2026年3月期 第1四半期テレフォンカンファレンス

川村茂之氏(以下、川村):みなさま、こんにちは。6月26日に前任の涌元から代表取締役社長を引き継ぎました、川村茂之です。本日は、他の多くの会社で決算説明会が開催されて大変お忙しい中、弊社の決算説明会にご参加いただき誠にありがとうございます。一言ご挨拶申し上げます。

本年度は日本化薬にとって、中期事業計画「KAYAKU Vision 2025(以下、KV25)」の最終年度にあたります。この最終年度をしっかりと仕上げると同時に、2026年以降、中長期にわたって日本化薬の従業員およびステークホルダーのみなさまにワクワクしていただけるようなビジョンを描くことに注力し、全力で取り組んでいきたいと考えています。

今後も、投資家のみなさま、株主のみなさま、その他ステークホルダーのみなさまとこれまで以上に対話を重ね、弊社へのご理解を深めていただけるよう尽力していきます。本日の決算説明会もどうぞよろしくお願いします。

2025年度 第1四半期 実績

井上晋司氏(以下、井上):取締役常務執行役員の井上です。私より、2026年3月期第1四半期の決算ならびに業況についてご説明します。

第1四半期の売上高は548億円で、前年同期比11億円の増収となりました。部門営業利益は、原料価格の高騰、一部価格転嫁の遅れ、為替影響、将来に向けた投資に伴う固定費増により67億円となり、前年同期比で10億円の減益です。営業利益は44億円で、前年同期比12億円の減益となりました。

また、為替差損が3億円発生したことから、経常利益は41億円となりました。昨年度は為替差益が17億円あったため、前年同期比で32億円の減益です。

今期は投資有価証券売却益が19億円発生し、当期純利益は43億円となりました。前年同期比で7億円の増益となっています。

なお、第1四半期の為替感応度は、売上高で1億5,000万円、営業利益で3,000万円です。実際の影響額の総額は、売上高で16億円、営業利益で3億円となっています。

2025年度 第1四半期 実績 セグメント別

第1四半期のセグメント別実績についてご報告します。セグメント別では、モビリティ&イメージング事業領域の売上高が224億円で前年同期比5億円の減収、ファインケミカルズ事業領域の売上高は167億円で前年同期比5億円の増収、ライフサイエンス事業領域の売上高は157億円で前年同期比11億円の増収となりました。

部門営業利益は、モビリティ&イメージング事業領域が24億円で前年同期比14億円の減益、ファインケミカルズ事業領域は25億円で前年同期比1億円の増益、ライフサイエンス事業領域は19億円で前年同期比2億円の増益となっています。

5月に公表した部門営業利益予測に対する進捗率は、モビリティ&イメージング事業領域が44パーセント、ファインケミカルズ事業領域が52パーセント、ライフサイエンス事業領域が43パーセントです。詳細については、この後の各領域別の説明でお話しします。

2025年度 第1四半期 実績 サブセグメント別

サブセグメント別の売上高についてです。モビリティ&イメージング事業領域のセイフティシステムズ事業は179億円で、前年同期比3億円の増収となりました。KSH(中国)は45億円で前年同期比7億円の増収となり、前期と同じく数量増による拡大基調が続いています。

一方、KSM(メキシコ)は26億円で、前年同期比4億円の減収となりました。米国の輸入関税措置により顧客の生産が減少したことや、新規インフレータ案件の立ち上げ遅れが発生したことが影響しています。ポラテクノ事業は45億円で、前年同期比8億円の減収となりました。

ファインケミカルズ事業領域の機能性材料事業は90億円で、前年同期比6億円の増収となっています。色素材料事業は75億円で、前年同期比9億円の増収です。一方、触媒事業については触媒交換のタイミングの影響などから2億円となり、前年同期比10億円の減収となっています。

ライフサイエンス事業領域の医薬事業は133億円で、前年同期比8億円の増収となりました。アグロ事業は19億円で、前年同期比3億円の増収となっています。

モビリティ&イメージング事業領域

ここから各事業領域について少し詳しくご説明します。セイフティシステムズ事業の売上高は179億円で、前年同期比3億円の増収でした。

国内事業は、型式認証不正問題による生産・出荷停止の影響が解消し、プラスの方向に動いています。海外事業は、北米市場向けが低調であったことからメキシコ拠点で減収となりましたが、中国市場では対応車種の獲得が続き、数量増が見られます。

ポラテクノ事業では、注力しているヘッドアップディスプレイ用遮光板が着実に採用車種を増やしており、年間15パーセント程度の増加を見込んでいます。しかし、液晶プロジェクター用部材の一部製品の終売および市場の低迷を受け、前年同期比で8億円の減収となりました。

部門営業利益は24億円で、前年同期比13億円の減益となっています。セイフティシステムズ事業は、配線などに使用する金や火薬原料の高騰による原価上昇が続き、価格転嫁が一部追いついていないことに加え、為替の不利、将来のための投資に必要な要員確保に伴う固定費の増加が主な減益要因です。ポラテクノ事業は、売上減少に伴う利益の減少となっています。

第2四半期の見通しは、売上高は229億円、部門営業利益は30億円と予測しています。原材料高騰分の価格転嫁を第2四半期中に確実に進める予定です。

ファインケミカルズ事業領域

ファインケミカルズ事業領域についてご説明します。第1四半期の機能性材料事業の売上高は90億円で、前年同期比6億円の増収となりました。AI・ハイエンドサーバーなどをはじめとする半導体市況の拡大により、各製品群が堅調に推移しています。

色素材料事業の売上高は75億円で、前年同期比9億円の増収となりました。産業用インクジェットインクやコンシューマインクジェット用色素、感熱顕色剤が堅調に推移しました。ただし米国顧客において、関税の影響を回避する目的から、第2四半期以降分の前取り需要が一部発生したと見ています。

触媒事業においては、顧客の触媒交換時期の関係から第1四半期の売上高は2億円で、前年同期比10億円の減収となっています。ただし、年間ベースでは見込みどおりに推移する見通しです。部門営業利益は25億円で、前年同期比1億円の増益となっています。

第2四半期の売上高は163億円で前期並み、部門営業利益は23億円の見通しです。色素材料事業における米国顧客の前取り影響が解消されるのは、第3四半期以降になると見ています。また、触媒事業は下期に挽回することを想定しています。

ライフサイエンス事業領域

ライフサイエンス事業領域についてです。第1四半期の医薬事業の売上高は133億円で、前年同期比9億円の増収となりました。毎年実施される薬価改定の影響はあるものの、数量増でカバーし、増収を達成しています。

バイオシミラーの「ベバシズマブBS」は他社製品からの代替が進み、市場シェアを拡大しました。3月末時点で28パーセントだったシェアが4ポイント上昇し、現在は32パーセントとなり、バイオシミラー市場でトップシェアを獲得しています。

「アダリムマブBS」についても市場シェアが拡大しており、3月末に11パーセントだったシェアが2ポイント上昇し、現在は13パーセントとなっています。また、ジェネリック抗がん薬である抗造血器悪性腫瘍剤「レナリドミド」を6月に販売開始しました。

アグロ事業の売上高は19億円で、前年同期比3億円の増収となっています。この第1四半期には、キノリン系殺虫剤フロメトキンの海外登録も進展している状況です。

部門営業利益は売上増により19億円で、前年同期比3億円の増益となりました。第2四半期は、売上増およびライセンス販売による収益が見込まれ、部門営業利益は25億円と見通しています。

開発パイプラインの状況【2025年7月31日 現在】

医薬開発パイプラインの進捗についてご説明します。スライドの一番上に記載している新薬候補「Taletrectinib(タレトレクチニブ)」は、ROS1融合遺伝子陽性非小細胞肺がんを予定適応症として、国内製造承認申請を行いました。

希少疾病用医薬品の指定を受けており、優先審査に該当すると判断されていますので、年内の承認・販売を目指しています。販売が実現すれば、ベスト・イン・クラスの薬剤として患者さまに貢献できるものと考えています。

「ポートラーザ」は、肺がん領域ですでに発売している新薬ですが、適応拡大を目指し、EGFR遺伝子増幅陽性の切除不能な進行または再発の食道がん及び胃がんを対象とした試験を開始します。6月には食道がんコホートで最初の登録があったことをリリースしましたが、本日、胃がんコホートを開始したことをホームページ上でお知らせしています。

「アラグリオ」もすでに発売している新薬です。尿道から内視鏡を挿入し、膀胱内の腫瘍を電気メスで切除するTURBTという手術の際に、腫瘍の可視化を補助するユニークな薬剤です。今月、SBIファーマ社と卵巣がんの切除時におけるがんの可視化の共同開発に向けた基本合意を行い、パイロットスタディを実施中です。

これら新薬のラインナップ拡充は、医薬事業の持続的な成長に重要であるため、開発のスピードを意識して進めていきます。

2025年度 第1四半期 財政状態

2025年度第1四半期の財政状態についてご説明します。総資産は3,755億円で、2024年度末に比べて18億円増加しました。売上債権は617億円となり、前年度末比で29億円減少しました。

棚卸資産は766億円で、前年度末比で50億円増加しています。これは、医薬事業におけるバイオシミラーの代替供給対応に向けた在庫の増加や、エポキシ樹脂の新工場稼働に向けた現工場分の在庫積み増しなど、一時的な要因によるものです。

投資その他資産は政策保有株式の売却などにより、前年度末比で26億円減少の510億円となりました。自己資本は2,611億円で、前年度末比で65億円減少しています。

自己資本比率は69.5パーセントとなり、前年度末比で2.1ポイント減少し、70パーセントを下回りました。自己資本比率は、60パーセントを目安に今後も縮減を進めていく予定です。

2025年度 第1四半期 研究開発費・設備投資・減価償却費

2025年度第1四半期の研究開発費、設備投資、減価償却費の状況についてご説明します。研究開発費は164億円の計画に対し、第1四半期の進捗は31億円となりました。

設備投資は316億円の計画で、前年より50億円増加する見通しです。主な投資案件について、スライド左上に記載しています。モビリティ&イメージング事業領域では、セイフティシステムズ事業において中国やマレーシアでのシリンダ型インフレータなどを含む製造設備の増設を予定しています。第1四半期の進捗は23億円となっています。この数字は発注ベースです。

減価償却費は169億円の見通しで、前年より30億円増加する計画です。これは現中期経営計画「KV25」で、将来に向けた積極投資による重点設備の完成が要因です。足元では各事業領域で償却費の増加が生じていますが、次の中期経営計画での収益寄与を見据えた先行投資と考えています。

株主の皆様への利益還元の状況

株主のみなさまへの利益還元の状況です。当社は配当性向40パーセント以上を目標として、累進的な配当を実施しています。この6月には、日経累進高配当株指数の30銘柄に採用されました。ROEが8パーセントを達成するまでは、総還元性向100パーセント以上を実施する方針です。

本年4月からの2年間で、約320億円規模の自己株式取得を目指しており、今年度は170億円、来年度は150億円の自己株式取得を予定しています。なお、取得した自己株式は消却する予定です。

本年度の配当は1株あたり年間60円、自己株式の取得は170億円を上限としており、総還元性向は155パーセント、配当性向は52.8パーセントとなる見通しです。

2025年度 サステナビリティトピックス

最後に、2025年度のサステナビリティトピックスです。日本の年金運用独立行政法人であるGPIFが採用する6つの投資指数すべての構成銘柄に、前回に引き続き7月も選定されています。

当社は、環境・社会・ガバナンスに関する取り組みなど、非財務情報もステークホルダーに対して透明性を持って報告することに今後も努めていきます。日本化薬サステナビリティWebサイトも7月に更新しましたので、ぜひご覧ください。

私からの報告は以上です。ありがとうございました。

質疑応答:モビリティ&イメージング事業領域の設備投資の内訳について

質問者:設備投資額をセグメントごとに分けて公表されたのは初めてかもしれませんが、2024年度に比べてモビリティ&イメージング事業領域は倍近く増えています。有価証券報告書も拝見していますが、この伸びの内訳について教えてください。

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