書籍で紹介した中長期投資でおすすめの10銘柄

kenmo氏:書籍の冒頭、蛇腹があります。編集の人に言われたのが、やはり持株をオープンにするほうが書籍が売れるというのが、世の中一般的にありして。僕は基本的にSNSとかで自分の保有銘柄とか「あれを買った、あれを売った」みたいな話は一切していないです。それで何か出来高がついて、変なイナゴがついてとかも嫌だし、それで勝った負けたというのも嫌だし。なので、やっていません。

ただ、書籍化するにあたって、僕はとにかく勉強会とかIR説明会を盛り上げていきたいという思いがあって、この本にはとにかく売れて欲しかったので、その要素を入れました。

入れたんですけど、トランプ関税のショックが4月頭にありまして。ぶっちゃけもうぜんぜん銘柄が入れ替わっちゃってるんですよ。メイン口座にある銘柄が特にですね。こればかりは一応僕が個人投資家である以上起きうる事態なので、編集者さんごめんなさいという感じで、銘柄をガッサリ入れ替えさせていただいています。今後改訂版が出る時には、このあたりはごめんなさいになって、大きくポジションが変わっていると思います。

各手法に関しては後でやるとして、銘柄10選です。194ページからです。中長期投資でオススメの10銘柄というかたちで。これもふだんだったら絶対やらないのですが、オススメの10銘柄を出しています。「オススメってなんぞや」という話ですよね。そこに責任を取るのかという話なんですけど、ただ書籍化するにあたっては、やっぱりこういう具体的な銘柄を出したほうがいいので出しています。基本的には、いつ買っても大きなダメージは受けないような銘柄ばかりをチョイスさせていただいています。持って寝て5年経ったらだいたい上でしょうみたいな銘柄を中心にチョイスをしています。

ほとんどの銘柄は湘南投資勉強会でIR説明会をしていただいたところを選ばせていただいています。登壇していただいた恩もあるし、IRに積極的というところもあるし、僕がやはりおすすめしたいというところもあるので、そこはシビアに選定条件に入れさせていただいています。

オススメを出してて思ったのは、僕はやはりサブスク系が好きだなというところですね。サブスク系が好きだなというところで、FCEとかトヨクモはサブスクで、この後伸びるでしょうというところですね。

あとコプロですね。最近いろいろ議論するんですけど、やはり社長の鼻息が荒い会社が好きだなと思っています。

やる気のない会社が仕方がないからやる気を出しましたという会社よりも、やはり社長の鼻息が荒い会社で、社長がやる気を持って事業を伸ばそうとしている会社のほうが、トランプ関税ショックみたいな不確実性の高まった時は安心していられるので。なので、清川社長(清川甲介氏)みたいな鼻息の荒い会社が好きだなと思って入れさせていただいています。

8番は自己資本比率10パーセント台なので、どこかで増資がありそうなんですけど、増資が終わったらまた買いたいなという会社ですね。9番、10番は不動産再生系。都心の不動産、ビルとかの再生系で、ともにIRも積極的だし、普通に伸びていくでしょうというような会社を抽出させていただいています。

ということで、今回選んだ10銘柄に関しては、個人的には比較的置きにいった銘柄選定かなと思っています。客観的な評価はどうかわかりませんが、僕的には「他人にすすめるとしたらこんなものかな」といった、置きにいった銘柄をチョイスさせていただいています。

今後の投資戦略

現在から今後の投資戦略についてをちょっとお話しさせていただくと、先ほど蛇腹のところで銘柄がガサッと変わっていますという話をさせていただきました。

今は、この本でいくと2012年にJINSを買っていたタイミングとか、2019年東映アニメーションを買っていたタイミングにわりと近いポジションになっています。どういうことかというと、世の中的にはちょっと不景気を織り込んでいくだろうと。

世の中の不確実性が高まっていく、指数は買いづらいというところで内需系を買うんだけど、内需系も混み合っている銘柄はたくさんあるので、やはり内需系でも銘柄を絞って、自分自身がこの先、1年、2年で大きく業績を伸ばすだろう、あるいはカタリストが出てくるだろう、あるいはこういう世の中になってほしいみたいなこだわりを持って、大きなロットを入れられる銘柄に絞って入れています。

今は口座の不正アクセスの話もありますし、1割ぐらいのキャッシュは銀行のほうに戻して証券口座から減らして、若干減資した状態でのフルポジという感じで、銘柄数はかなり絞っています。

メイン口座のほうは、今決算シーズンで多少増えたり減ったりするんですが、10数銘柄という感じで。でも、ロットをかなり入れているのは5銘柄ぐらいかなという感じですね。

今回本を書いてみて、世の中の不確実性が高まると、僕は結局集中投資に戻ってしまうんだなとあらためて思いました。この本でも書いているんですが、暴落でストレスが溜まった時、自分が1番よくない投資行動をしてしまうタイミングをベースに投資戦略を考えないと、うまくいかないですよというところですね。

基本僕は、投資でストレスが溜まる、暴落が起きると、自信のない銘柄をバッサリバッサリ削っていって、自信のある銘柄に寄せてしまう。今回もやはりそういう投資行動をしてしまったので、たぶん今後もそうなんだろうなと割り切っています。

世の中的に、「暴落は買い向かいましょう」という人もたくさんいらっしゃるんですけど、僕は戦略性のないポジションをバッサリ切って、戦略性のあるポジションに寄せていくという投資行動になります。

これはもう各個人やはり特性があると思うので、それに合わせて投資スタンスを決める必要があるなとあらためて思ったところでございます。

今後の投資戦略については、基本的に僕は強気で見ています。特に日本株に関して言えば、日経平均10万円とか20万円みたいなシナリオはぜんぜんあり得るなというふうに思ってはいるので。20万円は言い過ぎでも、10万円は普通にあり得るかなというふうに思っていますので。

米中貿易摩擦のちょうど間にいる日本は、立ち位置的には2040年ぐらいまでは良いポジションにいるだろうと思って、大きな方向性としては、日本株に対しては強気ですというところですね。

加えてちょっと短期的な話でいくと、グロース市場改革ということで東証のほうから圧力がかかっていて。僕、2024年から「グロースのターンが来る」と言ってえらい外しているんですけど、2025年からようやくグロースのターンが来ると思っていて。グロースもキラキラグロースでなくて、割安成長株みたいなところが来ると思っているんですけど。

まず外部環境としては、為替のボラティリティが大きくなって、円高にぐっと触れて、ちょっと円安に戻っているというところなんですけど、やはり外需系は買いにくいということで、内需がメインになってくるだろうと。

東証からのグロース市場改革の話があるので、グロースのカタリストが大きくなってくる。

この前、遠藤照明の決算が出て、いよいよ最後のパンドラの箱が開いたなと個人的に思ったんですね。

遠藤照明は営業利益が50億円ぐらい出ているんだけど、時価総額200数十億円とかでぜんぜん還元しなくて。2024年は配当性向が10パーセントとか15パーセントぐらいでやっていて。

あれだけ東証から資本コストと株価を意識した改善をしなさいと言われているにもかかわらず、本決算に出したのが配当性向15パーセント。「お前ふざけんな」という感じで株主提案が起こって、それも何か適当な理由をつけて却下されたという、そういう経緯が2024年にあって。2025年いよいよどうしてくるのかなと思ったら、配当性向30パーセントに上げますという話と、自社株買いを0.5パーセントだけ、ちょっとだけやりますという話が来て。

いよいよ、あのてこでも動かなかった遠藤照明が還元を強化するというターンに入ってきたということは、そろそろ資本コストと株価を意識した経営のカタリスト発現が終盤を迎えてきてるなと個人的に感じているんですね。

要は、最後のてこでも動かなかったところが、ようやく還元姿勢を強化し始めてきたというところなので。今回の本決算が最後のカタリスト発現で、来期以降はいよいよ中計(中期経営計画)が走り出している状況です。

2024年立てた強気の中計の2年目とか3年目になってくると、数字を出せていなくて、「いやいや、トランプ関税の影響でごめんなさい」みたいな話が出てくるタイミングなので。来期以降のカタリストが乏しくなってくるというタイミングにおいて、バリュー系のカタリストからいよいよ今度グロース系のカタリストにシフトしてくるタイミングかなと個人的には思っています。

具体的にいくと、「2030年時点で時価総額100億円を5年以内に達成しなさい」というのが、グロース市場の最低ラインになります。今、時価総額40億円から100億円にいるグロースの会社は、「100億円まで達成させるために何が何でもがんばるんですか、それともどこかの会社と一緒になるんですか、それとも市場から退出するんですか、スタンダードにいくんですか、地方にいくんですか」という選択を求められるタイミングになってきます。

という話と、40億円より下の会社はまだまだたくさんあって、そういう会社はもういよいよ「上場している意味はないですね」という状況になってくると思います。最近時価総額20億円、30億円みたいな会社が、不正アクセスの影響もたぶんあるんですけど出来高がちょっと増えてるというか、株価が上がっている銘柄がたくさんあるんです。たぶんそのあたりのカタリストも織り込んでいて、時価総額10億円とか20億円みたいなグロースの会社がそのまま放置されるという状況はあと5年でなくなるので。

そういう会社が他の会社にM&Aされるとか、業績を上げるとか、いろいろあるんですけど、基本的には株価が上がっていく方向へのカタリストが出てくるので。おそらく、今期の遠藤照明をはじめ、最後のパンドラの箱が開く。バリュー株の最後のカタリストが発現する。その次、今度はグロース系のカタリストかなと個人的には思っています。

加えてですね、これも自分で言うなという話なんですが、今回僕の本がけっこう売れているというところもあるので、たぶん新しい市場参加者がありがたいことにこの本を読んで、マーケットに入ってきてくれるだろうと思っています。

過去にエポックメイキング的な話がありまして。ちょっとだけ脱線するんですが、僕は2012年とか2013年に、林則行さんの『伝説のファンドマネージャーが教える株の公式』と『オニールの成長株発掘法』の2冊で新高値ブレイク投資を学びました。

DUKE。さんの本(『1勝4敗でもしっかり儲ける新高値ブレイク投資術』)が確か2016年か2017年かに出て、そのタイミングで2017年の中小型株相場、新高値ブレイクがけっこう機能して。やはり売れる本が出ると、その投資手法をやる人がけっこう増えるので、エポックメイキング的な書籍はけっこうあるんですね。

僕は2015年とかは優待需給投資をやってたんですけど、『スタバ株は1月に買え!―10万円で始めるイベント投資入門』という夕凪さんの本があります。これはめちゃくちゃすばらしい本だなと思って何度も読んだんですけど、要は、3月の優待に向けて株価が上がっていくから、10月とか11月とか、買う人があまりいないタイミングで優待株を仕込んでおいて、5ヶ月ぐらい寝かしておいて、2月、3月ぐらいに売り抜ける。そういう手法を書籍化していてですね。

こういうイベント投資は、世の中的に知れ渡るとあまり良くないという風潮がある。要は取り分が少なくなるので、あまり本を書きたがらない。夕凪さんのこの本が出て以降、あまりイベント投資の本は出ていないんですけど、ただ、この本が出た時、けっこうなエポックメイキングというか革命的で。僕はその方法で優待株需給投資をやっていました。実際この方法をやっていた方もいらっしゃると思います。

あと、2017年でいくと、朝香友博さんという方の本が立て続けに出た時期。2倍株の本(『「テンバガー」10倍株運用入門 まずは2倍株で勝つ』)とか10倍株の本(『いま仕込んでおくべき10倍株、教えます!』)とか、2倍株の緑の表紙と、あと赤い表紙の10倍株というのもあったりして。僕はけっこう朝香友博さんに影響を受けて、2017年に新高値ブレイク、プラスROE株投資をやっていました。

要は、エポックメイキング的な書籍が出ると、その投資法を真似てやる人が増えます。2024年だと、ヘムさんの増配投資。なのなのさんが2023年末かな。雑誌で増配株とか高配当株投資というのが書店の棚にずらっと並んでいた状況で、世の中的には高配当とか増配とか、あとはオルカンとか積み立てとかも多かったですね。

なんですが、この本が出たので、お前が言うなという話なんですが、マーケット参加者の方向がこっち(グロース系)方面に来てくれるのではないかなという気は手前味噌ながらしています。

というところで、たぶんグロース系がこの後カタリストも多くなってくるし、注目されてくるのではないかなと個人的には思っています。