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鈴木歩氏(以下、鈴木):代表取締役社長CEOの鈴木です。これより、2025年8月期第3四半期決算説明会を行います。よろしくお願いします。
今日は主に業績報告を中心にお話しします。冒頭では、簡単に会社のご紹介と業績報告のサマリーをお伝えするところから始めたいと思います。
Vision/Mission/成長方針
当社のビジョンについてです。「一人ひとりが『自分のストーリー』を生きていく世の中をつくる」を掲げており、その中でスコープのメインとしてミッションを設定し、「個人の知識・スキル・経験・可視化し、必要とするすべての方にマッチングさせていく」ことを考えています。
さらに、成長方針としては「あらゆるアセットを活用して、できないことがない状態、すべてが揃うサービスプラットフォームを確立する」ことを目指して事業を推進しています。
サービス紹介
サービスのご紹介です。現在、当社はトータルで10事業を運営しています。本日この後に詳しくご説明しますが、マーケットプレイスとしては、「ココナラコンテンツマーケット」という新しいプロジェクトを立ち上げ、5事業を展開しています。また、エージェントでは4事業、SaaSの1事業を加え、合計で10事業を運営しています。
ココナラスキルマーケットが築いてきたアセット・競争優位
ココナラが持つアセット・競争優位についてご説明します。大きく分けて「データベース基盤」「プロダクト基盤」「マーケティング・セールス基盤」が挙げられます。特に「データベース基盤」では、人材と顧客の面で強みがありますので、この後、詳細にご説明します。
アセットを活かしたコンパウンド戦略
ココナラが価値を提供している領域について、ご説明したいと思います。まず「人材データベース基盤」についてですが、現在、115万人を超えるスキルデータベースに成長しています。この結果、マーケットプレイスや、過去数年間で立ち上げたエージェント事業のどちらにも非常に多くの引き合いをいただいています。
特にエージェント事業では、クライアントから「こういった人材を欲しい」と言われる場合、そのご要望の9割以上において適切な人材をご紹介できる状態です。何社かを渡り歩いた結果、「ココナラで初めて見つかった」といった事例も、現在非常に増加しています。
また「顧客データベース基盤」ですが、こちらは祖業としては個人のプライベート利用を中心に始まりましたが、上場前にはビジネス利用が全体のおよそ6割から7割にまで拡大しました。現在では、ミドルからエンタープライズ規模の法人の方々にも広くご利用いただいており、プライム上場企業のおよそ3割に利用されている状態となっています。
「プロダクトを基盤」に関しては、社内で重たい機能開発を共通化する取り組みを進めており、これにより複数のプロダクトをコンパウンドで非常にスピーディかつ効率的に立ち上げられるようになっています。
「マーケティング・セールス基盤」についても、約2年前までは営業組織がない状態から垂直立ち上げを行い、非常にうまく進んでいます。もともとの強みである指名検索によるブランドワードからの流入や、みずほ銀行とのアライアンスによるみずほ銀行法人口座を所有されている方々からの紹介が、現在マッチングの加速を大きく後押しする要因となっています。
2025年8月期第3四半期 決算ハイライト
決算のハイライトです。全社サマリーとして、もともと「ココナラスキルマーケット」を中心に、「ココナラ法律相談」の2事業でスタートしていましたが、10事業に広がり、全体に対して、祖業である「ココナラスキルマーケット」の利益を新規事業の投資に回す状況が続きました。
この中でも、新たに立ち上げた複数の事業から、いよいよ利益創出フェーズに差し掛かろうとしている事業が生まれつつあります。その結果、売上高だけでなく、営業利益においても良い兆しが見え始めています。
マーケットプレイスでは過去最高の売上を更新しました。今回から一部セグメントを変更しており、この点については後ほどご説明します。
エージェント事業に関しては、「ココナラテック」において大規模なM&Aを実施し、1年間PMIに注力してきましたが、ここにも良い兆しが表れています。この詳細についても後ほどご説明します。
トピックスとして、マーケットプレイスにおいて、これまでスキル・知識・経験をオーダーメイド型で受発注をマッチングするスキルマーケットを展開していましたが、これに加えて、コンテンツ型でサービスを販売できる新しいマーケットプレイスを立ち上げました。
現在の事業フェーズと将来の見通しについて
現在の事業フェーズと将来の見通しについてです。先ほどお話ししたとおり、これまで「ココナラスキルマーケット」で創出してきた利益を種まきに回してきましたが、新規事業においては、売上だけでなく利益を創出できるフェーズに入っています。そのため、今期だけでなく、来期以降も営業利益を着実に積み増していける構造を構築したいと考えています。
また、FY2030を見据え、中期的に大きな利益を創出できる会社へと進化していきたいと考えています。次回の通期決算では、中期計画を含めた内容をみなさまにご説明したいと思っています。
四半期売上高推移
具体的な業績報告に移ります。まずは、全社の四半期売上高推移についてです。エージェント領域におけるM&Aも含め、前年同期比プラス61.7パーセントと非常に力強い成長を実現しています。
四半期売上総利益推移
売上総利益も前年同期比プラス23.3パーセントと成長しています。
四半期EBITDA推移
EBITDAについても、数四半期連続で2億円に近い水準の利益を確保しています。
四半期売上原価+営業費用推移
販管費についても適切にコントロールすることで、持続的に利益を出せる体質を構築し始めていると考えています。
(参考)ココナラ募集のセグメント変更について
マーケットプレイスセグメントにおける一部セグメント情報の変更についてご説明します。「ココナラ募集」というモデルは、発注者の求人募集を起点とし、稼働者の方々が応募し、マッチングが成立した場合に取引が成立する仕組みです。
これまでは、「ココナラスキルマーケット」と同様の「単発型」で、ロゴやサイトを作成する部分のみをマーケットプレイスセグメントで計上していました。また、「継続型」のプロジェクト型として、エンジニアやデザイナーの方々が業務委託形式で働く場合、後工程の一部をエージェントがサポートしている背景もあり、エージェントセグメントで計上していました。
しかし、実態としては、ほとんどマーケットプレイスの機能を活用し、自動でマッチングできる仕組みになっているため、この「ココナラ募集」の「継続型」を、今回からマーケットプレイスセグメントに合わせるかたちに変更しています。
通期業績予想の上方修正について
通期業績予想の上方修正についてです。ご覧のとおり、全領域で期初のガイダンスを上回る進捗を示しています。第4四半期では一時的な費用計上があります。具体的には採用費や、来期につながるマーケティング投資に充てた部分です。これらは一時的な費用であるため、来期の第1四半期以降は、しっかりと利益を出していけるよう努めていきたいと考えています。
経営体制の強化
経営体制の強化についてです。今後、ココナラとしては、オーガニック成長に加え、インオーガニック成長も重視し、その柱としてM&Aを積極的に推進していきたいと考えています。また、上場企業として、企業価値の向上にもしっかりと取り組んでいく方針です。
その中で、新たにVP of Financeとして古田が加わりました。古田は銀行や証券会社において、M&Aやファイナンスの領域で実績を積み重ね、その後グロース市場においてレナサイエンスの代表取締役社長に就任し、企業価値の向上を実現してきた実績を持っています。
彼の経験を活用しつつ、今後さらにみなさまのご期待に応えられるよう取り組んでいきたいと考えています。本日、古田がいますので、一言ご挨拶申し上げます。
古田圭佑氏:お世話になります。VP of Financeの古田です。先ほど鈴木からご紹介いただいたとおり、IRとM&Aの推進にしっかりと取り組んでいきたいと思います。これまで、ココナラは先行投資が多かったため、IR活動が控えめだった部分もあると思います。しかし、これから成長フェーズに入りますので、積極的に適時開示を行っていきたいと思います。今後ともぜひ注目していただければと思います。
大株主からの自己株式取得について
鈴木:株主還元施策の一環として、大株主である新明智氏から自己株式を取得しましたので、ご報告します。
マーケットプレイス(法律相談除く) 四半期流通高推移
具体的な業績報告として、まずマーケットプレイス、次にエージェントの順にご説明します。 まず、マーケットプレイスについてです。流通高は前年同期比で8.9パーセント増加しました。ポイントとして、特にテイクレートが引き上げられている点が挙げられます。
テイクレートについて
テイクレートの構造についてです。通常のテキストチャット形式での取引が、トータルで25パーセントのテイクレートである一方で、今回、ビデオチャット領域において非常に大きな機能追加と利便性の向上を図りました。
それに伴い、出品者に対するテイクレートを一部引き上げたことで、全体のテイクレートが上昇しています。実際、テイクレートが上がっているにもかかわらず利用はさらに増加し、売上にも貢献している状況です。
さらに、第3四半期では電話相談サービスの利用が加速していますが、このサービスは全体より高い50パーセントのテイクレートで適用しているため、これらを組み合わせた結果、全体としてテイクレートが向上しました。
加えて来期にかけては、出品者向けのまったく新しいオプション商品をリリースすることで、売上を底上げし、トータルのテイクレートを向上させたいと考えています。
マーケットプレイス(法律相談除く)四半期売上・セグメント利益推移
マーケットプレイスの売上およびセグメント利益の推移です。売上については先ほどお話しした「ココナラスキルマーケット」に加え、「ココナラ募集」という新しいマーケットプレイスがあります。
この「ココナラ募集」は、今後主力としたいサービスであり、成長の兆しが見られます。「ココナラスキルマーケット」と「ココナラ募集」が牽引した結果、トータルでは前年同期比で14パーセントの成長となりました。
マーケットプレイス(法律相談除く)四半期KPI推移
KPIについてです。購入UU数は前年同期比プラス1パーセント、1人当たり購入額については、ビジネス利用、特に法人利用が加速していることもあり、前年同期比プラス8パーセントと高い成長を続けています。
マーケットプレイス(法律相談除く)四半期KPI推移
その他のKPIについてですが、会員登録数、サービス出品数、スキル登録者数はいずれも積み上がっており、特にスキル登録者数は現在、より加速的に増加しています。
こちらがアセットとなり、現在、エージェント事業の立ち上げにも大いに貢献しています。
新サービス「ココナラコンテンツマーケット」をリリース
先月リリースした「ココナラコンテンツマーケット」について簡単にご紹介します。これまでは、発注者と受注者が取引ごとにオーダーメイドでやりたいことを聞き取り、納品を行っていました。
しかし、「ココナラコンテンツマーケット」においては、所持しているスキルや知識、経験を記事や動画、音声、画像といった形式に変換して販売することが可能になりました。
これにより、やり取りを省略して即納品形式で出品者が簡単に納品できるようになります。また、購入者も欲しいコンテンツをすぐに手に入れることができ、新たな需要を喚起できると考えています。
現時点ではまだ立ち上げたばかりのため、この第3四半期においては流通高や売上への貢献はありません。しかし、今後の第4四半期や来期において、マーケットプレイス全体の成長に貢献してくれることを期待しています。
マーケットプレイス(法律相談)業績推移
「ココナラ法律相談」についてです。前年同期比プラス12.2パーセントで、引き続き堅調に成長しています。
マーケットプレイス(法律相談)KPI推移
「ココナラ法律相談」のKPIについても、有料登録している弁護士の方や、広告費を支払っている弁護士の方が前年同期比で10パーセント増加しています。また、ARPUも増加しており、これらが組み合わさることで売上に貢献しています。
エージェント 四半期業績推移
エージェントセグメントの業績報告です。M&Aの影響もあり、前年同期比ではプラス458.5パーセントと大きく成長しました。一方、昨期の第4四半期からは、売上高が右肩下がりになっています。
ただし、これは意図的に行っているものです。より生産性を高めるため「ココナラテック」のPMIを進めながら、将来的には圧倒的な成長を実現できる企業体質へと改善するための取り組みを進めてきました。この成果について、後ほど簡単にご説明します。
エージェント KPI推移
エージェントのKPIについてです。「ココナラテック」および「ココナラアシスト」がいずれも非常に好調に推移しており、その結果としてクライアント数と稼働者数が右肩上がりで増加しています。
エージェント 月次売上推移
この後についてですが、特にエージェント領域において売上シェアを占める「ココナラテック」は、先ほどのスライドでお見せしたとおり売上が減少し、右肩下がりに見える状況でした。しかし、足元の5月までで一定のPMIの成果が出ており、ここからは売上が反転し、右肩上がりで成長していくものと見込んでいます。
ココナラテックのPMI進捗
KPIとして特に注目していただきたいのは、月次の稼働者数の推移です。こちらは少しずつ増加しており、生産性向上を中心に取り組んでいます。スライドの右側をご覧いただければ、月次の従業員1人あたりの生産性が非常に高まっていることがおわかりいただけると思います。
これにより、高い生産性を発揮できる筋肉質な営業基盤が整いました。中期的に1,000稼働に向けて、短期で3倍以上の成長を実現するための土台として、セールスおよびマーケティングの基盤がしっかり整ったと考えています。
ココナラアシストの順調な成長 月次ARR推移
「ココナラアシスト」単体でも、事業開始以来、非常に順調に右肩上がりで成長しており、今後はより加速して成長することが期待されます。
特にその要因としては、クライアントからの案件獲得における営業体制の構築が非常にうまく機能しており、エンタープライズ案件が新規として多数入ってきていることが挙げられます。また、既存クライアントによる案件の追加も順調に進んでいます。
エージェント事業の経営体制強化
エージェント事業体制の強化に関する採用についてご紹介します。この第3四半期のタイミングで、これまで内製で行っていた「ココナラテック」の事業について、事業責任者として岡部が就任しました。
さらに、非常に好調な「ココナラアシスト」のさらなる圧倒的な成長を推進するため、原を迎え入れています。
「ココナラテック」「ココナラアシスト」「ココナラプロ」「ココナラコンサル」の4事業については、エージェント事業として立ち上げを進めていますが、各事業責任者の採用が実現したことで、「ココナラエージェント」全体としての成長に大いに期待していただきたいと思います。
以上でご説明を終了します。
質疑応答:第4四半期の営業利益予想について
田中元氏(以下、田中):「第3四半期累計の営業利益2.9億円に対して通期業績予想は2.4億円とのことですが、第4四半期は赤字予想との認識で合っていますか?」というご質問です。
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