2025年3月期決算説明

深井義博氏(以下、深井):株式会社上組の代表取締役社長の深井です。本日はお忙しい中、当社の決算説明会にお集まりいただき誠にありがとうございます。

まず初めに財務担当の岸野から、2025年3月期決算の概要についてご説明します。その後、私より先日発表しました新中期経営計画についてご説明します。そして最後にご質問をお受けします。どうぞよろしくお願いします。

連結損益計算書(前期比較)

岸野保宏氏:みなさま、こんにちは。上組の上席執行役員財務金融本部長の岸野です。2025年3月期決算の概要について、私からご説明します。

2025年3月期は、主に穀物、飼料原料および青果物の取扱いが持ち直し、営業収益は前年比4.6パーセント増収の2,791億8,200万円、営業利益は8.2パーセント増益の330億9,500万円、経常利益は7.2パーセント増益の366億5,500万円です。親会社株主に帰属する当期純利益は7.6パーセント増益の269億3,500万円となりました。

予想に対しても、収益、利益ともに上回る結果となっています。

経常利益要因分析

要因分析についてご説明します。

営業利益におきましては、下期に外注比率の上昇傾向が見受けられたことや、貸倒引当金繰入等の一過性の費用を計上したものの、価格転嫁や取扱い量が回復したことにより、増益となっています。経常利益についても、KLKGホールディングスの業績が堅調に推移し、上振れての着地となっています。

セグメント別営業収益

セグメント別営業収益についてご説明します。

物流事業は前年比5パーセント増収の2,431億400万円となりました。全体の営業収益に対しての構成比は87.1パーセントです。その他事業は前年比4.1パーセント増収の392億2,900万円となりました。全体の営業収益に対しての構成比は、14パーセントです。

セグメント別営業収益

セグメント別の収益の増減の詳細についてご説明します。

物流セグメントの収益については、港湾運送で穀物、飼料原料、青果物の取扱いの回復や価格転嫁の取組みが進捗したことにより、増収となりました。

国内運送については、大型の官公需案件が増収に寄与しました。重量・建設においては、建設においては、大型案件がなく、減収となったものの、重量においては、兵庫の天然ガス発電所設備並びに大阪の高架橋橋げた輸送等が寄与し、増収となっています。

セグメント別営業利益

セグメント別営業利益についてご説明します。

物流事業は、前年比8.5パーセント増益の286億8,800万円になりました。全体の営業利益に対しての構成比は86.7パーセントです。増益の主な要因としては、収益構成の変化、適正単価等の種々の取組みが挙げられます。

その他事業は、前年比6.1パーセント増益の43億8,300万円となりました。全体の営業利益に対しての構成比は13.2パーセントとなります。増益の主な要因としては、貸倒引当金繰入による一過性の費用の計上があったものの、各種発電所設備の運搬据付作業が好調に推移したためです。

設備投資前年比較

設備投資の実績についてご説明します。

2025年3月期の主な設備投資は、鹿島港に建設を予定しています、北海浜倉庫の用地を取得しました。当該用地は同港の外港公共ふ頭から約1.5キロメートルの位置にあり、船舶からの貨物搬入に対する倉庫としての利用に最適な位置です。

また建設を予定している北海浜倉庫については、大口需要家と倉庫使用の長期契約締結について合意しており、開業時より入出庫および付帯輸送も含め、高い稼働率で運用できる見通しです。

株主還元

株主還元についてご説明します。

当事業年度の期末配当については、直近の配当予想から30円増配の80円とします。自己株式については519万1,000株、約170億円分を取得し、合計で550万株の株式消却を行いました。

2026年3月期業績予想

2026年3月期の業績予想についてご説明します。

2026年3月期に関しては、適正単価収受により増収を予想しているものの、外注費率の上昇を想定しています。

また加えて、九州地方のサイロ施設において、大規模な修繕を予定していることや、引き続き人件費の増加を想定しており、利益率の低下を予想しています。

これらにより2026年3月期の営業収益は、2,820億円、営業利益は320億円、経常利益は356億円、親会社株主に帰属する当期純利益は、262億円と予想しています。これらの業績予想を元とする2026年3月期の配当予想は、1株当たり年間185円として、その配当性向は71.5パーセントと予想しています。

以上で2025年3月期決算の説明を終わります。続きまして、当社の新中計経営計画について社長の深井よりご説明します。

前中期経営計画の振り返り

深井:当社の中期経営計画について、深井よりご説明します。

昨年度に終了しました前中計では、計数目標はほぼ達成した一方、営業収益や投資計画に関しては、当初掲げた目標が未達に終わりました。

この結果を受けて当社は、今一度トップラインの成長を意識し、事業戦略や組織構造を見つめ直す必要があること、そして成長に向けた設備、人材システムに加えて、M&Aなどの投資を積極的かつ効率的に進める必要があると認識しています。

なお、投資契約については、支払ベースと契約ベースなど管理基準が一部あいまいであったことから、今後は基準を統一して、執行状況のモニタリング体制も整えていきます。

成長実現に向けた課題

当社の事業競争力の源泉は、現場における人と設備の2つの経営資源に集約されると考えています。

この2つの経営資源は、1つ目は構内作業など投資回収期間が比較的短期な「人工(にんく)型ビジネス」、2つ目は港湾ターミナル事業や倉庫事業など投資回収期間が長期となる「アセット型ビジネス」となって、競争力を発揮していきました。

しかしながら、人工ビジネスにおいては、労働力や技能継承の確保が容易でなくなりつつあり、アセット型ビジネスにおいても、主要顧客の海外展開や、国内人口の減少といった構造問題に加え、足元では、建築費の高騰といった課題も浮上しています。

さらには、組織運営上の課題として、「利益重視、短期志向の評価制度」「支店主導の縦割り構造」「経験や知見の共有不足」といった課題が散見され始めています。今中期経営計画の策定に際しては、これらの課題に真摯に向き合うこととしました。

当社における成長戦略

中期経営計画2030の策定においては、成長性を強く意識した結果、基盤事業と成長事業という2つのカテゴリーを設けて、アプローチを整理することとしました。

基盤事業は引き続きキャッシュ創出力を維持することを主眼に、シェアの拡大や合理化、効率化のための投資を行っていきます。

成長事業は、基盤事業から生み出されたキャッシュを原資に、次なる収益基盤の構築に向けて、積極的な投資を行っていきます。

これらの2つのカテゴリーを連動させることで、持続的な成長サイクルの実現を図っていきます。なお、このサイクルを高水準化かつ持続的に実現するために、経営管理の高度化、組織構造の改革、人材マネジメント基盤の再構築などの経営基盤も改革し、成長サイクルを支えていきたいと思っています。

長期ビジョン2035

以上をふまえて、当社はこの度10年後の目指す姿、長期ビジョン2035を策定しました。

策定過程においては、まずは存在意義、パーパスを見つめ直した上で、5年間のロードマップとなる中期経営計画2030を策定しました。

なお、中期経営計画2030は、成長戦略とサステナビリティ戦略を両輪とするもので、後にも触れますが、今中計ではマテリアリティとの連動も意識したものとしています。

長期ビジョン2035に向けたロードマップ

中期経営計画2030では、長期ビジョン2035の実現に向けた基盤整備の期間と位置付け、1構造改革、2成長事業への積極投資の2点を並行して進めていきます。

構造改革では、事業ポートフォリオ運営を目指した経営管理基盤の変革を図り、同時に人的資本投資やDX投資も推進します。

成長事業への積極投資としては、海外事業、新規事業、国内の成長分野といった新たな領域への展開を図っていきます。なお、国内の基盤事業においては、キャッシュ創出力を維持すべく、視野拡大や合理化、効率化に向けた投資を進めていきます。

中期経営計画の基本方針

今中計では、6つの基本方針を掲げました。そのうちの3つは事業に関するものであり、残り3つは経営基盤に関するものとなります。

事業に関する3つの基本方針のポイントをご説明します。

1つ目は「国内基盤事業のシェア拡大、強靱化」です。物流アセットの取得と老朽資産の更新に加え、事業企画に対するアカウントマネジメントの導入、エリア軸とサービス軸の両軸を目指した。組織構造の改革を実施します。

2つ目は「グローバル事業の確立」です。重点エリアとして、北米、東南アジア、南西アジアを設定し、事業拡大に注力します。

3つ目は「新たな物流ニーズの事業拡大」です。当社の物流ノウハウや保有アセットなどの強みを生かした領域として、新エネルギー関連物流や、3PL事業を設定しました。

これらの事業の3つの方針を、経営基盤に関する3つの方針で支えていきます。なお、これらの6つの基本方針全体と、マテリアリティとの連動についても、適時図っていきます。

2030年3月期の計数目標

今中計の最終年度となる2030年3月期の連結財務目標として、営業収益が3,500億円、営業利益が380億円、ROEが8パーセントの目標を掲げました。

成長性と資本効率性を強く意識しながら、ROE水準の向上を目指した収益拡大を起点とする、利益の積上げを図ると同時に、資本コストを意識した経営を進める中で、一段の負債活用と一層の株主還元を図っていきたいと思っています。

具体的には、今中計の期間中1,700億円規模の負債調達を計画するとともに、連結配当性向70パーセント程度をめどとする株主還元を実施していきます。

別途650億円規模の自己株式取得も想定しており、結果として30年3月期の自己資本比率は、60パーセント程度になる見込みです。なお引き続き政策保有株式の削減にも取り組んでいきます。

営業収益の拡大イメージ

長期ビジョン2035における連結営業収益の拡大イメージは、記載のとおりです。

中期経営計画2030の最終年度には、基盤事業の強化を通じて、営業収益目標として3,500億円、長期ビジョン2035の最終年度には今中計で取り組む成長事業が軌道に乗る前提で、営業収益目標として4,500億円を掲げています。

キャッシュアロケーション

最後に、キャッシュアロケーションについてご説明します。

今中計期間の5年間において、4,000億円程度の規模のキャッシュを動かす予定です。キャッシュインは営業キャッシュフロー、負債調達、現預金水準の適正化などから生み出されます。一方、キャッシュアウトは主に株主還元、投資この2点に向けします。

株主還元は総額1,550億円を予定しており、このうち自己株式の取得は期間内で650億円規模となります。投資は総額2,430億円を予定しています。このうち出資・買収は流動的ではありますが、560億円程度を見込んでおり、固定資産投資は総額1,870億円を原則として実行していく予定です。その内訳は記載のとおりです。

なお、前中計における反省をふまえ、固定資産投資計画の実効性についても、事業戦略の共有化、評価制度の変更、モニタリング体制の強化等を通じて、担保をしていく所存です。

中期経営計画についてのご説明は、以上となります。

質疑応答(要旨)①

Q:前中計の課題であった『投資が実行できなかった』点について、今中計においてもかなり積極的な投資額を示されているが、その実行性をどのように確保しますか?

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