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宮倉康彰氏:沖縄セルラー代表取締役社長の宮倉です。2025年から2030年までの6年間を対象とした、新しい中期経営計画についてご説明します。

経営方針

経営方針です。増収・増益・連続増配の3増、そして配当性向40パーセント超を引き続き掲げていきます。13期連続増益、24期連続増配の流れを止めずに、達成に向けて引き続き取り組んでいきます。

2030年に向けて

「OCT VISION 2030」についてです。当社では持続可能な成長と革新を目指して、2030年VISIONを策定しました。そのVISIONを実現するための新たな中期経営計画を策定しています。

OCT VISION 2030

VISIONについてご説明します。当社のVISIONは「新たな価値でこの島の未来を豊かにする 地元に全力! 沖縄セルラー」です。

この趣旨ですが、当社は1991年に県民のみなさまのご支援をいただき設立しています。当社は今一度、沖縄のために生まれたという創業の思いを胸に、県民のみなさまに寄り添い、我々の通信技術を使って沖縄の未来を豊かにしていきたいという想いが詰まっています。

2030年に目指す世界観としましては「ちむどんどんするスマートアイランド」です。「ちむどんどん」は沖縄の方言で胸がわくわくするとか、心が躍るという意味です。

沖縄はもちろん豊かな自然が魅力ですが、それよりも、なんといっても県民のみなさまの温かさがあります。そのみなさまが心躍るようなスマートアイランドの実現に貢献していきたいと考えています。

実現する手法は次の3つです。1つ目は、沖縄の課題解決です。2つ目に、県民のみなさまを笑顔にできるような、新たな価値をしっかり創造していきます。その上で3つ目として、沖縄および沖縄経済の持続的な成長に貢献していきます。

沖縄の課題

沖縄にはまだまだ課題があります。医療や教育、交通も脆弱です。そして2023年には、沖縄県でも自然減による人口減少がありました。3人に1人の子どもは貧困だというデータもあります。台風などの災害は甚大化しており、気候変動への対応も必要です。沖縄の豊かな自然を守り、次の世代に引き継いでいくことが必要です。

これらの課題解決に向けて私たちは全力で取り組み、さらに笑顔になっていただくように、沖縄の持続可能な発展に貢献していきたいと考えています。

2030年に目指す世界観

スライドはスマートアイランドを表現した概念図です。後ほど具体的な内容をご説明するように、このような笑顔の実現に向けて、社員一同がんばって推進していきたいと考えています。

セルラー6X(siks)経営とは

スマートアイランドの実現に向けた中期経営計画についてご説明します。あわせて、その持続的な成長に向けた経営の考え方も示したいと思います。

経営の考え方について、今回のVISION実現に向けては当社の成長基盤を強化していくことが必要となります。そのためにはいくつかの変革が必要であると考えており、その経営の考え方を6つの「X」で示しました。これを「セルラー6X(siks)経営」と名付けています。

「セルラー6X経営」の軸に据えるのは、CX(カスタマーエクスペリエンス)とEX(エンプロイーエクスペリエンス)の2つです。CXでは、あらためて顧客起点の施策・サービスを徹底的に実践していきます。EXでは、その実践のために、社員がわくわくと主体的に働ける会社となるよう、組織変革を実践していきます。

その仕組みとして、DX(デジタルトランスフォーメーション)と、DayX(デイトランスフォーメーション)という、生産性と創造性を高める仕組みを導入していきます。DayXは造語で、仕事を見える化して磨き、沖縄セルラーでの1日の「はたらき型」、すなわち働くかたちをデザインする変革を進めていきたいと考えています。

Growth Foundation

何よりも大切なのは、社員のベクトルをあわせていくことです。それがスライド右側に示したSX(サステナビリティトランスフォーメーション)とGX(グリーントランスフォーメーション)です。

当社は沖縄愛の強い社員がたくさんいます。沖縄の経済の発展と一緒に成長していくのだというSXと、沖縄の豊かな自然の保全とその事業化によるGXを目指して、社会変革への貢献を実践していきたいと考えています。

沖縄セルラーが目指す地域社会とのあり方

GXの補足でございますが、当社が目指す地域社会とのあり方についてご説明します。こちらはSDGsのウェディングケーキモデルを参考にしています。

我々の経済活動は自然資本を土台に成り立っています。持続的成長には気候変動への対応、自然資本への保全は欠かすことのできない重要事項と捉えています。今後はカーボンニュートラルとともに、ネイチャーポジティブを通じた事業成長と、沖縄県におけるWell-being(県民の幸福)の向上を目指していきます。

6X(siks)経営推進に向けて

「セルラー6X経営」を迅速かつ効果的に推進し、重要事項を迅速に意思決定していく場として、委員会を設置しました。

スライド右側に記載のとおり、セルラー6X経営推進委員会の下には、次のリーダーを担う社員を中心とした各部会を設置します。変革を推進し、議論を深め、決めた内容については外部に発信していく計画です。

成長領域を飛躍的に伸長させ2030年までに営業収益1,000億円を目指す

営業収益の目標についてご説明します。成長領域を飛躍的に伸長させ、2030年度までに営業収益1,000億円を目指していきたいと思っています。

スライド下のイメージ図のとおり、安定成長していくコア事業を土台に、「auでんき」をはじめとする成長領域を飛躍的に伸ばしていきます。成長領域の売上高を、2030年度までに300億円規模に成長させ、トータル1,000億円の早期達成を目指していきます。

成長領域

成長領域は大きく「auでんき」とビジネス事業の2つに分かれます。「auでんき」では、売上高として2024年度比1.6倍の140億円規模を目指します。今年度は小売電気事業への参入を計画しており、売上拡大、利益改善へつなげていきます。

そして、これまでソリューション事業と呼んでいた事業に加え、アグリ&マルシェなどの事業を含めビジネス事業として推進していきます。ビジネス事業では、2024年度比2.5倍の160億円規模への売上拡大を目指します。

この2つで合計300億円規模の成長を目指していきます。

ビジネス事業 成長領域

ビジネス事業では、当社の通信技術を軸にして、オフィスファシリテーションやデジタルBPOなどのデジタル化を推進していきます。

また、スライド右側に記載のとおり、自治体向けに通信と都市をつなぐプラットフォームを確立していく「スマート街づくり」を推進し、新たな成長モデルを創出していきます。

ビジネス事業 成長領域

すでに事業化しているヘルスケアやスマートアグリについても、事業収益をさらに拡大していきます。また、パートナリング強化により、新たな領域の事業開発も迅速に進めていきたい考えです。

コア事業

コア事業であるモバイル事業については、基盤を維持拡大していくことで、選ばれ続けるセルラーブランドを目指していきます。

地域密着の施策展開により、新たな顧客接点の創出とショップの店頭力強化を実施していきます。それにより、HS累計稼働数および総合ARPU対象収入の継続増を目指す考えです。

事業戦略を支える技術

事業成長領域の事業戦略を下支えするのは、県内No.1の通信品質を誇っている我々の技術基盤です。それにより「Smartな未来基盤」を作っていきます。

Smartな未来基盤

「Smartな未来基盤」とは、移動中でも、離島でも、リアルタイムで遅延なくつながることを表しています。

遅延なくつながる世界を構築し、モビリティの進化や小離島への5Gエリア拡大などにより、付加価値を生み出す未来基盤を構築していきたいと考えています。

2030年度に向けた財務目標

2030年度に向けた財務目標です。財務目標として、EPSを2024年度の260円から80円以上増の340円超、2024年度比でEPS成長30パーセント超を目指していきます。

2030年度に向けた財務方針(キャッシュアロケーション)

2030年度に向けた財務方針(キャッシュアロケーション)についてご説明します。営業キャッシュフローは、2025年度から2030年度で累計1,000億円規模を想定しています。

360億円規模の既存設備投資を想定しており、その残りを成長に向けた戦略投資に充て、果敢に実行したいと考えています。その上で、連続増配および機動的な自己株式取得による株主還元を進めていきます。

サマリ(2030年に向けて)

サマリです。経営方針として、3増および配当性向40パーセント超を継続します。「OCT VISION 2030」は、「新たな価値でこの島の未来を豊かにする 地元に全力! 沖縄セルラー」としました。

2030年度の財務目標は、営業収益1,000億円の早期達成を目指し、成長領域では300億円規模への売上拡大を目指します。また、EPS成長は2024年度比30パーセント超を掲げます。

また、財務方針として、成長に向けた戦略投資と機動的な株主還元を進めていきます。

「地元に全力!」をパワーアップ!

当社は「地元に全力!」という言葉を掲げていますが、ご参考までに、先日、県内地銀のシンクタンクが発表した「当社の事業活動による沖縄県内の経済波及効果」についてご共有いたします。

2023年度の当社の売上高は約780億円で、経済活動による県内への経済波及効果は1,200億円と試算されました。この経済波及効果を、2030年代前半には2,000億円相当まで拡大していき、「地元に全力!」の効果を発揮していきたいと考えています。

沖縄県の現在のGDPが4兆円規模のため、その約5パーセントは当社が貢献していきたい考えです。

価値創造プロセス

最後に、当社の価値創造プロセスについてお伝えします。現在、2025年9月をターゲットに、統合報告書の開示準備を行っています。財務情報と非財務情報を統合し、ステークホルダーのみなさまへ当社の長期的な価値創造力を示すことを目指しています。

その中で、スライド記載の価値創造プロセス図を作成しました。私たち沖縄セルラーが、持続可能な未来を築き、どのように成長していくかの道筋を示すものです。みなさまとともにこの実現に向けて取り組んでいきたいと考えています。引き続き、ご支援、ご鞭撻を賜りますようよろしくお願いします。