「いつ買うか」の2つの参考指標

ちょる子氏:基本的には何を買うかといつ買うかというお話かと思っていて、何を買うかに関しては今お話ししたようにテーマを選んでいますが、いつ買うのかについて参考にしているものをご紹介できればと思います。

まず大きいもので2つございます。(スライドを示して)1つ目、左側「Fear&Greed Index」というものです。これはアメリカの投資家心理がどのようになっているのかという、恐怖と欲望指数と言われています。

数字が小さい方が投資家心理が恐怖に傾いており、数字が大きくなれば投資家は欲望に傾いています。みんな買えという状態ですね。先日のトランプさんの相場でおいては6とか5とかになっていました。今は21になっています。

こちらが世界の経済の中心、一応アメリカです。アメリカを中心に動いているので、アメリカが今どこの状態なのかを見るのは大事かと思っています。ここの指標がまず20を下回った時には押し目買いになりやすいので、1つベンチマークにしています。

では、日本はどうなんだといったところで、今度は「日経ボラティリティ・インデックス」というものがあります。こちらも恐怖指数と同じですが、今度は数字が高いほうが恐怖に震えています。

今までは20を上回ったら買いだというかたちでお伝えをしていたのですが、2024年7月以降、金利を上げるといった話からもうずっと「日経ボラティリティ・インデックス」は20を超えている状態です。

なのでなかなか落ち着かないような状況で、今日も35とかです。トランプさんのショックで、「Fear&Greed Index」が5になっていた時には「日経ボラティリティ・インデックス」のほうだとマックスで56とか58ぐらいにまで上がっていたので、やはりショックなことがあったんだなといったところです。あと令和のブラックマンデー、2024年の8月5日ですね。あの時は場中に80を超えていました。やはりすごく異常事態だったというようなことがそこからもうかがえるかと思います。

基本的にはどちらも投資家心理が弱気になっているタイミングで、みんな投げ売りが出ていると思っていただければわかりやすいかと思うので、このような時にレバレッジを掛けて買っていくようなかたちですね。先ほどお伝えしたように優良株が必要以上に売られていたらそこは拾っていく、そしてまた戻り売りを狙うというようなものです。

個別株でどのようなものを見ているのか

じゃあ今度は個別株でどのようなものを見ているのかというお話をさせていただければと思います。個別株のチャートは基本的に見ていまして、移動平均線、RCI、出来高、ボリンジャーバンドを見ています。

移動平均線の設定は5日線、25日線、100日線で見ています。100日線は、基本的には100日の平均をとっているので、目先の動きではあまり動かないようなものになっています。基本的にはもう長いトレンドを描くというものになっているので、全体の方向感はどうかということで見ています。

RCIはその個別株での過熱感を見る指標になっていて、基本的にタイミングとしては、長期と短期の線がマイナス90を下回った時に買いかといったところです。ボリンジャーバンドは目先の下値余地といったところを見るようにし、あとは上値余地を見るようにしています。

(スライドを示して)実際の取引画面の1つなのですが、これは2024年の夏を表していますね。左側の画面の丸の部分がまず5日線が25日線に近づいてクロスすることなく上振れているチャート、これをパンパカパンといいますが、めでたい感じですね。パンパカパンといいます。すごく強いサインです。

これが出たら上昇のサインになります。その後、上でグズグズ高値を抜けることなくもみ合って、抵抗帯を抜けたところはブラックマンデーと酷似したチャートになりますので、だいたい2週間手がつけられないと言われています。これは2024年の夏のチャートなので、その後の結果はよくご存じのとおりかと思います。

先ほどパンパカパンのお話をしたとおり、右側の画面、今度は逆ですね。5日線が下落トレンドの中、25日線に近づいてクロスすることなく、また惨落していく。これを逆N大といいまして、今度は需給がすごく悪いというようなものになります。こうなった時にどこで反転するかわからないですが、やはり買いづらいというようなかたちになります。

(スライドを示して)あとこれは一応下落トレンドのサインなのですが、今までのチャートから窓を開けて上振れたサインがあり、また今度窓を開けて下振れる。これをアイランドリバーサルといって、1つの天井のサインで、「この後に下落していくよ」というようなものになります。

また、この窓を開けて2本、2日連続陰線がつくもの、これを下放れ二本黒と言いまして……。酒田五法、好きなのです。買い手不在の状況といって、この後に大暴落が起こるサインといったところで、このようなところは購入しちゃいけないよと。

過去のチャート見てみると、2024年7月、アイランドリバーサルと下放れ二本黒。きれいに日経平均で出ています。ここから下落トレンドになっているといったところと、キーエンスも同じようなかたちをしていますね。

(スライドを示して)それでは過去のお話から最近のお話しすると、これは日経平均の形です。日経平均、このタイミングは2025年3月末からですね。一度離れ小島になっていて、下放れ二本黒が発生しているので、下落トレンドに入ったということがわかるかと思います。

先ほどボリンジャーバンドのお話をしたと思いますが、マイナス2σとマイナス3σの間をずっと行き来してトレンドのとおりに動いていくことが、バンドウォークといいます。

逆に上昇トレンドのプラス2σとプラス3σで動いていくのは、上昇のバンドウォークになるので、左側の図でいうと、「アイランドリバーサル」という文字の左側の黄色の線の部分が動いたらバンドウォークですね。(「バンドウォーク→買えない」と書かれている部分を示して)今度は下の方にバンドウォークしているので、「ここは今買えないよね」というような感じですね。

いったんセリクラっぽくなったのが先々週の月曜日(2025年4月7日)かと思いますが、その時には日経平均で大陰線つけて、マイナス3σを貫通しています。

マイナス3σを貫通しているので、マイナス3σまでは戻すのではないかということで購入してもいいのですが、そこから下落するかどうかわからないので、購入したとしても含み損覚悟かというような判断をします。

逆に次の日ですね。次の日にマイナス2σで今度は陽線を、反発して陽線を立てた時に、ここから悪材料がなければいったんテクニカル上は反発したといったところで、25日線までは戻すかという感じで見ています。

実際に私は先物もやっていて、夜間、トランプさんが演説をする前の時です。ここで上ヒゲ付けていますが、その時はマイナス2σを超えて陽線付けそうだったので、いったんトレ転かと思ってロングを入れていました。

なのですが、一応、朝5時に講演をすると言っていて、何を言うかわからないので逆指値だけ置いて寝ていたら、見事に酷いことになっていまして。全部微益撤退というかたちで、逆指値すべて狩られていたというかたちで、またそこからバンドウォークが始まって、下落トレンドに戻ったというかたちです。

ちょうど今お伝えしたようにマイナス2σを陽線で立てているといったところで、25日線まで戻ったらいいなと思いながら、一応今のポジションとしては、ロングを2枚抱えて、あとボラティリティが落ちてきたので、ヘッジでコールの売りを3枚立てているというかたちです。

ちなみに、この時に夜間の先物を見ていらっしゃった方がどれくらいいるかわからないのですが、1分足で利ざやを抜くようなことをしていたので、すごかったです。「マイナス1,000円かマイナス2,000円を選べ」「マイナス2,000円になったと思ったら、マイナス1,000円まで戻した」のような感じで。

もはや「マイナス1,000円だけど、底値からは1,000円戻したからよかったね」のような謎の空気感になっていましたが。本当に日々寝不足で、トランプさんになにかあったら労災で訴えたいと思っているような具合です。みなさま、本当にお身体、お気をつけくださいませ。

最近のチャートのお話もしようかと思います。今度はニューヨークダウです。先ほどお伝えしたように、左側の丸のタイミングで5日線が25日線に混じることなく反落しています。「需給弱いよね」というお話です。右側の丸、また直近も25日線に近づいてきていて、また今度は反落しているといったところで、需給が非常に悪いんだなというのがうかがえるかと思っています。

また今度、NASDAQに関しては、ダウと同じようなかたちではありますが、今度はまた窓を開けて下離れ二本黒が出ているといったところで、売りトレンドはまだ継続かなと、NASDAQを触られている方はご注意ください。

もし新しい材料がトランプさんから出た時には買われたらいいかとは思いますが、いったん目先は需給が優先されるかと思うので、お気をつけいただければと思っています。

ただ、日経は相対で見たらダウと比べてすごく強い状態なので、私はキーエンスを触っていますが、それでもNASDAQは弱くてもプラ転したりということはぜんぜんあるので、若干決算期待のようなところもあるのかと思って見ています。

(スライドを示して)実際に、こちらはキーエンスのチャートで、個別株のほうです。個別株をどう見るのかということで、キーエンスのチャートなのですが、これはヘッドアンドショルダー、ダブルトップというかたちです。

そうなると、だいたい山が2つできたうちの1個、折り返しをしているところと2つ目の山の天井の差分がだいたい下落下値目処になるので、そこのあたりを買うかといったところの図です。

あと、イベントごとにもロット管理していて、その時々に注目されるイベントがあるかと思っています。最近だとあまり決算関係なくて、トランプが何言うかといったところが一番大きいかというのはありますが、ここからは本当に利下げをやるかどうかは置いておいて、物価高のようなところ、インフレがどうなのかというお話が、アメリカではおそらくこれから出てくるかと思っています。

したがって、5月、6月くらいになったらCPIは見ていただければと思っています。CPIの構成要素として、7パーセントがエネルギー、あとは住居費が34パーセントで大きいところです。アメリカの指標で、原油の価格推移だったり、あと家賃の推移が見られるサイトがあるので、よかったらそこを参考にしていただければと思っています。

ロット管理に役立つアノマリー

ロット管理に役立つアノマリー投資のお話です。ここからやっと第2章のようなかたちでご紹介できればと思いますが、「アノマリー何々?」といったところで、アノマリーというのは、市場の理論とかファンダメンタルズでは説明できませんが、過去に繰り返し発生してきた相場の傾向のことを言います。その要因を私たちが気づいていないだけで、多くはちゃんと理由があるとされています。

どのようなものがあるのかと言うと、季節性のアノマリーだったり、曜日・時間、イベント系、あとは心理系です。週末を持ち越したくないようなお話です。季節性でしたら1月効果やセル・イン・メイ、夏枯れ、ハロウィン効果といったものがあります。

少しずつ簡単にご紹介できればと思います。季節性のアノマリーとして、まず1月効果です。年初は株価が上昇しやすい傾向があります。特に中小型株が買われるケースが多いです。

その理由としては、年末にまず損出しというようなことをされるケースが多く、その中で、例えば小型・新興の値がさ株のようなところが狙われやすい傾向にあります。一方で、そこで損出しが終わってから、逆に1月になって、また新しくポジションを取ろうといったところで、中小型株が特異的に資金が入ってきやすいというようなものです。

また、セル・イン・メイです。「5月に売りましょう」というようなお話がよくありますが、最近だと、5月というよりは6月にずれ込んでいるといったところで。背景としては、アメリカの個人投資家さんの源泉徴収が終わって還付金が入ってくるのが、2月から5月までになっています。そのようなところで、アメリカの投資家さんの資金流入が見込めるようなところが最近のトレンドとなっています。

また5月・6月なのですが、日本企業に関しては、自社株買いの発表が盛んになってくるタイミングもありますので、最近だとセル・イン・メイよりセル・イン・ジューンという感じのようです。

あと、夏枯れ相場です。7月・8月は、海外の投資家さんは夏休みに入っているので、売買代金が縮小し、買い手不在になりやすいという傾向があります。また、ハロウィン効果で10月末に底値を付けやすいという文言があります。あとは12月に向けて年末ラリーが行われて、株価が上昇しやすいです。

全体の流れで見ると、2007年から2013年までの間で、今お伝えしたとおり、例えば4月末に買って10月末を見ると、4月が高くて10月が下がっているのがおわかりいただけるかと思います。

2007年から2013年の間に、例えば10月末に買って4月末に売る戦略を取っていると、だいたい資産は391パーセントプラスになるという傾向があります。反対に、4月末に買って10月末に売る戦略を取ると、資産は47パーセントになって、半分になってしまうというものです。反対に、売買せずにホールドしていると、177パーセントという傾向があります。

また、イベント系のアノマリーです。つい最近もアメリカの大統領選がありましたので、アメリカの大統領選がある時は、やはり経済がいい状態ではないとできませんから、経済政策をいっぱいやります。

このようなところで、アメリカの選挙があった年は株価は上昇しやすい。また一方で大統領選があった翌年、2025年は株価が86パーセントのパフォーマンスだと。比較的下がりやすいという感じです。

あと、私の中でアノマリーを信じていまして、懸念事項として「辰巳天井」という格言があります。目先で言うと、先ほどお伝えしたように、大統領選挙と、あと日本は参院選がいったん終わって政策出尽くしという傾向になって、買い手がいったん控えるかという感じで見ています。中間選挙がある時までは、いったんポジション、ボラも高くなったりとか、下落トレンドになるかというかたちで見ています。

(スライドを示して)月別のアノマリーはこのようになっています。背景に関しては先ほど口頭でお伝えしたとおり、ご留意事項としてあるのが5月です。5月はアメリカの学校の卒業シーズンになります。入学式が9月からスタートになるので、6月から8月はみんな引っ越しのシーズンになります。

引っ越しのシーズンになるとどうなるかというと、大家さんからしたら「家賃上げたいな」「家賃改定しなきゃな」と思うのが普通かといったところで。先ほどお伝えしたように、住居費のトレンドはどのようになっているのかは、5月、6月、7月、8月くらいはご確認いただくのがいいかと思っています。先ほどお伝えしたように、インフレの影響がどうなるかというのを2025年後半、注目しています。

また、曜日と時間のアノマリーです。心理としては、金曜日は週末持ち越したくないから下げやすいといったところと、あと、金の夜から土日で悪材料が出て、月曜日、日本が真っ先にまずその影響を受けるかたちで、月曜日がへこみやすいというような……。ひとつ「こういう傾向にあるよ」「そうなんだ」で済むようなお話かと思いますので、お伝えできればと思います。

産業別のサイクル

あと、マクロを考える時に、産業別のサイクルというものがありまして、半導体が盛り上がったら、その後は自動車が来て、自動車が売れたら鉄鋼が売れるというサイクルがあるよという感じです。

半導体は3年サイクルと言われています。こちらはiPhoneの買い替えの時期の周期と相関があります。SOXの週足を見てもだいたい3年サイクルといったところと、あと、パソコンの買い替えのサイクルは7年サイクルと言われています。

自動車は10年サイクルです。これも自動車の買い替えのサイクルなのです。末尾が6の年と7の年に株価が上がりやすいという傾向があるので、そのような背景から、「今年、自動車がまだ堅いんじゃない?」と思っていたのですが、今後も関税の動向に注目しています。

というかたちで、アノマリーだったりとかサイクルといったところで、どのようなセクターを選ぶかだったりとか、あとロット管理といったところを見ながら売買しています。

(次回に続く)