2025年12月期 第2四半期累計決算のポイント
李剛氏:ネットスターズCEOの李剛です。みなさま、本日のご報告は明快です。売上が力強く伸び、利益は確実に積み上がり、決済取扱高は過去最高を記録しました。この半年間、総じて非常に良い成果を上げることができています。特に大型案件の獲得は、数字にもはっきり表れています。
まず、売上の成長についてです。売上高は前年同期比でプラス25.6パーセントとなり、四半期で史上最高のGPV(決済取扱高)を達成して売上の伸びを牽引しました。この成長の要因は、3つあると考えています。
1つ目の要因は、加盟店ネットワークの拡大です。新規加盟店の獲得が加速しており、例えば渋谷の東急百貨店が新たに加盟してくださいました。2つ目の要因は、既存加盟店の取扱高の増加です。利用頻度や平均取引額の上昇に関係しています。最後の要因は、サービス領域の拡張と決済関連サービスの収益化の加速ととらえています。
次に、利益構造の改善についてです。営業損益は5,900万円の黒字となり、前年同期比で3億1,700万円の改善となりました。
サーバー運用の効率化、クラウドコストの最適化、販管費の適正化、高付加価値サービスの比率上昇が寄与した結果、単なる売上増ではなく、利益を生み出す体質への確実な転換が図れています。
さらに、経常利益と純利益についても黒字が拡大しています。経常利益は1億5,100万円、当期純利益は1億2,700万円となり、前年の赤字から大幅に改善し、利益の安定化が進んでいます。
当社のコア指標であるGPVは過去最高を達成し、半期累計9,803億円、前年同期比33.3パーセント増となりました。この伸びは、新規加盟店の増加、既存取引の拡大、インバウンド需要の増加、そして海外決済利用の拡大が総合的に寄与したものです。
上期の実績により、下期へ向けての土台がしっかりと固まりました。ただし、上期は総じて好調だったものの、下期の見通しについては外部環境の変化に注意を払う必要があると考えています。
米国の通商政策、特にトランプ関税などについては、マクロ経済要因や国内の消費動向などに影響を及ぼす可能性があります。そのため、私たちは成長を示しつつ、慎重な経営姿勢を保ちます。
今後の成長戦略についてです。国内では、既存加盟店へのクロスセル、新業種の開拓、大型案件の継続獲得を進めます。海外では、アジアや中東を中心に、決済とDXサービスを加速展開していきます。
新しいサービスでは、決済データの活用や店舗支援などの高付加価値サービス領域を強化していきたいと考えています。さらに、「JPQR」の普及と利用拡大にも継続的に注力していきたいと思います。
上期では、売上、利益、GPVのすべてにおいて過去最高水準を達成し、事業の質も向上しました。また、大型案件が数字の成長を後押ししました。この勢いを下期も発展させていきたいと考えています。
簡単ですが、以上がサマリーとなります。次に、CFOの安達が詳細をご説明します。
我々のミッション
安達源氏:CFOの安達源です。それでは、詳細について説明します。全体として、半期までの成績を見ると、我々が想定していた以上に収益が上がり、利益をもたらしたと考えています。
また、「お金の流れを、もっと円(まる)く」のとおり、キャッシュレスの波が確実にマクロとして追い風になっていると感じています。
それが当社のチャーンレートの低さや新規獲得への貢献につながり、総じてよい効果をもたらしたのではないかと思っています。
この流れを断たぬよう、さまざまなサービス拡充を通して、より加盟店さまに決済部分をもっと拡張的に、当社のクロスセルおよびアップセルを通じてご利用・ご活用いただきたいという思いで実践しているところです。
事業の概要 NETSTARSが提供する主なサービス
事業概要については、ご参加いただいているみなさまにはご承知のとおりかと思いますが、この半期、さらには下期以降についても、基盤となるのは決済手数料率が売上に寄与する点です。
特に、左側のキャッシュレス決済においては、QRコード、電子マネー、クレジットカードといったすべての手法を伸ばしていくことが非常に重要だと感じています。この基本戦略については、引き続き変更はございません。
事業の概要 キャッシュレス決済ゲートウェイサービス
また、このキャッシュレスに関してですが、昨今ご案内のとおり、さまざまな新規パートナーの方々とともに加盟店の開拓を進めていることが、ここにきて大きな追い風となっているのではないかと思います。
そのため、直近で連携をご案内したStripe社のような大型パートナーをはじめ、それほどの規模ではないものの特定のセクターに強い団体など、新たなパートナーが増加している状況です。
こうした中で、決済ゲートウェイ事業において、当社グループでは連結ベースで240名程度の人員規模となりますが、そこを拡充するかたちで、下期には、新規加盟店のネットワークを来期に向けてしっかりと開拓していく必要があると考えています。
事業の概要 StarPay-DX ~ワンストップでのDX化を実現
また、DXに関しては、計画対比で2,000万円程度下回っている状況ではありますが、今年の通期予測でご案内したとおり、大型案件に依存するのではなく、中小規模の案件を積み重ねる方針です。
案件数自体はかなり増加しているため、引き続き計画を見越しながら努力を重ねなければならないと考えています。また、ここからもたらされる追加の決済手数料が寄与してきていることが、全体的な結果に表れていると認識しています。
引き続き、手数料をメインに据えながら、全体の収益構造のさらなる拡充に努めたいと考えています。
当社の強み ①技術力・開発力
ここからがご報告となります。我々のコスト感や利益構造が改善している大きな要因の1つとして、サーバー費用やクラウドのフル活用が、思いのほか進んでいるという印象を受けています。
要するに、当社の基盤となるコアインフラの効率性が大幅に高まっています。そのため、1決済あたりのコストは、前回ご報告した際から小数点以下を四捨五入しているため見づらくはありますが、コスト改善があらゆる面で販管費の削減につながっています。
これが収益体制の改善に結びついており、我々はこれを昨年から、あるいはそれ以前からも注力して取り組んでいます。新規開発への注力と同等、またはそれ以上に社内コストの改善に力を注ぎ、実直に進めています。
当社の強み ①技術力・開発力~AIの活用による更なる効率の追求
その1つとして、AIの導入、自社による生成AIの研究を数年前から始めたことが挙げられます。この取り組みが、コアシステム構造の改善に大きく寄与しています。
また、このコスト構造の改善はやや加速度的に進んでいるように感じられます。この結果、同じ粗利でも営業損益や経常損益に好影響を及ぼしています。
当社の強み ②強固な加盟店網、最大級のブランド数
先ほど李から案内がありました加盟店についてです。通期で計画していた、大型のPOS改修費を伴うクライアントについては、スケジュールどおりローンチすることができました。
例えば東急百貨店は、渋谷の再開発が進行中ですが、新たな加盟店として契約いただいた状況です。このように、今年の大型加盟店は、昨年獲得したものが大半を占めるものの、スケジュールどおりにローンチできています。
これがトランザクションボリュームの増加に大いに寄与していることがデータからも示されており、非常にありがたい結果です。
さらに、今年は大型のチャーン(解約)が正直ほとんどない状況であると、はっきりと自信を持ってお伝えできる段階にあります。そのため、低チャーンレートおよび新規獲得が、加速度的にトランザクションボリュームの押し上げにつながっていると考えています。
当社の強み ③広範なパートナー基盤
パートナーについてです。スライド上の更新はありませんが、今年はStripe社をはじめとしたさまざまな企業との連携を深めています。
また、スライドには掲載されていませんが、新たなパートナーも増え、提携の範囲が広がってきています。そのため、既存パートナーとの連携の深度やパートナー数の拡大が、今年の重要なテーマとなっています。
これはキャッシュレスやDXにおけるクロスセルの観点でも進めており、計画どおりに進んでいると考えています。
損益計算書の主要科目とKPI
あらためて、決算の概要についてご説明します。まず売上高です。セクターごとの入れ替えがある中で、決済手数料が計画を上回り、当初9,400億円と見込んでいたGPVが9,800億円となり、順調に積み上げができています。
DXについては、大型案件の1割換算があるものの、残念ながら大型案件への参入はまだ実現できていません。いずれにせよ入れ替えがあるものの、DXやインバウンドプロモーションといった収益性が低いセグメントに対して、収益性の高い決済手数料でカバーしています。
そのため、売上高は計画対比でほぼ一致していますが、総利益については、売上トップラインよりも良好な結果となりました。また、先ほどのご説明のとおり、販管費のケアに非常に力を入れた結果、改善傾向にあります。営業損益も計画に対して大きくプラスとなり、余裕を持つことができています。
さらに、第1四半期でお伝えしたように、受取利息として今四半期でも3,300万円を計上しています。その結果、経常損益や当期純損益は昨年と比較して大幅に改善し、かつ計画対比でも余裕ができています。
総じて、「so far so good」というキーワードで全体をまとめることができ、半期のご報告としては現時点で非常に安心感のある内容となりました。
一方で、我々が起因というよりも、正直なところ、トランプ関税の影響やマクロ環境が需給に及ぼす影響が、今後の第3四半期や第4四半期に表れる可能性を完全には否定できない状況だと思っています。
現時点では、キャッシュレス化の追い風がその影響をはるかに上回る強さを持っていることははっきり言える結果となっています。ただ、そのあたりについては精査・注視しながら、業績の予測が過度に強気にならないよう検討する必要があると考えています。
まずは状況を見守るべきだと考えています。収益性では計画を大きく上回っているものの、現在進行中のプロジェクトも含め精査を進めていると理解していただければと思います。いずれにせよ、かなり計画対比で余裕を持っているという状況です。
損益計算書の主要科目とKPI:1Q及び2Q単体
こちらは、念のため業績予測を四半期ごとに開示していたものを、比較として単体のものも掲載しています。ご覧いただければおわかりのとおり、決済手数料が伸びており、その影響で受取利息も増加しています。
また、第1四半期にPOSの販管費が若干ずれたことをお知らせしていましたが、それをおおよそ吸収しながら、第2四半期ではここまで収益の改善が見られました。総じて悪くない結果だったと言えるのではないでしょうか。
売上総利率についても、取扱高が大きく伸びたことに伴い、79パーセントとなっています。ただし、ご留意いただきたい点として、通期で79パーセント程度まで維持できるかというと、現状がかなり高い水準であることはご理解いただければと思います。
売上高・GPVの四半期推移
こちらはトランザクションボリュームの推移です。おかげさまで、四半期単体で初めて5,000億円を超える結果となりましたが、半期では惜しくも1兆円に若干届きませんでした。
約2年前に「1年で1兆円は達成できないだろう」と話していた我々が、この半期でそれを達成したことになります。もちろん我々としても企業努力を怠ってはいませんが、キャッシュレスの追い風があることは間違いなく感じています。
この状況を牽引しているのは内需の伸びだと考えています。そのため、アベレージの手数料率については、インバウンド需要が旺盛で比率が高かった時期と比較するとやや劣っているといえますが、いずれにせよ非常に良いモメンタムであると考えています。
当社GPVの内訳
その中で、こちらがGPVの内訳です。インバウンドも伸びてはいるものの、国内の内需の伸び幅が目立っています。特に、クレジットカードやNFCがQRコードに並び、さらにそれ以上に伸びたという第2四半期となりました。このように、国内で利用されているクレジットカード、NFC、国内QRが、現在の伸びを牽引していると考えています。
一方で、海外の方による日本でのキャッシュレス利用、あるいは国外のトランザクションボリュームを比較すると、伸び率では日本国外のトランザクションボリュームが大きく伸びています。しかし、絶対値としては国内の内需が引き続き牽引している状況のように思います。
サービス別売上高構成比(調整後)
セグメント別の売上高についてです。第1四半期から大きな変化は見られません。端末が昨年より若干多く売れている点はありますが、それも1パーセント台の変動にとどまるため、大差はないと考えています。1番の牽引役が決済関連の手数料であるという構造は今年も変わらない見込みです。
営業損益の増減要因
収益の分析についてです。昨期対比でどれだけ幅が広がったかという点ですが、決済売上高の増加がすべてをカバーしました。それに伴い、営業損益もしっかりと黒字化し、ここからは黒字を積み上げていくフェーズに完全に移行していると思われます。これからはしっかりとボトムラインを伸ばしていきたいと考えています。
トピックス(2025年4月以降)
今回のトピックは以下の3点です。まず、四半期の決済取扱高が5,000億円を突破しました。また、大阪・関西万博において初めて「JPQR Global」がローンチされました。さらに、既存加盟店向けの付加サービスとして、メルカリの「メルカリ ハロ」と協業し、当社の「StarPay-Works」の加盟店管理画面から「メルカリ ハロ」に申し込みが可能になっています。
トピックス1 :四半期での決済取扱高が5,000億円を突破
トランザクションボリュームについては、これまでにご説明したとおりです。
トピックス2 :大阪・関西万博で国内初の JPQR Global 提供開始
大きなトピックとして「JPQR Global」というプロジェクトがあります。これは経済産業省やキャッシュレス推進協議会がしっかりとハンドリングしているビッグプロジェクトであり、日本を代表するインバウンド決済事業です。
万博会場内では、カンボジアの決済が取扱可能となっています。これにより、カンボジアの方が万博会場に来場された際や在日の方が、統一QRコード規格の中で決済を利用できるようになりました。同じQRコードを用いて、今後複数の国のQRコードが続々と対応する予定です。
その中でネットスターズは、日本側のスイッチャーとして関与しています。この取り組みはまだ黎明期にありますが、今後対応する国がさらに増加すると思われます。引き続きご期待いただき、今後の案内についてもぜひフォローいただけると幸いです。
トピックス3 :メルカリが運営する「メルカリ ハロ」と協業を開始
「メルカリ ハロ」との協業についてです。これは、先ほどお話ししたパートナーとの連携拡充をさらに深化させる取り組みの一環です。この取り組みによって、当社の現在約1万5,000社の加盟店のみなさまが、ご自身の「StarPay」売上管理画面から簡単に「メルカリ ハロ」を申し込むことが可能となります。
メルカリ社と既存の「メルペイ」などを通じて築いてきたような関係性をさらに強化し、パートナーシップを一段加速させる動きを他のパートナー企業とも協議を重ねています。その中で、このようなアドオン施策やお互いにシナジーのある施策が今後も増えていくと考えています。
この協業は、今年から来年にかけての重要なパートナー戦略の一部であり、しっかりと取り組んでいく所存です。随時ご案内を発信していきますので、引き続きご注目いただければ幸いです。
高い成長ポテンシャルを有する市場
マーケット環境については割愛しますが、追い風が続いていることが、当社の業績にも多少反映されているかと思います。
中期的な成長に向けた基本戦略
成長戦略についてです。半期という区切りということで、現状大きな変更はありません。
トランザクションボリュームを増加させることが喫緊の課題であり、長期的にも慢性的な課題として継続するものと考えています。我々がすべきことは、チャーンレートをできる限り低位に安定させること、新規加盟店の獲得、そして既存加盟店からのトランザクションボリュームを増やすことの3点に絞られます。この3点については、非常に自信を持って取り組めた半期だったと言えると思います。
マルチキャッシュレス決済
各セグメントの主要な戦略についても、大きな変更はありません。先ほどご案内した「メルカリ ハロ」のように、パートナーの強化が重要なポイントだと考えています。今年のキャッシュレスの新規加盟店獲得については、ある程度のめどが立っていると見ています。そのため、今年から来年以降に向けて、パートナーとのより深化した戦略を推進し、網目を広げていくことが必要です。
特に、当社の「StarPay」の網目をさらに広げることが非常に重要だと思っています。そのため、多くの加盟店を持つ方だけでなく、特定のセクターに強みを持つパートナーや、ニッチな業界で高い専門性を持つ方々など、幅広い方々との協業を進めています。こうした取り組みにより、しっかりと来期以降に向けた土台作りを行うべきタイミングが下期に来ていると考えています。
DXソリューション
また、それにクロスセルやアップセルが可能であることは、当社の最大の強みです。DXはキャッシュレスとクロスセルを実現するツールとして非常に有用であり、パートナーにとっても、当社とタッグを組むことで、キャッシュレスのみならず、その周辺領域にもワンストップで対応可能となる協業が実現します。そのため、パートナーが複数の企業と提携する必要がなくなります。
システム関連については「ネットスターズにご用命ください」と簡潔に伝えられることも、当社のパートナー戦略における強みとなっています。この点もさらに具現化し、みなさまに良いお知らせができるよう、しっかりと進めていきたいと考えています。
DXソリューションの2025年重点施策
DXについては、案件数はありがたいことに増加しているものの、売上高という面ではもう少し伸ばしたいと考えています。そのため、引き続き努力していかなければなりません。ただ、足元では手数料の伸びによって間違いなくカバーできる年になりつつあり、クロスセルのできることも確実に広がっています。
いわゆる大型案件だけでなくとも、中小規模のクライアントやSMB(中小企業)の方々に向けて、より安価で迅速な提供が可能なSaaSに近いかたちのサービスから、フルスクラッチでの制作まで幅広いラインナップに対応しています。このように、この2年間で商材が大きく広がってきたこともあり、今後さらにご案内を加速させるフェーズに入ったと感じています。
海外展開
最後に、海外展開についてです。スライドに赤字で記載されている箇所が更新点となります。万博会場においてカンボジアの決済システムがパビリオン等で利用できるようになりました。
万博はフルキャッシュレスで注目が集まる場の1つでもあります。この「JPQR Global」プロジェクトは、さまざまな方向で今後も推進されていく予定です。これはようやく日の目を浴びた日本発の統一QRコード規格であり、日本のキャッシュレス化に貢献するプロジェクトです。
このプロジェクトには、日本発のキャッシュレス化を進めるという強い思いが込められており、ネットスターズ社がその責任をしっかり果たし、貢献していきたいと考えています。経済産業省をはじめとする日本政府のキャッシュレス化推進を全面的にサポートしていきたいと思っています。
財務・資本戦略
半期での財務・資本戦略について変更はありません。