Agenda
髙須康有氏(以下、髙須):代表取締役社長の髙須康有です。本日はお忙しい中、弊社の2025年3月期決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。
スライドに記載した順に、6つの項目についてご説明します。
朝日工業社とは
弊社の概要をご紹介します。弊社は、エンジニアリング機能とメーカー機能を併せ持つ環境エンジニアリングカンパニーです。
主要事業である設備工事事業では、人々の暮らしや作業を快適にする空間作りに加え、半導体・医薬品製造に欠かせないクリーンルームなど、高度な技術を要する空気調和設備工事、用途に応じた水の供給を可能にする衛生設備工事、各種生産設備に必要なプラント配管設備工事を手がけています。
機器製造販売事業では、半導体やFPD製造環境で使用されるチャンバと呼ばれる精密環境制御機器や精密空調機の開発設計・製造・販売を行っており、中国、韓国、台湾、アメリカ、ドイツなど、海外にも多数の納入実績があります。
フィルムなどを均一に乾燥させるドライヤ装置の開発設計・製造・販売も行っており、主に化学品メーカーや印刷会社に納品しています。
企業情報
会社の基本情報については、スライドに記載のとおりです。
国内には38拠点あり、日本全国をカバーするネットワークで、設備工事事業と機器製造販売事業を営んでいます。海外では、台湾とマレーシアにて設備工事事業を展開しており、グローバルな成長機会の獲得にも注力しています。
2025年3月期 決算概要
2025年3月期の決算概要です。実績についてご報告します。
受注高は、前年度から4.6パーセント減の930億9,800万円となりましたが、施工体制を考慮した計画的、戦略的な受注活動による結果であり、当初の計画を達成しています。次期繰越高は、堅調な受注を受けて、前年度から1.3パーセント増の894億4,100万円となりました。売上高は、前年度から0.3パーセント増の919億4,700万円となり、引き続き高水準に推移しています。
売上総利益以下の各段階利益については、売上総利益率の改善により、売上総利益、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益、いずれも大幅な増益となりました。
今後も、半導体工場やデータセンターなど、弊社の技術力を活かせる施設の設備投資が継続されるものと見込まれ、弊社にとって中長期的には豊富な受注機会が続くものと考えています。
セグメント別受注高・売上高・営業利益
セグメント別の受注高、売上高、営業利益についてご報告します。
設備工事事業については、受注高は前年度から8パーセント減の857億1,600万円、売上高は前年度から2.4パーセント減の861億1,100万円となりました。営業利益は、売上総利益率の改善により、前年度から48.8パーセント増の76億600万円となり、大幅な増益となりました。
機器製造販売事業については、受注高は前年度から66.9パーセント増の73億8,200万円、売上高は前年度から69.6パーセント増の58億3,500万円となりました。ただし、まだ黒字化には至らず、3億5,800万円の営業損失となりましたが、前年度と比較すると、赤字幅は確実に縮小しています。
四半期業績の推移
四半期業績の推移については、スライドに記載のとおりです。
セグメント別実績 受注高
それぞれのセグメントの用途別、主要製品別の受注実績についてご報告します。
設備工事事業の受注については、交通・通信環境施設、生活・文化環境施設、健康・医療環境施設、流通環境施設は減少しましたが、ビジネス環境施設および生産環境施設は大幅に増加しています。
機器製造販売事業の受注については、半導体製造装置向け製品における納入先の生産調整等の影響が続きましたが、復調の傾向が見られています。FPD製造装置向け製品は、市場の回復を受けて大幅に増加しました。また、ドライヤ製品の受注増により、ドライヤ関連他の受注も大幅に増加したことから、全体として大幅に増加しました。
受注高全体としては、前年度と比べ減少していますが、国内製造業の設備投資意欲は依然として高く、引き続き多くの計画が予定されており、良好な受注環境が続いています。
セグメント別実績 売上高
それぞれのセグメントの用途別、主要製品別の売上実績についてご報告します。
設備工事事業の売上については、生活・文化環境施設および生産環境施設は減少しましたが、ビジネス環境施設、交通・通信環境施設、健康・医療環境施設、流通環境施設は増加しています。用途別内訳の比率については、引き続き、生産環境施設が多くを占めています。
機器製造販売事業の売上については、FPD製造装置向け製品が大幅に増加しました。ドライヤ関連他の受注は大幅に増加していますが、納期時期の影響により、2027年3月期以降、売上に計上予定です。
売上高全体としては、前年度から若干の増加となり、引き続き好調に推移しています。
次期繰越高
設備工事事業の建物用途別の次期繰越高については、データセンター等の生産環境施設の受注活動に注力した結果が表れ、生産環境施設が大幅に増加しました。次期繰越高全体としては、依然として高い水準を維持しています。
貸借対照表
貸借対照表については、スライドに記載のとおりです。
キャッシュ・フロー計算書
キャッシュ・フロー計算書については、スライドに記載のとおりです。
2026年3月期の予想について
2026年3月期の業績予想についてご説明します。
受注高については、国内製造業の設備投資意欲が依然として高く、受注機会は豊富にある状況が続くため、2025年3月期から増加を見込んでいます。売上高については、設備工事事業における2025年3月期末からの繰越高が引き続き高水準であり、機器製造販売事業も回復傾向にあることから、2025年3月期から増加を見込んでいます。
各段階利益については、継続する資機材価格の高騰、労働者不足、人的資本経営の推進にかかる費用の増加などがありますが、継続的な工事採算の改善に努め、2025年3月期以上の数値を目指していきます。
特に近年では、今までにも数多く手がけてきた大型半導体工場や大型データセンター、研究所などの施設の施工が増加しており、今後も中長期的に継続して受注が見込まれる状況です。2026年3月期も、事業目標、さらにはそれを超える業績の達成を目指し、全社一丸となって努力していきます。
セグメント別見通し
セグメント別の見通しです。設備工事事業は、受注高、売上高ともに増加を見込んでいます。
機器製造販売事業は、受注高については、2025年3月期にドライヤ装置の大型受注を獲得したため、2026年3月期はその反動減が見込まれるものの、2024年3月期と比較すると、堅調に推移しています。当該大型受注の売上計上時期は、2027年3月期以降を予定していますが、半導体・FPD・ドライヤ装置全体の売上高は、2025年3月期を上回る見込みです。
業績推移(過去5年間)
過去5年間の業績推移についてご説明します。売上高、営業利益ともに右肩上がりで順調に推移しており、2025年3月期は創業以来、過去最高の営業利益を達成しました。2026年3月期においては、2025年3月期をさらに上回る利益を目指し、引き続き取り組んでいきます。
資本コストを意識した経営の推進(過去5年間)
資本政策についてご説明します。弊社は、資本コストを意識した経営により、グループ全体の企業価値向上と持続的な成長を目指し、資本効率の追求と財務健全性の維持向上とのバランスの最適化を図ることを、資本政策の基本方針としています。
2025年3月期のROEは15パーセントを超え、弊社が認識している株主資本コストを大きく上回る高水準で推移しています。政策保有株式についても、2026年3月期中に純資産に占める割合を20パーセント以下にできるよう縮減を進めており、資本効率の向上を図っています。
株主還元(過去5年間)
株主還元についてご説明します。株主還元については、連結配当性向40パーセント以上を第18次中期経営計画期間中の目標としています。
弊社は、2025年4月3日に創立100周年を迎え、過去最高益を達成しました。これを記念し、2025年3月期の年間配当金は、記念配当20円を含む120円を予定しています。これにより、連結配当性向は49.6パーセントとなる見込みです。
2026年3月期についても、増配後の配当を維持し、継続して積極的な株主還元に努めていきます。
株価・売買代金
株価および売買代金についてご説明します。弊社は、継続的なIR活動の強化や株主還元の充実などに努め、株価を意識した経営を推進してきました。その結果、近年の好調な業績も加わり、株価および売買代金ともに、プライム市場への移行基準日から大幅に改善しています。
引き続き、みなさまのご期待に沿えるよう、株価を意識した経営をより一層推進していきますので、よろしくお願いします。
第18次中期経営計画の概要
2024年3月から2026年3月期にかけて取り組んでいる、第18次中期経営計画の進捗状況についてご説明します。本中期経営計画は、人間、社会、地球環境の持続可能な発展に資する事業活動を推進するものです。
それを可能とするためには、なによりも収益力の強化と生産性の向上が不可欠であり、新たな価値の創造に向けたイノベーションが重要となります。その実現に向けて、「事業戦略」「人材戦略」「イノベーション戦略」の3つの戦略と、それらの戦略を支える「サステナビリティ基盤」および「DX基盤の強化」に取り組むことを、本中期経営計画の基本方針としています。
第18次中期経営計画 主要計数目標の進捗
第18次中期経営計画の主要計数目標の進捗状況についてご説明します。2025年3月期の連結受注高は、目標847億円に対して、実績が930億9,800万円となり、目標を上回ることができました。
連結売上高は、目標925億円に対して、実績が919億4,700万円となり、目標を若干下回りました。これは、単年度の売上にとらわれない、中長期的な成長を見据えた戦略的な受注活動を進めた結果です。
連結営業利益は、工事採算の改善努力により、目標36億円に対して、実績が72億4,800万円となりました。連結当期純利益は、目標31億円に対して、実績が62億2,900万円となりました。ともに目標を大きく上回ることができました。それに伴い、ROEも15パーセントを達成しました。
2026年3月期もさらなる採算改善に努め、利益面を大幅に上方修正し、3期連続の創業以来最高益を見込んでいます。引き続き、全社一丸となって目標達成に向けて取り組んでいきます。
第18次中期経営計画の途中経過
本年度は、第18次中期経営計画の最終年度にあたりますので、これまでの取り組みについて自己評価を交えながらご説明します。
資本効率の改善に向けた取り組みについて、2024年3月期から今年度までの3年間で、政策保有株式を純資産比の20パーセント以下に縮減することを目標に掲げ、取り組んできました。その結果、2025年3月期末時点で、純資産比23.4パーセントまで縮減を進めることができました。目標値にはわずかに届いていませんが、引き続き、今期の縮減に努めていきます。
株主のみなさまへの還元について、2025年3月期は創立100周年の記念配当を含め、年間配当120円を予定しており、連結配当性向は49.6パーセントと、当初目標を大幅に上回る見込みです。今後も、株主のみなさまのご期待にお応えできるよう、安定的かつ積極的な還元を目指していきます。
将来の成長に向けた投資について、当初計画よりも投資額を上積みし、取り組みを加速しています。
【人材戦略】人的資本への投資
第18次中期経営計画の3つの戦略のうち、人材戦略について、取り組みの一例をご紹介します。弊社では、「人こそが最大の財産であり競争力の源泉である」という考えのもと、人的資本経営を積極的に進めています。
採用面では、新卒、中途ともに積極的に人材を確保しており、2025年4月には、新卒56名を採用し、目標を大きく上回りました。中途採用でも、2024年度に17名を採用し、こちらも計画を超えた実績となっています。
従業員の処遇改善にも力を入れています。2023年度から2年連続で、全従業員に対し平均7パーセントの賃上げを実施し、2024年度には新卒初任給も3万円の引き上げを行いました。2025年2月には、社員評価制度を刷新しました。評価のランクを細かく見直し、より公平で、成果を正当に評価できる仕組みへと進化させています。
働き方改革にも積極的に取り組み、バックオフィスの強化やDXの導入など、現場の負荷軽減と効率化を進めています。弊社は、働きがいのある仕事と職場の実現を目指し、従業員の安心感とモチベーションを高めるための施策を、今後も継続して実施していきます。
朝日工業社は2025年4月3日(木)に創立100周年を迎えました
弊社にとって大きな節目となる創立100周年記念事業について、取り組みの一部をご紹介します。弊社は、本年4月3日に創立100周年を迎えました。投資家のみなさまを始めとするあらゆるステークホルダーのみなさまに支えられ、100年という歴史を築くことができたことに、心より御礼申し上げます。
創立100周年を機に、社員公募により「創立100周年記念ロゴマーク」を制定し、本年3月には「朝日工業社100周年記念サイト」を公開しました。記念サイトでは、朝日工業社100年のあゆみや、つくば技術研究所の建設過程のタイムラプス映像などのコンテンツをご覧いただけますので、ぜひご覧ください。
新たな企業理念「ASAHI-PHILOSOPHY」
2025年4月に、新たな企業理念「ASAHI-PHILOSOPHY」を制定しましたので、ご紹介します。「ASAHI-PHILOSOPHY」は、創立100周年という大きな節目を迎えた今日、あらためて「弊社グループが社会に何を提供するのか?」「何のために存在しているのか?」というグループとしての存在意義を明確にし、それを経営の軸として、今後の事業を進めていくことが重要と考え、制定したものです。
弊社グループの存在意義としてのPurposeを「情熱と技術で、世界をもっと最適に」と定めました。Purposeを中核において、お客さまと社会に対するお約束であるPromise、会社の事業活動の指針であるPolicy、社員が行動の指針・価値観とするPrincipleという、4つのPで構成しています。
弊社グループの全役職員が「ASAHI-PHILOSOPHY」を、経営の場や日々の業務での判断のよりどころとして常に念頭に置き、共有・実践していきます。
新たな長期ビジョン「ASAHI-VISION 2050」
「ASAHI-PHILOSOPHY」の実現に向けた指針・方向性を示すものとして、新たに長期ビジョン「ASAHI-VISION 2050」を策定しました。
ビジョンのスローガンは、「ワクワクする未来をカタチに ~Imagination & Creativity~」です。弊社グループが100年の間に培ってきた「豊かな想像力(Imagination)」と「確かな創造力(Creativity)」を最大限に活かし、引き続き、さまざまなステークホルダーのみなさまにとって、信頼され、必要とされる企業集団であり続けられるよう、積極的な挑戦を続けていきます。
重点テーマとして、スライドに示している6つを挙げています。これらのテーマは、弊社グループが今後、長期的に価値を創出し続けていくための軸となります。今後も、お客さまの課題解決に確実に取り組んでいくとともに、地球環境や社会の課題解決に積極的な挑戦を続けていきますので、引き続きご支援のほどよろしくお願いします。
朝日工業社の強み
Appendixとして、弊社の強み、SDGs基本方針および事業内容に関する資料を添付していますので、後ほどご確認ください。
質疑応答:受注高の減少原因と今後の見通しについて
司会者:「昨年度から受注高が減少していますが、主な原因は何でしょうか? また、今後の受注高の見通しについてどのように考えていますか?」というご質問です。
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