会社概要
三木康弘氏:代表取締役CEOの三木です。会社概要及び2025年3月期決算についてご説明します。
当社の設立は1916年、本店所在地は徳島県徳島市です。資本金は13億8,500万円で、従業員数は2025年3月末時点の連結ベースで645名です。
証券コードは3896で、2012年10月23日に東京証券取引所市場第2部へ上場しました。
「紙の可能性は無限大。わたしたちは、紙で未来をつくっています。」という思いで、当社は事業を展開しています。
売上高構成(品目別)
売上高の構成についてご説明します。2025年3月期における売上高の内訳は、自動車関連資材が51.0パーセント、水処理関連資材が41.5パーセント、一般産業用資材が7.5パーセントとなりました。
自動車関連資材には、エンジン用濾材、クラッチ板用摩擦材、鉛蓄電池用セパレータ原紙などが含まれ、水処理関連資材は、分離膜(RO膜)支持体用、浄水器用などが該当します。一般産業用資材としては、食品用、電子材料用、熱拡散・断熱用途などがあります。
主力製品
主力製品についてご説明します。
摩擦材用原紙は、主にオートマチックトランスミッション車に使用されるクラッチプレート用の摩擦材として用いられており、優れた摩擦特性、耐久性、耐熱性を備えており、スムーズなドライビングを支援します。
分離膜(RO膜)支持体は、水処理に用いる分離膜の支持体として使用されており、ROモジュールは、純度の高い水の製造、海水の淡水化、その他工業用、食品用、飲料用などの用途があります。
自動車エンジン用濾材は、自動車に使用されるフィルターで、燃料、潤滑油、供給空気からほこりや湿気を取り除きます。
自動車エンジン用濾材は国内トップシェア、分離膜(RO膜)支持体では世界トップシェアを誇ります。なお、これらのシェアは当社調べです。
業績サマリー(前年同期比)
業績サマリーについてご説明します。
2025年3月期の売上高は171億2,400万円で、前年同期比6.3パーセント増加しました。自動車関連資材の北米における販売が好調だったことに加え、円安効果及び水処理関連資材の拡販が売上の増加要因となりました。
営業利益は4億3,200万円で、前年同期比21.9パーセントの増加となりました。経常利益は2億7,900万円で、前年同期比8.5パーセントの増加です。
一方で、親会社株主に帰属する当期純利益は3,500万円で、前年同期比マイナス31.6パーセントと減益となりました。これは、原材料価格の上昇や在庫減少の影響によるものです。販売価格の改定に取り組んだものの、収益確保には至りませんでした。
売上高推移
売上高推移についてご説明します。
2022年3月期から2025年3月期までの売上高は、2022年3月期が150億円、2023年3月期が173億円、2024年3月期が161億円、そして2025年3月期は171億円となりました。2026年3月期の見通しは194億円としています。
構成比を見ると、2025年3月期における売上高のうち、自動車関連資材が51.0パーセント、水処理関連資材が41.5パーセント、一般産業用資材が7.5パーセントとなっています。
過去の推移を踏まえると、分離膜支持体を中心とした水処理関連資材が今後の成長を牽引する見通しです。
営業利益増減内訳(前年同期比)
2025年3月期第4四半期の営業利益は、前年同期比で7,800万円の増益となりました。
内訳としては、売上の変動による影響が6億1,500万円で、主に数量の増加と為替による単価の上昇が要因です。
経費等の減少は9,000万円で、主に減価償却費の減少によるものです。
一方で、原燃料価格等の変動による影響はマイナス3億1,700万円、分離膜支持体用不織布の在庫減少等による影響がマイナス3億1,000万円となっており、これらが増益を一部相殺しました。
業績推移
業績の中期的な推移についてご説明します。
営業利益は、2025年3月期が4億3,200万円でした。2026年3月期は2億8,000万円の見通しです。経常利益は、2025年3月期が2億7,900万円で、2026年3月期の見通しは9,000万円となっています。親会社株主に帰属する当期純利益は2025年3月期が3,500万円でした。2026年3月期は7億円を見込んでいます。
なお、新小松島工場の減価償却費負担が2026年3月期の収益に影響するものの、補助金収入も見込んでいます。
貸借対照表(対前期末比)
貸借対照表についてご説明します。
2025年3月末時点の資産合計は271億8,800万円で、前期末比で59億4,200万円の増加となりました。
流動資産は92億4,700万円で、前期比で14億700万円の増加です。固定資産は179億4,100万円で、45億3,400万円の増加となりました。これは新工場建設に伴う設備投資によるものです。
負債合計は196億500万円で、前期比で52億4,300万円の増加です。特に固定負債は103億4,800万円と、前期比で61億7,600万円増加しており、長期借入金の増加が影響しています。
純資産合計は75億8,300万円で、前期比6億9,900万円の増加となりました。
新小松島工場 竣工
新工場の竣工についてご説明します。
当社は、SDGsへの取り組みの一環として、分離膜支持体の生産能力を増強するために、新たに徳島県小松島市に工場を建設し、2025年3月に操業を開始しました。
新小松島工場は、海水の淡水化や純水製造といった世界的な水需要に対応する分離膜支持体を製造するもので、生産能力は現行比で約2倍となります。
これにより、生産コストを削減し、価格競争力を向上させるとともに、新たな顧客の開拓を目指します。また、原単位エネルギー消費量を抑えることが可能となり、環境負荷の低減にも寄与します。
経営指標の達成状況
経営指標の進捗についてご説明します。
2025年3月期の売上高は171億円、営業利益は4億3,000万円でした。総資産経常利益率(ROA)は1.2パーセント、売上高営業利益率(ROS)は2.5パーセント、総資産回転率は0.63回、EBITDAは11億2,000万円、D/Eレシオは3.36倍、投下資本利益率(ROIC)は1.6パーセントとなりました。
2026年3月期の予想は、売上高194億円、営業利益2億8,000万円で、ROAは0.3パーセント、ROSは1.4パーセント、総資産回転率は0.72回、EBITDAは15億9,000万円、D/Eレシオは2.29倍、ROICは1.1パーセントを見込んでいます。
水処理関連資材の拡販と、自動車関連資材の収益確保が今後の課題となります。
中期方針
中期方針についてご説明します。10年先を見据えた会社の基盤構築のため、事業ポートフォリオの最適化を行います。
「明日を支える中核商品の創造」として、分離膜支持体の拡販を強化していきます。新小松島工場の安定操業に取り組みます。
また、新たな顧客価値の創造を進めます。脱エンジン自動車向けの製品を共同開発し、カーボンニュートラルに資する機能材の開発、既存市場の深耕に努めてまいります。
「国内生産体制の再構築」として、徳島事業所のリストラクチャリングや事業継続計画(BCP)の再策定など、事業構造改革も推進します。
中期方針
「経営基盤の強化」として、知的資本の活用に関する方針についてご説明します。
「培ってきたノウハウの見える化と共有」として、技術ノウハウの棚卸を進め、新事業創出に向けて「攻めの知財」を活用します。また、新製品を保護する「守りの知財」も強化していきます。
「全社員の能力開発」としては、人財の確保とエンゲージメントの向上にも注力します。具体的にはキャリアビジョンやミッションステートメントの設定、体系的な社員教育の実施、社内環境の整備などに取り組みます。
さらに、「パートナーシップの拡大」として、大学・研究機関、サプライヤー、コンバーター、同業者との連携を通じて、オープンイノベーションを推進していきます。
私からのご説明は以上です。ご清聴いただきありがとうございました。