三井物産株式会社【速報版】
【速報版】三井物産株式会社 2026年3月期決算説明
※当記事は速報版です。スライド情報は割愛している他、数値などに誤りが含まれる可能性がございます。正確な情報は決算短信・決算説明資料などの正式な開示資料、または追って公開予定の確定版記事にてご確認ください。
はじめに
堀健一氏:皆さま、おはようございます。社長の堀です。本日はお忙しい中、中期経営計画2029説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。
本日は、中期経営計画2026の取組成果を振り返った後、新しい中期経営計画である中経2029、「2030年、そしてその先へ。信頼とイノベーションで未来をつくる」における三井物産のあり姿と、その実現に向けた戦略をご説明します。
中期経営計画2026レビュー 2026年3月期通期実績
2026年3月期の通期実績は、基礎営業キャッシュ・フロー、当期利益ともに従来予想を上回って達成しました。1株あたりの年間配当は115円を予定します。また、昨年11月に公表した2,000億円を上限とする自己株式取得および消却も完了しました。
中期経営計画2026レビュー 定量目標
中経2026の3年間は外部環境が大きく変動する中で、企業の機動的な対応力と持続的成長の両立が問われる期間でした。そのような環境においても、2022年3月期から2026年3月期まで、当社は5期連続で1兆円規模の基礎営業キャッシュ・フローを実現し、強固なキャッシュ創出力を確認しました。
最終年度の当期利益は中経目標未達となりましたが、ROEおよび株主還元の割合は目標を上回ることができました。
中期経営計画2026レビュー 基礎収益力拡大
中経2026の3年間では、基礎収益力を拡大する目標を掲げ、既存事業強化や効率化・ターンアラウンド、新規事業に取り組んできました。各施策を着実に推進した結果、基礎収益力は目標通り1,720億円拡大し、当社の持続的成長を支える基盤を強化することができました。この基礎収益力拡大を踏まえ、2027年3月期は、過去最大となる増配を予定しています。
中期経営計画2026レビュー 成長投資・ポートフォリオ良質化・株主還元拡充
中経2026の3年間では、基礎営業キャッシュ・フローと資産リサイクルを合わせたキャッシュ・インは4.5兆円となりました。
そして、既存事業の維持・強化に0.7兆円、成長投資に2.4兆円、合計3.1兆円を投じ、3つの攻め筋に沿って次のステージに向けた取組みを着実に実行しました。
機動的な資産リサイクルなどにより拡大したマネジメント・アロケーションを、成長投資、配当と自己株式取得にバランスよく配分し、ポートフォリオの改善と株主還元拡充を推進しました。その結果として、財務レバレッジも健全な水準に保たれています。
外部環境認識
これより、中経2029についてご説明します。
中東情勢をはじめとする地政学的リスクの顕在化に加え、環境・エネルギー、ライフスタイル、新技術がもたらす変化により、ボラティリティの高い経営環境が続いています。
その中、当社はグローバルポートフォリオを進化させ、統合リスク管理を高度化し、イノベーションを通じて、ビジネスモデルの変革に継続的に取り組んでいます。そして、現実解の提供と安定供給を通じて社会的役割を果たし、世界中の明るい未来創りに貢献していきます。
中期経営計画2029テーマ
中経2029は、2030年、そしてその先に目指す、三井物産の中長期のあり姿の実現に向けた道筋を示すものです。それを確かなものにするフェーズとして、2029年3月期までの3年間を基本に据えて、「信頼とイノベーションで未来をつくる」をテーマに掲げます。
総合力の進化形として、プロフェッショナル人材とAIの探索力を融合させ、飛躍的に価値を生み出すことを、「非線形のCombinatory Value」と定義します。その実現を通じて、企業価値向上と社会課題解決の好循環を確立し、ステークホルダーから信頼され続ける存在を目指します。
Pathway to 2030 and beyond(1/2)
当社は、進化したミドルゲーム、中経2026で実施した成長投資の果実化、さらに中経2029で実行する新たな成長投資により、2030年の「あり姿」として、当期利益1.4兆円超、ROEは13%超を目指します。
2030年以降は、既に投資を決定した様々な大型案件の本格的な収益貢献も見込んでいます。当社は、競争力の高い優良埋蔵資源の開発を通じて、持続的な成長を実現します。また、ヘルスケア事業等で蓄積している希少なデータ資源の高度活用により、飛躍的な価値創造に挑戦します。
Pathway to 2030 and beyond(2/2)
当社は、差別化された競争力、変革を続ける収益基盤、強い個による価値創造を、Corporate Strategyとして新たに設定し、後ほどご説明する進化した攻め筋に基づき、2030年のあり姿の実現を目指します。
再現性ある価値創出
当社は、世界中のお客様やパートナーと築いてきた信頼関係、グローバルマトリクス体制の強みを活かして形成された、6兆円を超える案件パイプランを認識し、継続評価しています。
その中から、戦略性やリスク・リターンを含む様々な視点から経営が現場と共に厳選した案件のみ、実行に移します。投資実行後は意志と覚悟を持って、進化したミドルゲームを実践し、事業の良質化に取り組み続けます。また、規律あるレビュー・プロセスを絶えず実施しながら、機会を逃さない資産リサイクルで機動的にキャッシュを創出します。
データ/AI活用による非線形のCombinatory Valueの実現
当社は、グローバルマトリクス体制のもと、グループ横断でデータとAIを活用して意思決定を高度化する、データドリブン経営を推進しています。当社は、これを土台に、先程ご説明した「非線形のCombinatory Value」を実現します。
スライドで例示した、物流ネットワーク、鉱山事業、病院事業、サービス事業等、グローバルに広がる多様なオペレーション現場で、垣根のない企業風土により、事業や地域を越えてデータを活用し、ユニークな価値を創出していきます。
進化した攻め筋
中経2026での様々な取組みを通じて3つの攻め筋の有効性を確信しました。中経2029では、AI戦略推進ユニット、総合エネルギーソリューション本部、デジタル・電力ソリューション本部を新設し、複雑な社会課題やデジタル技術の進化を踏まえ、3つの攻め筋を進化させた、Industrial Business Solutions 2.0、Global Energy Transformation 2.0、Wellness Ecosystem Creation 2.0で、更なる成長を実現します。
注力領域
Industrial Business Solutions 2.0では、鉄鉱石・銅領域において、世界有数の資源量を有する鉄鉱石事業Rhodes Ridgeの開発、銅事業Anglo American Surの一体操業、また、両領域の更なる優良機会の取込みを目指します。
モビリティ領域では、パートナーと積み上げた事業基盤の進化と産業構造変化を捉えた新事業創出による持続的な事業価値創造を追求します。
これまでのGlobal Energy Transitionを進化させたGlobal Energy Transformation 2.0では、バリューチェーン全体の取組を通じて、ガスや再生可能エネルギーを電力や計算力、或いは低炭素アンモニアに代表されるクリーンモレキュールへと形を変えながら価値を高め、社会に供給します。
Wellness Ecosystem Creation2.0では、病院事業を中心に、蓄積している希少なデータを活用し、ヘルスケアとデータを掛け合わせた創薬支援事業等、新たな領域に進出していきます。また中経2026で築いたタンパク質事業群を更に強化し、食需要の成長市場やタンパク質バリューチェーン領域に止まらない周辺分野へも、展開していきます。
経営基盤の継続的強化
経営基盤の継続的な強化を実現するために、サステナビリティ経営、ウェルビーイング・H&S、人材戦略を、長期視点で継続的に強化していく重要なテーマと定めました。
サステナビリティ経営では、統合的なアプローチにより中長期的な価値創造を進めます。ウェルビーイング・H&Sでは、全ての仲間が安心して働ける職場環境を継続して整備します。人材戦略では、グローバル・グループにおける多様な「個」の活躍を促進します。
中期経営計画2029 定量目標
2029年3月期には、基礎営業キャッシュ・フローは1.2兆円、当期利益は1.1兆円、ROEは12%を目標とします。株主還元は3年累計で基礎営業キャッシュ・フローの50%水準を予定しています。
この定量目標は、2027年3月期第2四半期を目途に中東情勢が平常化する市況前提に基づき策定しています。なお、中東情勢のグローバル・サプライチェーンへのインパクトやその影響期間をよく見極めて、石油、ガス、LNG、化学品などの各事業、および物流アセットを駆使したトレーディングを通じて、お客様へのソリューション機能の更なる発揮機会とビジネスアップサイドを見据えています。
成長投資による収益貢献
進化したミドルゲームを通じた既存事業のオーガニックグロースに加え、中経2029では、バージョンアップした3つの攻め筋に沿って、事業軸・地域軸・時間軸のバランスを意識した成長投資を実行する予定です。これらの成長投資による収益貢献と、中経2026にて投資決定をした大型案件により、収益基盤を更に強化します。ご覧のスライドでは、各案件の収益貢献開始時期がプロットされています。
2029年3月期定量目標(セグメント別)
2029年3月期の定量目標達成に向け、全てのセグメントにおいて、根源的な競争力を最大限に引き出しつつ、変化する外部環境を機会として捉え、既存事業の改善や投資決定済み案件の果実化による着実な成長を見込んでいます。
中期経営計画2029 キャピタル・アロケーション
中経2029のキャピタル・アロケーションについて少し詳しくお話しします。
投影中スライド左側のチャートでお示しした棒グラフは、現在想定するベースケースとして、総キャッシュ・アウトを総キャッシュ・インより、明示的に高く示しておりますと共に、経営としての選択肢の拡充を矢印とグラデーションで示しております。最大のポイントは、不確実性の高い経営環境において、経営として選択肢を幅広く確保して舵取りを進めていくという点にあります。強固な基礎営業キャッシュ・フロー基盤に加えて、進化したミドルゲームにより資産価値を更に高め、機動的かつ時宜を得た資産リサイクルを推進し、マネジメント・アロケーションを拡充していきます。
また、長期的な資本効率と適正レバレッジ水準を追求しながら、Debt Portfolioの更なる長期化・良質化を実行します。
これらにより、優位性の高い成長投資と追加株主還元に、ダイナミックなキャピタル・アロケーションを実行していきます。経営として選択肢を幅広く確保させて頂くことから、中東情勢も含め経営環境に大きな変化が生じた際には、ステークホルダーとのエンゲージメントをしっかりと取らせて頂きます。後ほど質疑応答の機会にて更に詳しくお話しさせていただければ幸甚です。
中期経営計画2029 株主還元方針
当社は、再現性の高いキャッシュ創出力の向上に応じて累進的な配当を実施してきました。5期連続1兆円規模の基礎営業キャッシュ・フロー創出、中経2026での1,720億円の基礎収益力拡大を踏まえ、当社として過去最大となる、1株当たり25円の増配をします。資本効率性、基礎収益の更なる伸張を見据え、中経2029期間中の1株当たり年間配当は140円を下限とし、配当を維持または増配する累進配当方針を継続します。
また、大型資産リサイクルや商品市況等に伴う追加的なキャッシュ・インがある場合には、パイプライン案件の優良度合いやその時間軸を検証の上、株価水準や資本効率への効果を勘案し、機動的な自己株式取得を実行していきます。この方針のもと、中経2029の基礎営業キャッシュ・フローに対する株主還元割合は、50%水準を現時点で想定します。
2030年、そしてその先へ
中経2029では、「信頼とイノベーションで未来をつくる」をテーマとして、高度化された統合リスク管理の下、進化した攻め筋に沿ってミドルゲームによる事業価値向上と着実な新規投資の果実化により収益力を一層強化します。
2029年3月期の中経定量目標は、当期利益1.1兆円、ROE12%を目指します。この新中経を確り全うすることにより、2030年の「あり姿」としてお示しした当期利益1.4兆円超、ROE13%超、そして、その先の更なる飛躍に繋げていく、このビジョンを基軸に、当社経営に取り組んで参る所存です。
以上で、私からの説明を終わります。続いて経理部長の栗原より、2026年3月期経営成績及び2027年3月期事業計画の詳細をご説明します。
基礎営業キャッシュ・フロー(実績)セグメント別前期比 増減要因
栗原雅男氏:経理部長の栗原です。それでは、2026年3月期経営成績と2027年3月期事業計画の詳細についてご説明します。
先ず、基礎営業キャッシュ・フローの前期比増減について、セグメント別にご説明します。
2026年3月期の基礎営業キャッシュ・フローは、前期比486億円減少の9,789億円の獲得となりました。
金属資源では、鉄鉱石・原料炭価格下落、関連会社からの配当減を主因に、275億円減少の3,304億円の獲得となりました。
エネルギーでは、米国ガス価格が上昇したものの、前期に2024年3月期分のLNG配当金を期ズレで入金したことの反動を主因に、1,014億円減少の2,620億円の獲得となりました。
機械・インフラでは、関連会社からの配当増、前期における資産リサイクルに伴う税金の反動を主因に、389億円増加の1,841億円の獲得となりました。
化学品では、海外事業に関わる引当金の取崩益を主因に、120億円増加の1,026億円の獲得となりました。
鉄鋼製品では、関連会社からの配当増、トレーディングを主因に、119億円増加の179億円の獲得となりました。
生活産業では、コーヒートレーディングの減益、「その他、調整・消去」とのセグメントをまたぐ取引を主因に、103億円減少の78億円の獲得となりました。
次世代・機能推進では、商品デリバティブトレーディングの増益を主因に、194億円増加の464億円の獲得となりました。
その他の要因として、生活産業とのセグメントをまたぐ取引を主因に84億円増加の277億円の獲得となりました。
当期利益(実績)セグメント別前期比 増減要因
次に、2026年3月期当期利益の前期比増減についてセグメント別にご説明します。
当期利益は、前期比663億円減益の8,340億円となりました。
金属資源では、銅価格が上昇したものの、鉄鉱石・原料炭価格の下落、銅のコスト増及び数量減を主因に、318億円減益の2,536億円の利益となりました。
エネルギーでは、米国ガス価格の上昇、前期における減損損失の反動がありましたが、LNG数量減少、原油価格下落を主因に、93億円減益の1,642億円の利益となりました。
機械・インフラでは、FireflyのIPOに伴うFVTPL評価益がありましたが、前期における資産リサイクルの反動を主因に、70億円減益の2,259億円の利益となりました。
化学品では、ITC Antwerpの公正価値評価益、前期における減損損失の反動はありましたが、前期資産リサイクル益の反動、FVTPL評価損を主因に、84億円減益の675億円の利益となりました。
鉄鋼製品では、トレーディングの増益を主因に、57億円増益の189億円の利益となりました。
生活産業では、タンパク質事業の増益、FVTPL評価益はありましたが、前期における資産リサイクルの反動を主因に、17億円減益の520億円の利益となりました。
次世代・機能推進では、資産リサイクルや、商品デリバティブトレーディングの増益はありましたが、前期資産リサイクルの反動、JA三井リースにおける一過性損失を主因に、283億円減益の590億円の利益となりました。
その他の要因として、前期の退職給付制度改定の反動を主因に、145億円増益の71億円の損失となりました。
当期利益(実績)要素別増減分析
ここでは、当期利益を前期と比較し、その増減を要素別にまとめています。
「基礎収益力」は、LNG関連、タンカーの減益はありましたが、商品デリバティブトレーディング、タンパク質、Vale配当、IPP、鉄鋼製品、産機・建機、化学品の増益を主因に、合計320億円の増益となりました。
「資源コスト・数量」は、銅におけるコスト増や数量減、エネルギーの数量減を主因に、340億円の減益となりました。
「市況」は、銅や原油・ガス価格が上昇したものの、鉄鉱石や原料炭の価格下落により60億円の減益となりました。
「為替」は、円高を主因として70億円の減益となりました。この結果、「市況・為替」は130億円の減益となりました。
「資産リサイクル」は、国内不動産の売却などはありましたが、前期反動を主因に810億円の減益となりました。
「評価性/一過性要因」は、JA三井リースの一過性損失はありましたが、前期反動を主因に300円の増益となりました。
2026年3月末 バランスシート
当期末のバランスシートについてご説明します。
ネット有利子負債は、Rhodes Ridge鉄鉱石事業権益取得に伴う借入増を主因に2025年3月末から0.8兆円増額の4兆1,000億円となりました。一方、株主資本は、円安による外貨換算調整勘定の増加や上場株の株価上昇等によるFVTOCIの金融資産の増加もあり、2025年3月末と比較して、1.3兆円増加の8兆8,000億円となりました。この結果、ネットDERは0.47倍となりました。
2027年3月期事業計画 基礎営業キャッシュ・フロー セグメント別前期比増減
基礎営業キャッシュ・フローの2027年3月期の事業計画をセグメント毎に記載しています。尚、セグメント名は機構改組後のもので、2026年3月期実績も新しいセグメントに組み換えを行ったものです。
エネルギーにおける資産リサイクル益、米国ガス価格、ガス数量、モビリティ・デジタル・インフラにおける関連会社配当、ウェルネスエコシステムにおける前期「その他、調整・消去とのセグメントをまたぐ取引」の反動、コーヒートレーディング損失幅縮小などを主因として、前期比711億円増加の1兆500億円を計画しています。
2027年3月期事業計画 当期利益 セグメント別前期比増減
2027年3月期当期利益のセグメント別事業計画です。
エネルギーにおける資産リサイクル、米国ガス事業、モビリティ・デジタル・インフラにおける資産リサイクル、前期減損損失反動、イノベーション&コーポレートディベロップメントにおける前期JA三井リース一過性損失の反動などを主因として、前期比860億円増益の9,200億円を計画しています。
2027年3月期事業計画 当期利益 要素別増減分析
ここでは、2027年3月期計画を2026年3月期実績と比較し、その増減を要素別にまとめています。
「基礎収益力」は、LNG関連、商品デリバティブトレーディングの減益の一方で、化学品、モビリティ・デジタル・インフラ、コーヒートレーディング、タンパク質事業などの増益を主因に、230億円の増益を見込みます。
「資源コスト・数量」は、170億円の減益を見込みます。
「市況・為替」は、円高の一方で、原料炭、銅、原油・ガスの価格上昇により、230億円の増益を見込みます。
「資産リサイクル」は、30億円の増益を見込みます。
「評価性・一過性要因」は、前期反動、複数案件により、540億円の増益を見込みます。
以上をもちまして、私の説明を終わります。
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