました。

都市ガス販売量見通し 連結

都市ガス販売量の見通しについてです。

上期の実績や卸売先、産業用の大口のお客さまへのヒアリング動向を踏まえ、通期では計画比プラス1,600万立方メートルの15億9,500万立方メートルと見込んでいます。

売上高/経常利益見通し

売上高と連結経常利益の見通しについてです。

売上高は、計画比とほぼ横ばいで推移すると見込んでいます。

スライドタイムラグ補正後の経常利益は、ほぼ計画どおり、前年比ではマイナス11億円の105億円と見込んでいます。

これにスライドタイムラグの影響によって、会計上の利益は計画比でプラス15億円の110億円、前年比ではマイナス20億円と見込んでいます。

なお、スライドタイムラグ補正前の経常利益が大きく伸びたことにより、当期純利益は計画で80億円としていましたが、91億円になる見通しです。2024年12月期は87億円でしたので、当期純利益は前年比で増益となる見通しです。

経常利益見通しの分析(対年初計画)

連結経常利益見通しの対計画差異の分析です。

スライドタイムラグ補正後の経常利益は、年初計画に比べて、ほぼ計画どおりとなっています。その内訳についてご説明します。

原料価格その他で対計画プラス17億円、都市ガス販売量で対計画プラス1億円、販管費・製造費でマイナス3億円、関係会社その他でマイナス4億円、為替差損益でマイナス10億円と見込んでいます。

原料価格その他については、JKMが比較的高く推移したことで、全日本CIFであるJLCが当社の想定よりも上昇し、それに伴い当社の調達CIFであるSLCとのCIF差が拡大し、増益効果が表れています。

関係会社その他については、5月に権利取得が完了した北米でのシェールガス開発事業による利益貢献を見込んでいます。一方で、海外事業においては、計画に織り込んでいた一部の案件が期待どおりの成果を上げられていなかったり、進捗が課題となっている事業があったりしています。これらを保守的に評価した結果、マイナス4億円となっています。

為替差損益については、田原バイオマス発電所における発電所における、原料調達のための長期為替予約が主な要因です。

株主還元

株主還元についてです。

今回、経常利益・当期純利益ともにスライドタイムラグの効果もあり、計画比で増益となったため、1円の増配を行いたいと考えています。

配当方針については、累進的配当、業績およびDOEを総合的に勘案し、配当性向3割を目標水準として継続していきます。

中間配当は20.5円とし、期末配当は当初の予想であった20.5円から21.5円に引き上げました。その結果、通期では前期の40円から2円増配し、42円の配当を見込んでいます。

静岡ガスグループの成長ストーリー

中期経営計画の取り組み状況に関して、上期のトピックスをご説明します。

まずは、静岡ガスグループの成長ストーリーについてです。静岡ガスグループがこれまでどのようにして成長してきたのか、そしてこれからどのようにして成長するのかについて簡単にご説明します。

静岡ガスグループは、都市ガスおよびLPGの小売を行ってきました。1990年代にはLNG基地を建設し、LNGの受け入れを開始しました。そして、LNGの調達に伴って得たコスト競争力を活用し、産業用分野および卸売におけるガスの拡販を進め、会社を成長させてきました。

その際に培ったエンジニアリング力や電力、オペレーションに関するノウハウを活かし、2010年代には電力や再エネ事業にも参画しました。

今後については、都市ガス事業は成熟化していく一方で、当社の強みである安定した顧客基盤や、インフラを引き続き活かすとともに、ステークホルダーのみなさまからいただいている信頼にお応えできるよう、全力を尽くしていきます。

この強みを基盤に、海外事業、くらしサービス、電力・再生可能エネルギー事業に加え、エンジニアリングサービス、LPG事業、新規事業といった分野でさらなる成長を目指します。

海外

海外についてです。

シェールガス開発事業への出資を上期に発表しました。今年5月には、Tokyo Gas America Ltdの完全子会社であるTG Eagle Ford Resources LPからの権益取得を完了しました。

このシェールガス開発事業への出資を決めた目的は、天然ガスのバリューチェーンの最大化と最適化です。利益貢献はもちろん、バリューチェーン全体での収支の変動緩和も図っています。具体的には、スライドタイムラグや原料スプレッドによる収支の変動を緩和することができると考えています。

電力・再エネ

電力・再エネについてです。

電力のお客さま戸数は、今年10万戸を突破しました。引き続き、家庭用のお客さまに加え、当社のチャネルの強みを活かせる小規模業務用のお客さまを中心に開拓を進めていきます。

需要の増加に合わせて、自社発電所である静岡ガス&パワー富士発電所の増設を決定しました。既存設備と増設設備を合わせた総出力は4万8,000キロワットで、稼働開始は2年後の2027年を予定しています。

稼働開始までに需要をさらに積み上げ、さらなる増設と、その次の4期投資への準備を進めていきたいと考えています。

再生可能エネルギーについては、これまで投資や出資参画を行ってきた各バイオマス発電所が運転を開始しました。

また、今回、新たにメタン発酵方式によるバイオガス発電プロジェクトへの出資を決定しました。本プロジェクトで得たノウハウや知見を、今後の展開に活かしていきたいと考えています。

くらしサービス

くらしサービスについてです。

今年7月にリリースしたとおり、工務店のグッドリビングがグループインしました。グッドリビングは浜松を中心に、愛知県、静岡県、神奈川県で活動しており、年間約200棟の新築を受注しています。

グッドリビングがグループインしたことで、土地の売買、新築、リフォーム、空き家・中古住宅再販、さらには賃貸まで、私たちの不動産・ハウジング事業を「面」で展開できるようになりました。

これまでは都市ガスの供給区域内に限定してサービスを行っていましたが、不動産・ハウジング事業を通じてグッドリビングのチャネルを活用し、さらなる事業領域の拡大を目指していきます。

また、mui Labと提携し、スマートホームおよびスマートエネルギーへの取り組みを開始しました。新築のお客さまやリフォームの際には、スマートエネルギーやスマートホームをセットでご提案していきたいと考えています。

その他取り組み①

その他新しい取り組みについてです。

これまで陸上養殖事業をトライアルで実施していましたが、市場性が十分に見込めること、さらに静岡市より土地をお借りできたことから、本格参入を決定し、スタートアップのARKと連携して、閉鎖循環式陸上養殖設備工事に着手しました。

ARKの他にも、前述のmui Labや、ミツモア、タケ・サイトなどのスタートアップと業務提携に加えて資本提携も行っています。スタートアップとの協業によって、今後も新しいことにチャレンジしていきたいと考えています。

その他取り組み②

グループ内での新しい取り組みについてです。

今年1月に新たなグループ企業理念として「エネルギーを中心としたグループ総合力で、豊かで持続的な未来を追い求めます」を発表しました。今回の企業理念の見直しに合わせて、理念の体系自体を再編し、行動指針および行動基準を新たに策定しました。

さらに、当社のブランドスローガンも今回新たに策定しました。新ブランドスローガンは、「湧く想い、沸かせる未来。」で、「わくわく」がキーワードです。現在、企業理念およびこのブランドを社内外に浸透させるため、さまざまなブランディング活動を行っています。

統合報告書については、今年初めて公表しました。ステークホルダーのみなさまとの対話を通じて、今後毎年ブラッシュアップしていきたいと考えています。

さらに、持株会を通じたRS制度を導入しました。これまでは社員の株価に対する意識が十分でなかったと認識していますが、RS制度を導入することでエンゲージメントを向上させていきたいと考えています。

以上で、私からのご説明を終わります。どうもありがとうございました。

〈参考〉静岡ガスの株主優待制度について

当社は2021年より株主優待制度を導入しています。株主さまには安心して長く株式を保有いただきたいという思いから、株数と期間に応じて、株主優待ポイントを進呈するポイント制としています。

株主優待ポイントは、静岡県の特産品・名産品や、当社ポイントサービス「エネリアmottoポイント」との交換、商品に代えて公益法人等への寄付など、お好きなものをお選びいただけます。

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