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株式会社True Data4416

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米倉裕之氏(以下、米倉):株式会社True Data代表取締役社長の米倉裕之です。本日は、2026年3月期第1四半期決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。本日は、当社のビジネスと成長戦略をカンパニーハイライトとしてご説明した後、第1四半期の決算説明を行います。よろしくお願いします。

エグゼクティブ・サマリー

第1四半期決算のサマリーです。詳細については後ほどご説明しますので、ポイントのみ簡単にお伝えします。

売上高は前年同期比7.9パーセント増となりました。ただし、採算性の悪い案件を切り離したことで売上の基盤が崩れた部分もあり、その結果としての7.9パーセント増となっています。我々としては、下期にはストック売上が大きく積み上がると考えており、想定どおりの進捗と見ています。

スライド中央は利益に関するデータです。売上が前年同期比7.9パーセント増であるのに対し、売上総利益は前年同期比11.4パーセント増となりました。これは、低採算案件の打ち切りによる収益性の改善が寄与した結果です。

粗利率は60.2パーセントとなり、この水準が当社のビジネスに適していると考えています。粗利率を重要視しながら、今後もビジネスを構築していきたいと思います。

一方、営業利益については、成長投資の一環として「NRF 2025: Retail's Big Show Asia Pacific(NRF APAC 2025)」というカンファレンスへの出展などで1,500万円ほどの費用を使用したため、振るわない結果となりました。

資料には記載していませんが、M&Aなどで非常に良い案件があり、挑戦しました。結果としてはご縁がなかったものの、このように成長を加速させる取り組みには、積極的に取り組んでいきたいと考えています。

スライド右側の表は通期計画に対する進捗率です。4四半期で区切った25パーセントを目安とすると、進捗率は下回っていますが事業自体は非常に堅調であると考えています。

「通期計画」と書かれた行の数字が、今年度の最終ゴールとして設定したものです。我々はこの数字は達成可能であると考えています。この数字を達成すると、前期比で売上高は28.7パーセント増加、営業利益は300パーセント増加、当期純利益も900パーセント増加となります。

数字が小さいということもありますが、事業自体については、四半期ごとにラップを刻むことよりも、押さえるべきポイントを確実に押さえ、「長期的な企業価値の成長」に向けた投資や努力を着実に行うことが重要だと考えています。

「これからはビッグデータと、生成AIやAIエージェントなどAIの時代が来る」と確信されている方が多いと思います。私もそのように考えています。一般的な企業は生成AIやAIエージェントから入り、その後に読み込んで使用するビッグデータをどうするか、という流れになります。

我々はビッグデータから入り、そこに生成AIやAIエージェントをどのように結び付けていくかを検討しています。近い将来、3年以内にはどちらの戦略が最適だったのかが明確になると考えており、それを楽しみにしています。

True Data が実現できること

カンパニーハイライトについてご説明します。スライドは当社のビジネスモデルを示したものです。当社は「POS」や「ID-POS」と呼ばれるリテールデータの精製・活用を通じて、主なお客さまである消費財メーカーや小売業の収益をDXによって最大化する会社です。

ビジネスモデルの模倣困難性についてご説明します。一般的な会社では「データの活用を実現して」という言葉になると思いますが、我々はここに「精製」という言葉が入っています。

スライドの図にある「リテールデータプラットフォーム」という部分で、データの精製(クレンジング)やビッグデータ同士の紐づけ(コネクト)を行っています。この機能を持っていることが、当社の模倣困難性であると考えています。

この機能により、クレンジングにより整えられたデータを円滑にAIへ投入することが可能となります。これが当社における非常に大きな強みとなっています。

ビジネスモデル

当社のビジネスモデルです。スライドに「マーケティングSaaS」と記載していますが、当社のビジネスでは、面で広げていくことが非常に重要だと考えています。その際に、お客さまごとにシステムを作ると時間も費用もかかります。そこで、それぞれのお客さま専用の環境を確実に構築し、その環境でデータを確保します。そのデータをいかに活用するかについては、SaaSという考え方を用いて横展開を進めています。

小売業のお客さま向けには「ショッピングスキャン(Shopping Scan)」というプラットフォームを導入し、データを活用できるように横展開を進めています。また、消費財メーカーには「イーグルアイ(Eagle Eye)」というSaaSを展開しています。

ソリューション|Eagle Eye

「イーグルアイ」についてご説明します。年間の平均単価は1社当たり約500万円で、現在は約160社のお客さまに導入いただいています。基本的に、この160社は当社の営業が直販したものです。

ソリューション|Shopping Scan

小売業向けのSaaSである「ショッピングスキャン」についてご説明します。このSaaSは非常におもしろい構造を持っています。

当社のミッションは「お客さまの収益を最大化する」です。小売業が自身のデータを活用しようとする場合、基本的には投資を行い、費用をかけて必要なテクノロジーを整備し、データを活用する話になりますが、むしろ収益をプラスへと導くための生態系(エコシステム)を構築しています。

大手の小売業であれば、150社から200社といった多くの消費財メーカー(サプライヤー)が品物を納品しています。消費財メーカーは「当社の商品はすばらしいです」「とても良いものです」と提案しながら営業活動を行っています。

そこで「ショッピングスキャン」を導入いただくと、データをもとに分析を行い、「データから見るとこうなっているので、この商品を置いてこのような店作りをするといいのではないか」「このような品揃えにしたらいいのではないか」といった提案が可能になります。

もう一つの特徴は、小売業から消費財メーカーに、データを月額料金のようなかたちで提供できる点です。これにより自社のデータを安心・安全にサプライヤーと共有できる環境を構築することが可能になります。

したがって、このシステムを導入することで、小売業は自社データをさまざまな視点で分析できるようになり、サプライヤーからはデータに基づいた提案を受けられるようになります。売場や品揃えが向上してお客さまに喜ばれるだけでなく、サプライヤーからの収入により、システム導入のコストになるどころか、収益がプラスとなる生態系が実現します。この取り組みを広げているのが「ショッピングスキャン」です。

「お客さまの収益を最大化する」という軸を念頭に置きつつ、丁寧にビジネス設計を行い、横展開を加速させているのが、当社のビジネスモデルです。

競争優位性と主なクライアント

現在、ホームセンター・ドラッグストア・スーパーマーケットの国内市場規模は27兆3,000億円です。そのうち5兆5,000億円規模の小売業のみなさまに当社のデータプラットフォームを導入いただいており、さまざまなかたちでご活用いただいています。

年間アクティブ数である約6,000万人は、過去1年間でポイントカード等を使用してお買い物をされた実績です。これらのリテールデータを、さまざまな価値を生み出すソリューションを通じて、スライド右側に示すとおり多くのお客さまにご利用いただいています。統計化された市場データは、政府機関にも採用されています。

財務ハイライト

スライドは2025年3月期の財務ハイライトです。当社は3年前に上場して以来、成長のための基盤作りに注力してきました。これからはその基盤を活かし、成長を加速していくフェーズに入ると考えています。

スライドには、その土台作りがどのように進んできたかを示しています。全社売上高のうち91.8パーセントがストック型売上となっており、これが安定した収益基盤を構築しています。

また売上総利益CAGRは直近4年間で15.5パーセントを達成しており、今後の規模拡大に伴い利益の拡大余地も大きいと考えています。

事業ハイライト

事業ハイライトです。スライド左側は、主力サービスの「イーグルアイ」の契約社数とチャーンレート(解約率)の推移です。カスタマーサクセスを強化した結果、解約率は0.29パーセントとなり、日本でも最高レベルになってきたと考えています。非常に継続率の高いサービスです。

スライド右側は、小売業向けのサービス「ショッピングスキャン」の購買データ量の推移です。現在、小売業のお客さまにご活用いただいている購買データの規模が約5兆5,000億円となり、順調に支持を集めていると考えています。

ロードマップ

当社のロードマップについてご説明します。前期は、伊藤忠商事との資本業務提携やコストコンサル事業の買収、AIソリューションの開発を通じて、「販路」と「ツール」の強化を進めました。

今期に入ってからは、アルフレッサ ヘルスケアやHakuhodo DY ONE、ソニーグループのSMNとの連携など、各企業との協業を進めています。

引き続き、当社のアセットを最大限に活用し、業容の拡大を本格化して、さらなる成長の加速を目指していきます。

成長戦略

成長戦略についてです。1つ目は「大企業~中堅・中小への拡販」で、水平展開を進めることです。安心してお使いいただけるデータプラットフォームでデータクレンジングなどのデータの下ごしらえの機能を整備していますので、これを横に広げていきます。

2つ目は「アップセル・クロスセルの推進」です。データプラットフォームをお客さまに導入いただいたあとは、データにAIを組み合わせることで新たな価値を生み出すことが可能となります。新しいAIやさまざまな要素を追加していくことで、縦方向、すなわち垂直的に価値を拡大し提供していきます。

3つ目は「守りのDXの強化(生産性改善支援)」です。成長投資はお客さまにとって非常に重要なテーマであり、特に日本企業では稼ぐ力が問われています。しかし成長投資を行おうとすると、資金をどこから調達するのかという課題が出てきます。つまり、成長投資にどれだけ資金を振り向けられるかが重要な論点です。

当社では「POS」や「ID-POS」などのデータを活用して最適化を図ることで、この課題に対応できると考えています。最適化を行うことでロスを減らし、そこから生まれた利益を成長投資に回し、攻めのマーケティングソリューションに取り組むという、両軸の構造を持つことを目指しています。その一環として、「守りのDX強化」を開始しました。

これらの3点を進め、効果的に組み立てて広げていくことが基本戦略です。

四半期業績|サマリー

2026年3月期第1四半期の決算概要についてご説明します。スライドは四半期業績のサマリーです。売上高は前年同期比7.9パーセント増、売上総利益は前年同期比11.4パーセント増となりました。こちらは、前期に受注した大手小売向けリテールDXサービス開発案件の分割計上が寄与したためです。分割計上とは、売上の一部が計上されるということです。

営業利益については、成長投資の一環として海外展示会への出張費用などの一時的な費用増があり、1,100万円と振るわない結果となりました。

四半期業績|売上高

スライドでは、売上高の推移をストック型とスポット型に分けて分析しています。ストック型の主力サービスである「イーグルアイ」については、前四半期比3.1パーセント増と着実に成長しています。一方で、前期に実施した低採算案件の打ち切りにより、ストック型全体では前年同期比3.8パーセント減の3億4,800万円となりました。

その他スポット型については、例年、第1四半期に収益計上されることはほとんどありませんが、今期は大手小売向けリテールDXサービス開発案件の分割計上が寄与し、スポットで6,100万円という売上となりました。

第2四半期以降に関しては、こちらの大手小売向けリテールDXサービス開発案件の分割計上の残りがスポット型売上として計上される見込みです。さらに、複数の大型案件のストック売上が順調に積み上がっていく予定です。

四半期業績|売上総利益・売上原価

売上総利益と売上原価の推移です。先ほどご説明した増収要因に加え、低採算案件の打ち切りやスポット型案件の内製開発が増加したことで、外部流出費用が減少しました。

その結果、売上総利益は前年同期比11.4パーセント増を確保し、売上総利益率は60.2パーセントとなりました。

四半期業績|営業利益・販管費

営業利益と販管費の推移です。売上総利益段階までは前年同期比で増益を確保したものの、リテールカンファレンスへの出展関連費用などの一過性の費用に約1,500万円を使用したため、営業利益は1,100万円にとどまりました。第2四半期以降は、その他の販管費は平準化すると考えています。

IRニュース|一覧

前期から今期にかけての主なIRニュースは、スライドのとおりです。

IRニュース|トピックス

トピックスです。6月にシンガポールで開催された世界最大級のリテールカンファレンス「NRF APAC 2025」に共同出展しました。現在ウエルシア向けに導入を進めているAI販促ソリューションを中心に、120名を超える参加者にデモやプレゼンを行いました。

このイベントを通じて、「データを活用して顧客体験を高める」「販促効果を最大化する」といった課題意識は、日本と同様に海外の小売業のみなさまにも共通して抱えていること、そして当社のソリューションが世界でも通用すると強く実感しました。

今回の出展を通じて多くの引き合いがあり、今後のお客さまの獲得につなげていきたいと考えています。

IRニュース|トピックス

スライドは新しい領域である広告分野におけるトピックスです。7月にソニーグループのSMN株式会社とデジタル広告分野での連携を開始しました。

SMNは、AIを活用したデジタル広告配信サービスを展開しています。この連携により、当社の購買データを連携することで、精度の高いターゲティングに基づいたデジタル広告の配信が可能になります。またその後、その広告が購買にどれだけ実際に貢献したかを可視化する購買リフト分析も実施します。

このような協業を通じて、当社はデータを活用した広告効果の最大化に貢献していきたいと考えています。

通期計画|サマリー(2025/5/14開示内容の再掲)

通期計画のサマリーです。スライドは再掲となりますが、売上高は20億円、営業利益は1億6,000万円を計画しており、前期比で大幅な増収増益を見込んでいます。

通期計画|前提条件と経営意思(2025/5/14開示内容のアップデート)

通期計画の前提条件と経営意思についてご説明します。売上高については、スポット型では受注済みの大型案件が順調に進行しており、第2四半期以降に順次計上される見通しです。

ストック型では、「イーグルアイ」の拡販と、大型案件の立ち上げによりストック型の収益計上が開始され、拡大していく見通しです。

売上総利益に関しては、大型スポット案件が複数計上されるため、一時的に売上総利益率がわずかに低下する可能性があります。これは、内製だけでは対応が難しい大型案件については、外部リソースを活用する部分もあり、その影響が若干反映されるためです。

営業利益については、従業員エンゲージメント向上のための人的資本への投資や、M&A強化に向けた先行投資を予定していますが、適切にコントロールしながら通期計画の達成に向けて取り組んでいます。

もっとも重要なのは、「長期的な企業価値の向上」に最大限コミットすることだと思います。そのための戦略、取り組み、投資に全力を尽くしたいと考えています。

通期計画|進捗状況

通期の進捗状況について、第1四半期の時点でのデータをお伝えします。売上高の進捗は20.5パーセント、営業利益は6.9パーセントと、目安となる25パーセントを下回っています。

しかし、当社はストック型売上を中心としたビジネスモデルであり、期が進むにつれて売上高と利益が増加する構造です。

さらに今期は、第2四半期以降に大型案件のスポット型売上が計上される予定となっています。そのストック型売上の計上も開始されるため、売上高・利益ともに第2四半期以降は順調に積み上がっていく見通しです。

スライド右側のグラフは、大型案件の開発や検収スケジュールによる四半期業績の変動可能性を補足説明するものです。

ご説明したとおり、第2四半期以降、大型案件のスポット型売上の計上およびその後のストック型売上の計上開始を予定しており、この計上時期により四半期ごとの収益水準が大きく変動する可能性があります。現在は順調に推移しており、オンスケジュールでのパターンとなる見通しです。

中期経営計画の見直しに関して (2025/5/14開示内容の再掲)

中期経営計画に関してご説明します。2027年3月期を初年度とする次期中期経営計画の策定を進めています。新たな成長ステージに入ることを踏まえ、その戦略を盛り込み、当社のさらなる企業価値向上を目指す計画となります。策定が完了次第、2026年3月期中に発表する予定です。

質疑応答:「イーグルアイ」の成長要因と今後の戦略について

司会者:「主力サービスである『イーグルアイ』の売上高は着実に伸びています。その要因と、今後の成長戦略について教

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