代表取締役の異動(社長交代)に関するお知らせ
鷹野準氏(以下、鷹野準):代表取締役社長の鷹野です。本日はお忙しい中ご参加いただき、誠にありがとうございます。当社の第72期の決算報告を行う前に1点ご報告します。当社は先日5月16日に取締役会を開催し、代表取締役の異動(社長交代)を内定しました。正式には6月26日開催予定の株主総会、およびその後の取締役会において正式に決定される予定です。
今回の異動では、私が代表取締役会長となり、後任として鷹野雅央が代表取締役社長に就任することを考えています。したがって、就任は6月26日となります。今後ともよろしくお願いします。
2024年度決算及び2025年度予想ガイダンス
2025年3月期決算および2026年3月期予想ガイダンスです。まずは2025年3月期決算についてご説明します。売上高は239億6,900万円、営業利益は4億5,100万円、経常利益は5億2,800万円です。すでに実施していますが、1株当たり配当金は20円です。
2025年3月期の業績は、残念ながら前期比で減収減益になっています。具体的には、検査計測機器と産業機器が減収となりました。検査計測機器はフラットパネルディスプレイの減収、産業機器に関しては、半導体業界の低迷による中国へのお客さまの輸出不振の影響を受けています。営業利益に関しては、減収の影響を受けて減益となっています。
続いて、今期2026年3月期について、現段階における見通しについてお話しします。売上高は連結ベースで250億円、営業利益は7億5,000万円、経常利益は8億5,000万円、1株当たり配当金は据え置きの20円と考えています。
予想の背景として、主力部門の1つであり前期も好調であった住生活関連機器について、今期も堅調が期待されると考えています。以前と比較すると新しいオフィスの在り方が浸透し、働き方改革も進んでいます。その結果、新しい商品も生まれてきています。今後はそのような変化を適時に捉えながら、取り組んでいきたいと思っています。
検査計測機器については、低迷する半導体業界の今後も1つのポイントになりますが、それ以前に、この業界は技術の進歩が非常に早く、それについていける検査装置や技術開発の要望がお客さまから寄せられています。
したがって、そのあたりの技術開発を確実に行うことによって、今後の売上に結びつけていきたいと考えています。技術開発といっても1年、2年ではなかなかできず、2年から3年かかるようなテーマもあるため、確実にこなすことで今後の売上増大に結びつけていきます。
我々の次なる柱の1つと捉えている産業機器についても、営業活動の中で顧客の新しい期待やテーマが入ってきています。それらの開発を確実にこなすことによって、今後の売上拡大に結びつけていきたいと考えています。
2026年3月期については以上のように予想しています。
連結セグメント別売上高の推移
連結セグメント別売上高の推移です。スライド左側の棒グラフはセグメント別に色分けしており、下から住生活関連機器、検査計測機器、産業機器、エクステリア、一番上が機械・工具です。
右側の円グラフは2025年3月期の売上高構成比です。住生活関連機器が全社に占める比率は53.3パーセントと、一番大きな売上になっています。続いて、検査計測機器がほぼ25パーセント、産業機器が9.5パーセントなどとなっています。このように、住生活関連機器と検査計測機器が大きな割合を占めています。
なお、先ほどもお話ししたとおり、2026年3月期は連結ベースの売上高で250億円と、前期比4.3パーセント増を狙っています。
受注・受注残高の状況
受注・受注残高の状況です。スライド左側の棒グラフが受注高の推移、右側の棒グラフが受注残高の推移です。このうち、受注残高の推移は2本の棒グラフをセットにしており、各期において左側が連結合計の受注残高、右側がそのうち検査計測機器の受注残高になっています。
2025年3月期の受注残高は連結合計で前期比約3パーセント増、検査計測機器では前期比約5パーセント増となっていることから、受注は増加傾向にあると考えています。
連結セグメント別利益の推移
連結セグメント別利益の推移です。2025年3月期実績は4億5,100万円、今期は前期比約66パーセント増の7億5,000万円を計画しています。
設備投資の状況
設備投資の状況です。2025年3月期は8億2,700万円でした。主な内容はスライドに記載しているとおり、産業機器では複合加工機やNC旋盤等の機械装置、検査計測機器では評価用検査計測装置、住生活関連機器では成型機や太陽光発電設備の投資をしています。また、全社レベルでは基幹システムの構築に取り組んでいるところです。
研究開発の状況
研究開発の状況です。2025年3月期は6億4,200万円でした。主な内容は、住生活関連機器では環境対応や新素材研究等、金属3Dプリンターを活用した開発試作、臨床検査薬の使用期限延長のための要素研究に取り組んでいます。検査計測機器では、高速・高精度対応の画像処理装置開発、AIによる欠陥分類研究に取り組んでいます。
ファニチャー部門:コクヨ様環境配慮商品
最近のトピックスについてお話しします。まずはファニチャー部門です。ファニチャー部門では環境配慮商品の開発を進めています。一例として、「pallo(パロ)」「Protty(プロッティ)」という商品をスライドに掲載しています。
「pallo」は、経年劣化等によって古くなっても長く使えるように、座面や背もたれが交換できる商品です。「Protty」は、工場から出る端材を資材として活用するために、端材からクッションを作って組み込んだ商品です。
エクステリア部門 オーニング施工実績
エクステリア部門です。日よけの商品でオーニングというものがあり、いろいろな場所で使われはじめています。スライドに掲載している写真はその一例で、公園や道の駅、最近新設したところでは養命酒が新設した「くらすわ」という観光施設があります。
オーニングについては以前からだいぶ意識しています。地球温暖化や真夏の猛暑が今後も厳しくなると予想される中で、日影が必要になったり、生活スタイルも変わってきたり、またアウトドア生活もかなり普及して一般的になってきています。
そのような時にオーニングが必要となり、いろいろな場所で使われはじめています。他にも、ホテルや高速道路のサービスエリアなどで使われています。
産業機器部門:光学ソレノイドシャッター BOSシリーズ
産業機器部門です。新しい商品群では、光学ソレノイドシャッターの取り組みを進めています。当社製品は業界最小、最軽量で、赤外線カメラのセキュリティー分野で使われています。また、宇宙分野でも活用されており、レーザー通信機器の光制御部品として重要な役割を果たしています。
なお、現時点ではほとんどが海外への輸出となっています。これらの分野で使うため以前から輸出しており、徐々に増えてきています。輸出先としては米国が多く、欧州向けもあります。
ヘルスケア部門:キッズフェスタ東京2025出展
ヘルスケア部門です。スライドは「キッズフェスタ東京2025~第24回子どもの福祉用具展アンダー18~」への出展について掲載しています。「キッズフェスタ」では障害を持たれるお子さま用の商品の展示を行っているため、積極的に参画して我々の商品を使っていただいています。
「キッズフェスタ」でいろいろなニーズを教えていただき、我々の商品に反映させることを長年続けています。業界の中では、高い評価をいただいています。
アグリ事業推進室:高嶺ルビーを農福連携で活用
最後のトピックスは農業関連のアグリ事業推進室です。一般的にソバの花は白いですが、赤い花を咲かせる当社独自の商品を活用し、学校と協賛することで、農業の活性化や重要性をPRしています。
また、赤い花のソバは非常に美しく、観賞用にも使われているため、地域貢献にかなり役立っているとも思っています。近隣でも同様の場所がいくつかあり、それを楽しみに毎年お客さまが集まるという現象も起きています。我々の独自商品による地域貢献という意味も含めて、活発な運動につなげていきたいと思っています。
私からの説明は以上です。
セグメント情報
鷹野雅央氏(以下、鷹野雅):検査計測機器セグメントの決算についてご説明します。セグメント全体の報告をした後に、その中心となる当社の検査計測部門の状況についてお話しします。
まずはセグメント情報です。セグメントには3つの法人が統合されています。具体的には、子会社であるタカノ機械、セグメントの中心となる当社の検査計測部門、そして台湾の子会社である台湾鷹野の3つの法人です。
セグメント売上高(実績:2025年3月期)
セグメント全体の売上高についてご説明します。スライド右側の棒グラフをご覧ください。2024年3月期は75億2,000万円でしたが、2025年3月期は前期比20.5パーセント減の59億7,900万円と減収になっています。
セグメント営業利益(実績:2025年3月期)
セグメント営業利益です。こちらも厳しい状況で、2024年3月期は2億6,600万円でしたが、2025年3月期は6,100万円と減益になっています。
事業紹介
セグメントの中心を担う検査計測部門について状況をご説明します。検査計測部門では3つの製品群に関連した事業を行っています。
1つ目は半導体・電子デバイス事業ですが、非常に広範囲のため、半導体の前工程・後工程、加えて下流にあたる電子デバイス、電子部品と呼ばれる業界も含めて、本日は半導体事業と呼びたいと思います。
2つ目はフィルム事業です。機能性のあるフィルムの検査を行っています。3つ目はこれまで中心であったFPD事業で、液晶/フラットパネルディスプレイの事業です。
2025年3月期 タカノ検査計測 売上構成
直近期における売上構成についてです。スライドの一番右側のFPD事業の売上構成比が非常に下がっています。先ほどお示ししたセグメント売上高のスライドにも記載したとおり、FPD事業の減収が全体に大きな影響を与えている状況です。
一方で、我々として伸ばしていきたいと思っている半導体事業については、ある程度堅調に推移しています。売上構成比としてはおよそ半分の50.3パーセントまで高まっており、これはある意味で我々の意図したところでもあります。
製品別売上高構成推移(実績:2025年3月期)
製品別の売上高構成の推移です。先ほどご説明したとおり、売上高の合計だけで見ると減収になりました。2024年3月期は68億8,000万円でしたが、2025年3月期は53億9,100万円となっています。これは、スライドの棒グラフにグレー色で示しているFPD事業の売上高が、前期比で半分まではいきませんが、約10億円の減収となったことが一番大きく影響しています。
一方で、ご覧いただきたいのは濃い青色の部分、我々が注力している半導体事業です。半導体事業の売上高は25億円前後と堅調に推移していますが、FPD事業はそれを上回る縮小となりました。
地域別売上高構成推移(実績:2025年3月期)
地域別の売上高構成推移です。中国・台湾関連が大きく減収となりました。これは、FPD関連の生産が中国・台湾に集中しているためです。裏表の関係で、FPD関連の減収により中国・台湾向けの売上が減少したという構造になっています。
部門としては海外売上を増やしていく方針を掲げています。主に半導体関連になりますが、継続して取り組みを進めていきたいと考えています。
部門受注残高(実績:2025年3月期)
部門受注残高です。すでに社長からお話がありましたが、2024年3月期の55億300万円とほぼ横ばいの54億9,700万円でした。
市場認識
今後の売上高の推移を予測する上で、市況をどのように見ているかを簡単にご説明します。半導体関係については、新聞でもよく報道されているとおり、先端系のところはある程度活況であると認識しています。一方で、当社のターゲットである自動車関係を中心とする成熟した半導体市場はやや低調となっています。
ただし、社長がお話ししたとおり、技術革新という観点においては、先端系だけではなく、成熟した市場でもそれなりに動きがあります。そのあたりを当社でしっかりつかみ、将来につなげていきたいと考えています。
部門売上計画(計画:2026年3月期)
市況の認識を踏まえた売上高の計画になります。2025年3月期は53億9,100万円でしたが、2026年3月期は増収を見込み、63億5,400万円まで拡大する計画です。
具体的には、半導体関係に注力していく方針は変更せず、半導体事業で30億円を超える売上を実現したいと思っています。スライドのグラフで示しているとおり、この30億円という数字は当社の半導体事業において過去最大の売上高に迫るものです。
部門戦略
当社の先々を見据えたお話についてご説明します。毎回出しているスライドで恐縮です。部門での短期の増減や市況の増減はありますが、基本的には中期の方針は変更せず、継続して取り組んでいます。
スライドの図にグレー色で示しているとおり、半導体シフトに取り組んでいます。これまでのFPD事業中心の構造から、半導体事業やフィルム事業へのシフトを継続して進めています。また、グローバル展開を進め、海外売上を増やすという方針についても継続して取り組んでいきます。
本中期経営計画における一番のポイントは、研究開発の強化です。繰り返しになりますが、半導体関係においては、当社にもたくさんの顧客ニーズが入ってきており、まさに研究開発が勝敗を左右する状況にあります。研究開発の強化としては予算を増やし、体制における人員の移動を積極的に進めることを継続していきます。
【トピックス】新ニーズへの対応-半導体後工程の高度化に向けて
トピックスをご紹介します。半導体関連において、後工程あるいは中間工程といわれるところでの技術開発が非常に活発になってきています。みなさまもご存じかと思いますが、AIサーバ向けの先端半導体パッケージにおいては、ガラスを使ったパッケージの研究開発が非常に盛んです。
我々はFPD関連でもともとガラスに関わる検査に取り組んできましたので、ある程度慣れた分野であります。FPD関連でお世話になっていた主要なお客さまがガラスコアパッケージにまさに今参入しているという点では、非常に有利なポジションで成長市場に手をかけられていると思います。
現在、各社は技術開発で試作ラインを敷いているタイミングですが、このたび当社もガラスコアパッケージ向け検査装置を受注することができました。受注間近のものも数件あります。
このような成長市場に我々もリーチできており、今後の拡大時には業績に大きく貢献してくると思っています。したがって、この成長市場についても、研究開発の観点で遅れをとらないように積極的な投資を行いたいと考えています。
【トピックス】トランプ関税に関する影響について
今日はあまり詳細に触れませんが、トランプ関税ついては注視している状況です。当事業の米国向け売上高比率は5.1パーセントと全体に占める割合は多くはないものの、当社として伸ばしていきたい半導体事業に関わるものです。したがって、引き続き現地米国の代理店と情報交換しながら、状況を注視していきたいと考えています。
簡単ですが、ご説明は以上です。
質疑応答:PLP関係の開発状況および売上高の見通しについて
司会者:「PLP(パネルレベルパッケージ)の対応でLCD(液晶ディスプレイ)の技術が活用できるのでしょうか? また、実際の開発状況として、検査装置に加え、搬送装置にも広げていくのでしょうか? 今後の売上高の見通しについても教えてください」というご質問です。
既に会員登録がお済みの方はログインして下さい。