2025年3月期決算補足説明

司会者:ただいまより、クルーズ株式会社2025年3月期通期決算の補足説明会を始めます。

本日は2025年3月期通期決算についての補足説明を、クルーズ株式会社代表取締役社長の小渕、取締役副社長の稲垣、496株式会社取締役副社長の横倉を中心に行います。

事前に今回の決算の開示資料や決算説明動画等を見ていただいている前提で質疑応答をメインとしていますので、いただいたご質問に回答するかたちでの決算の補足説明とさせていただきます。

質疑応答:M&Aなどの活用予定について

司会者:「高還元型SESが主軸かと思いますが、今後、M&Aなどの活用予定はあるのでしょうか?」

小渕宏二氏(以下、小渕):クルーズ代表取締役社長の小渕宏二です。よろしくお願いします。今日は質問会にお越しいただきありがとうございます。

M&Aは検討していません。2年から3年はこのまま自力で進めたいと思っています。チャンスがあればその限りではないですが、基本方針としてはM&Aはありません。

質疑応答:「人材×IT領域」の見通しについて

司会者:「第3四半期の決算報告書に記載されていた『人材×IT領域』の明るい兆しとは、介護事業のことでしょうか?」

小渕:そのとおりです。

質疑応答:ITアウトソーシング事業の営業利益計画について

司会者:「ITアウトソーシング事業の中期計画で、2028年3月期に営業利益15億円というのは堅いとお考えですか?」

小渕:堅いと考えています。あくまでも計画で、お約束するものではありませんが、そのような感覚です。

質疑応答:ITアウトソーシング事業とAda.事業のトレンドについて

司会者:「決算説明では構造改革が終わって赤字事業がゼロとのことですが、セグメント別で見ると、その他事業がまだ大きく赤字となっています。

一方で、ITアウトソーシング事業とAda.事業がすでに損益分岐点を超えて黒字化しており、売上の成長に応じて利益を積み上げていくフェーズとのことでした。これは、2026年3月期第1四半期から、連結上も利益が出てくるという理解で合っていますか?」というご質問です。

小渕:第1四半期から利益が出るかどうかについては、直近の話のためコメントを差し控えます。中期経営計画を発表しており、前回の決算ではその計画どおり進捗していました。したがって、第1四半期以降も現在、社内の計画どおりには進行しています。

そして、ITアウトソーシングとAda.の2事業以外で、売上利益が下降トレンドの事業はすべて売却、あるいは撤退が完了しています。そのため、2事業のトレンドとしては上昇傾向です。ただし、損益分岐点は超えたものの、超えたばかりでもあるため、今後も若干の凸凹はあり得ると思います。

投資など細かい点を含めると第1四半期、第2四半期ぐらいはいろいろな前後があると思いますが、総じて調子が良い状況です。売上については、昨対比で見なくても十分すぎるぐらいの伸びを示してくれると思います。

また、連結グループの中で本社コストなどをどれだけ吸収していくかについては、時期により動きがあると思います。

補足として、その他事業には各事業に配分しきれなかった本社のコストが多く含まれています。

質疑応答:今後の採用方法について

司会者:「システムエンジニアリングサービス事業(以下、SES事業)について、人員が増加する上で、離職率を減らしても分母が増えているため純増数が増えにくくなると思います。今後、新たな採用方法をとるのでしょうか?」というご質問です。

横倉一真氏(以下、横倉):496株式会社取締役副社長の横倉です。新しい採用手法をとることはあり得ると考えています。採用単価次第ですが、常に新しい採用をしたくて模索しており、どんどん探していきたい考えです。

質疑応答:ITアウトソーシング事業のエンジニア単価について

司会者:「ITアウトソーシング事業のエンジニア単価約60万円は、1ヶ月単位なのか1契約ごとなのか教えてください」というご質問です。

横倉:こちらは1ヶ月単位になります。

質疑応答:介護福祉人材サービス事業への取り組み方について

司会者:「介護福祉人材サービス事業をSESモデルの延長として進めるとのことですが、業界特性、人材定着率、単価、スケーラビリティが異なる中で、どのように既存のSES事業の強みを活かせるとお考えですか?」

横倉:SES事業と介護福祉人材サービス事業の共通点として、求人広告を使って採用して、事業を伸ばし続けることであると考えています。したがって、SES事業でうまくいった求人広告の運用や応募後の対応のノウハウを、介護福祉人材サービス事業に活用しています。

質疑応答:ITアウトソーシング事業の利益構造について

司会者:「ITアウトソーシング事業の利益構造を教えてください」というご質問です。

横倉:ITアウトソーシング事業のメインであるSES事業の売上構造については、「稼動エンジニア人数×売上単価」になっており、主なコストは採用費と人件費です。また、介護福祉人材サービス事業も同じような売上構造で、採用費と人件費が主なコストになっています。

補足として、介護福祉人材サービス事業に先行投資をしている影響で、見た目上、ITアウトソーシング事業全体の利益率を押し下げるような状態になっています。

小渕:利益はそれぞれの事業単位で管理していますが、セグメント開示上は、新規事業投資が含まれているためITアウトソーシング事業の利益率が若干低く見えているということです。

質疑応答:Ada.事業の販路拡大について

司会者:「Ada.事業について、現在『ZOZOTOWN』を中心に売上拡大しています。実店舗や他の販路拡大などは考えていますか?」というご質問です。

小渕:すべての可能性を検討していますが、今のところ「ZOZOTOWN」を中心に売上を拡大していこうと思っています。先ほどのM&Aと同じで、今のところそれ以外のプラットフォームで提供して売上を拡大することはあまり考えていません。数年先でいいと思います。

質疑応答:「EARN POKER」の影響について

司会者:「CROOZ Blockchain Lab(以下、CBL)からリリースされる『EARN POKER』の売上利益は、今後のクルーズの業績には関係しないのでしょうか?」というご質問です。

小渕:関係しません。CBLの解散やStudioZの譲渡も発表しているとおりで、すべてのゲーム事業は撤退を決定しています。そのため、この売上利益についてもまったく関係しないことになります。

質疑応答:「エルゴスム」の現状と今後の見通しについて

司会者:「『エルゴスム』の状況と今後の見通しを教えてください」というご質問です。

稲垣佑介氏(以下、稲垣):クルーズ取締役副社長の稲垣です。「エルゴスム」についてはすでにサービスが終了しています。

今回の決算でお伝えしたとおり、すべてのゲーム事業は撤退を決定しています。他にも「PROJECT XENO(プロジェクトゼノ)」などのタイトルがありますが、すべてのゲームは今後、当社とは無関係というかたちになります。売上利益についても取り込まれることはありません。

小渕:譲渡が完了したタイミングで、当社グループにはゲーム事業がゼロになるということです。したがって、1円の売上も利益も入ってこず、P/Lにも反映されません。

質疑応答:ゲーム事業の撤退の判断基準について

司会者:「ゲーム事業の撤退の判断における基準に、赤字の蓄積だけでなく再投資評価やマーケット動向など複数の指標があったと思います。どのような評価プロセスで撤退の判断に至ったのか教えてください」というご質問です。

小渕:前提として、細かい指標はあまり見ていません。大きな指標で、赤字の規模が大きかったことと、新作への投資額が非常に大きかったことがあります。次に、新作のヒット確率もかなり低かったですし、開発スタートからリリースまでの期間がとても長かったのです。

今回の決算で9億円近くの赤字を出していますし、新作1本で数億円かかっています。新規のヒット率については、「PROJECT XENO」と「エレメンタルストーリーワールド」、「エルゴスム」の3本を出し、1本しかヒットしなかったため30パーセント程度です。企画から開発途中で立ち消えたものまで全部含めると、ヒット確率はもう少し低くなります。

また、国内の競合他社がサービスを提供しているゲームで昨年、中程度のヒットは数本あったと思いますが、大型のヒットは1タイトルから2タイトルぐらいだと思います。

人の判断基準にもよるとはいえ、各社がしのぎを削って数百本近くのゲームがリリースされている中で、当たったゲームはそれだけなのです。そうなると、競合他社の数を考えても、もうゲームで当てることは厳しい状況です。

このような不確実性が高いものを、上場企業として取り組んでいくのが辛いのです。ゲーム事業は極めて上場企業に向かない事業だと思っています。

国内の企業では、大手のゲーム会社などは過去に投じてきた資金に基づいて、名前がとおっている「PlayStation」や「Nintendo Switch」も含めたブランドが、いろいろなプラットフォームで数々の優れたタイトルを出しています。そのようなところは、ブランド力、あるいは資金力があるため耐えられると思います。

しかし、我々にはそのようなものがありません。新興企業のゲーム事業へのチャレンジは、上場企業には向かないと思います。これはあくまでも私の感覚で、競合や同業界の経営者たちと話をした時の顔色や話しぶりから、総合的に感じていることです。

また、失敗が続くことによって、現場の社員の士気は下がっていきます。その社員の士気を上げるのも大変ですし、その分、優秀な人材を新しく採用しなければいけないという採用の困難さもあります。

このような理由で、我々の中ではゲーム事業はするべきではないと判断しました。

質疑応答:今後の資金調達リスクについて

司会者:「ITアウトソーシング事業以外の撤退によって構造改革が完了したと述べられていますが、2025年3月期において、営業キャッシュ・フローはマイナス10億3,300万円、投資キャッシュ・フローも63億2,800万円流出と、大幅なキャッシュアウトが継続しています。財務的に、今後の資金調達リスクをどう評価されていますか?」というご質問です。

稲垣:約10億円の営業赤字について、9億円近くはゲーム事業によるものです。こちらは譲渡することになったため、今後はこの影響はなくなります。

投資キャッシュ・フローのマイナス63億円は、主に不動産投資によるものです。財務キャッシュ・フローもあわせて見ると、借入れも資金調達も同時に行っていることがわかると思います。

2025年3月期の借入れ額には不動産のものだけが表示されているわけではありませんが、不動産投資をすべて自己資金で行っているわけではなく、借入れとセットにしています。あくまで余剰資金運用で、財務的に問題ない範囲で行っているということです。

資金調達リスクについて、まず、ITアウトソーシング事業とAda.事業は損益分岐点を超えており、ここから何十億円もかかるような大規模な追加投資は、今の時点では計画がありません。したがって、新規の資金調達が行えないと事業が停滞するようなことは想定していない状況です。

仮にあってもそこまで大きな金額ではなく、当社グループ内の余剰資金や子会社内における借入れでカバーできる範囲の内容かと思っています。この点についてはひとまずご安心ください。

不動産投資にかかる拠出については、純投資で行っており、できる範囲で投資の計画を立てていく内容になっています。

当然、歩みを止めないために、資金調達先としては金融機関もあるため、当社グループの業績が大事かと思っています。ITアウトソーシング事業の中期計画の達成、願わくば上方着地をすることで、より調達しやすくなるかと考えています。

質疑応答:PBR改善について

司会者:「PBRが0.6倍と依然低位です。今後のPBR改善に向けた具体的なKPIや、数値目標は設定されていますか? 仮に設定がない場合、資本効率の向上に対して、どれだけ経営陣の方が意識しているのでしょうか?」というご質問です。

小渕:PBRが依然低位であるのはそのとおりです。

ITアウトソーシング事業とAda.事業しかない中で、2事業とも前期を大きく上回っています。ITアウトソーシング事業の売上規模は昨対比で1.6倍程度に成長していますし、Ada.事業は、前期取扱高11億円だったのに対して、今期実績は44億円で4倍近く伸びています。

そのような事業を抱えた会社で赤字リスクが極めて低くなっている状況を踏まえると、PBR0.6倍はあり得ないと思っています。PBR0.6倍が正しいわけがなく、正しくない状況の中で細かく設定してもあまり意味がないため、具体的なKPIは設定していません。

あくまでも我々が見ているのは、本質的な事業の成長である売上と利益です。この2つ以外の、社内でのPBRの目標は結果論だと思っており、あまり見ていません。投資家のみなさまが見て評価してくださるのは、売上と利益だと思います。目標として設定しているのはそれだけで、それ以外には必要ないと思っています。

その中で、売上と利益については非常に強く意識しています。その他の細かい指標についてはまったく意識していません。

質疑応答:業績予想を開示しない背景について

司会者:「業績予想の開示を、合理的な算定が困難として見送っていますが、主要2事業に集約した今、収益構造は安定化しているはずです。なぜ予想の開示ができないのか、詳細を教えてください」というご質問です。

小渕:まず、2事業については損益分岐点を超えたばかりです。ITアウトソーシング事業は3年から4年ぐらいのいろいろなタイミングのずれがあり、正式な開始時期からはカウントできないものの、開始してから4年ぐらいです。Ada.事業に関しては、ようやく1年半経ったところで、損益分岐点をクリアしたばかりです。

これだけの売上が出せることも当時はわかっておらず、予想を超えています。つまり、上も下も合理的な判断ができない状況です。損益分岐点を超えたばかりで、ベンチャー企業であればできて1年目や2年目の「これから」というところです。そのため、合理的な算定ができないと思っています。

事業構造をスリム化しているため、将来的には当然、業績予想も考えなければいけないと思っていますし、考えたいと思っています。今はその時期ではないというだけです。

質疑応答:株主還元の方針と見通しについて

司会者:「株主還元方針と今後の見通しを教えてください」というご質問です。

小渕:株主還元策にはいくつかの方法があると思っています。自己株買付も1つで、配当もそうだと思いますし、配当性向についても考えなければいけないと思っています。取得した自己株の消却も1つの株主還元かもしれません。一方で、本質的には、株価を上げようと思ったら、業績が上がれば上がるし、上がらなければ上がりません。

市場でも、ちょっとしたニュースで投機的な株価の上がりがあることもあります。「AIの取り組みを始めるぞ」と言っただけで、時価総額がいきなり6倍、10倍となっていく会社もあります。しかし、売上と営業利益が伴わないと、1ヶ月か四半期の決算が出たら結局もとに戻ってしまうのです。

つまり、我々の事業規模と会社のステージを踏まえると、株主還元などを考えた場合、業績を伸ばすことが一番で、それ以外の還元策を今考えるべきではないと思います。

今後の見通しとしては、まず、業績を伸ばします。その後に、中長期的には配当もあるでしょうし、自己株の再取得や消却もあるかもしれません。一般的な株主還元策はすべて考えるべきだと思っています。ただし、今は会社のステージがその時期ではありません。

当社は構造改革が終わり、ようやく赤字から回復するというところです。時価総額も70億円から80億円、PBRも0.6倍です。この間は一時的に時価総額50億円程度まで下がったこともありました。そのような企業が、株主還元策にお金を使い、事業投資をおろそかにするわけにはいきません。

株主還元策は事業投資の後に考えたいと思っています。具体的には3年後くらいです。3年後に中期経営計画が達成できるようなタイミングで、ようやく検討できる話だと思っています。

質疑応答:配当よりも自己株式取得を優先する理由について

司会者:「自己株式保有比率が約26パーセントに達している一方、配当はゼロを継続しています。なぜ配当による株主還元ではなく、引き続き自己株式取得を優先しているのでしょうか? 具体的な資本コストと株主リターンの観点からご説明をお願いします」というご質問です。

小渕:自己株式取得を行った上で配当を出していないのは、単純に自己株が安いことが理由です。自己株式取得は株価が安い時にしかできません。

自己株式取得は株主還元のためというよりは、株価が安く、かつ今後必ず上がると考えているためです。これが大前提で、結果的に株主還元になる可能性はありますが、現在はそれを目的としていません。

また、資金はすべて、リターンが大きく返ってくる事業投資あるいは純投資に充てたほうがいいと考えています。仮に投資ではなく配当に資金を回していた場合、ITアウトソーシング事業とAda.事業は生まれなかった可能性もあります。今行うべきは事業投資による売上、利益の成長で、株主還元ではないということです。

結果的に売上と利益が伸び、再評価されたタイミングで「安い時に自己株式取得をしておいてよかった」、あるいはITアウトソーシング事業やAda.事業のように「新しい事業に投資しておいてよかった」となると思います。つまり、順番の問題です。

したがって、株主還元を検討するのは、3年後かもう少し先のことであり、今決めることではないと思っています。当社の規模からその体力を考えても、売上、利益が中期経営計画以上に出せるようになって、初めて考えるべき話です。

質疑応答:不動産投資の詳細について

司会者:「不動産投資について、直近で大きく投資している物件の詳細を教えてください。どのように物件をソーシングし、誰がどのようなフローで、どのような基準を持って意思決定されているのでしょうか?」というご質問です。

稲垣:まず、不動産投資は余剰資金の運用の一環として行っているものです。余剰資金はもともとスタートアップ等への投資に活用し、実際に2025年3月期にも10億円くらいの利益を計上しています。そして不動産投資も開始したという背景です。

さまざまな不動産がありますが、余剰資金運用の中で投資しているため、中でも流動性が高く換金が容易なものを堅実に選んでいます。投資を目的とするため、将来大きな価値向上が期待できるものを厳選しています。

具体的な物件の詳細や内容は、不動産のオーナーという相手もいる話のため差し控えます。ルール上開示が必要な内容があれば、そのタイミングで開示を行います。ただし、純投資のため、基本的には開示はしないものと捉えています。

小渕:どのような場所の不動産かというと、都心の超一等地です。したがって、おそらくその価値は下がりません。投資したベンチャー株の銘柄に言及しないのと同じく、不動産投資もどこに投資したという話はしません。

駅至近や一等地など、おそらく誰が見ても欲しがる物件のみを扱っています。実際に意思決定する時は、当然ながら社内のフローを通して複数人の専門家でしっかり評価します。しかし、良い情報が入ったら夜中でも私と稲垣が車で行って、見て、その場で決めます。そのくらいのスピード感で進めているということです。

質疑応答:投資不動産の取得が急増したことについて

司会者:「投資不動産の取得が急増しており、昨対比約85億円です。なぜここまで大規模な投資を実行されたのでしょうか?」というご質問です。

小渕:純投資案件として見た時に、必ずリターンが生まれると思ったためです。ベンチャー企業への投資も同じくらい行っていますが、これは不確実性が高い投資です。不動産は良い意味でも悪い意味でも動かない資産で、株よりも不確実性が低く、非常に安定しています。

質疑応答:投資不動産の運用額が増えていることについて

司会者:「前期に比べ投資不動産が90億円ほど増え、賃貸収益と賃貸費用が増えている理由を教えてください」とのご質問です。

稲垣:大きく増えている理由については、先ほど小渕からご説明したとおりです。現時点で、累計100億円以上の不動産を買い進めています。

これは純投資として行っているもののため、営業利益ではなく営業外の賃貸収益・賃貸費用という科目で関連の収益および費用を表示しています。そのため、投資額が増えていくと、これらも増加していくという関係です。

質疑応答:事業展開に対する認知拡大について

小渕:「クルーズはゲーム会社というイメージを持っている人が非常に多いと思います。今後の事業展開について、どのように認知を進めていきますか?」というご質問です。

おっしゃるとおり、ゲーム会社というイメージか、通販の「SHOPLIST」というイメージか、あるいは「いろいろやっていてよくわからない」と見られているかの3通りかと思います。

「SHOPLIST」が大きく進捗してもゲーム会社の印象が強かったように、今もゲーム会社と捉えている方が多くいると思います。ゲーム事業の売上が残っていると、やはりゲーム会社の印象が残り、通販が非常に伸びていても「ゲームの会社だよね」と言われます。逆も然りです。

今回、売上、利益について2事業を残し、他をすべて整理したのは、ブランドをこれから構築していこうという思いの表れです。

「何の会社かわからない」というご指摘については、我々も課題意識を持っています。これがコングロマリット・ディスカウントとして、おそらく株価にも反映されていると捉えています。

調子の良い時であっても、当社が他の同業他社に比べて評価されなかったのは、ゲーム事業に取り組んでいる中でEC事業をしていると、やはり機関投資家をはじめ投資家の方は、どのKPIで判断すべきか、3年後の収益をどう計算すればよいのかがわかりにくいのです。

したがって、今回を皮切りに極めてシンプルにしたいと思っており、このような説明会を通じてブランディングしていきたいと思っています。

質疑応答:現在の株価について

司会者:「小渕社長は熱い方だと思います。株価について悔しい思いをされているのかなと考えていますが、今マーケットから値付けされている株価に対してどう思われていますか?」というご質問です。

小渕:非常に悔しい思いをしています。今の株価が適正だとはまったく思っていません。私個人の意見をお伝えしておきます。

私も大株主の1人であり、ベンチャー企業の創業者であり、起業家であり、経営者の1人です。2001年から2025年まで、同業他社においても消えていく会社がある一方で、大当たりする会社もあり、「そんな会社あっただろうか?」と言われる会社もあります。

おかげさまでクルーズは、事業展開を繰り返しながらここまで来ました。「もっと評価されてもよいのではないか」と思いながらも、やはり株式市場ではコングロマリットはディスカウントされます。

たとえ売上が非常に伸びていたとしても、大きな事業が落ちていると、売上の伸びが目立ちません。今回のITアウトソーシング事業についても、4年から5年であれだけの売上を作ることは非常に大変なことで、もっと評価されてもよいと思います。

本日は横倉も来てくれていますが、本当に現場はよくがんばってくれています。なかなかできないことです。感謝しかありません。Ada.事業も2年間でここまで売上が上がったことは、評価されるべきだと思っています。

そのような意味で、会社の成長に株価がついてこないのは、私のブランディングやIR活動がうまくできていないためだと思っています。それほど現場はがんばってくれているため、今後は私の出番です。

現在の株価は低すぎると考えており、PBR0.6倍というのも考えられないことです。この事業のみで上場したとしてもおそらく200億円、300億円の時価総額になると思います。会社の見せ方をうまくしなければなりません。

株価については悔しい思いをし続けてきましたが、ゲーム事業を持ちながら、不確実性が高い中で複数の事業にも取り組んでいたことを考えると、このくらいしかできなかったなという印象です。今回それがなくなったため、ここからはしっかりとIRに取り組みたいと思っています。

質疑応答:事業ポートフォリオ変更に伴う費用の反映時期について

司会者:「今回、事業ポートフォリオを大きく変更されていますが、これらの費用は今期第1四半期で大半が反映されるのでしょうか?」というご質問です。

小渕:事業ポートフォリオの変更について、撤退費用など追加でかかる費用はありません。SHOPLIST事業、ゲーム事業、ITアウトソーシング事業、Ada.事業の4事業と、正確にはランク王を含め5事業ありましたが、それぞれの事業でそれぞれのコストがかかります。

4事業のうち、赤字の2事業を外部に出して残ったのが2事業です。この構造改革に伴う費用はほとんど発生していません。

稲垣:譲渡対象はランク王、SHOPLIST事業、ゲーム事業の3つで、そのうちランク王とSHOPLIST事業は第4四半期までに譲渡完了し、すべて反映が終わっています。ゲーム事業の譲渡については、第1四半期に反映されるかたちです。

小渕:若干、ゲーム事業の赤字が続いていたものが第1四半期に入っているとは思います。

質疑応答:自己株式消却について

司会者:「自己株式の消却は考えていますか? それとも、今後の投資のために残しておく計画でしょうか?」というご質問です。

小渕:自己株式の消却については、今は考えていません。このような株主還元策は、最低でもやはり3年後、もしくは中期経営計画の達成がほぼ見えてきたタイミング以降で考えるべきだと思っています。

消却がよいのか、もしくは資金調達に使うべきか、さまざまな選択肢があると思いますが、今は消却の考えはまったく頭にありません。

質疑応答:ITアウトソーシング事業の顧客基盤について

司会者:「ITアウトソーシング事業について、顧客基盤の業種分布はどのようになっているのでしょうか?」というご質問です。

横倉:フルリモート案件を含め全国的に案件を受けているため地域にもよりますが、製造系の業種のクライアントが多いです。また、関西では電力系の会社が多いなど、さまざまです。大半を占めているような業種はありません。

質疑応答:採用の好調、および離職率の上昇について

司会者:「決算説明資料では、SES事業の新規採用がかなりうまくいっているように感じます。IT人材採用は難しい中、なぜうまくいっているのでしょうか? また、離職率が上がっていますが、これは一時的なものでしょうか?」というご質問です。

横倉:新規の採用について、競争優位性に触れる部分のため明言は避けますが、採用投資額を増やし、採用の単価を下げ、採用生産性を上げて伸ばしています。

離職については、全社的に採用にかなり注力していた分、離職に対するフォローが一部足りていない部分がありました。こちらに関しては現在、対処しています。

業界の特性として、転職を繰り返すエンジニアはかなり多いです。他に行かずに当社のSESを選び続けてもらえるような環境を作るべく、さまざまな施策を打っているところです。したがって、離職率の上昇については一時的なものになると考えています。

小渕:採用は本当にうまくいっています。同業他社から見ても、トップクラス中のトップクラスだと思います。

我々は2001年からIT業界におり、社員の9割が技術者という時もありました。そのため、離職に関してはこれからもいろいろなアドバイスをしていけると思います。おそらく現場でも対応してくれており、今後、改善できると思います。