本日の説明内容

橋場真太郎氏(以下、橋場):青山財産ネットワークス取締役常務執行役員CFOの橋場です。本日は、当社の企業概要と今後3年間の戦略、そして株主還元に絞ってお話ししたいと思います。

会社概要

橋場:まずは会社概要です。従業員数はグループ連結で368名、「AZNグループ」と称する、提携法人を含むメンバーの合算は793名です。こちらは後ほど、当社のグループ図についてお話しします。

事業内容は「財産コンサルティング」「事業承継コンサルティング」「不動産ソリューションコンサルティング」です。財産コンサルティングは、いわゆる富裕層や資産家の方の資産運用や管理、承継、相続対策という一連の財産管理を、長きに渡ってお手伝いすることです。

事業承継コンサルティングは、昨今、一般的に事業承継と言うとM&Aなどをイメージされるかと思いますが、当社の場合は同族承継や従業員承継、M&A、ファンド、あるいは廃業のお手伝いといった、一連の事業承継のお手伝いをしています。

不動産ソリューションコンサルティングは、当社の代表的なサービスである「ADVANTAGE CLUB(アドバンテージクラブ)」という小口化不動産などの商品の提供や、不動産の運用商品の開発を行っています。

主な特徴は、資産家向けの財産コンサルティング・事業承継コンサルティングを行う唯一の専業の上場会社であるということです。

グループ概要

橋場:グループ概要です。スライド左側が会計上で連結している青山財産ネットワークスのグループです。青山財産ネットワークスを頂点に、連結子会社14社がそれぞれ役割を持ち、総合財産コンサルティングのサポートを行っています。

スライド右上の提携法人を含めて、我々は青山財産ネットワークスグループと標榜しており、青山合同税理士法人や昨年当社グループに入った税理士法人チェスターをはじめとする7つの税理士法人や社労士法人、弁護士法人をグループ化しています。

合弁会社は2社あります。1社が新生銀行と事業承継ファンドというサービスを展開するために作った新生青山パートナーズ、もう1社が日本M&Aセンターと設立したネクストナビです。これらを合わせて、青山財産ネットワークスグループとなっています。

沿革

橋場:当社の沿革です。我々は、1991年9月に船井財産ドックという会社を設立しました。こちらは当時の都市銀行と保険会社、そして大阪の船井総合研究所の出資によって作られた会社です。

当時は「首都圏農家」という言葉がありました。昨今では「都市農家」という言葉がありますが、転用可能な市街化区域の農地は税金が非常に高く、誰に農業を継がせるか、あるいはその農地評価による遺産分割の問題が、非常に大きな社会問題になりつつありました。

船井財産ドックはこのような問題に対応するために設立され、これが現在の青山財産ネットワークスの財産コンサルティング事業の礎になっています。

2002年5月には、「ADVANTAGE CLUB」という当社の不動産ソリューションの代表的なサービスが始まりました。

昨今、「ADVANTAGE CLUB」のような不動産の小口化商品は数十社が乱立しています。しかし当社は2002年からサービスを始め、4年、5年前までは、任意組合型の日本におけるシェアのおよそ6割から7割は青山財産ネットワークスの小口化商品が占めていました。

多くの業者が参入してきているものの、我々は先駆けてこのような小口化商品の開発を行っており、すでにおよそ23年の歴史を持っています。

2008年10月には、プロジェストホールディングスと経営統合しています。これは現代表取締役社長の蓮見が事業承継専業の会社として運営していた会社で、こちらを経営統合することで、現在の青山財産ネットワークスのかたちができました。

これにより、財産コンサルティング事業と事業承継コンサルティング事業を両立することになりました。

また、沿革には書いていませんが、我々を知っていただくために重要なことをお話しします。2009年12月決算で、我々は48億円の大赤字を出しています。これはリーマン・ショックもあり、多額の不動産の売却損を計上したことによるものです。

当時、我々は2004年に東証マザーズに上場し、不動産の転売により利益を出していました。具体的には、見込みの不動産を買い、それを「どこかで高く売れるだろう」と考え、多額の不動産在庫を保有していましたが、それがリーマン・ショックにより大きな赤字となりました。

これを機に我々は方針を大転換し、不動産の在庫は原則として持たず、コンサルティングに専業していく会社に生まれ変わりました。

それ以降も、我々はパートナー戦略、あるいはサービス戦略としてさまざまなサービスやパートナーとの連携を行ってきました。2013年には、日本資産総研という千葉県の会社を経営統合しました。

2016年にはSBI新生銀行との間で合弁会社を設立し、同年8月には事業承継ナビゲーター(現ネクストナビ)という合弁会社を、日本M&Aセンターと設立しました。また、2024年11月から12月にかけては、チェスターグループを我々の仲間に迎え入れることができました。

サービスにおいても、先ほど2002年に「ADVANTAGE CLUB」を始めたというお話をしましたが、2016年の新生青山パートナーズは、我々の主力サービスの1つである事業承継ファンドを展開するために設立しました。

また、2017年10月には地域創生事業の第1号を行いました。さらに2021年には、青山ファミリーオフィスサービスを設立しました。これは我々がパイオニアではないかと思っていますが、いわゆる家族憲章、ファミリーガバナンスを構築し、100年企業、200年企業を作っていくための会社です。

昨今ようやくいろいろなコンサル会社や金融機関が同じような動きを始めましたが、我々が先駆けてこのようなサービスを目的とした会社を作っています。

青山財産ネットワークスグループの「コンサルティング理念」

橋場:青山財産ネットワークスグループのコンサルティング理念です。当社のお客さまは資産家の方々で、平均資産は約10億円です。

そのようなお客さまは、企業オーナーはじめ、個人の方も、財産以外でも教育やご自身の健康の問題など、多くのお悩みを抱えています。

そのようなお客さまに対して、長期的な信頼関係を構築していきます。一過性で終わらず、第1世代、第2世代、第3世代、もしくはさらに長期的にお付き合いをして、そのお客さまの問題解決の手助けをしていきます。

これを我々のコーポレート・コピーとして、「100年後もあなたのベストパートナー」と標榜しています。

過去5年間の業績推移および2025年度業績予想

橋場:現状の業績推移とバランスについてご説明します。スライドは、過去5年間の業績推移です。おかげさまで4期連続増収増益を達成しており、現進行期の2025年度においても、増収増益を予定しています。

一方、営業利益率は8.2パーセントで「この程度か」と思われかねませんが、こちらについては次のスライドでご説明します。

実態PL~不動産取引を純額にした場合~〈収益性〉

橋場:スライドは、会計上の売上高のうち、不動産の売買に関わる売上高を純額(不動産仕入に関する売上原価を売上高と相殺)にしたものです。つまり、仕入れをネットで行った場合を示しています。

このような会計も、不動産の契約や仕入れ方法によっては認められています。しかしながら、我々がこのような会計を作らないのは、不動産の契約や仕入れ方法によっては、「『ADVANTAGE CLUB』で年間340億円、400億円を目指す」という目標がぶれてしまうためです。

したがって、我々は総額表示で会計上の目標値を出しています。しかしながら、実態の売上高や営業利益率についてはスライドに示しているとおり、稼ぐ力が非常に高いとご理解ください。

顧客数とコンサルティング売上高の推移と今後の展望〈成長性〉

橋場:この「稼ぐ力」、いわゆる成長性の根拠についてご説明します。

良好な外部環境としては、お客さまの悩みが大きいということです。これは大変心苦しい部分ですが、やはり一番大きなものは事業承継オーナーの高齢化の問題や、あるいは納税負担者が非常に増えているという状況です。

正式な数字が出ていませんが、このスタジオのある港区や千代田区、渋谷区でいうと、約4割の方がお亡くなりになると納税義務が発生するという状況の中、2015年の最高税率の引き上げにより、非常に納税に対する意識が大きく変わってきた部分があります。

我々はそのような良好な外部環境を鑑みて数年前から銀行との連携を強化しており、現状で約70行の金融機関とのお取引が始まっています。

銀行との連携強化の追い風になっているのは、銀行自体がこの相続や事業承継にかなり力を入れ始めていることです。そのような部分が、我々への送客になって表れています。

さらに我々は、連携先からのお客さまのご紹介だけでなく、今年はマーケティング戦略を重視していきます。ダイレクトマーケティングを強化することにより、お客さまの数を増やしていこうとしています。

2024年末の顧客数は3,118名です。2025年度のコンサルティング売上高は100億円を計画していますが、2024年度の顧客単価が約260万円で、顧客数が4,000名になると「260万円×4,000名」で、こちらがおよそのコンサルティング売上高になります。

2023年度の2,780名から2024年度は3,118名となり、今期は第1四半期が終わった時点で約3,300名となっています。

我々は顧客数前期比10パーセント増を最低水準と決めていますが、これをもう少し増やしていきたいと考えています。こちらが、コンサルティング売上高の根拠になっています。

坂本慎太郎氏(以下、坂本):もともとかなり利益率が高いというお話ですが、スライド右端の「20XX年」について、売上や利益など目標として出せる数字があれば教えていただきたいと思います。

橋場:都庁の古いデータですが、まず我々が求めている母数として、都内に10億円以上の不動産保有家が約3万人います。また、ウェルス・レポートによく出ていますが、金融資産5億円以上の方は、全国に約10万人から11万人と言われています。したがって、10万人プラス3万人の13万人が、我々の顧客化する母数と考えています。

ランチェスター戦略やクープマンモデルなど最低のシェア戦略となると、まず6パーセント、次に10パーセントとなりますが、現状の当社の顧客数約3,300名は、13万人という母数に対して3パーセントを切っている数字になります。

そのため、早期に目的を達成するためには、少なくともその倍の数字は必要ではないかと思っています。そのような視野を社内的に持った上で、成長戦略の計画を作っているとご理解ください。

坂本:おそらくそこにいくまでには、コンサルタントの数なども増やさなければいけないと思います。このお話は後ほどおうかがいしたいと思っています。

BS方針

橋場:バランスシートの方針です。まずは、実質無借金経営を維持していきます。そして不動産在庫は持ちません。投資は原則、純資産の範囲内で行います。これら3つが、我々のバランスシートの大きな方針です。

こちらと併せて、必要現預金水準も開示しています。本来は148億円が必要であると我々は想定していますが、現状の流動資産や販売不動産で早期売却可能なものを含めると約150億円となり、それが水準であると考えています。

坂本:このAD敷金返還資金というのは、分別管理しなければいけないのでしょうか? 現金を持たないといけないといった感じでしょうか? 

橋場:そうですね。信用度の高いメガバンクを中心に分散で預けています。

坂本:そこは事業を使って運用するのはなかなか難しいというところですね。

橋場:そのようなものは一切ありません。分別管理をしています。

私たちの置かれている事業環境

橋場:今年3月に開示した中期経営計画のポイントについてご説明します。まずは、我々の置かれている事業環境についてです。

当社の事業のお客さまは、今後確実に増えていくと理解しています。お客さまが抱える問題や悩みは非常に多様化しており、その方々に対してどのようなお手伝いができるか悪戦苦闘しながら、サービスを展開しています。

それに対して、内部のリソースを着実に充実させて対応していくための3年間というのが、今回の中期経営計画の背景となっています。

先ほどもご説明したとおり、事業環境は非常に複雑化してきているため、そのような意味でも中期経営計画を策定しました。

坂本:お客さまの悩みが増えているということもあり、最近の事業環境が複雑、かつ深掘りをしなければいけないことも出てきていると思います。顧客の抱える悩みについて、最近多いものを教えていただけますか?

橋場:金利が上がっているとか、不動産価格が上がっているとか、あるいは4月に株価の大幅なボラティリティがあったなど、実はそのようなことは、資産家の方々はどうこう思っていません。むしろ、それが当たり前だと思っています。

一方で、法制度や構造改革などにより税制が大きく変わるということは、1つの大きな悩みになると思います。

例えば、東京証券取引所の改革によって二百数十社の企業が上場廃止になるかもしれないということは、非常に相談が増える事由になります。

坂本:制度運用方法というよりも、制度面のお話ですね。

橋場:また、昨今も話題になっていますが、物言う株主さまが増えてきています。そのような株主さまが自分たちの株主として登場してきた際、どのように対応したらいいかといったご相談を受けています。

このように、教育の問題や健康問題など、長期に渡る部分がお客さまのお悩みであり、経済環境の多少の変動は、短期的には悩みにならないと考えています。

私たちのありたい姿

橋場:「私たちのありたい姿」についてです。今回の中期経営計画を作るにあたり、基本的に我々は「ステークホルダーに生かされている」ということが前提となっており、ステークホルダーごとのビジョンを作成しています。

その上で、ステークホルダーのみなさま全員に「富裕層ビジネスの第一人者」と認められることを、3ヶ年の目標としています。

3年後のビジョン(中期ビジョン)

橋場:スライドは、我々とお客さまとの関係について示したものです。我々はお客さまに対して、品質の高いサービスを継続的に提供する存在であることが重要だと思っています。

一方、お客さまからはまず信用をいただくことをベースに、その上で長期的に信頼していただき、第1世代、第2世代、第3世代と長きに渡ってご相談いただける存在になるために、今回の計画を策定しています。

実現すべきステークホルダーごとの3年後のビジョン(中期ビジョン)

橋場:我々はそれぞれのステークホルダーごとに、「こうありたい」というビジョンを定めています。スライドは、それをダイジェストでまとめたものです。

お客さまについては、先ほどお話ししたとおりです。さらに、それぞれのパートナー戦略、社員とのあり方、我々が生かされている地域社会に対する社会貢献、そして株主・投資家のみなさまに対してどのような存在でありたいかについて記載しています。

パートナーや社員、地域社会については、後ほどお話しします。ここでは、株主・投資家のみなさまに対して我々のありたい姿についてご説明します。

我々は、当社の考え方を理解し、共感、応援いただいている株主さまをなんとか増やしていきたいと考えています。そして、我々はその株主さまに対して継続的な増配、そして株価の成長を実現していくことを肝に銘じて、経営していきたいと考えています。

坂本:これまでもご説明いただいているとおり、御社は富裕層を長期間にわたりトータルにサポートできることを強みとして、確固たる地位を築かれていると思います。

当初はおそらく御社が最初に始められたという話でしたが、現状トータルでサポートするライバルが出てきているのか、それとも一部だけにとどまっているのか、業界環境についておうかがいできればと思っています。

橋場:上場会社のうち、いわゆるコンサル会社であれば、我が社とまったく同じ会社は1つもないという認識です。

坂本:節税のほうに振っている会社など、そのようなことですよね。

橋場:そうですね。我々の節税は、目的を達成するための手段の1つとして合理的な範囲で、かつ「税金はしっかり払うのが当然ですよ」というスタンスです。いわゆる全体最適をベースに考えるため、部分最適で「これをやったほうがいいですよ」などということは一切しません。

したがって、例えば信託銀行等には我々と同じような部分があるかと思いますが、我々とほぼ同じような企業というのは、それほどあると考えているものはありません。

坂本:確かに、信託銀行は昔からそのようなことを行っていますね。

橋場:そうですね。一番近いのは信託銀行ではないかと思います。

坂本:それに特化して寄り添っているのが、御社であるということですね。

橋場:そうですね。

中期ビジョン実現にかかわる定量目標

橋場:ここまでは定性的なことばかりお話ししてきたため、少し定量的な目標をお伝えしたいと思います。

まず、営業利益については毎年10パーセントの成長であり、こちらは当然だと思っています。「10パーセントでいいのか?」と思われるかと思いますが、実は昨年、チェスターグループと統合しており、統合効果、いわゆるシナジーについてはまだ開示していません。

したがって、そのようなものを入れると多少変動する可能性があり、ミニマムのラインとして、営業利益10パーセントの成長を維持していきます。ROEについては、昨年25パーセントの水準まで上がってきていますが、少なくとも3ヶ年は20パーセント超の維持を行います。

事業目標として、顧客数は最低でも毎年10パーセント増加させます。昨年は、12パーセントの増加でした。また、「ADVANTAGE CLUB」も同様に、毎年10パーセント増の水準を維持していきたいと考えています。

株主還元についても、配当性向50パーセント、累進配当、またDOEの10パーセント水準を維持しています。ROEが20パーセントであるため、DOEと含めて十分なスプレッドをみなさまにご提供することを考えています。

一方で人材・ガバナンスの部分においては、コンサルタント数は昨年末時点で257名でしたが、これを2027年末までに330名まで増加させます。

また、2024年時点での女性比率は32パーセント、そのうち管理職は18パーセントでした。女性比率を大幅に増加させることも目標としています。

社外取締役についても、きちんとガバナンスを構築すること、また、知見のある方に入っていただくことが極めて重要であると考えていることから、スライドに記載した定量目標を作っているとご理解いただければと思います。

定量目標 営業利益

橋場:こちらのスライドは、営業利益の定量目標です。

定量目標 ROE

橋場:ROEについてです。少し資本コストの話をしたほうがよいかと思いますが、我々は機関投資家との対話においては、リクエストがあることも踏まえ、資本コストを8パーセントと決めています。

したがってエクイティスプレッドという観点では、ROE25パーセントと十分なスプレッドを確保していると考えているため、引き続き、ROE20パーセントの水準をしっかりと維持します。

一方、こちらはあくまでも数字上のお遊びになりますが、CAPMで計算した場合の資本コストは、5パーセントから6パーセント程度です。現状のPERが17倍から18倍程度であるため、逆算してもそれくらいの水準ではないかと思っています。

定量目標 顧客およびアドバンテージクラブ

橋場:「ADVANTAGE CLUB」も、毎年10パーセント増加を目標としています。

2026年以降の定量目標について

橋場:チェスターグループについても、先ほどお話ししたとおりです。

3年後のビジョン達成に向けた7つの戦略の柱

橋場:時間の関係で、本日はパートナー戦略を中心にお話ししたいと思います。

【パートナー戦略】信頼関係をベースとした連携によるサービス提供

橋場:先ほどもお話ししたとおり、事業の拡大をする上では、「P×Q」ではありませんが、顧客数を増やすこと、戦略を遂行する上での仲間を増やすことが重要であると思っています。

スライド右端がお客さま、当社よりも右側がお客さまを増やすためのパートナーであるとご理解ください。左側には、我々の持っているソリューション能力だけではまったく足りないサービスがあります。そのようなものを展開するためのお客さまの拡大を、しっかり行っていきたいと考えています。

今までは銀行や会計事務所、あるいはそのダイレクトチャネルなどが中心となっていたものの、富裕層にアクセスするお客さまはさまざまなところで増えてきています。例えば、実際にはありませんが、イメージとしては「フェラーリ」を売っているような企業も含めたものが新しいパートナーです。

スライド左側にあるような、私たちの仕事を手伝ってくれるパートナーをしっかりと増やしていくことを考えています。

坂本:おそらく株主にも、日本M&Aセンターなどがいらっしゃるかと思います。そのような方々とも近しいところにあるため、相互協力されているのでしょうか? 

橋場:おっしゃるとおりです。実際に日本M&Aセンターとは、M&Aが終わった後の財産コンサルティングが必要になるため、そのようなお客さまの送客を先ほどの合弁会社を経由して受けているのが実情です。

【パートナー戦略】チェスターグループ経営統合の推進

橋場:昨年行ったチェスターグループの経営統合に関しては、8月第2週に、PMIの進捗やシナジー効果について発表したいと思っているため、ご期待いただければと思います。

坂本:チェスターグループが入ったことにより非常に層が厚くなり、幅広くサポートできるようになっていますが、足りない部分があれば教えてください。

橋場:相続においてですか? 

坂本:そうです。御社のこのワンストップサービスという、現在行っているお仕事においてです。

橋場:足りないものはたくさんあるため、新しいサービスを構築していく必要があると思っています。少しそちらと絡めて、サービスについてご説明します。

【サービス戦略】時代の変化に対応したサービスの創出

橋場:スライド左側、2024年にあるのが8つの戦略サービスです。「ADVANTAGE CLUB」以外、成長はまだまだというところはありますが、今年度から公益財団の設立のお仕事やチェスターグループを活用した申告のお手伝い、オペレーティングリース等のサービスも始めています。

富裕層や事業承継オーナーの悩みを解決していくためにはさまざまなサービスを作っていく必要があると思っているため、こちらについても、この3年間で注力していきたいと考えています。

【人材戦略】人的資本の充実とコンサルタント数の拡大

橋場:人材戦略については、先ほどお話ししたとおりです。

【人材戦略】人間力を高めるために利他心を軸とした徳を積む教育の継続

橋場:我々が一番重視している点についてお話しします。説明が非常に難しい部分もありますが、我々が一番重視しているのは社員の「人間力」です。

我々は、「人間力」「行動力」「知恵力」と定義しています。一般企業やコンサル会社・金融会社においては「知恵力」や「行動力」は当然のことと思いますが、ベースにあるのはやはり「人間力」だと思います。

「社員が幸せになる」ことを考えると、やはり「人に優しい」「徳を積む」などが極めて重要だと思います。また、お客さまに信頼されるためには、「人間力」がなければお話にならない部分もあります。したがって、我々はこちらを極めて重視している会社であるとご理解ください。

坂本:この教育方針のようなものは、やはり他社と異なる点があるのでしょうか? 例えば「富裕層と話が合うように、美術館に行きなさい」などと話すようなこともあるのでしょうか?

橋場:各レイヤー間で毎週話し合いをしたり、当社代表の蓮見が毎週月曜日に「今日の一言」と称し、具体的に人事戦略に関するものの社員教育を徹底したりしています。

したがって、社員も「『人間力』というものは重要なんだ」「これこそが青山財産ネットワークスの最大の特徴なんだ」ということは十分理解してきてくれているのではないかと思っています。

【知財戦略】DX・AIを活用したコンサルタントを支える環境の整備

橋場:加えて、戦略の中で重要なのがDXとAIです。

【知財戦略】コンサルティング業務における新しい働き方の構築

橋場:こちらには「AIエージェント青山くん」という漫画のような絵でお示ししていますが、実は現在、3体のAIエージェントを開発しており、3年間で約50体を作る予定です。AIエージェントを作ることにより、非常に効率化が図れると考えています。

コンサルタントの生産性を約20パーセント改善させることと、新卒あるいは中途社員の教育にかかる時間を少なくとも半減させることを目的として、開発している最中です。なんとか2027年に実現させ、生産性の改善に取り組んでいきたいと考えています。

なお、今年はMicrosoftの「Copilot」を基本的にコンサル全員が導入しました。もうAIを使わなければやっていけない時代が到来したと思っているため、このような取り組みで生産性の改善に取り組んでいきたいと思っています。

【マーケティング戦略】認知度向上のための様々な施策の実行

橋場:今まであまり力を入れてこなかったのですが、マーケティング戦略はダイレクトのお客さまの獲得と認知度向上にもつながると思っているため、今後しっかりと行っていきます。

【サステナビリティ戦略】サステナビリティ経営の推進

橋場:当然ながら社会に生かされていることを前提に、サステナビリティ戦略として担当役員を配置してしっかりと行っているため、ぜひこのような取り組みもご理解いただければと思います。

株主還元方針

橋場:最後に、株主還元方針についてお伝えします。

我々は、配当性向50パーセント水準、累進配当、資本コストを上回るDOE水準の維持をベースとして、株主還元方針を定めています。この方針を撤回する気は一切ございません。

配当の推移

橋場:配当については、2025年度で15期連続増配予定です。増配を永続的に続けていくのが当社の方針です。

10年間の株価動向

橋場:10年間の株価動向です。なんとか右肩上がりを維持しています。

株主総利回りの推移(TSR)

橋場:株主総利回りについては、10年間持っていただいた場合は約760パーセントです。しっかりと株価の成長も維持できているということを、ご理解いただければと思います。

株主優待制度

橋場:株主優待制度についても、大株主などからいろいろなご意見はありますが、やはり我々は個人株主を大事にしたいと考えています。

坂本:どちらかというと個人向けの商売でもありますからね。

橋場:当社のお客さまが個人株主というパターンも非常に多いです。我々としては個人株主に支援していただいた歴史があるため、株主優待制度も引き続きしっかり充実させたいと思っています。

当社のIRについては、以上で終了とします。

質疑応答:財産コンサルティングの収益について

坂本:「財産コンサルティングの収益について、顧問料のストックとフローの収益比はどのくらいですか?」というご質問です。

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