会社概要
高橋雅彦氏(以下、高橋):ミアヘルサホールディングス株式会社取締役の高橋です。ミアヘルサホールディングスの会社概要をご説明します。社名の「ミアヘルサ」はスウェーデン語で、英語で言うと「more health」、つまり「もっと健康に」という意味の言葉です。こちらは、社内公募によって決定しました。
設立は2021年10月1日です。事業会社である子会社のミアヘルサ株式会社は、1984年9月12日に設立しています。代表者は、取締役会長の青木勇で創業者です。現在の代表取締役社長は青木文恵です。
主な事業は医薬事業で、「日生薬局」という調剤薬局を運営しています。子育て支援事業は、保育園を中心とし、学童クラブ、子育て支援施設等の運営を行っています。介護事業は、在宅サービス、居住系サービスなど、サービス付き高齢者向け住宅が主な事業です。その他の食品事業は祖業で、学校給食の食材を足立区と葛飾区の小学校・中学校に納めています。
グループ会社として、事業会社のミアヘルサ株式会社があります。従業員数は、4月時点で2,568名です。これはパート社員を含んでいます。所在地は、東京都新宿区市ヶ谷です。
パーパス
高橋:当社のパーパスです。創業の精神は「人の幸せづくり」です。企業の存在価値、すなわちパーパスには「子どもから高齢者まで全世代が繋がり、お互いを支え合う地域づくりに貢献する」を掲げています。
ビジョンは「健康・安心・絆のライフラインを構築する」です。安心して過ごせるような地域を作っていきたいと考えています。そのためのミッションは「少子高齢化社会の課題に挑戦し、地域社会を明るく元気にする」、バリューは「国の2大福祉政策である『子育て支援』と『高齢者支援』を地域に展開する」です。このように、キーワードはすべて「地域」となっています。
経営環境の変化と当社グループの変遷
高橋:当社グループの変遷です。我々は、各時代における環境変化に対応して、事業を拡大してきました。はじめに、祖業である学校給食の食材の供給をスタートしました。この時には、創業者である現会長1人でスタートしています。この事業は、小学校・中学校の児童数の増加に対応しました。
しかし、児童数は少しずつ減少していきます。団塊の世代が約250万人いたところから、昭和30年代に生まれた子どもは約150万人とだんだん減っていき、少子化を非常に意識しました。このまま、給食事業だけを続けていても拡大や成長はできません。
当時、医薬分業という国の政策が出てきました。今まで病院で薬をもらっていましたが、医療費の削減のために医薬分業を掲げ、診療は病院で、処方は薬局でまかなうことになったのです。そこで、薬局事業に注目し、1980年代から1990年代にかけて調剤薬局に進出しました。
次のターニングポイントは2000年です。みなさまもご承知のとおり、介護保険制度が開始した年です。この前年から、介護保険の受け皿として事業を整備しなければいけないということで、介護事業に進出しています。
2010年代には、女性の就業率が向上し、より社会進出が進みました。そうすると、どうしても子どもの預け先の対応が急務になります。以前は、社会福祉法人しか保育園を運営できなかったのですが、2000年以降は実績を積めば、株式会社が認可保育園の運営をしてもよいことになりました。そこで、当社は認証保育園からスタートし、実績を積み、認可保育園の事業に進出しました。
2020年代以前は、我々は子育て支援事業において保育園の運営しか手がけていませんでしたが、2021年にM&Aでライフサポートという会社を取得しました。この会社は、保育園事業だけでなく、学童クラブや自治体から委託を受けた子育て関連事業を行っています。そのような意味では、保育園の事業から小学校1年生以上も含めた児童へと、事業の幅が広がりました。
現在は、これらの関連事業により、成長性をより強化していこうと考えています。
ミアヘルサグループのサービス対象者の範囲
高橋:当社のサービス対象者の範囲です。医薬事業である薬局は、健康相談、栄養相談も含めて、赤ちゃんから高齢者の方々まですべての年代にわたる事業となっています。子育て支援事業である保育園と学童クラブは、小学校低学年までは必須で、その上の年代までを対象としています。
大人になると、介護保険の徴収が40歳から始まりますが、介護事業において、高齢者や一部では健康弱者に対するサービスを提供しています。食品事業では、祖業である小学校・中学校に対する給食食材への供給がシナジーを呼び、保育園や介護施設にまで食材を配食するなど、現在は事業の幅を広げています。このように、食品事業についても多世代にわたってサービスを提供しています。
スライドに記載のとおり、当社は医薬、保育、児童育成、介護、食品の各事業がシナジーを起こすことで成長性を保っていきます。
2025年3月期 新規開設事業所
高橋:2025年3月期が終わったところですが、成長性に必要なのは間違いなく施設の開設だと考えています。薬局については、昨年7月に「日生薬局」立川店を、保育園については「ミアヘルサ保育園ひびき」を羽沢横浜国大駅前に開設しました。
児童育成においては、「練馬区光が丘四季の香小ねりっこクラブ」という学童クラブを運営しています。これは練馬区からの受託事業です。このように新規事業でも施設を開設しています。
事業拠点 (194 事業所 -東京:137 神奈川:17 埼玉:23 千葉:17-)
高橋:事業拠点です。スライドのとおり、首都圏1都3県を中心に、それぞれの地域にドミナントを形成する戦略をとっています。図では山手線を中心に、各地にいろいろな路線が出ていますが、そのような沿線ドミナントや地域ドミナントを基本として、事業展開をしていくことになっています。
地域包括ケアの事例 (1)-官民協働モデル-
高橋:先ほどパーパスでもお伝えしたとおり、当社にとって「地域包括ケア」が重要なキーワードです。これは、当社の持っているコアコンピタンスにつながるものと考えています。その事例をご説明します。
はじめに、和光市からの指定管理事業です。自治体の指定管理は、相当の実績と信用がないと受けられません。このような事業を和光市からスタートしているとご理解いただきたいと思います。
地域包括ケアの事例 (1)-官民協働モデル-
高橋:同じく和光市で、サービス付き高齢者向け住宅を中核としながら、施設内にクリニックと調剤薬局を開設し、医薬事業と介護事業の連携サービスを提供しています。事業のエリア面だけではなく、それぞれの施設の中で事業連携していく最初のモデルケースとなっています。
地域包括ケアの事例 (2)-団地再生モデル-
高橋:このモデルケースをベースにして、次なるステップとして、団地再生モデルという少し大規模な事業にも取り組んでいます。UR都市機構の団地、つまり昔でいう公団が老朽化したところをリニューアルするものです。
和光エリアの拡大版となる「ケアヴィレッジひばりが丘」では、サービス付き高齢者向け住宅に合わせて介護施設、クリニック、調剤薬局、生活支援としてコンビニエンスストアまでを開設し、事業シナジーのドミナントを形成しています。
地域包括ケアの事例 (3)-地域交流モデル-
高橋:柏・流山エリアのドミナント事例です。スライドに記載のとおり、基本的に介護施設と保育園でエリアに集中するかたちで、ドミナントを形成しています。
地域包括ケアの事例 (4)-JR東日本・自治体協働モデル-
高橋:先ほどの団地再生モデルは、大手デベロッパーのUR都市機構との協働でしたが、その第2弾として、新小岩駅のそばの遊休地に対して、JR東日本と協働で再開発をしています。
「びゅうリエット新小岩」の中に、保育施設と介護施設を入れてほしいという要望がありました。当然コンペがありましたが、当社は一括してこれらの提案ができる強み、事業シナジーを生める強みを持っていますので、都市開発のビッグビジネスに対しても、競争力のある提案ができています。
地域包括ケアの事例 (5)-子育て支援重点エリア-
高橋:港区エリアには、当社の子育て支援施設、学童クラブ・児童館、保育園、介護事業所、調剤薬局が30施設もあり、集中的にドミナントを形成しています。事業のクロスオーバーと同時に、エリアの集中度を上げるという地域ドミナント形成をしている事例です。
「えるぼし(2段階目)」認定取得
高橋:「えるぼし(2段階目)」の認定を取得しています。当社は、人が事業を支えるという意味では、子育て支援事業も介護事業も医薬事業も、有資格者があってはじめて成り立つ事業です。有資格者のみなさまを採用し、長く働いてもらっています。
当社の事業を支える人たちは、大半が女性の有資格者の職員です。そのような女性に優しい企業でありたいと考え、スライドに記載のとおり「くるみん」の認定を取ると同時に、「えるぼし」の認定も取っています。当社としては、女性社員の活躍の場をより広げるためのベースになる政策と考えています。
メディケアオアシス流山運河 開設1周年イベント
高橋:柏・流山エリアでは地域交流も行っています。当社は「メディケアオアシス流山運河」というホスピス対応型ホームを運営していますが、地域のみなさまも来ていただけるような夏祭りなどのイベントを開催しています。介護施設に対して、地域の中で協力いただいたり、理解していただいたりするためのイベントです。
名古屋証券取引所に重複上場
高橋:昨年8月に、名古屋証券取引所に上場しました。これにより、東証スタンダード市場と名古屋証券取引所のメイン市場に重複上場しています。
関本圭吾氏(以下、関本):こちらのスライドに関して、お話をうかがえればと思います。最近、名古屋証券取引所にも上場する会社が増えてきている印象なのですが、御社として実感している効果や、重複上場により見えてきたことはありますか?
高橋:名古屋証券取引所で重複上場しようと思った理由は、当社は首都圏の会社ですので、株主の構成がどうしても首都圏に偏っており、首都圏以外で認知していただこうと考えたためです。大阪でもIRを行いましたが、名古屋も非常に大きな市場で、富裕層が多いこともあります。
当社は、機関投資家が投資する対象ではありませんので、個人株主のみなさまを増やしていきたいという思いで、中京圏の市場で認知を上げていこうと、個人投資家の多い名古屋証券取引所に上場しました。
関本:確かに、名古屋はけっこう個人投資家が多いイメージがあります。また、毎年秋頃に「名証IRエキスポ」が開催されますよね。私も昨年に伺いましたが、そのようなイベントでも注目されるかもしれません。
高橋:実は今年も「名証IRエキスポ」にエントリーしています。当社が名古屋証券取引所を評価している最大の特徴は、個人投資家向けのセミナーを自ら主催していることです。そのような証券市場は他ではありませんので、名証に上場したという経緯もあります。
関本:視聴者の中でミアヘルサホールディングスのお話を直接うかがいたい方は、ぜひ名古屋に行ってみてください。
ティーボール大会の開催
高橋:CSRの一環として、ティーボール大会を開催しました。お子さまからお年寄りまで参加できるスポーツで、王貞治氏を育てた荒川博氏の主催によりスタートしたものです。
なぜティーボールかと言うと、今は小学校の校庭で野球ができないという実態があります。そのために、野球人口が減るのではないかと荒川氏は考えました。ティーボールは野球に比べて、小さなお子さまでもできるスポーツです。その次のステップとして、野球を始める子どもが増えてほしいと念願して、ティーボールをスタートさせました。
当社は早い時期から、CSRとしてティーボール大会に参加しています。保育園児から介護施設のお年寄りまでができるスポーツですので、そのような方々も健康に過ごせるという意味で取り組んでいます。王氏が特別顧問に就任していますので、いつかお会いできるのではないかと期待しています。
中・高校生の施設見学受け入れ
高橋:中学生・高校生の施設見学の受け入れについてです。先ほど「えるぼし」のお話をしましたが、実はそれにつながる人材獲得戦略の1つです。中学生・高校生に社会福祉や医療のような事業を知ってもらい、興味を持ってもらうことで、未来を担う人材を積極的に育成する一助になっていればよいと思っています。
中学校・高校では、必ずしも職業体験は多くないですから、当社の事業所を訪問いただきお話をして、どのような仕事をしているかご理解いただいています。
今後の社会福祉に携わる人材の裾野を広げることで、「私もこれをやってみたい」という学生が高校を卒業して、関連する専門学校や大学に行き、結果的に当社を選んでいただけたら幸いです。そのため、中学生・高校生の施設見学受け入れや職業体験が重要だと認識して、活動しています。
スタンダード市場 上場維持基準 適合
高橋:スタンダード市場の状況です。昨年6月に上場維持のための方針を開示して、それに沿って取り組んできました。おかげさまで、この3月末日をもって東証スタンダード市場の上場維持基準のすべてに適合しています。これについても、IR発表を行っています。
2025年3月期(通期) 決算概要
高橋:具体的な決算の数字をご説明します。2025年3月期の決算概要です。売上高は前期比4.9パーセント増、営業利益は前期比62.2パーセント増の増収・増益となっています。
売上高の増収要因について、医薬事業は処方箋枚数が増加しました。特に、新規出店の効果が寄与しています。子育て支援事業は、2024年3月期および2025年3月期に開設した認可保育園や、それに関連した学童クラブなどが寄与しています。こども家庭庁の公定価格は、補正予算で組まれて対応していくものなのですが、令和6年度に上昇があったため、これも売上高に寄与しています。
営業利益、経常利益の増益要因について、2024年3月末に子育て支援事業において不採算の認証保育園を閉鎖しました。これにより、採算性が向上しています。介護事業においても不採算の事業所があり、特に単独で出していたデイサービスはエリア的に過当競争になっていたため閉鎖しました。
さらに、吉川の施設はドミナントから離れたところにあり、人材のやりくりが非常に難しいエリアでしたので、事業譲渡をしています。サービス付き高齢者向け住宅に集中することによって、介護事業は大幅赤字から黒字転換しています。
関本:前期の決算について、いくつかおうかがいします。営業利益の増益要因として、子育て支援事業および介護事業で不採算事業所の閉鎖を行ったとのことですが、この動きはまだまだ続くものなのでしょうか? それとも、この2施設で段落したのでしょうか?
高橋:子育て支援事業と介護事業については、一段落したと考えています。施設は、エリアの競争環境によって違ってきますので、施設を出すと同時にスクラップアンドビルドを進める、つまり不採算のものは閉めて新しいものをビルドし、成長性と収益性の両立を図ることに変わりはありません。ただし、これらの2事業については現段階で一段落したと考えています。
関本:今のご回答にも関連しますが、そもそもなぜ不採算の施設が出たのでしょうか? 例えば、出店時の見込みと少し異なった、事業環境に競争が出てきて勝ったなどがあると考えられますが、どのような背景が多いですか?
高橋:一番大きな背景は、制度の改定です。介護事業なら介護保険制度など、当社の事業は制度によってすべてが決まります。介護保険制度は、3年に一度大きな改定が行われますが、実は昨年4月にも大幅な改正がありました。この大幅改定により、国がどのように介護サービスを強化していきたいかが表れます。
制度改定によって、競争環境が激化してくる側面もあります。当社は、その影響を注視しながら判断することで、当初の目論見として収益性をかなり高く維持してきました。環境が変われば次はビルドを進めますが、同時にスクラップすることも当社の経営の軸としています。
当期純利益についてご説明します。設備等補助金および受取補償金などにより、特別利益を計上しているほか、第3四半期と第4四半期には減損損失を計上しています。
減損損失については、施設を閉鎖するということではなく、収益性の低くなった事業に対して一定の会計ルールに沿って固定資産を減損するものです。これは、会計基準に沿って進めているものとご理解ください。その結果、最終利益は約2億9,900万円となりました。
セグメント売上高・利益(前年同期比)
高橋:セグメント別の売上高と利益についてです。当然ながら、セグメントごとに事業環境が異なりますので、それぞれの事業で増減額が発生しています。
医薬事業は、増収減益となりました。やはり、毎年行われる薬価改定の影響を受けています。子育て支援事業は増収増益、介護事業も増収増益となりました。介護事業は課題事業でしたが、やっと黒字に転換し、結果としてスライドに記載の数字を残すことができています。
関本:初めて御社の数字を見た時、医薬と保育にこれほど同水準で取り組んでいる会社は珍しいと思いました。事業によってかなり利益率が異なり、もちろん動きも違ってくると思います。
特に、子育て支援事業は利益が出ていますが、介護事業は他と比べると利益率が高くないように見えます。東証が提言している事業ポートフォリオの考え方などを踏まえて、御社は各事業の収益性や事業同士の位置づけなどをどのように考えていますか?
高橋:当社が行う事業のうち、医薬事業と子育て支援事業は売上高が100億円弱まで育ちました。特に、医薬事業はもともとの柱でしたが、ライフサポート社をM&Aで買収したことで子育て支援事業が非常に大きく伸びて柱となり、やっと2本柱ができたと考えています。介護事業については、まずは成長よりも収益性を求めて取り組み、黒字転換しました。
基本的には、それぞれの事業が拡大再投資できるレベルまで利益を上げることが一番大事だと思っています。各事業の特性や業界によって収益率も異なりますが、医薬事業は今の収益性を落とさないようにしたいと思っています。
子育て支援事業は今まで投資やM&Aを行ってきましたが、いよいよ回収時期に入ると見込んでいます。介護事業は黒字転換しましたので、これらの事業ベースと収益体質をより盤石にし、拡大再投資ができる体質まで持っていきたいと考えています。
中期経営計画の基本方針
高橋:2026年3月期の取り組みについてご説明します。昨年4月に始まった中期経営計画についてです。昨年5月に開示してから1年目が終わったということで、おさらいをしたいと思います。
パーパスのところでもご説明したとおり、当社のバリューは「国の2大福祉政策である『子育て支援』と『高齢者支援』を地域に展開する」です。ここで株主のみなさまが一番気になるのは、「成長や収益はどうするのだ」ということだと思います。
成長については、先ほどからお伝えしているドミナント展開が1つの柱になります。同一区域に集中展開し、新しい施設はドミナントで出店します。加えて、事業部内連携も推進します。このようなかたちで、シナジー効果を発揮し、企業価値の向上、特に成長性を保っていきます。
調剤薬局や保育の事業所も、当然ドミナントを意識しながら新規出店を進めます。ドミナントが形成できると、人員配置などいろいろな面で効率化を図れるほか、カバーし合えるために無駄なコストが発生しません。そのため、この取り組みは収益性の向上にもつながると考えています。
経営基盤については、営業利益率を向上させ、安定的な経営基盤を作っていきたいと考えています。先ほどご説明したスクラップアンドビルドの考え方で進めます。今流行りのAIやITは、積極的に採用して研究に努めます。
2026年3月期 新規開設/移転開設事業所
高橋:2026年3月期において、すでに新規開設している事業所をご紹介します。薬局を2店舗、認可保育園を1ヶ所開設したほか、お台場にある児童館の週末施設開放業務の受託を開始しました。このようなかたちでビルドすることが、当社の事業成長につながると考えて進めています。
特にご説明したいのは、薬局についてです。当社の薬局は、「門前」と呼ばれる大学病院や大病院の前に作る戦略をとってきたことが特徴で、今の薬局事業の土台になっています。しかし、昨今の医療改定などの制度改定により、大きな病院では患者さまを地域の医療機関に戻す「逆紹介」の動きが出てきています。その意味でも、地域の受け皿を作らなければいけないと考え、今回の出店に至りました。
この出店は、地域における医療モールを中心としており、収益の立ち上がりが早いものになっています。事業ポートフォリオにおいて競争環境が厳しい薬局ですが、現在はスクラップアンドビルドを続けながら、特に薬局はスクラップよりもビルドのほうが多いですが、地域の受け皿を作っていく戦略をとっているとご理解いただければと思います。
ミアヘルサ保育園ひびき綱島 開所式
高橋:スライドの写真は、今年4月に網島で開所した認可保育園の様子です。
「2040年問題」の課題
高橋:当社が成長ドライバーや新規需要などのさまざまなことを中期目線で考える中で、キーワードとなるのが2040年問題です。これにより、年金・医療費の増加や労働人口の減少がさらに深刻化すると言われています。
「2040年問題」の対策
高橋:2040問題によって発生する社会ニーズには、健康寿命の延伸や共生社会の構築がありますが、これらは本当に国の制度だけで実現できるのだろうかと考えられています。
「2040年問題」の対策
高橋:これらの問題を解決するには、包括支援体制の整備が必要です。当社としては、国として必要なものや社会として必要なものの中に、当社の成長の芽となる事業がないかを見ていきたいと考えています。
ミアヘルサグループが描く未来 ~自助・互助・公助・共助をつなぐ~
高橋:スライドには、当社の理想とする未来を描いています。ドミナント展開を含めて、自助・互助・公助・共助をつないでいきたいと考えています。
関本:国内では少子高齢化が続く中で、特に保育市場は縮小し、高齢者向けの市場は伸びていくかもしれないと言われています。市場縮小の懸念や少子高齢化を踏まえたマーケット動向について、御社は中長期的なビジョンとしてどのように捉えているのか、成長戦略をどのように考えているのかを教えてください。
高橋:少子高齢化問題については、2024年のデータを見ると、出生者数が70万人を切るという非常に厳しい状況になってきています。地域と都市部では異なり、一都三県はもう少し緩やかなものになっています。そうは言っても、少子化には変わりがないので、事業は縮小するのではないかという意見もあります。
しかし、首都圏には社会増と呼ばれる増加要因があります。自然増とは、首都圏で産まれたお子さまたちが増えていくことを指します。一方で、社会増とは、地方から仕事で東京に来る、もしくは地方から東京に進学してそのまま東京で就職をする方たちが増えることを指します。
これが日本で一番多いのも間違いのない事実です。そのようなところには必ず、保育や児童育成の事業ニーズがまだまだあります。確かに、ピークアウトしたと言う方もいますし、地域によってはピークアウトしているところもあります。
当社が進出した地域はすでに事業基盤が出来上がっていますが、保育事業において新たに進出しているのは神奈川県です。特に政令指定都市である川崎市や横浜市では、まだ地域の再開発や大規模マンションの建設などが行われており、子育てニーズは地域によって大きく異なります。
このように、地域分析を行って、きめ細かな地域展開でドミナント形成を進めれば、成長の機会は十分あると考えています。
関本:現在は、政府も地域包括ケアという観点で、方針を打ち出しています。御社も、ビジョンやパーパスにおいて地域を大事にされていますので、ここにはシナジーやメリットがあるのではないかと思います。地域包括ケアに向けて、御社はどのように関わっていきますか? 御社として、何か取り組んでいることはありますか? このあたりの考え方について教えてください。
高橋:先ほど事例をご紹介したUR都市機構やJR東日本、大手デベロッパーとの協業余地は、首都圏にはまだあると思っています。地域包括ケアという考え方のもとには、地域の再開発が必ずあり、保育園や介護施設などの都市再開発の許認可要件があります。このようなものを1社かつオールインワンで受けられるノウハウを持っている会社として、強みをより活かしていきたいです。
高層ビルの建設が進む首都圏では、狭いエリアに人口が集中していますので、保育、児童育成、介護、調剤薬局、クリニックモールなどの医療福祉サービスは必ず必要となります。当社は、これらの事業連携により、オールインワンで都市再開発にエントリーできる会社であるとご理解いただければと思います。
2026年3月期 連結業績予想
高橋:2026年3月期の連結業績予想についてご説明します。今期は増収減益の予想です。
医薬事業は堅調に推移し、子育て支援事業も新規開発園を中心とした園児数・児童数の増加により着実に成長すると見込んでいます。介護事業は、残念ながら2025年2月に不採算で売却した事業所がありますので、売上高は減収となる見込みです。しかし、少なくとも全体では増収を確保していきたいです。
利益についてです。医薬事業は、この体制の中で利益を確保していきたいと思っています。一番特徴的なのは子育て支援事業です。昨年、公定価格の改定が行われました。これは保育士の処遇を改善することが趣旨ですので、当社も今年4月から賃上げや賞与の引き上げなどに踏み込んでおり、人件費の増加を想定しています。
国からいただいたものは従業員に還元をするということで、ここが減益要因になるとご理解いただきたいと思います。
2026年3月期 連結業績予想(セグメント別)
高橋:セグメント別の連結業績予想です。すでにご説明しているところもあるため、こちらのスライドでは個々の数字をご確認ください。
財務戦略
高橋:財務戦略についてご説明します。スライドに記載のとおり、中期では自己資本比率、純資産、年間配当、配当性向に関する目標を着実に達成していきたいと思っています。この取り組みにより、ミアヘルサは必ず安定配当をする会社だとご評価いただきたいと考えています。
株主優待制度
高橋:株主優待制度については、昨年に拡充を行いました。その前年までは、9月末の名簿に載った方々にだけ、QUOカードを進呈していました。しかし、昨年に制度を改訂し、9月末と3月末の株主名簿に記載された方々に、100株以上で1,000円分、200株以上で2,000円分、300株以上で3,500円分のQUOカードを贈呈することとしています。
配当+株主優待 (総合利回り)
高橋:総合利回りについてご説明します。100株当たりで見ると、本日の株価は1,087円ぐらいですが、1株1,084円とした場合には、スライドに記載のように4.61パーセントの利回りになります。
200株の場合は同じ利回りですが、300株ですと少しプレミアがついて4.92パーセントとなります。ぜひこのような部分でのご評価をいただき、みなさまに当社の株をぜひ買っていただければと思います。
以上で、ご説明を終わります。ありがとうございました。
質疑応答:採用について
関本:現在は人手不足が騒がれる中で、保育・介護業界でも人が足りないと言われています。その中で、御社は採用についてどのように捉えられていますか? うまくいっている・うまくいっていない、このような取り組みをしているなどを教えてください。
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